『団華狸』
ジパングのとある町、サド。
ここでは、有名な金貸しがいた。
彼女は、相当悪（ワル）の高利貸しで、債務者はその高利にずっと金を搾り取られ続けるのだと言う・・・
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ーサドのとある屋敷ー
「一月一割や。分かっとるやろな？」
大広間の上座に座り、煙管の煙を吐いた女性が、目の前で土下座する男を見下しながら言った。
「は、はい・・・なんとか都合します・・・」
「・・・ほうか。頑張りや」
すると女性はすぐ近くにあった箱から、ハダカの大判を10枚、ぽいと男に投げ捨てた。
『ゴン、ゴロロン・・・』
重い音をたてて転がるそれを、男が慌てて拾う。
「あ、ありがとうございます・・・」
「お礼言う前に、さっさと帰って商いに精だしや。利子は一月後に取りに行くで」
「は、はい・・・失礼しました・・・」
へこへこしながら男が出て行った。
「・・・ぷっ、はははは。アホやのぅ、真面目に働いて銭をせこせこ稼いで・・・ホンマ、ここの人間は搾りやすいなぁ！ぷはははは！」
男が出て行って、すぐに女が吹き出した。
この女こそ、悪名だかい高利貸し『金山 団華』（きんやま だんか）である。低めの身長、少々小柄な身体、ショートヘアの茶髪。美人の女というより、可愛い娘といえる部類の女であった。
ちなみに、彼女は人間ではなかった。いや、今は人間の身なりをしているし、町の人々はみな彼女を人間だと信じている。
「ぷはははは！（ピョコン♪）あ、あかんあかん・・・耳出てもうた・・・危ない危ない・・・」
笑った拍子に、ちょこんとした狸耳が現れた。
彼女は、刑部狸であった。
元々、商人の町「オーサカ」で様々なことをして荒稼ぎしていた団華は、ふとサドで金山が見つかり、金があるという噂話を耳にし、別の人間に化けてサドへ移り、オーサカで荒稼ぎした金で金貸しをしているのだ。
高利であるが、その貸す金額がいくら高くとも貸してくれるため、いろんな人々が借りていくのだ。
「うちの銭っ子が日に日に増えていくのぅ♪あぁ、笑いが止まらんわぁ♪ぷはははは！（ピョコン♪）あ、あかんあかん・・・」
手元の箱の中の大判小判を撫でて、吹き出すように笑い、その拍子にまた狸耳が現れる。
・・・微妙に悪く見えない、ワルである。
「ぷはは・・・あ、今日は『島五郎』の家に利子を取りに行く日やないか。よいしょっと」
立ち上がった団華は、大判を数枚、一枚の借用書を出してから箱を床下に隠して、てくてくと玄関に歩いて行った。
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「・・・ん〜、いつ来ても町はえぇなぁ♪」
団華は、債務者のひとり、『佐土 島五郎』（さど しまごろう）の家に利子を取りに行く道中、町を通っていた。もちろん、周りの人々はひそひそ話をしたり、目を背けたりと団華に関わらないようにしていた。
「・・・ん？なんかえぇ匂いがするやんか」
ふと団華が立ち止まり『宮古屋』という店に近寄っていった。店先では、店主が小さな鍋でなにかを揚げていた。
「こんちわ、宮古さん？」
「いらっしゃ・・・うっ！？金山さん！？り、利子はまだでしょう！？」
どうやら、宮古屋の店主も債務者のようで、揚げる作業をやめて団華を見、びっくりしていた。
「ちゃうがな。その揚げてるの、なんなん？」
「へ・・・て、天ぷらですけど・・・」
「天ぷらここで揚げてるんかいな？うまそうやなぁ・・・ひとつ頂戴な」
「え・・・だったら中に・・・」
「アカンアカン。貧乏人のアンタらと違うてウチは忙しいんや。ひとつくらいえぇやんか。銭かて払うでぇ？」
懐から大判を出してチラチラ見せつけながらニヤリと笑う団華に、宮古屋の店主は腹の中が煮えくりかえった。
