外伝その6 俺…帰れたら真面目に授業受けるんだ…。
―――――― 巡査本部 陽介達の部屋
「…ににさま、まだおきてますか?」
「…ああ。」
卓さんと別れて暫く経っただろうか、寝転がってはみたものの未だに目が冴えて寝られる気がしない。
唯も同じなのか、隣から話しかけてきた。
「…ゆいはいつでもどこでも、ににさまのみかたですからね?」
「…ああ、ありがとう。」
先程の事を心配してくれているのか、優しい言葉を投げかけてくれた。
お礼に頭を撫でてやると、唯は嬉しそうに目を細める。
「えへへ…。」
「さ、寝るぞ。」
「はぁい。」
最後に唯の頭に軽く手を置き、ベッド脇に置いておいたリモコンで今まで付けていた豆電球を消す。
当然辺りは一瞬で真っ暗になり、何も見えなくなった。
すると暗闇に不安になったのか、唯が小さな手で上着の裾を握ってきた。
「…怖い?電気付けようか?」
「…だいじょうぶです。」
そうは言いつつも、やはり怖いのだろう、裾を握る手が微かに震えていた。
…やれやれ。
「よしよし。怖くない怖くない。」
「ふえ?」
隣にある唯の体を少し引き寄せて、掛け布団の上から優しく叩いてやる。
唯は何をされてるのか分からなかったのか、少しの間固まっていたが、すぐに嬉しそうな顔をして眠りに就いた。
「…お休み。」
…俺も寝るか。
そう思った瞬間、今まで殆ど無かった睡魔の侵攻が一気に加速する。
心地よいとも取れる感覚に身を委ね、俺は目を閉じて意識を手放した。
―――――― 翌朝
「んぅ…?」
ベッド近くにある唯一の窓からの陽光を受け、唯はゆっくりと目を覚ました。
「……………。」
まだ寝惚けているのか、寝転んだまま頻りに目を擦る。
「…………ににさま。」
すぐ目の前で眠っている兄に声を掛けるが、反応する様子はない。
「ぎゅー♪」
試しに兄に抱きついてみるが、余程ぐっすり眠っているのかそれでも反応はない。
「ぐりぐりー♪」
兄が起きないのに乗じて、今度は胸板に顔を押し付け始めた。
――――――
妙に腹がくすぐったいと思って薄く目を開けてみると、何故か唯が凄く嬉しそうに胸板に顔を押し付けていた。
「〜♪」
…そろそろ起きたいんだけどな。
「ににさま〜♪」
…起きづらい。非常に起きづらい…!
ボドッ
ん?何だ?腹の上に何か落ちてき…。
「…私…参上?」
「……………。」
確認してみると、腹の上に乗っていた謎の物体Xの正体は、これまた見目麗しい黒髪ロングの生首。確認と同時に俺の体は完全にザ・ワールドに突入した。
…いやいや、ちょっと待て。そうだこれは夢だ、うん。夢。昨日は本当に色々あったからな、だから生首が俺の腹にダイヴして逆さになりながら無表情に何故か自分が参上しているか問われる夢なんか見てるんだ。
「…それはさておき、…おはようございます。」
おい俺、早く起きろ。一刻も早くこのかつてない程のchaosな夢から覚めるんだマイブレイン。あははー、もう自分でも何言ってるかわかんねぇー。
「…笑ってもいいんですよ?」
「…………。」
不機嫌になられたのか、ほんの少し眉をひそめながら抑揚の無い声で首が話しかけてきた。
…もしかしてこれは夢じゃないのか?我が脳味噌のシナプス回路が造り出した幻想じゃないのか?
