連載小説
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貞春の浮気!!?
<真闇視点>

「じゃ、行ってくる」

いってらっしゃい・・・あの、早く、帰ってきてね?

「当たり前じゃねぇか。お前をできるだけ待たせないようにすっから」

うん♪

「帰りにケーキ買って帰ってくるからな」

え、ホント!?やったー♪

「ははは。じゃ、行ってくる」

いってらっしゃーい♪

・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・・・よし。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

・・・ささっ。

「ささっ」

・・・さささっ!

「さささっ!」

・・・じーっ・・・

「じーっ」

「なぁ、こんな尾行なんてやめないか?真闇ちゃん、あーたん」

イヤです!やります!

「ダーリン、協力して・・・」

「うーん・・・ありえないと思んだがなぁ・・・貞春の野郎が『浮気』なんて」

・・・でも、昨日・・・


〜〜〜回想、開始〜〜〜


貞春〜。お風呂あがった〜。

「・・・うん。あぁ、いいぜ」

・・・ん?

「じゃ、明日、11時に『ラメント』って喫茶店で。場所、知ってるよな?」

貞春ぅ〜?

「っ!!じ、じゃ、わりぃ。切るわ」

『ガチャ!』

「お、おぅ、真闇。お湯、どうだった?」

・・・じーっ・・・

「ど、どうした?」

今の電話、誰から?

「え?あ、あぁ、昔の不良仲間だよ」

明日、会うの?

「あぁ。野郎ふたりで会うから、ちょっと真闇は連れてけないな。わりぃ」

・・・ラメントって、すごいオシャレで有名な喫茶店だよね?

「えっ!?あ、いや、ま、待ち合わせだけだからな。派手じゃねぇか、あの店!」

・・・ふーん・・・

「あ。俺、風呂入るわ!」

あ・・・

・・・貞春・・・


〜〜〜回想終了〜〜〜


ってことがあったんだよ!?

「ラメントか・・・確か、有名なデートスポットだよなぁ・・・そこで野郎と待ち合わせねぇ・・・」

「・・・怪しい」

でしょ!?でしょ!!?

「でも真闇ちゃん。万が一、浮気だとしてだ。現場押さえて、どうすんだ?」

・・・え。

「・・・」
「・・・」

・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・どうしよう

「ノープランかよ!?」

だってだって!私だって、貞春が浮気してるなんて信じてないんだもん!現場なんて・・・そんな・・・うぅ・・・

「わっ!?ちょ、泣かないで!」

「・・・とりあえず、ラメントに行ってみようよ」

「よし、先回りしよう・・・真闇ちゃん!泣くなって!」


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ーーーーーーーーーー
[喫茶店、ラメント]
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「まーやん、なんにする?」

あ、私、レアチーズケーキとココアがいい。

「アタシ、抹茶アイスとホットコーヒー」

「ふたりとも?俺たちは貞春の浮気調査(仮)に来たんだよな?なぜ席について速攻メニューを開く?」

何も食べてなきゃ疑われるじゃないですか。

「・・・・・・(コクコク)」

「・・・頼むから安いの頼むぜ?」

「あ、ダーリン。アタシやっぱり抹茶アイスやめて、スーパーロイヤルチョコレートパフェ」

「あーたん!?」


『カランカラン♪』


「いらっしゃいませ。おひとりさまですか?」

「いや、ツレがいる。あそこに」

・・・ッ!

「貞春・・・やべっ!こっち来る!」

「・・・メニューで顔隠して」


『コツコツ・・・ピタッ』


「・・・オイ」

・・・っ!?

「(ば、バレた!?)」





「・・・レディを待たせるなんて、悪い人」





・・・っ!!?

〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜

「うるせぇ。タバコ買ってたら時間くったんだよ」

「あら?この店、全席禁煙よ」

「来てから知ったんだよ!」

〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜

(ま、まさか、俺らの隣の席に浮気相手がいたとは・・・てかマジで浮気かよ!?)

(ダーリン、相手見える?)

