飛んで火を吐く友のツレ エピローグ その一
「「「「カンパーイ!!!!」」」」
幾重にも重なった硝子の衝突音と共に、絶叫にも似た音頭が弓張鮮魚の二階に響く。…本当、どうしてこうなった。
ーーーーーー 10分前
『〜♪』
巻き込まれの膳立ても終わったし、一旦帰って決算の為にブレーカーの値見て用紙に書いて割引分差し引いた額書いて。んで、その後にご相伴に…。
『………いーーーー!!』
あ?
『もーみーにいーーーー!!!』
??何処から声が???
『いよいしょーー!!』
『!!?』
聞き覚えのある声と凄まじい衝撃が突然愛車と俺を襲う。
あ、あっぶねぇ…今一瞬前輪浮いたぞ…!?盛大に冷や汗を流しながら、震源である荷台を返り見る。
すると、そこにはよくよく見知った顔…龍の『筧 十和(かけい とわ)』が荷台を見る為の覗き窓にへばり付いていた。
『十和!てめぇ危ねぇだろが!!一歩間違えたら死んで』
『どういう事ですかもみ兄!?清兄に彼女ができたお祝いだって言うのに何で帰ってるんですか!!?馬鹿なんですか!!!?』
『馬鹿はてめぇにだけには言われたかねぇよまな板浅慮野郎!!仕事あんだよ仕事!!!』
『人が気にしてる事さらりと言わないで下さい!と言うか今日くらい仕事なんか放っぽり出しなさい!!郷長命令です!!!』
『勝手に決めんな俺は一旦』
『良いから行きますよ!!』
『帰るってうわっ!?』
いつの間に忍ばせたのか、十和お得意の水魔法『蛟』が運転席まで入り込んでいた。しかも御丁寧にドア向こうに二体目まで用意してやがる。
中の入道雲に巻き付かれて自由を奪われ、二体目の蛟によって開かれた車のドアを潜らされた。そのまま、結構なスピードで今走って来た道を戻っていく。
『決算がぁーーーー!!』
取り残された愛車に向かってあらん限りの声で叫んだ残響が、蛟一匹残った砂利道に虚しくこだまして行った。
ーーーーーー
「ったく…!お陰で割引がパァだ…。」
「いーいじゃねぇか今日ぐらい!兄弟分の祝いなんやけん!!」
「……そうやね。『誰かさん』がこの飲み代と魔電代全額出してくれるってんだから、愉しむか。なぁー、十和ー?」
「え゛っ!?は、はい…!」
清一さんへ言葉を返しつつ、盛大な怒気と嫌味を含みながらの笑顔で斜め前にいる妹分の方を向くと、十和は一瞬肩を跳ねさせた後ブリキ人形のようにゆっくりと目を逸らした。
「ん?なァにか遭ったっか?」
「いや、何も?ただ、ある馬鹿が人の話も聞かずに突っ走って来ただけ。」
「はっはっは…!そいつぁ災難だったな!」
そう、お気付きだろうが俺は一度帰って仕事を済ませてから此方に来ようと思っていたのだ。それをこの貧乳は…。
「にしてん、清がオンナば作ったちて次は栴の番たい。」
「え?」
「相手ばおっとな?」
「は?」
思わず清一さんの顔を見る。この人は何を言っているのだろうか。相手?つか、何かすげぇ見られてる気がするのは気のせいか?…いや気のせいじゃない、見なくても分かるこの宴席にいる未婚魔物の大半が獲物を狩る猛禽類の眼でこっちを狙っている…!地味に怖い。今まで何千回と味わってるけど慣れねぇよコレ。
「なぁ、どうなんよ?」
「うぇ、えーっとぉー……。」
まずい、非常にまずい。このまま居ないと言えば間違いなく地雷を踏み抜く事になる。が、しかし居ないのが事実。え?モテてるじゃないかって?馬鹿野郎、人も碌に来ない島だから競争率が某有名大学より高いだけだ。
「…………。」
「…………。」
普段ならピシャリと跳ね除けるのだが今回は機を逃した。逃げ場は…ない、か?正直島の人間は家族としか見てないから恋愛感情もクソも
「あかーん!!」
次の瞬間、視界が真っ暗に暗転し、凄い衝撃が顔面を襲った。間一髪で仰向けに倒れるのは免れたけど、息が苦しい。
「もみ兄ばウチがもらっけん、だれにもやらん!!」
この声、後頭部の羽の感触…ひなか。やれやれ…このクソガキは一体何を言ってんだ、助け舟のつもりならもう少しマシな事をのたまえってんだ。
「それは聞き捨てなりません!」
そうだそうだ言ってやれ十和。何だかんだ最も付き合い長いからな、お前が一番の理解者だ
「もみ兄は私と添い遂げるんです!!」
前言撤回。止めろよ郷長。何ノってんだまな板コラ。
幾重にも重なった硝子の衝突音と共に、絶叫にも似た音頭が弓張鮮魚の二階に響く。…本当、どうしてこうなった。
ーーーーーー 10分前
『〜♪』
巻き込まれの膳立ても終わったし、一旦帰って決算の為にブレーカーの値見て用紙に書いて割引分差し引いた額書いて。んで、その後にご相伴に…。
『………いーーーー!!』
あ?
