連載小説
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好感度→→→→→→→→→
   他人が怖い。だから遠ざかる。その癖、他人が居なきゃ何も出来ない。
   自分が嫌い。だから卑下する。その癖、誰よりも自分に甘い。
   希望が無い。だから考えない。その癖、今の場所は自分の居るべき所じゃないとワガママを言う。
   纏めると、俺はこんな人物だ。自他共に認める、コミュ障身勝手クソ甘えヘタレ野郎である。救いようがない。しかもその事を認めておきながら放置し、面倒という理由で努力も成長もない停滞を望んでいた。
   そんな俺がある日、強制的に連れて行かれた場所で、彼女と出会った。

『ご主人様は、自分がどうやっても変わらないと、本当にそうお思いですか……?』

   あの日、俺はその女性、フィネアに問いかけられた。
   この言葉をきっかけに、俺の人生は一転。恋人兼従者が出来るわ女性を喫茶店に誘えるようになるわ彼女の家に上がりこんでベッドで爆睡するわ、童貞と処女を物々交換したりするわ人間以外の知的生命体の存在とE.T.するわ、まあそんな感じでいろいろと想像もしていなかったイベントオンパレード状態となったのだ。
   おいおい童貞の痛い妄想か、と思うようなご都合展開と思うだろう。実際、当事者の俺だって途中まで内心半信半疑、いや2信8疑だったんだよ。
   でも、フィネアが居るって事は事実で、彼女が俺を、俺が胸張って生きれるようになる為に支えてくれる、って事もまた現実だった。実際に、フィネアと会う前と今を比較すると、かなり違うと思う。単行本十冊くらい飛ばしたかのような変化ぶりだ。たぶん。
   そうしてる内にちょっと余裕が出来たのか、俺はフィネアの事に意識を向けられるようになった。俺を支えてくれる彼女は、二次元にしかハッスル出来なかった俺をリアルに引き戻した彼女はどんな子なんだろうか、と。
   第一印象は献身的で、清楚で、芯の強い女性。それが彼女の一部分でしかない事を、俺はすぐ知る事になった。
   本当のフィネアは、俺以上に自分にコンプレックスを持っていた。自分の種族にそぐわない体質の所為で、自分を信用出来ないでいたのだ。妄想癖のあるちょっと耳年増なメイドかと思ったら尋常じゃないくらいに淫乱なメイドだったというね。
   自信喪失する彼女を見て、俺は思った。
   俺はフィネアから、何かはまあ、それが何かはよく分からないが、確かに大切なものを貰った。だから、今度は俺が彼女にあげる番だ、と。いやぁ、あの時の告白は強敵でしたね……。自信取り戻させたのはいいけど、アレ完全にプロポーズじゃないか。後から考えると身悶えする内容だった。正直死にたい。
   何はともあれ、俺はフィネアとこの世界を生きる事にした。ぶっちゃけ魔界とやらも超気になるが、まあ、それは人生二周目のお楽しみという事で。
   辛い事もある。悲しい事もある。そんなの分かってるさ。現にもうすぐ俺達の身に降りかかるんだよチクショウ。どうして俺は魔界産じゃないんだよ。
   それでも、俺は。

・・・

   穏やかで、安らかな微睡みの中をフワフワと浮かんでた俺の意識は、粘質な水音と心地良い快感を捉えながら上昇してきた。

「はむっ、んむっ、れろっ、ぺろっ、んるる、ちゅぅっ♪」

   ……何つーか、今現在何が起こってるのかすげぇ容易に予想できる。
   問題です。目を開けた先に何が待っているか、次の内から答えなさい。
   1、全裸のメイドにフェラチオされている。
   2、半裸のメイドが口でご奉仕している。
   3、俺のヨメイドがチンーコをペロペロしている。
   さあ、どれだ!?