（このやろぉ・・・俺たちから巻き上げた金だろうが・・・ん？待てよ・・・）
しかし、急に店主はにっこり笑い、揚げたての白身魚の天ぷらを一枚、皿に乗っけた。
「わかりました。この天ぷらを差し上げましょう。お代はいいですよ」
「え？ホンマ？」
「はい、いつも迷惑をかけてますので・・・おっと、お塩を忘れちゃあいけないな・・・はい、どうぞ」
団華は皿を受け取ると、添えられた塩を天ぷらにまぶして２、３口で天ぷらを食べてしまった。
「ん〜〜〜・・・うんまい！こりゃあ美味いなぁ！ごちそうさん！」
「はい、また暇な時は寄ってくださいね」
「そやな、そうさせてもらうわ〜♪」
団華は皿を返し、ご機嫌で宮古屋を後にする。その後ろ姿に、宮古屋の店主は意地の悪い笑顔を浮かべた。
「・・・くくく。馬鹿女め。これはただの塩じゃないんだよな・・・うちの女房のおっちょこちょいで、『薬』が混じっちまってんだよ・・・くくく・・・」
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「島五郎ー。おるかー？」
町から離れた山の麓の小屋。
団華がノックもなしに（ジパングでノックの習慣があるか怪しいが）扉を開け放った。
「・・・なんだ、金山じゃねぇか」
中にいた男は、一本の火縄銃を持って座っていた。
「ひっ！？そ、そんな物騒なモン持ちなや！」
「・・・猟師なんだからしょうがねぇだろうが。最近じゃあ弓矢は時代遅れだぜ？」
島五郎は、このサドの猟師だった。
少し前に、弓矢が壊れ、それのついでに火縄銃を買おうとしたのだが、どうしても１両足りなかった。そのため、島五郎は団華に１両を借りたのだ。
「うぅ・・・とりあえずそれ、しまってぇな・・・怖いねんて・・・」
「そうか」
扉に隠れてプルプル震える団華にくすりと笑いながら、島五郎は火縄銃をしまった。
「・・・ふぅ。でや、今日は利子を・・・」
「わかってる。ちょっと待て」
島五郎がのそりと熊のように立ち上がる。島五郎は長身でガタイが良く、団華が背伸びをしてもまだ頭ひとつ分かもう少し高いのだ。
団華の近くに来た島五郎は、胸元から二両取り出した。
「ほい。元金合わせてだ。持ってけ」
「へ？アンタ、こないな大金どうしたんや・・・はっ！？まさかその火縄銃で押し入り・・・」
「してねぇよ。ちょっと前に物好きが商売持ちかけて来てよ。ありったけの狸の皮くれてやったら３両もくれたんだ」
『びくっ！？』
狸の皮のフレーズで、団華が身体をびくりと震わせ、サッと顔を青くした。
「た、狸の・・・皮・・・？」
「おかげで借金返済ってわけよ・・・で、借用書、返してくれよ」
「ん・・・こ、これや」
団華が借用書を取り出し、さらに何処からか取りだした墨で『完済』とかいて借用書を渡した。
「うし、ありがとよ」
「ほ、ほなら、ウチはもう帰るわ・・・ほなな・・・」
「おう。さっさと帰れ」
その時。
『ぐきゅぅるるる・・・』
「うっ！？いたっ！いたたたた！」
団華がお腹を押えてうずくまってしまった。
「ん？おい、どうした？」
「いたた・・・見れば分かるやろ！腹が痛い、いた、いたたたたた・・・」
「なんか変なもんでも食べたのか？」
「アホ言うな！ウチは拾い食いなんかしなあたたたた・・・」
どうやら結構な痛みなようで、団華はうずくまったまま動けないようだった。
「そんなに痛いのか？」
「・・・女子が痛がってんのにそんなこと聞くんかいオドレは・・・」
「あぁ、悪りぃ。あんまり人を気遣うなんてしないもんでな」
「いたたた・・・えぇ性格しとるで・・・うぅ・・・しゃあない、アンタに貸しを作るのは嫌やけど、ひとつ頼まれてや・・・」
「・・・拒否したら？」
「新しい借用書作って無理やり貸し付けたる・・・いたたた」
「・・・やれやれ」
