(77)ユニコーン
魔物と人が共存する町。その一角、商店が建ち並ぶ通りを、一組の男と魔物が歩いていた。
荷物の詰まった袋を両手に下げる男と、四本の脚を地面についたケンタウロス種の魔物だった。
白い肌に、淡い色合いの金髪。そして額から延びる一本の角。魔物は、ユニコーンだった。
「だから、私が持ちますよ?」
「大丈夫だって。女の子に重いものは持たせるなんて、男として失格だろ?」
馬体に載せた荷物用の鞍を示しながらのユニコーンの言葉に、男が応える。
「それに、赤ちゃんできたら、あんまり重いものを載せられないだろ?」
「そ、そうですけど・・・」
赤ちゃん、という言葉が男の口から飛び出し、ユニコーンは口ごもった。
そしてかすかに恥ずかしそうに、通りを行き交う他の人や魔物の様子をうかがう。
「今の内から僕が練習しておかないと」
「で、でも・・・今は大丈夫ですから・・・」
「僕たちが気がついていないだけで、もういるかもしれないよ?」
「え・・・?」
男の一言に、ユニコーンが目を見開く。
「ほら、先月とか、結構激しかった」
「や、やめてください!外ですよ!?」
あらぬことを口走ろうとする男の口を押さえながら、ユニコーンが声を上げる。
「えー?でも、もし本当に赤ちゃんがお腹に」
「わかりました!わかりました!荷物は任せますから!」
ユニコーンの手をのけながら、なおも夫婦生活と妊娠について語ろうとする男に、彼女はついに折れた。
「うん、それでいい」
「もう・・・」
夫婦のやりとりを耳にしていた周囲の通行人がクスクスと笑い、ユニコーンは頬を赤らめて顔を伏せた。
やがて二人は商店街を抜けて住宅地に入った。
今夜はなにが食べたいだの、今度はどこに出かけようだのを繰り返しながら、一軒の家に入っていった。
「ただいま、と」
「おかえりなさい」
男が声を上げながら玄関をくぐると、後に続いたユニコーンがそう返した。
「さーて、買ったものは食料庫でいい?」
「あ、それなら私が片づけておきます。代わりに、お風呂の掃除をお願いします」
「分かった」
男はユニコーンとともに台所に向かい、調理台の上に提げていた袋をおいた。
「で、風呂はどうする?」
「今日はお買い物で汗かきましたし、もう入っちゃいましょうか」
「じゃあ、準備ができたら呼ぶから」
「分かりました」
ユニコーンがにっこりほほえんでうなづくのを見届けると、男は風呂場へ向かった。
数十分後、男は浴室の掃除を終え、風呂を沸かす準備をしていた。
浴室はユニコーンが入っても楽に身動きがとれるほど広く、掃除のしがいがあった。
男の働きによりピカピカになった浴槽には水が張られており、風呂窯で起こしている火によって徐々に湯に変わりつつあった。
「んー・・・こんなものかな」
浴槽の湯をかき混ぜ、軽く手を差し入れると、じんわりとした温もりが感じられた。
もうそろそろ入れそうだが、冷める分を見越してもうしばし火を焚いておこうか。
「準備できたよー」
ユニコーンが風呂の準備にかかる時間を考え、男は先に彼女を呼んだ。
「はーい」
「もうちょっと沸かしておくから、ゆっくりでいいよー」
「はーい」
ユニコーンはそうやりとりを交わすと、ごそごそと準備を始めたようだった。
男は浴室を出て風呂窯に向かい、火の様子を見る。
薪の火はだいぶ弱まっており、もう少し風呂を温めるには足りなさそうだ。だが、大きな薪をつっこむほどではない。
男は傍らに積まれた薪を眺め、適当な木片を探した。
すると、浴室の扉が音を立てて開くのが響いた。
「あら?あなた?」
「ああ、こっちこっち。もう少し沸かしてから入るから」
ユニコーンの戸惑いの声に、男はすぐに浴室に向けて声をかけた。
「それでは、お先に失礼しますね」
浴室の壁に刻まれた、湯気を逃がすための穴からユニコーンの陰が揺れるのが見えた。
遅れて、浴槽の湯を桶に取り、体に浴びせる音が響いた。
「んーコレにするか」
男は、薪の中から適当な大きさの一本を選ぶと、風呂窯の火の中にそっと入れた。
軽く火かき棒で位置を整え、薪が燃え上がるのを確認する。
この規模の炎なら、風呂の湯が程良く温まったところで消えるだろう。男はそう踏むと、風呂窯近辺に燃えるものがないことを確かめ、風呂窯の前を離れた。
そして、脱衣所に向かって衣服を脱ぐと、彼は浴室の扉の前に立った。
「入るよー」
ユニコーンを驚かさぬよう、一声かけてから扉を開く。
すると、ユニコーンが脚を畳んで浴槽の隣に馬体を下ろし、頭を洗っていた。
「あ、お風呂の準備ありがとうございました。いい湯加減ですよ、あなた」
淡い金色の髪を泡で包み、白い角を泡の間から覗かせながら、ユニコーンが男に顔を向ける。
ただし、その両目はしっかりと閉ざされていた。
