後編《混沌》
―3―
ファラオことナイアに案内されたのは、王宮のとある一室だった。しかし、なんの部屋かはわかる。
居住区の家一つ分といえる広さ。豪奢な飾りや鎧冑や壺、絵画などのアンティーク。天蓋つきのキングサイズベッド。
まず間違いない。この王宮の主、ナイアの寝室だ。
「ナイア様、二分半の遅刻でございます」
寝室に入った途端聞こえた声。その声の方向、入ってすぐ右手方を見ると、黒色ウルフ耳に黒髪の女がいた。理知的な容姿をしていて、ウルフの手には天秤のついた杖が握られている。言わずもがなアヌビスであろう。
「やぁ、ビスタ。悪かったよ。ついついカーターと話し込んじゃってね。悪気はないんだ。そう怒らないでくれよ」
「怒っていません」
「はは、相変わらずクールだなぁ、ビスタは。ああ、紹介するよ、この人は勇者のカーターだ」
「知っています」
「はっはっは、そうつんけんどんしないでくれよ。寂しいじゃないか」
「地がこうですので」
ナイアの言葉に淡白に返答していくアヌビスことビスタ。ビスタは氷のように無表情で無感情だった。
そんなビスタの氷の視線が俺に定まる。
「ようこそ、おいでなさいました、カーター様。我らが仕掛けた罠をことごとく突破したその腕前、さすがの一言につきます。つきましては罠の改善点を教えていただく思うのですが」
ズイッズイッと俺に詰め寄るビスタ。無表情ながら怒っているような不機嫌なように見えてしまう。
「やめたげなよ、カーターが困っているじゃないか」
「改善点を早急に見つけないと侵入者を許してしまいますので」
「おや、そっちかい?カーターにこてんぱんに追い返されたスフィのことを思っての当て付けだと思ったんだけど」
「スフィは自業自得です。正々堂々とか言って、罠と同じタイミングで襲いかからないからです」
「はっはっは、厳しいなぁ、ビスタは」
ツンとしているビスタに、軽快に笑うナイア。その朗らかな笑みが、しかし、不意に変わる。刃物を帯びたような細く鋭い笑みに。
「だけど、今は無理だよ、ビスタ。今、カーターは僕のなんだ。君に渡すわけにはいかないな」
「しかし、一刻も早く罠を、」
「ビスタ」
大きい声でも、張った声でもない。しかし、ナイアのビスタを呼ぶ声は部屋中に響いた。響いたと思うくらい、なにか強制力のある言葉だった。
そして、その強制力をナイアは形にする。
「《赤ちゃん孕むまで夫と不眠不休でセックスして来なさい。その子宮に、愛しの旦那の精液を、孕むまで、受け止めるんだ》」
その瞬間だった。
今まで、クールで無表情で無感情だったビスタの表情が嘘のように、真っ赤に染めて目尻も涎も垂らして、まるで娼婦のような蕩けきった表情に変わったのは。さらに、股の部分からプシャーと噴水のような音が聞こえ、股から床に水のようなサラサラな汁を撒き散らす。
俺は訳もわからず、唖然とその光景を見ている他なかった。
一瞬にして発情した犬へと変貌したビスタは言う。
「かし、こまりましたぁ、赤ちゃん孕ゃんできましゅうぅぅ!」
呂律の回らない声で答えたあと、ビスタは俺を押し退け、部屋を出ていく。
「孕むぅ孕むのぉ!赤ひゃん孕ゃむにょぉぉぉぉぉぉ!」
そんな声を廊下に響き渡り、ビスタの声は遠くへ消えていった。
「……………………」
なんなんだこれは。いったい何がどうなっているんだ。貞淑というか、性的事情からほど遠そうな彼女が、ナイアの言葉一つで、あんなにも乱れてしまうなんて。いったい何が起きたというんだ。
「さぁ、カーター。邪魔物は居なくなったよ。僕ともっとお話をしようじゃないか。さぁさぁさぁ」
いつの間にかベッドに腰掛けていたナイアが、くいくいと指でこちらに来いと言ってくる。
「ぁ…………」
俺は何故かわからない。逃げないとと思った。早くここから逃げないと大変なことになる。自分が自分でなくなって、今の自分がこれから先永劫の眠りについてしまうと思った。
だから、俺はナイア様の足元に跪いた。
「っ!?」
俺は、なにをして……。
「ふふ、そうかいやっぱりそこに行くか。さすが僕の――になる資格がある人だ」
「な、にを」
「ふふふ、カーター、君が王たる僕に従属したがっているのさ。服従したがっているのさ。だから、今、君はこうしているのさ」
なんだ。なにを言っている、ナイアは。おかしいぞ。さっきまで普通に話していただけじゃないか。それがどうしてこうなる。なんで、俺は跪いている。なんで、ナイアは娼婦の笑みを浮かべている。
なんで。どうして。
「ナイア、俺に、なにをし、た」
原因がわからない以上、なにかしたのはナイアのはずだ。そうだ、そうに違いない。くそ、迂闊だった。人の姿形をしているとはいえ、こいつは魔物。人間ではない。しかも、魔物の王なのだ。なにかしてこないわけがない。
しかし、そんな俺の考えはあっさり否定される。
「僕はなにもしてないさ。さっき言ったろ。君がこの僕に服従したがっていると。君の肉体のあらゆる細胞が、僕という上位の存在に隷属したがっているのさ。縛られ押さえられ跨がられ、全てを委ねたがっているんだよ」
「なにを訳がわからないことをっ!」
口角を吊り上げた禍々しい笑み。ナイアの目は獲物を見据えるような鋭いものだった。
やはりこいつは、危険だ。人は食わないとはわかった。しかし、こいつは、人間を別のなにかへと変えてしまう。それは人間が死ぬのと同義だ。
こいつはここで殺さないと。
俺は腰の剣に手を伸ばし、引き抜く、
「っ!?っ、っ、っ!?」
できない。剣が抜けない!