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「何度も言うけどな！えぇか！？落とすんやないぞ！落としたら100両の借用書作ったるからな！」
「はいはい」
結局、島五郎が団華を背負って家まで送ってやることになった。
島五郎の家自体が町から離れているため、結構な距離を島五郎は歩かねばならなかった。今、やっと町まで半分まで来たところだった。
「全く・・・とんだ厄日だ」
「いたたた・・・それはこっちの言うことやで・・・いたた・・・」
（くぅ・・・気を抜けん・・・ウチが狸と知ったら、こいつ・・・ウチを・・・）
悪いことは連なるもので。
『・・・きゅるっ』
「うっ！？」
その時、急に団華が島五郎に持たれていた足に力を込めて閉じようとした。
「ぬぉっ！？急に腹を締めつけるな！」
「お、おい！降ろせ！早く、降ろせ！」
「なに？急になんだ？」
島五郎が肩越しに団華を見ると、団華は顔を赤くしてボソボソと言った。
「・・・や・・・」
「なに？なんだって？」
「やから・・・っこ、やて・・・」
「もっとはっきり言えよ？聞こえないんだって」
すると、団華はさらに顔を真っ赤にして叫んだ。
「・・・っ、しっこじゃ言うとるんじゃボケ！さっさと降ろせこのジャリがっ！！！」
（注：しっこ＝おしっこ、ジャリ＝ガキ、です）
唐突な爆音みたいな叫びに、島五郎は耳がキーンとなり、一瞬全てが止まったかのようになった。
「・・・み、耳が・・・」
「早う降ろせっつっとんじゃ！早うせぃ！」
その時、家を出てからずっと不愉快そうにしていた島五郎が、ギャーギャー騒いで急かす団華に対し、眉をピクリと動かした。
「・・・やれよ」
「は？なんやて？」
「さっさとやれよ」
「分かっとるわい！だから早う降ろ・・・」
「持っててやるからさっさとやれよ」
「・・・へ？」
すると島五郎は道を逸れて少し草が伸びた場所に来ると、あろうことか、さっと団華の足抱え、Ｍ字開脚させる形で持ち直した。もちろん団華の背中は島五郎の胸に預ける形であり、団華がびっくりしてる内に股布をさっとずらしている。
「・・・なななな！？なにしとんじゃボケ！？は、早う降ろせっちゅうに！！！」
「お前みたいな美人のションベンなんて早々拝めるもんじゃないからな。これで貸しをチャラにしてやるよ」
「バカ言うとらんと降ろ・・・っ、せぇ・・・」
突然、団華の声の調子が落ちる。さらに自由になった手を股に当て、腰をわずかに揺らしはじめた。
「お？限界か？それ、さっさとやっちまえ。それが楽だぞ」
「うるっ、さ・・・こ、のぉ・・・」
叫び散らして我慢していた力が弛緩してしまったのか、ぎゅっと下唇を噛んで耐える団華。島五郎は、それを見てニヤリと笑い・・・
「・・・これならどうかな？」
『かぷっ♪』
「ひゃあぁぁぁっ！？」
島五郎が団華の耳を甘噛み、いつもの高慢な態度とは打って変わった可愛い叫びが上がる。
その瞬間、団華の緊張が一瞬で解けた。
『・・・ちょろっ、ちょろろろろろ・・・』
「やっ、やぁっ・・・見るんやないぃぃ・・・」
「おーおー・・・なかなか可愛く出すじゃねぇか」
ちょろちょろと無気力に出される黄金水がアーチを描き、草むらに散っていく。団華は、出てしまったその開放感に、力が抜けてしまった。
『ぴょこん♪』
「・・・ん？なんだ、こりゃ？」
「・・・ふぇ？」
島五郎は、目の前に突如現れた『狸の耳』に目を丸くした。
「狸の耳・・・金山、お前、狸だったのか！？」
「へっ！？あ、し、しまった・・・」
突如、団華の顔色がサーッと青くなってしまった。
「お、おねがい・・・こ、殺さないで・・・皮、はがないで・・・」
「・・・は？」
団華は、おそるおそる振り向いて島五郎に涙目で許しを請いた。