「ん、ちょうどよかったな。頭をすすごう」
「ありがとうございます」
男は手桶を取ると、浴槽の湯を掬い、軽く温度を確かめてから彼女の頭にかけた。
泡が流れ落ち、金色の髪が現れる。
男は、泡が残らぬよう、手桶の湯を数度に分けて彼女の頭に浴びせていった。
「ん、もう大丈夫です」
濡れた髪にふれ、泡が流れたことを確かめると、ユニコーンは男に言った。
「はい、タオル」
「ふぁりがとうございます」
柔らかな乾いたタオルと彼女の頭に載せると、ユニコーンが頭髪の水分を拭いながら応じた。
「このまま体も洗おうか」
「そうですね、お願いします」
タオルの布地で頭を覆ったまま、彼女はうなづく。ユニコーンやケンタウロスのように、大型の下半身を持つ魔物は一人で全身をきれいにするのが困難だ。
全身がざぶんと浸かるような大型の浴槽と柄の付いたブラシなどがあれば、一人でも入浴できるのだが、一番用意なのは配偶者に洗ってもらうという方法である。
男は、彼女の体に湯をかけてやると、石鹸を手に取り両手で泡立てた。
そして、浴室の床に伏せる彼女の馬体の背中に、泡を塗り付けていく。
「このぐらいでいいか?」
「ん・・・はい・・・そのぐらいの力加減で・・・」
馬体の肌を擦り、汗や垢を落としながら、彼女の体をマッサージしてやる。
皮膚一枚隔てた奥の筋肉が、男の手のひらによって徐々に緊張を解いていくのが、彼の指に感じられた。
やがて、男の手は馬体の背中から彼女の腰に至り、背中へとあがっていく。
「あの、このあたりは一人でも・・・」
「まあいいじゃない」
少しだけ恥ずかしげにユニコーンが言うが、男は手を動かし続けた。
腰と背中に泡を塗りたくると、男はユニコーンの体に背後から抱きつくようにして、彼女の腹に手を回した。
ぴくん、と彼の腕の中でユニコーンが体を震わせる。男は彼女の体に宿ったごく僅かな力みを感じながらも、その引き締まった腹や、縦長の筋を描くヘソをなぞっていった。
やがて、男の手のひらが腹からあばらの縁に触れる。見てはわからないが、触れれば薄い脂肪の奥に感じられるあばら骨を、一本一本確かめながら、彼は手を上へと動かしていった。
すると乳房の下部が彼の指に触れ、男の手がその柔らかな二つの肉鞠をそっとつかんだ。
「ん・・・」
乳房に指を埋め、柔らかさを堪能するように軽く揉む。明らかに、石鹸の泡を塗るのとは異なる指の動きに、ユニコーンが吐息を漏らす。
しかし、彼女の吐息には艶めかしい色が宿っており、男の指の動きにも抵抗する様子はなかった。
拒絶されていない。ユニコーンが男の指を受け入れているという事実に、彼は乳房の根本をつかんでいた指を広げ、乳房全体をつかむ。
すると、不意に彼の指先、乳房の先端に固いものが触れた。
「ん?これは・・・何だ?」
「んっ・・・!」
左右の指先に触れる固いものを軽く摘みながらの問いかけに、ユニコーンは小さく声を漏らした。
「こ、これは・・・」
「さっきは、『自分で洗えます』とか言っていたけど・・・誘っているんじゃないか?こんなものをつけて」
ユニコーンの肩越しに、男は彼女の乳房をのぞき込んだ。
すると、彼女の桜色の乳輪の中心、やや大きく突出する乳首を貫く、金色のリングが見えた。
指輪ほどの大きさのそれは、左右の乳首を一つずつ貫き、男の指によって持ち上げられていた。
「風呂に入る前につけたのかな?」
「は、はい・・・」
リングピアスをもてあそびながらの男の声に、ユニコーンがうなづく。
確かに、買い物の際の彼女の胸には金属の輪は浮かんでいなかった。
「ユニコーンは清楚系の魔物だろ?それなのにこんな、場末の踊り子でも付けなさそうな装飾品をぶら下げてるなんて・・・」
「こ、これは・・・あなただけに見せるためのものだから・・・」
「僕だけ?当たり前だよ。君は僕のものなんだから」
片方の指をリングピアスからはなし、ユニコーンの細い顎をつかむと、男は彼女の顔を横に向けた。そして、彼女の肩越しに身を乗り出し、唇を重ねる。
「ん・・・」
ユニコーンは一瞬驚いたような声を上げるが、すぐに両目を閉じて男とのキスに身を任せた。
唇と唇が触れ合い、互いに吸い合い、舌先が絡む。
時折、男の指が小さくユニコーンの乳首を貫くリングピアスをもてあそび、その刺激に彼女が体を震わせる。
「ん・・・あ・・・」
不意に男が唇を離し、ユニコーンは名残惜しげに声を漏らした。
「続きは、お風呂をあがってから、ね」
「はい・・・」
男の言葉に、彼女は顔を赤らめながら頷いた。
それから、ユニコーンは期待に胸を膨らませ、いくらか慌ただしげに入浴をすませようとした。
だが、男は急ぐ彼女をなだめ、その反応を楽しむようにゆっくりと体を洗い清めた。
そして、一緒に浴槽に浸かり、そわそわとするユニコーンとともに十分に体を温めてから、二人は浴室を出た。
