予兆ー決意、のち、嫉妬ー
『やーい、やーい、へびおんなー』
『石ぶつけてやれー』
『ふぇぇぇぇん!』
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
『ひっく、ひっ、ぐすっ・・・』
『そこでないてるの、だぁれ?』
『ひっ!?』
『・・・きみ、ないてるの?あ、ケガしてるの?』
『ひ、いや・・・やっ!』
『いたっ、いたたっ!たたかないで。いたいよ。ね?ばんそーこー、はってあげるから』
『・・・いじめ、ないの?』
『なんで?』
『わたし、ほかのまちで、へびおんなーって、いじめられたの・・・』
『えー?かわいそう。かわいいのに』
『かわ、いい?』
『うん。はい、はれた』
『あ、ありがとう』
『ね、なまえおしえて?ともだちになろう?』
『え、えっ、と・・・』
『フォン〜、何処にいるの〜?森は危ないから、帰りましょう〜?』
『ひっ!?』
『あ、まって!ぼくはね、フォンってなまえなんだーっ!またあおうねーっ!』
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
チュンチュン、チチチ・・・
「・・・あの、夢?」
ぼーっと起き上がると、さっき見た夢を思い出す。
あれは、私が4才くらいのときだった。
ママの言いつけをやぶり、街に遊びに行ったんだ。
ところが、街にも魔物はいたんだけど、ほとんど人型、ホルスタウルスやゴブリンなどの魔物で、半人半魔型の魔物のアタシは気味悪がられ、石を投げられていじめられ、泣いて逃げた。
でも走った先は知らない森で、帰れなくなってまた泣いてたんだ。
そこに現れたのが、フォンだった。
フォンが怪我したところに絆創膏を貼ってくれた。
アタシが可愛いって言って笑ってくれた。
アタシの名前を聞いて友達になろうとしてくれた。
多分フォンのお母さんの声が聞こえたから、逃げ出しちゃったけど、とても嬉しかった。
きっと、その時から、フォンのことを好きになったんだろう。
でも、この思い出を、夢で見るのはキライ。
前見たのは、フォンのママが殺される日だったから。
夢を見た日、アタシはふらっと外に出た。そして、雨の中、幌馬車を見つけて、そこにフォンがいるのを見つけた。
お礼がしたかった。絆創膏のお礼と、友達になろうって、言いたかった。
野盗が出てきた時、怖くて、何もできなかった。
でも、フォンが斬りつけられた瞬間、アタシは怒りが怯えに勝った。
飛びだし、野盗どもをみんな石化させた。ついでに全員の足を締め付けて折った。
あとは、森に捨てた。アリーシャのママとアリーシャが喜んで連れて行ったのを覚えてる。
でも、フォンのママは死んでしまった。
だから、あの夢は・・・キライ。
何か、今日、あるのかな・・・?
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「フォンにぃ!明日の日曜、空いてない!?」
出勤直後、分解を始めようとした時だった。メリッサが急に叫んだ。
僕も驚いたし、多分音量的に、親方とかもびっくりしたんじゃないかな?
「え、えーと?明日の日曜?」
「そう!日曜!あ、し、た!」
「うん、もう少し声小さくても聞こえるよ、メリッサ」
なんかすごい必死だな?なんなんだろ?まぁ、予定もなんもないし、いいんだけど。
「うん、いいよ?」
「ほんと!?いい?明日は夕御飯も、私が作るから!いいよね!?」
「え、夕飯も?」
「うん!」
そりゃいいや。いつもシェリーに作ってもらってるから、明日は休んでもらおう。
・・・なんか、ひっかかるけど、いいか。
「うん、わかった。楽しみにしてるよ」
「うん!(よっし、明日、明日こそは!)」
・・・なんだろう。なんかモヤモヤするな・・・
まぁいいや。とりあえず、仕事を始めよう・・・
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ごちそうさまでした」
「はいはい。お皿、片付けるわね」
夕方。シェリーの作った夕飯を食べ、ゆっくりしていた。シェリーがお皿を洗う音がする。
・・・何故だろう、明日のことを切り出すことが、できない。
「あ、あの・・・」
「ね、ねぇ・・・」
う、なんかかぶっちゃった・・・
「あ、シェリー、僕、後でいいよ。」
「い、いいわよ?フォン、先に言いなさい」
「いや、シェリー、先に言って」
「そ、そう?なら・・・」
ゆずりあった後、シェリーが先にいうことに。
「フォン、今日、なんか、あった?」
「えっ、?」
なんかって・・・メリッサのこと・・・かな?
