(45)フェアリー
妖精を連れていると幸運に恵まれる。
男は、その言葉が迷信などではないことを知っていた。
「ねえねえねえねえ、もうすぐ着く?もうすぐ着く?」
「いや、まだだ」
馬車の御者席で、男は頭の上から響いた甲高い声に、目を向けることなく答えた。
「昨日出たばっかりだから、着くのは明日だ」
目的地までの距離と馬車の速度から、彼はそう続ける。
「だったら今日お泊まりだね!お外でお泊まりだね!」
「そうだな。今日もだな」
前方に続く道をみながら彼は頷いた。
すると、頭の上に乗っていた微かな重みがふわりと消え去り、彼の眼前に小さな影が入った。
背中からチョウチョのような羽をはやした少女だ。ただ、彼女の身の丈は男の頭ほどの大きさしかなく、彼女がフェアリーであることを示していた。
「今日はどこでお泊まりする!?」
フェアリーは問いかけながら男の視界を横切り、彼の肩に腰を下ろした。大きさこそ男の頭ほどあるが、重さはほとんどない。冬場にコートを羽織っていたときの方が、まだ肩が重いほどだ。
「日が暮れるまで進んでからだな」
男はフェアリーの問いかけに、いちいち律儀に答えていた。
面倒くさい、鬱陶しい、などという感情とはとっくの昔に別れを告げていた。
むしろ、町から町へ移動する際のいい暇つぶしになるし、なにより一人きりでないというのがいい。以前は馬に話しかけるばかりだったが、会話できるというのが一番よかった。
「ねえねえねえねえ!次はどんな町だっけ!?」
「次の町はすごいぞ。町の中のあちこちを川が流れていて、道路より川の方が多いぐらいだ」
「だったら、船であっちこっちに移動しているの?」
「そうだ。知っているのか?」
「知らなかった!見てみたい!」
次の町への期待をフェアリーが膨らませ、男がそれに答える。
暖かな日差しの下、一人と一匹と一大の馬車はゆっくりと進んでいた。
そして、太陽が沈み、月明かりが照らす街道沿いに、一大の馬車が止まっていた。
傍らでは焚き火が起こしてあり、男がそのそばに腰を下ろしている。
男は片手に金属製のカップを握り、ちびちびとその中の酒を飲んでいた。
「それでね、おばあさまがね、『全速力でとばすわよ』って!」
「そうか」
あぐらをかく男の太股の上に腰を下ろしたフェアリーガ、彼に向けておしゃべりしていた。
男は時折相づちを打つが、酒が程良く回っているためか、ほとんどフェアリーの言葉の内容を理解していない。
だが、フェアリーは話せればそれでいいと行った様子で言葉を紡ぎ続け、男も彼女の声音を聞くことに不快感はないようだった。
パチパチと焚き火の中で薪が爆ぜ、あたりをゆらゆらと光が照らす。
すると、不意にフェアリーが口を閉ざした。
「どうした?眠くなったか?」
人間とは違う存在とはいえ、基本的には子供と一緒だ。疲れれば大人しくなるし、突然眠ってしまうことも多々ある。
しかし、フェアリーは彼の太股の上で小さく首を左右に振った。
「違うの・・・ここが変なの・・・」
フェアリーは小さな手のひらでその平らな胸を押さえると、先ほどとはうって変わって大人しい口調で、そう男に異常を訴えた。
「またか・・・」
男は、フェアリーの症状に心当たりも覚えもあった。
「ねえ・・・ちゅーしていい・・・?」
フェアリーが男を見上げ、そう控えめに尋ねる。
「好きにしろ」
「うん・・・」
男が許可を出すが、フェアリーは声を上げるわけでもなく、小さく頷いてから彼の太股から立った。
蝶のような薄い羽を細かく震わせ、彼女は体を浮かべる。そして、男の顔のすぐ前に舞う彼女のため、男は手を差し出した。
