(48)ローパー
森の奥深く、苔むし、ツタに覆われた古塔の地下に、一組の男女の姿があった。
「あらあら、もう終わり?」
黒いローブに袖を通し、三角帽子をかぶった二十半ばほどの女が、石畳の床に膝を突く、鎧姿の少年にそう尋ねる。
「まだ、まだ・・・!」
少年は顔を上げ、幼ささえ感じさせる整った顔に闘志を宿しながら、そう呻いた。
しかし、立ち上がるその両足は小さく震え、両腕は剣を掲げることさえできそうにない。
たっぷりと、女が歩み寄って軽く鎧に覆われた胸を小突くほどの時間をかけて、少年はどうにか立ち上がった。
「あらぁ、がんばるのねえ」
剣を持ち上げきれず、下段に構える少年に、女は心底感心したように賞賛の言葉を口にした。
「そんなにがんばっちゃうボクには、お姉さんがご褒美上げちゃう!」
そう言いながら、女はすたすたと無造作に少年に歩み寄った。
「この・・・!」
声を紡ぎ、どうにか少年は切っ先を持ち上げた。すると、未だ鋭さを保っていた剣の先端が、女のローブに触れ、その奥に食い込んだ。
剣の柄を伝わって、柔らかな手応えが少年の手に伝わる。しかし、女は足を止めることなく、ズブズブと刀身を腹に食い込ませながら少年に歩み寄った。
「な、え・・・!?」
ようやく女に打ち込めた刃だったはずなのに、女になんのダメージもない。手応えと女の様子の矛盾に、少年は混乱し、剣の柄から手を離してしまった。
しかし、少年が退くより先に女は前に進み、ついに少年を抱き抱えてしまった。
「つかまえたぁ」
少年の鎧に剣の柄が当たり、女の腕の力で剣が彼女のどうに根本まで食い込む。それどころか、張り出している鍔さえもが彼女のローブに飲み込まれていく。
「ふふふ、ここまで来て、あんなにがんばるなんて偉いわぁ。きっと一杯今までがんばってきたのね。いい子いい子」
少年より頭二つ分背の高い女のため、抱き寄せられることで彼女のローブの胸元に、少年の頭が埋まった。
布地越しの予想外の柔らかさに、少年はようやく今まで刃を向けていたのが女だということに思い至った。
「わ、わ・・・!」
物心ついてから初めての異性からの抱擁に、少年は手足をばたつかせて逃れようとした。
「大丈夫よぉ。ここには私たち以外誰もいないんだし、少しぐらい甘えてもいいのよ?」
女の言葉に、少年はぴくりと手足の動きを止めた。
考えてみれば、親元を引き離されてからこの歳まで訓練続きで、誰かに甘えた記憶などほろんどない。夢うつつの中、毛布の端を無意識のうちに吸って、寂しさを紛らわせるほどだった。
だが、この女は甘えていい、と言ってくれた。そう、誰も見ていないのだ。だったら・・・
「・・・!」
少年は、顔に押しつけられていた柔らかさに飲み込まれそうになっていたが、とっさに正気を取り戻すと、籠手に覆われた両手で、女を突き飛ばした。
「きゃ!」
予想外に強かった少年の力に、女は腕をほどき、よろめきながら数歩退く。
「だ、誰がお前の誘惑に乗るものか!」
少年は腰から予備の短剣を抜きながら、女に向けて声を上げた。
「僕には少年騎士団の誇りがある!魔物なんかに負けないぞ!」
「あらあらあら・・・」
心を奮い立たせながらの少年の宣言に、彼女は少しだけ困ったようにそう呟いた。
だが、その顔に浮かべていた泣きわめく迷子に困っているかのような表情を消すと、彼女は何かいいことを思いついた、とでも言いたげにニヤリと笑った。
「あなたがそういうつもりなら、こうして上げる」
彼女は両手をローブの腹に触れさせると、へそのあたりに指先を埋めた。丁度、先ほど少年の剣が深々と突き刺さり、柄まで飲み込まれていったあたりだ。
すると彼女は、ローブに食い込ませた指先をそのままに、両腕を左右に開いた。黒いローブの生地が縦に裂け、少年のめに赤いものが晒される。
「うわ・・・!」
「ほら、どうかしら?」
一瞬、女の内蔵がさらけ出されたのか、と少年が声を漏らすが、彼女は痛くも痒くもない様子で少年に問いかけた。