（・・・いや、こいつの皮剥いだって売れねぇし、俺だってしょっぴかれちまうからやらねぇけど・・・）
その時の、いつも高慢で人を見下している団華の泣きかけの顔は、妻も彼女も、女を買う金もなかった島五郎の嗜虐心をくすぐるのに十分すぎた。
「・・・そうだなぁ。お前の態度によっては、許してやってもいいな」
「な、なんでもする！お願い！堪忍や！」
「・・・なら・・・よっ、と」
ドサリと団華を草むらに四つん這いにさせ、島五郎はその上に覆いかぶさった。
「わきゃっ！？な、なにすんや！？」
「お前みたいな美人と、一発やりたかったんだよな」
「な、何を言うとんねん！」
「・・・ん？」
その時、団華の服の背中に尻尾があることに気づいた。
「ほう、さすがは化け狸。尻尾もあるよな」
「ちょ！？やめッ、それは触るなぁっ！」
『モフモフ、もふもふ♪』
島五郎が団華の尻尾を撫でると、団華の身がビクリと跳ねた。
「あひぃっ♪」
「ん？こんなんで気持ちいいのか？」
「そんっ、な、ことっ♪ないぃぃ・・・♪」
しかし団華は身体をビクビク震わせ、目も徐々にとろんとしてくる。必死に唇を噛んで耐えているが、それにも島五郎は悪どい笑顔を浮かべる。
「ほれほれ、これはどうだ？（かぷっ）」
「うひゃあぁっ♪尻尾触りながらッ、耳、噛むなぁっ♪」
団華が喘ぎ、徐々に股が尿とは違う液体で濡れ始める。
「見た目に合わねぇ可愛い声だしやがって・・・そろそろヤらせてもらうぞ」
島五郎が下の服を脱ぐと、彼の愚息が下着を破らんばかりに自己主張していた。
「あ、あぅ・・・大っきい・・・って！無理やて！そんなん入らんて！」
「何を言うか。いずれお前だってここから狸の子をひり出すんだ。これくらい入る」
「いや・・・いややて・・・堪忍やぁ・・・」
這ってでも逃げようとする団華。
それにいつもの猟と違った、しかしどこか似た興奮を持った島五郎は、高く突き上げられた尻肉をがっちりと掴み、愚息を一気に突っ込んだ。
『ぶちっ、つぷんっ♪』
「いぎっ！？あっ・・・♥」
「ぬぉ・・・初物か？えらい具合が・・・きついな・・・んん？」
猟師である島五郎も、昔ちょっと金があった時に一回だけ遊郭で女遊びをしたのだが、その時の記憶を頼りに今の団華の膣内の様子を感じ取る。
きゅっきゅっと、愚息から搾り取るような動きを膣がする。団華本人は舌を突き出してぷるぷる震えていた。
「・・・お前、もしかして、気をやったのか？初めてで？無理やりされて？」
島五郎の声に、団華がゆっくり振り向いた。
「・・・そ、そんにゃこと、なひぃぃ・・・♥あ、あんらのマラなんかれ、ウチが感じるわけぇ・・・♥」
見事に蕩けきった顔だった。目が垂れ、口はだらしなく開いてよだれを垂らす。口でいくら反論しようと、隠しようがなかった。
「・・・ほぅ？高利貸しの団華は、変態狸だったのか」
「そ、そんにゃわけ・・・」
「ならこうだ！」
『パッチィーーーン！』
「ひぎぃっ♥」
島五郎が団華の尻を威勢良く叩くと、肉付きのいい音とともに団華が叫び、膣内がきゅぅっと島五郎のモノを締めつけた。
「ほら、ほら！どうだ！尻をひっぱたけば、お前の膣内は嬉しそうに俺のを締めつけるじゃねぇか！」
『パチン！パチン！パチィン！』
「ひゃっ♥や、やめぇ♥んんんーっ♥」
さらに島五郎の腰の運動が加えられ、団華の膣内からビシャビシャと愛液が掻き出される。
「このっ！人様を舐めくさって！ほら！謝れ！『今まで人様を利用して申し訳ありません、私は変態メス狸です』と言え！」
尻肉が赤くなるくらいパチンパチンと叩かれた団華は、快楽の波動で頭の中がチカチカと明滅する中、島五郎の言葉に従順になっていた。
「んんぅっ♥ご、ごめんなひゃ・・・ひぃっ♥今まれ、人様を、あひぃっ♥利用しれ、金儲けしれ、ごめんなひゃぁっ♥も、申し訳ありまひぇん♥う、ウチは、尻を叩かれてへぇっ♥か、感じてしまう、淫乱変態メス狸れすぅぅぅっ♥」