まるで剣と鞘が糊でついてしまったかのように。ビクともしない。
いや、違う。手だ。俺の手が、剣を抜こうとする意思に反して、押さえつけているのだ。どうして!
「ふふっ、カーター、君の肉体は僕のモノに堕ちているんだよ。だから僕を傷つけることなんてできやしないさ。そう。もう君は僕のモノなのさ!」
「くっ!ふざけるな!」
頭が痛い。響く。頭蓋の中を、ピンク色のふわふわしたもので詰まっていく。
ナイアの言葉を否定するごとに、鈍痛が頭を打つ。ナイアを拒否することを苦痛だと思っているのか、俺は!
「やめろ、やめろやめろやめろ!」
痛い。頭が痛い!割れる。頭が粉々に砕けてしまう!
「ああ、可哀想に。理性に縛られているんだね。でも大丈夫。僕が君の本心を、本能を思い出させてあげるよ。僕の――になりたいと思う本性をね」
ナイアは凄惨に笑う。やめろ。
獣の目を光らせる。やめろ。
唇を舌舐めずりする。やめろ。
ナイアは言う。やめろっ!!
「《さぁ思い出すんだ、カーター。君の無意識の理性が押さえつけていた、君の本心を》」
瞬間、俺の目の前が真っ白になる。そして、全てが思い出される。理性が防衛本能として押さえ隠していた全てが思い出される。
――跪かないと。ナイア様を見下ろしてはいけない。彼女は俺の王なのだから。
俺の上に立つ愛おしい女王なのだから。
――しかし、良いのか。王と対等の位置へ座って。ナイア。ナイア様の隣に座ってしまって。無礼ではないのか。
――俺には王を、ナイア様を疑う権利を持たない。ナイア様は絶対。ナイア様は俺の全てなのだから。
――ナイアを、ナイア様を押し倒してしまった。なんてことだ。我らが王を押し倒してしまうなんて、なんて失礼なことを。しかし、なんだ。興奮、してしまう。こんなに、唇と唇が触れあう距離にいることが何故こうも気持ちいいのだろう。
――ああ、ナイア様ナイア様ナイア様。俺はナイア様の奴隷だ。ナイア様の下僕だ。ああ、ナイア様。ナイア様ナイア様ナイア様ナイア様ナイア様。
『――ゆえに僕の《奴隷》となる資格がある』
『――さすが僕の《奴隷》になる資格がある人だ』
『――僕の《奴隷》になりたいと思う本性をね』
思い出した。そうだ。俺はナイア様の奴隷だ。下僕なんだ。
俺の全てはナイア様のためにあって、ナイア様の喜びが俺の悦びなんだ。
俺が今こうして存在しているのは全て何もかもナイア様のためであり、それ以外はなにも関係ない。
生きるも死ぬもナイア様に委ねているのだ。
「………………っ」
ちが、う。違う違う違う違うっ!
俺はカーターだ。勇者カーター・ランドだ!ナイアの奴隷でも下僕でもなんでもない!
この感情は!隷属することにむせび喜んでいるこの身体は!
全てナイアの仕業だ!ナイアの妖術なんだ!
「そうかい?本当にそうなのかい?」
「っ!?」
まるで耳元で囁かれたように、心を読まれたようにナイアの声が耳をなぶる。背筋を舐め上げられたような悪寒が走った。
顔を上げてもナイアはベッドから動いていない。座っている俺に一歩も近づいていない。
妖艶な笑みをただ浮かべているだけ。
「君は本当に僕に奴隷になりたくないのかい?」
「……やめろ、言うな、俺を、惑わすな」
俺はナイアを睨み付ける。これが俺にできる唯一の抵抗だった。
だけど、ナイアは気にもとめた風でもない。それどころか嬉しそうに笑みを深めるばかりだ。深く深く混沌と。
「ふふっ、さすが勇者。僕の纏う風格だけじゃ、堕ちないね。やっぱり、君は僕の奴隷にふさわしい。だから堕とすよ、絶対にね。でも安心して。《命令》では堕とさないから。それじゃあつまらない。僕だけで堕とすんじゃつまらない」
「なに、を……?」
ナイアは足を俺に向ける。地べたを裸足で歩きながら、全く汚れていない、綺麗で艶やかな足を。
俺の顔に、胸に、腹にと足先を下ろしいく。そして、俺の股間のところで足はとまった。
なにをする気だ。ナイア、お前は足でなにを、
「君から僕の奴隷になりたくなるようにしてあげる」
混沌の笑みが深まったその瞬間、ナイアの足が俺の股間を踏んだ。
グニグニ、とその感触を味わうように優しくねっとりとナイアは俺の股間を、逸物を踏みつける。
「くぁ、な、なにを!」
「ふふふ、カーターのオチンポはどんななのかなぁ、柔らかくてこれかぁ。なら大きくなったら」
「なにを、していると、聞いている!」
「なにって、ナニだよ。ナニしているのさ。カーターのオチンポを足でグニグニしてあげているんだよ。刺激的だろぅ?」
「ふざ、けるな!その足を早く退けろ!っく」
「アハハハハ、退けてほしいのかい?本当に退けてほしいのかい?」
「当たり、前だ……」
布越しだというのになんだこれは。何故こんなに感じるのだ。何故踏まれる度に気持ちいいと思ってしまうんだ。
「でもでも、カーターのオチンポは退けてほしくないみたいだよ。ほらその証拠に」
ナイアの指摘に俺は逸物へと視線を向ける。するとどうだろう。俺の逸物は大きく隆起し、テントを張っていた。張り詰めたそれを弄ぶように、ナイアの足は逸物の先をグニグニと指先で握る。
「ビンビンだぁ。僕の足に期待しているのだろう?」
「ぅく、こ、これは、お前が踏むからだ!刺激を受ければ誰だって!」
「踏まれて興奮するだなんて。カーターは変態だなぁ。でも安心して、そんなカーターが僕は大好きだよ」
「っ!」
大好き?ナイアが俺のことを大好き?
