連載小説
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(76)ダークプリースト
人里離れた森の奥、ツタに覆われた寺院があった。
一見すると打ち捨てられた廃墟のようであったが、所々補修されており、窓からはちらちらと明かりが漏れていた。
中に目を向ければ、朽ちたベンチの並ぶ礼拝所と、明かりの点る部屋があり、部屋の中に二つの気配があった。
部屋の中には、ベッドとテーブル、小さな調理台など生活に必要な最低限の器具が取りそろえてあった。おかげでかなり手狭に感じられるが、ベッドの上の二人には関係ないようだ。
男と女。一糸まとわぬ姿の二人が、枕元の棚に置かれた歪な像に向けて指を組み、目蓋をおろして祈りを捧げていた。
「我らが神よ、今日も一日我らを見守り、慈しみ、糧を与え、無事夜を迎えられたことを感謝します」
淡く桃色がかった銀髪の、コウモリのような翼と尻尾を備えた女が、像にむけて感謝の言葉を口にする。
「神のご加護にはほど届きませんが、どうか我らの供物と祈りをお受け取りください」
女の傍らに座る短髪の男が、彼女の言葉にそう続けた。
そして、二人はほぼ同時に指をほどき、目蓋をあげると、互いに顔を横に向けて視線を合わせた。
どちらからともなく二人は動き、唇を重ね、相手の身体に腕を回す。
「ん・・・」
「ちゅ・・・」
唇の間から、粘膜同士が触れ合う音と吐息が漏れ、互いの手のひらが相手の肌をなでる。
男の二の腕を女の手のひらが滑り、女の背中を男の指が這う。
互いの形を確かめつつ、二人は唇を重ね、温もりを分かち合っていた。
「ぷは・・・」
しばし唇を重ねていると、二人はふと顔をはなした。
「うん・・・気持ちいいわよね」
「どうした?」
自らに言い聞かせ、確認するような女の言葉に、男が尋ねる。
「いえ・・・昼間に辻説法したじゃない?」
「ああ、大変だったな」
女の背中に片腕を回し、もう一方の手で彼女の首筋や鎖骨のあたりを撫でながら、男が頷く。
「子供相手に話をしているだけなのに、大人たちがやってきて石投げて来やがって。これだから主神教徒は野蛮だから困る」
「本当、あなたが助けに来てくれなかったら、危なかったわ。ありがとう」
昼間の一件への礼を口にしながら、女は男の腹筋をたどり、下腹部に垂れ下がる肉棒に触れた。
「『子供相手になんてこと吹き込んでやがる』って言われたけど・・・子供だからって隠すのは間違っているわよね?」
キスのせいか、少しだけ膨らんでいる柔らかい肉棒を指で包み、その柔らかさを味わうように揉みながら、彼女は男の目を見た。
「村の子供たちも、大人たちも、両親がそういうことして生まれてきたって言うのに」
「出産の瞬間は美談にしたがるくせに、仕込みをないがしろにするなんてなあ」
女の指の動きに、男根を膨らませながら彼は続けた。
「生まれたら死ぬ。食ったら腹が減る。仕込んだら生まれる。みんなコインの表と裏のように表裏一体なのに」
「きっと、気持ちのいいことに耽溺するのはよくないって、カタい頭の持ち主なのよ・・・ここみたいに」
彼女は男の腕の中から身体を抜くと、上半身を倒して彼の肉棒に顔を寄せた。
そして、垂れ下がる前髪を軽く片手で押さえながら、彼は八割方勃起した男根を咥えた。
「んむ・・・」
慎ましやかな薄い唇が大きく開き、彼の分身を頬張る。
大きく顎を開きつつも、唇をすぼめ、口内の肉棒に舌を絡める。
塗れた彼女の口腔と舌、そして下腹をくすぐる彼女の鼻息に、男の肉棒は屹立していく。
やがて口内で肉棒が脈打ち始めるのを感じると、彼女は唇を離した。
「ん、今日も元気・・・」
「なあ、今日は胸でしてくれないか?」
「いいわよ・・・そのかわり、がんばってね」
女は顔を離し、倒した上半身を少しずらすと、その豊かな乳房で肉棒を挟んだ。
むにゅり、と柔らかな二つの肉が、唾液に塗れて小さく揺れる屹立を圧迫する。
「ん・・・熱い・・・」
乳房の皮膚に触れる肉棒の熱に、彼女は小さく漏らす。
屹立の張りと熱、そして脈動の感触に彼女の胸は小さく高鳴った。
「お前もすこしドキドキしてるじゃないか」
乳房越しに感じる心臓の鼓動に、男は淡い桃色の銀髪を撫でながら言った。
「それは、コレがもう少し後には私の中に入ってくるんだから・・・んぇ・・・」
言葉を絶つと、彼女は口を開き、唾液を胸の谷間に垂らす。
興奮のためか、糸を引くほど粘ついた涎が乳房と肉棒を濡らしていく。