よくよく見れば、彼女の胸の下から両足の付け根までに生じた亀裂の内側には、赤い肉が詰まっているものの、明らかに内蔵ではなかった。むしろ、ひしめき合い、狭い空間に押し込められたその様子は、少年が未だ見たことのない女陰に似ていた。
「うふふ」
胸の奥を騒がせる赤い亀裂に、少年が本能的に目を釘付けにしていると、女が低く微笑んだ。すると彼女の亀裂の奥から、ひしめき合う肉をかき分けながら幾本もの紐状の肉が顔を出した。
粘液に塗れ、ほのかに湯気を立ち上らせる触手は、少年めがけて一直線に伸びた。
「しま・・・!」
亀裂に意識を囚われていたため、反応が遅れた彼の体に触手が巻き付く。人差し指ほどの触手は、どこにそんな力を秘めていたのか、少年の四肢を封じた。
そして、少年の腕がひねり上げられ、痛みによって握っていた短剣が指からこぼれ落ちる。
「うぅ・・・」
「痛かったかしら?ごめんなさいねえ」
ひねり上げていた腕を戻し、少年を大の時の姿勢で中吊りにしながら、女が軽く手を合わせる。
「でも、あなたが妙なプライドに囚われているから、痛い目を見るのよ」
腹の亀裂から伸びた新たな触手が、彼女の後ろに円筒形の固まりを作り出す。すると彼女は、振り返りもせず背後の椅子に腰を下ろした。
「だから、私があなたを解放して上げる」
その言葉と同時に、少年に絡みつく触手が蠢いた。触手の表面から糸ほどの太さの触手が生じ、鎧の隙間に入り込み、鎧の掛け金や固定具を裏から外す。すると、少年の体を覆っていた鎧が外れ、石畳の上に落ちて音を立てた。そして鎧の下にまとっていた下着がはぎ取られると、女の目に、同年代の者よりがっちりとした、傷跡がいくつも刻まれた少年の体が晒される。
「ふふ、きれいな体・・・」
女は触手を伸ばし、先端で少年の傷跡をなでた。少年の体が小さく震えるが、その目には未だ敵意が宿っていた。
「あら?何か気に障ること言ったかしら?」
少年の視線に、彼女は驚いたような調子で続けた。
「でも、この傷もこの体も、あなたが頑張ってきた証じゃない。それをほめているのよ」
「うぅ・・・」
少年は肌を這い回る、くすぐったい触手の感触を堪えながら、必死に女の言葉から意識を逸らそうとした。彼女の賞賛の言葉は、ともすれば甘えたくなる魔力を含んでいたからだ。
「頑張って体を鍛えて、頑張ってここまでやってきて、えらいえらい。だから、私がご褒美上げちゃうわ」
女は、その一言とともに触手の動きを変えた。少年の傷跡を確かめるような動きから、肌を舐め回し、粘液を擦り付けるような動きへだ。
「うあ、あぁぁ・・・!」
四肢や胴に一度に生じた甘い刺激に、少年は声を漏らしてしまった。
「我慢しなくていいのよ・・・まあ、もう我慢できなくなるなるだろうけど・・・」
触手の表面に、細かな繊毛を生やし、少年の肌をくすぐりながら女はそう告げた。
彼女の言葉通り、少年の口から溢れ出す声は止められず、四肢の痙攣も大きくなってきた。
「ふふ、女の子みたいな声漏らして・・・少年騎士様」
女が紡いだ言葉に、少年はびくんと体を震わせた。快楽の海に沈みつつある自分に気がついたからだ。
「うぐ・・・」
「あら?我慢してるの?そうねえ、少年騎士団の一員が、魔物にいいようにされて気持ちよくなっていいわけがないものねえ」
粘液に塗れた触手をのたうち回らせながら、女は少年のプライドを呼び起こすような言葉を紡いだ。
「だから、ここをさわられても、平気なのよねえ」
女は、意図的に粘液も触手も触れぬよう避けていた、少年の屹立についに触手を這わせた。
未熟ながらも勃起する肉棒は、絡みつく触手のぬめりに、思わず腰を震わせた。しかしそれでも、彼は歯を食いしばって声を漏らすのを堪えた。
「ふふふ、頑張ってるわね・・・でも、あんまり頑張っても苦しいだけよ?」
少年の顔に、やや太めの触手が一本這い上り、一文字に結ばれた唇をつつき始める。少年は顔をしかめ、触手から顔を背けようとした。しかし、肉棒に絡みつく触手が蠢くと同時に、少年の脇や内腿に巻き付く触手が波打った。