「ほら、ちゃんと体を拭いて」
「もう十分です!髪も乾きました!先に寝室で待ってます!」
ゴシゴシとからだをタオルで擦り、水分をぬぐい取ると、ユニコーンは妙な気迫を言葉に込めながら、脱衣所を飛び出していった。
それほど体が疼いているのだろう。
「こりゃ、大変だなあ」
男は少々じらしすぎたか、と内心苦笑すると、タオルをおいて彼女の後を追った。
だが、まっすぐに寝室に向かうのではなく、一度台所によって水を飲み、飲み物のボトルを携えてからだ。
彼女が待ちわびている様子を想像しながら、男は寝室の扉を開いた。
すると、ベッドのそばに踊り子がいた。
正確には、妻のユニコーンだが、全身に装身具をまとっており、踊り子のような雰囲気をまとっていたのだった。
ただ、よく見ればその装飾の一つ一つが、非常に退廃的な雰囲気を醸し出している。
両の乳首を貫くリングピアスの間を、長さの異なる三本の鎖がつないでいる。
首にはごく細い首輪が巻き付き、そこから鎖が二本、乳房の間とヘソを通り抜け、馬体の前両足の間に刻まれた陰唇に延びていた。
柔らかな亀裂の縁には、乳首と同じくピアスが付けてあり、鎖の一端が左右のリングにつながっていた。
「あ、あなたぁ・・・」
寝室の扉が開く音に、ユニコーンがとろんとした目で男を見た。
「一人で準備してたら、手が届かなくてぇ・・・」
妙に熱のこもった言葉とともに、彼女は長いチェーンの付いたベルトを掲げて見せた。
「付けてくださいぃ・・・」
「わかったよ」
男は手にしていたボトルを、ベッド脇のテーブルにおくと、彼女の手からベルトを受け取った。
ベルトをユニコーンの腰に巻き付けると、彼女の腰に比べて長いことがわかる。だが、男はゆるゆるのベルトをそのままに、二本の鎖を手に取ると、彼女の馬体の尻に回った。
さらさらとした、頭髪と同じ色の尾の下に、きゅっと窄まった肛門と縦一筋の亀裂が並んでいた。
亀裂からはすでに透明な液体があふれだしており、ユニコーンの興奮を物語っていた。
男は、彼女の女陰に顔を寄せると、柔らかな内側を外気から守る陰唇に鎖を近づけた。鎖の先端はフックのように湾曲しており、何かをひっかけるのが見て取れる。
男の指が陰唇の片側に触れた。
「ん・・・!」
敏感な箇所に触れた男の指に、ユニコーンが声を漏らす。男は、しばし陰唇を指で探ると、そこに穿たれた小さな穴を見つけだした。
鎖の先端の金具を寄せ、陰唇のピアス穴にひっかける。
そして、反対側の陰唇にも同様に金具をひっかけると、彼は立ち上がった。
「できたよ」
「あ、ありがとうございましゅ・・・」
ベルトから延びる鎖に触れ、軽く引いて感触を確かめながら、ユニコーンは陶然と微笑んだ。
「さ、よく見せてくれないか」
「はい・・・」
男の言葉に、彼女は四本の馬脚を操ってステップを踏み、ゆっくりと体を回した。
体の揺れによって装身具や鎖が揺れ、小さな金属音をたてる。
ユニコーンが自らの体に手を這わせれば、その柔らかさを強調するように乳房が変形し、引き締まった腹を指がなでていく。
乳房が小さく揺れ、鎖がそれに従い、室内の光を反射してきらきらと輝く。
しっとりと汗を浮かべた肌が、艶めかしい照りを帯びる。
そして、自らの行為によって高ぶっているのか、ユニコーンの表情も清楚な雰囲気をかき消すほど、淫らなものになっていた。
「ふふ・・・」
ユニコーンが男に尻を向け、腰に巻き付くベルトの鎖に手を伸ばし、両手で軽く引いた。
鎖の先端、陰唇にひっかけられたフックが彼女の手の力を伝え、陰唇を左右に開く。
興奮しながらも、辛うじて閉じていた女陰が開かれ、桃色の内側をさらしながら、亀裂の内にため込んでいた愛液を垂れ流した。
「も、もう我慢できません・・・来て、ください・・・」
女陰の内側をさらしながら小さく尻を揺すり、ユニコーンがそう男に訴えた。
家の外では優しく微笑み、清楚な気配を身に帯びたユニコーン。
その彼女が今、男の目の前で体の各所にピアスを着け、自ら女陰を開き、男を求めている。
「んー、ちゃんとおねだりしないと」
「わかり、ました・・・」
彼の言葉に小さく体をふるわせると、ユニコーンは興奮によって目を潤ませながら、おねだりの言葉を紡ぐ。
「旦那様の、おちんぽを・・・いやらしい雌馬の、オマンコに入れてください・・・!」
「よく言えました」
男が頷くと、ユニコーンの表情に歓喜の色が宿った。
彼は、彼女の尻に歩み寄ると、ピアスと鎖によって開かれている女陰に指を触れ、桃色の肉の内側を軽くかき回した。
「ここにほしい?」
「はい、旦那様の、太くて長いの、ください・・・!」
ユニコーンの求めに、彼は行動で応えた。指をそろえて、腕を彼女の女陰に突っ込むことによってだ。