男の手のひらの上にフェアリーが舞い降り、羽ばたきを止める。彼女はしばし、手の上でもじもじとしていたが、やがて意を決したように男の方へ歩み寄った。
そして、男の頬に小さな手を触れさせ、自身の唇を彼のそれに重ねた。
「ん・・・」
マチ針の尻ほどの大きさのフェアリーの唇が、男の上唇を幾度も吸う。
小さな小さな唇が、少しずつ場所を変えながら接吻を繰り返した。そして、フェアリーは唇を開くと舌を出し、彼の唇をぺろりと舐めた。
男が彼女に応えるように、唇の間から舌の先端を出すと、フェアリーは舌と舌を触れ合わせた。
フェアリーの甘い舌先が、男の味覚を刺激する。
そして、唇を吸い、舌を舐めを繰り返したところで、フェアリーは男から顔を離した。
「落ち着いたか?」
「・・・・・・」
フェアリーは顔を赤らめたまま、顔を左右に揺すった。
「まだ、変なの・・・ここがきゅんってして・・・」
平たい胸を覆う衣服を両手でつかみながら、彼女はそう男に訴える。
どうやら、無自覚に蓄積されたフェアリーの性欲は、本気で対応しなければ処理しきれないようだ。
「わかった」
男は彼女に応えると、フェアリーを乗せているのとは別の手で、彼女のスカートの端を摘んだ。するとフェアリーはすぐさま両手を、バンザイでもするかのように高々と掲げた。
男の手が上がり、フェアリーの服が裏が選りながら脱がされていく。
そして、小さな下着で腰だけを覆う、フェアリーの裸身が晒された。
「・・・」
フェアリーが、自身の薄い胸の先端、虫さされのようにも見える小さく控えめな乳首と乳輪を、恥ずかしげに両手で隠した。
「どうした、そのままじゃいつまでも辛いぞ」
さすがに下着を無理矢理脱がせるわけにも行かず、男はそう彼女に促した。フェアリーはしばし逡巡してから、胸元を覆う手をおろし、下着を脱いだ。
ほっそりとした、軽く握るだけでも壊れてしまいそうなほど華奢な彼女の全身が、ようやく露わになる。
そして、男は彼女の両足の付け根から、太股の内側が少し濡れていることに気がついた。
「こっちに来い」
男が手を少しだけ上に上げると、フェアリーは彼の手の縁に歩み寄った。ちょうど、彼女の股間が男の口元に近づく。
男は唇をすぼめ、わずかに足を擦り合わせるフェアリーのそこに吸い着いた。
「ん・・・」
フェアリーが何かを堪えるように声を漏らし、羽を震わせた。
男は彼女が退かぬよう、もう片方の手を彼女の背後に回し、彼女の腰のあたりに指を触れさせた。
そしてすぼめていた唇を開き、フェアリーの股間を舐める。
柔らかですべすべとした細い二本の太股と、その間に刻まれた小さな亀裂が男の舌先を撫でた。また、彼の舌は太股を濡らす甘い液体が、小さな亀裂から滲みだしていることを確認した。
「ひぅ、ひゃ・・・!」
一舐めごとに、フェアリーが小さな体を震わせ、声を上げる。しかし必死に耐えるような声音とは裏腹に、彼女は両足を開き、腰を男の口に押しつけていた。
男の舌の動きに合わせ、小指が入るかどうかという女陰をグリグリと押し当てる。
この行為が心地よく、どうすればより強い快感を得られるか、彼女は知っているのだ。
「ふぅ・・・んん・・・!」
顔を赤らめ、吐息にあえぎ声を隠しながら、フェアリーは会館をむさぼっていた。
そして、男が舌先を女陰に当てた瞬間、彼女がぐいと腰をつきだし、全身を震わせた。
女陰の奥から甘い液体が迸り、彼の舌や唇を濡らす。
「ん・・・んん・・・!」
ぶるぶると全身を戦慄かせつつ、彼女は小さく声を漏らした。
そして、彼女の全身から力が抜け、くたりと倒れ込む。
