報復舌刀
小さい頃俺に母が読み聞かせてくれた英雄譚。
その勇者はかつてない巨大な力を持つ魔王に立ち向かっていった。
何もかもが子供だましのお伽話だと知るのに20年かかった。
この世界が公平でないということは知っていた。
知っていたつもりだった。
でも思い知ったことはなかった。
思い知ったのは23の時だった。
納得するのに更に5年がかかった。
そして納得すると同時にすべてを諦めた。
今では立派な外道になった。
でも周りを見渡してみろ、ほら、目につくだけでも5人の仲間がいる。
皆俺と同じだ。
きっかけは違うかもしれない。
国のためにと立ち上がった者、女のために戦った者、自らの強さを確かめたいと思った者、家族のために金を稼ごうと思った者、そして英雄を夢見た者。
しかし皆、少なくともここにいる5人はそれが叶わなかった。
軍で自分の弱さを知り、組織のもろさを知り、矮小で無力な己を知り、そして傭兵に身を落とし、そして最後には盗賊になった。
人を殺すことへの躊躇いは初めての戦で捨てた。
戦いの中に正義を持ち出す心は傭兵時代に捨てた。
道義心や善意、常識の類は盗賊に堕ちるときに捨てた。
そして今じゃ女子供をいたぶることにも罪悪感は抱かなくなった。
人の心はこんなにも強い。
たやすく麻痺して外道に落ちる。
外道になりきれない弱い奴らは飢えて死ぬか、罪人として討伐される。
そして俺達はそうはなっていない。
俺達は生き残っている。
強いから生き残っている。
今更目指していた強さとの天と地ほどの落差なんて気にしない。
それでも、そんな俺達でもいつでも覚悟はしているつもりだった。
いつか自分たちよりも強い奴らが現れて、そいつが俺らを食い潰すことは覚悟していた。
いや、そのはずだった。
しかし、この光景はどうだろうか。
目の前では今、また一人仲間が斬られた。
いや、斬られたというよりは叩き潰されたといったほうが良いのかもしれない。
あんな巨大な剣は見たことがない。
あんなに禍々しく歪んだ剣は見たことがない。
斧のようで鎌のようで、それでいてやはり剣であるようで。
その刀身は巨大で、仲間の中で一番巨大な男の背丈程もあり、その分厚さはギロチンのようだ。
そして斧のように突き出した大きく湾曲した刃は人を押しつぶす戦斧のようであり、そして死神の鎌のようでもある。
どんな武器にも属さない異様な形状、そしてどの武器の利点も生かしていない不格好な形は行き場のない暴力が具現化したようにも見える。
これを持つのが禍々しい魔物なら良かったのだろう。
角を生やし、翼を生やし、獣のように毛の生えた見難いバケモノだったなら良かったのだろう。
まさに見てくれ通りの恐怖の具現。
それだったら幾分か心は落ち着いていただろう。
それがどうだ。
その禍々しい獲物を片手で軽々と操っている人物の姿は。
いや、あんなものを軽々と扱える時点で人ではない、そして、その恍惚とした笑みや、グチョリと歩く度に水音を響かせる湿った股間は現代の魔物そのものだ。
しかしその艶めかしい笑みに、そして幼い体つきにまとわりつく気配は魔物ですらない。
「あはははは。あぁ〜。きもちいぃ〜気持ち良いよう…。人間の魔力ってこんなに美味しくて気持ちいいなんて知らなかった。人を斬ることがこんなに爽快で気持ちいいものだなんて知らなかった。オナニーなんかよりもずっと気持ちいいよね。ねぇ、おにいちゃんもそう思うでしょ?」
その幼い体格に相応の柔らかそうな太ももにぬらりと垂れる粘液を左手の薬指ですくい、まるで血を舐めるように舐めとる少女。
しかし可愛らしいといった様子は全く無く、明らかに発情し、いやらしい笑みを浮かべているにもかかわらず、そそられるということは全く無い。