瞬間的に彼の体を流れた甘い快楽の電流に、彼の顎から一瞬力が抜ける。
その隙をついて、彼の唇をつついていた触手は、彼の口内に押し入った。
「んぐ!?」
のどの奥から声を漏らし、とっさに触手を吐き出そうとする。しかし、触手はその先端から、ほぼ水のような液体を彼の口内に放った。
無味無臭の液体が口内を満たし、反射的に少年は飲み込んでしまう。
「っげほっ、ごほっ・・・!」
顔を大きく動かして触手を振り払い、口内に残っていた液体を吐き捨てながら、少年はせき込んだ。
「ふふ、飲んだわね」
女はそういうと、腹の亀裂から新たに一本の触手を出した。ほかの触手より遙かに太い、腕ほどはあろうかという触手だ。赤く粘液に濡れており、その先端は唇を窄めるように皺が寄っている。
「な、に・・・?」
一見すると包皮を被った、勃起していないときの少年の肉棒にも似た形の触手に、少年は本能的な嫌悪感を覚えた。
「ふふ、イイコトよ・・・まあ、少年騎士のあなたには、なんの意味もないでしょうけど・・・」
彼女はクスクスと笑うと、太い触手の先端を少年の肉棒に寄せ、同時に彼の屹立に絡みついていた触手を離した。そして、彼の視線の先で、触手の先端が大きく広がった。
触手は筒状の構造をしているらしく、糸を引きながら広がった窄まりの中には空洞があった。触手の内壁は、小さな突起がまばらに並ぶ、なめらかな粘膜に覆われており、奥へ奥へと引き込むように波打っていた。
「うわあ・・・」
思わず少年は、触手の内壁にそう声を漏らした。それは嫌悪感によるものではなく、無意識のうちの期待による声だった。
「ふふふ・・・」
女は、釘付けになっている少年の視線に妖しく微笑むと、ゆっくりと筒状触手を彼の屹立に被せた。なま暖かい空気が、彼の屹立を包み込み、遅れて広がっていた触手の内壁がせばまる。
「あああ!」
少年は、屹立の根本から先までを覆った軟らかさと弾力に、のけぞりながら声を上げた。触手の内壁は、少年の屹立を締め付けながら、もぞりもぞりとその表面を波打たせた。
根本から亀頭の方へ、肉棒を奥へ奥へと引き込んでいくかのような動きに、少年は体の中身を座れていくかのような錯覚を覚えていた。
肉棒の表面を、まだ色の白く柔らかな肌を、内壁に生えた突起が擦る。突起は決して固いものではなく、むしろ少年の屹立の固さに負け、内壁表面に押し込まれるほどだった。だが、なめらかな内壁粘膜の所々に生じる、微かな圧力の変化は、少年を追いつめる甘い刺激となった。
「あ、あ、あああ・・・!」
人生初めてで、人間相手では絶対に得られない快感に、少年は涙を目元ににじませながら声を漏らした。
「あらあら、さすがの少年騎士も、魔物の体に屈してしまうのかしら?」
女はそういうと、先ほど少年からはがした鎧を触手で探り、少年騎士団のシンボルの刻まれた部品を取り上げた。
「ほらほら、少年騎士団の誇りがあれば、魔物なんかに負けないんでしょう?」
「うぁ、ああああ・・・!」
訓練の日々や、仲間の顔が少年の脳裏にちらつき、申し訳なさと情けなさが胸中に溢れる。同時に、彼は必死に内心で自らの逃げ場を探していた。
そう、先ほどこの女に飲まされた液体。あれが、彼の神経を興奮させ、異常な快感を引き起こしているのだ。魔物の体液を飲まされたから、こうして自分は快感に震えているのだ。
彼のみいだした逃げ場に、少年の心から罪悪感が少しだけ薄まる。同時に、妙な液体のせいだから仕方がない、と快感に対する抵抗感が薄れた。
「うぁ・・・あぁぁ・・・あぁ・・・!」
締め付け、波打ち、擦り付けてくる触手の内壁に、少年は声を漏らしながら体を小さくふるわせた。
腹の奥で、まだまだ発達途上にある彼の睾丸から絞り出された白濁が、熱と粘度を高めていく。
そして、十数度目かになる触手内壁の波打ちに、彼は限界に達した。
少年の腰全体が震え、腹の奥から触手の内側へ精液が打ち出されていく。