男はとっさに彼女の腰を押さえていた指を離し、転倒しつつあったフェアリーの体を受け止めた。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
彼女は、その見目幼い外見にそぐわない、肉欲のもたらす快感にとろけきった表情を浮かべ、荒く呼吸を重ねていた。
「満足したか?」
彼女の姿に、胸の奥でざわざわとしたものを感じながら、彼はそう尋ねた。しかし彼女は、絶頂の余韻に浸りながらも、男に向けて小さく頭を振った。
「まだ・・・」
「そうか・・・」
だとすればやることは決まっている。男は小指を立て、残りの指をぎゅっと握ると、フェアリーの股間に手を近づけた。
フェアリーが目を開き、股間に迫る彼の右手を注視した。
男の指先が、フェアリーの女陰にふれ、軽く圧迫する。すると、きれいな一本筋の亀裂が、指先の圧迫に左右に開き、その奥に押しとどめていた甘い粘液で小指の先端を濡らした。
ぬめる粘液により、男の指は徐々に彼女の胎内に入っていく。
「ん・・・あ・・・!」
胎内に押し入っていく、下手すれば彼女の手首ほどはある太さの小指に、フェアリーは歓喜の声を上げた。
フェアリーの膣内はもちろん狭く、男の小指を救急と締め付けてきた。だがそれは、単純に狭さだけの締め付けではなく、男の小指を締めながらも起伏の浅い襞がにゅるにゅると撫でた。
フェアリーの膣襞が小指の指紋に引っかかり、膣壁が挿入によって擦られる。
「ん・・・ん、あ・・・」
小指の第一関節までを挿入したところで、指先が膣の奥の行き止まりにふれた。先端から少しずれたところに、コリコリとした固いものが当たっている。フェアリーの子宮口だ。
こんな小さな、子供のような外見をしているというのに、立派に子を宿す部分が存在しているのだ。それがちゃんと機能するかどうかは別にして、男はフェアリーの肉体にこうする度に、感慨のようなものを覚えた。
「ねぇ・・・うご、かして・・・ぇ・・・!」
指を膣奥まで挿入して止まっている男に、フェアリーが甘い声で切なげに求める。
男ははたと我に返ると、彼女の求めるまま手を動かし始めた。
ゆっくり、小さく。決してかき回さず、決して奥まで突き入れずにだ。
だが、それでも彼女の膣壁は男の指紋によって擦られ、子宮口と膣奥はこつんこつんと幾度も小突かれた。
「あ、あ、あぁ、あ・・・!」
指を引き抜き、小さく突き入れる。細かなストロークに、フェアリーは背筋をそらし、拳を握りしめながら嬌声をあげていた。
彼女の薄い胸の先端では、虫さされのようだった乳首が膨れていた。
彼女の痴態に、ズボンの内側で男が屹立する。
むろん、彼女に彼の勃起を突き込むことなど不可能だ。だが、こうして小指を前後させているだけでも、男はあたかも彼女と体を重ねているような気分になっていた。
「ん、んぁ、あぁ、ん・・・!」
目をぎゅっと閉じ、身をくねらせ、昼間おしゃべりを紡いでいた口で甘い声を放つ。
かわいらしい服に隠していた、彼の頭や肩を行ったり来たりしていた小さな体が、男の小指のもたらす快感に打ち震えている。
昼と夜のフェアリーのギャップに、男は興奮していた。そして、無意識のうちに、抑えていたはずの小指の動きが大きくなり、次第に彼女の膣奥を深く突くようになった。
「んぁ、あぁ!ん、んぎ・・・!」
原の奥を遠慮なく打つ小指の先端に、フェアリーの声に濁ったものが混ざる。しかしそれは決して苦悶の声などではなく、むしろ彼女の快感の強さを喧伝するものだった。
一方男も、ズボンの内側の屹立が細かく脈動し、もはや射精寸前になっていた。
男は、自身の肉体が精液を吐き出すのを求めるがまま、小指を大きく動かし、深くフェアリーの膣に突き入れた。
