連載小説
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(22)ゴブリン
山にほど近い小さな町に、私の店がある。
扱うものは日用雑貨から保存食、季節によっては裏の畑でとれる野菜などだ。
いつものように、棚に並ぶ商品の向きを揃えていたところ、ベルの鳴る音とともに扉が開いた。
「いらっしゃい」
店の入り口に目を向けつつ、そう声を掛けると、小さな人影が一つ店に入ってきた。
額の辺りから小さな角を生やした、小さな女の子。
肩に大きく膨れた布袋を担いだ彼女は、町近くの山にすむゴブリンだった。
「いらっしゃい、今日は何だ?」
「色々持ってきたよ」
彼女は棚の間を通り抜けると、カウンターの前に立った。
私はカウンターの裏から踏み台を出すと、彼女の側に置いてやった。
「じゃあ見せてくれ」
「分かった」
ゴブリンは踏み台に上って、袋をカウンターに乗せると口を開いた。
そして中から、紐で束ねられた薬草や、干した果物を採りだした。
「ふん・・・」
並べられていく品物の一つ一つを、俺はじっくりと見聞した。
この町の近くにゴブリンの群が流れてきた当初、彼女たちによる被害は多かった。多くがいたずらレベルであるものの、生活に必要な品を持ち去られる事態に、多くの住民が迷惑した。だが、彼女たちが持ち去ったのは彼女たちにとって必要なものだったのだ。山の自然は多くの恵みをゴブリンたちに与えてはいたが、それだけでは生活できないのだ。
そして、紆余曲折はあったものの、ゴブリンの群と住民の間で取り決めが交わされ、ゴブリンたちが山で作った品物を私が引き取り、必要な物を提供するようになったわけだ。
最初のうちは、群れ全員で店に押し掛け、「あれはなに?」「なにこれ?」などと興味津々に見ていた彼女たちだったが、今ではこの一人だけしかこない。
まあ、その方が私としても仕事がはかどる。
「干した果物に、香草七種。よく磨いたきれいな石と、押し花の栞・・・」
手作りの品物を並べ、一つ一つに頭の中で買い取り価格をつけていく。実際に金銭は渡さないが、こちらが提供する品物の目安にはなる。
「それで、今度はなにが必要だ?」
「えっとね・・・」
彼女は袋とは別に肩から掛けていた鞄を探ると、以前提供したメモ帳を取り出した。
「荷造り紐七束に、ナイフが八本と、砥石二つ・・・」
ずらずらと並べられる物品の名前に、俺の眉間に皺が寄っていく。
「タオルが二枚、だね」
「それで全部だな?」
「必要なんだけど・・・」
「ちょっと、足りないなあ・・・」
彼女の持ち込んだ買い取り価格と、彼女の求める品物の金額を脳裏で照らしあわせながら、私は呻いた。
「そうなの・・・?」
「確かに君たちの品物は、わりといい値段を付けられるけど、今回は量が少ないからね・・・」
こちらも商売であるため、栞一枚に馬鹿げた値段は付けられない。
「ナイフと砥石と後いくつかをあきらめれば、どうにかなるけど・・・」
「だめ、全部必要なの・・・」
彼女はおどおどと目を左右に泳がせてから、私を見上げた。
「どうしよう・・・?」
「うーむ・・・」
私は腕を組んで呻いた。ツケにできないこともないが、借金はかわいそうだ。
「そうだ!」
彼女は何かを思いついたようにぱっと顔を輝かせると、踏み台を飛び降りた。
そして、私が質問する間もなく、彼女は足早にカウンターの裏側に回り込んだ。
そして、カウンター裏に立つ私の側に駆け寄ると、股間に手を伸ばそうとした。
「お、おい」
彼女の小さな肩に手を伸ばし、押さえながら声を上げた。
「なにをしようとしてる」
「え?お金が足りないときはこうしろって・・・」
どこか困ったように、ゴブリンは私を見上げた。
彼女にそう吹き込んだのは、おそらく年上の若干ませたゴブリンだろう。聞くところによると、町の青年の一部には彼女達とつきあっている者もいるらしい。
「・・・あいつ等か」
私の脳裏に、いたずらっぽい笑みを浮かべるゴブリン達の姿が浮かんだ。
「そういう話には耳を貸さなくていい。とりあえず、今日のところは品物は渡すから、おとなしく帰りなさい」
彼女の肩を軽くたたきながらそう言う。あまり付け入られては困るから、今回だけにしよう。
彼女を回れ右させ、カウンター裏からだそうとするが、彼女は振り向こうとしなかった。
「どうした?」
彼女に問いかけると、ゴブリンは低く口を開いた。
「その・・・・・・させて、ください・・・」
顔をうつむかせ、手を小さく震わせながら、彼女はそう答えた。
「いや、今回は特別に・・・」
「あたしが、したい・・・んです・・・」
小さいながらも、はっきりとした声音で、彼女は私の言葉を遮った。
その一言に、私は耳を疑った。
「はあ?」
「夜、一人でいると店主さんの顔ばっかり浮かんで、身体がむずむずして・・・」
ぐす、と鼻をすする音を挟んで、彼女は続けた。
「お願いです、させて・・・!」
彼女はそう言いながら、私の身体を押した。
体格相応の、ごく弱い力だったが、その言葉に含まれる気迫が、私を退かせた。