軟らかな肉の亀裂は、男の腕を易々受け入れ、肘のあたりまでを飲み込んだ。
「んっ、ぃぃぃいいい・・・!」
腹の中に入ってくる男の腕に、ユニコーンは裏返った声を漏らした。
腰のベルトから延びる鎖を握りしめ、歯を食いしばり、両目が上方を向いている。
ともすれば失神寸前にも見える表情だったが、男は構うことなく、腕で彼女の膣をかき回した。
「どう?気持ちいい?」
「はいぃ・・・旦那様の腕ちんぽ、私の馬ンコぐちゅぐちゅかきまわして・・・気持ちいいです・・・!」
粘液と膣肉をかき回す音とともに、ユニコーンが卑語を交えながら答える。
「じゃあ、こことか・・・」
男は腕を挿入したまま、軽く指先を曲げると膣の内壁を軽く擦った。
ただ膣道を押し広げるだけだった腕が、一転を刺激する感触に、ユニコーンが体を小さく跳ねさせる。
一瞬、腰のベルトから延びる鎖が強く引かれ、陰唇を強めに広げてしまうが、ユニコーンにとってはその小さな痛みさえも快感を強めるスパイスにしか感じられなかった。
「んひっ・・・!」
「奥の方はどうかなあ・・・?」
曲げていた指を伸ばし、女陰の奥へともう少し腕を突っ込む。すると、男の指先が彼女の体奥でコリコリとしたものに触れた。
きゅっと窄まる弾力を備えた肉の輪。子宮口だ。
男は子宮口の中心に指を当て、軽くそこを押した。
「おぉぉっ、奥ぅ・・・!奥にぃ・・・!」
ユニコーンは体をふるわせながら声を上げ、軽く絶頂に達した。
膣道全体が男の腕を締めあげ、出るはずもない精液を搾り出さんとうねる。
むろん指先から何か出るはずもないが、男の肉棒は固く屹立していた。
「もっと強く?」
「もっと、もっとぉ・・・!」
さらなる刺激と快感を求めて、ユニコーンが喘ぐ。
しかし、これ以上腕を突っ込むことはできない。そこで男は趣向を変えることにした。
指を膣奥で広げると、彼はユニコーンの子宮口全体を軽くつかんだのだ。
「んお゛っ・・・!」
内蔵を掴まれる感触に、彼女が腹の奥から絞り出したような濁った声を漏らした。
「分かる?君の赤ちゃんの部屋・・・」
「おぉ、おほぉ・・・!」
子宮口を掴み、小さく揺らしながらの男の言葉に、彼女は鳴き声めいたうめき声で答えた。
「このまま、全部引きずり出して、裏返そうねえ」
「んぉ・・・おぉお・・・!」
男の言葉を理解したのか、ユニコーンは体を痙攣させた。
彼女の戦慄と期待を感じ取り、男は腕に力を込めた。
ゆっくり、少しずつ、子宮口を掴んだまま腕を引いていく。
内蔵が引っ張られる感触は、ユニコーンに未知の感覚をもたらした。
体の各所にピアス穴を開けたときのような、
男の肉棒が初めて女陰を貫いたときのような、
男と初めて唇を重ねたときのような、
未知の感覚に対する興奮が、彼女の中で膨らみ、破裂する。
「んぉぉおおおおおっ!」
内蔵を引き抜かれる感覚に、彼女は声を上げながら絶頂し、意識を失った。
けだるさの残るまどろみから、意識が浮かび上がる。
「ん、んん・・・」
ユニコーンはうめき声を漏らしながら目を開くと、床に横たわる自身の体に毛布がかけてあるのに気が付いた。
「あ、気が付いた?」
彼女とともに毛布に潜り込み、ユニコーンの体を抱いていた男が、彼女の覚醒を悟る。
「ごめん、ちょっと激しくし過ぎちゃったね」
「すみません、私こそ・・・あ・・・!」
男と言葉を交わすうち、ユニコーンは自身の失神の原因を思い出したのか、毛布をめくって馬体の尻を見ようとした。
「大丈夫、何ともないよ」
不安げな彼女を落ち着かせるように、男はそう言った。
「あのときはああ言ってたけど、軽く引っ張っただけだから、何ともないよ」
「そ、そうですか・・・」
ユニコーンは彼の言葉にほっと安堵した。だが同時に、彼女は自身が物足りなさを覚えているのに気が付いた。
「どうしたの?もしかして本当にあそこ引っ張り出されたかったの?」
「・・・・・・・・・・・・はい・・・」
男の問いに、彼女はしばし逡巡してから、小さく頷いた。
「どうしてそんな・・・そんなことしたら、赤ちゃんできなくなるかもしれないよ?」
「でも、そうすれば私、あなただけのものになれますから・・・」
未だ乳首を貫いたままのリングピアスに手を触れながら、彼女は続ける。
「このピアスも、教えてもらった言葉も、私があなたのものだって証です。ですけど、時々あなたに捨てられたらって、不安になるんです。だから、もっと証がほしくて・・・」
「・・・捨てたりしないよ」
毛布の下で、ユニコーンの体を抱き寄せながら、男は続ける。
「ずっとずっと、僕のものだ。もし、もっとしっかりした証がほしいんなら・・・子供を作ろう」
「・・・・・・はい・・・」
男の腕の中で、ユニコーンは頷いた。
