連載小説
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(46)妖狐
僕がいつものように庭園の庭石を磨いていると、不意に影がかかった。
雲でも出てきたのか、と首をひねって背後を見ると、太陽を背にお嬢様が立っていた。
「精が出るわね」
「お嬢様・・・!」
僕は足音もたてずに忍び寄っていたお嬢様に驚きつつも、その場に立って姿勢を正し、頭を下げた。
「ありがとうございます!」
「ああ、そう言うのはいいのよ。顔上げて」
お嬢様の言葉にあわせて視線をあげると、お嬢様の足下から顔までが僕の目に入った。
首もとからくるぶしのあたりまでを覆う、ぴったりと体に張り付くようなデザインのワンピースを身に纏い、腰の後ろから三本のふわりとしたしっぽを揺らし、背中に届くほどの金髪の間からは三角形の耳をのぞかせている。
彼女こそ、東の方からきた妖狐という魔物で、この屋敷の主夫妻の娘だった。まだ若いため、尻尾の数こそ奥様の七本には及ばないが、その美貌は旦那様を虜にしたという奥様に瓜二つだった。こう表すと、お嬢様が老けているように見えるだろうが、逆だ。奥様の方が、お嬢様と同じぐらい若々しいのだ。
「・・・・・・えー・・・」
お嬢様は僕の顔を上げさせたところで、なにを言ったものかといった様子で空中に視線を向けてから口を開いた。
「最近、どう?」
「・・・はい、旦那様と奥様、そしてお嬢様のおかげで達者です」
特に話題もなかった様子の問いかけに、僕は失礼のない返答をした。
「ああ、そう言う訳じゃなくて・・・」
お嬢様はドレスの胸元の舌で腕を組み、軽く体を揺らした。黄色い糸で模様の織り込まれた赤い生地の下で、乳房が持ち上げられる。
僕の視線が、お嬢様の顔から下の方へ導かれそうになるが、どうにか耐えた。
「んーと、えーと・・・そうね、あなた後で私の部屋に来なさい」
「は?」
唐突なお嬢様の申し出に、僕は一瞬立場も忘れてそう聞き返していた。
「庭石磨いた後、暇でしょ?だから来なさい」
「いえ、その・・・屋敷のお仕事がありまして・・・」
「あなた最近、他の人の手伝いばっかりしてるって、メイド長から聞いたわよ。もともと手伝いしなくてもどうにかなる仕事なんだから、今日ぐらい放っておきなさい。いい?」
「はぁ、かしこまりました・・・」
彼女は僕の了解の言葉に頷くと、くるりと背を向け歩きだした。
一歩ごとに彼女の三本の尻尾が左右に揺れ、腰のあたりまで切れ上がったスカートのスリットから、白い肌がちらちらと覗く。
「・・・・・・」
僕は、お嬢様の後ろ姿を、彼女が屋敷の中に消えるまで追ってから、視線を外した。
急いで庭石を磨かねば、お嬢様が不機嫌になるだろう。



そして一通り庭石を磨き、身だしなみを整えてから、僕はお嬢様の部屋へ向かった。
お嬢様の部屋の前にたち、最後に衣服の乱れがないか確認してから、軽く扉をたたく。
「入りなさい」
「失礼します」
扉を開けると、少しだけ甘い香りが僕の鼻をくすぐった。
整理整頓の週間を身につけさせるという奥様の方針ため、衣装ダンスやらベッドやらが置かれている部屋を見回すと、机の上でか細い煙を立てている壷が目に入った。
どうやら香を焚いているらしい。
「遅かったわね」
ベッドの縁に腰掛け、僕に目を向けながら、お嬢様が痩躯地を開いた。
「すみません。手が少々汚れてしまったので」
「いいわ、座りなさい」
お嬢様がそう言うが、僕は動けなかった。
