転生者 〜砂塵に磨かれし刃翼〜 後編
「・・・でやあああぁぁぁっ!!!」
まず先手を取ったのは田村だった。
ワイバーンの威圧感に呑まれそうになった自らを鼓舞するように掛け声を上げ、剣を片手に握りしめてワイバーンに斬りかかった。
ガキッ!
ワイバーンは軽く右翼を振り上げ、翼の先端の刃で田村の剣を受け止めた。
ギギギギギギギギギギッ!
金と銀の二つの刃が激しくぶつかり合い、金属同士が激しく擦れあうような音が辺りに響き渡る。
ガギィンッ!
押し出されたのはワイバーンの方で、田村に押されて倒される寸前に軽く後ろへ跳びそれを回避したのだった。
「クッ!なんて固いヤツなんだ・・・えぇい、もう一撃食らわせて・・・!?」
続けてワイバーンに斬りかかろうとした田村は手に持っている剣を見て愕然とした。
なんと、剣の上半分が無くなっていたのだ。
しかも、折られているのではなく、切られている形で。
「う、嘘だろ・・・!?」
頑強な重騎士の鎧、分厚いドラゴンの鱗といった硬度が物凄く高い物ですら切り裂いてきた自慢のチート武器「ゴッドセイバー」が逆に切り裂かれてしまったことに田村は驚きを隠せなかった。
「何を驚いている?私はここだぞ!」
驚いている田村の後ろからワイバーンが翼で小規模の竜巻を作り出した。
小規模と言えども彼を十分に呑み込めるほどの大きさのそれは猛スピードで田村に迫り、彼を竜巻の一番上のあたりまで舞い上げると消滅し、落下させた。
ドサァンッ!
「うぐぁっ!」
田村は地面に落ちた衝撃により短い悲鳴を上げた。
仰向けになった田村は立ち上がろうとすると、妙に体が軽い感覚がした。
「あ、あれ?何か体が軽いな・・・、まるで自分が身に付けている物が取り払われた見たいに・・・んなぁぁぁぁぁっ!?」
田村の回りには、紙屑のようにバラバラに切り裂かれたチート防具「ゴッドアーマー」が散乱していた。
ザリ、ザリ、ザリ、ザリ・・・
ワイバーンがゆくっりと田村の元へと歩み寄る。
「うわああぁぁぁっ!」
田村はへたりこむ姿勢で後ずさる。
だが、それでもワイバーンは足を止めない。
ボアンッ!
「ん?」
突然ワイバーンの足元に近い場所で魔力の火球が放たれて爆発した。
ワイバーンが火球が放たれた方向を見るとそこには、杖を構えた幼い見た目の少女が居た。
「田村さんから離れて!」
「メイ・・・!」
「ほう、仲間が居たか。面白い。ついでに相手してやろう!」
ワイバーンがメイに向かって銀の翼を降り下ろし、翼から放たれた風の刃がメイに直撃した。
バシィンッ!
「きゃあっ!」
翼で斬り下ろされたメイは服に大穴を作って前のめりに倒れた。
「う・・・あ・・・」
「さて、トドメといこうか。」
ワイバーンがメイに向かって再び翼を降り下ろそうとするが、何者かがメイの前に立ち塞がったために中断された。
「ま、待ってくれ!」
「え・・・?」
「お前は・・・」
メイの前に立ち塞がったのは田村だった。顔は凛々しく真剣な表情である。
「悪かった!全部俺がお前に喧嘩を吹っ掛けたのが悪かった!だから、この子だけでも見逃してくれ!何でもする!」
「田村さん・・・」
メイは、今までお気楽で自己中心的で傲慢だった田村が、初めて自分以外の者のために身を挺して行動する姿を目の当たりにした。
その背中はチート装備を身に纏って敵を凪ぎ払っている時よりも強く感じられた。
「何でもする・・・か。くくくっ、ふはははははは!案ずるな!お前のような大した事のないヤツにこれ以上は何も求めん!さぁ、行くがいい。もちろん、後ろの娘を一人にはしまいな?ふはははははっ!」
バッ!