一歩、また一歩と、ゴブリンに押されるまま後ろに歩き、ついに店の奥においていた椅子に膝の裏がぶつかり、座り込む。
「はぁ、はぁ・・・」
ゴブリンは頬を赤らめ、手を震わせながら私のズボンに指を伸ばした。
ズボンの前あわせを開き、その奥に隠れていた物を取り出す。
見目幼い少女を前にしている物の、私の肉棒は未だ柔らかく、正直興奮より困惑の方が大きかった。
だが、ゴブリンはなんとしてでも思いを遂げようとするように、柔らかな肉棒に指を這わせた。
「う・・・」
柔らかな指の動きに、肉棒に芯が通っていく。
一方ゴブリンも、手の中で固さと大きさを増していく肉棒の感触に、徐々に頬を赤らめ呼吸を荒くしていった。
そして、私の屹立が小さく脈打ちながら揺れるようになる頃、彼女もその辺りを全力で走り回ってきたかのように肩を上下させていた。
彼女は目を見開き、真っ赤な顔で揺れる屹立を見つめていた。
「・・・・・・!」
内心で何かを決心したのか、彼女は無言で一つうなずくと、口を開き肉棒に顔を近づけた。
そして、亀頭にはない気が当たるのが分かる距離で動きを止めると、彼女は舌をのばし、張り出したカリ首に桃色の先端をふれさせた。
柔らかな、濡れた感触が亀頭を刺激する。ごく小さな、指先でつついた程度の面積の刺激でしかなかったが、見知ったゴブリンの少女がしているという事実が、私の興奮を煽った。
彼女は数度肉棒に舌を這わせると、その小さな口をめいっぱい開いて、屹立の先端を口に含んだ。
「ん・・・!」
苦しげに呼吸を漏らしながらも、彼女は口の奥へ奥へと肉棒を咥えて以降とする。
そして、肉棒の半ばまでを咥えたところで、亀頭に柔らかで暖かな壁が触れた。
喉奥の粘膜だ。
「んん・・・!」
息苦しさにゴブリンは小さく声を漏らすが、それでも間に涙を浮かべつつ、口内の肉棒に舌を絡みつかせた。
ただでさえ小さな唇が窄まり、肉棒を締め付ける。
頬の内側の肉がすいつき、温もりと柔らかさを伝える。
そして裏筋をくすぐる彼女の舌の感触が、心地よさを私にもたらす。
「ん・・・ん・・・」
「うぅ・・・」
私の股間の上で、小さく上下に揺れるゴブリンの小さな頭に、自然と手を伸ばしていた。
彼女の頭をつかみ、股間から引きはがすわけでも、喉の奥に屹立を押し込むわけでもない。ただ、彼女の頭に手を添えただけだ。
ゴブリンは俺の手の感触に、一瞬身体をこわばらせる。だが、すぐに彼女はより強めに肉棒に舌を絡みつかせた。
どうやら、頭を撫でられていると思い、張り切っているのだろうか。
私は彼女に応えるべく、温もりを帯びたゴブリンの柔らかな髪をそっと撫でてやる。
さらさらとした髪の毛が、手のひらをくすぐっていく。
すると私の手の動きにあわせるように、彼女もまた頭を上下に揺すり始めた。
すぼめた唇が、裏筋を圧迫しつつ上下に動く。
カリ首に這わせていた小さな舌が、亀頭や裏筋の上部へ上下に動く。
温もりと締め付け、柔らかさがもたらしていた快感に、彼女の動きが加わる。
そして、私の脳裏にゴブリンの顔が浮かび上がった。
時折店を訪れて、おしゃべりをする彼女の口。その他愛のない話題を紡いでいた唇が、私の肉棒を加えている。
私の股間に頭を沈める彼女と、脳裏で話し笑う彼女。二者のギャップが私の興奮を燃え上がらせる。
彼女の頭を撫でていたはずの手は、いつの間にか動きを止め、ゴブリンの動きにあわせて上下していた。
力は入れていない。ただ頭髪に指を埋め、そっと添えているだけだ。
だというのに、ゴブリンの頭を無理矢理動かし、自身の肉棒をしごいているように感じられた。
「うぅ・・・!」
脳裏で渦巻く様々な思いが、興奮を燃え上がらせ、そして絶頂に至らせた。
腰が小さく跳ね、腹の奥から欲望が噴き出した。
「んぐっ・・・!?」
口内に溢れだした粘つく液体に、ゴブリンが身体を震わせる。
そして、彼女の喉奥がせき込むように痙攣を始めたところで、私は我に返った。
なおも肉棒に吸いつこうとする彼女の頭に力を加え、無理矢理引き離した。
「けほっ・・・ごほ・・・!」
「だ、大丈夫か!?」
せき込むゴブリンの軽い身体を抱え、背中をさすってやる。
しばしの間そうしていると、彼女は呼吸を落ち着かせ、顔を上げた。
「も、もうだいじょうぶ・・・っけほっ・・・」
小さく最後にせきを挟みながら、彼女はそう答えた。
「もう少し、がんばってから・・・」
「いや、もういい、もう十分だ」
私がそう彼女に言うと、彼女は顔を上げた。
せき込んだせいで目元には涙がにじみ、口の端や鼻からは白濁した粘液が垂れている。
だが
「だいじょうぶ・・・あたしが、やりたいから」
そう言ってほほえむ彼女の顔は、とても美しかった。
12/08/25 17:55更新 / 十二屋月蝕
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■作者メッセージ
この後ゴブリンは道具屋の嫁さんになりました、という後日談をつけようと思いましたが、冗長なのでやめました。

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