試しに頬をつねってみよう。うん、つねって起きよう。起きて何もない毎日に…あ、そうだここは神宮村じゃなくて土閣にある親父の巡査本部だった。もう嫌だ。
「…そろそろ現世に帰って来てください。」
「そおぉおおい!!」
「へ?ちょ…あべし!」
夢じゃないっぽいので、とりあえず卓袱台よろしく生首をシーツごと真上に投げといた。
「…ににさま、まだおきてますか?」
「…ああ。」
卓さんと別れて暫く経っただろうか、寝転がってはみたものの未だに目が冴えて寝られる気がしない。
唯も同じなのか、隣から話しかけてきた。
「…ゆいはいつでもどこでも、ににさまのみかたですからね?」
「…ああ、ありがとう。」
先程の事を心配してくれているのか、優しい言葉を投げかけてくれた。
お礼に頭を撫でてやると、唯は嬉しそうに目を細める。
「えへへ…。」
「さ、寝るぞ。」
「はぁい。」
最後に唯の頭に軽く手を置き、ベッド脇に置いておいたリモコンで今まで付けていた豆電球を消す。
当然辺りは一瞬で真っ暗になり、何も見えなくなった。
すると暗闇に不安になったのか、唯が小さな手で上着の裾を握ってきた。
「…怖い?電気付けようか?」
「…だいじょうぶです。」
そうは言いつつも、やはり怖いのだろう、裾を握る手が微かに震えていた。
…やれやれ。
「よしよし。怖くない怖くない。」
「ふえ?」
隣にある唯の体を少し引き寄せて、掛け布団の上から優しく叩いてやる。
唯は何をされてるのか分からなかったのか、少しの間固まっていたが、すぐに嬉しそうな顔をして眠りに就いた。
「…お休み。」
…俺も寝るか。
そう思った瞬間、今まで殆ど無かった睡魔の侵攻が一気に加速する。
心地よいとも取れる感覚に身を委ね、俺は目を閉じて意識を手放した。
―――――― 翌朝
「んぅ…?」
ベッド近くにある唯一の窓からの陽光を受け、唯はゆっくりと目を覚ました。
「……………。」
まだ寝惚けているのか、寝転んだまま頻りに目を擦る。
「…………ににさま。」
すぐ目の前で眠っている兄に声を掛けるが、反応する様子はない。
「ぎゅー♪」
試しに兄に抱きついてみるが、余程ぐっすり眠っているのかそれでも反応はない。
「ぐりぐりー♪」
兄が起きないのに乗じて、今度は胸板に顔を押し付け始めた。
――――――
妙に腹がくすぐったいと思って薄く目を開けてみると、何故か唯が凄く嬉しそうに胸板に顔を押し付けていた。
「〜♪」
…そろそろ起きたいんだけどな。
「ににさま〜♪」
…起きづらい。非常に起きづらい…!
ボドッ
ん?何だ?腹の上に何か落ちてき…。
「…私…参上?」
「……………。」
確認してみると、腹の上に乗っていた謎の物体Xの正体は、これまた見目麗しい黒髪ロングの生首。確認と同時に俺の体は完全にザ・ワールドに突入した。
…いやいや、ちょっと待て。そうだこれは夢だ、うん。夢。昨日は本当に色々あったからな、だから生首が俺の腹にダイヴして逆さになりながら無表情に何故か自分が参上しているか問われる夢なんか見てるんだ。
「…それはさておき、…おはようございます。」
おい俺、早く起きろ。一刻も早くこのかつてない程のchaosな夢から覚めるんだマイブレイン。あははー、もう自分でも何言ってるかわかんねぇー。
「…笑ってもいいんですよ?」
「…………。」
不機嫌になられたのか、ほんの少し眉をひそめながら抑揚の無い声で首が話しかけてきた。
…もしかしてこれは夢じゃないのか?我が脳味噌のシナプス回路が造り出した幻想じゃないのか?
試しに頬をつねってみよう。うん、つねって起きよう。起きて何もない毎日に…あ、そうだここは神宮村じゃなくて土閣にある親父の巡査本部だった。もう嫌だ。
「…そろそろ現世に帰って来てください。」
「そおぉおおい!!」
「へ?ちょ…あべし!」
夢じゃないっぽいので、とりあえず卓袱台よろしく生首をシーツごと真上に投げといた。
12/05/07 17:44更新 / 一文字@目指せ月3
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