「ち、ちょこっとだけ、なんかあったかなって、感がしたから・・・ご、ごめんね?変なこと聞いて・・・」
「あ、いや、ちょうど言いたかったことがあるんだ」
「そ、そうなの?」
「うん、あの・・・ね・・・」
なんでだ。まただ。また、急に言いたくなくなってきた。
なんか、言ってしまったら、なにか、いけない気が・・・
「どうしたのよ?何があったの?」
「え、あ、えーと・・・」
僕は、ポツリポツリと、言い始めた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「実は、明日、夕食が、いらなくなったんだよ・・・ね」
え・・・?
「あ、あのね?友達の妹さんが、明日、ちょっと、用事に付き合って欲しいらしくて・・・」
「・・・ふぅん」
食器を洗う手が、止まる。
・・・違う。フォンのことだ。嘘をついてまで、アタシをさける理由なんて・・・
アタシのフォンが、他の女と、デートを・・・?
「それで、その用事のあと、夕食をごちそうしてくれる、らしくて・・・」
・・・違うって。深く考える必要性なんてない。だってフォンよ?フォンなのよ?そんな、女の子をひっかける甲斐性なんて・・・
アタシのフォンが、他の女がつくった料理を、たべる・・・?
「だから、いつもシェリーには、迷惑かけてるし、毎日夕食作るのも、たいへん、でしょ?」
違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違うっ!
ビシッ。
「イタ・・・」
「・・・シェリー?」
指を切った。力を入れて、皿が割れてしまった。でも、今はそんなこと、頭に入らない。
「・・・そうね。あしたはアタシも休もうかしら。いつもいつもフォンの世話で忙しいしねっ」
「・・・え、あ、シェリー?」
気づかぬうちに、声を荒げていた。嫉妬がにじみでる。
それがフォンを傷つける。それさえも、頭から抜けていた。
「あぁ、そういえば、今日もちょっと用事があるんだった。そろそろ帰るわ」
嘘だ。用事なんてない。フォンより優先する用事なんて、あるわけがない。でも、アタシはエプロンを外し、無造作に椅子に置く。
「ちょっ、シェリー?どうしたの?なに怒ってるのさ?」
「怒ってなんかないわよ!」
叫んだ。フォンがビクリと驚く。目は閉じているが、困ったように眉端をさげ、おろおろしている。
なにをやってるの、アタシ?
謝らなきゃ。
フォンは悪くない。
アタシがひとりで暴走してるだけ。
勝手に嫉妬してるだけ。
謝らなきゃ。いま、すぐにっ!
「しぇ、シェリー・・・?」
フォンが、手を伸ばして、よたよた歩いてくる。
「ごめんよ?なにか、へんなこと、言っちゃったんだよね?違うんだ、僕はただ、シェリーに・・・」
「あ、いや・・・」
あぁ、アタシはどうしてしまったんだ。
今、フォンは泣きかけてる。泣かせたのは誰だ?
アタシだ。アタシの勝手な嫉妬だ。
いくらなんでも、ひどい。
でも、なぜか謝罪がのどからでなくて・・・
このとき、アタシはうつむいていた。
それが、もっと、悪かった。
ぽん。
「ッ!!?」
手が置かれた。どこに?
アタシの頭だ。
髪の蛇たちがフォンを慰めようと、手に集約し・・・ッ!
パァンッ!
「いた!?」
「あっ・・・」
無意識に、はたいた。フォンの手がはじかれ、フォンが痛みに手をおさえる。
・・・やって、しまった・・・
「しぇ、しぇり」
フォンが言い終わるのが、待てなかった。
アタシはすぐさま回れ右をして、走って、玄関から飛びだした!
「シェリー!待って・・・」
聞こえない聞こえない聞こえないッ!
聞きたくない聞きたくない聞きたくないッ!
きっとフォンはまた謝ろうとする。ごめんねって言おうとする。
やめてやめてやめてッ!!
