ノシ==========={サブタイトル}
もう私は落ちてしまいました。
恋に落ちてしまいました。
私の中でワシが何か叫んでいる気もするが、そんなことは無視だ。
あーあー。聞こえませーん。
そもそも、ワシだって俺を差し置いて主様に私達を捧げたんだし、一緒じゃない。
ん?あ、でも、捧げたのは俺だったっけ?じゃあ、ワシは悪くないのか…。
まぁ、いっか。
この際うやむやにしてワシのせいにしてしまおう。
だから私のせいじゃない。
そして、私は我に返り、おにいちゃんの反応を見る。
「えっ!?そ、そんな急に…言われても…」
今度はおにいちゃんが慌てる番だ。
にゅふふふふ。
「お願い!私の全部をあげる!私を貰って」
私は一気に詰め寄り、座っているおにいちゃんの膝の上に両手を置いてぐいっと顔を寄せる。
「で、でも、僕は奴隷だよ?」
そう言っておにいちゃんは腕を見せてくる。
そこには焼き印による酷い痕が。
私はすぐさま私の刀身を取り出して魔力を使って焼き印と言う存在だけをすっぱりと切り落として再び刀身を仕舞った。
「逞しくて綺麗な腕だけど、それがどうしたの?」
私は白々しく嘘をついた。
普通の人間のおにいちゃんには私のさっきの動きは見えていないはずだ。
「え!?なんで!?消えてる…」
「ほら。これでおにいちゃんは綺麗な体。さぁ。子作りしましょ」
私は問答無用で自分の服に手をかける。
「ま、待って待って。焼き印はたしかになくなってるけど、でも、僕が売られないと僕の実家に払われたお金が…。それに僕らを攫った盗賊がやってくるかもしれないし。」
「盗賊のおにいちゃんたちならさっき私がやっつけちゃったよ。だから今は誰も来ないよ。それにお金とかそんな面倒くさいことは全部盗賊のせいにしちゃえばいいの。輸送にしくじったのは商人なんだし。それに、私なんか貴族なのに攫われて売られたのよ?そんな悪い商人が損したところで誰も悲しまないわ。子作りしましょ」
私はグイグイと押しにかかる。
きっとおにいちゃんは押しに弱いはずだ。
私は豊富な人生経験からそう見ぬいた。
“豊富な人生経験って、“私”はまだ処女のはずじゃが?”
ギクぅ!?
な、ななななな、何でそれを…
“先程から“私”には驚かされっぱなしじゃからの。あらかじめ記憶を辿って調べておいたわい。無論、“ワシ”以外もの”
うううううう、うるさい!
子供が処女で何が悪い!
“わたしさん じゅうよんさい”
むぎぃぃぃぃぃいいい!!
もう、無視よ!
私たちのことなんて無視。
これは現宿主である“私”の問題なんだから!