「あれぇ?私に始めてセックスを教えてくれたのはおにいちゃんだったよねぇ?」
一瞬、何のことかと思った。
しかし、そのバケモノの顔を見て、穴が空くほどに見つめてやっとわかった。
髪の色は真っ黒になり、肌の色も血の気が引いて青白くなっているが。ああ、そうか。
確かに昨晩俺が犯した少女だった。
その身体を舐め回しても、そして処女を奪ってやっても、まったくもって反応が薄かったせいで苛立ちを拳に乗せて暴力を振るったのを思い出した。
今思えばこの化物はあの時から少し普通ではなかったのだ。
自らの身体を犯されても怯えることはなかった。
むしろ不思議そうに眺めて俺を見つめていた。
その視線が気に食わなかった。
何も考えていないようなその表情が気に食わなかった。
だから殴った。殴り尽くした。
そうしてやっとのことで悲鳴をあげていたが、それも長くは続かなかった。
しばらくするともう痛みを感じなくなったのか、途端にまた声もあげなくなった。
あの時は泣き叫ぶことにも疲れ果てていたのかと思ったが、きっとそうじゃない。
ただ、こいつは慣れてしまったのだ。
ただいたぶられる痛みに、恐怖に慣れてしまった。
だから泣き止んでしまった。
今ならそれがわかる。
手に持っているその化物以上に化物のような剣は昨日あの部屋に刺さっていた剣だろう。
姿形もその大きさもまるで違うが、まとっている雰囲気は似通っている。
あの時触れた拍子に纏い始めた禍々しい雰囲気そのものが剣の形をしているようだった。
この異様な剣が少女を化物にしたのだろうか。
それとももともと化物のような少女がふさわしい姿に戻ったのだろうか。
ただ、そんなことはどうでもいい。
今は逃げる方法を考えるだけだ。
見渡してみても斬られた仲間は立ち上がる気配はない。
時折ピクピクと動いてうめき声のような息を吐くだけだ。
薄暗くて見えないが、もしかしたら相当な出血で死に瀕しているのかもしれない.
左右は風化した岩肌、そして後ろにはもう下がれない。
袋小路。
唯一抵抗できるものは腰に刺した寝る時も肌身離さず身につけた護身用のナイフ一振り。
俺は藁にすがるようにそのナイフを構えて向き直る。
ああ、正に藁にも縋る様だ。
あのバカデカい剣を前にしてみればこんなナイフは枯れ枝よりも心細い。
「あははははは。ちっちゃな剣だね。私と比べてどうかな?どっちが綺麗?」
そう言って無邪気な笑顔を浮かべてその化物は化物のような刃物を俺の眼前に差し出してきた。
「うわぁぁぁぁぁあああ!!」
叫ぶつもりはなかったが、気づけば無意識に大声を出して俺は斬りかかっていた。
――カチャン
そして俺の足元に俺の持っていたナイフが転がる。
「ぇ?」
いや、正確には俺のナイフの刀身だけが斬り落とされて転がっていた。
千切れたり折れたりしたわけじゃない。
その断面は鏡のように綺麗で、手に持ったナイフの残骸にその断面を合わせれば再びくっついてしまいそうだ。
何の抵抗もなく鋼鉄のナイフを斬り落としてしまう程の切れ味。
それは最早刃物ですらない。
ああ、やはりバケモノだ。
「じゃあ。次はこっちの番だね」
笑顔。
そして、
「うぎゃああああああああ!!」
俺は斬られた。
脳天から真っ二つに。
しかし、不思議に思うべきだった。
体を駆け巡る恐ろしい刺激はたしかに俺の身体を切り裂いたはずだ。
しかし、俺は叫び声をあげていた。
俺は思った。
何かが起きて剣は俺の身体を反れたのかと。
だが、次の瞬間、それが間違いであるとわかった。
――ガクン
――ビクッ…ビク