キィィィィィィンッ!
ワイバーンは高笑いすると、凄まじい早さで空の彼方へ飛んで行った。
「メイ・・・今までごめんな・・・俺が無茶ぶりしても、いつも一緒について来てくれて・・・」
田村は仰向けになっているメイに駆け寄った。目からは大粒の涙が零れている。
「嫌だと思いながらも仕方なく付いてきてくれたこともあるだろうし・・・本当に・・・」
「別に・・・いいですよ♪確かに嫌だと思っていたことは沢山ありましたけど、その分やってみて良かったって思うことも沢山ありましたよ。」
メイは両手を支えにして地面から上半身を起こした。
「それに、ちゃんと自分のした過ちを認めて謝れるなんて偉いですし、何と言っても・・・私の事を気にかけてくれるなんてすごく嬉しいですよ。」
「メ、メイ・・・ううっ、ああっ、ああああああああぁぁぁぁっ!」
砂漠のオアシスで、一人の男が漢へと成長を遂げた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜とある親魔物領の村〜
ここは、森林にある親魔物領の村。
住民は森の木を使ってログハウスを作り、そこに住んで生活している。
気候は温暖で過ごしやすく、森林が外界からの音をシャットアウトしているためとても静かで、森にはキノコや山菜、川には魚やエビなどといった具合に食料も豊富なので争いが起きずとても平和な村である。
そんな村の一角から子供たちの嬉しそうな声が聞こえてくる。
「あはははっ♪まてまて〜♪」
「きゃははは〜♪」
村の子供たちが広場で追いかけっこをしている。
男の子も女の子も人間も魔物も関係なく入り乱れて楽しそうに遊んでいる。
そんな光景に一組の夫婦が檜のベンチに腰掛けて暖かく見守っていた。
「まさしさん、今日も何事もなくて平和ですね。」
「全くあの頃の俺はどうかしていたよ。別に伝説にならなくても、最強にならなくても、王様にならなくても、ハーレムなんて作らなくても、こうして幸せに生きてさえいければそれでいいんだ。」
まさしはワイバーンに喧嘩をふっかけてボロ負けしたことを機に、これ以上メイを危険な目に遭わせないと肝に命じた。
ギルドには冒険者を辞める手続きをして、家財を全て売り払いその金の大半を貧しい孤児院や病院に寄付し、残った金でメイと結婚式を挙げ、山奥の村の土地を買って移住しそこでメイと共に余生を過ごすことにした。
今では娘を2人設け、慎ましくも幸せな生活を送っている。
「おとうさーん!聞いてー!相撲で男の子に勝ったよー!」
「はっはっはっは、それはすごいな。」
「うふふふ。わんぱくな所が本当に田村さんそっくりね♪」
「おいおい、あの時の俺はわんぱくどころじゃなかったよ。」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
所変わってドラゴニア。
ここでは最近銀色のワイバーンが頻繁に目撃されるようになった。
目撃証言その89 郊外の村の男の子「ねぇ!調査員のおじさん!聞いて!銀色のワイバーンが自分よりでっかいドラゴンを羽ばたきだけで吹っ飛ばしてたよ!」
目撃証言その118 鍛冶屋のドワーフ「アタシがいつものように魔界銀を採りに鉱山に行ったら、鉱山の崖で銀色のワイバーンが身体になんか塗りつけていると思ってよく見てみたらなんと、自分の吐いた炎で溶かした魔界銀を自分の翼や尻尾の先っちょに塗りたくってたんだよ!しかもその後に池に入って体を冷やしたかと思うと、近くにあったでかい岩に翼や尻尾を擦りつけて研いでたんだ!今までドラゴンの類いは何度も見てきたけどあんなヤツは初めてだよ!」
