一致する形状
<戦艦クリプト 司令室>
メインテーブルを中心にドラグーン部隊総員と都市アイビスから領主レギーナ、ニール、レシィが集まっていた。魔女のニケットはレシィの簡易転移魔法で城に帰還。
「急にお呼び出して申し訳ない。実は“マガイモノ”について詳しくお聞きしたいのだが・・・」
「イーグル、“マガイモノ”って?」
「・・・ラキ」
「分かった、黙るよ」
ブレードに睨まれ、大人しくするラキ。静けさが増すと領主が話し始めた。
「かつて、旧魔王時代で魔物は人に害をもたらす存在だった。そこは覚えているな?その時、我ら魔物とは違う別種が混じっていた。それが・・・」
「この“マガイモノ”ね」
ドクターが答えるとメインテーブルに映像が表示される。それはブレードが南の森で遭遇した奴らだった。
「そうじゃ。こやつらはワシら魔物にまで牙を向けた。貪欲な奴らで群れる輩もおったわ」
「当時は制御できぬ、飼いならせぬ者として、人間や魔物の共通の敵だった」
レシィとニールが特徴を語る。
「だが、魔王の世代交代後。すなわち、新魔王時代が訪れた時、奴らの数は減少し始めた。魔界では全く見られなくなり、こちらでは稀にしか見ない存在となった」
「これは母上の書物で見たことがあるのぉ。確かソードマンじゃったか?」
「今回、我が都市付近で見つかったのは最近のを含めて2回だな」
「あ〜同じ奴が2匹居たと聞いたのぉ」
ドクターが真剣な顔をして、彼女らに尋ねる。
「その“マガイモノ”の姿はこんな感じ?」
ドクターが携帯端末機をいじるとテーブルの映像が切り替わる。
映し出されたのは先程のソードマンに似た姿だけでなく、蛇にコウモリの羽を生やした姿や一つ目のサソリのような怪物の映像だった。
「こ、これは!?」
「まて!こやつら!何処で!?」
「もう見ない奴らだぞ!しかも古い書物に載ってる奴まで!」
「我々の世界です」
イーグルの答えに沈黙する三人。続けて話すドクター。
「僕たちの世界に突如として出現した攻撃生命体。それを僕たちは“異形者”と名付けた。奴らは自分たち以外の生命体、人間を捕食し始めた。最初の遭遇による襲撃で都市3つが壊滅」
「な、なんじゃと・・・」
「当時の武器では対抗できず、侵攻を抑えられなかったからね。結果、戦闘員含めて市民の犠牲者は約20億人と言われている」
ドクターの操作で映像が切り替わり、崩壊した街並みが映し出される。
「ひ、酷過ぎる・・・」
思わず目を背けるニール。イーグルがそれを見て、少し俯きながら話した。
「後にこの遭遇した日を『APPEARANCE DAY』(アピアランス・デイ)出現した日と言われるようになる。全ての大陸にある国は事態を重く見始め、封印された技術を解放し、奴らの対抗策を練った。そして、その技術が・・・」
「今、僕たちが使用しているもの全部、前大戦時で秘密裏に設計又は開発された物を使っている。そのおかげで存亡の危機は抑えられた。一時的にね」
「それでもなお、人類は襲撃され続けている。毎回の戦闘での犠牲者は治まらず、戦いは長引くのみ」
「何故、それほど苦戦しているのだ?」
領主が疑問をぶつける。ドクターはまた、違う映像に変更。異形者たちの姿だ。しかし、同じような形状の者たちばかり映っている。続けてイーグルが話す。
「異形者はその名の通り、異形の形状をしている。けれど、交戦された記録によると形状や特徴が変化したと報告が多数あった」
「変化したじゃと?」
「ニールも見ただろう?ブレードの戦闘時に最後の1体が腕を変化させた姿を」
「ああ、あれは一体・・・」
イーグルの言葉で考え込むニール。そこへドクターはある言葉を呟く。
「進化」
「なに?」
「確証はないけど・・・奴らは異常な速度で進化しているのでは?と答える研究者もいる」
「これが・・・進化だと・・・」
領主が驚きながら映像を見る。
「奴らはその進化能力で今までとは違う攻撃方法や我々の対抗策を作りだす。これにより、戦闘が厳しくなっている」
「なぜ、仮説しか立てられんのじゃ?」
「奴らのもう一つの特徴のせいで直接調査できない。それが・・・細胞の急速劣化」
「サイボウのキュウソクレッカ?」
ニールが片言でその単語を口にする。
「要は腐り易いってこと。骨一本も残さず消滅する。」
「確か書物にそれらしきことは書かれていたのぉ」
レシィがそう言うとイーグルがある話をする。
「ある部隊が一匹の異形者の捕獲に成功したと連絡があった。だが、数時間後、その部隊と連絡が途絶える。不審に思い、捜索すると部隊は無残な姿で発見された」
「何があったのだ?」