大好きと言われた。大好きと言われた。あのナイア様に。愛しのナイア様に大好きと言われた。嬉しい。最高だ。天にも昇るような気分だ。ナイア様ナイア様ナイア様!
「っ!」
また俺はなにを!ナイアは忌むべき敵だ。俺の王ではない!
「ふふ、いいよいいよ、君の苦悶に歪む顔は最高だ。ゾクゾクするよ。さぁこの僕に、混沌に呑まれまいとする君の葛藤を見せておくれ」
足をさらに激しく動かすナイア。必然、顔をあげればナイアの股間が見えることとなる。……濡れていた。黒い水着のような布の隙間から、透明の液体がドボドボ零れていた。興奮しているのか。
ナイア様が俺で興奮してくださっている。ナイア様、
「やめてくれ!違うんだこれは!くそくそくそくそ!退けろ!ナイア、お前の足をさっさと退けるんだ」
「退けてくれ?退けてくれだって?そうかい退けてほしいのかい。でも僕が退ける必要なんてあるのかい?僕は君を拘束していないんだよ。手も足もオチンポだって自由だ。君は自由に逃げられるんだよ」
「っ!?」
そうだ。そうだった。俺はなにも縛られていない。自由に身体を動かせるんだ。そうだよ。逃げられるんだ。こんなところから、ナイアの足からも逃げられるはずなんだ。
逃げ、られる、
逃げ、られ、
逃げ、
「……?」
動か、ない?
身体が動かない?
「おやぁ、どうしたんだい?逃げないのかな?ほらほらほら。さぁさぁさぁ」
「くっ!」
力を込める。足に、腕に。しかし、力は込もってもそこから動かない。まるで地面に張り付いたようにビクともしない。まるて、剣と鞘のときのように。
「……まさか」
ニタリとナイアが笑う。
そうだ、間違いない。剣のときと同じだ。抜けないんじゃない、抜きたくない。
逃げられないんじゃない、逃げたくないんだ。
俺の身体がここに居たがっている。
「く、ぐぐぐぐ……」
だが、それを認めてはいけない。それを認めれば、俺はナイアの手籠にされたと同義だ。俺が人間でなくなったと同義だ。そんなこと、許されるものか。俺は人間として生きるんだ!
「ぐ、ぐぐ、ぐぁぁぁぁ、ああああああ」
「アッハ!凄いよ!凄いよ凄いよ凄いよカーター!」
口内に歯を立て、痛みを走らせる。爪を立てて拳を握り、手に血を滲ませる。目を見開き、いきんで俺は足に最大の力を込める。
「ああああああああああああ!!」
地面と同化していた俺の足はまるでベリベリと音でも立てたかのようにじんわりと上がっていく。そして、ついに完全に立ち上がることができた。
よし、これで!
俺は走る。ナイアとは反対の方向。ドアへ向かって。ぶち破るようにしてドアを開け、廊下へ飛び出し、王宮を出る。人と魔物が暮らす居住区を人目も憚らず一心不乱に走り、人々の奇異の目も気にしない。俺は逃げる。無我夢中に。俺を惑わすものから。俺の存在を犯し抜く存在から離れる。
――そうなるはずだった。
「えっ?」
俺は逃げてなどいなかった。そこから一歩たりとも動いていなかった。
ナイアが恍惚に笑う。心底嬉しそうに。
俺は、自ら鎧を脱ぎ捨てていたのだ。上も下も全て。下着すらも脱ぎ捨て、怒張する逸物を白日の下に晒したのだ。
「カーターのオチンポ、凄い……」
「な、なんで!」
身体は俺の意思とは無関係に動く。身に纏うもの全てを脱ぎ捨てた俺は、手も足も広げて床に寝転がった。
それはまるで降伏するかのような。全てを相手に委ねるかのような。完全に無防備な状態だった。
「なんで動かない!どうして!」
俺が半ばパニックになって喚いていると、ナイアがコロコロと笑いながら言う。
「言っただろう?君の肉体全ては僕のモノだって。君の残りわずかな理性がいくら頑張ったって、僕のモノになった肉体を動かすことはできないのさ」
――だって、僕を悦ばせるために君の身体はあるんだから。
「な、にを?」
「ふふっ」
ナイアが右の足先を俺に向ける。ゆっくりゆっくりと、俺の逸物の方へと行く。
まさか、またするのか。その足で、俺のを弄くるのか?
「……やめろ」
口から出せた単語はそれだけ。そのあとはもう、言葉にならなかった。理由は簡単だ。
「そぅれ……」
グニィィィィ。
瞬間。目の前が真っ白に弾けた。脳に花火が瞬くように焦がされていく。
それは快楽だった。理性を削り取る快楽だった。さっきの布越しとは比べ物にならない。廃人にしてしまうほどに気持ちのいい、悪魔のような快楽だ。
単なる足なのに!