勢いよくほとばしった粘液は、窄まる触手内壁の粘膜をかき分け、奥へ奥へと達していく。すると粘膜はその表面を波打たせて、精液をさらなる奥へと導きながら、もっと搾り出そうというように肉棒を撫で続けた。
「ああ、あ、あああ・・・!」
「ふふ、すごい勢い・・・」
触手を伝い、腹に届く少年の精液の感覚に、彼女は笑みを浮かべた。遅れて触手を伝わって、かれの白濁した粘液が彼女の胎内に届き、ますます笑みが深まる。
「ああ、あ、あぁぁ・・・」
少年は絶頂の間上げ続けていた嬌声を弱め、ついに射精を収めた。
触手先端の窄まりが締まり、尿道に残る精液の残滓を絞り出しながら、肉棒が引き抜かれていく。
徐々に少年の粘液に濡れた屹立が露わになっていくが。亀頭のあたりまでが晒されたところで、触手が動きを止めた。
「え・・・あぅ!」
射精したことでいくらか冷静になった彼の意識に、鋭い刺激が届いた。亀頭を未だ咥えたままの触手が、先端の窄まりを開閉して、赤く膨れた粘膜を刺激し始めたからだ。
「な、なに・・・ぃ!」
射精直後の敏感な屹立の、それも包皮に包まれているおかげで刺激になれていない亀頭への愛撫は、少年にとってもはや苦痛だった。
「ふふ、そろそろ効いてくる頃かしら・・・」
屹立の先端からの刺激に顔をゆがませる少年に、女が答える。
「さっき、触手の汁を飲ませたでしょ?あれ、別に媚薬でもなんでもないのよ」
女の言葉は、快感に苛まれる中、少年が必死にすがっていた可能性を打ち砕くものだった。だが、続く言葉が少年のわずかばかりの理性にさらなる衝撃を与えた。
「あれ、おしっこしたくなる効果があるのよ」
「そん・・・ぃっ!」
「知ってる?男の子って、おちんちんの先のほうばっかりいじってると、おしっこ漏らすらしいのよ」
唇だけで亀頭を咥え、ちゃぷちゃぷと唾液を塗り付けながら閉めてはゆるめを繰り返す触手の先端が、少年の腰にふたたび渦巻くものを生じさせる。
しかし、それは射精の予兆とは異なっていた。
「ふふ、もうすぐね・・・」
女の言葉に触手が動き、少年の目の前に掲げていた鎧の部品が、屹立を咥える触手のそばに移動する。
「もうそろそろおしっこ出そうじゃない?でも、いくら魔物でもおしっこ飲むまではしないから安心して・・・」
それはつまり、少年が失禁に至った瞬間、肉棒が解放されるということだ。だが、この姿勢のまま開放されてしまったら、少年の放った小便は。
「い、いやだ・・・!」
鎧に刻まれた少年騎士団のシンボルを汚す予想に、少年は声を漏らした。
「そうね、だったらおしっこ我慢すればいいのよ。そのぐらい、簡単でしょ?」
ちゃぷちゃぷと、触手が亀頭をしゃぶる音を響かせながら、彼女は少年にそう言った。
失禁してはいけない、という重いが少年の内側に芽生えると同時に、徐々に肉棒の内側を何かが這い上がってくるような感覚が襲いかかる。
「あ、あああ・・・も、もう・・・!」
この塔に入ってから一度も排泄しなかったことに加え、女から飲まされた液体の効果により、少年の尿意は限界に達していた。
肉棒が射精寸前のように細かく痙攣し、下腹の内側で暴行が悲鳴を上げる。
そして、彼の意識が限界に達し、二度目のお漏らしが始まった。
「あ、ああ・・・!」
少年が声を漏らし、尿道を徐々に尿が這い上る。
亀頭から、僅かに精液の味のする尿が溢れた瞬間、触手は屹立を解放した。
肉棒が震え、金色の飛沫が飛び散り、チョロチョロと床を覆う石に尿が垂れ落ちていく。だが、肉棒と床の間を遮るように、鎧の部品がかざされていた。
「あああ・・・ああ・・・」
少年は魔物とはいえ異性の前で小便を漏らした衝撃と、少年騎士団のシンボルを汚した衝撃に、涙を溢れ出させていた。
彼の誇りは完全に打ち砕かれていた。
「ふふ、これでだいぶ素直になったわねえ。次は、私に甘える練習ね」
チョロチョロと尿を漏らしながら涙を流す少年に、女は微笑んだ。
「あらあら、もう終わり?」
