魔物娘図鑑世界内肉食系男子告白集2
Case1:ハーピー
「そこのハーピーさん。申し訳ないけど、ひとつ配達物をお願いできるかしら?」
ハーピー運送業の終業時刻になり、やっと帰ろうとしたハーピーに事務員が声をかけ、ハーピーはげっそりとした顔をした。
「え〜・・・」
「そう言わないで。手違いで仕分けされてなかったのよ。ちゃんと残業ボーナス出すから。ね?」
「ぶぅ〜・・・」
ぶつくさ言いながらも、ハーピーは事務員から渡された封筒を手に取る。
「それを配達したら、報告は明日でいいわ」
「え?いいんですか?」
「えぇ・・・うふふ♥」
事務員の笑みに首を傾げながらも、ハーピーはさっさと空に飛び出して行った。
「え〜と、住所は、っと・・・こっちか」
ハーピーは早く帰りたいがゆえに高速で空を飛び、あっという間に封筒に記載された住所にたどり着く。玄関のベルを鳴らすと、素早く男が出てきた。
「・・・やっと来た」
「ごめんなさい。こちらの手違いで遅くなってしまいまして・・・」
ハーピーから封筒を受け取った男は、差し出し人などの確認もせずに、封筒を開け始めた。
「え!?あ、あの、差し出し人の確認と、サインを・・・」
「要らないよ。これを出したのは僕だから」
「・・・へ?」
キョトンとするハーピーに、男は封筒の中身をハーピーに差し出した。
「君に渡すつもりで宅配を頼んだんだよ。配達物は、右手のこれ。受け取ってくれるなら、ここにサインもらえる?」
男の右手には、綺麗な指輪。
サインを求めた場所は、婚姻届の氏名欄だった。
『後日のハーピーのコメント:
え?あの時のプロポーズについて!?いや、あの、唐突すぎてびっくりしたけど・・・その・・・あの後、あの人の家で『残業』して・・・えへ、えへへへへへへ♥』
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Case2:マンティス
パチリとマンティスは目を覚ます。
すると、自分がいつも寝ている地面に乾燥した草を敷いただけの寝床ではなかった。
ふかふかした真っ白なシーツと適度な反発力のあるベッドであった。
マンティスは半身を起こし、記憶を辿る。そして、自分が狩りの途中に背後から何者かに襲われ、ワーシープか何かの毛により眠らされたことを思い出す。
部屋を見回すと、そこは普通の部屋であり今までマンティスが寝起きしたことのない環境だった。
ふと、音を立てて扉が開く。
そこから、目の部分に穴が空いたずた袋を被りエプロンをつけた大柄な男が入ってきた。
マンティスは、それが自分を背後から襲った何者かであることに気づき、警戒する。
そして、男はマンティスに近づき、左手をマンティスに向けて突き出した。
「・・・牛、豚、鳥・・・選べや」
3本立てられた指に、マンティスがキョトンとする。男が言ったことの意味がわからなかったのだ。
「今日のお昼ご飯を牛のステーキか豚のカツレツか鳥の丸焼きか選べやァァァァァァッ!!!」
男が袋からくぐもった声で叫び、マンティスがビクッと身を震わせてビビる。そして小さな声で「・・・豚」とマンティスが言うと、男はすぐさまスタスタと扉から出てゆき、すぐにもう匂いから揚げたてであろうと思われる山盛りの豚カツの乗った皿を持ってきた。
そして素早い動作でベッドに座るマンティスの前に机を起き、マンティスの首によだれかけをつけ、豚カツ、ライスの乗った皿と冷えた水の入ったコップを置いた。
マンティスはしばらくポカンとしてしまい、目の前の料理と男を交互に見た後、恐る恐る豚カツを口に運んだ。
やはり揚げたてだったのか、サクサクな衣にジューシーな肉がマンティスの口の中に入る。マンティスは次第に目をキラキラさせながらむしゃむしゃ食べ始めた。
「・・・美味いか」
男が言うと、マンティスはこくこくと頭を縦に振った。
「・・・オメェみたいな綺麗な女が生きるためとは言え狩りなんて危ねぇことするべきじゃねぇ。これから朝昼晩、全部メシ用意してやっから、オラと一緒に暮らしてけんろって言わせんなや恥ずかしいやろがァァァァァァッ!!!」
『後日のマンティスのコメント:
・・・あの人、すごい恥ずかしがり屋・・・最近、あの人の、ずた袋剥ぐのが・・・私の『狩り』・・・♥』
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Case3:ダークマター
『闇の太陽』、ダークマター。
彼女は本日も、魔界の真ん中でフラフラしながら男を探していた。