「ああああああ、ああああああっ!」
「ふふっ、亀頭をグニグニされるだけで気持ち良さそうじゃないか。でもまだまだ。ほら、ここはどうだい?カリ裏。刺激的だろう」
「ひっ、やめ、ああああああっ!」
「ダメダメ。もっとだよ。もっともっと気持ちよくなるんだ」
指先で亀頭を掴み、足裏でカリ裏をクイクイと擦りあげていく。足指の隙間に亀頭が収まって締め付けられる。
それは脳をガンガン打たれるような刺激だった。痛いとかじゃない。痛みなど全くない。おかしくなりそうなくらい気持ちいいのだ。自分が自分じゃなくなるような。そうなることがより良いことだと思えてくるような、そんな快楽なのだ。
「アハハハハ、気持ち良さそうだねぇ、カーター。そんなに涎垂らしちゃってさ。でもまだだよ。気持ちよくなるのはこれからさ」
そう言って、左足も俺の逸物に伸ばす。やめろ、一本でさえ気持ちいい足が二本になったら。
「そーれ、シコシコシコシコシコシコシコシコ」
ナイアは、親指と人差し指の間で俺の逸物の竿を掴むと、上下に激しく動かし始めた。
亀頭、カリ裏、竿。その三ヶ所を同時に責め上げられ、俺の逸物は急激に高められていく。俺の理性が逸物へと流れていくような、そしてそれが全て快楽へと変換され、尿道を昇っていくような感覚。
「くぅあああああああああああああ!」
ダメだ!イクっ!イッてしまう!
全てが。全てが弾ける!俺の逸物を通して、全てが出ていってしまう!
真っ白に。真っ白に。真っ白に。
理性が真っ白になって俺の外を出ていこうとする。俺の全てが真っ白に!
「《イッちゃダメだ》」
「………………えっ?」
止まった。
吐き出されようとしていた俺の理性が止まった。まるで、凍らされたかのように、尿道口手前でピタリと止まった。吐き出されなかった。
俺はナイアを見据える。ナイアは優しく、甘い笑みを浮かべていた。堕ちたくなるくらいの優しい笑みだった。
「《僕が許可するまで、イッちゃダメだよ、カーター》」
ナイアは邪悪に笑い、言いながら、ナイアは俺の逸物をグニグニと刺激する。それは気持ちいい。天国に昇り行くような夢見心地だ。だけど、それだけ。昇り行くだけで天国に行くことができない。ただただ無制限に快楽が積もり昇っていくだけのだ。
それは狂おしい快楽だった。
「なんで、なんで、なんでなんでなんで!イケない。イケない。全然イケない!うぁあああああああ!イケないぃぃ!気持ちいいのにぃ!」
「アハハハハッ!苦しいねぇ、苦しいだろうねぇ。でもね!それを越えた先に、最高の!至高の!全てを超越する快楽があるのさ!」
「うぁあああああああ!頭が壊れる!なにを、したんだ!」
「ふふっ、僕の言葉は絶対なのさ。王たる僕の言葉は皆従う他ないんだよ」
そう、いえば。アヌビスがおかしくなったのも、ナイアに命令された直後だった。じゃあ、これも。
俺がおかしくなっていったのも!
「奴隷になるよう《命令》はしていないよ。言っただろう?それじゃあ、つまらない。簡単すぎるからね。それに、僕は君の全てが欲しいのさ。身体も心も、それに理性でさえね」
ナイアは目尻を垂らして、甘露を味わうような恍惚の笑みを浮かべる。
「理性をなくすんじゃない。理性さえも僕を求めて止まなくなるように。カーターの全てを僕のモノにしてあげるんだ。だから、イかせない。まだまだイかせない」
「ああああああああああああ!」
強すぎる刺激。快楽を直接ぶつけられているかのような激しい刺激だ。
踏まれ、掴まれ、突かれ、扱かれ。俺の感覚が全て逸物に集まっていく。
俺の全てがナイアに、ナイア様に染まっていく。見えるもの聞こえるもの触れるもの全てがナイア様に統一され、心がナイア様でいっぱいになる。
「気持ちいいかい、カーター?出したいかい、カーター?僕のモノになりたいかい、カーター?」
「あぁぁ……」
ああ、出したい。天国に行きたい。この快楽を解放したい。白濁した欲望の塊を吐き出したい。ナイア様の褐色の綺麗な肌を、俺の白濁汁で汚したい!
「イかしてください!ナイア様の足で出させてください!」
俺は叫ぶ。恥も外聞をかなぐり捨て、勇者としても人間としての尊厳も投げ捨て、ただ快楽のために叫ぶ。ナイア様に懇願する。
しかし、
「でもダメだ。出させてあげない」
「っ!?どうして!」
「もっとさ。君はもっと堕ちなくちゃ。戻れないくらいに。深い深い混沌の奥底へと、僕の元へと堕ちなくちゃいけないのさ」
「堕ちます!堕ちますから!ナイア様に堕ちますから!」
――イかせてください!
