蛇足《歪見愛》
私が怪我をして魔王城に帰ってくると、お母さんにとても心配された。果ては、私をこんなにしたやつを一個師団向かわせてやるとか言い出した。理由をすぐに説明したら、すぐに取り下げてくれたけど。全くお母さんの早とちりにも困ったものだ。
肋骨が四本と頭蓋骨にヒビが入っていたらしい。バフォさんに頼んで、治してもらったけど、思いの外時間がかかってしまった。まだ胸の辺りが痛い。内臓破裂までいかなかったのは不幸中の幸いかしら。
はぁ、あの娘本当に馬鹿力だったのね。リリムの私にこんな傷を負わせるのだから。どんな鍛え方したのかしら。それとも愛の力ゆえ、かしらね。そっちの方がロマンチックだわ。
私は自室に戻る。大きなキングサイズのベッドがある他はほとんどなにもない。呼べば侍女が来るのでなにも必要ないのだ。
私はベッドに寝転がり、魔法の言を紡ぐ。空気中の水を集め、水鏡を作る魔法。そして、使い魔が見ている様子を水鏡に映し出す魔法だ。
使い魔とは私の分身みたいなもの。人形サイズの私である。姿は魔法で見えなくなっているから、見つかる心配もなし。本来は色んなことに使えるけど、今回は映像を映し出すための媒体としている。
「よしよし、映像はバッチリね」
狭いどこかの部屋が映し出された。
ここはおそらく、あの娘の部屋ね。使い魔に見張るよう命令させておいたから、ここはあの娘の部屋のはず。
どうやら、それは間違いではなかったようだ。
「おぉ!?おお!」
情事だ、情事だ!
あの娘とユウくんのエッチな場面だ!
「う、うわぁ……触手って、あんな形にも出きるんだぁ。おお、オチンポを入れた!すごい……ユウくん気持ち良さそう。」
っべぇわ。めっちゃ、っべぇわぁ。
エロすぎだろぉ。触手エロすぎだろぉ。
ユウくんめっちゃ喘いでるし、今にも出しそうだし。ああ、堪らない。私、子供好きなのかな。ショタっ子が良いのかな。
ん、ダメ、オナニーしたくなっちゃう。
「ん、ああん」
ああ、濡れてる。私のオマンコびしょびしょに濡れちゃってるよぉ。
『でりゅうぅぅぅぅぅ!』
ああ、ユウくんのアへ顔。かわいい。アへ顔ダブルピースだぁ。本物初めて見たぁ。あー、いっぱいいっぱいあの触手の中に射精してるんだなぁ。いいなぁ、私も欲しいなぁ。
「んんっ」
私はオマンコの穴の入り口を二本の指で擦りあげる。しゅっしゅっと速さを上げて、快感を昂らせる。
他人のセックス見ながらオナニー。どうしよう、なんか癖になりそう。
とか思っていると、あの娘が床に寝転がり、大きくローパーの触手をバラけさせて広げる。そこには大きな穴。ローパーのオマンコだ。
でも、オマンコが普通のローパーより、圧倒的に大きい。入り口は広くて、中にも人ひとり余裕で入れそうなほど空間が広がっている。
もしかして。
「……うそ」
ユウくんが、ユウくんがあの娘のオマンコの中に入っていった。恍惚とした、蕩けきった牡の表情で。
オマンコの口が閉じていく。触手がオマンコの入り口を塞いでいく。
ユウくんが、あの娘のオマンコに食べられちゃった。
食べられちゃって、されることはなに?
そんなの、決まっているじゃない。
ユウくんは、ユウくんはあの娘の触手で。
「んあああっ!」
ああ、それを妄想するとすごく興奮する!
ユウくんがあの娘の触手でグチャグチャにされるのだ。身体中触手まみれになって、オチンポもアナルも全部、触手で犯されるのだ。
ああ、すごい。すごく気持ち良さそう。犯すのも犯されるのもどっちも気持ち良さそう!
ああ、イク!イッちゃう!
ユウくんが触手に犯されるの妄想して、イッちゃうぅ!
「んんんんんんっ!んあぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
私のオマンコから愛液と潮の混じりあったものが噴き出る。絶頂してしまった。あの娘たちのエッチを覗き見してイッてしまった。
覗き見オナニー、さいこぉ……。
――と、思っていた時期が私にもありました。
私が絶頂して、賢者モードに入って、それから回復したあとのこと。私がふと、水鏡を見たときのことだった。
「ひっ……!」
見ていた。
あの娘が、《こちら》を見ていた。
光の宿らない、虚ろな狂人の目で、《私》を見ていたのだ。
なんで!?なんでこっちがわかるの!?
使い魔は魔法で見えなくしてるはずなのに!なんでこの娘にはわかるの!?
絶頂感が一瞬で消え去る。噴き出るのは潮ではなく、脂汗。
まとわりつく汗に私は言い様のない気持ち悪さと悪寒を感じた。
あの娘は言う。
声はしない。
でも、口の動きでわかる。
『今度、私たちを見たら……殺す』
その言葉のすぐあと、剣と槍の形をした二本の触手がこちらへ飛んでくる。映像は乱れながら、床に転がり落ちる。
そこに映し出されたのは、私をかたどった首の無い血塗れの使い魔。腹を槍で貫かれた私の使い魔。両腕両脚に触手が絡み付いて引き千切られた私の使い魔。
血を辺り一面に撒き散らした私の使い魔の、残酷な最期だった。
そして、グシャッという音とともに、そこで映像は途切れた。
私は思わず頭をさすってしまった。
「…………………………………………」
――私は思う。
幸せには色々な形がある。
それは誰にも変えられることはない。
その人たちだけのものだ。
ローパーとなった彼女の幸せの形がこれだった。
最愛の人を自らの身体の中に、入れて交わり続けること。誰にも邪魔させず、邪魔するものは排除することである。
悪くない。とってもいい。
もしかしたら彼女の幸せは他人から見たら、とても歪なものに見えるかもしれない。
でも私はそうは思わない。
最愛の人と常にいられることは、誰にとっても幸福なことなのだから。
むしろちょっぴり羨ましく思えちゃう。
私も、いつか最愛の男性を見つけて、この子たちみたいにずっと繋がっていたいものだ。
羨ましくて、微笑ましい。そう微笑ましいはずなんだ。
だけれど。
だけれども!
「ママァー!怖いよぉー!」
私はお漏らししちゃうのだった。
[尿]
13/02/24 15:53更新 / ヤンデレラ
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