「さ、子作りするわよ!」
「あわわ。ちょっと!?っていうか今サラッと貴族って!?え、あっ!」
私は素早くワンピースを脱ぎ去って裸になる。
当然下には何も身に着けてないので汗ばんだ白い幼肌が顕になる。
そして私はおにいちゃんの邪魔な服を取り去るために刀身を発現させ、素早く振るう。
―シュパ
一振りでおにいちゃんの彫刻のような肉体が顕になる。
そして、それと同時におにいちゃんのいい匂いが部屋中に広がる。
「はふぅん……はぁ…はぁ…」
それだけで私の背筋に快楽が走る。
「え!?何したの!?僕の服は!?っていうかその剣…」
おにいちゃんは私の刀身を見て驚きの表情を浮かべる。
「あれ?もしかして私が魔物だっていうことに気づいてなかったの?ほら。髪の色も、それに身体だって昨日と変わってるでしょ?」
「え?……ああっ!もしかして君、あの女の子!?」
あ、どうやら私が“私”だったことにすら気づいてなかったみたい。
「すんすん。可哀想な私はこの呪われた剣の力で魔物の姿に変えられてしまったの。呪いを解くためにも子作りが必要なの。さぁ、子作りしましょ」
「最後の一言でとたんに嘘くさくなったよ!?」
おにいちゃんのくせに疑り深いなぁ。
「はい。正直に言います。私はおにいちゃんのことが大好きでおにいちゃんとセックスしたいだけの変態幼女です」
「潔良すぎてもはや男前だよ!」
なかなか鋭いツッコミ。
しかし、最早私は決断した。
今こそ魔物になって、いや、魔法幼女となって、おにいちゃんを性的に救ってあげなくてはいけない。
「マジカルマジック☆マイティ〜〜ジェノサイドぉ!おとなしくなぁ〜れっ☆」
私は刀身を振りかぶりおにいちゃんを深く深く斬りつけた。
「んあぁぁああ!」
おにいちゃんが強すぎる快感に耐えかねて身体を弛緩させる。
まさに絶好のチャンスだ。
しかし、
「んひぃぃぃぃ!!」
私はおにいちゃんの体から精を取り込んで、あまりの快楽に何度かイッてしまった。
最早その場に立っていることも出来なくて膝をハの字に曲げて座り込んでしまう。
「あ…あひ…ふぇぇ……」
――しょおおおお
あ、本日二回目のお漏らし。
ただ斬っただけなのに、こんな…。
で、でも、私、ちんぽなんかに負けないんだから!
目の前がチカチカとするほど強い衝撃だった。
僕はどうにか意識をつなぐと身体を見下ろした。
あれ?
先ほど切りつけられたはずの傷がどこにもない。
しかし、まるで肩口からバッサリと身体を真っ二つにされてしまったかのように、身体はズクズクと疼き、焼かれたように熱い。
「んひぃぃぃぃ!!」
しかし、そんな僕以上に目の前の子は苦しそうにしていた。
いや、その子は快楽に喘いでいた。
身体をビクビクと硬直させてその赤い瞳を泳がせ、焦点の合わない目で天井を見上げていた。
――しょおおおお
狭い部屋の中に恥ずかしい音が響く。
しかし、幼女は恥ずかしがるどころか幸せに満ちた表情でそれを出しきっていた。
広がるはずのツンとした匂いはなく、それどころか強烈なほどに甘い匂いが部屋中に広がる。
―ズクン…ズクン…
その匂いを嗅いだ途端に僕の心臓は地鳴りのように響き、先程まで燃えるようだった身体の疼きがいよいよ持って身体中を焦がしていきそうになる。
目の前の幼女にしか見えない女性は幼い顔を、しかし幼いと呼ぶにはあまりに扇情的な表情を浮かべ、僕の方を見てニチャりと笑った。
―ゾク
背筋を駆け上がるものが在った。
それは恐怖だろうか、それとも僕の中の欲望、期待だろうか。
その幼い体を見て、僕が心惹かれるはずなんてない。
それこそ、まるで猫のような彼女は可愛らしいと思いこそすれ、女性としてみることには限界がある。
事実、先程までの彼女は人間の少女というよりも、むしろどこか猫科の小動物のような愛らしさで、僕の中ではそれ以上でも以下でもないはずだった。
しかし、今目の前にいるその幼女はどうだろうか。
僕の好みは僕の姉さんのように大柄で丈夫そうな女性だった。
