連載小説
[TOP]
Zasetsu-Land 2
 その星系が無人探査機によって発見された時、人々は大いに沸き立ちました。植民に適した距離に、いい感じの大きさの惑星があったからでさ。
 でも、すぐに人々は落胆しちまいやした。その惑星には、既に生物がいたからでさあ。

『星系の資源は、その星系の生物の物とする』

 宇宙開拓条約のおかげで、その惑星はもちろん星系にすら手を出すことは許されなくなっちまったんでさあ。もっとも、どこにでもあるような星系で、金属資源もガス資源もありふれているから、惜しいと思うヤツは大していやせんでした。

 ですがあったんでさ、貴重な資源は。

 その惑星では、そこかしこで『魔力』と呼ばれる物質が湧きだしていたんです。無機物に生命を吹き込み、生物の身体構造を容易に変化させ、環境を自由に改変させる、他の星には存在しない貴重な資源でさ。
 魔力を狙って、多くの盗掘者が押し寄せました。そしてついに、ギガンテック社がやって来やした。

 ギガンテックの社長は、魔力が生物にもたらす効果を利用して、大量の遺伝子特許の取得と関連産業の独占を目論んでいやした。そして魔力の採取のため、惑星軌道上に来ていたギガンテックの開拓船のエンジンを、不運にも故障させて不時着させたんでさあ。
 ギガンテックの開拓船のエンジンは武器転用が可能で、ワープで部品を送ることは武器禁輸条約で禁止されていやす。ですから、ギガンテックはエンジンの修理ができるまで惑星に留まり、『魔力』の採取をしているんです。

 やがて採取を続けるうちにギガンテックの社長は、惑星の原住民からある場所のことを聞きやした。それは、全ての『魔力』の源泉、『魔界』でさ。海や山に専用の機械を設置せずとも、いくらでも『魔力』を採取できる場所。
 ギガンテックの社長は、『魔界』から生じる無限の『魔力』を利用して、他の惑星を、全宇宙の生物のいない惑星に生命を吹き込み、支配しようと考えたんです。

 しかし、『魔界』を目指していたのはギガンテックだけじゃありやせんでした。冒険と名誉の誘惑に目が眩んだ、あるいは神サマとやらのお告げを聞いた原住民。地上の平和のため、彼らは魔界を目指していやした。
 ある者は彼らを命知らずと、またある者は勇者と呼ぶ。
 彼らこそが、冒険者。

 この話は、魔界を目指す四人の冒険者と、ロンサムジョージって男の出会いから始まるんでさ。
(121)ファラオ14/03/31 22:19
(122)アポピス14/04/01 19:42
(123)ケプリ14/04/02 22:00
(124)サンドウォーム14/04/03 19:59
(125)サンダーバード14/04/04 19:21
(126)クラーケン14/04/05 21:17
(127)リビングドール14/04/06 18:44
(128)マンティコア14/04/07 22:38
(129)リッチ14/04/08 21:36
(130)ワイト14/04/09 21:55

TOP | 感想 | メール登録 | RSS

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33