座ると言っても、お嬢様の机の前の椅子ぐらいしか、この部屋に椅子はないのだ。もちろん、お嬢様の椅子に座るわけにはいかない。
「ここよ、ここ」
直立したまま視線をさまよわせる僕に、お嬢様は自身が腰掛けるベッドを軽く叩いた。
「え?しかし、ベッドに腰掛けるというのは・・・」
「仕方ないでしょ。部屋にあまり物が置けないから、お友達呼んだときも、絨毯にクッション置いて座ってもらってるぐらいだし。とにかく、来なさい」
「はい・・・」
命令されたのならば、仕方ない。
僕はベッドのそばまで歩み寄ると、ベッドの縁、扉に一番近い隅の部分に腰を下ろした。やはりお嬢様が使ってるだけあって、ベッドは柔らかく僕の尻を受け止めた。
「なんでそんなところ座ってるのよ」
手を伸ばしてもぎりぎり届かないような距離に座ったことに、彼女は低い声で僕に言った。
「流石に、肩が触れ合う距離はマズいと思いましたので・・・」
「それにしてももう少し近寄ってもいいんじゃないの?むしろ、そんなはじっこだとそこのバネが弱るから、移動しなさい」
お嬢様の命令に、僕は少しだけ腰を移動させる。
手を伸ばせば肩に触れるだろうが、少なくとも肘がぶつからないほどの距離にだ。
「うーん・・・まあ、いいわ・・・」
お嬢様自身と僕の距離を見計らってから、彼女は続けた。
「ところであなた、私がお見合いするって話、知ってる?」
彼女の不意の問いかけに、僕の胸郭の内で心臓が大きく跳ねた。
「いいえ、初耳です・・・」
「そうよね・・・私も昨日、お父様から初めて聞かされたもの・・・」
言葉に動揺をにじませなかった為か、お嬢様は淡々と話を続けた。
「まあ、お父様の仕事だとか何だとかのつき合いの一巻で、向こうが迫ってきているらしいのよ・・・別に断っても、向こうもこちらも何の問題もないらしいんだけど・・・」
「はぁ・・・」
話の行方が見えず、僕は生返事しか返せなかった。だが、適度な相槌程度でよかったのか、彼女は続ける。
「でも、こちらとしても積極的に断る理由もないわけだから、やらざるを得ないのよ。そしたらほら、万が一にでも結婚とか・・・そう言うことになるじゃない?」
「ええと、その時はおめでとうございます、でよろしいでしょうか?」
「まだ早いわよ」
僕の若干とんちんかんな返しに、彼女は困ったような顔で笑った。
だがすぐに笑みを引っ込めると、お嬢様は真剣な目つきで僕を見据えた。
「それで、話は少し変わるんだけど・・・あなた、私のことどう思う?」
「ええと・・・」
僕は彼女の問いかけに、改めて彼女の顔からつま先までを見回そうとして、胸のあたりまで視線を下ろしたところで止めた。
「お嬢様は、お優しい方だと思います」
彼女の体を見かけたことを、少し何か思い出そうとする際の視線の動きでごまかしつつ、答えを紡ぐ。
「僕達のような召使いに対しても対等につき合い、気遣ってくださって・・・それに、僕達のような召使いの仕事も把握していらっしゃいます」
そう。僕が最近、ほかの召使いのアシスタントばかりしていることを、お嬢様は知っていた。
「だから、お嬢様がどなたかの奥様になられれば、ご立派にお屋敷を切り盛りできるのではないかと」
「うーん、そう言うのじゃなくて・・・ああ、もういいわ」
一応誉められていることを否定するわけにもいかないためか、彼女は軽く首を振ってから、再び話題を変えた。
「あなた、私のこと見てるでしょ?」
「っ!?」
その問いかけに、僕は気配を隠すこともできず、心臓を跳ね上がらせた。
「やっぱりね・・・あなたの視線を感じていたのよ・・・」