「よし！よく言えた！ご褒美をくれてやる！」
島五郎の手が団華をしっかり固定し、腰の動きが余計激しいものになった。腰と尻が当たるたんび、さっきの張り手に劣らぬ音が響く。
「あぎひぃっ♥はっ、はげひっ♥あひぃぃっ♥」
「そらっ！受け取れ！俺の子種で孕みやがれっ！この化け狸がっ！」
「ひゃぁぁぁぁぁぁぁっ♥た、達してまうぅぅぅぅぅぅぅぅぅ♥」
『ドブっ！ドビュビュッ！ドボボボッ！』
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ♥♥♥」
「くぉあっ・・・で、出る・・・搾り取られる・・・」
長い間溜まりに溜まった白濁液がまるで蛇口から出る水ような勢いと量で出てきて、あっという間に結合部から漏れてきた。
「うっ・・・ふぅ・・・」
満足した島五郎が愚息を抜くと、まだ白濁液が溢れてくる。
「・・・あ、ふぅ♥」
団華は、幸せそうな顔をして、目を閉じた・・・
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「・・・これでいいか」
島五郎は、気絶した団華を運び、団華の家で床に寝かしていた。
「これに懲りて、すこしはあの守銭奴じみた商売をもうちょい優しくするこったな・・・さて、起きる前にさっさと逃げ・・・」
「逃がさへんで」
その時。島五郎の足を、団華の手が掴んだ。
「・・・げ」
「げ、やない。よくもウチの初めてを奪ってくれたなホンマ・・・高ぉつくで・・・アンタが一生かけても返せん額や・・・」
「お、お前、少しは反省を・・・」
「それとこれは話が別や。アンタには一生モンの借金を背負ってもらうで・・・」
「う、うぐ・・・」
流石に良心が止めたのか、島五郎は振りほどいて逃げるということはしなかった。
「さぁて、アンタに背負ってもらう借金は・・・コレやで」
『ぴらっ』
「・・・・・・・・・は？」
何処からか取りだした紙を見て、島五郎は目を丸くした。
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［数ヶ月後］
「よう、宮古さん」
「いらっしゃい。お、佐土さんじゃねぇか」
数ヶ月前、団華に毒（腹痛を伴う強力利尿剤）を盛った宮古屋に、島五郎が訪れた。
「白身魚の天ぷらってあるか？」
「ありゃ？中で食べないのかい？」
「ちょっと包んでくれ。家で食うから」
島五郎は、『二両』をポンと置いた。
「これで包めるだけ」
「・・・今から大量に揚げるよ。待っててくれ」
宮古屋の店主は、慌てて白身魚を揚げはじめた。
島五郎は店先に座り、ふと中の客二人の会話に耳を傾けた。
「・・・しっかし、一体なんなんだろうな？団華の野郎」
「あん？あれか？唐突に借用書みんな焼いて回って、雲隠れしちまったことか？」
「俺も五両ほど借りてたんだが・・・目の前で借用書燃やされて『もう返さんでえぇよ』って・・・あれは不気味だったぜ・・・」
「良心の呵責ってやつかね？」
「さぁなぁ・・・」
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白身魚の天ぷらを両脇に抱えて、島五郎は家に帰ってきた。
「ただいま」
「おかえり、アンタ♪」
そこには、囲炉裏の前で大きくなったお腹をさする、団華がいた。
「白身魚の天ぷら、買ってきたぞ」
「ホンマ！？ありがとう♪アンタ、大好きやで♪」
「・・・まだ先か？出産」
「まだまだやで。気が早いなぁ、アンタは♪」
二人は、にこやかに話し始める。
家の壁には、こんな紙がはっつけてあった。
『借用書』
『借用物：金山 団華』
『返済期限：なし』
12/02/13 13:27更新 / ganota_Mk2