「ふふっ、いい声だ。じゃあ、大詰めに入ろうか」
ナイア様は俺の逸物から足を退ける。快楽は昇らなくなった。でも下がることもない。ここまで昇った快楽は継続して俺を刺激してくる。
ああ、どうして。欲しいのに。もっとナイア様の刺激が欲しいのに。
「ナイア様!ナイア様ナイア様、早く早く俺を、奴隷の俺をなぶってください!奴隷の俺に、ナイア様のモノであることを刻み込んでください!」
「ふふっ、慌てない慌てない。僕は逃げやしないよ」
ナイア様はゆっくりと王冠と首の装飾を取り払う。腕輪の蛇の金属器を外して捨てる。黒い水着のような布を脱ぎ捨てた。脚に巻き付けた包帯と足の装飾も外す。
「ああ、あぁ、ああああああ」
なんて美しいんだ。なんて神々しいんだ。これが俺の王。俺の主。俺の全て。
ナイア様の一糸纏わぬ褐色の裸体。
ピンクが映えた乳首を持つ豊満な胸。舐め回したいくらいに綺麗な肌とくびれ。赤いアザのようなものが艶かしい脚。そして、回りに黒い毛を従えた、濡れてテカテカと光るオマンコ。
俺はそれらに目を奪われていた。もしも《命令》されていなければ、即射精していたことだろう。目に映すだけで男を骨抜きにしてしまう、名状しがたい美貌だった。
ナイア様はベッドから降り、寝転がる俺の逸物の上で立つ。
「ほら、これが僕のオマンコだよ」
「ああ……」
ナイア様が、薄い秘唇を摘まみ広げる。しとどに濡れそぼった綺麗なピンク色のオマンコが晒される。膣穴からはコポコポと少し粘性のある白濁した液体が、大量に流れていた。それは太股を伝い床を濡らし、股を濡らして俺の逸物に降りかかっていた。
凄く綺麗で、凄く卑猥な、魅力的な蜜壺だった。今すぐにでもしゃぶりつきたいほどに美味しそうに濡れ、鼻を犯すくらいに甘い匂いを漂わせている。
俺は獣のように、はっはっはっ、と息を立てる。
「ナイア、さまぁ。ナイア様の、オマンコ。ナイア様のオマンコ綺麗です。美味しそうです」
「君にそういってもらえて嬉しいよ。さぁ、カーター。君は僕にどうして欲しいのかな?君の口で、はっきりと大きく高らかに答えるんだ!」
オマンコ!オマンコ!ナイア様のオマンコ!
「ナイア様!ナイア様の清純なオマンコで、奴隷である俺の穢らわしいぺニスを犯し抜いてください!そして、俺の全てがナイア様のモノであることを、俺のぺニスに教え込んでくださいぃぃぃぃ!」
「アハハハハハハハハハハハハハハ!よく言ったよカーター!そうだ!君は僕のモノだ!今日このときから、君は僕のモノなんだ!」
ナイア様が腰を下ろす。ぺニスの鈴口がナイア様の秘唇に触れて、俺の身体はこれから訪れる快楽の期待にうち震えた。
来る。来る来る来る!
ズプゥッ!
「ぅあああああああああっ!」
「ひっ、ひゃああああああああっ!カーターの勇者チンポキタァァァァァッ!」
愛液でしとどに濡れたナイア様のオマンコは、一瞬の抵抗を除いて、俺のぺニスを一気に呑み込んだ。ナイア様の膣肉は、カリ裏に至るまで隙間なく俺のぺニスに絡み付く。足も最高だったが、これはそれを遥かに凌ぐ、極上の快楽だった。まだ動いてもいない。ただ挿入れているだけ。なのに、この世のものとは思えないほどの最高の心地だった。《命令》されていなければ、挿入れた瞬間にイッていたことだろう。
俺はこれだけで生まれてきてよかったと思えた。これだけのために生まれてきたのだと思った。
俺は知らず、涙を流していた。
「ふぅふぅふあぁ、はは……ふ、おや、僕のオマンコ、泣くほど気持ちいいのかい。ふ、ふふふ、嬉しいよ。君が感じてくれて僕は幸せだ。……僕も。僕も気持ちいいよ。破瓜の痛みなんてどこにもない。最高の気分さ」
ナイア様は頬を真っ赤に染めて、だらしなく目尻を垂らして涎を溢していた。そんなナイア様はいやらしくて、素敵だった。なにより、俺が初めてだということが、堪らなく嬉しかった。
「おや?……凄いや、カーターのオチンポ、僕の膣内で大きくなったよ。ふふ、僕で興奮してくれてるんだね。じゃあ、僕もそれに応えるとしようか」
ナイア様はそう言って、腰を上げる。ジュブジュブと愛液の泡立つ音と共にぺニスが引き抜かれていく。ぺニスに絡むナイア様の膣肉が、逃すまいとぺニスにしつこく吸い付き、それでも引き抜こうとすることで生じる甘い摩擦が、俺のぺニスを蕩けさせる。背筋が裏返るようなゾクゾクする快感に俺は喘ぐほかない。
「ギリギリまで抜いて……さぁ、下ろすよ、カーター。覚悟はいいかい?」
獲物を捉えた獣の瞳が光る。ああ、俺は今から、ナイア様に襲われるのだ。蹂躙されるのだ。骨までしゃぶりつくされるのだ!
そうなることが堪らなく興奮する。
「はいぃぃ、ナイア様ぁ……」
俺が返事すると、ナイア様はニィと笑う。そして、
「そぉら!」
ズップゥッ!!
「あ、が、ぁあはぁっ……」
ぺニスが喰われたかと思った。快感に貪られ消えたかと思った。
膣肉は絡むなんて生易しいもんじゃない。食いつくように締め上げて、啜るように吸い付いて、押し潰すように呑み込んでいる。亀頭もカリ裏も竿も関係ない全てが等しい極上の快楽を与えられている。
しかし、それだけの快楽を与えられていながらイクことができない。精液を吐き出すことができない。気持ち良さと苦しさが混在する、息をすることも許さない快感だった。
「息もできない感じだね。でもまだまだ」
俺の息が整わないうちに、ナイア様はまたぺニスをギリギリまで引き抜く。そして、まるで喰らうように降り下ろす。
「あ、がぁ、は、ああ、ぃああああ!」
ジュップジュップジュップジュップ!!
「アハッ!アハハハハッ!おいしい!おいしいよ、カーター!君のオチンポは最高だ!堪らない!もっともっともっと!」
「ぎぃ、ああがっ、ああああああ、ぅあああ!」
ジュップジュップジュップジュップ!!
パンパンパンパンパンパンパンパン!!
ジュップジュップジュップジュップ!!
パンパンパンパンパンパンパンパン!!
