執事喫茶バロンのとある日
<宗茉 視点>
(注:宗茉は、メイド喫茶パーラーの店長。雛は妻であり、パーラーの向かいで執事喫茶バロンを営んでいる。娘の沙織は茜の舎弟。詳しくは『ヤンキー彼女〜結婚までの日常〜』を参照)
雛「お願い、ダーリン!明日、貞春くんと成竜くんを、なんとか借りれないかしら!?」
突然どうしたんだマイワイフ?
雛「実はね?うちの執事喫茶の二人がインフルエンザで休んじゃったのよ!彼らの穴を埋めたいんだけど、他の子たちは里帰りしちゃってて来れないし・・・貞春くんと成竜くんなら結構イケメンだし、使えそうなのよぉ!ねぇ、お願い!」
うむ!マイワイフのためならなんとかしよう!
雛「きゃーっ♪ありがとう、ダーリン♪」
ちょっと待ってくれ、連絡してみるよ。
『ピッピッピッ!・・・プルルル・・・』(携帯の音)
貞春『・・・あぁ?誰だよ?』
貞春クゥン・・・お願いがあるんだぁが・・・
貞春『うぉっ!?店長!?びびったぁ・・・なんだよ?パーラーは明日も休みだろ?』
そうなんだが・・・マイワイフのため、一日執事になってくれないk
貞春『断る』
そう言わないでぇ・・・頼むよぉ・・・制服を、可愛いフリフリメイド服にするかr
貞春『無理』
ふぅむ・・・貞春クゥン、まーやんに代わってくれたまえ。
貞春『あぁん?なんだよ・・・真闇ぃ。店長がお前に代われってよ』
真闇『・・・はい、お電話代わりました』
まーやんちゃん。貞春クンを説得してくれないかい?貞春クンが執事をしてくれるなら、まーやんちゃんにはお礼をするから。
真闇『えぇ・・・?そう言われても・・・』
メイド喫茶パーラー限定、『クリーミーパフェ、パーラースペシャル2nd改』をご馳走したげるから。
真闇『えぇっ!?あの、日に5つしか作らない豪華パフェを!?あぁ・・・うぅ・・・でもぉ・・・』
さらに明日・・・ごにょごにょごにょ・・・どうだね?
真闇『ちょっと待っててください』
・・・2分後・・・
貞春『店長テメェ真闇をなにで釣りやがった?』
なに、乙女心をブラシでこそばしただけさっ!(キリッ
貞春『ったく・・・明日、朝に行けばいいのか?』
うむ、頼む。妻からだけでなく、私からも給料に色をつけよう。
貞春『おぅ、頼むぜ・・・じゃあな』
『ガチャッ、ツー、ツー・・・』
まず一人・・・次。
『ピッピッピッ!・・・プルルル・・・』
天河『・・・はい、成竜です』
お、あーちゃん、ちょうどよかった。あのだねぇ・・・
・・・5分後・・・
成竜『店長、あーたんになに言ったんです?』
なに、ちょっとした甘味と視姦権利をあげただけさ。
成竜『シカン!?どーゆーこと!?』
とりあえず、明日、朝にバロンに来てくれ。特別バイト代出すから。
成竜『はぁ・・・ありがとうございます・・・じゃあ・・・』
『ガチャッ、ツー、ツー・・・』
・・・よし!確保!
雛「きゃー♪サンキューダーリン♪」
ふはははははは!マイワイフのためなら火の中水の中風の中デビルバグの中ァッ!
沙織「・・・なにやってんのよ・・・」
雛「あ、沙織ちゃん。明日、康行くんと天良くんの代わりに新人が来るから、甲くんと一緒に教育お願い♪」
沙織「はっ?え、ちょ?」
さぁマイワイフ!明日の心配もなくなったところで、今日はご褒美をいただこうかな!
雛「きゃー♪ダーリンのけだものぉー♪」
ふはははははは!
沙織「え?ちょ!?・・・なんなんだよ・・・」
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<沙織 視点>
(注:沙織は、執事喫茶バロンで男装し、『佐久間』の源氏名で執事をやってる。指名ナンバー1。詳しくは以下略)
[ 翌日 ]
甲「あ、佐久間さん、おはようございます」
(甲の源氏名は八雲)
あぁ、おはよう。八雲くん、店長から今日新人が来ることは聞いてるかい?