俺の膝はくずおれ、俺は指先ひとつ動かせず、見開いた目も閉じることも出来ずに地面に転がった。
ズボンに生暖かい感触が広がり、嗅いだことのある臭いが広がった。
「んはぁ〜…。おにいちゃんの精、いい匂い」
涙で歪む視界の中でバケモノがかがみこんでくるのが見える。
その表情がとろけているように見えたのは視界の歪みのせいだろうか。
感覚が薄れ、そして思い知る。
俺は無様に射精していた。
俺の身体に走っていたのは痛みではなく、それと間違うほどに強い快感だったのだと。
「あはぁ〜ん…。もうらめぇ〜…あらひがまんれきないよぉ〜…」
そう言って化物は手にしていた剣を仕舞った。
いや、仕舞ったというのは正しくない。
剣はグズグズと崩れ落ちて化物の中に吸い込まれていった。
先程まで身体をところどころ覆っていた鎧、と言うにはどこも守っていなさそうなものも同じように身体の中に吸い込まれていった。
残ったのは何一つ身に着けていない幼い少女、いや幼女という方がしっくり来るもの。
幼い肌は柔らかそうで、汗ばんで艶めかしい輝きを放っている。
しかし人間の少女とは決定的に違う。
成長途上であるはずなのに、むっちりとした尻や太股の肉付き、膨らみなど何もないのにつんと自己主張する桃色の乳頭、そして少女らしく膨れた腹や、細い胴体や腕すらも、まるで男を誘っている熟練の娼婦のように魅惑的で、完成されたいやらしさを持っていた。
昨日見た只の細い餓鬼の身体とは明らかに違っている。
そして、少女らしくぷっくりと膨らみ柔らかそうなマン肉はグズグズに熟れたように濡れ、いやらしく男を誘っていた。
「おいひほぉ…」
ダラダラとよだれを垂らし、グチョリといやらしく舌なめずりをするその表情は俺の下半身に注がれている。
俺は逃げるべきだというのに、その姿に目を奪われ、ほんの数ミリでさえ動くことが出来ない。
「いたらきまぁす…」
少女は回らない舌で言葉を漏らし、俺のズボンをずり下げると、青臭い匂いを放つ白い液体に汚れた俺のちんぽを嬉しそうに頬張った。
「んむぅ…ジュぷ。んはぁ…あむ……じゅる…」
小さな口を大きく広げて、粘液まみれのピンクの舌を絡めて俺のちんぽの周りについた精液を音を立てて舐めとっていく。
「じゅずず…んふぅ…あむぅ…じゅむ……」
ニチャニチャと音を出しながら根本までを舐め尽くし、白い粘液を自分のねちゃつく唾液に交換するように舐めとっていく。
その光景を目の当たりにした俺のちんぽはズクズクと疼き、今にも爆発しそうなほどに大きくなっていた。
これまで味わったことがないほどの快楽で、死ぬほど興奮しているはずなのに、まるで心臓を鷲掴みにされたようにイクことができない。
「んふぅ…きれぇ…なったぁ…。れろ…」
口の周りについた白濁液を美味しそうに舌で舐め取り、ぬめる視線を俺の股間に注ぐ少女。
「くるしぃ?…あはは…今度はちゃあんとイかせてあげる」
先程までの見た目以上に幼いような甘ったるいしゃべり方と表情ではなく、魔物に相応しい艶めかしい声と魔力に満ちた表情。
その目は暗闇でも明々と燃え輝き、俺は快楽と恐怖で心臓が止まりそうだ。
「いただきまぁす」
――じゅずずず
「――っ!!」
声を上げようとするが、喉に突っかかったように声が出せない。
そして、目の前はあまりの快感で突然太陽を見たようにチカチカと明滅した。
少女はその小さな口を大きく頬張り、喉まで使って俺のちんぽを根本まで飲み込んでしまった。
少女の喉は明らかに太く広がり、俺のちんぽは少女の喉の中で鼻息を受ける。
「んぐむ…じゅ…ずず…」
少女が顔を上下に動かし、グラインドを開始する。