僕の気配から答えを引き出しつつ、彼女は唇の端をつり上げた。
「ねえ、私のどこを見ていたのか、教えてくれない?」
ベッドの上から腰を浮かし、尻一つ分僕の方へにじり寄りながら、お嬢様は問いを重ねる。
「私のどこをじっと見て、そこでどんなことを考えていたか教えて欲しいの・・・」
さらにもう一つ分にじり寄ったことで、僕とお嬢様の二の腕が触れる。
「私の耳?うなじ?尻尾?それとも・・・おっぱい?」
赤と黄の模様が織り込まれた布の下に押し込められた乳房を、軽く下から手で持ち上げながら、彼女が問いかけた。
部屋を満たすお香の香りに、彼女の体からふわりと立ち上る香りが加わり、僕の頭をぼんやりとさせていく。
サウナに長い時間入っていたときのように、頭の中に靄がかかり、ものが考えられなっていく。
彼女の顔を見ていた僕の目が自然と移動していった。
「さ、答えなさい・・・」
視界の端で、彼女の桃色の唇が艶めかしく動いた。
命じられたのだ、正直に答えなければ。
「足、です・・・」
「足?」
お嬢様が僕の返答に、顔を自分の足へ向けた。赤いドレスのスカートのスリットから、白い太股がでている。
「私の、足?」
「はい・・・」
「だったら、じっくりと見る?」
「いけません!」
すかーとのスリットの縁に指を伸ばそうとしたお嬢様の手を、僕は反射敵に手を伸ばしてつかんでいた。
「お嬢様のおみ足は、一歩進む度にスリットからちらちらと覗くだけで、男の視線をとらえて離さない劇物危険物です!軽々しくスカートをめくるなど、慎んでいただきたい!」
「は、はい・・・」
僕の言葉に、お嬢様はぽかんと僕を見上げながら、どうにか返答した。
「それで結構。くれぐれも、重火器兵器の扱いにはご注意お願いします」
「重火器兵器って・・・そんなに大げさな・・・」
「大げさではありません!そのすっきりとしたすねから、自在に曲がり伸びする健康的な膝。そして、失礼な表現ではありますが、ムッチリと肉付きがよく、思わず触れたくなる太腿。そして、まばゆいばかりに白く、きっとすべすべしているであろうお肌。これらが一体となったお嬢様のおみ足は、見る者の心臓をズキューンと撃ち抜く重火器なのです!しかも、見た者の心に火を放ち、メラメラと情欲の炎を燃え上がらせていく地獄の焼夷弾なのです」
「・・・本当に?」
「はい、僕もお屋敷でお世話になったその日から、ずっと撃ち抜かれており、今も僕の内側はごうごうと燃え上がっています」
僕の言葉に、お嬢様の頬に赤みが差した。
「で、でも・・・お父様とか、ほかの召使いはそんな態度見せないし、あなたも今の今までそんな様子・・・」
「僕は単に我慢していただけです。ほかの方も我慢なさっているのか、実は男ではないのでしょう」
そう、僕の内側で炎が上がっていたからこそ、極力すべてを押さえ込んでいたのだ。
「そ、そう・・・なら、あなたがしたいことをしていい、と私が言ったら・・・どうするの?」
僕にとられていたペースを取り戻すように、お嬢様は余裕のある口調でそう言い、足を見せつけるように組んで見せた。
スカートのスリットから太腿の半ばまでが露わになり、赤い布地の上に白い膝が乗せられる。
僕の目は、彼女の足に釘付けになってしまった。
「うふふ・・・していいのよ・・・あなたがしたいことを・・・」
お香の香りが渦巻く脳裏で、お嬢様の言葉がこだまのように響く。
すると僕の手が自然と持ち上がっていった。そう、やりたいことをやっていいのだ。だって、こうしてお嬢様の足を見ているというのに、咎められないのだから。
