媚毒は口に甘し
独りだった。 常に独りだった。 私の周りには誰もいなくて。 私を求める者は誰もいなくて。 私が求める者は誰もいなくて。 私は常に独りだった。 私が消えても誰も気づかないだろう。誰も気にも留めないだろう。 幾度と叫んでも、想いを膨らませても、私の孤独が届くことはないだろう。 仕方のないことだった。仕様のないことだった。 諦める他なかった。 だが、本当の神様というのはいるらしい。 彼が現れた。孤独だった私にたった一筋の光明をもたらしてくれた存在が。 私の孤独は常ではなくなった。確かにいる。いまだけ、この瞬間だけ。 私を求める誰か、つまり彼が。 私が求める誰か、つまり彼が。 だけど。 彼に抱いたこの想い、膨らんだ感情。それを伝える術はなかった。 そして、彼はいなくなった。 私はまた孤独となった。 やはり私は消えゆく運命なのか。 私は……。 「あなたの抱いた想い。愛と呼ぶ感情。それを伝える術を教えましょうか?」 神様は再び、白い悪魔へと姿を変えて、私の前に現れた。 |
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