オアシスで田村とメイを襲った銀色のワイバーンだが、その全貌は未だに謎に包まれていた。
ただ、研究や観察によって分かっていることは魔界銀を自分の吐いた炎で溶かして翼や尻尾、トサカなどに溶接し、冷やして研磨することで攻撃力や防御力を強化する習性があることぐらいである。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ある地方の高原の上を銀色のワイバーンが旧魔王時代の姿になって飛んでいる。
ワイバーンは高原の中にポツンとある村を一瞥したかと思うと、そこへ目にも留まらぬ速さで高度を落としていく。
あっという間に地面に着地すると、ワイバーンは現魔王時代の姿に戻り村の入り口を潜った。
「おー!ファルの姐さん!武者修行から帰って来たんだな!」
村に入ってきた者とは別のラマを連れた銀色のワイバーンが声をかける。
「うむ、今年は強い奴があまり居ないせいで旅が早く終わってしまったぞ。」
「あー・・・そうかー・・・姐さんもそうだったのか・・・ま、来年に期待だな!」
呆れているようなファルと呼ばれた個体を、別の個体がラマの毛を翼で刈りながら励ます。
「さて、来年は私を熱くさせられるような者が現れることを願おう。」
ファルは石造りの家の一つの前に行くと、透明な水晶でできた呼び鈴を鳴らす。
「はーい。」
家の中から前髪で顔を隠した青年が出てくる。
青年はファルを一目見ると、自らの家の中に入れた。
「ただいま。コン。」
「ファル、おかえり。武者修行はどうだった?」
「全然だな。つい100年ほど前はもっと強い奴等が沢山いたのだが今はめっきり見なくなってしまったぞ。」
「そっかぁ・・・でも逆に考えれば戦うことを必要としない程世界が平和になってきているのかもしれないね。」
「それもそうか・・・」
「それはともかく、ご飯作っておいたから一緒に食べよう。今日はファルのこ大好きな羊のスープだよ。」
「分かった♪楽しみだ♪」
魔物娘の中には全てが謎に包まれている者もいる。
そして、その全てを知るのは彼女らの夫なのである。
まず先手を取ったのは田村だった。
ワイバーンの威圧感に呑まれそうになった自らを鼓舞するように掛け声を上げ、剣を片手に握りしめてワイバーンに斬りかかった。
ガキッ!
ワイバーンは軽く右翼を振り上げ、翼の先端の刃で田村の剣を受け止めた。
ギギギギギギギギギギッ!
金と銀の二つの刃が激しくぶつかり合い、金属同士が激しく擦れあうような音が辺りに響き渡る。
ガギィンッ!
押し出されたのはワイバーンの方で、田村に押されて倒される寸前に軽く後ろへ跳びそれを回避したのだった。
「クッ!なんて固いヤツなんだ・・・えぇい、もう一撃食らわせて・・・!?」
続けてワイバーンに斬りかかろうとした田村は手に持っている剣を見て愕然とした。
なんと、剣の上半分が無くなっていたのだ。
しかも、折られているのではなく、切られている形で。
「う、嘘だろ・・・!?」
頑強な重騎士の鎧、分厚いドラゴンの鱗といった硬度が物凄く高い物ですら切り裂いてきた自慢のチート武器「ゴッドセイバー」が逆に切り裂かれてしまったことに田村は驚きを隠せなかった。
「何を驚いている?私はここだぞ!」
驚いている田村の後ろからワイバーンが翼で小規模の竜巻を作り出した。
小規模と言えども彼を十分に呑み込めるほどの大きさのそれは猛スピードで田村に迫り、彼を竜巻の一番上のあたりまで舞い上げると消滅し、落下させた。
ドサァンッ!