手足もがっしりとしていて、僕と一緒に畑仕事をしても、遊びまわっても決して体を壊したりしない元気な女性。
大して目の前の女性はどうだろうか。
指で突っついただけでも折れてしまいそうな細い腕。
透けるように白くてとても健康そうには見えない作り物のような肌。
まるで正反対だ。
しかし、
―ズクン…ズクン……
僕は間違いなく性的に興奮していた。
期待に濡れる瞳、シロップがかかったような唇、甘くむせ返るような汗でぬらぬらと光る幼い身体。
そんなはずはないのに、そんな幼い身体がとてもいやらしく、美しく見える。
魅える。そして魅入られた。
僕はこの幼子の姿をした妖魔に魅入られてしまったんだ。
「もう、いっしょになるんだし、いやらしいこと、してもいいよね?」
荒い吐息を混じらせて近づいてくる。
ぺろりと唇を舐める舌は唾液に濡れてテラテラとしている。
「…ん……」
僕の唇に驚く程柔らかな感触が被さる。
先ほどとは全く違う。
まるで彼女の唾液で消化されていくように融かされていく頭。
彼女の甘い唾液が流れ込んできて僕の喉を滑り落ちていく。
胃にその雫が落ちる度に僕の体は火に油を注ぐように煮えたぎっていく。
ねろりと、僕の舌を舐めあげてくる小さな舌。
まるで蛇が這いまわるように蠢いてくる。
その感触は悍ましくも心地よくて、次第に顎に力が入らなくなってくる。
「…ひゅー…じゅず…じゅるむ…」
唇の隙間から零れ落ちそうになるもうどちらのものともつかない唾液を一滴もこぼすまいと啜りとる。
まるで魂を犯され、吸いだされるようなキス。
永遠につづくかと思われたが、それは唐突に終わる。
「にゃふふふふ。おにぃちゃ〜ん。やっと大きくしてくれたね」
猫のように手の甲で唇の端から垂れる涎をすくい取り、その手の甲に舌を這わせる。
そんな仕草は最早先ほどまで目の前にいた可愛い子猫ではなかった。
まるで妖猫のようなその赤い目は欲望で細められ、次に見つけた玩具を狙っている。
「んは…ちょっと…」
苦しみすら感じるほどの強い快楽に僕は降参を示そうとする。
しかし、猫はそんな言葉を聞いてはくれない。
「はぁ〜。人間のおにぃちゃんにはわからないと思うけど、と〜っても美味しそうな匂いがしてるんだよ?もう、頭がおかしくなっちゃいそう。私が悪いんじゃないんだよ?こんなに美味しそうなおにいちゃんが悪いの」
そっか、ごめんね。
ついそう言ってしまいそうなほどに朗らかに言う猫。
しかしその猫に剣の一振りで人外の快感を与えられてしまった。
未だに心臓はバクバクとありえないほど哮り、身体中が鈍くしびれるような疼きに支配されている。
あまりに強い快楽に屈してしまいそうになる。
しかし、今はそんな場合ではない。
田舎に住んでいたため、街に比べて魔物と遭遇する機会の多かった僕は魔物がどんな存在か知っている。
この快楽に屈してしまえば僕は全てを彼女に持って行かれてしまうことだろう。
だったら、まだ屈してはいけない。
「んあぁ!」
「え?あひゃぁ!?」
僕は全身に残った理性をフル動員して体を持ち上げた。
そうだ。快楽に屈しさえしなければこんな小柄な女性を持ち上げるだけのことが出来ないはずがない。
僕はそのまま彼女を押し倒し、その細い両腕を押さえつけた。
「な、なに!?突然どうしたの?おにいちゃん」
ガラス球のような瞳をまんまるにして彼女が尋ねる。
「…どうして。こんなことをするの?」
荒い息を押さえつけて、跳ねまわる心臓を締め付けて、僕は声を発した。
むりに身体を動かしたせいで胸が痛い、肺に空気がしみるようだ。
どうしてそこまでして抗ったのだろう。
「私の身体が欲しがってるの。私の本能が求めてるの。私の心が恋してるの。おにいちゃんじゃなきゃダメだって」
澄んだ瞳には何の嘘もなかった。
だからこそ恐ろしいと思った。
昨日まで人間だったはずの少女が魔物に成ったからといってたったの一晩でこんなにも成れるものだろうか。
僕の住んでいた村にワーウルフになった元人間の女性がいた。
彼女はワーウルフにしては随分と穏やかな人で、耳や手足が違うことを除けば人間と何も変わりがなかった。