「ーーおはようございます、ご主人様♪」

   何と。答えは『4、服を着たメイドが俺の息子を熱烈に舐っている』だった。
   ……着衣の度合いが違うだけで全部同じじゃねぇか。まあいい。

「朝食の用意が出来ましたので、それをお知らせに参りました」

   おk把握。でも起こすんだったら肩を揺らして起こしてもいいんじゃないかな。

「もちろん、朝一番のご主人様の滾りを身に受けたいと思いまして……♪」

   うむ。正直でよろしい。
   フィネアはフィネア。キキーモラって種族ではあるけど、別に『キキーモラはこうでなきゃならない』ってのは無いでしょ? だから、主人を想い過ぎて我慢できずに襲っちゃうキキーモラが居てもいいじゃない。だからエロい自分を恥ずかしがる必要なんてない。
   まあ、流石に外では色情魔思考を自重して欲しいけどさ。二人きりだったら本当、我慢しなくていいからねー。俺は『林間学校』が『輪姦学校』に聞こえるオヤジ脳だから止めないっつーかむしろカモンだから。

「ご主人様……♥」

   ほらほら。口がお留守になってるよー? 早く気持ち良くしてくれないと、俺二度寝しちゃうよー?

「もうっ♪ 仕方のない方ですねぇ……♪ ーーんんっ♪」

   再び肉棒がフィネアの口に犯され始める。
   搾り取るように吸い取るのではなく、表面を唾液でくまなくコーティングし、舌の先端でくすぐるように全体を攻められる。自然にちょっとずつ気持ち良くしていくこの感触。うーむ、実に心地良い……。急な刺激が来ないから、本当にゆっくり身体が覚醒していく感じがする。
   あ、あっ。そこ気持ちいいのぉ、あぁん。

「んむぅ、射精しそうに、ちゅ、なりましたら、何時でも、れろっ、構いませんからね?」

   ゆっくり、ゆっくりとこみ上げてくる快感。俺はそれを一切堪える事無く、力も入れないまま受け入れる。
   そして欲望の塊は精管から溢れ、舌での愛撫を続けながらカリ首に唇を引っ掛け万全の態勢で待ち構えていた従者の喉に、胃の中に収められていく。
  
「んぐっ、こくっ、ふぅっ、んんっ……♥ ぷはっ、ご馳走様でした……♥」

   本当に、美味しそうに俺のアレを飲むよなぁ。アレ、そんなに美味いのか? しょっぱいとか苦いとか不味いとか聞くんだけどさ。魔物的には、どんな味に感じるの?

「極上です」

   ……へ?

「ですから、極上です。言語という表現方法では、この味を表現する事が出来ないのです。それは私達の心を乱し、狂わせ、疼かせ、依存症を引き起こし、どんなに悪い先入観を抱いていても我慢しようと気を確かに持っていても絶対に勝てない、勝つ気すら挫く。まさしく最強にして最凶の甘美な毒なのです」

   お、おう……。何だかよく分からないが、凄い説得力だ……。目がエロエロになってないマジモードで力説するとは、そこまで魔物にとって精液ってヤバイ麻薬みたいなものなのか……。

「当然、愛する夫のものだから、という事もあります。他人の精など、消費期限の切れたヨーグルトより価値の無い存在です」

   おーい、フィネアさーん? さっきから変だよー? 精液飲み過ぎて中毒になったか、洗脳でもされたの?

「ーーはっ!? 申し訳ありません! 少々興奮してしまいました……」

   何だか好きな話のネタを振られたオタクみたいな話し方だったねー。……やっぱこの手の話が好きなのか。コレを何気ない会話のネタへ昇華するのは至難の業だなぁ……。
   何はともあれ、おはよう。フィネア。

「はい。おはようございます、ご主人様♪」

・・・

   ハムサンドとかたまごサンドとか色とりどりのサンドイッチに、ホカホカほっとする香りの湯気を立てているシチュー。積み重なった甘いスメルのパンケーキに、型崩れ0のオムレツ。完璧なタイミングで茹で上げられたウィンナーに、ダバダーなコーヒー。
   すげぇ種類と量だ、これ食い切れるのか、とか疑う余地もなく、いただきまーす!

