捨てる神あれば・・・あふたー
「ただいま〜。」
あ〜・・・疲れた。仕事ってぇのは疲れるねぇ〜・・・。ま、当然だけど・・・。
ドアを閉めて鍵を掛ける。すると居間の方から小さな足音がした。見てみると、あっしの膝下ほどの身長の小さな黒ネコマタ――宵が満面の笑みを顔に出しながら走ってきていた。
「ごしゅじんしゃま〜。」
「はい、ただいま。」
足に引っ付いてきた宵の頭を撫でてやると、嬉しそうに尻尾を振りながら喉を鳴らす。可愛いなぁ。
「ご主人、お帰りニャ。」
「ただいま、トウ。」
宵とは違い、トウは落ち着いた様子で居間から出てきた。大人の余裕ってやつかな?しかし頭を撫でるとすぐに喉を鳴らす辺り、まだ子供なのだろう。
「さて・・・。あっしは今から小説を執筆します。邪魔しないように。OK?」
「分かったニャ。」
「は〜い。」
・・・まあ、この子達ならこんな風に釘を刺さなくても邪魔しないとは信じてる。あの甥っ子とは違って・・・。靴を脱いで今へと直行し、上着を掛けて作業机に置いてあるPCの電源を点ける。いつもやっている一連の動きだが、小説執筆する時となると結構緊張する。コミケで並んでいる時真後ろの人が某有名人だった時ぐらい緊張する。
起動するまでの間に台所へ向かって眠気防止用の冷珈琲(アイスコーシー)を淹れる。因みにメーカーは安定のネ○カフェ。美味しいよね、ネ○カフェ。あっしはミルクも砂糖も入れないブラック派。一回胃に穴が開くまで飲んだことがある。アレは痛かった・・・。
珈琲をキーボードの隣に置いて準備完了。因みに今回の自分へのご褒美はおはぎ。(たいてい朝まで掛かるのでやる気持続の為ご褒美制にしてる。)冷やすと美味しくなくなるので食卓の上に置いてある。
さあ、頑張りますかね。
――――――執筆開始1地時間
「ふう・・・。」
いい具合に切が良いので休憩も兼ねて二人の様子を確かめに寝室を見てみる。
「クー、クー。」
「すぅ・・・すぅ・・・。」
いつの間にか敷かれていた布団に二人が眠っていた。しかも丸くなっている宵をトウが寝転んだたまま抱っこしているような状態で。すかさずポッケから携帯を取り出す。写メ余裕でした。
よし、頑張ろう。
――――――執筆開始1時間半
「ごしゅじんしゃま〜・・・。」
ふと、寝室の方から宵が涙目で歩いてきた。一体どうしたのだろうか。
「ん?どした?」
「こわいゆめみたにゃ〜・・・。」
「そうか、よしよし。」
足に擦り寄ってきた宵を抱き上げ、膝の上に乗せて小さな背中を優しく撫ぜてやる。すると安心したのか、すぐに寝息を立て始めた。
「・・・やれやれ。」
内心少し呆れつつも、腹に掛かる心地いい圧力をそのままに片手で執筆を再開した。
――――――執筆開始から2時間半
・・・さて、荒削りだけど大体こんなもんかな。とりあえず宵を布団にって・・・。
「あれ?宵?」
周りを見渡してみるも宵の姿は無い。もう戻ったのかな?
とりあえず執筆再開。
――――――執筆開始から3時間半
・・・何だろう、やけに後頭部が重い。疲れたのかな?
「ごしゅじんしゃま〜、よいとあそぶにゃ〜。」
「・・・え?」
明らかにおかしい所から宵の声が聞こえたので後頭部に手をやってみる。するといつの間にか宵があっしの後頭部を抱えるようにして引っ付いていた。
「・・・宵、なにしてんの?」
「ごしゅじんさま、あったかいにゃ〜。」
「あ、そ・・・。」
まあおめぁが良いなら別にあっしは構わんが・・・。と言うか答えになって無いぞ、それ。
とりあえずラストスパート、気合入れなおして頑張ろう。
――――――執筆開始4時間
「よ〜し、今日はこれで終わり・・・っと。」
座っていた椅子の背に凭れ掛かり、思い切り伸びをする。ずっと動いてなかったからか凄く気持ち良い。さて、それよりも・・・。
「おはぎは〜っと。」
食卓に目を向ける。しかし、肝心のおはぎは見当たらない。・・・あれ、あっし食卓に置いたよな?どこか移動させたっけ?思い出してみるも、心当たりは無い。
「ごしゅじんしゃま、おしごとおわりにゃ〜?」
「おう、終った・・・ぞ・・・。」
どこからかやってきた宵の方を見ると、口元が少し黒っぽい。・・・まさか。
「なあ宵?」
「はいにゃ?」
「あそこに置いてあったあっしのおはぎ知らないか?」
「・・・!」
食卓を指差しながら宵に聞いてみると、宵の表情が固まった。
「し、しらにゃい・・・。」
少しどもりながら、宵があっしから目を背けて答える。・・・よぉし、そっちがその気ならあっしにも手があるぞ。可愛いからって食い物の恨みまで許されると思うなよ?