僕の手が彼女の肩に触れ、軽く彼女を押した。すると、お嬢様は抵抗なくベッドの上に上半身を倒した。
「ふふ・・・」
お嬢様は僕を見上げながら、どこか楽しげにそう笑った。彼女の体の脇からは、腰とベッドの間に挟まれた尻尾がはみ出ており、ぱたぱたと揺れている。
僕はじっと彼女の顔を見た。お嬢様の頬には赤みが差しており、目元にも何かを期待するような色が浮かんでいる。誕生日のパーティで、プレゼントが運ばれるのを待っているときと同じ色だ。
こういう場合、彼女に覆い被さりながら唇を重ねるべきなのだろう。だが、僕は彼女の肩から手を離し、やりたいことをやることにした。
「・・・?」
僕の上半身が離れたことで、一瞬お嬢様の顔に戸惑いが浮かぶ。
しかし僕はかまわず、彼女の組まれたままの足に手を伸ばした。
スカートの上の膝をつかみ、ぐいと持ち上げ、ふくらはぎ二手を添えながらまっすぐに伸ばす。そして彼女の膝を胸に抱き寄せながら、僕は脚の側面、すねとふくらはぎの境に唇を寄せた。
「ひゃ・・・!?」
産毛一本生えていない、見目通りすべすべとした彼女の肌をついばむように唇で吸い、舐める。
脚への接吻というのは初めてだったためか、お嬢様は声を上げて体を震わせた。
快感の身悶えではない。単にくすぐったいだけだ。
「ちょ、ちょっと、なにっ!や。やめ・・・!」
お嬢様が途切れ途切れに声を漏らすが、僕にはなにを言っているかわからない。だから僕は遠慮なく、お嬢様の脚を堪能した。
膝のあたりからふくらはぎを舐めあげ、踝に吸い付く。
お嬢様の体重を支える脚は、筋肉の固さを宿しつつも、女性的な柔らかさを備えていた。固すぎず、柔らかすぎず。では太腿はどうだろうか。
膝を抱き寄せていた腕を、下の方へと滑らせる。
お嬢様は僕の愛撫から逃れようとするかのように脚を揺らすが、決して逃さない。代わりに彼女の太腿に指を埋め、その柔らかさを堪能してやった。
左右から掴んでも両手の指が届かぬほど立派な太腿は、僕の指を優しく受け止める。しかし、ズブズブとどこまでも指が沈み込みそうな柔らかさは表面だけで、徐々に抵抗を増し、奥に抱えた筋肉の固さを伝えた。
太腿の筋肉を探ると、僕は力を込めていた指をゆるめ、彼女の肌を楽しむべく指を滑らせた。太腿表面に付いた柔らかな脂肪が、浅く指を食い込ませ、肌とともに柔軟に指のかすかな圧迫にあわせて表面を凹凸させていく。
「ん・・・あぁ・・・やめ・・・」
くすぐったさに途切れ途切れだったお嬢様の言葉に、徐々に熱のようなものが宿っていく。
ふくらはぎの陰からお嬢様の顔を見ると、お嬢様は片手でシーツを掴み、もう片方の指を握って口元に当て、苦しげに眉間に皺を寄せていた。
一見すると苦悶の表情だが、顔は赤らんでおり、ドレスの胸元の豊かな膨らみの先端が少し尖っているように見える。
感じているのだ。それもそうだ。こんなに素敵な脚を持っているのに、性感帯でないというデタラメがあるだろうか。
僕は、お嬢様が脚に宿していたダイアモンドのごとき性感帯を磨きあげるべく、丹念に脚を愛撫した。
顔を倒し、ふくらはぎから踵へと続く筋肉の筋を、唇で甘く噛む。
膝の裏側からももの裏側へ、左右に蛇行させながらも指を上下に滑らせる。
内腿の柔らかな肉を手のひら全体でそっと掴み、軽く揉む。
口と左右の手を総動員し、僕は彼女の脚を愛した。
「ん・・・ぁ、やだ・・・いっちゃう、いっちゃう・・・!」
鼻にかかるような甘いあえぎ声に、自身の限界が近いという言葉が混ざる。