粘っこく絡みつくような唾液が俺のちんぽ全体を覆い、少女らしく小さな口と細い喉がまるで性器のように俺のちんぽを吸い上げる。
「じゅぶ…む……じゅじゅ…んふぅ…」
少女も興奮しているのか抽送されながらも感じる鼻息がどんどん荒くなる。
まるで俺の弱いところを知り尽くしているように艶めかしく動く喉は、これまで犯してきたどんな女の膣よりも気持ちいい。
もう限界だった。
もう何度もイっているはずだった。
なのに先ほど味わったのと同じように心臓を鷲掴みにされたように絶頂だけが訪れない。
そして、
「じゅるるるるるる」
空に投げ出されたようだった。
全身を駆け巡り、なおも明滅し続ける快楽の本流。
俺は身体に残るすべての力を精液として出してしまったようだった。
深いスロートで飲み込むまでもなく少女の胃に流れ落ちていく精液を少女は腰を痙攣させながら、まるでこの世で最も美味しいものを味わっているかのようなうっとりした表情で飲み込んでいた。
「じゅむむ…ぷはぁ……。あへぇ…おいひぃ…。ひもひぃ…」
ちんぽをズルズルと吐き出し、最後にチュポンと音を立てて口を話した少女はまるで強い麻薬で頭が飛んだ娼婦のように幸せそうな表情を浮かべる。
「はぁ…とっれも…ひもひよかっらよ。…ありあと…」
ニコリととろけた笑みを浮かべる少女。
そして、ひときわ明るくその紅い瞳が輝いて、
「…そして、おやすみなさい」
いつの間にかそこに在った。
先ほどと僅かに形の変わった巨大な剣。
それが俺の顔面に突き刺さる。
俺はおそらく笑えるほどに情けない恐怖の表情を見せていただろう。
そんな俺を化物はとても嬉しそうに嗤い見下ろしていた。
それが俺が意識を失う前に見た最後の光景だった。
その勇者はかつてない巨大な力を持つ魔王に立ち向かっていった。
何もかもが子供だましのお伽話だと知るのに20年かかった。
この世界が公平でないということは知っていた。
知っていたつもりだった。
でも思い知ったことはなかった。
思い知ったのは23の時だった。
納得するのに更に5年がかかった。
そして納得すると同時にすべてを諦めた。
今では立派な外道になった。
でも周りを見渡してみろ、ほら、目につくだけでも5人の仲間がいる。
皆俺と同じだ。
きっかけは違うかもしれない。
国のためにと立ち上がった者、女のために戦った者、自らの強さを確かめたいと思った者、家族のために金を稼ごうと思った者、そして英雄を夢見た者。
しかし皆、少なくともここにいる5人はそれが叶わなかった。
軍で自分の弱さを知り、組織のもろさを知り、矮小で無力な己を知り、そして傭兵に身を落とし、そして最後には盗賊になった。
人を殺すことへの躊躇いは初めての戦で捨てた。
戦いの中に正義を持ち出す心は傭兵時代に捨てた。
道義心や善意、常識の類は盗賊に堕ちるときに捨てた。
そして今じゃ女子供をいたぶることにも罪悪感は抱かなくなった。
人の心はこんなにも強い。
たやすく麻痺して外道に落ちる。
外道になりきれない弱い奴らは飢えて死ぬか、罪人として討伐される。
そして俺達はそうはなっていない。
俺達は生き残っている。
強いから生き残っている。
今更目指していた強さとの天と地ほどの落差なんて気にしない。
それでも、そんな俺達でもいつでも覚悟はしているつもりだった。
いつか自分たちよりも強い奴らが現れて、そいつが俺らを食い潰すことは覚悟していた。
いや、そのはずだった。
しかし、この光景はどうだろうか。
目の前では今、また一人仲間が斬られた。
いや、斬られたというよりは叩き潰されたといったほうが良いのかもしれない。
あんな巨大な剣は見たことがない。
あんなに禍々しく歪んだ剣は見たことがない。