「そっか・・・。でも、誰が食べたんだろうな〜・・・。人のものを勝手に食う奴、あっしは嫌いだな〜・・・。」
「・・・・・・!!」
わざとらしく腕を組んで困ったような顔をして椅子に凭れ掛かる。「嫌い」という言葉に反応したのか、宵の体が跳ねた。
「あぅあぅ・・・。」
みるみる宵の顔色が変わり、青ざめてオロオロし出す。可愛いけど今は我慢だ・・・!
「はぁ、もし見つけたらこの家から出て行ってもらわないとな・・・。そんなやつ置いとけないし。」
「!!」
勿論冗談だ。追い出す気なんてさらさら無いが、我が家にいる以上悪い事したら自分から言いに来なければならないからな。これ、家のルール。しかしそれが止めとなったようで、宵は大粒の涙を流しながら足に擦り寄ってきた。
「ごめんにゃさいぃ・・・よいがたべたにゃぁ・・・!ちゃんとごめんにゃさいするから、よいのこときらいににゃらにゃいでぇ・・・!」
何この生き物超可愛い。必死の形相で足に抱きついて顔をこすり付けてくる。流石に可哀想になってきたので、そろそろ許してやる事にしよう。足から宵を離し、膝の上に乗せてやる。
「・・・もう嘘つかないって、約束できる?」
「ふぁい・・・。」
「よし、じゃあ許す。」
そう言った途端、宵は心の底から嬉しそうな顔をして抱きついてきた。尻尾もかつて無いほど速く振られている。
「・・・よし、いい時間だからそろそろ寝ようか。」
「ごしゅじんしゃま、いっしょにねてくれるにゃ?」
「おう、いいぞ。」
「♪」
あっしは宵を抱えたまま立ち上がり、PCの電源を消して寝室に入った。
あ〜・・・疲れた。仕事ってぇのは疲れるねぇ〜・・・。ま、当然だけど・・・。
ドアを閉めて鍵を掛ける。すると居間の方から小さな足音がした。見てみると、あっしの膝下ほどの身長の小さな黒ネコマタ――宵が満面の笑みを顔に出しながら走ってきていた。
「ごしゅじんしゃま〜。」
「はい、ただいま。」
足に引っ付いてきた宵の頭を撫でてやると、嬉しそうに尻尾を振りながら喉を鳴らす。可愛いなぁ。
「ご主人、お帰りニャ。」
「ただいま、トウ。」
宵とは違い、トウは落ち着いた様子で居間から出てきた。大人の余裕ってやつかな?しかし頭を撫でるとすぐに喉を鳴らす辺り、まだ子供なのだろう。
「さて・・・。あっしは今から小説を執筆します。邪魔しないように。OK?」
「分かったニャ。」
「は〜い。」
・・・まあ、この子達ならこんな風に釘を刺さなくても邪魔しないとは信じてる。あの甥っ子とは違って・・・。靴を脱いで今へと直行し、上着を掛けて作業机に置いてあるPCの電源を点ける。いつもやっている一連の動きだが、小説執筆する時となると結構緊張する。コミケで並んでいる時真後ろの人が某有名人だった時ぐらい緊張する。
起動するまでの間に台所へ向かって眠気防止用の冷珈琲(アイスコーシー)を淹れる。因みにメーカーは安定のネ○カフェ。美味しいよね、ネ○カフェ。あっしはミルクも砂糖も入れないブラック派。一回胃に穴が開くまで飲んだことがある。アレは痛かった・・・。
珈琲をキーボードの隣に置いて準備完了。因みに今回の自分へのご褒美はおはぎ。(たいてい朝まで掛かるのでやる気持続の為ご褒美制にしてる。)冷やすと美味しくなくなるので食卓の上に置いてある。
さあ、頑張りますかね。
――――――執筆開始1地時間
「ふう・・・。」
いい具合に切が良いので休憩も兼ねて二人の様子を確かめに寝室を見てみる。
「クー、クー。」
「すぅ・・・すぅ・・・。」
いつの間にか敷かれていた布団に二人が眠っていた。しかも丸くなっている宵をトウが寝転んだたまま抱っこしているような状態で。すかさずポッケから携帯を取り出す。写メ余裕でした。
よし、頑張ろう。
――――――執筆開始1時間半
「ごしゅじんしゃま〜・・・。」
ふと、寝室の方から宵が涙目で歩いてきた。一体どうしたのだろうか。
「ん?どした?」
「こわいゆめみたにゃ〜・・・。」
「そうか、よしよし。」
足に擦り寄ってきた宵を抱き上げ、膝の上に乗せて小さな背中を優しく撫ぜてやる。すると安心したのか、すぐに寝息を立て始めた。
「・・・やれやれ。」
内心少し呆れつつも、腹に掛かる心地いい圧力をそのままに片手で執筆を再開した。
――――――執筆開始から2時間半
・・・さて、荒削りだけど大体こんなもんかな。とりあえず宵を布団にって・・・。
「あれ?宵?」
周りを見渡してみるも宵の姿は無い。もう戻ったのかな?
