連載小説
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(47)ワーキャット
朝、男が目を覚ますと若干甘く生臭いような匂いが鼻をくすぐった。同時に、男の耳にくちゅくちゅと届いた音が届いた。
男は胸中に芽生えたいやな予感に、首をそらして枕元に目を向けた。
するとそこには、大きく足を広げる二つの股間が上下に並んでいた。
一つは、見覚えのある白い下着に覆われた股間。もう一つは、やや小振りな小さい尻と細い太腿の中央に刻まれた女陰をさらす、むき出しの股間だった。
男が顔を二つの股間から上に向けると、その持ち主が見えた。薄い胸の先端で桃色の乳首を痛そうなほど腫らしたラージマウスと、ラージマウスを抱え込むようにしながら、肩越しに彼女の顔をのぞき込むわーきゃっとだった。
ちょうど、ワーキャットが自身の腿の上に、小柄なラージマウスを座らせているのだ。だが、ラージマウスは一糸まとわぬ姿で、ワーキャットの爪で肌を撫でられながら、断続的に体を震わせていた。
「あ・・・あぁ・・・」
「ふふふ、もっとヤらしい声を出すんよ・・・」
爪の先端で、傷つけぬ程度にわき腹の肌をひっかきながら、ワーキャットがラージマウスにささやく。するとラージマウスは、かすかな痛みにびくびくと体を震わせながらも、口から声にならぬ吐息を漏らした。
「ほら、どこを触ってほしいか、言うんよ・・・」
「あ、おっぱいの先・・・さわ・・・って・・・!」
「こう?」
ラージマウスの求めに、ワーキャットは爪の先で乳首をちくりとつついた。すると、ラージマウスが体をびくんと反らせ、股間の亀裂から飛沫を迸らせた。
「ふふふ、これで八度目よ・・・」
「おいなにしている」
枕元での情事に、ついに男が口を開いた。
「おう、ご主人。おはようよ」
「おはようはいい。おまえ、また連れてきたのか」
ラージマウスをいたぶる手を止め、ぐったりとする彼女を抱えたままのワーキャットの挨拶に、男はそう返した。
「ふふふ、一丁前にがーるはんともできないご主人のため、手頃な獲物をはんとしてきたんよ・・・」
ワーキャットはそう言うと、腿の上のラージマウスの首筋に舌を当て、舐め上げた。すると、ざらざらした舌の感触に、ラージマウスは体を震わせた。
「さあご主人、完全にコイツの調理はすんでるんよ・・・あとはご主人の極太をつっこんでやれば・・・」
「逃がしてやりなさい」
「なんと」
男の言葉に、ワーキャットが目を見開く。
「ただ捕まえてきただけじゃなく、一晩かけて痛いのが気持ちよくなるよう調理してやったんよ・・・ナントカをナントカしないのはナントカなんよ・・・」
「ぜんぜん覚えてないじゃないか」
おそらく『据え膳食わぬは男の恥』と言いたかったのであろうワーキャットにため息を付くと、男は布団から起きあがった。そして、ワーキャットからラージマウスを、ひょいと取り上げた。
「あ!返すんよー!」
「いたところに返してやるんだ」
連続した絶頂と、情事の疲労感にぼんやりしているラージマウスの頬を軽くたたいて正気に返すと、男は窓を開いて庭に彼女をおろしてやった。
「ほら、逃げろ」
「・・・でも・・・」
「いいから帰れ」
男の言葉に、ラージマウスは駆けだしていった。全裸で。
「ぬあーーー!!」
ラージマウスの逃走に、ワーキャットは窓縁にしがみつきながら声を上げる。
「ああ、行ってしまったんよ・・・せっかく捕まえた獲物が・・・」
ワーキャットはそう言いながらよろよろと窓を離れ、布団まで移動するとその上に寝転がった。
「なにしている」
「ウチはがーるはんとと調理で疲れたんよ。だから今から寝るんよ・・・」
「そんなに疲れるのなら、やらなきゃいいのに」
布団が片づかないなあ、などと考えながらワーキャットに向けたわけではないつぶやきに、彼女の耳がぴくんとはねた。
「なに恩知らずなことを言うんよ・・・今のは聞き逃せないんよ」
どことなく恨みがましい目で、彼女は男を振り返った。
「そもそもは、ご主人に女っ気がないのが悪いんよ」
「え?何で?」
いきなり訳の分からない方向に怒りの矛先を向けられ、男は戸惑った。
「だってご主人、いい歳して恋人一人いないのはおかしいんよ。ウチがいるから恋人はいらないかと思ったら、ウチのないすぼでーに手を出す気配もないんよ。それでチンチン立たずの役立たずかと思ったら、いっちょまえにトイレでおなにーしてるんよ」
「え?何で知ってるの?」
「丸聞こえなんよ」
「ぐああああ」
男は顔を覆うと、声を上げながらその場にかがみ込んだ。
「つまり、ご主人は性欲はあるけど、きっとウチみたいなないすぼでーじゃなくて、小さい子に興奮するんだって結論に至ったんよ。だから、一人じゃがーるはんとする度胸もないご主人に代わって、ウチがはんてぃんぐしてきたんよ」