もはや快楽という名の暴力。気持ちよすぎてなにも感じない。
俺に残された感覚はぺニスに与えられる快楽のみ。ぺニスから感じられるナイア様のみ。それが全て。
ただただ高められていく至上の快楽のみ。
「アハハハハ!パンパンだ!カーターのオチンポパンパンだ!精液が溜まりまくっておっきくなってるじゃないか!」
ナイア様はストロークをどんどんと早めていく。もっと高まれと。もっと昇り詰めろと言っているのだ。
膣肉で膨張したぺニスをギュウゥと締め上げる。それは苦痛にも似た快楽で、俺の脳髄を焦がしていく。
俺はただ叫ぶ。
「あぅぐぁああああ!気持ちい、いのにぃ!イケないぃぃ!イキたいのにぃイケないぃぃぃぃ!」
出したい。早く出したい。白濁した欲望の塊をナイア様の膣内にぶちまけたい!
そうしないとおかしくなりそうだ。頭が壊れてしまいそうだ。脳ミソが焼け落ちてしまいそうだ。出したい出したい出したい!
「アハハハハ!白目向けちゃってさっ!そんなにイキたいのかい?でもダメさ。僕は、んん、まだまだイケないからね。だからほら、僕を高めておくれよ」
ナイア様は腰を振るのはやめずに、俺にもたれ掛かってきた。
褐色の肌に映えるピンクの乳首を携えた、その豊満なおっぱいを俺の顔に押し当てる。
「さぁ、僕のおっぱいを弄ってくれ。根本でも乳首でも、揉んでも吸ってもなにをしても構わないよ。僕をイかしてくれ。さぁさぁさぁ」
ぺニスに受ける刺激に意識が飛びそうにながら、俺は一心不乱にナイア様のおっぱいを掴んだ。そして目も覚めるほどに驚いた。
ナイア様のおっぱいはすごく柔らかかった。しっとりと汗に濡れ、吸い付くような肌触りながら、蕩けるように揉み心地はよく、指がおっぱいに呑み込まれるように沈んでいく。
卑猥なピンク色をした乳首に吸い付く。
「あんっ!」
甘い。乳は出ていないはずだから、これは乳首本来の味。同時にしょっぱい。激しいストロークで浮き出た汗の味。
甘くもありしょっぱくもある、ナイア様のおっぱいに俺は一瞬で魅了された。
ジュルルルルルルルル。
「アッハ。そんなに吸い付いちゃって、んんん、赤ちゃん、みたいだぁ。あああん!そんなに吸っちゃ、感じすぎちゃうよ」
おいしい。まるで貴族が食べる洋菓子のような、甘い味がする。いや、それよりも間違いなくおいしいだろう。甘くしょっぱく、口に残り続ける蕩ける味。
今、ナイア様を感じさせているのに、俺も感じてきていた。ナイア様の乳首に口内を犯されているような。乳首に舌をなぶられているような。そんなちぐはぐの快感。
乳首の甘さとしょっぱさに、舌が蕩ける。舌がピリピリする。まるでぺニスと同じ性感帯になったかのような。舌と乳首が触れるだけで、頭が真っ白になりそうだった。
ジュルルルルルルルルルルルルルル!
グニュ、グニュグニュグニュグニュ!
「あん!そんなに強く揉んじゃあ、おっぱい形変わっちゃうぅ!カーター専用に変えられちゃう!」
カリッ!
「ひぅぅぅ!?乳首ぃぃ!食べちゃらめぇぇ!」
ああ、気持ちいい。気持ちいいよナイア様ぁ。ぺニスも舌もイッちゃいそうなくらい気持ちいいですよぉ。
でもイケないんだ。絶頂できないんだ。早くイキたいんだっ!
「ナイア、様ぁぁ」
「あああ、あああん、アハハ、よかったよ、カーター。じゃあ、ラストスパートと行こうか」
「はひぃ、いああああああ!?」
パンパンパンパンパンパンパンパン!!
ジュッブジュップジュッブジュップ!!
「ああん、気持ちいい!カーターチンポ気持ちいいっ!」
「ナイ、ア様ぁぁぁ……」
「カーターも気持ちいいのかい?気持ちいいんだね?アッハ。キス。キスしようカーター。んん」
「んん、ジュプ……れろ、んちゅ、ぬちゅ……れろれろ、はぁ、んちゅう」
重なる。入る。絡む。飲む。
ナイア様の唇が、舌が、唾液が俺の口全てを犯す。息もできないほどに、密着させて、ナイア様は俺の口を貪っていく。
俺を支配しようと入ってきたナイア様の舌を、俺は万感の思いで歓迎した。絡み付いてくる舌に応えるように、俺はその舌を啜る。俺の身体に自分のモノだと刻もうとするナイア様の唾液を、俺は喉を鳴らして嚥下する。ナイア様の唾液に、俺の喉は喜びにうち震え、食道はむせび泣いていた。まるで全てが舌になったかのように、甘い味が広がる。先程の乳首と汗の味と混ざり、俺の舌は容易に感じまくる。
「んむ、ちゅっ、ちゃるるる、れろれろ……はぁ、れろ、ちゅ、んんん、はぁ」
「んんん、れろれろ、あむ……ちゅるるるるるるるるるる、ぷはぁ、んむ、んんん、ちゅうぅぅ」
貪られるキス。ナイア様が俺を貪るキス。貪られることがこんなにも心地いいものだは思いもしなかった。現に俺は先程以上に昂り、ぺニスがさらに猛っていた。
そして、それはナイア様も同じらしい。
膣肉がしつこいくらいに、まるでナイア様のキスのようにぺニスに吸い付き、もはやストロークすることが困難なくらい、きつく締め付け吸い上げていた。
そしてさらなる異変。それは俺の鈴口に受けた。
俺の鈴口に、プリプリとした柔らかいなにかが触れたのだ。
「んん、ぷはぁ……ふふ、どうやら、僕の子宮が降りてきたみたいだ。早くカーターの精液を、ザーメンを呑みたくて呑みたくて、待ちきれなくて降りてきたんだ」
「あああ、なんだ、これ……!」
子宮。ナイア様の子宮。その子宮口が俺の鈴口に触れたと思った瞬間。
ジュプンッ!