黒いローブに袖を通し、三角帽子をかぶった二十半ばほどの女が、石畳の床に膝を突く、鎧姿の少年にそう尋ねる。
「まだ、まだ・・・!」
少年は顔を上げ、幼ささえ感じさせる整った顔に闘志を宿しながら、そう呻いた。
しかし、立ち上がるその両足は小さく震え、両腕は剣を掲げることさえできそうにない。
たっぷりと、女が歩み寄って軽く鎧に覆われた胸を小突くほどの時間をかけて、少年はどうにか立ち上がった。
「あらぁ、がんばるのねえ」
剣を持ち上げきれず、下段に構える少年に、女は心底感心したように賞賛の言葉を口にした。
「そんなにがんばっちゃうボクには、お姉さんがご褒美上げちゃう!」
そう言いながら、女はすたすたと無造作に少年に歩み寄った。
「この・・・!」
声を紡ぎ、どうにか少年は切っ先を持ち上げた。すると、未だ鋭さを保っていた剣の先端が、女のローブに触れ、その奥に食い込んだ。
剣の柄を伝わって、柔らかな手応えが少年の手に伝わる。しかし、女は足を止めることなく、ズブズブと刀身を腹に食い込ませながら少年に歩み寄った。
「な、え・・・!?」
ようやく女に打ち込めた刃だったはずなのに、女になんのダメージもない。手応えと女の様子の矛盾に、少年は混乱し、剣の柄から手を離してしまった。
しかし、少年が退くより先に女は前に進み、ついに少年を抱き抱えてしまった。
「つかまえたぁ」
少年の鎧に剣の柄が当たり、女の腕の力で剣が彼女のどうに根本まで食い込む。それどころか、張り出している鍔さえもが彼女のローブに飲み込まれていく。
「ふふふ、ここまで来て、あんなにがんばるなんて偉いわぁ。きっと一杯今までがんばってきたのね。いい子いい子」
少年より頭二つ分背の高い女のため、抱き寄せられることで彼女のローブの胸元に、少年の頭が埋まった。
布地越しの予想外の柔らかさに、少年はようやく今まで刃を向けていたのが女だということに思い至った。
「わ、わ・・・!」
物心ついてから初めての異性からの抱擁に、少年は手足をばたつかせて逃れようとした。
「大丈夫よぉ。ここには私たち以外誰もいないんだし、少しぐらい甘えてもいいのよ?」
女の言葉に、少年はぴくりと手足の動きを止めた。
考えてみれば、親元を引き離されてからこの歳まで訓練続きで、誰かに甘えた記憶などほろんどない。夢うつつの中、毛布の端を無意識のうちに吸って、寂しさを紛らわせるほどだった。
だが、この女は甘えていい、と言ってくれた。そう、誰も見ていないのだ。だったら・・・
「・・・!」
少年は、顔に押しつけられていた柔らかさに飲み込まれそうになっていたが、とっさに正気を取り戻すと、籠手に覆われた両手で、女を突き飛ばした。
「きゃ!」
予想外に強かった少年の力に、女は腕をほどき、よろめきながら数歩退く。
「だ、誰がお前の誘惑に乗るものか!」
少年は腰から予備の短剣を抜きながら、女に向けて声を上げた。
「僕には少年騎士団の誇りがある!魔物なんかに負けないぞ!」
「あらあらあら・・・」
心を奮い立たせながらの少年の宣言に、彼女は少しだけ困ったようにそう呟いた。
だが、その顔に浮かべていた泣きわめく迷子に困っているかのような表情を消すと、彼女は何かいいことを思いついた、とでも言いたげにニヤリと笑った。
「あなたがそういうつもりなら、こうして上げる」
彼女は両手をローブの腹に触れさせると、へそのあたりに指先を埋めた。丁度、先ほど少年の剣が深々と突き刺さり、柄まで飲み込まれていったあたりだ。
すると彼女は、ローブに食い込ませた指先をそのままに、両腕を左右に開いた。黒いローブの生地が縦に裂け、少年のめに赤いものが晒される。
「うわ・・・!」
「ほら、どうかしら?」
一瞬、女の内蔵がさらけ出されたのか、と少年が声を漏らすが、彼女は痛くも痒くもない様子で少年に問いかけた。
よくよく見れば、彼女の胸の下から両足の付け根までに生じた亀裂の内側には、赤い肉が詰まっているものの、明らかに内蔵ではなかった。むしろ、ひしめき合い、狭い空間に押し込められたその様子は、少年が未だ見たことのない女陰に似ていた。