こんな素敵な脚のもたらす快感だ。きっと甘美なのだろう。僕は、お嬢様に甘美な絶頂を贈るため、両手と口の動きを少しだけ強めた。
「あぁ・・・!」
瞬間、お嬢様がぶるりと体を震わせ、直後くたりと全身を弛緩させた。軽く達してしまったのだ。
「ね、ぇ・・・」
どこかろれつの回らない口調で、彼女が僕にとろけた瞳を向けてくる。
「おねがいぃ、こっちにもぉ・・・」
いつもはピンと立っている耳をわずかに垂れさせ、潤んだ瞳で見上げながら、彼女はスカートを掴み引き上げた。赤い布の下から、彼女の股間を覆う白い布が現れた。
何かに濡れた白い布は、生地を透かして金色の控えめな茂みと、その下の桃色の亀裂を、うっすらと僕に見せていた。
ふと気が付くと、僕の股間もいつの間にか固くなっており、彼女の太腿に腰を押しつけていた。衣服越しの彼女の太腿が、僕を静かに導いていく。
「わかりました・・・」
内心の衝動を抑えきれず、僕は口先だけ丁寧にそう答えると、今まで抱えあげていた脚を解放した。
そして、改めてお嬢様と僕はベッドの上に乗った。
「・・・・・・」
お嬢様は横向きにベッドに転がり、シーツを握りながら僕に潤んだ瞳を向けている。
「さ、脚をあげてください」
僕の言葉に、お嬢様は先ほど愛されなかった方の脚を、高々と掲げた。彼女の体はしなやかで、脚は垂直に延び、僕に内側のすねとふくらはぎの境目や内腿、そして両足の付け根をさらしていた。
すでに股間を覆っていた下着はなく、しとどに濡れた女陰と、湿り気を帯びて互いに絡み合う金色の縮れた毛が、露わになっている。
僕はズボンをおろし、下着に押さえ込まれていた肉棒を解放すると、ベッドの上の彼女の脚を跨ぎながら、彼女の股間に近づいた。
そして、高々と掲げられる彼女の脚を抱きながら、その白い太腿に屹立を押しつける。
「あ、あつい・・・!」
勃起の帯びた熱に、彼女が尻尾を跳ねさせながら、そう漏らした。僕は、肉棒の形と大きさを教えるように、腰を太腿に押しつけゆっくりと上下させた。
彼女の柔らかな肌は押し当てられた肉棒の形にへこみ、上下にあわせてすべすべした肌で屹立を撫でた。緊張のためか、脚を上げているためか、太腿の奥の筋肉のこわばりが肌と脂肪越しに肉棒を軽く押し返す。優しく受け入れながらも芯は抵抗しているかのような、一見矛盾した感触は非常に心地よかった。
「ん、ん・・・はや・・・く・・・!」
うっとりと腰を動かしていると、お嬢様が呻きながら促した。
横向きになったことで自在に動く尻尾は、彼女の三角形の耳とともにピクピクと震え、お嬢様の手はシーツを握る指に力を込めていた。太腿からの快感に耐え、股間の疼きを堪えているのだ。
僕は一度腰をはなすと、彼女の求めに応じ、屹立を桃色の亀裂に埋めた。
「んぁ、あぁぁぁ・・・」
お嬢様が目を開き、背筋をそらせながら声を上げた。金色の尻尾は三本ともぴんと伸び、小さくふるえている。僕の記憶が正しければ、お嬢様はまだ処女だったはず。おそらく、甘い快感の中に飛び込んだ破瓜の痛みが、彼女の体を硬直させているのだ。
僕は、肉棒の挿入を半ばで止めると、抱き寄せていた彼女の脚を愛撫し始めた。彼女の痛みを紛らわせ、女陰が肉棒になじむのを待つためだ。
柔らかな膣肉がきゅうきゅうと肉棒を締めるのを感じながら、僕は彼女の踝に舌を触れさせた。同時に、彼女の膝を指先で撫で、太腿の半ばを手のひら全体で包み込む。
破瓜の痛みに硬直していた太股の筋肉が、手のひらの温もりに一瞬震え、徐々に柔らかくなっていく。膝の皿を押さえていた筋肉も遅れてゆるみ、指先の動きにあわせ、皮膚の下で小さく動く。