甲「え?いや、初耳です」
そうか。初めてらしいから、色々教えてやってくれ。開店前に顔合わせはするらしいから。
甲「分かりました」
雛「は〜い、みんな、注目〜」
『パンパン!』(雛が手を叩きながら更衣室から出てきた)
む・・・ちょうどみたいだな。
甲「誰なんでしょう?」
雛「みんな〜?実は、康行くんと天良くんがお休みになったの」
キッチン従業員A「え?マジ?」
キッチン従業員B「どうすんだよ、ふたりともホール担当じゃねぇか」
キッチン従業員C「ふたりも欠けたら回らないだろ・・・」
雛「それでぇ、知り合いふたりに補充に入ってもらったの!みんな、仲良くしてね〜?」
従業員『うぃーす』
甲「はーい」
さて、どんなやつかな・・・
雛「じゃ、ご対面〜ん♪『春宮』くん、『龍清』くん、出てきて〜♪」
『ガチャッ』(男子更衣室から出てくる)
ぶっっっっっっっっっ!!?
甲「えぇっ!?」
貞春(春宮)「どもー」
成竜(龍清)「よろしくお願いしまーす」
甲「さ、さだはっ、げふん。春宮さん!?龍清さんも!?」
貞春「よぅ。えーと・・・源氏名は八雲か。おいーす」
成竜「ははは、普段の呼び方はご法度なんだっけ・・・あけおめ、八雲くん」
甲「は、はぁ・・・」
(ななな、なんで茜嬢とやり合った貞春がここにぃ!?ま、マズいっ・・・)
甲「あ、この人が佐久間さん。この執事喫茶の指名ナンバー1の方なんです」
(うっ!?)
貞春「・・・・・・」
(・・・な、なんで黙ってるんだ・・・?)
貞春「・・・春宮っす。よろしくっす」
あ、あぁ・・・よろしく。
(よ、よかった、ばれてない・・・か?)
成竜「ども、龍清で・・・ん?」
ど、どうかしたのか?
成竜「・・・あんた、どーっかで会ったことない?」
(ぎくっ!?)
成竜「・・・あ。」
(ぎくぎくぅっ!?)
成竜「あんた、茜ちゃんのしゃt」
貞春「おい龍清」
『ぐいっ!』
成竜「げぼぉっ!?くびっ!?くびぃっ!?」
貞春「じっとしろ。お前の襟首歪んでんだよ」
成竜「くびっ!しまっ!閉まって!あががが!?」
お、おいおい、だ、大丈夫か?
貞春「よし、直った」
成竜「げほっ!ごほっ!口で言うとかにしろよ!?」
貞春「めんどい」
成竜「口で言う方が楽じゃね!?」
雛「はいはーい。顔見せも終わったし、えーと・・・春宮くんは佐久間くんに、龍清くんは八雲くんに色々聞いてねー?」
貞春「わかりやしたー」
成竜「けほっ、はーい・・・」
雛「春宮くんは、ちょっと言葉使い直してね?」
貞春「あ、すんません」
・・・ほっ・・・
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・・・だいたいの接待はできるようだな。
貞春「一応、学祭で執事喫茶モドキをやって、似たようなマニュアルはやりましたんで」
へぇ・・・心強いな。
貞春「まぁ八割方サボりましたが」
ちょ!?
貞春「大丈夫ですよ。ここではマジメにします」
・・・ならいいが。
(どうやら、私が沙織だとバレてないようだ・・・よかった・・・)
貞春「・・・ひとついいですか?」
ん?なんだ?
貞春「客いなかったらこの口調はダメか?自分がですます口調で話すの、すげぇ気持ち悪いんだが」
ダメだ。
貞春「チッ」
・・・大丈夫なんだろうか・・・
『カランカラ〜ン♪』
あ、お客様だ。春宮くん。行こう。最初は私が挨拶するから。見て覚えてくれ。
貞春「はい・・・あ?」
いらっしゃいませ、お嬢様。ようこそバロンへ・・・っ!!?
真闇「ど、どうも・・・」
天河「・・・こんにちわ、佐久間さん」
茜「なんだよ真闇。そんな恥ずかしがんなよ。アタシたちは客なんだから」
(なんで茜嬢が来てんのぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!?)
真闇「あの・・・これ・・・」
ん?・・・『執事喫茶バロン、三名様70%割引券』・・・本日限り・・・
(な、なんだこれ!?聞いたことないぞ!?)