そして、たっぷりと唾液を注ぐと、彼女は両手で乳房を左右から寄せつつ、右手と左手を動かした。
左右から力を込め、上下にずらし、少しゆるめる。
圧迫と摩擦、そして弛緩。肉棒と乳房が擦れあい、塗れた音が室内に響く。
「どう?」
「ああ、今日も柔らかくて温かくて・・・気持ちいい・・・」
二つの軟らかな肉に挟み込まれ、根本から翻弄されるように揺れ動く肉棒からの快感を、男は素直に口にした。
「ふふ・・・」
「ん?何かおもしろいことでも言ったか?」
不意に笑みをこぼした女に、男は自らの発言を思い返した。
「いえ・・・パイズリしてたら、前にサバトの集会場近くで辻説法したときのことを思い出して・・・」
「ああ、そんなこともあったなあ」
肉棒を愛撫されながら、男はそのときのことを思い返した。
「集まってきた魔女をただの女の子たちだと思って、『我らが神を信奉すれば、胸が大きくなって、将来旦那にご奉仕できますよー』って・・・」
「あのときの魔女たちの目・・・覚えてるか?」
「殺されるかと思ったわ」
今となってはいい思いでの、ヒヤリとした経験に、二人は同時に声を上げて笑った。
「ははは・・・ん、そろそろだ・・・」
ひとしきり笑ったところで、男は小さく身じろぎし、腰の奥の感覚に射精の予兆を感じた。
「本当に出そうになったら言ってね、飲むから」
女は乳房の間に顔を寄せると、谷間から顔を出す亀頭に舌をのばし、触れた。
慣れ親しんだ自分の唾液と、鈴口から滲む先走りの塩辛さが、彼女の舌に触れる。
「ん・・・」
彼女は舌先で亀頭を撫で、時折先走りを溢れさせる小さな亀裂を突いた。
液体しか通らないはずの尿道の出口を、優しく押し広げられる刺激は、ごくごく僅かな傷みをかき消すほどの快感を、男に伝えた。
「ぅ・・・もう・・・!」
「ん・・・」
男のうめき声に、女は顔を下ろして唇を開き、亀頭を咥えた。
乳房の圧迫感と唇の柔らかさ、そして口中で蠢く舌の感触が、男の興奮を押し上げた。
男が小さく全身に力を込め、体を震わせながら達する。
腰の奥から溢れる白濁が、彼女の口内に迸っていく。
「ん・・・んむ、ん・・・」
唇をすぼめ、注がれる白濁を漏らすまいと、少しずつ喉の奥へ精液を運び、飲んでいく。
熱を帯びたどろどろの粘液が喉を滑り、女の胃袋へと落ちていった、
腹の中で、徐々に自身の体温に紛れていく、男の熱を帯びていた粘液。
その感触は、彼女にとっても心地よいものだった。
「んむ・・・ちゅ・・・」
射精の勢いが弱まり、完全に止まったところで、女は唇を鈴口に当て、尿道を吸った。肉棒の内側に残っていた射精の残滓が啜り上げらていく。
「ぷは・・・どうだった・・・?」
「ああ・・・今日もよかった・・・」
顔を上げた女の問いかけに、男は頷く。
「じゃあ、そろそろこっちに欲しいんだけど・・・大丈夫?」
「ああ、まだまだな」
男がにっと笑みを浮かべると、女は乳房の間から屹立を解放し、身を起こした。
「今日は私が上にでいい?」
「いいけど、お前にしてもらってばっかりだな」
「いいのよ、何となく動きたいの。ほら、横になって」
女の言うまま、男はベッドの上に仰向けになった。
すると女は、彼の腰を跨ぎ、屹立の真上に自身の両足の付け根がくる陽一を整える。
彼女の下腹、頭髪と同じ色の淡い桃色を帯びた銀色の茂みの下では、白い肌に刻まれた亀裂が薄く開き、鮮やかな桃色の内側を晒していた。
亀裂からは透き通った粘液が溢れており、太腿から膝へ一筋の流れを描いていた。
「ふふ・・・おっぱいで挟んで、精液飲んだだけなのに・・・」
女は自信の秘所に指をふれると、亀裂の内側に指先を沈め、軽くかき回した。
粘液と粘膜がくちゅりと音を立てる。
「ねえ、ちょうだい・・・」
女はそう、熱の帯びた言葉を紡ぐと、ゆっくり腰を下ろしていった。
男は自信の肉棒を握り、屹立の先端を迫る亀裂に当てた。
亀頭と女陰がふれあい、白いものが混じった先走りと愛液が混ざる。
一瞬の接触の後、赤黒い亀頭が桃色の亀裂を押し開き、沈んでいった。
「ん・・・」
胎内に潜り込んでくる熱と異物感。肌ではなく、粘膜と内蔵で感じる男の分身に、女は声を漏らした。
一方男も、柔らかく肉棒を包み込んでいく膣の感触に、早くも顔を歪めていた。
乳房の圧迫感だけでは感じられなかった、折り重なる襞が肉棒に絡む感触。
一度射精したにも関わらず、男の屹立は彼女の中で膨張し、早くも小さく脈動していた。