その時、地平線で砂煙が上がっているのがダークマターの目に映った。
「・・・?」
ダークマターが見ていると、その砂煙はドンドン大きくなっていくのだ。そしてさらに、野太い叫び声まで追加されてきた。
「ふぉぉぉぉぉぉ!!!見つけたよマァイスウィーツハァァァァァァニィィィィィィッ!!!」
なんと砂煙の正体は、褌一丁の筋肉ムキムキマッチョマンが、纏わりつく他の魔界の魔物を吹き飛ばしながら全力疾走していたのであった。
マッチョマンはダークマターの前でブレーキをかけると、ダークマターの上部の女の子の手を取って膝まづいた。
「苦節十数年・・・他の魔物に襲われぬようレベルを上げまくり、さらに各地の魔界を探し回り、ようやく見つけたよマイハニー。さぁ、この私といざめくるめくラブラブランデブーを!」
ダークマターは結構気圧されて目をパチクリさせていたが、目の前にいる男が自ら犯されたがっているのを理解すると、蕩けた笑顔で黒球から触手を男に伸ばし・・・
男に接触した瞬間、引っ込めた
「な!?どうしたんだいマイハニー!?」
ダークマターの女の子部分は、何故かオロオロし始める。しばらく考えた男は、ハッと気づいた。
「しぃぃぃぃぃぃまったぁぁぁぁぁぁっ!!魔界を探し回りすぎたせいで魔力が十二分すぎ、かつ私の紳士的かつ一途なマイハニーへの愛情が邪魔して、ダークマターの黒い魔力が私の身体に入れないのか!!?なんたる失態!!なんたる不覚!!生まれてこのかたずっと想ってきたことがこんな弊害をぉぉぉぉぉぉっ!!!
とにかく何はともあれセックスだ!!!」
『後日の近隣の魔物のコメント:
最近、すぐそこの魔界が急速に成長してるのよね・・・まぁ、私たちとしては嬉しいんだけど・・・そう言えば最近、本体の乗ってないダークマターの魔力球が漂ってるのをよく見るわ。本体はどうしたのかしら?』
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Case4:リッチ
とある貴族の城の地下牢。元々は大昔の所有者の下衆な趣味のために作られたものである。
その牢の一つの前に、使用人に貴族が連れられてきた。
「旦那様、これが例のリッチです」
「ほう」
牢の中には足枷をはめられ、胸に経箱を抱えて貴族を睨むリッチがうずくまっていた。
「よし、お前は下がれ」
「旦那様、このリッチは大層不機嫌でございます。お一人は大変危険でございますが」
「私は同じことを二度言うのと、学習しない愚者が嫌いだ。下がれ」
「ははっ」
使用人は一礼してからゆっくり来た道を戻っていった。貴族は牢を開け、ゆっくりリッチに近づく。
「君が、リッチかね」
「・・・」
「だんまりか。まぁ仕方ない。君の目の前にいる私は、君を部下に命じて無理やり地下墓地から連れてきた張本人だ。怒るのも仕方ない。だが、こうしなければ君は来なかったろう」
貴族は布を取り出し、リッチの目隠しをしてから、リッチの足かせを外して手を取った。もちろん経箱はリッチが落として傷つけないように持っている。
「来たまえ」
リッチは目隠しをされたまま貴族に引っ張られてゆく。牢から出てキリキリとうるさく音のなる鎖式のエレベーターらしきものに乗り、素足で感じる柔らかい感触に、絨毯が敷かれている廊下を歩かされているのかとリッチは考えていた。貴族は『知識の探求は〜』『最近の魔術師たちは〜』『それに比べ〜』など延々となにか語っていたが、頬を膨らまして不機嫌100%なリッチの耳には一切内容が入ってこなかった。
やがて、ギィィ〜と重い扉が開いた音がし、リッチの足裏に柔らかな絨毯らしき感触が消え失せ、ペタペタと石を踏んだような感触が現れた。
自分は拷問部屋にでも連れて来られたのかと、リッチは思った。
「・・・さて、これまで話した内容で、私が君に持っている気持ちを理解していただけたろうが、私は『指輪』なんてありきたりすぎるものをプレゼントする気はない。君にはこれをプレゼントしよう!」
そして、勢い良くリッチの目隠しが外された。リッチは突然明るくなった視界に目を細めたが、慣れた目に映ったものに目を丸くした。
見渡す限りの、本、本、本。
天井に届かんばかりの本棚にぎっしりと詰められた魔術書。古今東西、ありとあらゆる言語の、魔術師垂涎の品がそこに眠っていた。
「君には世界一の研究資料を授けよう!必要ならば実験体の男だっていくらでも奴隷を買ってやろう!アンデッドを呼んできてこの城を不死者で埋め尽くすのも構わん!