「うふふ」
胸の奥を騒がせる赤い亀裂に、少年が本能的に目を釘付けにしていると、女が低く微笑んだ。すると彼女の亀裂の奥から、ひしめき合う肉をかき分けながら幾本もの紐状の肉が顔を出した。
粘液に塗れ、ほのかに湯気を立ち上らせる触手は、少年めがけて一直線に伸びた。
「しま・・・!」
亀裂に意識を囚われていたため、反応が遅れた彼の体に触手が巻き付く。人差し指ほどの触手は、どこにそんな力を秘めていたのか、少年の四肢を封じた。
そして、少年の腕がひねり上げられ、痛みによって握っていた短剣が指からこぼれ落ちる。
「うぅ・・・」
「痛かったかしら?ごめんなさいねえ」
ひねり上げていた腕を戻し、少年を大の時の姿勢で中吊りにしながら、女が軽く手を合わせる。
「でも、あなたが妙なプライドに囚われているから、痛い目を見るのよ」
腹の亀裂から伸びた新たな触手が、彼女の後ろに円筒形の固まりを作り出す。すると彼女は、振り返りもせず背後の椅子に腰を下ろした。
「だから、私があなたを解放して上げる」
その言葉と同時に、少年に絡みつく触手が蠢いた。触手の表面から糸ほどの太さの触手が生じ、鎧の隙間に入り込み、鎧の掛け金や固定具を裏から外す。すると、少年の体を覆っていた鎧が外れ、石畳の上に落ちて音を立てた。そして鎧の下にまとっていた下着がはぎ取られると、女の目に、同年代の者よりがっちりとした、傷跡がいくつも刻まれた少年の体が晒される。
「ふふ、きれいな体・・・」
女は触手を伸ばし、先端で少年の傷跡をなでた。少年の体が小さく震えるが、その目には未だ敵意が宿っていた。
「あら?何か気に障ること言ったかしら?」
少年の視線に、彼女は驚いたような調子で続けた。
「でも、この傷もこの体も、あなたが頑張ってきた証じゃない。それをほめているのよ」
「うぅ・・・」
少年は肌を這い回る、くすぐったい触手の感触を堪えながら、必死に女の言葉から意識を逸らそうとした。彼女の賞賛の言葉は、ともすれば甘えたくなる魔力を含んでいたからだ。
「頑張って体を鍛えて、頑張ってここまでやってきて、えらいえらい。だから、私がご褒美上げちゃうわ」
女は、その一言とともに触手の動きを変えた。少年の傷跡を確かめるような動きから、肌を舐め回し、粘液を擦り付けるような動きへだ。
「うあ、あぁぁ・・・!」
四肢や胴に一度に生じた甘い刺激に、少年は声を漏らしてしまった。
「我慢しなくていいのよ・・・まあ、もう我慢できなくなるなるだろうけど・・・」
触手の表面に、細かな繊毛を生やし、少年の肌をくすぐりながら女はそう告げた。
彼女の言葉通り、少年の口から溢れ出す声は止められず、四肢の痙攣も大きくなってきた。
「ふふ、女の子みたいな声漏らして・・・少年騎士様」
女が紡いだ言葉に、少年はびくんと体を震わせた。快楽の海に沈みつつある自分に気がついたからだ。
「うぐ・・・」
「あら?我慢してるの?そうねえ、少年騎士団の一員が、魔物にいいようにされて気持ちよくなっていいわけがないものねえ」
粘液に塗れた触手をのたうち回らせながら、女は少年のプライドを呼び起こすような言葉を紡いだ。
「だから、ここをさわられても、平気なのよねえ」
女は、意図的に粘液も触手も触れぬよう避けていた、少年の屹立についに触手を這わせた。
未熟ながらも勃起する肉棒は、絡みつく触手のぬめりに、思わず腰を震わせた。しかしそれでも、彼は歯を食いしばって声を漏らすのを堪えた。
「ふふふ、頑張ってるわね・・・でも、あんまり頑張っても苦しいだけよ?」
少年の顔に、やや太めの触手が一本這い上り、一文字に結ばれた唇をつつき始める。少年は顔をしかめ、触手から顔を背けようとした。しかし、肉棒に絡みつく触手が蠢くと同時に、少年の脇や内腿に巻き付く触手が波打った。
瞬間的に彼の体を流れた甘い快楽の電流に、彼の顎から一瞬力が抜ける。