荷物の詰まった袋を両手に下げる男と、四本の脚を地面についたケンタウロス種の魔物だった。
白い肌に、淡い色合いの金髪。そして額から延びる一本の角。魔物は、ユニコーンだった。
「だから、私が持ちますよ?」
「大丈夫だって。女の子に重いものは持たせるなんて、男として失格だろ?」
馬体に載せた荷物用の鞍を示しながらのユニコーンの言葉に、男が応える。
「それに、赤ちゃんできたら、あんまり重いものを載せられないだろ?」
「そ、そうですけど・・・」
赤ちゃん、という言葉が男の口から飛び出し、ユニコーンは口ごもった。
そしてかすかに恥ずかしそうに、通りを行き交う他の人や魔物の様子をうかがう。
「今の内から僕が練習しておかないと」
「で、でも・・・今は大丈夫ですから・・・」
「僕たちが気がついていないだけで、もういるかもしれないよ?」
「え・・・?」
男の一言に、ユニコーンが目を見開く。
「ほら、先月とか、結構激しかった」
「や、やめてください!外ですよ!?」
あらぬことを口走ろうとする男の口を押さえながら、ユニコーンが声を上げる。
「えー?でも、もし本当に赤ちゃんがお腹に」
「わかりました!わかりました!荷物は任せますから!」
ユニコーンの手をのけながら、なおも夫婦生活と妊娠について語ろうとする男に、彼女はついに折れた。
「うん、それでいい」
「もう・・・」
夫婦のやりとりを耳にしていた周囲の通行人がクスクスと笑い、ユニコーンは頬を赤らめて顔を伏せた。
やがて二人は商店街を抜けて住宅地に入った。
今夜はなにが食べたいだの、今度はどこに出かけようだのを繰り返しながら、一軒の家に入っていった。
「ただいま、と」
「おかえりなさい」
男が声を上げながら玄関をくぐると、後に続いたユニコーンがそう返した。
「さーて、買ったものは食料庫でいい?」
「あ、それなら私が片づけておきます。代わりに、お風呂の掃除をお願いします」
「分かった」
男はユニコーンとともに台所に向かい、調理台の上に提げていた袋をおいた。
「で、風呂はどうする?」
「今日はお買い物で汗かきましたし、もう入っちゃいましょうか」
「じゃあ、準備ができたら呼ぶから」
「分かりました」
ユニコーンがにっこりほほえんでうなづくのを見届けると、男は風呂場へ向かった。
数十分後、男は浴室の掃除を終え、風呂を沸かす準備をしていた。
浴室はユニコーンが入っても楽に身動きがとれるほど広く、掃除のしがいがあった。
男の働きによりピカピカになった浴槽には水が張られており、風呂窯で起こしている火によって徐々に湯に変わりつつあった。
「んー・・・こんなものかな」
浴槽の湯をかき混ぜ、軽く手を差し入れると、じんわりとした温もりが感じられた。
もうそろそろ入れそうだが、冷める分を見越してもうしばし火を焚いておこうか。
「準備できたよー」
ユニコーンが風呂の準備にかかる時間を考え、男は先に彼女を呼んだ。
「はーい」
「もうちょっと沸かしておくから、ゆっくりでいいよー」
「はーい」
ユニコーンはそうやりとりを交わすと、ごそごそと準備を始めたようだった。
男は浴室を出て風呂窯に向かい、火の様子を見る。
薪の火はだいぶ弱まっており、もう少し風呂を温めるには足りなさそうだ。だが、大きな薪をつっこむほどではない。
男は傍らに積まれた薪を眺め、適当な木片を探した。
すると、浴室の扉が音を立てて開くのが響いた。
「あら?あなた?」
「ああ、こっちこっち。もう少し沸かしてから入るから」
ユニコーンの戸惑いの声に、男はすぐに浴室に向けて声をかけた。
「それでは、お先に失礼しますね」
浴室の壁に刻まれた、湯気を逃がすための穴からユニコーンの陰が揺れるのが見えた。
遅れて、浴槽の湯を桶に取り、体に浴びせる音が響いた。
「んーコレにするか」
男は、薪の中から適当な大きさの一本を選ぶと、風呂窯の火の中にそっと入れた。
軽く火かき棒で位置を整え、薪が燃え上がるのを確認する。
この規模の炎なら、風呂の湯が程良く温まったところで消えるだろう。男はそう踏むと、風呂窯近辺に燃えるものがないことを確かめ、風呂窯の前を離れた。
そして、脱衣所に向かって衣服を脱ぐと、彼は浴室の扉の前に立った。
「入るよー」
ユニコーンを驚かさぬよう、一声かけてから扉を開く。
すると、ユニコーンが脚を畳んで浴槽の隣に馬体を下ろし、頭を洗っていた。
「あ、お風呂の準備ありがとうございました。いい湯加減ですよ、あなた」
淡い金色の髪を泡で包み、白い角を泡の間から覗かせながら、ユニコーンが男に顔を向ける。
ただし、その両目はしっかりと閉ざされていた。
「ん、ちょうどよかったな。頭をすすごう」
「ありがとうございます」
男は手桶を取ると、浴槽の湯を掬い、軽く温度を確かめてから彼女の頭にかけた。