茜「しかし『店長』も気前いいよな!今日は日頃のご褒美って、うちらをこの喫茶に無料招待なんてよ!」
真闇「うん♪」
天河「・・・ダーリンの執事姿、視れる♪」
(あんの馬鹿親父ィィィィィィッ!!#)
貞春「お客様、どうぞこちらへ・・・」
真闇「へっ・・・わっ、わっ、わっ、貞春!?カッコいい・・・」
天河「・・・まーやん。ここ、本名厳禁・・・」
真闇「あわわわ!そうだった!」
貞春「お客様、私は『春宮』と申します。どうぞお見知りおきを・・・」
・・・す、すまん、春宮くん・・・
茜「・・・ぷっ、くふふふ・・・」
貞春「ん?いかがいたしました?お嬢様?」
茜「・・・あはははは!ダメ!もーダメ!お前がですます口調とか!おっかしー!ぎゃははははは!」
(涙流して大爆笑)
真闇「あ、茜ちゃん・・・」
茜「わ、わり・・・ひっひっ、ひーっ、ひーっ・・・」
貞春「・・・(この仕事終わったらぶん殴ってやる・・・)」
(周りに聞こえない程度の声)
(・・・色々、ヤバい気がしてならない・・・)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(・・・あの席から目が離せない・・・)
真闇「あ、あーん・・・////」
(貞春を指名、『パフェ』を注文)
貞春「あーん・・・美味しいですか?お嬢様?」
真闇「・・・こくこく////」
(顔真っ赤)
天河「ぎゅーっ♪」
(成竜を指名、『ホットケーキ』を注文)
成竜「お、お嬢様?そんなに抱きつかなくても・・・」
天河「・・・もっと♪」
茜「はぁ・・・カッコいぃ・・・」
(甲を指名、『アイスの盛り合わせ』を注文)
甲「ありがとうございます、お嬢様」
茜「お嬢様なんて・・・あぁ・・・」
(トリップ開始)
・・・ま、まだ安全、か・・・?
ホール従業員A「お、おい、あの新人たち、結構出来いいぞ・・・」
ホール従業員B「あのちびっ子に対して完成度の高い接待サービスだ・・・」
(彼女だしなぁ・・・)
『ひゅっ、ザクッ!』
・・・ざく?
貞春「あぁ、すいません、お嬢様。手元を滑らして先割れスプーンをあらぬ方向に飛ばしてしまいました」
真闇「え、あ、うん・・・」
従業員B「さ、先割れスプーンが額に・・・刺さっ・・・ガクッ」
従業員A「Bィィィィィィッ!?」
ちょ!春宮くん!従業員をこれ以上減らさないでくれ!
貞春「いやですねぇ、佐久間さん。俺は『偶然』手を滑らせたんですよ」
(嘘だ・・・絶対『ちびっ子』って言ったからだ・・・)
真闇「むぅ・・・春宮さん、めっ!偶然でも他の人に迷惑かけちゃダメ!」
貞春「申し訳ございませんお嬢様」(結構慌てた口調)
(・・・ガチ謝りだ・・・)
『カランカラ〜ン♪』
む・・・いらっしゃいませ、お嬢様。ようこそバロンへ。
客A「きゃ〜っ♪佐久間さん♪」
客B「久しぶりに来ましたぁ♪」
ありがとうございます。本日も私をご指名で?
客A・B「はぁい♪」
分かりました。では、あちらの席へ。
(別のお客が来てしまったが・・・大丈夫だろうか・・・?)
客A「・・・ねぇ。あの席」
客B「・・・なんか、『子供』多いね」
貞春「・・・ぴくっ」
客A「ませてるね〜」
客B「いっちょ前にナンバー2の八雲さんとか指名して・・・背伸びしすぎじゃね?」
茜「・・・あんのアマども・・・」
(あわわわわわわ・・・)
お、お嬢様?ご注文はいかがいたしましょう?
客A「あ、じゃあ、ホットケーキ♪」
客B「私、パフェで♪」
畏まりました。
・・・あ、申し訳ありません。すぐにコーヒーをお持ちしま・・・
貞春「・・・にっこり」
(・・・ なんで、すでにキッチンにいるんだ?なんで、すでにコーヒーを持っているんだ!?)
貞春「あぁっとまた『偶然』手が滑ったぁぁぁぁぁぁッ!」
『ビシュシュッ!』(客A・Bに向かってコーヒーカップ投擲!)
コーヒーを投げるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!
『パシパシィッ!』(沙織がコーヒーをキャッチ!)
貞春「・・・チッ」
客A「わっ!すご〜い♪」
客B「佐久間さん、カッコいい〜♪」
あ、ありがとうございます・・・
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『カランカラ〜ン♪』
(こういう日に限って人入り多いな・・・貞春は真闇さんが目を光らせてるから大人しくなったが・・・)
おかえりなさいませ、お嬢様。ようこそバロンへ。
客C「こんにちわ。天良さんをお願いします」
あ・・・申し訳ありません、お嬢様・・・天良は本日休んでおりまして・・・
客C「あら、そうなの?」
申し訳ありません。他に指名なされる執事はいらっしゃいますか?