「獲物を入れていたであろう鋼鉄の檻が切り裂かれていた。部隊の生存者はゼロ。捕獲された異形者はすぐに見つかった。異常な硬質を纏いながら・・・」
「まさか・・・」
「奴は鋼鉄を切り裂く刃を手に入れていた。なんとか殲滅出来たが、その一匹で戦闘員が20名犠牲となった」
「・・・」
話を聞いていた領主は段々言葉を失う。
「その報告と同じような戦闘が繰り返されている。レシィ、新魔王時代は今から何年前になる?」
「え、え―とかなり昔じゃぞ・・・正確には分からんが百年前ぐらいになるかもしれん」
「そうか・・・じゃあ、根源は・・・」
レシィの答えにがっかりするドクター。そんなドクターを心配そうに見るレシィ。領主があることを尋ねる。
「その戦争はいつから始まったのだ?」
「2年前だ。新年を迎えた寒い初日。初詣に行こうと思ってたのに・・・」
「・・・そんな暇無かったろ」
ラキの呟きに突っ込むブレード。そんな彼らを呆れてみるドクター。
「僕たちはその異形者の謎を解き、戦いを終わらせるため少数で遠征。そして、今に至るという訳。異形者について解明されたのはほぼ無いに等しい」
「本当に何も無いのか?」
「・・・これは僕の推測だけど、奴らが他の生物を襲う理由は共食いできないから?と考えている。現に死んだらすぐ腐るからね。形状が違えど群れを作るし。それともう一つ・・・」
「もう一つ、なんじゃ?」
「体内に何らかのエネルギーを持っている。生物としては異常なエネルギー。だけど、それだけしか分からない」
「うむ、確かにあ奴らは魔力とは違う力を持っておるのぉ」
「らしいね。レシィ、奴らの出現場所について何か知っている?」
「うむむむ・・・」
ドクターの質問に困り果てるレシィ。それを見かねた領主が答える。
「残念ながらそれに関する記述は無い。出現場所は人間界がほとんどだが・・・」
「だろうな・・・年代的にも此処から我々の世界にやって来た、と言う感じでも無いな」
予想していたかのようにイーグルが呟いた。
そんな深刻な話に耐えきれなくなったのか、フロントガラスの外の景色を眺めるジェミニ。
「夕焼けが綺麗だね・・・」
「実に暇な一日だね・・・」
「現実逃避しやがった」
「・・・ほっといてやれ」
ブレードがラキに一言を言った直後、フロントガラスに突然、手が鳥の羽になっている女性が現れる。
「「ひええ!?」」
「どちら様!?」
腰を抜かすジェミニとラキ。すると、ニールがガラスに向かう。
「ローラ!」
「・・・知り合いか?」
「部隊伝達役のブラックハーピー!私の部下だ!」
「レックス!上のハッチから入れて!」
「了解」
レックスは司令室ドアの右端にある非常梯子を登り、スイッチを押して上部ハッチを開ける。そこから彼女を呼び入れた。司令室に入ると同時に彼女はニールに向かう。
「ニール隊長!大変なことが!」
「どうしたのだ!?」
「南の森付近でピクニックをしていた孤児院の子ども達が攫われました!」
「なんだと!?」
「なんじゃと!?」
ニールとレシィが驚愕した。領主はすかさず尋ねる。
「何者がやった!?連れ去られたのは何人だ!?」
「ギルドの報告によると教会騎士たちが6人を馬車で西に連れ去った模様です!」
「以前、偵察で出会った輩か!?おのれ!!!」
「よくも我が街の幼子を・・・」
瞳に怒りが満ちるニールと領主。それを見て突然、ラキが声を上げる。
「イーグル!助けに行こう!」
「ラキ!?」
「今から急いで行けば間に合うだろう!口より手足が動かしたい!」
「僕らも〜」
「同意見〜」
「お前たち・・・」
双子もラキに賛同し、その他の隊員は唖然とする。彼女達も同じく。
「はぁ・・・いいだろう。前回より困難な救出任務になるぞ」
「「「!?」」」
「おぬしら・・・」
「僕たちは戦うだけじゃなく、守り抜く義務を持っている。知り合ったこの街もその例外にはならない」
「感謝する」
領主がお礼の言葉を口にする。
「お礼は子ども達を助けてから・・・レックス!艦の発進準備!」
「了解」
艦内に駆動音が響き始める。ここでイーグルが領主に尋ねた。
「あなた達はどうする?」
「我は街が心配だ。ローラとともに戻る。ニールは彼らと一緒に向かえ」
「はっ!」
「ラキ、ハッチを開けろ」
「了解、隊長!」
「ワシも向かおうぞ。下賎な輩を懲らしめたいからのぉ」
「別にいいけど、ほどほどにね」
レシィも怒っているらしく、ドクターがなだめる。領主たちはハッチから出て、ローラに掴まりながら飛び去って行った。
「出航準備完了」
「目標は西だね」