泡が流れ落ち、金色の髪が現れる。
男は、泡が残らぬよう、手桶の湯を数度に分けて彼女の頭に浴びせていった。
「ん、もう大丈夫です」
濡れた髪にふれ、泡が流れたことを確かめると、ユニコーンは男に言った。
「はい、タオル」
「ふぁりがとうございます」
柔らかな乾いたタオルと彼女の頭に載せると、ユニコーンが頭髪の水分を拭いながら応じた。
「このまま体も洗おうか」
「そうですね、お願いします」
タオルの布地で頭を覆ったまま、彼女はうなづく。ユニコーンやケンタウロスのように、大型の下半身を持つ魔物は一人で全身をきれいにするのが困難だ。
全身がざぶんと浸かるような大型の浴槽と柄の付いたブラシなどがあれば、一人でも入浴できるのだが、一番用意なのは配偶者に洗ってもらうという方法である。
男は、彼女の体に湯をかけてやると、石鹸を手に取り両手で泡立てた。
そして、浴室の床に伏せる彼女の馬体の背中に、泡を塗り付けていく。
「このぐらいでいいか?」
「ん・・・はい・・・そのぐらいの力加減で・・・」
馬体の肌を擦り、汗や垢を落としながら、彼女の体をマッサージしてやる。
皮膚一枚隔てた奥の筋肉が、男の手のひらによって徐々に緊張を解いていくのが、彼の指に感じられた。
やがて、男の手は馬体の背中から彼女の腰に至り、背中へとあがっていく。
「あの、このあたりは一人でも・・・」
「まあいいじゃない」
少しだけ恥ずかしげにユニコーンが言うが、男は手を動かし続けた。
腰と背中に泡を塗りたくると、男はユニコーンの体に背後から抱きつくようにして、彼女の腹に手を回した。
ぴくん、と彼の腕の中でユニコーンが体を震わせる。男は彼女の体に宿ったごく僅かな力みを感じながらも、その引き締まった腹や、縦長の筋を描くヘソをなぞっていった。
やがて、男の手のひらが腹からあばらの縁に触れる。見てはわからないが、触れれば薄い脂肪の奥に感じられるあばら骨を、一本一本確かめながら、彼は手を上へと動かしていった。
すると乳房の下部が彼の指に触れ、男の手がその柔らかな二つの肉鞠をそっとつかんだ。
「ん・・・」
乳房に指を埋め、柔らかさを堪能するように軽く揉む。明らかに、石鹸の泡を塗るのとは異なる指の動きに、ユニコーンが吐息を漏らす。
しかし、彼女の吐息には艶めかしい色が宿っており、男の指の動きにも抵抗する様子はなかった。
拒絶されていない。ユニコーンが男の指を受け入れているという事実に、彼は乳房の根本をつかんでいた指を広げ、乳房全体をつかむ。
すると、不意に彼の指先、乳房の先端に固いものが触れた。
「ん?これは・・・何だ?」
「んっ・・・!」
左右の指先に触れる固いものを軽く摘みながらの問いかけに、ユニコーンは小さく声を漏らした。
「こ、これは・・・」
「さっきは、『自分で洗えます』とか言っていたけど・・・誘っているんじゃないか?こんなものをつけて」
ユニコーンの肩越しに、男は彼女の乳房をのぞき込んだ。
すると、彼女の桜色の乳輪の中心、やや大きく突出する乳首を貫く、金色のリングが見えた。
指輪ほどの大きさのそれは、左右の乳首を一つずつ貫き、男の指によって持ち上げられていた。
「風呂に入る前につけたのかな?」
「は、はい・・・」
リングピアスをもてあそびながらの男の声に、ユニコーンがうなづく。
確かに、買い物の際の彼女の胸には金属の輪は浮かんでいなかった。
「ユニコーンは清楚系の魔物だろ?それなのにこんな、場末の踊り子でも付けなさそうな装飾品をぶら下げてるなんて・・・」
「こ、これは・・・あなただけに見せるためのものだから・・・」
「僕だけ?当たり前だよ。君は僕のものなんだから」
片方の指をリングピアスからはなし、ユニコーンの細い顎をつかむと、男は彼女の顔を横に向けた。そして、彼女の肩越しに身を乗り出し、唇を重ねる。
「ん・・・」
ユニコーンは一瞬驚いたような声を上げるが、すぐに両目を閉じて男とのキスに身を任せた。
唇と唇が触れ合い、互いに吸い合い、舌先が絡む。
時折、男の指が小さくユニコーンの乳首を貫くリングピアスをもてあそび、その刺激に彼女が体を震わせる。
「ん・・・あ・・・」
不意に男が唇を離し、ユニコーンは名残惜しげに声を漏らした。
「続きは、お風呂をあがってから、ね」
「はい・・・」
男の言葉に、彼女は顔を赤らめながら頷いた。
それから、ユニコーンは期待に胸を膨らませ、いくらか慌ただしげに入浴をすませようとした。
だが、男は急ぐ彼女をなだめ、その反応を楽しむようにゆっくりと体を洗い清めた。
そして、一緒に浴槽に浸かり、そわそわとするユニコーンとともに十分に体を温めてから、二人は浴室を出た。
「ほら、ちゃんと体を拭いて」
「もう十分です!髪も乾きました!先に寝室で待ってます!」