「……!……!!……!!!」
食べられた。俺のぺニスが、亀頭が、ナイア様の子宮に食べられた!
ナイア様の子宮はプリプリで優しく絡み付いてくる。
もしも膣肉が悪魔のように急速に高めさせていく快楽だとしたら、子宮は天使のように優しくやんわりと高めさせていく快楽だった。まるで天国と地獄。飴と鞭。男を屈服させ奴隷にする、王に相応しいオマンコだった。
もちろん、俺は突如与えられた快楽に喘ぐのみ。しかし、今回は少し違った。
それは、ナイア様も喘ぎ感じていたということだ。
「ああ、ああああがぁ、あは、ああああああああああああ!?」
背を弓なりに反らせ、白目を向き、舌をピンと突き出して、息を吸おうと喘いでいる。苦しいのかと言えばそうではなさそうで、表情は快楽にまみれたメスの、はしたないアへ顔だった。
そんなナイア様が、快楽にまみれたナイア様がとても素敵で、俺のぺニスは必然的に猛ってしまう。
亀頭に血を集めて太くする。子宮をこれでもかというほど刺激する。
ナイア様が吼えた。
「あひぃぃぃぃぃぃぃ!オチンポォォォ、カーターのオチンポォォォ、子宮にぃ、パンパンなのぉぉ!」
汗に涙に涎に鼻水に愛液に潮とあらゆる体液を噴き出させて、ナイア様は身体を痙攣させて喜ぶ。
「気持ちいいぃぃ、チンポォ、カーターチンポォ、僕の子宮にピッタリィィィ!アッハァ、子宮がぁ、オチンポ咥えて離さないんだぁぁ!」
ギュウゥギュウゥと、秘唇が膣穴が膣肉が子宮口が子宮が、俺のぺニスを締め付ける。チュウゥゥゥと吸い付くさんばかりに締め上げる。
「ナイア、様ぁ、もう気持ちよすぎて、俺ぇぇ」
「アアアアアン、ンンン、ふわぁ、アハハ、カーターも、気持ちいいんだね。僕のプリップリの初物子宮が気持ちいいんだね!」
さすがナイア様。快楽に流されてばかりでなく、もう耐性がついたみたいだ。腰を激しく動かし始める。
パンパンパンパンパンパンパンパン!
ジュプルジュプルジュプルジュプル!
「アハァ!動かす度にぃ、子宮抉られてぇ!最高、じゃないかぁ!」
降り下ろせば、プリプリお肉の子宮口をぺニスが抉り、子宮という柔らかい肉の、天国の快楽に包まれる。
引き抜けば、狭い子宮口にカリ裏を削られ、キツキツの膣肉が絡む、地獄の快楽に苛まれる。
どちらも至高。どちらも至上。この快楽に勝てるものなど存在しない。一度味わえば、もう元には戻れなくなる。戻りたくなくなる。一生こうしていたくなる。一生繋がっていたくなる。ナイア様の王たるオマンコと子宮に一生囚われ、自身の全てを捧げたくなるのだ。
俺は戻れない。戻らない。勇者などという下賎で野蛮な存在には戻らない。俺はナイア様の奴隷になる。高貴なるナイア様の奴隷となって、俺の一生をナイア様に捧げるのだ。
「はっ、はっ、はっ、いいよ、カーター、いい顔だぁ。それだよ、それが見たかったんだ!君の全てが僕色に染まった、勇者という尊厳をかなぐり捨てた、淫乱な顔!僕の、僕の愛する奴隷に相応しい淫らで男らしい顔さ!」
「ナイア様ぁ!最高です!最高に幸せですぅ!」
「僕もだよ、僕も幸せさ、カーター!さぁ、カーター答えておくれ。《君の理性は、自分をなんだと思っているのかな?》」
身体に駆け巡る電流のような快楽。
俺はその刺激にうち震え悦びながら答えた。
「俺はぁ……俺はぁ!ナイア様のぉ、奴隷です!生きるときも死ぬときも、生まれ変わるときもナイア様と共にする、ナイア様の奴隷です!」
「アハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!そうだよ!君はそうなんだ!僕のモノなんだ!ずっとずっとずっと、未来永劫、僕の傍にいるんだ!僕を慰める唯一の存在なんだ!さぁイこうカーター!一緒に堕ちよう混沌へ。快楽という、名状しがたい、一度入れば戻れない、深い深い混沌へ。そうすれば、君はこの快楽を、僕と共に味わえる。ずっと。一生。輪廻転生しても!だから、堕ちようずっと堕ちよう一緒に堕ちよう!さぁさぁさぁ!」
「堕ちます!ナイア様ぁ!俺はナイア様と一緒に堕ちます!堕ちますからぁ!ナイア様ぁぁ!一生傍に置いてくださいぃぃぃ!」
「アハハハハハハハ!じゃあ、堕ちよう今堕ちようすぐ堕ちようっ!イケ、カーター!イクんだ!《僕のエロエロマンコの欲張り子宮に、君の極太チンポの大量孕ませ子種汁を注ぎ込むんだぁぁぁぁぁ!》」
瞬間。俺のぺニスを塞き止めていた最後の膜が破れる。
欲望が解き放たれる。
「ああああああああああああああああああ!!!」
ドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュ!!