もう、今日のアタシは、ダメだから。
なにを言われても、おかしくなるから。
もう、今日は、独りに、して・・・
あぁ、夢の予兆、これだったのか・・・
『石ぶつけてやれー』
『ふぇぇぇぇん!』
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
『ひっく、ひっ、ぐすっ・・・』
『そこでないてるの、だぁれ?』
『ひっ!?』
『・・・きみ、ないてるの?あ、ケガしてるの?』
『ひ、いや・・・やっ!』
『いたっ、いたたっ!たたかないで。いたいよ。ね?ばんそーこー、はってあげるから』
『・・・いじめ、ないの?』
『なんで?』
『わたし、ほかのまちで、へびおんなーって、いじめられたの・・・』
『えー?かわいそう。かわいいのに』
『かわ、いい?』
『うん。はい、はれた』
『あ、ありがとう』
『ね、なまえおしえて?ともだちになろう?』
『え、えっ、と・・・』
『フォン〜、何処にいるの〜?森は危ないから、帰りましょう〜?』
『ひっ!?』
『あ、まって!ぼくはね、フォンってなまえなんだーっ!またあおうねーっ!』
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
チュンチュン、チチチ・・・
「・・・あの、夢?」
ぼーっと起き上がると、さっき見た夢を思い出す。
あれは、私が4才くらいのときだった。
ママの言いつけをやぶり、街に遊びに行ったんだ。
ところが、街にも魔物はいたんだけど、ほとんど人型、ホルスタウルスやゴブリンなどの魔物で、半人半魔型の魔物のアタシは気味悪がられ、石を投げられていじめられ、泣いて逃げた。
でも走った先は知らない森で、帰れなくなってまた泣いてたんだ。
そこに現れたのが、フォンだった。
フォンが怪我したところに絆創膏を貼ってくれた。
アタシが可愛いって言って笑ってくれた。
アタシの名前を聞いて友達になろうとしてくれた。
多分フォンのお母さんの声が聞こえたから、逃げ出しちゃったけど、とても嬉しかった。
きっと、その時から、フォンのことを好きになったんだろう。
でも、この思い出を、夢で見るのはキライ。
前見たのは、フォンのママが殺される日だったから。
夢を見た日、アタシはふらっと外に出た。そして、雨の中、幌馬車を見つけて、そこにフォンがいるのを見つけた。
お礼がしたかった。絆創膏のお礼と、友達になろうって、言いたかった。
野盗が出てきた時、怖くて、何もできなかった。
でも、フォンが斬りつけられた瞬間、アタシは怒りが怯えに勝った。
飛びだし、野盗どもをみんな石化させた。ついでに全員の足を締め付けて折った。
あとは、森に捨てた。アリーシャのママとアリーシャが喜んで連れて行ったのを覚えてる。
でも、フォンのママは死んでしまった。
だから、あの夢は・・・キライ。
何か、今日、あるのかな・・・?
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「フォンにぃ!明日の日曜、空いてない!?」
出勤直後、分解を始めようとした時だった。メリッサが急に叫んだ。
僕も驚いたし、多分音量的に、親方とかもびっくりしたんじゃないかな?
「え、えーと?明日の日曜?」
「そう!日曜!あ、し、た!」
「うん、もう少し声小さくても聞こえるよ、メリッサ」
なんかすごい必死だな?なんなんだろ?まぁ、予定もなんもないし、いいんだけど。
「うん、いいよ?」
「ほんと!?いい?明日は夕御飯も、私が作るから!いいよね!?」
「え、夕飯も?」
「うん!」
そりゃいいや。いつもシェリーに作ってもらってるから、明日は休んでもらおう。
・・・なんか、ひっかかるけど、いいか。
「うん、わかった。楽しみにしてるよ」
「うん!(よっし、明日、明日こそは!)」
・・・なんだろう。なんかモヤモヤするな・・・
まぁいいや。とりあえず、仕事を始めよう・・・
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ごちそうさまでした」
「はいはい。お皿、片付けるわね」
夕方。シェリーの作った夕飯を食べ、ゆっくりしていた。シェリーがお皿を洗う音がする。
・・・何故だろう、明日のことを切り出すことが、できない。
「あ、あの・・・」
「ね、ねぇ・・・」
う、なんかかぶっちゃった・・・
「あ、シェリー、僕、後でいいよ。」
「い、いいわよ?フォン、先に言いなさい」
「いや、シェリー、先に言って」
「そ、そう?なら・・・」
ゆずりあった後、シェリーが先にいうことに。
「フォン、今日、なんか、あった?」
「えっ、?」
なんかって・・・メリッサのこと・・・かな?