ただひとつ、この私に永遠の愛を誓い、君の経箱の中の魂を、私の愛の前にさらけ出すことを約束しておくれ!!!」
『後日の使用人のコメント:
奥様は毎日、旦那様に至上の快楽を与える研究に没頭しておられます。私と旦那様だけだったこの城も賑やかになりました・・・まさか齢80のこの身で、私にも美人な妻ができたことへの感謝の言葉を、私のコメントの締めくくりとさせていただきます。魔王様、ありがとうございます』
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Case5:メドゥーサ
「あら、珍しいわね。こんな洞窟の奥にお客なんて」
洞窟のダンジョン最奥、宝箱の前に来た冒険者の前に、メドゥーサが立ちはだかった。
「やっと見つけたぜ」
「あぁ、この宝箱?アンタも物好きねぇ。こんな洞窟まで足を運んでまで宝を探すなんt」
「好きです付き合ってくださいお願いします!!」
「・・・は?」
いきなりの冒険者の土下座に、メドゥーサは髪の蛇共々、目を点にした。
「・・・アタシ?アタシと?付き合いたい?」
「結婚を前提にお願いします」
「・・・本気?」
「本気と書いてマジと読む」
「・・・ばっ、バカじゃないの!?アンタみたいな冴えない男に告白されたって、うんって言うわけないでしょう!!」
メドゥーサはぷいっと顔を背けてしまう。しかし、髪の蛇たちが慌てているのを見ると結構揺れているようだ。冒険者はそれを見ると自分で納得したかのように頷き、鞄から金の針を取り出した。
「メドゥーサさん、メドゥーサさん」
「な、なによ・・・」
「ここに金の針があります」
「あぁ、私の硬化魔法解くやつ?」
「これを・・・そぉい!!!」
大きく振りかぶり、掛け声をかけ、冒険者は足にそれをぶっさした。
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!?Σ(゚д゚lll)」
「さらにそぉい!!!そいっ、そぉい!!!」
ブスリブスリと、冒険者は両足と両腕に金の針をぶっさした。
「なっ!?なななななな!?」
「この金の針は特別製ッ!先に刺しておけば、君の硬化魔法は最初から効かない!!!」
「いやボッタボタ血ぃ出てるけど!?」
「このまま君をぉぉぉぉぉぉっ!!!」
冒険者はズンズンとメドゥーサに近寄り始める。メドゥーサはビックリして後退するが、すぐ宝箱に引っかかり後退できなくなる。それを冒険者が追い詰め、冒険者は血まみれになった両手でメドゥーサの顔をガッチリホールドし、ぐぃぃぃっと顔を近づけて鼻頭が当たるくらいの距離まで詰め、目をまっすぐ見つめあった。
「わっ、わっ、ち、近い!近いわよ!!」
「メドゥーサは目を合わせると相手を硬化させてしまう。つまり見知らぬ相手と、これだけ近くで、長い時間、見つめ合うことないはず!」
「だっ、だからなによ!!!」
「君がっ!僕を!夫と!認めるまで!君の目を!見つめ続けることを!やめない!!!」
・・・結果、近すぎて頭がフリーズしてしまったメドゥーサがあわあわしてる間に、男が貧血になってフラリとメドゥーサに倒れこみ・・・
『後日の冒険者のコメント:
ファーストキッスは血の味がした、とだけ言っておこう』
「そこのハーピーさん。申し訳ないけど、ひとつ配達物をお願いできるかしら?」
ハーピー運送業の終業時刻になり、やっと帰ろうとしたハーピーに事務員が声をかけ、ハーピーはげっそりとした顔をした。
「え〜・・・」
「そう言わないで。手違いで仕分けされてなかったのよ。ちゃんと残業ボーナス出すから。ね?」
「ぶぅ〜・・・」
ぶつくさ言いながらも、ハーピーは事務員から渡された封筒を手に取る。
「それを配達したら、報告は明日でいいわ」
「え?いいんですか?」
「えぇ・・・うふふ♥」
事務員の笑みに首を傾げながらも、ハーピーはさっさと空に飛び出して行った。
「え〜と、住所は、っと・・・こっちか」
ハーピーは早く帰りたいがゆえに高速で空を飛び、あっという間に封筒に記載された住所にたどり着く。玄関のベルを鳴らすと、素早く男が出てきた。