「はいっ、どうぞ召し上がって下さい♪」

   まずはサンドイッチだ! 食パンを斜めに斬るタイプではなく、四分割して食べやすいサイズにしてある。しっかり耳も切ってあって、手間が掛かってるなぁ。さて、味は?
   ……クソッ! こんな美味い朝ご飯食っちまったら、俺もう異動先で生きていけない……!

「ふふっ♪ そう言っていただけると幸いです。ーーさぁ、こちらも冷めない内にどうぞ♪」

   スプーンを手に持ったフィネアが行った行動。それは、俺が彼女と出会い、最初にされた奉仕『あ〜ん♪』であった。
   ふふふ、いいだろう……! 俺がどれだけ成長したか、見せてやる……! こちらも堂々と口を開け、餌を待つ雛鳥のような状態で待ち構えるッッッ! むぐ。……このシチューを作ったのは誰だッ!?

「私で御座います。ーー何か、お気に入らない点でもございましたか?」

   そうだ! 美味過ぎるではないか! これではもう外のシチューがドブに感じるぞ! どう責任を取ってくれる!?

「そんな! 私が一生、ご主人様のお口に合う食事をお作り致しますから、どうかお許し下さい……!」

   それで許されると思っているのか!? そんなの当然だー!
   責任の取り方なんて、身体で取ると相場が決まっているだろう……!

「も、申し訳、ありません……っ♪ 今すぐ、償わせて頂きます……♪」

   フフフ、フィネアもノリノリだねぇ。そう。これこそ、余裕の出来た俺の冗談と、主人の行動に絶妙な返しが出来るフィネアが合わさって出来る寸劇、夫婦漫才……! 息の合った流れはそのまま彼女に服を脱がせ、朝から堕落した時間を、

「ーー!?」

   その時、玄関から来客を知らせるチャイムが鳴り響いた。
   何と無粋な。今いい雰囲気だったのに。

「……失礼します。ーーはい、今出ますよ」

   俺と同じく、いい空気を邪魔された事に気を悪くしたフィネアが応対に向かった。
   どうやら来客は宅配便だったようだ。すぐに玄関先から扉が閉まる音が聞こえた。
   さあ、仕切り直し仕切り直し、っと。

「ーーな、なぁ……っ!?」

   そう思っていたのだが、玄関先からフィネアのそんな、素っ頓狂な声が聞こえてそれどころではなくなった。どうしたのフィネアー?
   玄関に向かうと、むむ。何を小包持ったままプルプル震えてるのフィネアさん。
   どれどれ、誰からの荷物? 差出人は、有澤恵? ああ、アリューシャ社長か。何だろうなー、お歳暮には早いし。
   ……え? 社長、から?

「あ、あの人は……!」

   で、で。内容物は……、何だ、魔界商品か。心配して損したぜ。何かと思った。
   魔界商品、だと……!?
   魔界。それはフィネア達『魔物』の故郷であり、この現代社会にとって空想上の世界の事である。それ故に、こちらの理解が及ばないカオスな品物が沢山存在する。
   食べると服を脱ぎたくなって仕方がない野菜とか、斬っても傷にならず魔物化を促進する武器とか、読むと本の中に引き込まれてしまい出てきた時には魔物になってるとか、元の形状完全無視して様々な形態に変化する箒とか、魔力を原動力にして動く巨大ロボットがあるらしい。もう訳が分からん。
   ただ、ファンタジー世界が好きな俺としてはそういうぶっ飛んだアイテムは聞いてて興味深い。実際に見てみたいと思っている所だ。という訳で、フィネアー、それ開けてみようよ。
   え、何でため息?