瞬間、彼女の膣壁が引き延ばされ、子宮が突き上げられ、彼女の脳天に快感が打ち込まれる。
「んぎ・・・!」
フェアリーが歯を食いしばり、目を開くと同時に彼女の体が痙攣した。小刻みに訪れていた絶頂を飲み込む、大きな絶頂がもたらされたのだ。
「〜〜〜〜っ!」
歯を食いしばったまま、彼女は瞳をぐるりと上に向け、半ば白目をむきながら、手足を弛緩させた。強烈な絶頂のあまり、失神したのだ。
だが、脱力した彼女の四肢は細かく震え、夢心地にありながらも彼女が快楽の海を漂っていることを示していた。
男は膣奥まで突き入れていた指をそっと引き抜くと、彼女の体を草の上に広げていた布の上に横たわらせた。
そして、全身を桃色に上気させながらまどろむフェアリーを見ながら、彼はズボンと下着をおろした。
固さを保ち、小さく震える屹立が、夜気に触れた。
やはり、小指を前後させているだけでは絶頂に至れなかったのだ。
男は、今度は自身の欲求不満を解決すべく、肉棒を握った。彼の目はフェアリーの全身を舐め回すように見ていたが、流石にぽっかり開いたままの女陰に突き入れるわけには行かない。
男は彼女を見ながら、肉棒をしごき始めた。
しかし、先ほどのような小指をフェアリーの膣に入れていたときほどの興奮は沸き起こらなかった。
温もりがほしい。肉の感触がほしい。
男はあぐらを解き、地面に膝を突くと、屹立を横たわるフェアリーに近づけた。挿入するわけでも、眠る彼女の体に擦りつけるわけでもない。単に、彼女の温もりをわずかでも感じようとしての動きだった。
すると、フェアリーの体がぴくんと震え、瞬きとともに白目をむきかけていた瞳が元に戻る。
「あ・・・おちんちん・・・!」
目の前にかざされる屹立を見上げ、意識を取り戻したフェアリーが呟いた。
彼女は手を伸ばすと、男の肉棒に抱きついた。
「う・・・!」
フェアリーの体の温もりに男は声を漏らすが、フェアリーは肉棒に抱きつきながら、亀頭と裏筋の境に頬ずりした。
「おちんちん・・・おちんちん・・・」
「こ、擦るな・・・出る・・・!」
「出して・・・いっぱいちょうだい・・・!」
フェアリーは薄い乳房で男の屹立を擦りながらそう彼に求めると、亀頭の先端をのぞき込んだ。
同時に、男に限界が訪れ、鈴口から白濁が迸った。
「きゃ・・・!」
顔を打つ精液にフェアリーが声を上げるが、勢いは変わらない。
白濁した粘液は、彼女の顔にへばりつき、開いた口の中を満たしていく。
そして、男は高まりきっていた興奮を放ち終えると、肉棒に添えていた手を離した。
「ん・・・」
同時に、フェアリーもしがみついていた屹立から手を離すと、白濁に塗れた顔もそのままに、上半身を起こした。
口中の粘液を数度咀嚼して、音を立てて飲み込むと、彼女はにっこりほほえみながら男を見上げた。
「おいしかった」
男の劣情にまみれたまま微笑むフェアリーの笑顔は、どこまでも無垢で、どこまでも淫らだった。
翌朝、日がまだ低いうちに馬車が動き出した。
「ねえねえねえねえ!今日着くの!?今日着くの!?」
御者席に腰掛ける男に、フェアリーが問いかける。
「そうだ。昼前には着く」
「ご飯は?」
「向こうで食べるとしよう」
「楽しみー!」
彼女は笑顔でそう言った。
男の肩の上でおしゃべりするフェアリーに、昨夜の面影は残っておらず、欲情するのがはばかれるほど純真だった。
だが、男は知っている。彼女の痴態と、もう一つの本性を。
妖精は幸運をもたらす。この言葉は事実だ。
彼女は男に、二面性を抱えたフェアリーと出会えた、という好運をもたらしたのだから。
男は、その言葉が迷信などではないことを知っていた。