「・・・やっと来た」
「ごめんなさい。こちらの手違いで遅くなってしまいまして・・・」
ハーピーから封筒を受け取った男は、差し出し人などの確認もせずに、封筒を開け始めた。
「え!?あ、あの、差し出し人の確認と、サインを・・・」
「要らないよ。これを出したのは僕だから」
「・・・へ?」
キョトンとするハーピーに、男は封筒の中身をハーピーに差し出した。
「君に渡すつもりで宅配を頼んだんだよ。配達物は、右手のこれ。受け取ってくれるなら、ここにサインもらえる?」
男の右手には、綺麗な指輪。
サインを求めた場所は、婚姻届の氏名欄だった。
『後日のハーピーのコメント:
え?あの時のプロポーズについて!?いや、あの、唐突すぎてびっくりしたけど・・・その・・・あの後、あの人の家で『残業』して・・・えへ、えへへへへへへ♥』
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Case2:マンティス
パチリとマンティスは目を覚ます。
すると、自分がいつも寝ている地面に乾燥した草を敷いただけの寝床ではなかった。
ふかふかした真っ白なシーツと適度な反発力のあるベッドであった。
マンティスは半身を起こし、記憶を辿る。そして、自分が狩りの途中に背後から何者かに襲われ、ワーシープか何かの毛により眠らされたことを思い出す。
部屋を見回すと、そこは普通の部屋であり今までマンティスが寝起きしたことのない環境だった。
ふと、音を立てて扉が開く。
そこから、目の部分に穴が空いたずた袋を被りエプロンをつけた大柄な男が入ってきた。
マンティスは、それが自分を背後から襲った何者かであることに気づき、警戒する。
そして、男はマンティスに近づき、左手をマンティスに向けて突き出した。
「・・・牛、豚、鳥・・・選べや」
3本立てられた指に、マンティスがキョトンとする。男が言ったことの意味がわからなかったのだ。
「今日のお昼ご飯を牛のステーキか豚のカツレツか鳥の丸焼きか選べやァァァァァァッ!!!」
男が袋からくぐもった声で叫び、マンティスがビクッと身を震わせてビビる。そして小さな声で「・・・豚」とマンティスが言うと、男はすぐさまスタスタと扉から出てゆき、すぐにもう匂いから揚げたてであろうと思われる山盛りの豚カツの乗った皿を持ってきた。
そして素早い動作でベッドに座るマンティスの前に机を起き、マンティスの首によだれかけをつけ、豚カツ、ライスの乗った皿と冷えた水の入ったコップを置いた。
マンティスはしばらくポカンとしてしまい、目の前の料理と男を交互に見た後、恐る恐る豚カツを口に運んだ。
やはり揚げたてだったのか、サクサクな衣にジューシーな肉がマンティスの口の中に入る。マンティスは次第に目をキラキラさせながらむしゃむしゃ食べ始めた。
「・・・美味いか」
男が言うと、マンティスはこくこくと頭を縦に振った。
「・・・オメェみたいな綺麗な女が生きるためとは言え狩りなんて危ねぇことするべきじゃねぇ。これから朝昼晩、全部メシ用意してやっから、オラと一緒に暮らしてけんろって言わせんなや恥ずかしいやろがァァァァァァッ!!!」
『後日のマンティスのコメント:
・・・あの人、すごい恥ずかしがり屋・・・最近、あの人の、ずた袋剥ぐのが・・・私の『狩り』・・・♥』
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Case3:ダークマター
『闇の太陽』、ダークマター。
彼女は本日も、魔界の真ん中でフラフラしながら男を探していた。
その時、地平線で砂煙が上がっているのがダークマターの目に映った。
「・・・?」
ダークマターが見ていると、その砂煙はドンドン大きくなっていくのだ。そしてさらに、野太い叫び声まで追加されてきた。
「ふぉぉぉぉぉぉ!!!見つけたよマァイスウィーツハァァァァァァニィィィィィィッ!!!」
なんと砂煙の正体は、褌一丁の筋肉ムキムキマッチョマンが、纏わりつく他の魔界の魔物を吹き飛ばしながら全力疾走していたのであった。