「かしこまりました……。どうぞ、ご覧下さいませ」

   ふむふむ。瓶が2本? 何だコレ。ゼリー、じゃないな。毒々しい色の液体だ。ラベルには……、読めん! 何だこのミミズがブレイクダンスしてるかのような文字は……!
   まあいい。これ、危険なもの?

「いえ、危険……ではありません。非常に悪戯好きでトラブルメーカーで面倒なお人ではありますが、社長は誰かを傷付ける事を嫌う人ですから」

   なるほどねぇ。なら読めなくても安心だ。
   どんなものかは分からんが、男は度胸! 何でも試してみるのさ……!

「え、ご主人様!?」

   とりあえず手に取った右側の、紫色の瓶を開けて即座に胃に流し込む。
   あ、思ったより飲みやすい。グレープ味かコレ。

「ご主人様! それはーー」

   何か物凄く焦った様子だけど、え。コレそのまま飲んだらヤバい系?
   でも危険は無いって言ったじゃないビョルか。
   ……ビョル? 今なんか変な語尾付かなかったビョル? あ、また付いた。ビョルって何ビョルか。
   ビョルの身体を見てみるが、特に何の変化も見られ……、は? 何だこのビョルビョル。指が全部一つになって、一本のビョルビョルに、

「『触手化薬』です!」

   触、手? あの、エロゲによく出てくる、アレビョルか?
   お、おぉ、何かどんどんビョルの身体がビョルビョルに……、って!!!
   な、何じゃこりゃぁぁぁっ!? 胸が、腹が、腰が! 身体のディティールがどんどん大雑把になっていくぅぅぅ!?

「ご主人様! 意識をしっかり持ってください! でないとーー」

   ほぅぁぁぁっ!? ど、どんどん雑魚っぽくなっていく! 肉片っぽくなっていくぅぅぅ! ビョルがビョルビョルでビョルルーン!?
   ああ、何かどんどん意識が……。

「ご主人様っ! ご主ーー」

・・・

   お、俺は、これからどうなるんだ……? このまま訳の分からない陵辱特化型の生命体になって、戻れないまま考える事を止めるのか……?
   触手って、アレだよな……。エロゲだと、目の前に女の子が居るとその子の身体を苗床にするべくいろいろR−18な事をするんだよな……。両手両足を縛って、嫌がる女の子を上下前後問わずグッチョグチョにして、中に卵を産み付けるんだよな……。心が押し潰されて、女の子の目にハイライトが無くなっても、お腹が大きくなってもまだまだ解放しないで、どんどん子供を作らせようと、するんだよな……。
   そうか……、そうだよな……。
   ……、…………。
   フィネアの、そんな、姿……。
   フィネアの、あられもない姿……?
   四肢を拘束されて、恥ずかしい所を隠せない状態で、全身に粘液ぶちまけられて、激しく挿入された所為でぽっかり開いて閉まらなくなった股間からだばだばと精液を流しながら、孕んだように大きく膨らんだお腹を呆然と見ているフィネアの、姿……だと?
   ……見たい。
   見たい。
   フィネアのあられもない姿を、見たい。
   フィネアを、そんな風にしたい。
   う、おぉぉぉぉおおおおおぉぉぉぉっっっ!!!
   昂ぶる、昂ぶるぞぉぉぉ! 燃え滾るマイハァァァトゥッ!
   考えてみたら俺、そういう性癖持ってたな! 最近リアルが純愛過ぎて忘れてたわ! ハッハッハ!
   さあ、今見せてやろう! 俺の、変身!
   『超変態(びょるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる)』!!!

「ご主ーー、え? あ、きゃぁぁぁっ!?」

   動く! 人の身体以上に自在に、力強く!
   ほら、こんなにも簡単にフィネアの身体を持ち上げ、手足を縛る事が出来る!
   身体が軽い! こんな気持ちになるの初めて! もう何も怖くない!

