現代魔物娘譚―ナイトメア編―
| この、日本という国は本当にすごいわね。《びる》とか城よりも大きい建物はいっぱいあるし、鉄の乗り物もあれば、空飛ぶ鉄の塊もある。《でぱーと》とかには、私たちの世界の城下町にある商店よりも遥かに大きな規模の店が数えられないくらいあって、見ているだけで楽しい。 なにより、平和だ。 私たちの世界で起きているような戦争や争いがここでは全く見られない。剣もない槍もない。すごく平和な場所だ。 リリムこと私、リリアナがここに来るのは二度目。姉のリリムの異界進出の手伝いでここに来たわけだけども、心底来てよかったと思う。ここなら魔物娘たちも平和に暮らせるだろう。忌まわしい主神の教団もいない。この世界の魔素を増やして極大魔法を使えれば、魔物娘たちを受け入れさせることも容易いはずだ。それまでは地道に魔物娘たちをこの世界に連れてきて、正体を隠しながら愛を育んでもらわないといけないけど。まあ、それも大きな目的のためだ。 しかし、今日はもう十二分に働いたことだし、遊ばせてもらおう。この国には、《れじゃー施設》という娯楽施設があるとのこと。それは今、私がいる《しょっぴんぐもーる》にもあるのだ。 そうと決まれば突撃よ。ふふん、リリムたるこの私、変身魔法程度は体内の魔力でお茶の子さいさいである。まぁ、この美しさは隠せないので人目を引いてしまうのは仕方ないけれどね。 ふんふん、《らいんしねま》？ 《えいがかん》というやつね。お金を払ったら、面白い劇を観れるというわけね！そうと決まったら行くわよ！ この《貞子vs伽椰子》というホラー映画を観てやるわ。ふふん、魔物娘にはゴーストもいるし、首ポロリのデュラハンだっているし、骸骨のスケルトンだっているし、ちょっとやそっとで驚かないわ！ さぁ、行くわよ！ |
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