Dragon sky
むかしむかし あるところに1匹のドラゴンが生まれました ほかのどのドラゴンよりも巨大で、強い魔力と力を持ったドラゴン しかし、このドラゴンがほかのどのドラゴンよりも異質だったのはその色でした 真っ黒く、煤けた深黒の身体 それは不気味で恐ろしく ドラゴンが生まれ持った強い力とも相まって 他のドラゴンたちからは“悪魔”と呼ばれ恐れられ とうとう仲間外れにされてしまいました 黒いドラゴンはいつも独りでした そんなある日、黒いドラゴンに話しかけるドラゴンがありました そのドラゴンは白銀のウロコを持ち、白金色に輝く瞳で真っ黒なドラゴンを見据えてこう言いました “お前は馬鹿だな。それほど大きく、それほど強い力を持っていながら、なぜそれを振るわないのだ?” 白いドラゴンはたくさんのドラゴンたちを束ねる女王ドラゴンでした 黒いドラゴンと同じく、巨大な力と、異質な外見を持って生まれた彼女はその力でもって、他のドラゴンたちを束ねていたのです そんな白いドラゴンに向かって黒いドラゴンはこう言いました “痛いのは嫌だよ。痛いことはしてもされても、結局は一人になってしまうから” 白いドラゴンはそれを聞いて気がつきました たくさんのドラゴンから恐れられ、女王として孤高に立つ自分と、この黒いドラゴンと何が違うのだろう と 白いドラゴンは静かに微笑んでこう言いました “私とお前は同じなのだな” それ以来、2匹のドラゴンは友達になりました お互いに、初めての、大切な友達に それ以来、2匹はいつも一緒にいるようになりました 白いドラゴンは女王ではなくなり、黒いドラゴンの友達になりました しかし、それでも彼女はずっと幸せでした 2匹とももう一人ではなくなったからです しかし そんな2匹にも別れは突然やってきました 2匹は大げんかをしました 発端はなんだったか、今となっては誰も覚えていません でも、とても些細なことだったような気がします 2匹のドラゴンの喧嘩は凄まじく、巨大な大陸がひとつ消えてしまうほどでした 先に出て行ったのは黒いドラゴンでした もう白いドラゴンの顔も見たくありませんでした 黒いドラゴンは大きな翼を羽ばたかせ、遠く、遠くへ飛んでいってしまったのです そうして一人になったとき、黒いドラゴンは後悔しました どうして私はあんなことをしてしまったのだろう ちゃんと謝ろう、仲直りしよう しかし、2匹の喧嘩ですっかり形の変わってしまった世界では、白いドラゴンがどこにいるのか見つけることができません 黒いドラゴンはとても悲しくなりました 何日も何日も探し続け、何日も何日も泣き続けました そうしてドラゴンが流した涙は大雨のように世界に降り続けました そうしたある日、大変なことが起こりました ドラゴンが流し続けた涙は、とうとう大洪水になってたくさんの人間や魔物の国を流しさってしまったのです 国を流されてしまった人間や魔物は怒り狂いました そしてとうとう、いつもは戦争ばかりしている人間と魔物が手を取り合い、黒いドラゴンを封印してしまいました 黒いドラゴンは真っ暗な地下へ埋められ、そこで長い長い眠りにつきました そんなドラゴンは、今でも世界のどこかで眠っているそうです 白いドラゴンに再び出会い、仲直りをする日を夢に見ながら… |
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