『もーみーにいーーーー!!!』
??何処から声が???
『いよいしょーー!!』
『!!?』
聞き覚えのある声と凄まじい衝撃が突然愛車と俺を襲う。
あ、あっぶねぇ…今一瞬前輪浮いたぞ…!?盛大に冷や汗を流しながら、震源である荷台を返り見る。
すると、そこにはよくよく見知った顔…龍の『筧 十和(かけい とわ)』が荷台を見る為の覗き窓にへばり付いていた。
『十和!てめぇ危ねぇだろが!!一歩間違えたら死んで』
『どういう事ですかもみ兄!?清兄に彼女ができたお祝いだって言うのに何で帰ってるんですか!!?馬鹿なんですか!!!?』
『馬鹿はてめぇにだけには言われたかねぇよまな板浅慮野郎!!仕事あんだよ仕事!!!』
『人が気にしてる事さらりと言わないで下さい!と言うか今日くらい仕事なんか放っぽり出しなさい!!郷長命令です!!!』
『勝手に決めんな俺は一旦』
『良いから行きますよ!!』
『帰るってうわっ!?』
いつの間に忍ばせたのか、十和お得意の水魔法『蛟』が運転席まで入り込んでいた。しかも御丁寧にドア向こうに二体目まで用意してやがる。
中の入道雲に巻き付かれて自由を奪われ、二体目の蛟によって開かれた車のドアを潜らされた。そのまま、結構なスピードで今走って来た道を戻っていく。
『決算がぁーーーー!!』
取り残された愛車に向かってあらん限りの声で叫んだ残響が、蛟一匹残った砂利道に虚しくこだまして行った。
ーーーーーー
「ったく…!お陰で割引がパァだ…。」
「いーいじゃねぇか今日ぐらい!兄弟分の祝いなんやけん!!」
「……そうやね。『誰かさん』がこの飲み代と魔電代全額出してくれるってんだから、愉しむか。なぁー、十和ー?」
「え゛っ!?は、はい…!」
清一さんへ言葉を返しつつ、盛大な怒気と嫌味を含みながらの笑顔で斜め前にいる妹分の方を向くと、十和は一瞬肩を跳ねさせた後ブリキ人形のようにゆっくりと目を逸らした。
「ん?なァにか遭ったっか?」
「いや、何も?ただ、ある馬鹿が人の話も聞かずに突っ走って来ただけ。」
「はっはっは…!そいつぁ災難だったな!」
そう、お気付きだろうが俺は一度帰って仕事を済ませてから此方に来ようと思っていたのだ。それをこの貧乳は…。
「にしてん、清がオンナば作ったちて次は栴の番たい。」
「え?」
「相手ばおっとな?」
「は?」
思わず清一さんの顔を見る。この人は何を言っているのだろうか。相手?つか、何かすげぇ見られてる気がするのは気のせいか?…いや気のせいじゃない、見なくても分かるこの宴席にいる未婚魔物の大半が獲物を狩る猛禽類の眼でこっちを狙っている…!地味に怖い。今まで何千回と味わってるけど慣れねぇよコレ。
「なぁ、どうなんよ?」
「うぇ、えーっとぉー……。」
まずい、非常にまずい。このまま居ないと言えば間違いなく地雷を踏み抜く事になる。が、しかし居ないのが事実。え?モテてるじゃないかって?馬鹿野郎、人も碌に来ない島だから競争率が某有名大学より高いだけだ。
「…………。」
「…………。」
普段ならピシャリと跳ね除けるのだが今回は機を逃した。逃げ場は…ない、か?正直島の人間は家族としか見てないから恋愛感情もクソも
「あかーん!!」
次の瞬間、視界が真っ暗に暗転し、凄い衝撃が顔面を襲った。間一髪で仰向けに倒れるのは免れたけど、息が苦しい。
「もみ兄ばウチがもらっけん、だれにもやらん!!」
この声、後頭部の羽の感触…ひなか。やれやれ…このクソガキは一体何を言ってんだ、助け舟のつもりならもう少しマシな事をのたまえってんだ。
「それは聞き捨てなりません!」
そうだそうだ言ってやれ十和。何だかんだ最も付き合い長いからな、お前が一番の理解者だ
「もみ兄は私と添い遂げるんです!!」
前言撤回。止めろよ郷長。何ノってんだまな板コラ。
15/07/22 12:24更新 / 一文字@目指せ月3
戻る
次へ