その隙をついて、彼の唇をつついていた触手は、彼の口内に押し入った。
「んぐ!?」
のどの奥から声を漏らし、とっさに触手を吐き出そうとする。しかし、触手はその先端から、ほぼ水のような液体を彼の口内に放った。
無味無臭の液体が口内を満たし、反射的に少年は飲み込んでしまう。
「っげほっ、ごほっ・・・!」
顔を大きく動かして触手を振り払い、口内に残っていた液体を吐き捨てながら、少年はせき込んだ。
「ふふ、飲んだわね」
女はそういうと、腹の亀裂から新たに一本の触手を出した。ほかの触手より遙かに太い、腕ほどはあろうかという触手だ。赤く粘液に濡れており、その先端は唇を窄めるように皺が寄っている。
「な、に・・・?」
一見すると包皮を被った、勃起していないときの少年の肉棒にも似た形の触手に、少年は本能的な嫌悪感を覚えた。
「ふふ、イイコトよ・・・まあ、少年騎士のあなたには、なんの意味もないでしょうけど・・・」
彼女はクスクスと笑うと、太い触手の先端を少年の肉棒に寄せ、同時に彼の屹立に絡みついていた触手を離した。そして、彼の視線の先で、触手の先端が大きく広がった。
触手は筒状の構造をしているらしく、糸を引きながら広がった窄まりの中には空洞があった。触手の内壁は、小さな突起がまばらに並ぶ、なめらかな粘膜に覆われており、奥へ奥へと引き込むように波打っていた。
「うわあ・・・」
思わず少年は、触手の内壁にそう声を漏らした。それは嫌悪感によるものではなく、無意識のうちの期待による声だった。
「ふふふ・・・」
女は、釘付けになっている少年の視線に妖しく微笑むと、ゆっくりと筒状触手を彼の屹立に被せた。なま暖かい空気が、彼の屹立を包み込み、遅れて広がっていた触手の内壁がせばまる。
「あああ!」
少年は、屹立の根本から先までを覆った軟らかさと弾力に、のけぞりながら声を上げた。触手の内壁は、少年の屹立を締め付けながら、もぞりもぞりとその表面を波打たせた。
根本から亀頭の方へ、肉棒を奥へ奥へと引き込んでいくかのような動きに、少年は体の中身を座れていくかのような錯覚を覚えていた。
肉棒の表面を、まだ色の白く柔らかな肌を、内壁に生えた突起が擦る。突起は決して固いものではなく、むしろ少年の屹立の固さに負け、内壁表面に押し込まれるほどだった。だが、なめらかな内壁粘膜の所々に生じる、微かな圧力の変化は、少年を追いつめる甘い刺激となった。
「あ、あ、あああ・・・!」
人生初めてで、人間相手では絶対に得られない快感に、少年は涙を目元ににじませながら声を漏らした。
「あらあら、さすがの少年騎士も、魔物の体に屈してしまうのかしら?」
女はそういうと、先ほど少年からはがした鎧を触手で探り、少年騎士団のシンボルの刻まれた部品を取り上げた。
「ほらほら、少年騎士団の誇りがあれば、魔物なんかに負けないんでしょう?」
「うぁ、ああああ・・・!」
訓練の日々や、仲間の顔が少年の脳裏にちらつき、申し訳なさと情けなさが胸中に溢れる。同時に、彼は必死に内心で自らの逃げ場を探していた。
そう、先ほどこの女に飲まされた液体。あれが、彼の神経を興奮させ、異常な快感を引き起こしているのだ。魔物の体液を飲まされたから、こうして自分は快感に震えているのだ。
彼のみいだした逃げ場に、少年の心から罪悪感が少しだけ薄まる。同時に、妙な液体のせいだから仕方がない、と快感に対する抵抗感が薄れた。
「うぁ・・・あぁぁ・・・あぁ・・・!」
締め付け、波打ち、擦り付けてくる触手の内壁に、少年は声を漏らしながら体を小さくふるわせた。
腹の奥で、まだまだ発達途上にある彼の睾丸から絞り出された白濁が、熱と粘度を高めていく。
そして、十数度目かになる触手内壁の波打ちに、彼は限界に達した。
少年の腰全体が震え、腹の奥から触手の内側へ精液が打ち出されていく。
勢いよくほとばしった粘液は、窄まる触手内壁の粘膜をかき分け、奥へ奥へと達していく。すると粘膜はその表面を波打たせて、精液をさらなる奥へと導きながら、もっと搾り出そうというように肉棒を撫で続けた。