魔物に成ったからといってその人間性が変貌するわけではない。
つまり、この幼女のような女性は初めから、魔物になる前から人間ではなかったのだ。
でも、だからといって。
彼女が恐ろしくて、人間として異質であるからといって、そんなことでこの女性を嫌いになどなれるだろうか。
こんなにも素直に欲望をむき出しにして、こんなにも魅力的な風貌で、そしてこんなにも真直ぐに僕のことを見つめてくれる女性を。
思えば彼女は僕の拘束を解いてくれた、そして彼女の話が本当なら僕らを攫った盗賊まで退治してくれた、そして恐らくは何らかの力で僕の腕に会った奴隷としての烙印を消し去ってくれた。
僕を自由にしてくれた。
彼女に自由を貰った僕は、そんな僕をこんなにも好きだと言ってくれるこの女性を嫌いだということができるだろうか。
ああ、そうか。
僕は自由にされたんじゃない。
彼女に囚われてしまったんだ。
彼女の身体に覆いかぶさり、その自由を奪っているのは僕だけれども。
でも、僕はそんな彼女に心を鷲掴みにされて拘束されていた。
好みでもなんでもないはずの幼い肢体。
くびれのない腰つき、ぽっこりとふくらんだお腹、まだ膨らむ気配すらない胸。
性的な要素なんて全く無い。
しかし、その手足はむっちりと柔らかで肉感的に見える。
平らな胸の頂点で濃いピンクに色づく乳首に美しさを覚える。
愛液でテラテラと濡れて、ひくひくと息づくその無防備で挑発的な性器に興奮する。
そして、人形のように整っていて、それでいて猫のように目が大きな顔にたまらない愛らしさを抱いている。
「この身体、おにいちゃんのものだよ?」
―ゴクリ
そのセリフと挑発的な表情に思わず喉が鳴ってしまった。
ああ。もう我慢なんて出来るはずがなかった。
だから。
せめて全力で、彼女を悦ばせてあげよう。
「ごめんね」
僕は先に詫て、その幼いさくらんぼのような唇を奪った。
恋に落ちてしまいました。
私の中でワシが何か叫んでいる気もするが、そんなことは無視だ。
あーあー。聞こえませーん。
そもそも、ワシだって俺を差し置いて主様に私達を捧げたんだし、一緒じゃない。
ん?あ、でも、捧げたのは俺だったっけ?じゃあ、ワシは悪くないのか…。
まぁ、いっか。
この際うやむやにしてワシのせいにしてしまおう。
だから私のせいじゃない。
そして、私は我に返り、おにいちゃんの反応を見る。
「えっ!?そ、そんな急に…言われても…」
今度はおにいちゃんが慌てる番だ。
にゅふふふふ。
「お願い!私の全部をあげる!私を貰って」
私は一気に詰め寄り、座っているおにいちゃんの膝の上に両手を置いてぐいっと顔を寄せる。
「で、でも、僕は奴隷だよ?」
そう言っておにいちゃんは腕を見せてくる。
そこには焼き印による酷い痕が。
私はすぐさま私の刀身を取り出して魔力を使って焼き印と言う存在だけをすっぱりと切り落として再び刀身を仕舞った。
「逞しくて綺麗な腕だけど、それがどうしたの?」
私は白々しく嘘をついた。
普通の人間のおにいちゃんには私のさっきの動きは見えていないはずだ。
「え!?なんで!?消えてる…」
「ほら。これでおにいちゃんは綺麗な体。さぁ。子作りしましょ」
私は問答無用で自分の服に手をかける。
「ま、待って待って。焼き印はたしかになくなってるけど、でも、僕が売られないと僕の実家に払われたお金が…。それに僕らを攫った盗賊がやってくるかもしれないし。」
「盗賊のおにいちゃんたちならさっき私がやっつけちゃったよ。だから今は誰も来ないよ。それにお金とかそんな面倒くさいことは全部盗賊のせいにしちゃえばいいの。輸送にしくじったのは商人なんだし。それに、私なんか貴族なのに攫われて売られたのよ?そんな悪い商人が損したところで誰も悲しまないわ。子作りしましょ」
私はグイグイと押しにかかる。
きっとおにいちゃんは押しに弱いはずだ。
私は豊富な人生経験からそう見ぬいた。
“豊富な人生経験って、“私”はまだ処女のはずじゃが?”