「ご、ご主人様……? まさか……」

   身体中に溢れる情熱! 性欲! 身体から無数に生えている触手の一本一本に、隅々までそれが流れている!
   この、俺の身体を通して出る力の正体を、白くて粘つく、アレを発射できる機関だという事を、俺に教えてくれる!

「ま、待ってーー、んぶっ!?」

   待たぬぅ!
   まずは伝統と実績の、えっちになるお薬の口径摂取だ!

「ん、ぐぅっ! げほっ! えほっ! ーーあ、は、はっ、はぁ……っ!」

   よしよーし、効果てき面だな。口に突き刺した腕(A)を吐き出した直後から息が荒くなってる。
   さあ行け、腕(B)から腕(J)よ!

「ひぃぁっ!? ふ、服の隙間にぃ……っ!?」

   四方八方から襲いかかる我が腕の前には、服という防具など穴だらけのチーズより隙だらけだ。
   襟から胸元へ、袖口から脇へ、正面の合わせからヘソへ、スカートの裾から鳥足の膝裏、さらに股下へ……!

「く、ふぅ、ぅ……っ♪」

   閉じた口から漏れる息に、嬌声が混じり始める。それをきっかけにこちらも興奮してきて、腕の表面から粘液が染み出してくる。触れ、巻き付き、弄っていたフィネアの肌にそれが塗り込められていき、その効果を彼女に味あわせていく。

「あひぃ……♪ か、身体が、熱く、ぅぅんっ……♪」

   拘束していない部分の中で唯一大きく動かせる尻尾をパタパタ動かし、歓喜に震える己を表す。徐々に本能側に傾いていく彼女の顔が堪らなく扇情的で、胸躍らせる。今はその胸が腕(H)と腕(I)になっているため、つまり躍るのは腕だ。

「ひゃぁぁんっ♪ ご、ご主人様ぁぁっ♪」

   彼女にとっては、こんな肉塊になっても俺は俺のようで、しきりにその名を切なく叫ぶ。
   我慢が出来ない。早くこの身を貫き、弄び、破裂するほど中出しして、身体中を精液まみれにして欲しい。そう言っているように見える。
   ならば望み通り、普通に見たら凄惨な状態に、しかし魔物が見たら羨ましがるような状態にしてあげようではないか……!

「んぁぁっ♪ 私の恥ずかしい所、全部見られちゃってます……っ♪」

   拘束した足を強制的に開かせ、追加で出した腕を使ってスカートをたくし上げる。既に溢れ出す愛液により用途を成さなくなった下着を脱がすと、秘所が露わになった。抑えられていた雌の匂いが、何処にあるか分からない鼻腔をくすぐり、我を忘れさせる。
   先端が毛細状になっていてブラシのようになっている、通常のものと違う形状の腕(L)を使い、その表面を磨くように滑らせる。

「ぎひゃぁぁぁぁぁぁぁぁあああっ!? あっ、あっ、あっ、あっ、ああっあぁぁぁっ♥︎」

   上がる喘ぎ声。蕩ける表情。激しく振られる髪と同じ色の尻尾。
   それら全てが、無数に蠢く腕達のコントロールを一点に向けさせる。
   フィネアの穴という穴に、肌という肌に吸い付くように動き、その役目通りの行動をしていく。
   口にねじ込まれた一本は喉奥まで貫き、両耳内部に入った細い二本は鼓膜を破らない程度に耳内を粘液で蹂躙する。
   縛られ、頭上に真っ直ぐ固定された両腕のその手には彼女の腕ほどもある太さの俺の腕が握られており、浅ましく快楽を求める彼女の手淫によりその硬度を徐々に増していっている。   
   粘液に汚された従者の装束の中、腫れた様に勃起しているフィネアの乳首を、特殊な形状の腕が搾乳でもするかのように吸い付いている。時折吸う力を強くして刺激に緩急を付けると、その度に華奢な身体が跳ねる。
   腹部に関しても同じで、穴ではない筈のヘソにも腕が伸び、ミミズのような無数の腕が形の整ったそこを穿っていく。
   完全に肌が露わになっている下半身に関しては、凄まじいと言う他なく、ブラシ状の腕が一往復する度に滝のように愛液が垂れていく。肛門には手に握られているもの以上に太い腕が貫通の時を今か今かと待っており、それを迎えるアナルは一刻も早く貫かれたいというようにヒクついている。