「うぐぁっ!」
田村は地面に落ちた衝撃により短い悲鳴を上げた。
仰向けになった田村は立ち上がろうとすると、妙に体が軽い感覚がした。
「あ、あれ?何か体が軽いな・・・、まるで自分が身に付けている物が取り払われた見たいに・・・んなぁぁぁぁぁっ!?」
田村の回りには、紙屑のようにバラバラに切り裂かれたチート防具「ゴッドアーマー」が散乱していた。
ザリ、ザリ、ザリ、ザリ・・・
ワイバーンがゆくっりと田村の元へと歩み寄る。
「うわああぁぁぁっ!」
田村はへたりこむ姿勢で後ずさる。
だが、それでもワイバーンは足を止めない。
ボアンッ!
「ん?」
突然ワイバーンの足元に近い場所で魔力の火球が放たれて爆発した。
ワイバーンが火球が放たれた方向を見るとそこには、杖を構えた幼い見た目の少女が居た。
「田村さんから離れて!」
「メイ・・・!」
「ほう、仲間が居たか。面白い。ついでに相手してやろう!」
ワイバーンがメイに向かって銀の翼を降り下ろし、翼から放たれた風の刃がメイに直撃した。
バシィンッ!
「きゃあっ!」
翼で斬り下ろされたメイは服に大穴を作って前のめりに倒れた。
「う・・・あ・・・」
「さて、トドメといこうか。」
ワイバーンがメイに向かって再び翼を降り下ろそうとするが、何者かがメイの前に立ち塞がったために中断された。
「ま、待ってくれ!」
「え・・・?」
「お前は・・・」
メイの前に立ち塞がったのは田村だった。顔は凛々しく真剣な表情である。
「悪かった!全部俺がお前に喧嘩を吹っ掛けたのが悪かった!だから、この子だけでも見逃してくれ!何でもする!」
「田村さん・・・」
メイは、今までお気楽で自己中心的で傲慢だった田村が、初めて自分以外の者のために身を挺して行動する姿を目の当たりにした。
その背中はチート装備を身に纏って敵を凪ぎ払っている時よりも強く感じられた。
「何でもする・・・か。くくくっ、ふはははははは!案ずるな!お前のような大した事のないヤツにこれ以上は何も求めん!さぁ、行くがいい。もちろん、後ろの娘を一人にはしまいな?ふはははははっ!」
バッ!
キィィィィィィンッ!
ワイバーンは高笑いすると、凄まじい早さで空の彼方へ飛んで行った。
「メイ・・・今までごめんな・・・俺が無茶ぶりしても、いつも一緒について来てくれて・・・」
田村は仰向けになっているメイに駆け寄った。目からは大粒の涙が零れている。
「嫌だと思いながらも仕方なく付いてきてくれたこともあるだろうし・・・本当に・・・」
「別に・・・いいですよ♪確かに嫌だと思っていたことは沢山ありましたけど、その分やってみて良かったって思うことも沢山ありましたよ。」
メイは両手を支えにして地面から上半身を起こした。
「それに、ちゃんと自分のした過ちを認めて謝れるなんて偉いですし、何と言っても・・・私の事を気にかけてくれるなんてすごく嬉しいですよ。」
「メ、メイ・・・ううっ、ああっ、ああああああああぁぁぁぁっ!」
砂漠のオアシスで、一人の男が漢へと成長を遂げた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜とある親魔物領の村〜
ここは、森林にある親魔物領の村。
住民は森の木を使ってログハウスを作り、そこに住んで生活している。
気候は温暖で過ごしやすく、森林が外界からの音をシャットアウトしているためとても静かで、森にはキノコや山菜、川には魚やエビなどといった具合に食料も豊富なので争いが起きずとても平和な村である。
そんな村の一角から子供たちの嬉しそうな声が聞こえてくる。
「あはははっ♪まてまて〜♪」
「きゃははは〜♪」
村の子供たちが広場で追いかけっこをしている。
男の子も女の子も人間も魔物も関係なく入り乱れて楽しそうに遊んでいる。
そんな光景に一組の夫婦が檜のベンチに腰掛けて暖かく見守っていた。
「まさしさん、今日も何事もなくて平和ですね。」
