連載小説
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眩しい蜃気楼
 謎のエネルギーに向かうドラグーン隊。レーダーによる電子解析と電子双眼鏡で確認しようと試みる。

「全く見えないんだけど・・・」
「・・・愚痴るな」

 視界確認のため双眼鏡で前方が見えるフロントガラスの外を眺めるラキとブレード。

「これが・・・自艦だよね?」
「みたいだね・・・でこっちが目標?」

 双子はテーブルの上に光学表示で3Dのマップを映し出す。

「レックス。目標までどのくらいよ?」
「約6キロです」
「エネルギーは?」
「全然動いてないね。やっぱり生きているのとちょっと違うような感じがする・・・」

 ドクターエスタとレックスは端末による解析中。その様子を窺うイーグル。

「まもなく5キロに達します」
「イーグル!自分たちの目の役割って意味あるのか?」
「・・・黙って見ろ」
「ああ、もう飽きてきちゃった・・・」
「ロードの繰り返しより暇過ぎる・・・」
「お前らどんだけTVゲームやってんだよ」
「今で11個目のソフトをやってるの」
「やっぱりRPGのほうがやりがいあるの!」

 またも気楽な会話になり、呆れるイーグル。
 注意するため、口を開こうとしたその時。

ガゴオオオオオオオオオオオオオオン!!!

 突然、室内が音と共に衝撃が走った。立っていられないほどの揺れにより、何かに掴まる隊員たち。同時に警告音が鳴り響く。

ビィィィィィィィ!! ビィィィィィィィ!! ビィィィィィィィ!!

「な、なんだぁ!?また重量オーバーか!?」
「・・・くっ!」
「れぇぇぇぇ!?」
「らぁぁぁぁ!?」
「なっ!?敵か!?」
「レックスゥゥゥ!!」
「艦の航行に異常発生!前方のエネルギー体に向かって急速に移動を始めています!時速70キロ!さらに上昇中!」

 揺れはなおも続き、隊員たちはまともに動けない状態だった。それでもイーグルは冷静に状況を把握しようと指示をとばした。

「ジェミニ!周りに何かいるか!?」
「ええとぉぉぉぉ何もぉぉぉぉいないよぉぉぉぉ」
「ていうかマップがぶれてるぅぅぅぅ」

 メインテーブルに表示された光学表示マップが正常に映し出せなくなる。

「ドクター!レーダーは!?」
「敵の反応はない!レックス!とりあえず停止して!」
「了解!緊急停止します!・・・・・・駄目です!速度100キロに達します!」
「なに!?じゃあ、バックしろ!」
「駄目です!エンジン出力最大で後退していますが、速度に変化ありません!」
「!?・・・一体なにが!?」

 原因を調べるため、ドクターが端末を操作し始める。

「なっ!?・・・これは!?」
「なぁ!エスタ!何が起きた!?少なくとも避難訓練じゃないだろう!?」
「ラキ、うるさい!・・・前方にあるエネルギー体から引力が発生している!このままだとエネルギー体とぶつかる!」
「・・・なっ!」
「ちょ!それってやばくないか!?」
「言われんでもわかる!ドクター!なんとかならないか!?」
「その最中よ!レックス!反転出来る!?」
「この体制で艦が引き寄せられているため不可能!目標との距離約一キロ!」
「ラキ!ブレード!前方確認!」
「こんな状況で・・・」
「・・・やっと拝見か」

 イーグルの指示で二人が双眼鏡を手に外の景色を見る。だが次の瞬間慌てて双眼鏡から目を外す。

「どうしたの!?ラキ!?」
「ブレード!?なに見えた!?」

ジェミニが不思議に思い、声を掛けると二人は目を閉じていた。

「なんだあれ!?ライトアップにしちゃやり過ぎだろ!?」
「・・・前方に謎の発光体を確認!目をやられた!」
「なっ!?二人とも大丈夫か!」
「全員!目を閉じて!」
「目標とさらに接近!」

 その瞬間、目の前のフロントガラス一面に光が溢れ始め、司令室全体が真っ白に染まる。全員の視界が白で染まり、音も聞こえなくなる。彼らの意識がそこで途絶えた。



 連合軍仕様の衛星『スワン』から観測された記録。
 2002年7月25日12時47分。
 連合軍実験強襲部隊『ドラグーン』MIA(作戦行動中行方不明)
 大型試作戦艦『クリプト』とともにGPSから反応消失。
 反応消失位置『アンノウンランド』の中央付近

 尚、この記録は極秘にすること。
11/06/05 01:08更新 / 『エックス』
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