連載小説
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媚毒は口に甘し
 独りだった。
 常に独りだった。
 私の周りには誰もいなくて。
 私を求める者は誰もいなくて。
 私が求める者は誰もいなくて。
 私は常に独りだった。
 私が消えても誰も気づかないだろう。誰も気にも留めないだろう。
 幾度と叫んでも、想いを膨らませても、私の孤独が届くことはないだろう。
 仕方のないことだった。仕様のないことだった。
 諦める他なかった。
 だが、本当の神様というのはいるらしい。
 彼が現れた。孤独だった私にたった一筋の光明をもたらしてくれた存在が。
 私の孤独は常ではなくなった。確かにいる。いまだけ、この瞬間だけ。
 私を求める誰か、つまり彼が。
 私が求める誰か、つまり彼が。
 だけど。
 彼に抱いたこの想い、膨らんだ感情。それを伝える術はなかった。
 そして、彼はいなくなった。
 私はまた孤独となった。
 やはり私は消えゆく運命なのか。
 私は……。

「あなたの抱いた想い。愛と呼ぶ感情。それを伝える術を教えましょうか?」

 神様は再び、白い悪魔へと姿を変えて、私の前に現れた。
前編18/03/04 23:00
中編18/03/04 23:14
後編18/03/14 22:21

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