客C「そうねぇ・・・あら?あの子、新人?」
あの子?
成竜「お嬢様、紅茶のお味はいかがですか?」
天河「・・・おいしい♪」
は、はい。新人の龍清です。
客C「ふぅん・・・決めたわ。龍清くんを指名するわ」
畏まりました。
(まぁ、成竜は常識あるから大丈夫か・・・)
龍清くん、あちらのお嬢様がご指名だ。メニューを取りに行ってくれ。
成竜「へ?あ、はい。わかりました」
天河「・・・む・・・」
(大丈夫だとは思うが、一応チラチラ見ておこう)
成竜「お嬢様、ご指名ありがとうございます」
客C「なかなかカッコいいわね。新人さん?」
成竜「え?あ、ありがとうございます」(にこっ)
(ふんふん・・・問題ないな)
天河「・・・・・・・・・」
『チャキッ』
成竜「それではお嬢様、ご注文をお願いしまぬぉはっ!?」
『ブスッ!』
!?
な、なんだ、今の奇声は!?
客C「・・・どうしたの?」
成竜「いえ、なにもありません・・・いっづ!?」
『ブスッ!』
・・・まさかっ!?
真闇「あーちゃん・・・あの、龍清さん可哀そう・・・」
天河「・・・じとー・・・」
(フォーク片手)
(天河ぁぁぁぁぁぁっ!!)
お嬢様!!嫉妬でフォーク投げ刺さないでください!!
天河「・・・えー・・・」
えー、じゃない!
成竜「し、失礼しました・・・」
客C「じゃあ、チョコレートケーキをお願いするわ」
成竜「か、かしこまりました・・・」
(痛みを堪えた笑顔)
天河「・・・ダーリン、ユルサナイ・・・」
『ヒュババッ!』
ちょ。
『ドススススッ!』
成竜「アーーーーーーーーーーーーッ!?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[バロン、閉店後]
従業員D「お疲れっしたー」
従業員E「したー」
お疲れ様。またな。
従業員D「今日は楽だったな。新人が頑張って」
従業員E「トラブルもあったけど、客も笑ってたし、良かったぜ」
『カランカラ〜ン♪』
・・・さて。春宮くんたちも、掃除終わったら帰っていいよ。
貞春「うぃーす」
真闇「よいしょ、よいしょ・・・」
(掃除を手伝ってる)
成竜「・・・あーちゃん、離れて。掃除しにくい・・・」
天河「やだ」
(成竜にひっつく)
成竜「さいですか・・・」
甲「みなさん、今日はお疲れ様でした」
茜「テメェら早くしろよ。甲くん帰れねぇじゃねぇか」
(掃除を手伝う)
貞春「うっせぇ」
ははは・・・もうそろそろいいよ。あとは私がやるから。
茜「え?マジ!?甲くん帰ろうぜ、な、な!」
甲「あぁ、ちょ、茜さん。服着替えないと・・・裏口で待っててよ。すぐ行くから」
茜「わかった!」
成竜「あーちゃん、着替えてくるから流石に離れて?ね?」
天河「・・・ダーリンの着替え、ハァハァ・・・」
成竜「覗くの禁止」
天河「・・・チェッ」
貞春「真闇、裏で待っててくれ。すぐ行く」
真闇「うん、わかった。早くしてね?」
貞春「おぅ」
(・・・やっと帰るか・・・しんどかった・・・)
甲「それじゃ、佐久間さん、お先に失礼します」
お疲れ様。
成竜「今日は失礼しました」
いやいや、助かったよ。ありがとう。
貞春「それじゃあな。あ、『この前の夏休み』はありがとよ」
あぁ・・・えっ!?
貞春「他の奴には黙っててやるよ」
・・・・・・頼む。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・・・まさかバレてたとはな・・・案外鋭い奴だ・・・
雛「あ、沙織ちゃん♪」
母さん・・・なんかご機嫌だな?
雛「うふふ〜♪これ見て♪」
ん?あ、お店の感想アンケートか。久しぶりに投函があったの?
どれどれ・・・ん?
『春宮さんと佐久間さんコンビのやりとりが楽しかった』・・・
『春宮さんの邪険な扱いっぷりがドM心くすぐりますw』・・・
『龍清さんがなんか母性本能的なものを呼びます。構ってあげたい!』・・・
『新人、龍清がいじりがいありそうで楽しい』・・・
雛「あのふたり、結構好印象残していってくれたみたいなのよぅ♪」
そ、そんなバカな・・・
雛「それでね?これから時々あのふたり、呼びたいとか思ったり・・・」
勘弁してくれ!
雛「ちぇ〜・・・」
12/01/15 12:11更新 / ganota_Mk2
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