ギクぅ!?
な、ななななな、何でそれを…
“先程から“私”には驚かされっぱなしじゃからの。あらかじめ記憶を辿って調べておいたわい。無論、“ワシ”以外もの”
うううううう、うるさい!
子供が処女で何が悪い!
“わたしさん じゅうよんさい”
むぎぃぃぃぃぃいいい!!
もう、無視よ!
私たちのことなんて無視。
これは現宿主である“私”の問題なんだから!
「さ、子作りするわよ!」
「あわわ。ちょっと!?っていうか今サラッと貴族って!?え、あっ!」
私は素早くワンピースを脱ぎ去って裸になる。
当然下には何も身に着けてないので汗ばんだ白い幼肌が顕になる。
そして私はおにいちゃんの邪魔な服を取り去るために刀身を発現させ、素早く振るう。
―シュパ
一振りでおにいちゃんの彫刻のような肉体が顕になる。
そして、それと同時におにいちゃんのいい匂いが部屋中に広がる。
「はふぅん……はぁ…はぁ…」
それだけで私の背筋に快楽が走る。
「え!?何したの!?僕の服は!?っていうかその剣…」
おにいちゃんは私の刀身を見て驚きの表情を浮かべる。
「あれ?もしかして私が魔物だっていうことに気づいてなかったの?ほら。髪の色も、それに身体だって昨日と変わってるでしょ?」
「え?……ああっ!もしかして君、あの女の子!?」
あ、どうやら私が“私”だったことにすら気づいてなかったみたい。
「すんすん。可哀想な私はこの呪われた剣の力で魔物の姿に変えられてしまったの。呪いを解くためにも子作りが必要なの。さぁ、子作りしましょ」
「最後の一言でとたんに嘘くさくなったよ!?」
おにいちゃんのくせに疑り深いなぁ。
「はい。正直に言います。私はおにいちゃんのことが大好きでおにいちゃんとセックスしたいだけの変態幼女です」
「潔良すぎてもはや男前だよ!」
なかなか鋭いツッコミ。
しかし、最早私は決断した。
今こそ魔物になって、いや、魔法幼女となって、おにいちゃんを性的に救ってあげなくてはいけない。
「マジカルマジック☆マイティ〜〜ジェノサイドぉ!おとなしくなぁ〜れっ☆」
私は刀身を振りかぶりおにいちゃんを深く深く斬りつけた。
「んあぁぁああ!」
おにいちゃんが強すぎる快感に耐えかねて身体を弛緩させる。
まさに絶好のチャンスだ。
しかし、
「んひぃぃぃぃ!!」
私はおにいちゃんの体から精を取り込んで、あまりの快楽に何度かイッてしまった。
最早その場に立っていることも出来なくて膝をハの字に曲げて座り込んでしまう。
「あ…あひ…ふぇぇ……」
――しょおおおお
あ、本日二回目のお漏らし。
ただ斬っただけなのに、こんな…。
で、でも、私、ちんぽなんかに負けないんだから!
目の前がチカチカとするほど強い衝撃だった。
僕はどうにか意識をつなぐと身体を見下ろした。
あれ?