マッチョマンはダークマターの前でブレーキをかけると、ダークマターの上部の女の子の手を取って膝まづいた。
「苦節十数年・・・他の魔物に襲われぬようレベルを上げまくり、さらに各地の魔界を探し回り、ようやく見つけたよマイハニー。さぁ、この私といざめくるめくラブラブランデブーを!」
ダークマターは結構気圧されて目をパチクリさせていたが、目の前にいる男が自ら犯されたがっているのを理解すると、蕩けた笑顔で黒球から触手を男に伸ばし・・・
男に接触した瞬間、引っ込めた
「な!?どうしたんだいマイハニー!?」
ダークマターの女の子部分は、何故かオロオロし始める。しばらく考えた男は、ハッと気づいた。
「しぃぃぃぃぃぃまったぁぁぁぁぁぁっ!!魔界を探し回りすぎたせいで魔力が十二分すぎ、かつ私の紳士的かつ一途なマイハニーへの愛情が邪魔して、ダークマターの黒い魔力が私の身体に入れないのか!!?なんたる失態!!なんたる不覚!!生まれてこのかたずっと想ってきたことがこんな弊害をぉぉぉぉぉぉっ!!!
とにかく何はともあれセックスだ!!!」
『後日の近隣の魔物のコメント:
最近、すぐそこの魔界が急速に成長してるのよね・・・まぁ、私たちとしては嬉しいんだけど・・・そう言えば最近、本体の乗ってないダークマターの魔力球が漂ってるのをよく見るわ。本体はどうしたのかしら?』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
Case4:リッチ
とある貴族の城の地下牢。元々は大昔の所有者の下衆な趣味のために作られたものである。
その牢の一つの前に、使用人に貴族が連れられてきた。
「旦那様、これが例のリッチです」
「ほう」
牢の中には足枷をはめられ、胸に経箱を抱えて貴族を睨むリッチがうずくまっていた。
「よし、お前は下がれ」
「旦那様、このリッチは大層不機嫌でございます。お一人は大変危険でございますが」
「私は同じことを二度言うのと、学習しない愚者が嫌いだ。下がれ」
「ははっ」
使用人は一礼してからゆっくり来た道を戻っていった。貴族は牢を開け、ゆっくりリッチに近づく。
「君が、リッチかね」
「・・・」
「だんまりか。まぁ仕方ない。君の目の前にいる私は、君を部下に命じて無理やり地下墓地から連れてきた張本人だ。怒るのも仕方ない。だが、こうしなければ君は来なかったろう」
貴族は布を取り出し、リッチの目隠しをしてから、リッチの足かせを外して手を取った。もちろん経箱はリッチが落として傷つけないように持っている。
「来たまえ」
リッチは目隠しをされたまま貴族に引っ張られてゆく。牢から出てキリキリとうるさく音のなる鎖式のエレベーターらしきものに乗り、素足で感じる柔らかい感触に、絨毯が敷かれている廊下を歩かされているのかとリッチは考えていた。貴族は『知識の探求は〜』『最近の魔術師たちは〜』『それに比べ〜』など延々となにか語っていたが、頬を膨らまして不機嫌100%なリッチの耳には一切内容が入ってこなかった。
やがて、ギィィ〜と重い扉が開いた音がし、リッチの足裏に柔らかな絨毯らしき感触が消え失せ、ペタペタと石を踏んだような感触が現れた。
自分は拷問部屋にでも連れて来られたのかと、リッチは思った。
「・・・さて、これまで話した内容で、私が君に持っている気持ちを理解していただけたろうが、私は『指輪』なんてありきたりすぎるものをプレゼントする気はない。君にはこれをプレゼントしよう!」
そして、勢い良くリッチの目隠しが外された。リッチは突然明るくなった視界に目を細めたが、慣れた目に映ったものに目を丸くした。
見渡す限りの、本、本、本。
天井に届かんばかりの本棚にぎっしりと詰められた魔術書。古今東西、ありとあらゆる言語の、魔術師垂涎の品がそこに眠っていた。
「君には世界一の研究資料を授けよう!必要ならば実験体の男だっていくらでも奴隷を買ってやろう!アンデッドを呼んできてこの城を不死者で埋め尽くすのも構わん!