「ねえねえねえねえ、もうすぐ着く?もうすぐ着く?」
「いや、まだだ」
馬車の御者席で、男は頭の上から響いた甲高い声に、目を向けることなく答えた。
「昨日出たばっかりだから、着くのは明日だ」
目的地までの距離と馬車の速度から、彼はそう続ける。
「だったら今日お泊まりだね!お外でお泊まりだね!」
「そうだな。今日もだな」
前方に続く道をみながら彼は頷いた。
すると、頭の上に乗っていた微かな重みがふわりと消え去り、彼の眼前に小さな影が入った。
背中からチョウチョのような羽をはやした少女だ。ただ、彼女の身の丈は男の頭ほどの大きさしかなく、彼女がフェアリーであることを示していた。
「今日はどこでお泊まりする!?」
フェアリーは問いかけながら男の視界を横切り、彼の肩に腰を下ろした。大きさこそ男の頭ほどあるが、重さはほとんどない。冬場にコートを羽織っていたときの方が、まだ肩が重いほどだ。
「日が暮れるまで進んでからだな」
男はフェアリーの問いかけに、いちいち律儀に答えていた。
面倒くさい、鬱陶しい、などという感情とはとっくの昔に別れを告げていた。
むしろ、町から町へ移動する際のいい暇つぶしになるし、なにより一人きりでないというのがいい。以前は馬に話しかけるばかりだったが、会話できるというのが一番よかった。
「ねえねえねえねえ!次はどんな町だっけ!?」
「次の町はすごいぞ。町の中のあちこちを川が流れていて、道路より川の方が多いぐらいだ」
「だったら、船であっちこっちに移動しているの?」
「そうだ。知っているのか?」
「知らなかった!見てみたい!」
次の町への期待をフェアリーが膨らませ、男がそれに答える。
暖かな日差しの下、一人と一匹と一大の馬車はゆっくりと進んでいた。
そして、太陽が沈み、月明かりが照らす街道沿いに、一大の馬車が止まっていた。
傍らでは焚き火が起こしてあり、男がそのそばに腰を下ろしている。
男は片手に金属製のカップを握り、ちびちびとその中の酒を飲んでいた。
「それでね、おばあさまがね、『全速力でとばすわよ』って!」
「そうか」
あぐらをかく男の太股の上に腰を下ろしたフェアリーガ、彼に向けておしゃべりしていた。
男は時折相づちを打つが、酒が程良く回っているためか、ほとんどフェアリーの言葉の内容を理解していない。
だが、フェアリーは話せればそれでいいと行った様子で言葉を紡ぎ続け、男も彼女の声音を聞くことに不快感はないようだった。
パチパチと焚き火の中で薪が爆ぜ、あたりをゆらゆらと光が照らす。
すると、不意にフェアリーが口を閉ざした。
「どうした?眠くなったか?」
人間とは違う存在とはいえ、基本的には子供と一緒だ。疲れれば大人しくなるし、突然眠ってしまうことも多々ある。
しかし、フェアリーは彼の太股の上で小さく首を左右に振った。
「違うの・・・ここが変なの・・・」
フェアリーは小さな手のひらでその平らな胸を押さえると、先ほどとはうって変わって大人しい口調で、そう男に異常を訴えた。
「またか・・・」
男は、フェアリーの症状に心当たりも覚えもあった。
「ねえ・・・ちゅーしていい・・・?」
フェアリーが男を見上げ、そう控えめに尋ねる。
「好きにしろ」
「うん・・・」
男が許可を出すが、フェアリーは声を上げるわけでもなく、小さく頷いてから彼の太股から立った。
蝶のような薄い羽を細かく震わせ、彼女は体を浮かべる。そして、男の顔のすぐ前に舞う彼女のため、男は手を差し出した。
男の手のひらの上にフェアリーが舞い降り、羽ばたきを止める。彼女はしばし、手の上でもじもじとしていたが、やがて意を決したように男の方へ歩み寄った。