ゴシゴシとからだをタオルで擦り、水分をぬぐい取ると、ユニコーンは妙な気迫を言葉に込めながら、脱衣所を飛び出していった。
それほど体が疼いているのだろう。
「こりゃ、大変だなあ」
男は少々じらしすぎたか、と内心苦笑すると、タオルをおいて彼女の後を追った。
だが、まっすぐに寝室に向かうのではなく、一度台所によって水を飲み、飲み物のボトルを携えてからだ。
彼女が待ちわびている様子を想像しながら、男は寝室の扉を開いた。
すると、ベッドのそばに踊り子がいた。
正確には、妻のユニコーンだが、全身に装身具をまとっており、踊り子のような雰囲気をまとっていたのだった。
ただ、よく見ればその装飾の一つ一つが、非常に退廃的な雰囲気を醸し出している。
両の乳首を貫くリングピアスの間を、長さの異なる三本の鎖がつないでいる。
首にはごく細い首輪が巻き付き、そこから鎖が二本、乳房の間とヘソを通り抜け、馬体の前両足の間に刻まれた陰唇に延びていた。
柔らかな亀裂の縁には、乳首と同じくピアスが付けてあり、鎖の一端が左右のリングにつながっていた。
「あ、あなたぁ・・・」
寝室の扉が開く音に、ユニコーンがとろんとした目で男を見た。
「一人で準備してたら、手が届かなくてぇ・・・」
妙に熱のこもった言葉とともに、彼女は長いチェーンの付いたベルトを掲げて見せた。
「付けてくださいぃ・・・」
「わかったよ」
男は手にしていたボトルを、ベッド脇のテーブルにおくと、彼女の手からベルトを受け取った。
ベルトをユニコーンの腰に巻き付けると、彼女の腰に比べて長いことがわかる。だが、男はゆるゆるのベルトをそのままに、二本の鎖を手に取ると、彼女の馬体の尻に回った。
さらさらとした、頭髪と同じ色の尾の下に、きゅっと窄まった肛門と縦一筋の亀裂が並んでいた。
亀裂からはすでに透明な液体があふれだしており、ユニコーンの興奮を物語っていた。
男は、彼女の女陰に顔を寄せると、柔らかな内側を外気から守る陰唇に鎖を近づけた。鎖の先端はフックのように湾曲しており、何かをひっかけるのが見て取れる。
男の指が陰唇の片側に触れた。
「ん・・・!」
敏感な箇所に触れた男の指に、ユニコーンが声を漏らす。男は、しばし陰唇を指で探ると、そこに穿たれた小さな穴を見つけだした。
鎖の先端の金具を寄せ、陰唇のピアス穴にひっかける。
そして、反対側の陰唇にも同様に金具をひっかけると、彼は立ち上がった。
「できたよ」
「あ、ありがとうございましゅ・・・」
ベルトから延びる鎖に触れ、軽く引いて感触を確かめながら、ユニコーンは陶然と微笑んだ。
「さ、よく見せてくれないか」
「はい・・・」
男の言葉に、彼女は四本の馬脚を操ってステップを踏み、ゆっくりと体を回した。
体の揺れによって装身具や鎖が揺れ、小さな金属音をたてる。
ユニコーンが自らの体に手を這わせれば、その柔らかさを強調するように乳房が変形し、引き締まった腹を指がなでていく。
乳房が小さく揺れ、鎖がそれに従い、室内の光を反射してきらきらと輝く。
しっとりと汗を浮かべた肌が、艶めかしい照りを帯びる。
そして、自らの行為によって高ぶっているのか、ユニコーンの表情も清楚な雰囲気をかき消すほど、淫らなものになっていた。
「ふふ・・・」
ユニコーンが男に尻を向け、腰に巻き付くベルトの鎖に手を伸ばし、両手で軽く引いた。
鎖の先端、陰唇にひっかけられたフックが彼女の手の力を伝え、陰唇を左右に開く。
興奮しながらも、辛うじて閉じていた女陰が開かれ、桃色の内側をさらしながら、亀裂の内にため込んでいた愛液を垂れ流した。
「も、もう我慢できません・・・来て、ください・・・」
女陰の内側をさらしながら小さく尻を揺すり、ユニコーンがそう男に訴えた。
家の外では優しく微笑み、清楚な気配を身に帯びたユニコーン。
その彼女が今、男の目の前で体の各所にピアスを着け、自ら女陰を開き、男を求めている。
「んー、ちゃんとおねだりしないと」
「わかり、ました・・・」
彼の言葉に小さく体をふるわせると、ユニコーンは興奮によって目を潤ませながら、おねだりの言葉を紡ぐ。
「旦那様の、おちんぽを・・・いやらしい雌馬の、オマンコに入れてください・・・!」
「よく言えました」
男が頷くと、ユニコーンの表情に歓喜の色が宿った。
彼は、彼女の尻に歩み寄ると、ピアスと鎖によって開かれている女陰に指を触れ、桃色の肉の内側を軽くかき回した。
「ここにほしい?」
「はい、旦那様の、太くて長いの、ください・・・!」
ユニコーンの求めに、彼は行動で応えた。指をそろえて、腕を彼女の女陰に突っ込むことによってだ。
軟らかな肉の亀裂は、男の腕を易々受け入れ、肘のあたりまでを飲み込んだ。
「んっ、ぃぃぃいいい・・・!」