「んぁ・・・あ・・・」
痛みによって一瞬かき消されていた快感が再び芽吹いたためか、お嬢様の口から小さく声があふれ始めた。
僕は膝をくすぐる指の動きを徐々に大きく、円を描くようにしていき、同時に太腿に当てていた手を少しずつ動かし始めた。
手のひらが彼女の太腿を上下に擦るに連れ、彼女の表情から緊張が消えていく。
指先が膝、というよりもすねの上部と太腿の下部と膝の左右を順番にくすぐるにつれ、張りつめていた尻尾がくたりと力を失い、シーツの上に広がる。
そして、もはや数十度目になるのかわからなくなったキスを、彼女のくるぶしに加える度、ぎちぎちと締めあげるばかりだった膣がゆるむ。
そして、処女喪失のショックを乗り越えたのか、膣壁がおっかなびっくりと屹立を締めては緩めを繰り返しはじめた。
どうやら彼女の体もまた、僕に気持ちよくなってほしいようだった。
お嬢様の無意識の心遣いに、胸の奥に生じた暖かいものを感じながら、僕は止めていた腰をゆっくりと進めた。
塗れた女陰が肉棒を徐々に飲み込み、異物に馴れないながらも膣壁が屹立を受け入れていく。もちろん、彼女の足を愛撫し、快感のお返しをしながらだ。
そして、僕の肉棒が根本まで飲み込まれる直前で、亀頭が柔らかな行き止まりに阻まれた。膣底に達したのだ。
「っは・・・!」
お嬢様が腹の奥に達した異物感に、息を絞り出す。僕はそれ以上腰を突き入れるようなことはせず、ゆっくりと引いていった。
異物感と圧迫感が体内から退いていく感覚に、お嬢様は今度はほっと息をついた。だが、肉棒が半ばまで抜けたところで、再び腰が進む。
ゆっくりとした腰の動きであったが、彼女の息を絞り出すには十分だった。
だが、数度前後に揺するうち、彼女の出入りする吐息に甘い物が宿り始めた。膣がこなれて、快感を生み出し始めているのである。それどころか、膣壁が出入りする屹立に絡みつき、僕に快感を与え始めていた。
つい先ほどまで処女だったお嬢様の女陰は、屹立から精液を絞り出そうと蠢動する。彼女の太腿に押し当てていたせいで、絶頂に近づきつつあった僕の肉棒は、彼女の柔肉のもたらす快感に打ち震えていた。
「・・・ぐ・・・!」
腰の奥からこみ上げてくる射精感を堪えながら、僕は彼女の太腿を撫で、ふくらはぎからくるぶしまでを舐め上げた。
彼女の太腿にぴくりと力がこもり、彼女もまた強烈な快感を覚えていることがわかる。
「んっ・・・ふ・・・ぁ・・・!」
「ぐ・・・ぅ・・・!」
僕とお嬢様は、途切れ途切れの嬌声を漏らしながら、ぎりぎりのところで寄せては返す快感の波に耐えていた。
しかし、いつまでも耐えられるはずもなく、僕が先にきゅっと締め付けてきた膣壁に屈してしまった。
肉棒が震え、腹の奥から精液が尿道を駆け上っていく。反射的に腰を突きだし、彼女の膣奥に亀頭を押し当てながら、僕は射精した。
「・・・!」
お嬢様が尻尾をピンとのばし、背筋をそらして口元に手を当てながら、体内に注がれる精液の熱に全身を震わせた。快感による体のふるえは、直後絶頂の痙攣となり、彼女の意識を解き放っていった。
一瞬、僕とお嬢様のすべてが白く染まり、やがて全身のけだるさと甘い陶酔感だけが取り残された。
気がつくと僕はベッドに寝転がっており、射精も止んでいた。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