「ぷはぁっ♥︎ ご、しゅじん、さまぁ……っ♥︎ もう、ダメ、ですぅ……っ♪ はやく、早く私の、グチョグチョオマンコをぉっ♥︎ きゅんきゅん疼いて寂しがってる子宮の中をぉ……っ♥︎ 滅茶苦茶にして下さいませぇぇっ♥︎♥︎♥︎」

   暴れ狂う享楽の中、自らを犯し続ける獣である俺に対し、懇願するフィネア。
   昂奮した身体が自分専用の雌に対し強く、激しく反応するのが分かる。
   唯一動かしていなかった一本を持ち上げ、肉ブラシによって磨かれ、失禁した後のように濡れたヴァギナに先端を押し当てた。
   そして、アナルの前で待つものと合わせ、一気に両穴を打ち抜いた。

「きたきたきたぁぁぁぁぁぁっっっ!!! ーーんぐぅっ!」

   一息で己の最奥まで到達した太腕を、うっとりとした表情で見つめながら、再び食道深くまで犯し尽くさんとする腕を迎え入れた。

「あははぁぁっ! んぃぃぃんっ! おおぉぉぉっっ! あぁ、あ゛かぁっ! お゛いお゛り、お゛お゛いりお゛りぃぃぃっ! えう゛っえ、えう゛あれえぇぇぇっ! いおい、いもいいいえ゛すぅぅぅっ! お゛いゅい゛んあまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああぁぁっ♥︎♥︎♥︎」

   身を反らし、全身で快楽を体現する様に、腕が硬さを増すのが分かる。身体の隅々を、本来生物には不可能な領域まで凌辱しているにも関わらずこの雌は狂おしく悦喜していた。
   知性的なものを一切感じさせないベルベットボイスに、蕩け切った婬靡な表情。自分の中を掻き乱す雄に全てを晒し、捧げながら、雄の全てを得て、貪り、喰らい尽くしていく。
   排他的で、享楽的。今、俺達はお互い以外のものが不要で仕方がなかった。
   一つになりたい。もっと深く、もっと激しく。
   そして遂に、両方とも頂点が目の前に来て、

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!! 〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっ♥︎♥︎♥︎」

   声にならない喘ぎ声がこの空間に響いた。
   喉に、耳に、顔に、髪に、手に、脇に、服に、胸に、腹に、脚に、尾に、尻に。そして、胎に膨大な白濁液が流し込まれていく。

「お゛、お゛っ♥︎ んお゛お゛お゛お゛っっ♥︎♥︎ お゛お゛ぅお゛ぁ……っ♥︎♥︎♥︎」

   喉を鳴らして汚液を飲み、胃に通していく。排出する側からも同じものが流れてきて、呼吸もロクに出来ていない。外も中も、彼女の好む白濁液で埋め尽くされているその姿はまさしく、『欲に溺れている』。

「んむお゛っ……♥︎ は、あ……っ、あ、ぁ……♪ あは、ぁ……♪ ごしゅ、じんさ、まぁ、のぉ、ざーめん、たぁくさぁん……♪」

   射精した精液の粘性が高すぎるのか、栓となっていた腕を抜いた後も、子宮は膨らんだままで、膨張した腹はまるで臨月のそれであった。さらには全身にもたらされた強すぎる快感により、普段の凛とした佇まいからは想像も付かない淫らで壊れた笑みを浮かべ、マトモに呂律の回っていない口が恍惚として淫語を漏らしている。
   焦点の合っていない瞳は、俺の欲望が詰まった自分の下腹部に向けられている。実際は何も見ていないのだろうが、俺にはそれが、俺によって孕まされた事を悦んでいるように見えた。
   四肢の拘束を緩め、意識の混濁したフィネアを下ろす。
   それと同時に、腕が次々と上がらなくなり始めた。……げ、限界、か。
   最後の一本が床に落ちた時、俺の意識は完全に途絶え、闇に落ちていった。

