バフォメットの誘い
「どうすれば良いんじゃ......」
あれから更に塞ぎ混んでしまったアレックスは自分の傷を見られない様にではなく、見ない為にローブを着て隠し始めた。
そんなアレックスは最近じゃサバト全体の噂になっている。時々他のファミリア達に儀式に誘われるが、全て断っていた。
彼女が部屋を去る前に言った『でも___』が恐らく全ての原因なのじゃろう。それを解決しない限り、決してアレックスが笑顔を取り戻す事は無い。
今それを聞いたら更にその傷を深くしてしまうが、このままにしておいても何も解決しない。
「バフォ様、通行の邪魔ですよ」
「あぁ、すまん」
考えるのに集中しすぎて周りの事を忘れてしまった。呆れた顔でわしを見下ろすジオは買い物の帰りなのか、いくつもの食材を抱えている。
「ジオ、わしは彼女に何をしてやれば良いんじゃ!?」
「何をって言われても......。そっとしておくのが一番だと思いますよ?」
確かに、それも良いかもしれないが、今のまま放置していたら取り返しがつかない状態になってしまうじゃろう。
「駄目じゃな、もっと別の方法を探さないと」
さっきから解決策を考えているが、思った様に出て来ない。もう、彼女を救う事は出来ないのか......?
「じゃあ、息抜きをさせてみるのはどうですか?」
そんな事を言われても、あの状態では何も楽しめないと思うが......。
「バフォ様も肩の力を抜いて、二人で何処かに遊びに行くと良いですよ。今のまま悩んでいたって、何の解決にもならないのは貴女も解っているでしょ?」
そう言って、突然わしの頭に手を置いたジオは優しく微笑みながら、
「別にそれで彼女の心が救われるとは言いません。でも、何もしないよりはマシですよ」
息抜きか......。うむ、それなら彼女も少し楽になるかも知れない。
わしはジオに礼を言い、アレックスのいる場所に向かった。
アレックス視点
バフォ様の言う通り、このまま黙っていても何の解決にもならないだろう。いっそ、全部吐き出して楽になりたいが、どうしてもそれを言葉にする事が出来ない。
腕の傷を見る度に、あの時の事を思い出してしまう。医者は義手は用意出来ると言っていたが、そんな気にはなれない。
「アレックス、少し良いか?」
いつの間にか隣にバフォ様が立っていた。相変わらず俺の事を気にかけてくれているらしい。
いったい何が目的なのだろうか?
「何の様だ?」
一瞬、躊躇したバフォ様だが、意を決した様に口を開いた。
「何も言わずに、わしについて来てくれないか?」
そう言われても、相手が魔物なのでどうしても悪い想像をしてしまう。例えば、痛めつけられて殺されるとか。
「まぁ最初は少し怖いかもしれないが、危険は無い」
何故か彼女が嘘を言っている様には思えない。もしかして今までのも罠とかじゃなく、本当に善意なのか?
いや、罠だとしても一度死にかけた俺には余り恐怖を感じられない。それならいっその事......。
「とりあえずはアンタに従ってやる。だが、完全に信用した訳じゃないからな」
「その言葉を聞けただけで充分じゃよ。......では、場所を変えるぞ」
そう言って案内された場所は、ベッドのある寝室だった。
あれから更に塞ぎ混んでしまったアレックスは自分の傷を見られない様にではなく、見ない為にローブを着て隠し始めた。
そんなアレックスは最近じゃサバト全体の噂になっている。時々他のファミリア達に儀式に誘われるが、全て断っていた。
彼女が部屋を去る前に言った『でも___』が恐らく全ての原因なのじゃろう。それを解決しない限り、決してアレックスが笑顔を取り戻す事は無い。
今それを聞いたら更にその傷を深くしてしまうが、このままにしておいても何も解決しない。
「バフォ様、通行の邪魔ですよ」
「あぁ、すまん」
考えるのに集中しすぎて周りの事を忘れてしまった。呆れた顔でわしを見下ろすジオは買い物の帰りなのか、いくつもの食材を抱えている。
「ジオ、わしは彼女に何をしてやれば良いんじゃ!?」
「何をって言われても......。そっとしておくのが一番だと思いますよ?」
確かに、それも良いかもしれないが、今のまま放置していたら取り返しがつかない状態になってしまうじゃろう。
「駄目じゃな、もっと別の方法を探さないと」
さっきから解決策を考えているが、思った様に出て来ない。もう、彼女を救う事は出来ないのか......?
「じゃあ、息抜きをさせてみるのはどうですか?」
そんな事を言われても、あの状態では何も楽しめないと思うが......。
「バフォ様も肩の力を抜いて、二人で何処かに遊びに行くと良いですよ。今のまま悩んでいたって、何の解決にもならないのは貴女も解っているでしょ?」
そう言って、突然わしの頭に手を置いたジオは優しく微笑みながら、
「別にそれで彼女の心が救われるとは言いません。でも、何もしないよりはマシですよ」
息抜きか......。うむ、それなら彼女も少し楽になるかも知れない。
わしはジオに礼を言い、アレックスのいる場所に向かった。
アレックス視点
バフォ様の言う通り、このまま黙っていても何の解決にもならないだろう。いっそ、全部吐き出して楽になりたいが、どうしてもそれを言葉にする事が出来ない。
腕の傷を見る度に、あの時の事を思い出してしまう。医者は義手は用意出来ると言っていたが、そんな気にはなれない。
「アレックス、少し良いか?」
いつの間にか隣にバフォ様が立っていた。相変わらず俺の事を気にかけてくれているらしい。
いったい何が目的なのだろうか?
「何の様だ?」
一瞬、躊躇したバフォ様だが、意を決した様に口を開いた。
「何も言わずに、わしについて来てくれないか?」
そう言われても、相手が魔物なのでどうしても悪い想像をしてしまう。例えば、痛めつけられて殺されるとか。
「まぁ最初は少し怖いかもしれないが、危険は無い」
何故か彼女が嘘を言っている様には思えない。もしかして今までのも罠とかじゃなく、本当に善意なのか?
いや、罠だとしても一度死にかけた俺には余り恐怖を感じられない。それならいっその事......。
「とりあえずはアンタに従ってやる。だが、完全に信用した訳じゃないからな」
「その言葉を聞けただけで充分じゃよ。......では、場所を変えるぞ」
そう言って案内された場所は、ベッドのある寝室だった。
14/08/06 21:00更新 / 水まんじゅう
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