「ああああああああああああ!大量ザーメンキタァァァァァァァ!」
ドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュ!!
「ああああああああああああ!止まらないぃぃ、射精止まらないぃぃぃ!」
ドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュ!!
「あひぃぃぃぃぃぃ!らめぇぇ!それ以上はぁぁぁ!子宮破裂しゅるうぅぅぅぅぅぅぅ!」
ドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュ!!
「ぺニス溶けるぅぅ!気持ちよすぎて溶けるぅぅ!射精気持ちいいぃぃぃ!」
ドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュ!!
「お腹パンパンンンン!妊娠してないのにぃ、腹ボテになりゅうぅぅ!カーター専用のザーメンタンクになっちゃうぅぅぅ!あひぇぇあああ〜〜〜」
ドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュ!!
「ああああああああああああああああああ!!!」
ドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュ!!
「ああああああああああああああああああ!!!」
全てが染まる。真っ白に。
身体も心も理性さえも。
天国と地獄のごとき快楽の白さに染まる。
俺とナイア様は、白濁した混沌の底へと共に堕ちていった。
―4―
眼を覚ませばそこはナイア様の部屋であった。しかし、床ではなくベッドの上。そして、ナイア様の下にいた。
「やぁ、目が覚めたかい。先に気絶しちゃうなんてひどいじゃないか」
腰に手を当て、頬を膨らませるナイア様。
「すいません、ナイア様」
「ふふ、なんてね。冗談だよ。謝る必要はないさ。君のかわいい寝顔も見れたことだしね」
俺とナイア様は繋がりっぱなしだった。ナイア様が俺に跨がり騎乗の体位で俺を見下ろしている。
俺は目を見開く。ナイア様の腹はまるで妊娠したかのようにパンパンに膨らんでいたからだ。
「これかい?これはカーターの精液だよ。君の精液量がすごくてね、すっかりザーメンタンクになっちゃった。本当に遠慮がないんだから」
「痛く、ないんですか?」
「痛い?むしろその逆さ。気持ちいい。こんなにいっぱいカーターの精液で満たされて、僕は幸せだよ。出すのが勿体ないから君が気絶してる間も抜かなかったのさ」
蕩けるように笑うナイア様を見て、俺は無性に嬉しくなった。
俺で幸せになってくれている。そのことが堪らなく嬉しかった。
「それにしてもカーターってば本当に逞しいねぇ。一日中繋がりっぱなしなのに、ビンビンだ」
言われてみればそうだ。あれだけ化け物みたいなほどに精液を出しておきながら、ぺニスは萎えて、ナイア様のオマンコから抜け落ちたりしていない。今なお、ナイア様のオマンコを貫いている。
「僕としては幸せだからいいけどね。さぁ、子供できるまでヤリまくろうか」
「子供ですか?」
「んん?いやなのかい?」
ナイア様が不安げに顔を曇らせる。そんな。いやなんてことは全くない。むしろ嬉しい。しかし、俺は。
「俺は奴隷です。奴隷の俺があなたを孕ませるなんて……」
俺が控えめに言うと、ナイア様は目をぱちくりとさせる。
少し押し黙ったかと思うと、弾けた。
弾けたように笑った。
「アハハハハハハハ!そっかそっか、君の言う奴隷はそういうことなんだね。そっかそっか。そうだね」
「ナイア様?」
「いや、ごめんごめん。ふふ、カーター、そのことについては心配する必要はないよ」
どういうことだ?
ナイア様は微笑む。優しい、太陽にも似た慈愛に満ちた表情で。
「僕が本当に奴隷と思っている人に、こんなことをさせると思うかい?」
巨大なパンのように膨らんだお腹を擦りながら、ナイア様は言う。
「特別に思ってもいないやつに、純潔を捧げると思うかい?」
ナイア様の暖かな柔らかい手が、俺の頬を撫でる。
「僕の奴隷は君だけさ。今もこれからもずっとね。君だけが僕に精を捧げることを許されているんだよ」
「……それって」
「もう。鈍ちんだなぁ、カーターは。しょうがない。もっと別な言い方に変えようか。……そうだね」
ナイア様が俺にお腹の膨らみも気にせずもたれ掛かってきる。ぺニスとオマンコの接合部から押し出された精液がブピュと音を立てた。
ナイア様の顔が俺の眼前に広がった。
惚れ惚れしてしまう、この世のものとは思えない名状しがたい美しさ。
濡れそぼった唇が艶かしく蠢く。
「君は僕の伴侶なのさ」
「っ!」
「僕の唯一の奴隷にして、僕の最愛の伴侶。君だけが、僕を幸せにしてくれる。僕を満たしてくれる。僕を癒してくれる。カーター。カーター・ランド」
「……はい」
「僕は君を愛している。誰よりも。自分よりも。君が大好きで大好きで大好きで、愛してやまないんだ。だから、カーター、僕と、」
言いかけたナイア様を、唇に人差し指を当てることで制した。
それ以上は俺に言わせてほしい。
「ナイア様、俺もナイア様を愛しています。この世界で誰よりも。自分よりも。あなたさえいれば、俺は他になにもいりません。ずっとずっと、傍にいさせてください」
ナイア様は目に涙を浮かべながら、そっと顔を下ろしてくる。
「もちろんだとも。僕の愛しのカーター」
俺とナイア様は熱い口づけを交わした。
お互いの想いを確かめあうのに言葉はもういらなかった。
ナイア様は幸せだった。
だから俺も幸せだった。
それはこれからも果てなく続く。
ずっとずっと。
[完]
13/04/04 19:33更新 / ヤンデレラ
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