花の芽の奪還
巡回している兵士の数人が異常な音に気付いた。こちらに向かってくる聞き慣れない音。東の方から見慣れない光。そして、空から何かが降って来る。それは兵士たちの就寝している建物の入口に向かって落ちてきた。
ドガアアアアアアアアアアアアン!!!
凄まじい爆発とともに衝撃が辺りに響いた。近くに居た兵士は吹き飛ばされ動かなくなる。
「た〜まや〜」
『ふざけてないで行動しろ』
「はいはい」
イーグルに注意され、ラキは左手の『L.B.H』で左側に向けて乱射する。
『こちらも撃ちますか』
エスタの乗る『NYCYUS』の左上部のプラズマカノンからピンク色のエネルギー弾が射出され、砦の入口手前に着弾。
バシュウウウウウウン!!!
「「うわああああ!?」」
付近に居た警備二人をエネルギー爆発で吹き飛ばした。
目標の砦入口から10m離れた場所にそれぞれ着地する。ジェミニは二人を下ろすとすぐさま上空に上がった。イーグル、エスタ、ニール、ラキ、ブレードは魔法陣を展開させるレシィを囲むように防衛につく。
『数はかなり来るよ』
「・・・叩きのめすまでだ」
『ブレード、敵の殲滅が目的ではない』
「・・・分かっている」
「私も昨日の借りをここで返させて貰う」
「おぬしら、無理はするなよ」
「じゃあ、戦闘開始といきますか!」
『『いくよ―!』』
<砦 地下牢>
最初の爆撃により、地下牢では地震が起きたかのように揺れていた。突然の異常に警備の二人は戸惑い始める。そんな彼らにレックスは大声で呼びかける。
「敵襲だ―!!全員外に出ろ―!!」
レックスの言葉に警備の二人は慌てて階段の方へ走った。だが、そこに待ち構えていたレックスが現れ、彼らは真正面から首を掴まれる。
「「ぐうっ!?」」
バチィィィン!!
「「ガアァ!?」」
電撃で彼らを失神させて左右に投げ飛ばす。元の姿に戻りながら牢屋に近づくレックス。鉄柵の向こうには6人の子ども達がうずくまっていた。レックスは彼らに声を掛ける。
「サリナさんと孤児院の子ども達で間違いないですね」
「え?なぜ、私の名を・・・あなたは?」
呼ばれて驚いたのは角と翼、そして尻尾をもつ子悪魔のような少女。
「あなた方を助けに来ました。外で防衛隊のニール隊長とレシィ司令官が脱出の用意をしています」
「ニールさんが!?」
「お姉ちゃんが!?」
隣に居た角の生えた幼子も驚く。レックスは鉄格子の扉を掴み、いとも簡単に取り壊した。
「もうすでに仲間も到着しています。お早く!」
彼の呼びかけと共に牢屋から出る子ども達。レックスは扉を捨て、彼らを連れて走った。
<砦入口前>
「そらそら!それ以上近寄んな!」
「・・・邪魔だ!」
「うわっ!?なんだこれ!?」
「あいつら何者だ!」
ラキは両手に、ブレードは左手に『L.B.H』を持ち、やって来た兵士を光弾で追い返す。
「このおおおおお!!」
一人の兵士が『ORNITHO』に向かって剣で斬りかかった。が、鉄製の剣が装甲を切り裂くことは出来ず、無情に折れてしまう。
パキィィィィィィィィン!!
「う、ウソだろ!?」
『デカ物相手でも向かってくるとは、勇気は認めよう』
「ひぃ!?」
スピーカーからイーグルの褒め言葉が出ると同時に左のアームで兵士を掴み投げ飛ばす。
『そこ、邪魔だよ』
キュイイン ズダダダダダダダダダダ!!
「あ、危ない!」
「うわああああ!?」
「ぎゃああ!!」
エスタはGPガトリングで廃屋を壊して、瓦礫で兵士達を妨害する。
「今日はフラッシュの」
「大サービス♪」
バシュウウ!!バシュウウ!!
