連載小説
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(23)ホーネット
男が一人、森を歩いていると、不意に激痛が彼を襲った。
左肩から生じる痛みに目を向けると、そこには一本の槍が突き刺さっていた。槍をに沿って視線を移動させると、槍を握る手と、手に続く偉業の身体、そして目を見開き頬を紅潮させた女の顔が見えた。
短い髪の間から触覚を伸ばし、黄色と黒の縞模様で彩られた楕円形の物体を尻と腰の間から生やしたその姿は、まるで蜂のようだった。
いや、蜂のようではない。彼女は蜂の魔物なのだ。
男は悲鳴を上げようとしたが、舌が動かず、声も出なかった。それどころか、徐々に彼の両足から力が抜け、その場に崩れ落ちてしまう。
男のひざが地面に付くと同時に、彼の肩に刺さっていた槍の穂先が抜け、尻をつく頃には痛みが消えていた。そして、彼がその場に仰向けに倒れると、もはや指一本動かすこともできなくなっていた。
幸い呼吸と瞬きはできるようだが、蜂の魔物を前にそんなことができても何の意味もなかった。
これから自分はどうなってしまうのか。
美しい女の顔をした魔物を前に、男の胸中に不安が芽生える。以前、大きな蜂が芋虫に針を刺し、そのまま連れ去るところを見たことがある。
おそらく芋虫は食べられてしまったのだろうが、自分もそうなるのだろうか?
不安感が沸き起こる彼の前で、蜂女は手にしていた槍を傍らに投げ捨てた。
そしてニィ、と楽しみでたまらないと言った、期待に満ちた笑顔を浮かべながら、彼女は横たわる男の身体をまたいだ。
両足の間に、黄色と黒で彩られた楕円形の器官がぶら下がり、彼女は上半身を前に倒しながら、前屈の要領でそこに手を伸ばした。
楕円形の器官がわずかに曲がり、彼女の指先と器官の先端が触れあう。すると、彼女の指先が尖った先端に、つぷりと沈み込んだ。
一見すると鋭利に尖っているように見えたそこは、実は発達した筋肉の窄まりだったのだ。
自身の指先を受け入れたそこは、彼女の指をしっかりと咥え込み、指を押し込めば内側にへこみ、引き抜けば指先にすがりついていた。
魔物の指は出し入れを数度繰り返すだけで、てらてらと光を照り返す粘液にまみれていった。同時に、辺りに甘い香りが広がっていき、男の分身がズボンの内側で固くなった。
そして、最後に大きく穴をかき回してから、彼女は指を引き抜いた。
「ふふふふふ」
粘液にまみれた指先を舐めながら、彼女が興奮した面もちで笑う。
彼女は膝を屈めると、男のズボンに指を伸ばし、屹立を取り出す。
指で脈打つ肉棒を支えながら、彼女は紡錘型の黄色と黒で彩られた器官をゆっくりと降ろしてきた。
膨れた肉棒の先端が、指でかき回したことで薄く開いた器官の穴に、ゆっくりと飲まれていく。
肉棒の先端から、徐々に熱い肉の輪が彼自身を締め付けていった。
「うぅ・・・」
屹立を包み込んだ熱と締め付けに、男は思わず声を上げそうになった。だが、全身の痺れのおかげで、喉の奥からは低いうめき声しか出ない。
「ん・・・」
胎内に侵入する肉棒の感触と、男のごくわずかな反応に、蜂の魔物は頬を赤らめながら小さく声を漏らした。
そして、その表情に愉悦を浮かべながら、ゆっくりと彼女は腰を回した。
縞模様の器官が、彼女の腰の動きに引きずられて動き、咥え込んだ屹立でその内側をかき回した。
内壁に刻まれたわずかな凹凸が、勃起する肉棒の表面を擦り、不規則な刺激をもたらした。
ある場所ではなめらかな粘膜が優しく撫で、ある場所では折り重なる襞が作り出した溝が擦る。
肉棒を包み込む幾つもの感触は、彼に堪えがたい快感をもたらした。
決して自身の手では再現不可能な快感の波が、ゆっくりと男を苛んでいく。
麻痺した身体では歯を食いしばることもできず、興奮から気を逸らすことはできない。男の限界は近かった。
「・・・ふふ・・・」
胎内の屹立の脈動に、男の限界が近いことを悟った魔物は、その腰の動きをいっそう強めた。
酒場の踊り子などより遙かに激しく、大きく彼女の腰が上下左右に揺れ動き、肉棒を咥え込んだ縞模様の器官も踊る。
肉棒の表面がでたらめに擦られ、しごかれ、粘液を塗りたくられる。
「はぁ、はぁ・・・!」
興奮と快感と、踊るような腰の動きが魔物の頬に朱を差し、呼吸を荒くさせ、肌に汗の玉を浮かべた。
むき出しの彼女の引き締まった腹など、滲む汗によってしっとりと濡れ、てらてらと光を照り返していた。
魔物のインビな舞に、男は目からも快感をそそぎ込まれる。
そして、彼女の腰が一際大きく揺れ動いた瞬間、男は限界に達した。
「・・・・・・!」
喉の奥から小さく息を漏らしながら、彼女の胎内に白濁が弾ける。
麻痺しているにも関わらず、その勢いは魔物の胎内を突き破らんばかりだった。
「く、ぅ・・・!」
噴出する精液の勢いに、彼女は顔をしかめながら不瑠璃と身体をふるわせた。男の射精により、彼女もまた軽い絶頂へと誘われたのだ。
強い絶頂と軽い絶頂。程度の差こそあれ、二人は互いに快感を与えながら、快感の海に意識を任せた。
そして、男の射精がやんだところで、魔物は腰を上げて屹立を解放した。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
半ば倒れ込むようにしながら、男の上に覆い被さり、彼女は男の唇に吸いついた。
柔らかな肉と、ほのかな甘みが彼の唇に触れる。
すると、射精を迎えて少しだけ力を失っていた屹立が、固さを取り戻した。
「・・・・・・ふふ・・・」
蜂の魔物は、唇を離すと肉棒に手を伸ばし、軽く指を絡めながら笑みを浮かべた。
そして男は、彼女が唇を軽く舐めたところで悟った。
自分はもう、この蜂のものなのだ。あの芋虫のように。
と。
12/08/26 17:37更新 / 十二屋月蝕
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■作者メッセージ
女王蜂に選ばれず、兵隊蜂と小作り天国はもう少し後でネ。

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