そして、男の頬に小さな手を触れさせ、自身の唇を彼のそれに重ねた。
「ん・・・」
マチ針の尻ほどの大きさのフェアリーの唇が、男の上唇を幾度も吸う。
小さな小さな唇が、少しずつ場所を変えながら接吻を繰り返した。そして、フェアリーは唇を開くと舌を出し、彼の唇をぺろりと舐めた。
男が彼女に応えるように、唇の間から舌の先端を出すと、フェアリーは舌と舌を触れ合わせた。
フェアリーの甘い舌先が、男の味覚を刺激する。
そして、唇を吸い、舌を舐めを繰り返したところで、フェアリーは男から顔を離した。
「落ち着いたか?」
「・・・・・・」
フェアリーは顔を赤らめたまま、顔を左右に揺すった。
「まだ、変なの・・・ここがきゅんってして・・・」
平たい胸を覆う衣服を両手でつかみながら、彼女はそう男に訴える。
どうやら、無自覚に蓄積されたフェアリーの性欲は、本気で対応しなければ処理しきれないようだ。
「わかった」
男は彼女に応えると、フェアリーを乗せているのとは別の手で、彼女のスカートの端を摘んだ。するとフェアリーはすぐさま両手を、バンザイでもするかのように高々と掲げた。
男の手が上がり、フェアリーの服が裏が選りながら脱がされていく。
そして、小さな下着で腰だけを覆う、フェアリーの裸身が晒された。
「・・・」
フェアリーが、自身の薄い胸の先端、虫さされのようにも見える小さく控えめな乳首と乳輪を、恥ずかしげに両手で隠した。
「どうした、そのままじゃいつまでも辛いぞ」
さすがに下着を無理矢理脱がせるわけにも行かず、男はそう彼女に促した。フェアリーはしばし逡巡してから、胸元を覆う手をおろし、下着を脱いだ。
ほっそりとした、軽く握るだけでも壊れてしまいそうなほど華奢な彼女の全身が、ようやく露わになる。
そして、男は彼女の両足の付け根から、太股の内側が少し濡れていることに気がついた。
「こっちに来い」
男が手を少しだけ上に上げると、フェアリーは彼の手の縁に歩み寄った。ちょうど、彼女の股間が男の口元に近づく。
男は唇をすぼめ、わずかに足を擦り合わせるフェアリーのそこに吸い着いた。
「ん・・・」
フェアリーが何かを堪えるように声を漏らし、羽を震わせた。
男は彼女が退かぬよう、もう片方の手を彼女の背後に回し、彼女の腰のあたりに指を触れさせた。
そしてすぼめていた唇を開き、フェアリーの股間を舐める。
柔らかですべすべとした細い二本の太股と、その間に刻まれた小さな亀裂が男の舌先を撫でた。また、彼の舌は太股を濡らす甘い液体が、小さな亀裂から滲みだしていることを確認した。
「ひぅ、ひゃ・・・!」
一舐めごとに、フェアリーが小さな体を震わせ、声を上げる。しかし必死に耐えるような声音とは裏腹に、彼女は両足を開き、腰を男の口に押しつけていた。
男の舌の動きに合わせ、小指が入るかどうかという女陰をグリグリと押し当てる。
この行為が心地よく、どうすればより強い快感を得られるか、彼女は知っているのだ。
「ふぅ・・・んん・・・!」
顔を赤らめ、吐息にあえぎ声を隠しながら、フェアリーは会館をむさぼっていた。
そして、男が舌先を女陰に当てた瞬間、彼女がぐいと腰をつきだし、全身を震わせた。
女陰の奥から甘い液体が迸り、彼の舌や唇を濡らす。
「ん・・・んん・・・!」
ぶるぶると全身を戦慄かせつつ、彼女は小さく声を漏らした。
そして、彼女の全身から力が抜け、くたりと倒れ込む。
男はとっさに彼女の腰を押さえていた指を離し、転倒しつつあったフェアリーの体を受け止めた。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