(いや、今顔を出すとばれそうな気が・・・)

・・・っ!

『バッ!』

(ちょ、真闇ちゃん!!)

〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜

「・・・・・・あら?」

〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜

ッ!!!!!!

『ぽすん』

〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜

「・・・どうした?」

「・・・いいえ。別に何もないわ」

〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜

(・・・ど、どうだった?真闇ちゃん?)

・・・られる。

(え?)

(まーやん?)

貞春、とられる・・・サングラスつけてても、美人すぎるよぅ・・・勝てないよぅ・・・

(ちょ!今は泣いちゃダメ!我慢!我慢だ真闇ちゃん!!)

(まーやん、アタシの胸に頭くっつけて?声は押し殺せるから)

うん・・・うん・・・うぅ・・・

〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜

「・・・そろそろ行く?」

「は?お前、俺座ったばっかでなんも頼んでないぞ」

「ここには待ち合わせしに来ただけでしょ?さっさと行きましょう」

〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜

(っ!顔、隠して!)


『コツ、コツ、コツ・・・』


「・・・よし、行った」

「まーやん、よしよし。よしよし」

うぅ・・・うぅーっ!

「しかし、マジであいつが浮気?今だ信じられねぇ・・・」

「・・・ホントに、昔の知り合いなのかも・・・」

・・・確かめなきゃ・・・

「え?」

「まーやん?」

確かめなきゃ・・・ホントに貞春が、あの人と浮気してるのか!!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

・・・・・・

「・・・・・・」

「・・・・・・」

〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜

「おい、腕絡めんなって。歩きにくいだろうが」

「あら?遅刻のペナルティを、これくらいのサービスでチャラにしてあげるのよ?感謝されこそ、邪険にされるのは心外だわ」

「・・・ったくよぉ・・・」

〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜

「・・・腕、恋人みたいに絡めてるな」

ぐさっ!

「・・・ダーリン」

「あ、いや!例えだ、例え!」

〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜

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[宝石店、ブラックレーベル]
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「ねぇ、こんなのどうかしら?」

「ん・・・似合ってんじゃねぇか?」

「あらそう?なら買おうかしら?」

「・・・訂正。似合ってねぇ」

「値段見てから言い直したわね?」

〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜

・・・私、あんな店に連れてってもらったことない・・・

「宝石店のウィンドウショッピングだから、まだセーフじゃねぇか?」

そ、そうだよn

「・・・あ、お店に入った」

!!?

「!!?」


・・・十数分後・・・

〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜

「奮発したわね♪」

「うるせぇ。これで今月分の遊ぶ金がパァだ」

「後悔してる?」

「するわけないだろ、バーカ」

〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜

「・・・な、なんか買いやがったみたいだぞ、オイ」

「・・・ダーリン、まーやんが・・・」


しくしくしくしくしくしくしくしく・・・


「ま、真闇ちゃん?か、帰るかい?」

貞春ぅ・・・貞春ぅ・・・

「・・・あーたん、真闇ちゃん連れてな帰ったげて」

「うん・・・まーやん、帰ろ?」

・・・イヤ・・・

「真闇ちゃん・・・」

「まーやん・・・」

・・・もうちょっと、貞春、信じてみる・・・きっと、きっと、なにかの、間違い、だからっ・・・!

「・・・うん、もうちょっとあいつをしんじて、尾行してみるか」

「・・・頑張って、まーやん」

・・・うん・・・

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<成竜視点>


・・・あんの野郎・・・結局夕方まであの女とベタベタしやがって・・・こりゃあ言い逃れできねぇぞぉ?

「・・・うっ、うぅっ・・・」(泣)

「・・・許さない・・・さだちん・・・コロシテヤル」

〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜

「あーぁ。疲れたわ。楽しかったし♪」

「へーへー、さよですか。じゃ、俺はケーキ買って帰る。あばよ」

〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜

よし、別れるな。すぐさま出て行って、顔面殴り飛ばしてやる・・・

〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜

「・・・待って」

「あ?」

〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜

・・・なんだ?