「ち、ちょこっとだけ、なんかあったかなって、感がしたから・・・ご、ごめんね?変なこと聞いて・・・」
「あ、いや、ちょうど言いたかったことがあるんだ」
「そ、そうなの?」
「うん、あの・・・ね・・・」
なんでだ。まただ。また、急に言いたくなくなってきた。
なんか、言ってしまったら、なにか、いけない気が・・・
「どうしたのよ?何があったの?」
「え、あ、えーと・・・」
僕は、ポツリポツリと、言い始めた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「実は、明日、夕食が、いらなくなったんだよ・・・ね」
え・・・?
「あ、あのね?友達の妹さんが、明日、ちょっと、用事に付き合って欲しいらしくて・・・」
「・・・ふぅん」
食器を洗う手が、止まる。
・・・違う。フォンのことだ。嘘をついてまで、アタシをさける理由なんて・・・
アタシのフォンが、他の女と、デートを・・・?
「それで、その用事のあと、夕食をごちそうしてくれる、らしくて・・・」
・・・違うって。深く考える必要性なんてない。だってフォンよ?フォンなのよ?そんな、女の子をひっかける甲斐性なんて・・・
アタシのフォンが、他の女がつくった料理を、たべる・・・?
「だから、いつもシェリーには、迷惑かけてるし、毎日夕食作るのも、たいへん、でしょ?」
違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違うっ!
ビシッ。
「イタ・・・」
「・・・シェリー?」
指を切った。力を入れて、皿が割れてしまった。でも、今はそんなこと、頭に入らない。
「・・・そうね。あしたはアタシも休もうかしら。いつもいつもフォンの世話で忙しいしねっ」
「・・・え、あ、シェリー?」
気づかぬうちに、声を荒げていた。嫉妬がにじみでる。
それがフォンを傷つける。それさえも、頭から抜けていた。
「あぁ、そういえば、今日もちょっと用事があるんだった。そろそろ帰るわ」
嘘だ。用事なんてない。フォンより優先する用事なんて、あるわけがない。でも、アタシはエプロンを外し、無造作に椅子に置く。
「ちょっ、シェリー?どうしたの?なに怒ってるのさ?」
「怒ってなんかないわよ!」
叫んだ。フォンがビクリと驚く。目は閉じているが、困ったように眉端をさげ、おろおろしている。
なにをやってるの、アタシ?
謝らなきゃ。
フォンは悪くない。
アタシがひとりで暴走してるだけ。
勝手に嫉妬してるだけ。
謝らなきゃ。いま、すぐにっ!
「しぇ、シェリー・・・?」
フォンが、手を伸ばして、よたよた歩いてくる。
「ごめんよ?なにか、へんなこと、言っちゃったんだよね?違うんだ、僕はただ、シェリーに・・・」
「あ、いや・・・」
あぁ、アタシはどうしてしまったんだ。
今、フォンは泣きかけてる。泣かせたのは誰だ?
アタシだ。アタシの勝手な嫉妬だ。
いくらなんでも、ひどい。
でも、なぜか謝罪がのどからでなくて・・・
このとき、アタシはうつむいていた。
それが、もっと、悪かった。
ぽん。
「ッ!!?」
手が置かれた。どこに?
アタシの頭だ。
髪の蛇たちがフォンを慰めようと、手に集約し・・・ッ!
パァンッ!
「いた!?」
「あっ・・・」
無意識に、はたいた。フォンの手がはじかれ、フォンが痛みに手をおさえる。
・・・やって、しまった・・・
「しぇ、しぇり」
フォンが言い終わるのが、待てなかった。
アタシはすぐさま回れ右をして、走って、玄関から飛びだした!
「シェリー!待って・・・」
聞こえない聞こえない聞こえないッ!
聞きたくない聞きたくない聞きたくないッ!
きっとフォンはまた謝ろうとする。ごめんねって言おうとする。
やめてやめてやめてッ!!
もう、今日のアタシは、ダメだから。
なにを言われても、おかしくなるから。
もう、今日は、独りに、して・・・
あぁ、夢の予兆、これだったのか・・・
11/04/14 08:02更新 / ganota_Mk2
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