とりあえず執筆再開。
――――――執筆開始から3時間半
・・・何だろう、やけに後頭部が重い。疲れたのかな?
「ごしゅじんしゃま〜、よいとあそぶにゃ〜。」
「・・・え?」
明らかにおかしい所から宵の声が聞こえたので後頭部に手をやってみる。するといつの間にか宵があっしの後頭部を抱えるようにして引っ付いていた。
「・・・宵、なにしてんの?」
「ごしゅじんさま、あったかいにゃ〜。」
「あ、そ・・・。」
まあおめぁが良いなら別にあっしは構わんが・・・。と言うか答えになって無いぞ、それ。
とりあえずラストスパート、気合入れなおして頑張ろう。
――――――執筆開始4時間
「よ〜し、今日はこれで終わり・・・っと。」
座っていた椅子の背に凭れ掛かり、思い切り伸びをする。ずっと動いてなかったからか凄く気持ち良い。さて、それよりも・・・。
「おはぎは〜っと。」
食卓に目を向ける。しかし、肝心のおはぎは見当たらない。・・・あれ、あっし食卓に置いたよな?どこか移動させたっけ?思い出してみるも、心当たりは無い。
「ごしゅじんしゃま、おしごとおわりにゃ〜?」
「おう、終った・・・ぞ・・・。」
どこからかやってきた宵の方を見ると、口元が少し黒っぽい。・・・まさか。
「なあ宵?」
「はいにゃ?」
「あそこに置いてあったあっしのおはぎ知らないか?」
「・・・!」
食卓を指差しながら宵に聞いてみると、宵の表情が固まった。
「し、しらにゃい・・・。」
少しどもりながら、宵があっしから目を背けて答える。・・・よぉし、そっちがその気ならあっしにも手があるぞ。可愛いからって食い物の恨みまで許されると思うなよ?
「そっか・・・。でも、誰が食べたんだろうな〜・・・。人のものを勝手に食う奴、あっしは嫌いだな〜・・・。」
「・・・・・・!!」
わざとらしく腕を組んで困ったような顔をして椅子に凭れ掛かる。「嫌い」という言葉に反応したのか、宵の体が跳ねた。
「あぅあぅ・・・。」
みるみる宵の顔色が変わり、青ざめてオロオロし出す。可愛いけど今は我慢だ・・・!
「はぁ、もし見つけたらこの家から出て行ってもらわないとな・・・。そんなやつ置いとけないし。」
「!!」
勿論冗談だ。追い出す気なんてさらさら無いが、我が家にいる以上悪い事したら自分から言いに来なければならないからな。これ、家のルール。しかしそれが止めとなったようで、宵は大粒の涙を流しながら足に擦り寄ってきた。
「ごめんにゃさいぃ・・・よいがたべたにゃぁ・・・!ちゃんとごめんにゃさいするから、よいのこときらいににゃらにゃいでぇ・・・!」
何この生き物超可愛い。必死の形相で足に抱きついて顔をこすり付けてくる。流石に可哀想になってきたので、そろそろ許してやる事にしよう。足から宵を離し、膝の上に乗せてやる。
「・・・もう嘘つかないって、約束できる?」
「ふぁい・・・。」
「よし、じゃあ許す。」
そう言った途端、宵は心の底から嬉しそうな顔をして抱きついてきた。尻尾もかつて無いほど速く振られている。
「・・・よし、いい時間だからそろそろ寝ようか。」
「ごしゅじんしゃま、いっしょにねてくれるにゃ?」
「おう、いいぞ。」
「♪」
あっしは宵を抱えたまま立ち上がり、PCの電源を消して寝室に入った。
11/10/23 03:54更新 / 一文字@目指せ月3