「全くあの頃の俺はどうかしていたよ。別に伝説にならなくても、最強にならなくても、王様にならなくても、ハーレムなんて作らなくても、こうして幸せに生きてさえいければそれでいいんだ。」
まさしはワイバーンに喧嘩をふっかけてボロ負けしたことを機に、これ以上メイを危険な目に遭わせないと肝に命じた。
ギルドには冒険者を辞める手続きをして、家財を全て売り払いその金の大半を貧しい孤児院や病院に寄付し、残った金でメイと結婚式を挙げ、山奥の村の土地を買って移住しそこでメイと共に余生を過ごすことにした。
今では娘を2人設け、慎ましくも幸せな生活を送っている。
「おとうさーん!聞いてー!相撲で男の子に勝ったよー!」
「はっはっはっは、それはすごいな。」
「うふふふ。わんぱくな所が本当に田村さんそっくりね♪」
「おいおい、あの時の俺はわんぱくどころじゃなかったよ。」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
所変わってドラゴニア。
ここでは最近銀色のワイバーンが頻繁に目撃されるようになった。
目撃証言その89 郊外の村の男の子「ねぇ!調査員のおじさん!聞いて!銀色のワイバーンが自分よりでっかいドラゴンを羽ばたきだけで吹っ飛ばしてたよ!」
目撃証言その118 鍛冶屋のドワーフ「アタシがいつものように魔界銀を採りに鉱山に行ったら、鉱山の崖で銀色のワイバーンが身体になんか塗りつけていると思ってよく見てみたらなんと、自分の吐いた炎で溶かした魔界銀を自分の翼や尻尾の先っちょに塗りたくってたんだよ!しかもその後に池に入って体を冷やしたかと思うと、近くにあったでかい岩に翼や尻尾を擦りつけて研いでたんだ!今までドラゴンの類いは何度も見てきたけどあんなヤツは初めてだよ!」
オアシスで田村とメイを襲った銀色のワイバーンだが、その全貌は未だに謎に包まれていた。
ただ、研究や観察によって分かっていることは魔界銀を自分の吐いた炎で溶かして翼や尻尾、トサカなどに溶接し、冷やして研磨することで攻撃力や防御力を強化する習性があることぐらいである。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ある地方の高原の上を銀色のワイバーンが旧魔王時代の姿になって飛んでいる。
ワイバーンは高原の中にポツンとある村を一瞥したかと思うと、そこへ目にも留まらぬ速さで高度を落としていく。
あっという間に地面に着地すると、ワイバーンは現魔王時代の姿に戻り村の入り口を潜った。
「おー!ファルの姐さん!武者修行から帰って来たんだな!」
村に入ってきた者とは別のラマを連れた銀色のワイバーンが声をかける。
「うむ、今年は強い奴があまり居ないせいで旅が早く終わってしまったぞ。」
「あー・・・そうかー・・・姐さんもそうだったのか・・・ま、来年に期待だな!」
呆れているようなファルと呼ばれた個体を、別の個体がラマの毛を翼で刈りながら励ます。
「さて、来年は私を熱くさせられるような者が現れることを願おう。」
ファルは石造りの家の一つの前に行くと、透明な水晶でできた呼び鈴を鳴らす。
「はーい。」
家の中から前髪で顔を隠した青年が出てくる。
青年はファルを一目見ると、自らの家の中に入れた。
「ただいま。コン。」
「ファル、おかえり。武者修行はどうだった?」
「全然だな。つい100年ほど前はもっと強い奴等が沢山いたのだが今はめっきり見なくなってしまったぞ。」
「そっかぁ・・・でも逆に考えれば戦うことを必要としない程世界が平和になってきているのかもしれないね。」
「それもそうか・・・」
「それはともかく、ご飯作っておいたから一緒に食べよう。今日はファルのこ大好きな羊のスープだよ。」
「分かった♪楽しみだ♪」
魔物娘の中には全てが謎に包まれている者もいる。
そして、その全てを知るのは彼女らの夫なのである。
18/01/27 22:59更新 / 消毒マンドリル
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