「ぐわああ!?目がぁ!?」
「何処だ!?見えない!?」
ジェミニは上空で近寄って来る兵士達にスタングレネードを投げつけ、視力と聴力を奪う。
「子ども達はまだか!?」
『もうすぐだよ』
ニールが心配する中、入口を見ると左脇に下半身蛇の子どもを抱えたレックスと子ども達が出てくる。
「ニールさん!」
「お姉ちゃん!」
「サリナ!ミーニ!みんな、ここまで来い!早く!」
『ニール!ブレード!彼らの援護に向かえ!』
「ここは任せな!二人とも行けぇ!」
ニールの呼び声で走り出す子ども達。イーグルの指示で子ども達に向かう二人。
その時、ミーニの右横から騎士が剣を構え突っ込んできた。
「この魔物がぁぁぁ!!」
「ひっ!」
「ミーニ!」
ミーニを抱きしめ庇うサリナ。そんな彼女たちの危機に双子が動いた。
「レート!」
「あいよ、ラート!」
ラートが騎士に向かってチェイサーで体当たりをかます。
「ぶほぉぉ!?」
「おまけだぁ!」
騎士の飛んで行った先にレートがスタングレネードを投げて直撃させる。
バシュウウ!!
「があぁぁぁ!!!」
「ナイスストライク!レート!」
「お兄ちゃん達凄―い!」
「あ、ありがとう」
「急げ、サリナ!」
お礼を言いながらミーニを抱えて走り出すサリナ。ニールは子ども達の後ろへ回り、走り出す。
「異端者風情がなめよって!!」
「!?」
砦の入口に長髪でちょびヒゲの年配騎士が立っていた。ボウガンを右手に持ち、こちらに向けて矢を放つ。
「くっ!・・・!?」
「・・・」
子どもに当たらないよう庇い守ったニールだが、後ろを見るとブレードが仁王立ちして彼女を庇い、左肩に矢が刺さっていた。
「くくく、それは痺れ薬の付いた毒矢だ。動けない状態で嬲り殺してやるわ!」
「・・・」
「ブレード!」
ニールの呼びかけにブレードは無言で矢を引き抜く。すると彼はサイドパックから簡易注射を取り出し右腕に刺した。平然で奴に歩き向かうブレード。
「・・・だから、どうした?」
「!?」
「そ、そんな馬鹿な!?なぜ、動ける!?」
ヒゲ騎士は慌てて矢を装填し、彼に向けて放とうとした。だが、すでに至近距離まで接近され、ボウガンを払いのけられる。
「ひぃ!?」
「・・・馬鹿はお前だ!」
「ぐぶぅ!?」
すかさず、奴の顔面に強烈な拳を当てて吹き飛ばす。鼻血を出しながら気絶するヒゲ騎士。手に付いた血を奴の足に拭い、ニールのもとに戻るブレード。
「・・・汚い血だ。行くぞ」
「あ、ああ」
脱出地点に辿り着いた子ども達。ニールとレックスも魔法陣に入る。
『レックス!戻ったら戦艦を動かして!僕達が追いつけるスピードでね』
「了解」
「じゃあ、ワシらは先に脱出させてもらおうかのぉ。兄上も無茶しないように」
『心配無用』
眩しい光と共に3人と子ども達が消える。
『各自撤退準備!ブレード、乗れ!』
「・・・言われなくとも」
「撤退、撤退ぃ!」
ラキは『NYCYUS』に掴まり、ブレードは『ORNITHO』に抱えられるように掴まる。2機は上昇し、ジェミニ達とともに飛び去る。
「悪役が言うセリフだけど・・・あばよ!愚か者ども!は―ははははは!!」
『ラキ』
『それ古いよ』
「うっさい!!」
通信でジェミニに突っ込まれるラキ。
『それじゃあ、仕上げと・・・』
エスタがそう言うと先程の魔法陣の場所に爆発が発生する。
「・・・ヘルファイヤか」
『作戦成功の打ち上げにね』
<砦入口前>
彼らが撤退してから数分後、気絶していたヒゲ騎士が顔に手を当てながら立ち上がる。別の騎士が近づいて来て彼の身体を支える。
「キューベル団長!ご無事で・・・」
「うるさい!」
支える手を撥ね退ける。
「奴らは一体・・・」
「それよりも追え!奴らを逃が・・・」
ズゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン
「「!?」」
突然、彼らは何かの振動を感じた。それはさっきの爆発とは違う別物。まるで地面の底から揺れているような。周りに居る兵士達も同じく。
「な、なんだ!?」
「地震か!?」
ズゥゥゥゥゥウウウウウウウ゛ウ゛ウ゛ウ゛ウ゛!!
「ええい!今度は何なんだ!?」
ボシュウウウウウウウウウウ!!!