「・・・マダカ?」

「ひぐっ、ぐすっ・・・」

〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜

「・・・貞春。私たち、やりなおさない?」

〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜

っ!!

「ッ!」

「っ!」(真闇、耳を塞ぐ)

〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜

「こんなに大人しくないはずよ、貴方は。高校で、あれだけ暴れていた天下の『貞護』が、こんな口だけのクズになって!」

「・・・・・・」

「もう一度、もう一度シマを牛耳りましょうよ。私は、覚悟はできてるわ。貴方さえよければ、またふたりで・・・」



「黙れ、ヒメ。それ以上、口を開くな」



〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜

・・・ひめ?ひめ??

「・・・知ってるの?」

「・・・っ」(まだ耳を塞いでる)

〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜

「貞春・・・」

「俺がチームから抜けた時に、決めたことが、ふたつある。

ひとつは、二度とチームに戻るなんてしないこと。

もうひとつはだ・・・

ヒメ、テメェに未練を残さないことだ」

「・・・え?」

「ヒメ、今、言うぞ。耳かっぽじって聞け。
二度と俺の目の前に姿を見せるな。
俺は二度と、テメェを愛さない。」

〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜

・・・おいおい?なんか意外な方向になってきたぞ?

「まーやん、まーやん!耳を開けて?早く!」

「ひっ、ひっ・・・」(怯えながら、手を放す)

〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜

「・・・・・・」

「・・・テメェがあのクソどもにリンチされて、『片目潰した』お前を見て、俺はブチ切れた。独りで、全員シメあげた。あれほど暴れたことはなかった。

・・・でもな、ヒメ。お前は勘違いしてる。あれは、お前がやられたからキレたわけじゃない。お前が仲間だったからキレたわけじゃない。


・・・俺が理由で、お前があんな目にあったから、キレたんだ。


お前はあの時、俺に一番近い女だった。周りから見りゃ、そりゃ恋人に見えただろうよ・・・だからお前がやられた。俺があのヤンキーどもに自分から喧嘩売るように仕向けるために・・・

・・・だから、俺はチームを抜けた。俺のせいで、お前が傷ついたことへのケジメをつけたかったから・・・」

「・・・・・・」

「ヒメ。お前はもう一度、あの時の俺を見たいんじゃないか?

・・・自惚れならいいんだが、改めて言いたいんじゃないか?


・・・俺が好きだって・・・」

「・・・・・・」

「ヒメ。悪いことは言わねぇ。俺は、諦めろ。お前が昔の俺に固執してる時点で、俺はお前を愛さない」

〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜

・・・あいつ・・・

「・・・」

「・・・」

〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜

「・・・もうひとつ、お前を愛さない理由がある。

宝石店で言った、『真闇』だ。

あいつは・・・ドジで、チビで、甘えん坊で・・・まぁ、見たとこ、お前と比べりゃ見劣りはするかもな。

だが、あいつは純粋だ。俺の『芯』を愛してくれてるんだ・・・あいつは俺が元々不良で、人を病院送りにしたことがあることや、あいつに似合わねぇ怖いツラを持ってることを知っても、こう言ってくれたんだ。





『怖い貞春も、優しい貞春も、私にとっては、貞春だよ』ってな。






・・・お前らみたいに、俺の一面しか見ようとはしねぇんだよ」

「・・・・・・・・・ぷっ」

「アァ?」



「ぷはははははははははは!」



〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜

お!?な、なんか笑い出したぞ、あの女!?