「うご・・・く、わ・・・」
女はどうにかそう言葉を絞り出すと、ゆっくりゆっくり体を動かし始めた。
腰を上下に動かし、屹立を女陰に抜き挿しする。
前後、左右に揺すり、粘液と膣肉の詰まった肉壷を、屹立でかき回す。
襞と愛液が肉棒の凹凸に絡みつき、腰の動きが膣を引き締める。
屹立を撫で、擦り、絡みつき、締める女の胎内に、男は自身の鼓動が速まっていくのを感じた。
屹立が彼女の胎内で小さく跳ね、男の限界が、射精が近いことを知らせる。
すると彼女は、腰を沈めてリズミカルに揺すり始めた。
酒場の踊り子も顔負けの腰使いに、屹立が揺れ、女の乳房が踊る。
だが、男には彼女の乳房がその柔らかさを主張するように揺れる様を楽しむ余裕はなく、徐々に腹の中で膨れ上がっていく射精への衝動を抑えるのに必死だった。
だが、我慢の甲斐もほとんどなく、男はついに達した。
「ぐ、ぅ・・・!」
うめき声を漏らしながら、男は揺れる女の腰をつかみ、彼女を突き上げるようにして射精した。
腹の奥で弾ける熱と、膣奥を叩く粘液の感触。男の絶頂にあわせ、彼女もまた法悦へと突き上げられた。
「・・・っはぁ・・・!」
女は背筋を逸らして口を開き、舌と吐息を溢れさせながら、絶頂感に身をゆだねた。
胎内を刺激と快感がかけ巡り、痙攣のほかいっさいの動きができなくなる。
あれほど揺れていた腰も、跳ね踊っていた乳房も、もはや頭の中を塗りつぶす絶頂の白がもたらす痙攣に、ただ震えるばかりだった。
精液の噴出と、白濁を啜り上げる膣肉の蠢き。その二つが、互いに快感を与えあい、絶頂を引き延ばしていく。
しかし、いつまでもそのサイクルが続くわけもなく、男の射精が止まった。
跨る女を持ち上げるほど力の籠もっていた腰が脱力し、男の全身が弛緩する。
遅れて彼女も数度体を震わせてから、全身の力を抜いて、男の体に覆い被さった。
「はぁ、はぁ・・・」
「はぁ・・・はぁ・・・」
全身を満たす披露感と、快感の残滓。心地よいけだるさに身を任せ、二人は呼吸を重ねていた。
やがて息が整い、女の胎内に納められたままの肉棒が、じわりと堅さを取り戻す。
「ん・・・」
「ちゅ・・・」
言葉もなく、自然と二人は唇を重ね、小さく体を動かした。



それから、数度にわたって二人は交わり続けた。
上になり、下になり、後ろから、前から。あるいは一度性器を離して、口と舌で相手のそれを愛し、再び体を重ねる。
体力と興奮の続くまま、二人は延々交わり続けた。
そして今、女は男の二の腕に頭を乗せ、横になって天井を見上げていた。
二人とも呼吸は荒く、披露が滲んでいる。
無理もない。二人の下腹に目を向ければ、二人のこなした回数がわかるほどだったからだ。
女の亀裂からは、白濁がとろとろと溢れだしている。
男の屹立は、愛液と自身の白濁にまみれており、その下の睾丸から内腿に至るまでが塗れていた。
ベッドのシーツも、汗と精液と愛液といった体液に塗れ、室内には男と女の臭いが満ちていた。
「はぁ・・・はぁ・・・ん・・・」
二人は荒い呼吸を重ねながらも、一度唇を重ね、疲労を訴える全身に鞭を打って身を起こした。
ゆっくりゆっくり、震える手足をなだめながら体を起こし、シーツに膝を突いて座る。
そして、二人は指を組むと、ベッドの枕元に向かった。
「我らが神よ・・・我らの快感と交合の痴態をお受け取りになられたでしょうか・・・」
「今宵もこうして、愛を交わせたことを感謝します」
枕元の棚におかれた、歪な神像にむけて、二人は祈りを捧げた。
「そして願わくば、明日も愛を交わせるよう、お守りください」
「明日も元気で過ごせますように」
「明日も心地よい夜が迎えられますように」
「元気な赤ちゃんが宿りますように」
「どうか、ご加護と祝福を」
言葉を切り、二人は祈りを捧げた。
12/11/14 21:32更新 / 十二屋月蝕
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■作者メッセージ
食事したりとか日常行為の延長線上でセックスとかいいですよね。
昼間の話をしながらおっぱいさわったり、明日なにしようか相談しながらちんちんしごいたり。
少なくとも私大好き。
あと、ダークプリーストさんは布教活動中に追いかけられたりとか、そういうドタバタコメディ風も似合うと思います。

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