「ああ、あ、あああ・・・!」
「ふふ、すごい勢い・・・」
触手を伝い、腹に届く少年の精液の感覚に、彼女は笑みを浮かべた。遅れて触手を伝わって、かれの白濁した粘液が彼女の胎内に届き、ますます笑みが深まる。
「ああ、あ、あぁぁ・・・」
少年は絶頂の間上げ続けていた嬌声を弱め、ついに射精を収めた。
触手先端の窄まりが締まり、尿道に残る精液の残滓を絞り出しながら、肉棒が引き抜かれていく。
徐々に少年の粘液に濡れた屹立が露わになっていくが。亀頭のあたりまでが晒されたところで、触手が動きを止めた。
「え・・・あぅ!」
射精したことでいくらか冷静になった彼の意識に、鋭い刺激が届いた。亀頭を未だ咥えたままの触手が、先端の窄まりを開閉して、赤く膨れた粘膜を刺激し始めたからだ。
「な、なに・・・ぃ!」
射精直後の敏感な屹立の、それも包皮に包まれているおかげで刺激になれていない亀頭への愛撫は、少年にとってもはや苦痛だった。
「ふふ、そろそろ効いてくる頃かしら・・・」
屹立の先端からの刺激に顔をゆがませる少年に、女が答える。
「さっき、触手の汁を飲ませたでしょ?あれ、別に媚薬でもなんでもないのよ」
女の言葉は、快感に苛まれる中、少年が必死にすがっていた可能性を打ち砕くものだった。だが、続く言葉が少年のわずかばかりの理性にさらなる衝撃を与えた。
「あれ、おしっこしたくなる効果があるのよ」
「そん・・・ぃっ!」
「知ってる?男の子って、おちんちんの先のほうばっかりいじってると、おしっこ漏らすらしいのよ」
唇だけで亀頭を咥え、ちゃぷちゃぷと唾液を塗り付けながら閉めてはゆるめを繰り返す触手の先端が、少年の腰にふたたび渦巻くものを生じさせる。
しかし、それは射精の予兆とは異なっていた。
「ふふ、もうすぐね・・・」
女の言葉に触手が動き、少年の目の前に掲げていた鎧の部品が、屹立を咥える触手のそばに移動する。
「もうそろそろおしっこ出そうじゃない?でも、いくら魔物でもおしっこ飲むまではしないから安心して・・・」
それはつまり、少年が失禁に至った瞬間、肉棒が解放されるということだ。だが、この姿勢のまま開放されてしまったら、少年の放った小便は。
「い、いやだ・・・!」
鎧に刻まれた少年騎士団のシンボルを汚す予想に、少年は声を漏らした。
「そうね、だったらおしっこ我慢すればいいのよ。そのぐらい、簡単でしょ?」
ちゃぷちゃぷと、触手が亀頭をしゃぶる音を響かせながら、彼女は少年にそう言った。
失禁してはいけない、という重いが少年の内側に芽生えると同時に、徐々に肉棒の内側を何かが這い上がってくるような感覚が襲いかかる。
「あ、あああ・・・も、もう・・・!」
この塔に入ってから一度も排泄しなかったことに加え、女から飲まされた液体の効果により、少年の尿意は限界に達していた。
肉棒が射精寸前のように細かく痙攣し、下腹の内側で暴行が悲鳴を上げる。
そして、彼の意識が限界に達し、二度目のお漏らしが始まった。
「あ、ああ・・・!」
少年が声を漏らし、尿道を徐々に尿が這い上る。
亀頭から、僅かに精液の味のする尿が溢れた瞬間、触手は屹立を解放した。
肉棒が震え、金色の飛沫が飛び散り、チョロチョロと床を覆う石に尿が垂れ落ちていく。だが、肉棒と床の間を遮るように、鎧の部品がかざされていた。
「あああ・・・ああ・・・」
少年は魔物とはいえ異性の前で小便を漏らした衝撃と、少年騎士団のシンボルを汚した衝撃に、涙を溢れ出させていた。
彼の誇りは完全に打ち砕かれていた。
「ふふ、これでだいぶ素直になったわねえ。次は、私に甘える練習ね」
チョロチョロと尿を漏らしながら涙を流す少年に、女は微笑んだ。
12/09/29 11:30更新 / 十二屋月蝕
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