先ほど切りつけられたはずの傷がどこにもない。
しかし、まるで肩口からバッサリと身体を真っ二つにされてしまったかのように、身体はズクズクと疼き、焼かれたように熱い。
「んひぃぃぃぃ!!」
しかし、そんな僕以上に目の前の子は苦しそうにしていた。
いや、その子は快楽に喘いでいた。
身体をビクビクと硬直させてその赤い瞳を泳がせ、焦点の合わない目で天井を見上げていた。
――しょおおおお
狭い部屋の中に恥ずかしい音が響く。
しかし、幼女は恥ずかしがるどころか幸せに満ちた表情でそれを出しきっていた。
広がるはずのツンとした匂いはなく、それどころか強烈なほどに甘い匂いが部屋中に広がる。
―ズクン…ズクン…
その匂いを嗅いだ途端に僕の心臓は地鳴りのように響き、先程まで燃えるようだった身体の疼きがいよいよ持って身体中を焦がしていきそうになる。
目の前の幼女にしか見えない女性は幼い顔を、しかし幼いと呼ぶにはあまりに扇情的な表情を浮かべ、僕の方を見てニチャりと笑った。
―ゾク
背筋を駆け上がるものが在った。
それは恐怖だろうか、それとも僕の中の欲望、期待だろうか。
その幼い体を見て、僕が心惹かれるはずなんてない。
それこそ、まるで猫のような彼女は可愛らしいと思いこそすれ、女性としてみることには限界がある。
事実、先程までの彼女は人間の少女というよりも、むしろどこか猫科の小動物のような愛らしさで、僕の中ではそれ以上でも以下でもないはずだった。
しかし、今目の前にいるその幼女はどうだろうか。
僕の好みは僕の姉さんのように大柄で丈夫そうな女性だった。
手足もがっしりとしていて、僕と一緒に畑仕事をしても、遊びまわっても決して体を壊したりしない元気な女性。
大して目の前の女性はどうだろうか。
指で突っついただけでも折れてしまいそうな細い腕。
透けるように白くてとても健康そうには見えない作り物のような肌。
まるで正反対だ。
しかし、
―ズクン…ズクン……
僕は間違いなく性的に興奮していた。
期待に濡れる瞳、シロップがかかったような唇、甘くむせ返るような汗でぬらぬらと光る幼い身体。
そんなはずはないのに、そんな幼い身体がとてもいやらしく、美しく見える。
魅える。そして魅入られた。
僕はこの幼子の姿をした妖魔に魅入られてしまったんだ。
「もう、いっしょになるんだし、いやらしいこと、してもいいよね?」
荒い吐息を混じらせて近づいてくる。
ぺろりと唇を舐める舌は唾液に濡れてテラテラとしている。
「…ん……」
僕の唇に驚く程柔らかな感触が被さる。
先ほどとは全く違う。
まるで彼女の唾液で消化されていくように融かされていく頭。
彼女の甘い唾液が流れ込んできて僕の喉を滑り落ちていく。
胃にその雫が落ちる度に僕の体は火に油を注ぐように煮えたぎっていく。
ねろりと、僕の舌を舐めあげてくる小さな舌。
まるで蛇が這いまわるように蠢いてくる。
その感触は悍ましくも心地よくて、次第に顎に力が入らなくなってくる。
「…ひゅー…じゅず…じゅるむ…」
唇の隙間から零れ落ちそうになるもうどちらのものともつかない唾液を一滴もこぼすまいと啜りとる。
まるで魂を犯され、吸いだされるようなキス。
永遠につづくかと思われたが、それは唐突に終わる。
「にゃふふふふ。おにぃちゃ〜ん。やっと大きくしてくれたね」
猫のように手の甲で唇の端から垂れる涎をすくい取り、その手の甲に舌を這わせる。
そんな仕草は最早先ほどまで目の前にいた可愛い子猫ではなかった。
まるで妖猫のようなその赤い目は欲望で細められ、次に見つけた玩具を狙っている。
「んは…ちょっと…」
苦しみすら感じるほどの強い快楽に僕は降参を示そうとする。
しかし、猫はそんな言葉を聞いてはくれない。
「はぁ〜。人間のおにぃちゃんにはわからないと思うけど、と〜っても美味しそうな匂いがしてるんだよ?もう、頭がおかしくなっちゃいそう。私が悪いんじゃないんだよ?こんなに美味しそうなおにいちゃんが悪いの」