突如、彼らの居た砦が一瞬で木端微塵となり、強大な影が彼らの前に現れた。そんな彼らはただ見つめることしかできなかった。
“こちらに向かってその巨大な影が倒れてくることを”
ドガアアアアアアアアアアアアン!!!
凄まじい爆発とともに衝撃が辺りに響いた。近くに居た兵士は吹き飛ばされ動かなくなる。
「た〜まや〜」
『ふざけてないで行動しろ』
「はいはい」
イーグルに注意され、ラキは左手の『L.B.H』で左側に向けて乱射する。
『こちらも撃ちますか』
エスタの乗る『NYCYUS』の左上部のプラズマカノンからピンク色のエネルギー弾が射出され、砦の入口手前に着弾。
バシュウウウウウウン!!!
「「うわああああ!?」」
付近に居た警備二人をエネルギー爆発で吹き飛ばした。
目標の砦入口から10m離れた場所にそれぞれ着地する。ジェミニは二人を下ろすとすぐさま上空に上がった。イーグル、エスタ、ニール、ラキ、ブレードは魔法陣を展開させるレシィを囲むように防衛につく。
『数はかなり来るよ』
「・・・叩きのめすまでだ」
『ブレード、敵の殲滅が目的ではない』
「・・・分かっている」
「私も昨日の借りをここで返させて貰う」
「おぬしら、無理はするなよ」
「じゃあ、戦闘開始といきますか!」
『『いくよ―!』』
<砦 地下牢>
最初の爆撃により、地下牢では地震が起きたかのように揺れていた。突然の異常に警備の二人は戸惑い始める。そんな彼らにレックスは大声で呼びかける。
「敵襲だ―!!全員外に出ろ―!!」
レックスの言葉に警備の二人は慌てて階段の方へ走った。だが、そこに待ち構えていたレックスが現れ、彼らは真正面から首を掴まれる。
「「ぐうっ!?」」
バチィィィン!!
「「ガアァ!?」」
電撃で彼らを失神させて左右に投げ飛ばす。元の姿に戻りながら牢屋に近づくレックス。鉄柵の向こうには6人の子ども達がうずくまっていた。レックスは彼らに声を掛ける。
「サリナさんと孤児院の子ども達で間違いないですね」
「え?なぜ、私の名を・・・あなたは?」
呼ばれて驚いたのは角と翼、そして尻尾をもつ子悪魔のような少女。
「あなた方を助けに来ました。外で防衛隊のニール隊長とレシィ司令官が脱出の用意をしています」
「ニールさんが!?」
「お姉ちゃんが!?」
隣に居た角の生えた幼子も驚く。レックスは鉄格子の扉を掴み、いとも簡単に取り壊した。
「もうすでに仲間も到着しています。お早く!」
彼の呼びかけと共に牢屋から出る子ども達。レックスは扉を捨て、彼らを連れて走った。
<砦入口前>
「そらそら!それ以上近寄んな!」
「・・・邪魔だ!」
「うわっ!?なんだこれ!?」
「あいつら何者だ!」
ラキは両手に、ブレードは左手に『L.B.H』を持ち、やって来た兵士を光弾で追い返す。
「このおおおおお!!」
一人の兵士が『ORNITHO』に向かって剣で斬りかかった。が、鉄製の剣が装甲を切り裂くことは出来ず、無情に折れてしまう。
パキィィィィィィィィン!!
「う、ウソだろ!?」
『デカ物相手でも向かってくるとは、勇気は認めよう』
「ひぃ!?」
スピーカーからイーグルの褒め言葉が出ると同時に左のアームで兵士を掴み投げ飛ばす。
『そこ、邪魔だよ』
キュイイン ズダダダダダダダダダダ!!
「あ、危ない!」
「うわああああ!?」
「ぎゃああ!!」
エスタはGPガトリングで廃屋を壊して、瓦礫で兵士達を妨害する。
「今日はフラッシュの」
「大サービス♪」
バシュウウ!!バシュウウ!!