斧のようで鎌のようで、それでいてやはり剣であるようで。
その刀身は巨大で、仲間の中で一番巨大な男の背丈程もあり、その分厚さはギロチンのようだ。
そして斧のように突き出した大きく湾曲した刃は人を押しつぶす戦斧のようであり、そして死神の鎌のようでもある。
どんな武器にも属さない異様な形状、そしてどの武器の利点も生かしていない不格好な形は行き場のない暴力が具現化したようにも見える。
これを持つのが禍々しい魔物なら良かったのだろう。
角を生やし、翼を生やし、獣のように毛の生えた見難いバケモノだったなら良かったのだろう。
まさに見てくれ通りの恐怖の具現。
それだったら幾分か心は落ち着いていただろう。
それがどうだ。
その禍々しい獲物を片手で軽々と操っている人物の姿は。
いや、あんなものを軽々と扱える時点で人ではない、そして、その恍惚とした笑みや、グチョリと歩く度に水音を響かせる湿った股間は現代の魔物そのものだ。
しかしその艶めかしい笑みに、そして幼い体つきにまとわりつく気配は魔物ですらない。
「あはははは。あぁ〜。きもちいぃ〜気持ち良いよう…。人間の魔力ってこんなに美味しくて気持ちいいなんて知らなかった。人を斬ることがこんなに爽快で気持ちいいものだなんて知らなかった。オナニーなんかよりもずっと気持ちいいよね。ねぇ、おにいちゃんもそう思うでしょ?」
その幼い体格に相応の柔らかそうな太ももにぬらりと垂れる粘液を左手の薬指ですくい、まるで血を舐めるように舐めとる少女。
しかし可愛らしいといった様子は全く無く、明らかに発情し、いやらしい笑みを浮かべているにもかかわらず、そそられるということは全く無い。
「あれぇ?私に始めてセックスを教えてくれたのはおにいちゃんだったよねぇ?」
一瞬、何のことかと思った。
しかし、そのバケモノの顔を見て、穴が空くほどに見つめてやっとわかった。
髪の色は真っ黒になり、肌の色も血の気が引いて青白くなっているが。ああ、そうか。
確かに昨晩俺が犯した少女だった。
その身体を舐め回しても、そして処女を奪ってやっても、まったくもって反応が薄かったせいで苛立ちを拳に乗せて暴力を振るったのを思い出した。
今思えばこの化物はあの時から少し普通ではなかったのだ。
自らの身体を犯されても怯えることはなかった。
むしろ不思議そうに眺めて俺を見つめていた。
その視線が気に食わなかった。
何も考えていないようなその表情が気に食わなかった。
だから殴った。殴り尽くした。
そうしてやっとのことで悲鳴をあげていたが、それも長くは続かなかった。
しばらくするともう痛みを感じなくなったのか、途端にまた声もあげなくなった。
あの時は泣き叫ぶことにも疲れ果てていたのかと思ったが、きっとそうじゃない。
ただ、こいつは慣れてしまったのだ。
ただいたぶられる痛みに、恐怖に慣れてしまった。
だから泣き止んでしまった。
今ならそれがわかる。
手に持っているその化物以上に化物のような剣は昨日あの部屋に刺さっていた剣だろう。
姿形もその大きさもまるで違うが、まとっている雰囲気は似通っている。
あの時触れた拍子に纏い始めた禍々しい雰囲気そのものが剣の形をしているようだった。
この異様な剣が少女を化物にしたのだろうか。
それとももともと化物のような少女がふさわしい姿に戻ったのだろうか。
ただ、そんなことはどうでもいい。
今は逃げる方法を考えるだけだ。
見渡してみても斬られた仲間は立ち上がる気配はない。
時折ピクピクと動いてうめき声のような息を吐くだけだ。
薄暗くて見えないが、もしかしたら相当な出血で死に瀕しているのかもしれない.