彼女は、その見目幼い外見にそぐわない、肉欲のもたらす快感にとろけきった表情を浮かべ、荒く呼吸を重ねていた。
「満足したか?」
彼女の姿に、胸の奥でざわざわとしたものを感じながら、彼はそう尋ねた。しかし彼女は、絶頂の余韻に浸りながらも、男に向けて小さく頭を振った。
「まだ・・・」
「そうか・・・」
だとすればやることは決まっている。男は小指を立て、残りの指をぎゅっと握ると、フェアリーの股間に手を近づけた。
フェアリーが目を開き、股間に迫る彼の右手を注視した。
男の指先が、フェアリーの女陰にふれ、軽く圧迫する。すると、きれいな一本筋の亀裂が、指先の圧迫に左右に開き、その奥に押しとどめていた甘い粘液で小指の先端を濡らした。
ぬめる粘液により、男の指は徐々に彼女の胎内に入っていく。
「ん・・・あ・・・!」
胎内に押し入っていく、下手すれば彼女の手首ほどはある太さの小指に、フェアリーは歓喜の声を上げた。
フェアリーの膣内はもちろん狭く、男の小指を救急と締め付けてきた。だがそれは、単純に狭さだけの締め付けではなく、男の小指を締めながらも起伏の浅い襞がにゅるにゅると撫でた。
フェアリーの膣襞が小指の指紋に引っかかり、膣壁が挿入によって擦られる。
「ん・・・ん、あ・・・」
小指の第一関節までを挿入したところで、指先が膣の奥の行き止まりにふれた。先端から少しずれたところに、コリコリとした固いものが当たっている。フェアリーの子宮口だ。
こんな小さな、子供のような外見をしているというのに、立派に子を宿す部分が存在しているのだ。それがちゃんと機能するかどうかは別にして、男はフェアリーの肉体にこうする度に、感慨のようなものを覚えた。
「ねぇ・・・うご、かして・・・ぇ・・・!」
指を膣奥まで挿入して止まっている男に、フェアリーが甘い声で切なげに求める。
男ははたと我に返ると、彼女の求めるまま手を動かし始めた。
ゆっくり、小さく。決してかき回さず、決して奥まで突き入れずにだ。
だが、それでも彼女の膣壁は男の指紋によって擦られ、子宮口と膣奥はこつんこつんと幾度も小突かれた。
「あ、あ、あぁ、あ・・・!」
指を引き抜き、小さく突き入れる。細かなストロークに、フェアリーは背筋をそらし、拳を握りしめながら嬌声をあげていた。
彼女の薄い胸の先端では、虫さされのようだった乳首が膨れていた。
彼女の痴態に、ズボンの内側で男が屹立する。
むろん、彼女に彼の勃起を突き込むことなど不可能だ。だが、こうして小指を前後させているだけでも、男はあたかも彼女と体を重ねているような気分になっていた。
「ん、んぁ、あぁ、ん・・・!」
目をぎゅっと閉じ、身をくねらせ、昼間おしゃべりを紡いでいた口で甘い声を放つ。
かわいらしい服に隠していた、彼の頭や肩を行ったり来たりしていた小さな体が、男の小指のもたらす快感に打ち震えている。
昼と夜のフェアリーのギャップに、男は興奮していた。そして、無意識のうちに、抑えていたはずの小指の動きが大きくなり、次第に彼女の膣奥を深く突くようになった。
「んぁ、あぁ!ん、んぎ・・・!」
原の奥を遠慮なく打つ小指の先端に、フェアリーの声に濁ったものが混ざる。しかしそれは決して苦悶の声などではなく、むしろ彼女の快感の強さを喧伝するものだった。
一方男も、ズボンの内側の屹立が細かく脈動し、もはや射精寸前になっていた。
男は、自身の肉体が精液を吐き出すのを求めるがまま、小指を大きく動かし、深くフェアリーの膣に突き入れた。
瞬間、彼女の膣壁が引き延ばされ、子宮が突き上げられ、彼女の脳天に快感が打ち込まれる。
「んぎ・・・!」