「・・・怖い」

「・・・あーちゃんが言うの?」

〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜

「ぷははは!おっかしー!アタシが?貴方を?愛してる?ぷははは!」

「・・・ま、まさか・・・」

「あったりまえよ!自惚れ!う、ぬ、ぼ、れ!あはははは!恋して頭茹だったの!?」

「あ、ぐ、ぎ、ぎぎぎ・・・」

〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜

・・・貞春が顔真っ赤にして恥ずかしがってやがる・・・

「・・・・・・」

「まーやん。鼻血でてる」

〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜

「・・・ま、分かったわ。貴方は腑抜けになったってことで、貴方を私の組に引き込むのは諦めるわ」

「・・・なんだ、ヤクザ継いだのかよ」

「まぁね、この目を見せると、どこも雇ってくれないから」

「・・・・・・」

「なによ、黙っちゃって。言っとくけど、これだって貴方が責任感じる必要ないし。てかアタシに借りを作ろうとしないでよ。お金とか貸さないわよ?」

「馬鹿野郎。トイチの借金なんか誰がするか」
(トイチ・・・十日に一割の利子がつく、という意味)

「ふふっ・・・じゃあね、貞春・・・」

「・・・あばよ、ヒメ・・・」

〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜

・・・別れたな・・・

「・・・よかったね、まーやん」

「うん・・・うん!ぐすっ」

さ、泣いてる暇ないぜ?貞春にバレる前に退散するz



「逃げられると、思ってるのか?」



・・・・・・

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「何か、言うことは?」



『ごめんなさい』



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「・・・で、俺が浮気してると思って、尾行したんだな?」

「・・・ごめんなさい」

さ、貞春・・・あの、真闇ちゃんは不安だったんだから、許してやれよ。

「黙れ。これは俺と真闇の問題だ。口だしすると喉潰すぞ」

・・・ゴメンナサイ

「・・・真闇、言っとくぞ」

「は、はい・・・ふぁっ!?」

『ぎゅっ!』(←貞春が真闇を抱きしめた)



「俺が浮気する時は、お前が死んだあとだ。そのときも、絶対お前を忘れない。たとえ何があっても、生きてるうちは絶対、お前を離さない。約束なんてチャチなこと言わん。絶対だ」



「・・・ほんと?」

「マジだ」

「浮気しないと、死ぬとかなっても?」

「だったらお前を抱いて腹上死する」

「・・・貞春、ごめんなさい、ごめんなさい・・・っ!」

「いいんだ。わかってくれりゃいいんだよ。ほら、泣くなって」

「ふぇ、ふぇぇぇ・・・」



・・・一件落着か。

「・・・ダーリン」

ん?なに、あーたん?

「・・・浮気、許さないからね」

絶対ヤリマセン。命ヲ賭ケテ誓イマス。

「・・・うふふ♪」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

<ヒメ視点>


・・・ふぅ・・・

「お嬢、お疲れ様ッス」

あぁ、兵太。車、出してちょうだい。

「? 貞護の兄貴は、待たなくていいんですかい?」

フられたわ。見事にね。

「なっ!?」

ふぅ・・・流石に5年も経てば脈もなくなるか・・・

「姉御と兄貴が組めば、どんな組も怖いもんなしなんすがねぇ・・・」

・・・そうね・・・

「・・・姉御?」

早く車を出しなさい。

「あっ!すんません!」

あと。

「はい?」

あいつに手を出すように手配しちゃだめよ。やったら・・・全員、『沈める』から。

「・・・ちょっと携帯使うッス!」

・・・はぁ・・・



・・・さよなら・・・私の初恋・・・
11/09/21 19:46更新 / ganota_Mk2
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■作者メッセージ
・・・ところで貞春?

「ん?なんだ?」

・・・喫茶店でさ、『タバコ買った』って言ったよね?

「ギックゥッ!!?」

・・・さ、だ、は、るぅ?

「い、い、いや・・・か、買ってねぇ、よ?」

・・・あーたん。

「・・・シュッ!」

『ビッ!ボトッ!』

「くぁwせdrftgyふじこlp!?」

・・・マイルドナイン・・・これ、貞春好きだよねぇ・・・

「い、いや、真闇?あの・・・」

・・・没、収!

「ちょ!真闇!せめて!せめて一本だけ!一本だけ吸わせてくれ!」

ダーメ!絶対ダメ!

「真闇ぃぃぃぃぃ!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

次の日から、真闇はとても上機嫌だった。

毎日、毎日、『貞春とお揃いなピアス』を付けて、喜んでいた。

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