左右は風化した岩肌、そして後ろにはもう下がれない。
袋小路。
唯一抵抗できるものは腰に刺した寝る時も肌身離さず身につけた護身用のナイフ一振り。
俺は藁にすがるようにそのナイフを構えて向き直る。
ああ、正に藁にも縋る様だ。
あのバカデカい剣を前にしてみればこんなナイフは枯れ枝よりも心細い。
「あははははは。ちっちゃな剣だね。私と比べてどうかな?どっちが綺麗?」
そう言って無邪気な笑顔を浮かべてその化物は化物のような刃物を俺の眼前に差し出してきた。
「うわぁぁぁぁぁあああ!!」
叫ぶつもりはなかったが、気づけば無意識に大声を出して俺は斬りかかっていた。
――カチャン
そして俺の足元に俺の持っていたナイフが転がる。
「ぇ?」
いや、正確には俺のナイフの刀身だけが斬り落とされて転がっていた。
千切れたり折れたりしたわけじゃない。
その断面は鏡のように綺麗で、手に持ったナイフの残骸にその断面を合わせれば再びくっついてしまいそうだ。
何の抵抗もなく鋼鉄のナイフを斬り落としてしまう程の切れ味。
それは最早刃物ですらない。
ああ、やはりバケモノだ。
「じゃあ。次はこっちの番だね」
笑顔。
そして、
「うぎゃああああああああ!!」
俺は斬られた。
脳天から真っ二つに。
しかし、不思議に思うべきだった。
体を駆け巡る恐ろしい刺激はたしかに俺の身体を切り裂いたはずだ。
しかし、俺は叫び声をあげていた。
俺は思った。
何かが起きて剣は俺の身体を反れたのかと。
だが、次の瞬間、それが間違いであるとわかった。
――ガクン
――ビクッ…ビク
俺の膝はくずおれ、俺は指先ひとつ動かせず、見開いた目も閉じることも出来ずに地面に転がった。
ズボンに生暖かい感触が広がり、嗅いだことのある臭いが広がった。
「んはぁ〜…。おにいちゃんの精、いい匂い」
涙で歪む視界の中でバケモノがかがみこんでくるのが見える。
その表情がとろけているように見えたのは視界の歪みのせいだろうか。
感覚が薄れ、そして思い知る。
俺は無様に射精していた。
俺の身体に走っていたのは痛みではなく、それと間違うほどに強い快感だったのだと。
「あはぁ〜ん…。もうらめぇ〜…あらひがまんれきないよぉ〜…」
そう言って化物は手にしていた剣を仕舞った。
いや、仕舞ったというのは正しくない。
剣はグズグズと崩れ落ちて化物の中に吸い込まれていった。
先程まで身体をところどころ覆っていた鎧、と言うにはどこも守っていなさそうなものも同じように身体の中に吸い込まれていった。
残ったのは何一つ身に着けていない幼い少女、いや幼女という方がしっくり来るもの。
幼い肌は柔らかそうで、汗ばんで艶めかしい輝きを放っている。
しかし人間の少女とは決定的に違う。
成長途上であるはずなのに、むっちりとした尻や太股の肉付き、膨らみなど何もないのにつんと自己主張する桃色の乳頭、そして少女らしく膨れた腹や、細い胴体や腕すらも、まるで男を誘っている熟練の娼婦のように魅惑的で、完成されたいやらしさを持っていた。
昨日見た只の細い餓鬼の身体とは明らかに違っている。
そして、少女らしくぷっくりと膨らみ柔らかそうなマン肉はグズグズに熟れたように濡れ、いやらしく男を誘っていた。
「おいひほぉ…」
ダラダラとよだれを垂らし、グチョリといやらしく舌なめずりをするその表情は俺の下半身に注がれている。
俺は逃げるべきだというのに、その姿に目を奪われ、ほんの数ミリでさえ動くことが出来ない。
「いたらきまぁす…」