腹の中に入ってくる男の腕に、ユニコーンは裏返った声を漏らした。
腰のベルトから延びる鎖を握りしめ、歯を食いしばり、両目が上方を向いている。
ともすれば失神寸前にも見える表情だったが、男は構うことなく、腕で彼女の膣をかき回した。
「どう?気持ちいい?」
「はいぃ・・・旦那様の腕ちんぽ、私の馬ンコぐちゅぐちゅかきまわして・・・気持ちいいです・・・!」
粘液と膣肉をかき回す音とともに、ユニコーンが卑語を交えながら答える。
「じゃあ、こことか・・・」
男は腕を挿入したまま、軽く指先を曲げると膣の内壁を軽く擦った。
ただ膣道を押し広げるだけだった腕が、一転を刺激する感触に、ユニコーンが体を小さく跳ねさせる。
一瞬、腰のベルトから延びる鎖が強く引かれ、陰唇を強めに広げてしまうが、ユニコーンにとってはその小さな痛みさえも快感を強めるスパイスにしか感じられなかった。
「んひっ・・・!」
「奥の方はどうかなあ・・・?」
曲げていた指を伸ばし、女陰の奥へともう少し腕を突っ込む。すると、男の指先が彼女の体奥でコリコリとしたものに触れた。
きゅっと窄まる弾力を備えた肉の輪。子宮口だ。
男は子宮口の中心に指を当て、軽くそこを押した。
「おぉぉっ、奥ぅ・・・!奥にぃ・・・!」
ユニコーンは体をふるわせながら声を上げ、軽く絶頂に達した。
膣道全体が男の腕を締めあげ、出るはずもない精液を搾り出さんとうねる。
むろん指先から何か出るはずもないが、男の肉棒は固く屹立していた。
「もっと強く?」
「もっと、もっとぉ・・・!」
さらなる刺激と快感を求めて、ユニコーンが喘ぐ。
しかし、これ以上腕を突っ込むことはできない。そこで男は趣向を変えることにした。
指を膣奥で広げると、彼はユニコーンの子宮口全体を軽くつかんだのだ。
「んお゛っ・・・!」
内蔵を掴まれる感触に、彼女が腹の奥から絞り出したような濁った声を漏らした。
「分かる?君の赤ちゃんの部屋・・・」
「おぉ、おほぉ・・・!」
子宮口を掴み、小さく揺らしながらの男の言葉に、彼女は鳴き声めいたうめき声で答えた。
「このまま、全部引きずり出して、裏返そうねえ」
「んぉ・・・おぉお・・・!」
男の言葉を理解したのか、ユニコーンは体を痙攣させた。
彼女の戦慄と期待を感じ取り、男は腕に力を込めた。
ゆっくり、少しずつ、子宮口を掴んだまま腕を引いていく。
内蔵が引っ張られる感触は、ユニコーンに未知の感覚をもたらした。
体の各所にピアス穴を開けたときのような、
男の肉棒が初めて女陰を貫いたときのような、
男と初めて唇を重ねたときのような、
未知の感覚に対する興奮が、彼女の中で膨らみ、破裂する。
「んぉぉおおおおおっ!」
内蔵を引き抜かれる感覚に、彼女は声を上げながら絶頂し、意識を失った。
けだるさの残るまどろみから、意識が浮かび上がる。
「ん、んん・・・」
ユニコーンはうめき声を漏らしながら目を開くと、床に横たわる自身の体に毛布がかけてあるのに気が付いた。
「あ、気が付いた?」
彼女とともに毛布に潜り込み、ユニコーンの体を抱いていた男が、彼女の覚醒を悟る。
「ごめん、ちょっと激しくし過ぎちゃったね」
「すみません、私こそ・・・あ・・・!」
男と言葉を交わすうち、ユニコーンは自身の失神の原因を思い出したのか、毛布をめくって馬体の尻を見ようとした。
「大丈夫、何ともないよ」
不安げな彼女を落ち着かせるように、男はそう言った。
「あのときはああ言ってたけど、軽く引っ張っただけだから、何ともないよ」
「そ、そうですか・・・」
ユニコーンは彼の言葉にほっと安堵した。だが同時に、彼女は自身が物足りなさを覚えているのに気が付いた。
「どうしたの?もしかして本当にあそこ引っ張り出されたかったの?」
「・・・・・・・・・・・・はい・・・」
男の問いに、彼女はしばし逡巡してから、小さく頷いた。
「どうしてそんな・・・そんなことしたら、赤ちゃんできなくなるかもしれないよ?」
「でも、そうすれば私、あなただけのものになれますから・・・」
未だ乳首を貫いたままのリングピアスに手を触れながら、彼女は続ける。
「このピアスも、教えてもらった言葉も、私があなたのものだって証です。ですけど、時々あなたに捨てられたらって、不安になるんです。だから、もっと証がほしくて・・・」
「・・・捨てたりしないよ」
毛布の下で、ユニコーンの体を抱き寄せながら、男は続ける。
「ずっとずっと、僕のものだ。もし、もっとしっかりした証がほしいんなら・・・子供を作ろう」
「・・・・・・はい・・・」
男の腕の中で、ユニコーンは頷いた。
12/11/15 21:35更新 / 十二屋月蝕
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