ワーキャットはそう解説するが、男は聞いていなかった。ぐあああ、と声を上げながら屈み込んでいるので手一杯だったからだ。
「そりゃ、据え膳用意されるのは気に食わないかもしれないけど、逃がすぐらいなら食べるか、自分で捕まえてくるかしてほしいんよ。まったく手の掛かる困ったご主人なんよー」
「うるせー!お前、俺がどういうつもりで毎日我慢してるか知ってるのか!?」
ワーキャットの言葉に返すようであったが、内容的には少し前の言葉に男は反応した。
「毎日食っちゃ寝て外にでていって、ふらりと戻ってはまた食っちゃ寝!ただの猫ならまあ、腹の一つでも撫でてやるところだが、なんだお前は!乳!尻!太腿!腹!」
「ふふふ、やっとウチのないすぼでーに気が付いたんよ?」
男にワーキャットは笑みを浮かべると、横臥しつつ片足を軽く上げて見せた。彼女の乳房が重力によって谷間が強調され、足を上げることで腹筋と太腿の引き締まりが際立った。
「でも、何で今日まで襲ってこなかったんよ?」
「俺ぁ合意の上で色々したかったんだ!それをお前が、せっかく撫でたり触ろうとしたりすると、不機嫌そうに逃げていくから!」
「ウチは暑いのきらいなんよ」
「そう言うことはちゃんと言え!おかげで実はそこまで好かれてないと思ったじゃないか!」
「でも、今ご主人もウチもおーけーだとわかったから、結果おーらいなんよ」
「もう少し雰囲気が欲しいんだよー!!」
男は大声を上げると、一瞬動きを止めた。
ワーキャットに向けていた指を壁に向け、両手を左右に広げたまま天井を仰ぐ姿勢をとった。
「分かった。今からぶち犯す」
「ぬあ!?」
男の穏やかな表情のまま紡がれた、決して穏やかじゃない言葉に、ワーキャットが声を上げる。
「ふ、雰囲気はどうしたんよ!?」
「そんなものどうでもいい。それに、布団に寝っころがって誘ってるんだ。据え膳食わぬは男の恥だな」
ワーキャットは自分の姿勢が、完全に男の言葉通りであることに気が付いた。しかし、彼女がうつ伏せになり、両手両足で布団から飛び起きようとした瞬間、男が彼女の上に多い被さった。
「ぬあ!?」
「捕まえた」
動きを捉えきれなかったワーキャットに、男は彼女の耳元でそう囁くと、彼女のうなじに軽くかみついた。
噛みつく、とは言っても皮膚が破れぬ程度に甘噛みしただけだ。だが、それだけでワーキャットは全身から力を抜いた。
「ふにゃぁぁぁ・・・」
全身を弛緩させるワーキャットの両脇に手を差し入れると、男は彼女の乳房に指を食い込ませた。彼女の肉の鞠は指を受け止め、しなやかに変形し、ワーキャット自身に快感を伝えた。
「うん、大人しくなったな」
歯を緩め、男はそうつぶやくと、ワーキャットのうなじに残る歯の痕のくぼみを軽く舐めた。
同時に、乳房を揉む手の一方を彼女の首筋まで移動させ、喉と顎の下を擦ってやる。すると、ワーキャットは首を反らせながら、男の指に体を震わせた。
「んんん・・・」
口を閉じ、悩ましげに目を細めながら、ワーキャットがのどの奥であえぎ声を漏らす。
男は彼女の反応に、乳房に当てていたもう一方の手も、下方へと移動させた。
引き締まった腹筋を撫で、タイトなミニスカートの上を滑り、その裾から内側へ進入させる。すると男の指に、濡れた布のきめ細やかな感触が触れた。彼女の股間を覆う下着だ。
彼は濡れた布地越しに、彼女の柔らかな場所を軽くなでると、下着の縁に指を引っかけ、引き下ろした。
そして、彼女の太腿の半ばまで下着をおろしたところで、男はズボンの内側から屹立を取り出した。
「んん・・・ん・・・ん・・・!」
勃起をスカートの内側、尻の谷間に当てられ、ワーキャットの吐息が小さく跳ね上がる。
男は数度彼女の尻の柔らかさを確かめると、目の前の三角耳に囁いた。
「突っ込むぞ・・・」
「か、かもーんよ・・・」
甘噛みされた首筋と、全身に広がる甘い痺れをこらえながら、ワーキャットはそう震え声で応えた。
男は彼女の挑発に、腰を突きだして応えた。
すると、彼の屹立を柔肉がキツく締めあげてくる。
「うにゃぁぁぁ・・・!」
男の腹と、ワーキャットの背中の間で、彼女のしっぽがぴんとまっすぐに伸びる。彼女のしっぽの力はごく弱いものだったが、それでも二人の肌をくすぐる程度のことはできた。
肉棒を包み込む膣の圧力に、彼女のしっぽのくすぐったさが加わり、男は腰から背筋へとはい上るむずむずしたものを感じた。
堪え難いほどの快感ではないが、遅かれ早かれ射精に追い込まれてしまう。そうなればどうなるか分かっていた。
「うぐ・・・」
男は脳裏に浮かぶ、股間から白濁を垂れ流しながらも爆笑するワーキャットの姿を掻き消すと、歯を食いしばった。