おそらく初めてであろう、膣からの快感による絶頂に、お嬢様は荒く息をついていた。しかしそれでも、お嬢様は呼吸を整え、言葉に興奮の残り火を宿しながらも、どうにか紡いだ。
「これで、いいわ・・・」
直後、お嬢様の部屋の扉が開いた。
「やあやあ、これは参ったぞ!」
「お見合いを控えた娘が、召使いに手込めにされてしまったわ!」
どこか棒読みの口調で、お嬢様の部屋に一組の男女が入ってきた。
中年手前の男と、七本の尻尾を腰の後ろで揺らす若く見える妖狐。そう、旦那様と奥様だ。
「え?」
僕は二人の乱入に、首をひねって間の抜けた声を漏らすことしかできなかった。
「召使いに手を出された娘をお見合いに出すわけにはいかんなあ!」
「ええ!でもせっかく肌を重ねるほどの相手が見つかったのだから、この娘の結婚は決まったようなものね」
二人は棒読み口調の中におかしくてたまらない、といった気配を混ぜ込みつつ続けると、ぴたりと僕に向き直った。
「というわけで、よろしく頼むぞ婿殿」
「この娘をどうかよろしくね?」
「え?旦那様に奥様なにを言って・・・え?婿殿・・・え?」
二人がなにを言っているのか、徐々に僕の意識が理解していった。
そして、はたとお嬢様の方に目を向けると、彼女は僕の方を顔を赤らめながらみていた。
「よろしく、ね・・・」
「よろしくって・・・え?お見合いがいやだから、僕を・・・?」
まあ、お嬢様と結ばれるのはありがたいところであったが、そういう理由はいかがなものだろう。
そう僕が考えていると、彼女は三角形の耳もちぎれんばかりにぶるぶると首を振った。
「違うわよ!お見合いがいやだからじゃなくて、その・・・」
「あなたのことが好きだったから、お見合いがイヤだったのよ」
しどろもどろになる娘に、奥様が彼女の言葉を代弁した。
「まあ、いろいろある娘だが、よろしく頼む」
旦那様がそう頭を下げると、お二人は顔を見合わせて続けた。
「それじゃあ、ここからは若い二人に任せて、ということで」
旦那様がそういい、お二人は部屋の外に退き、ドアを閉めていった。
「でも、程々にしておきなさいよ。臨月や乳飲み子抱えての結婚式とか、大変よ」
扉が閉まる直前の奥様の言葉に、俺はようやくまだお嬢様とつながっていることに気がついた。
「しまった・・・!」
とっさに肉棒を抜こうとするが、彼女の膣壁がにゅるりと絡み付き、僕の腰に彼女の両足が巻き付く。
「まだ・・・もう少し・・・」
膣と彼女の足、そしてお嬢様自身の言葉に捕らわれながら、僕は肉棒が屹立していくのを感じていた。
12/09/27 14:37更新 / 十二屋月蝕
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■作者メッセージ
「足フェチ・・・いや、脚フェチだな」
「イエス足フェチというより脚フェチですサー」
「太腿いいよね」
「イエス太腿いいですサー」
「足の指の間舐めたりとか、ムレムレストッキング足を顔に乗せたりとかはないのかね」
「ノー足の指の間舐めたりとか、ムレムレストッキング足を顔に乗せたりとかですサー」
「ライト指向かね」
「イエス若干蒸れた足で顔面グリグリしてそのまま顔面キックして鼻血でてくるけど黙々と指の間舐めていたらお嬢様が鼻血吸ってくれたよ、やろうとしたけどこれは明らかにヴァンパイアの仕事ですのでくるぶしより下を排除した若干ライト指向ですサー」
「若干、若干って何だ」
「イエス歯止めをかけることですサー」

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