フェアリーが歯を食いしばり、目を開くと同時に彼女の体が痙攣した。小刻みに訪れていた絶頂を飲み込む、大きな絶頂がもたらされたのだ。
「〜〜〜〜っ!」
歯を食いしばったまま、彼女は瞳をぐるりと上に向け、半ば白目をむきながら、手足を弛緩させた。強烈な絶頂のあまり、失神したのだ。
だが、脱力した彼女の四肢は細かく震え、夢心地にありながらも彼女が快楽の海を漂っていることを示していた。
男は膣奥まで突き入れていた指をそっと引き抜くと、彼女の体を草の上に広げていた布の上に横たわらせた。
そして、全身を桃色に上気させながらまどろむフェアリーを見ながら、彼はズボンと下着をおろした。
固さを保ち、小さく震える屹立が、夜気に触れた。
やはり、小指を前後させているだけでは絶頂に至れなかったのだ。
男は、今度は自身の欲求不満を解決すべく、肉棒を握った。彼の目はフェアリーの全身を舐め回すように見ていたが、流石にぽっかり開いたままの女陰に突き入れるわけには行かない。
男は彼女を見ながら、肉棒をしごき始めた。
しかし、先ほどのような小指をフェアリーの膣に入れていたときほどの興奮は沸き起こらなかった。
温もりがほしい。肉の感触がほしい。
男はあぐらを解き、地面に膝を突くと、屹立を横たわるフェアリーに近づけた。挿入するわけでも、眠る彼女の体に擦りつけるわけでもない。単に、彼女の温もりをわずかでも感じようとしての動きだった。
すると、フェアリーの体がぴくんと震え、瞬きとともに白目をむきかけていた瞳が元に戻る。
「あ・・・おちんちん・・・!」
目の前にかざされる屹立を見上げ、意識を取り戻したフェアリーが呟いた。
彼女は手を伸ばすと、男の肉棒に抱きついた。
「う・・・!」
フェアリーの体の温もりに男は声を漏らすが、フェアリーは肉棒に抱きつきながら、亀頭と裏筋の境に頬ずりした。
「おちんちん・・・おちんちん・・・」
「こ、擦るな・・・出る・・・!」
「出して・・・いっぱいちょうだい・・・!」
フェアリーは薄い乳房で男の屹立を擦りながらそう彼に求めると、亀頭の先端をのぞき込んだ。
同時に、男に限界が訪れ、鈴口から白濁が迸った。
「きゃ・・・!」
顔を打つ精液にフェアリーが声を上げるが、勢いは変わらない。
白濁した粘液は、彼女の顔にへばりつき、開いた口の中を満たしていく。
そして、男は高まりきっていた興奮を放ち終えると、肉棒に添えていた手を離した。
「ん・・・」
同時に、フェアリーもしがみついていた屹立から手を離すと、白濁に塗れた顔もそのままに、上半身を起こした。
口中の粘液を数度咀嚼して、音を立てて飲み込むと、彼女はにっこりほほえみながら男を見上げた。
「おいしかった」
男の劣情にまみれたまま微笑むフェアリーの笑顔は、どこまでも無垢で、どこまでも淫らだった。
翌朝、日がまだ低いうちに馬車が動き出した。
「ねえねえねえねえ!今日着くの!?今日着くの!?」
御者席に腰掛ける男に、フェアリーが問いかける。
「そうだ。昼前には着く」
「ご飯は?」
「向こうで食べるとしよう」
「楽しみー!」
彼女は笑顔でそう言った。
男の肩の上でおしゃべりするフェアリーに、昨夜の面影は残っておらず、欲情するのがはばかれるほど純真だった。
だが、男は知っている。彼女の痴態と、もう一つの本性を。
妖精は幸運をもたらす。この言葉は事実だ。
彼女は男に、二面性を抱えたフェアリーと出会えた、という好運をもたらしたのだから。
12/09/26 12:12更新 / 十二屋月蝕
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