そして、乳房から指をはなしながら上半身を起こし、彼女の背中としっぽを解放する。
「うにゃ・・・にゃ、あ・・・」
甘噛みと愛撫、そいて挿入により、闘争や抵抗するほどの力は残っていないらしく、彼女は声を上げるばかりだった。だが、その声音に男は余裕めいたものを感じていた。ちょうど、ラージマウスやハーピーを捕まえてきて、性的に弄んでいる際に獲物が予想外の反撃をした際の、かすかな喘ぎ声ににているからだ。
男は、彼女の首筋、先ほど軽く噛んでやった場所に人差し指と中指をそろえて触れさせた。そしてそのまま、すぅっと一直線に引き下ろす。
「うにゃにゃにゃにゃにゃっ!?」
背筋を這い降りる指先に、ワーキャットが声を上げながら体を震わせた。膣壁が小刻みに震え、男の屹立を細かく締めては緩める。
男の背筋を快感の波が打ち付けるが、幸い全身に力を込めるほどのものではなかった。
これなら勝てる。
男は、猫にそうしてやるときのように、ワーキャットの背筋を二本の指で上下になで上げては下ろしていった。
その度に、ワーキャットは声を上げ、全身を震わせ、肉棒をキュウキュウと締めた。
声が高くなり、布団に彼女の指と爪が食い込んでいく。どうやら、本当に追いつめられつつあるらしい。
「よし・・・ぐ・・・!」
男は、一瞬の気の緩みに飛び込んできた快感に声を漏らしながらも、背筋をなでつつ、もう一方の手を動かした。しっぽの付け根、尻の谷間と腰の境目に向けてだ。
人差し指を軽く曲げ、しっぽの根本に先端を軽く添えると、手首を一度反らしてから軽く叩いた。
「ぎにゃっ!」
彼女の全身が完全に硬直し、短い声が漏れる。
男は、人差し指の先で、そのまましっぽの付け根をリズミカルにたたき続けた。
「や、やめ・・・に、や・・・!」
ワーキャットが布団を握りしめ、顔を枕に押しつけながら途切れ途切れに声を漏らす。
「んに、もう・・・やめ・・・る・・・んにょっ!?」
しかし、途切れ途切れの懇願が意味をなす寸前、彼女はついに絶頂に突き上げられた。
背筋を反らし、枕から顔を浮かしながら、彼女は全身を震わせる。耳としっぽがピンと逆立ち、布団に食い込む爪が深々と布地に食い込む。
同時に、男もまた屹立を締め付けながら震える膣壁に、ついに絶頂に追いやられた。
「ぐ、う・・・!」
全身を力ませ、苦しげに声を漏らしながら、男は耐えに耐えた射精を迎える。熟成された精液が、興奮の熱と勢いを帯び、彼女の膣壁の奥を叩いた。
「あ、あづ・・・い・・・!」
男の脈動と射精にあわせるように、彼女が腹の奥を白濁が打つ度に体をのけぞらせ、震えた。
そして、男の射精が収まったところで、男は全身を弛緩させた。
ぎりぎり残っていた力で、ワーキャットを押しつぶさぬよう体を逸らす。そして、二人はうつ伏せに左右に並んで、横になった。
「はぁ、はぁ・・・」
「・・・・・・ふふふ・・・ごしゅじんは、やっぱりウチのみこんだとおり・・・なんよ・・・」
荒い吐息に断ち切られながらも、ワーキャットは傍らに倒れ込んだ男に向け、どうにかそう紡ぐ。しっかりと絶頂し、今もふわふわとした快感に意識を漂わせているかのような表情であったが、その口調は余裕たっぷりであると言いたげだった。
「・・・・・・」
「・・・ふふふ、でも・・・やっぱりまだまだウチの方が、上なんよ・・・」
返答しない男に、やはり自分の方が上だったと、ワーキャットが勝利宣言する。
「さあ、大人しく・・・ウチの勝利を祝して・・・ご飯をつくるんよ・・・」
男は素直に彼女を祝ってやることにした。拍手の代わりに、彼女のしっぽの付け根を叩くことでだ。
「んなっ、なにを・・・う、うにゃっ!?」
再び腰のあたりから響き始めた快感の震えに、彼女は声を上げた。
男の拍手代わりの腰とんとんは、ワーキャットが押しっこ漏らすまで続いたが、それはまた別の話である。
12/09/28 14:44更新 / 十二屋月蝕
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■作者メッセージ
「うわああああ!猫だあああああ!」
「うわあああ!猫は明け方に人を起こしにくるよね、とかそうネタを放置しているううう!」
「うわああ!最初はそれを盛り込むつもりだったらしいけど、後の方でネコマタでるからそっちでやるらしいよおおお!」
「うわあ!とりあえず今回はあまり懐いていない半飼い猫モードってわけかあああ!」
「うわ!デロデロに甘えてくるマジ飼い猫はネコマタまでお預けだよおおお!」
「う!射精した」
「え?何で?」

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