そっか、ごめんね。
ついそう言ってしまいそうなほどに朗らかに言う猫。
しかしその猫に剣の一振りで人外の快感を与えられてしまった。
未だに心臓はバクバクとありえないほど哮り、身体中が鈍くしびれるような疼きに支配されている。
あまりに強い快楽に屈してしまいそうになる。
しかし、今はそんな場合ではない。
田舎に住んでいたため、街に比べて魔物と遭遇する機会の多かった僕は魔物がどんな存在か知っている。
この快楽に屈してしまえば僕は全てを彼女に持って行かれてしまうことだろう。
だったら、まだ屈してはいけない。
「んあぁ!」
「え?あひゃぁ!?」
僕は全身に残った理性をフル動員して体を持ち上げた。
そうだ。快楽に屈しさえしなければこんな小柄な女性を持ち上げるだけのことが出来ないはずがない。
僕はそのまま彼女を押し倒し、その細い両腕を押さえつけた。
「な、なに!?突然どうしたの?おにいちゃん」
ガラス球のような瞳をまんまるにして彼女が尋ねる。
「…どうして。こんなことをするの?」
荒い息を押さえつけて、跳ねまわる心臓を締め付けて、僕は声を発した。
むりに身体を動かしたせいで胸が痛い、肺に空気がしみるようだ。
どうしてそこまでして抗ったのだろう。
「私の身体が欲しがってるの。私の本能が求めてるの。私の心が恋してるの。おにいちゃんじゃなきゃダメだって」
澄んだ瞳には何の嘘もなかった。
だからこそ恐ろしいと思った。
昨日まで人間だったはずの少女が魔物に成ったからといってたったの一晩でこんなにも成れるものだろうか。
僕の住んでいた村にワーウルフになった元人間の女性がいた。
彼女はワーウルフにしては随分と穏やかな人で、耳や手足が違うことを除けば人間と何も変わりがなかった。
魔物に成ったからといってその人間性が変貌するわけではない。
つまり、この幼女のような女性は初めから、魔物になる前から人間ではなかったのだ。
でも、だからといって。
彼女が恐ろしくて、人間として異質であるからといって、そんなことでこの女性を嫌いになどなれるだろうか。
こんなにも素直に欲望をむき出しにして、こんなにも魅力的な風貌で、そしてこんなにも真直ぐに僕のことを見つめてくれる女性を。
思えば彼女は僕の拘束を解いてくれた、そして彼女の話が本当なら僕らを攫った盗賊まで退治してくれた、そして恐らくは何らかの力で僕の腕に会った奴隷としての烙印を消し去ってくれた。
僕を自由にしてくれた。
彼女に自由を貰った僕は、そんな僕をこんなにも好きだと言ってくれるこの女性を嫌いだということができるだろうか。
ああ、そうか。
僕は自由にされたんじゃない。
彼女に囚われてしまったんだ。
彼女の身体に覆いかぶさり、その自由を奪っているのは僕だけれども。
でも、僕はそんな彼女に心を鷲掴みにされて拘束されていた。
好みでもなんでもないはずの幼い肢体。
くびれのない腰つき、ぽっこりとふくらんだお腹、まだ膨らむ気配すらない胸。
性的な要素なんて全く無い。
しかし、その手足はむっちりと柔らかで肉感的に見える。
平らな胸の頂点で濃いピンクに色づく乳首に美しさを覚える。
愛液でテラテラと濡れて、ひくひくと息づくその無防備で挑発的な性器に興奮する。
そして、人形のように整っていて、それでいて猫のように目が大きな顔にたまらない愛らしさを抱いている。
「この身体、おにいちゃんのものだよ?」
―ゴクリ
そのセリフと挑発的な表情に思わず喉が鳴ってしまった。
ああ。もう我慢なんて出来るはずがなかった。
だから。
せめて全力で、彼女を悦ばせてあげよう。
「ごめんね」
僕は先に詫て、その幼いさくらんぼのような唇を奪った。
16/07/15 20:54更新 / ひつじ
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