「ぐわああ!?目がぁ!?」
「何処だ!?見えない!?」
ジェミニは上空で近寄って来る兵士達にスタングレネードを投げつけ、視力と聴力を奪う。
「子ども達はまだか!?」
『もうすぐだよ』
ニールが心配する中、入口を見ると左脇に下半身蛇の子どもを抱えたレックスと子ども達が出てくる。
「ニールさん!」
「お姉ちゃん!」
「サリナ!ミーニ!みんな、ここまで来い!早く!」
『ニール!ブレード!彼らの援護に向かえ!』
「ここは任せな!二人とも行けぇ!」
ニールの呼び声で走り出す子ども達。イーグルの指示で子ども達に向かう二人。
その時、ミーニの右横から騎士が剣を構え突っ込んできた。
「この魔物がぁぁぁ!!」
「ひっ!」
「ミーニ!」
ミーニを抱きしめ庇うサリナ。そんな彼女たちの危機に双子が動いた。
「レート!」
「あいよ、ラート!」
ラートが騎士に向かってチェイサーで体当たりをかます。
「ぶほぉぉ!?」
「おまけだぁ!」
騎士の飛んで行った先にレートがスタングレネードを投げて直撃させる。
バシュウウ!!
「があぁぁぁ!!!」
「ナイスストライク!レート!」
「お兄ちゃん達凄―い!」
「あ、ありがとう」
「急げ、サリナ!」
お礼を言いながらミーニを抱えて走り出すサリナ。ニールは子ども達の後ろへ回り、走り出す。
「異端者風情がなめよって!!」
「!?」
砦の入口に長髪でちょびヒゲの年配騎士が立っていた。ボウガンを右手に持ち、こちらに向けて矢を放つ。
「くっ!・・・!?」
「・・・」
子どもに当たらないよう庇い守ったニールだが、後ろを見るとブレードが仁王立ちして彼女を庇い、左肩に矢が刺さっていた。
「くくく、それは痺れ薬の付いた毒矢だ。動けない状態で嬲り殺してやるわ!」
「・・・」
「ブレード!」
ニールの呼びかけにブレードは無言で矢を引き抜く。すると彼はサイドパックから簡易注射を取り出し右腕に刺した。平然で奴に歩き向かうブレード。
「・・・だから、どうした?」
「!?」
「そ、そんな馬鹿な!?なぜ、動ける!?」
ヒゲ騎士は慌てて矢を装填し、彼に向けて放とうとした。だが、すでに至近距離まで接近され、ボウガンを払いのけられる。
「ひぃ!?」
「・・・馬鹿はお前だ!」
「ぐぶぅ!?」
すかさず、奴の顔面に強烈な拳を当てて吹き飛ばす。鼻血を出しながら気絶するヒゲ騎士。手に付いた血を奴の足に拭い、ニールのもとに戻るブレード。
「・・・汚い血だ。行くぞ」
「あ、ああ」
脱出地点に辿り着いた子ども達。ニールとレックスも魔法陣に入る。
『レックス!戻ったら戦艦を動かして!僕達が追いつけるスピードでね』
「了解」
「じゃあ、ワシらは先に脱出させてもらおうかのぉ。兄上も無茶しないように」
『心配無用』
眩しい光と共に3人と子ども達が消える。
『各自撤退準備!ブレード、乗れ!』
「・・・言われなくとも」
「撤退、撤退ぃ!」
ラキは『NYCYUS』に掴まり、ブレードは『ORNITHO』に抱えられるように掴まる。2機は上昇し、ジェミニ達とともに飛び去る。
「悪役が言うセリフだけど・・・あばよ!愚か者ども!は―ははははは!!」
『ラキ』
『それ古いよ』
「うっさい!!」
通信でジェミニに突っ込まれるラキ。
『それじゃあ、仕上げと・・・』
エスタがそう言うと先程の魔法陣の場所に爆発が発生する。
「・・・ヘルファイヤか」
『作戦成功の打ち上げにね』
<砦入口前>
彼らが撤退してから数分後、気絶していたヒゲ騎士が顔に手を当てながら立ち上がる。別の騎士が近づいて来て彼の身体を支える。
「キューベル団長!ご無事で・・・」
「うるさい!」
支える手を撥ね退ける。
「奴らは一体・・・」
「それよりも追え!奴らを逃が・・・」
ズゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン
「「!?」」
突然、彼らは何かの振動を感じた。それはさっきの爆発とは違う別物。まるで地面の底から揺れているような。周りに居る兵士達も同じく。
「な、なんだ!?」
「地震か!?」
ズゥゥゥゥゥウウウウウウウ゛ウ゛ウ゛ウ゛ウ゛!!
「ええい!今度は何なんだ!?」
ボシュウウウウウウウウウウ!!!
突如、彼らの居た砦が一瞬で木端微塵となり、強大な影が彼らの前に現れた。そんな彼らはただ見つめることしかできなかった。
“こちらに向かってその巨大な影が倒れてくることを”
11/06/19 00:08更新 / 『エックス』
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