・・・

「……こほん。と、このような効果がある薬なのです。今回のは『お試し版』だったのですぐに戻りましたが、普通の物は一日中効果が続きます。今後、魔界製の薬品を服用なされる時は必ず私に聞いてからにして下さいね?」

   は、はーい……。腰、立たねぇ……。つーか俺以上に凄い事になってた筈なのにどうしてそんな平然と動けるんだ……。
   正気に戻った俺は、同じく意識を取り戻したフィネアと一緒に廊下の惨状の片付けをする羽目になった。
   しかしまあ流石は魔物用建築物。粘液とか、こびり付くはずの物がすげぇ簡単に落ちる壁紙だねぇ。フィネアのお掃除スキルがハイパー過ぎてロクに手伝う間もなく即効で終わったんだが。
   ドロドロになった身体を洗う為に風呂に入り、結果的に2、3度洗う事になった後、一緒に風呂で温まった。
   浴場を出て、昨日は気付けなかった事に気付いた。お風呂上がりのフィネアが非常に色気がある事に。湯気に彩られた艶姿に、熱で頬を染めた姿。濡れて輝く桃色の髪に、うなじ。身体から漂う石鹸の香り。見とれずにはいられない。
   結果的にもう一回風呂に入る事になった。
   夕食はフィネアが『キキーモラが作る料理の真髄、お見せしましょう!』と張り切っていたので全部任せていると、何と満開全席フルコースが出てきた。ここまでするかキキーモラ。というかそんなに俺の舌を肥やすつもりかどうしてくれる。もうどれもこれも舌が踊り狂うような最高級の味だ。美味すぎて困る、ってこういう事か。図らずもフルコースを最後まで堪能してしまった。明日の体重計が怖い。
   食後は、二人一緒にソファーに座り、最近の事を話す。
   同僚がついに魔物の誘惑から抜け出せなくなった事。俺と同じく非日常に触れてしまった者が出た事。仕事であった面白い事。いろいろな事を話した。
   フィネアからも、喫茶店で起こった事を聞かされた。
   ガールフレンドと一緒に来た男が、トイレから帰ってくると相方がやたら艶やかになって妖しげな果物を食べてて驚いてた事とか。
   季節イベントに合わせたサービスを行う上で、次はハロウィンだからそれに準じた種族が本性を現した状態で出るのはどうかという意見が出て試しにやってみたら魔力が抑えられなくなりその場の客を全員インキュバス化させてしまった事とか。
   時間を忘れて、忘れたフリをして、俺達は充実した会話の時間を過ごした。
   そして時計のアラームが、甘い夢の終わりと、俺達の別れの時を告げた。