少女は回らない舌で言葉を漏らし、俺のズボンをずり下げると、青臭い匂いを放つ白い液体に汚れた俺のちんぽを嬉しそうに頬張った。
「んむぅ…ジュぷ。んはぁ…あむ……じゅる…」
小さな口を大きく広げて、粘液まみれのピンクの舌を絡めて俺のちんぽの周りについた精液を音を立てて舐めとっていく。
「じゅずず…んふぅ…あむぅ…じゅむ……」
ニチャニチャと音を出しながら根本までを舐め尽くし、白い粘液を自分のねちゃつく唾液に交換するように舐めとっていく。
その光景を目の当たりにした俺のちんぽはズクズクと疼き、今にも爆発しそうなほどに大きくなっていた。
これまで味わったことがないほどの快楽で、死ぬほど興奮しているはずなのに、まるで心臓を鷲掴みにされたようにイクことができない。
「んふぅ…きれぇ…なったぁ…。れろ…」
口の周りについた白濁液を美味しそうに舌で舐め取り、ぬめる視線を俺の股間に注ぐ少女。
「くるしぃ?…あはは…今度はちゃあんとイかせてあげる」
先程までの見た目以上に幼いような甘ったるいしゃべり方と表情ではなく、魔物に相応しい艶めかしい声と魔力に満ちた表情。
その目は暗闇でも明々と燃え輝き、俺は快楽と恐怖で心臓が止まりそうだ。
「いただきまぁす」
――じゅずずず
「――っ!!」
声を上げようとするが、喉に突っかかったように声が出せない。
そして、目の前はあまりの快感で突然太陽を見たようにチカチカと明滅した。
少女はその小さな口を大きく頬張り、喉まで使って俺のちんぽを根本まで飲み込んでしまった。
少女の喉は明らかに太く広がり、俺のちんぽは少女の喉の中で鼻息を受ける。
「んぐむ…じゅ…ずず…」
少女が顔を上下に動かし、グラインドを開始する。
粘っこく絡みつくような唾液が俺のちんぽ全体を覆い、少女らしく小さな口と細い喉がまるで性器のように俺のちんぽを吸い上げる。
「じゅぶ…む……じゅじゅ…んふぅ…」
少女も興奮しているのか抽送されながらも感じる鼻息がどんどん荒くなる。
まるで俺の弱いところを知り尽くしているように艶めかしく動く喉は、これまで犯してきたどんな女の膣よりも気持ちいい。
もう限界だった。
もう何度もイっているはずだった。
なのに先ほど味わったのと同じように心臓を鷲掴みにされたように絶頂だけが訪れない。
そして、
「じゅるるるるるる」
空に投げ出されたようだった。
全身を駆け巡り、なおも明滅し続ける快楽の本流。
俺は身体に残るすべての力を精液として出してしまったようだった。
深いスロートで飲み込むまでもなく少女の胃に流れ落ちていく精液を少女は腰を痙攣させながら、まるでこの世で最も美味しいものを味わっているかのようなうっとりした表情で飲み込んでいた。
「じゅむむ…ぷはぁ……。あへぇ…おいひぃ…。ひもひぃ…」
ちんぽをズルズルと吐き出し、最後にチュポンと音を立てて口を話した少女はまるで強い麻薬で頭が飛んだ娼婦のように幸せそうな表情を浮かべる。
「はぁ…とっれも…ひもひよかっらよ。…ありあと…」
ニコリととろけた笑みを浮かべる少女。
そして、ひときわ明るくその紅い瞳が輝いて、
「…そして、おやすみなさい」
いつの間にかそこに在った。
先ほどと僅かに形の変わった巨大な剣。
それが俺の顔面に突き刺さる。
俺はおそらく笑えるほどに情けない恐怖の表情を見せていただろう。
そんな俺を化物はとても嬉しそうに嗤い見下ろしていた。
それが俺が意識を失う前に見た最後の光景だった。
16/07/12 07:26更新 / ひつじ
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