ただひとつ、この私に永遠の愛を誓い、君の経箱の中の魂を、私の愛の前にさらけ出すことを約束しておくれ!!!」
『後日の使用人のコメント:
奥様は毎日、旦那様に至上の快楽を与える研究に没頭しておられます。私と旦那様だけだったこの城も賑やかになりました・・・まさか齢80のこの身で、私にも美人な妻ができたことへの感謝の言葉を、私のコメントの締めくくりとさせていただきます。魔王様、ありがとうございます』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
Case5:メドゥーサ
「あら、珍しいわね。こんな洞窟の奥にお客なんて」
洞窟のダンジョン最奥、宝箱の前に来た冒険者の前に、メドゥーサが立ちはだかった。
「やっと見つけたぜ」
「あぁ、この宝箱?アンタも物好きねぇ。こんな洞窟まで足を運んでまで宝を探すなんt」
「好きです付き合ってくださいお願いします!!」
「・・・は?」
いきなりの冒険者の土下座に、メドゥーサは髪の蛇共々、目を点にした。
「・・・アタシ?アタシと?付き合いたい?」
「結婚を前提にお願いします」
「・・・本気?」
「本気と書いてマジと読む」
「・・・ばっ、バカじゃないの!?アンタみたいな冴えない男に告白されたって、うんって言うわけないでしょう!!」
メドゥーサはぷいっと顔を背けてしまう。しかし、髪の蛇たちが慌てているのを見ると結構揺れているようだ。冒険者はそれを見ると自分で納得したかのように頷き、鞄から金の針を取り出した。
「メドゥーサさん、メドゥーサさん」
「な、なによ・・・」
「ここに金の針があります」
「あぁ、私の硬化魔法解くやつ?」
「これを・・・そぉい!!!」
大きく振りかぶり、掛け声をかけ、冒険者は足にそれをぶっさした。
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!?Σ(゚д゚lll)」
「さらにそぉい!!!そいっ、そぉい!!!」
ブスリブスリと、冒険者は両足と両腕に金の針をぶっさした。
「なっ!?なななななな!?」
「この金の針は特別製ッ!先に刺しておけば、君の硬化魔法は最初から効かない!!!」
「いやボッタボタ血ぃ出てるけど!?」
「このまま君をぉぉぉぉぉぉっ!!!」
冒険者はズンズンとメドゥーサに近寄り始める。メドゥーサはビックリして後退するが、すぐ宝箱に引っかかり後退できなくなる。それを冒険者が追い詰め、冒険者は血まみれになった両手でメドゥーサの顔をガッチリホールドし、ぐぃぃぃっと顔を近づけて鼻頭が当たるくらいの距離まで詰め、目をまっすぐ見つめあった。
「わっ、わっ、ち、近い!近いわよ!!」
「メドゥーサは目を合わせると相手を硬化させてしまう。つまり見知らぬ相手と、これだけ近くで、長い時間、見つめ合うことないはず!」
「だっ、だからなによ!!!」
「君がっ!僕を!夫と!認めるまで!君の目を!見つめ続けることを!やめない!!!」
・・・結果、近すぎて頭がフリーズしてしまったメドゥーサがあわあわしてる間に、男が貧血になってフラリとメドゥーサに倒れこみ・・・
『後日の冒険者のコメント:
ファーストキッスは血の味がした、とだけ言っておこう』
13/10/18 19:32更新 / ganota_Mk2