・・・

   重い身体を動かし、靴を履く。

「忘れ物はございませんね?」

   うん。大丈夫。そもそも財布と携帯電話くらいしか持ってきてない。

「あ、後ろの襟が立ってますよ。ーーはい、直りました」

   おっと、ありがとう。結構自分では気付かないものだよね。

「同僚の方に差し上げるお土産として、茶菓子をお持ちしましょうか?」

   あー、いや、いいや。面倒臭いし。
   というか君の作ったお菓子を配るのは、何かすごい納得いかないし。

「ふふっ♪ 大丈夫ですよ。『ロミ・ケーキ』でお土産用に販売している普通のクッキーです。私がお菓子を作るのは、ご主人様の為だけです♪」

   そっか。まあ、それならいいか。
   じゃあお願い。

「かしこまりました。少々お待ちくださいませ」

   一度奥に行って、すぐに紙袋を携えて戻ってくる。

「どうぞ」

   うん。
   ………フィネア。

「はい?」

   ちょっとだけ、抱きついてもいいかな。

「はい。お好きなだけ、私を抱き締めて下さいませ」

   ……。
   正直さ。ずっとこのままでいたいよ。

「……」

   フィネアは何も答えない。
   でも、何を思っているかは分かるくらい、俺は彼女と心を通わせたつもりだ。
   一度、身体を離し顔を見合わせる。

「……ご主人様」

   ほろり。
   紫の瞳から涙が零れていく。涙の意図を思い、彼女が愛おしくなって、また抱き締める。
   伝わってくる感触は、暖かい。離れたくない。離したくない。出来る事ならずっと、こうしていたい。

「ご主人様」

   フィネアの柔らかい手が、俺の背を梳くように撫でていく。
   ああ。それでも欲張りな俺は選んだんだ。
   この世界での生活も、彼女との一生も。選んだからには、行かなければならない。
   フィネアは、そんな俺の選択を尊重して支えてくれる事を誓った。自分だって離れたくない癖に。

「ーー待ってますから」

   うん。
   身体を離し、名残惜しくも彼女の顔を見ながら後ずさる。
   ドアノブが手にかかり、それを回す。外への道は容易く開き、外気が身体を包む。
   ……それじゃ。

「……はい」

   これ以上、言葉は要らない。
   彼女に背を向け、外に出る。
   最後に一度だけ振り返り、穏やかに微笑む彼女に別れを告げた。
   ドアが閉じていく。彼女との物理的な繋がりが、途切れていく。

「……」

   完全に、扉が閉まった。ノブから手を離し、踵を返す。
   一度も振り返る事なく、エレベーターに乗って、一階に来て、マンションを出る。ひやりとした風が、現実に帰ってきた事を教えてくれている気がした。
   バス停までの道を行く最中。暗い空を見上げ、満月を見て、俺は思う。
   俺本人は、実際の所、フィネアと出会う前と比べて本質的な所は変われていない。
   だって、変われていれば、きっと彼女に言葉を掛けてあげられた。それが出来なかったのは、俺がまだ自分勝手なヘタレだって事だ。
   しかし、そうだとしても、これだけは確実に言える。
   俺には背中を押してくれる人が出来た。そして同時に、俺はその人を支えてあげなきゃいけない。
   だからその為に、生きていく。
   ……よし。
   さあ、行こう。『彼女が好きになった俺』で居る為に。彼女と出会ったこの世界を、いつか彼女と共に生きる為に。
   俺はこの、人間の世界で、いろいろな事を経験しに行く。逃げたくなるだろう。捨てたくなるだろう。
   でも、それを乗り越えて行く事が生きるって事なんだ。
   それに気付かせてくれて、ありがとう、フィネア。
   必ずまた、会いに来るよ。





   あ。
   肝心な言葉を言い忘れてた。どうしよ。
14/10/28 07:17更新 / イブシャケ
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■作者メッセージ
触手洗脳陵辱SLGなエロゲが来月発売される記念に主人公には触手になってもらった。反省はしてない。だって私だって触手になってキキモラさんをぐっちょぐちゅにしたいもの! 男の子なら好きな子にそういう事したくなってしまうものだよね! え、一緒にするな?
どうも、イブシャケです。
気付けばもう10月も終わりますな。今年がどんどん終わっていく。さっさと終われと思いますが、まあその辺りは置いといて。

ダメ男奮闘記みたいなこの話もあともう一話。最後に主人公が旅立つその瞬間を、短くさらっと書いてこの物語の締めとしたいと思います。ですのでもう少しお付き合い頂けたら幸いです。
あ。あと一話って言いましたけど「Pink Maid Diary」があるんで、実質あと二話です。その辺りご容赦いただけたらと。

まあそんな感じで。
ではでは。

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