「馬車を使って逃げたのならわだちが残っているはずだ」
「Dフライ1番機を射出!南西よりに飛ばし、車輪跡を見つけて!」
「了解、1番機射出」
黒き飛行体が薄暗い空へ飛び立つ。約3分後、砂漠に2つの細い溝の線を発見。ニールの言った通りだった。
「よし、見つけたね」
「凄いのじゃ」
「暗いのによく見つけたな」
「これも技術の一つだよ」
「Dフライを先行させて向かうぞ。レックス!」
「了解、航行開始」
イーグルの指示により、日が落ちる方向へ向けてドラグーン隊は出発した。
メインテーブルを中心にドラグーン部隊総員と都市アイビスから領主レギーナ、ニール、レシィが集まっていた。魔女のニケットはレシィの簡易転移魔法で城に帰還。
「急にお呼び出して申し訳ない。実は“マガイモノ”について詳しくお聞きしたいのだが・・・」
「イーグル、“マガイモノ”って?」
「・・・ラキ」
「分かった、黙るよ」
ブレードに睨まれ、大人しくするラキ。静けさが増すと領主が話し始めた。
「かつて、旧魔王時代で魔物は人に害をもたらす存在だった。そこは覚えているな?その時、我ら魔物とは違う別種が混じっていた。それが・・・」
「この“マガイモノ”ね」
ドクターが答えるとメインテーブルに映像が表示される。それはブレードが南の森で遭遇した奴らだった。
「そうじゃ。こやつらはワシら魔物にまで牙を向けた。貪欲な奴らで群れる輩もおったわ」
「当時は制御できぬ、飼いならせぬ者として、人間や魔物の共通の敵だった」
レシィとニールが特徴を語る。
「だが、魔王の世代交代後。すなわち、新魔王時代が訪れた時、奴らの数は減少し始めた。魔界では全く見られなくなり、こちらでは稀にしか見ない存在となった」
「これは母上の書物で見たことがあるのぉ。確かソードマンじゃったか?」
「今回、我が都市付近で見つかったのは最近のを含めて2回だな」
「あ〜同じ奴が2匹居たと聞いたのぉ」
ドクターが真剣な顔をして、彼女らに尋ねる。
「その“マガイモノ”の姿はこんな感じ?」
ドクターが携帯端末機をいじるとテーブルの映像が切り替わる。
映し出されたのは先程のソードマンに似た姿だけでなく、蛇にコウモリの羽を生やした姿や一つ目のサソリのような怪物の映像だった。
「こ、これは!?」
「まて!こやつら!何処で!?」
「もう見ない奴らだぞ!しかも古い書物に載ってる奴まで!」
「我々の世界です」
イーグルの答えに沈黙する三人。続けて話すドクター。
「僕たちの世界に突如として出現した攻撃生命体。それを僕たちは“異形者”と名付けた。奴らは自分たち以外の生命体、人間を捕食し始めた。最初の遭遇による襲撃で都市3つが壊滅」
「な、なんじゃと・・・」
「当時の武器では対抗できず、侵攻を抑えられなかったからね。結果、戦闘員含めて市民の犠牲者は約20億人と言われている」
ドクターの操作で映像が切り替わり、崩壊した街並みが映し出される。
「ひ、酷過ぎる・・・」
思わず目を背けるニール。イーグルがそれを見て、少し俯きながら話した。
「後にこの遭遇した日を『APPEARANCE DAY』(アピアランス・デイ)出現した日と言われるようになる。全ての大陸にある国は事態を重く見始め、封印された技術を解放し、奴らの対抗策を練った。そして、その技術が・・・」
「今、僕たちが使用しているもの全部、前大戦時で秘密裏に設計又は開発された物を使っている。そのおかげで存亡の危機は抑えられた。一時的にね」
「それでもなお、人類は襲撃され続けている。毎回の戦闘での犠牲者は治まらず、戦いは長引くのみ」
「何故、それほど苦戦しているのだ?」
領主が疑問をぶつける。ドクターはまた、違う映像に変更。異形者たちの姿だ。しかし、同じような形状の者たちばかり映っている。続けてイーグルが話す。
「異形者はその名の通り、異形の形状をしている。けれど、交戦された記録によると形状や特徴が変化したと報告が多数あった」
「変化したじゃと?」
「ニールも見ただろう?ブレードの戦闘時に最後の1体が腕を変化させた姿を」
「ああ、あれは一体・・・」
イーグルの言葉で考え込むニール。そこへドクターはある言葉を呟く。
「進化」
「なに?」
「確証はないけど・・・奴らは異常な速度で進化しているのでは?と答える研究者もいる」
「これが・・・進化だと・・・」
領主が驚きながら映像を見る。
「奴らはその進化能力で今までとは違う攻撃方法や我々の対抗策を作りだす。これにより、戦闘が厳しくなっている」
「なぜ、仮説しか立てられんのじゃ?」
「奴らのもう一つの特徴のせいで直接調査できない。それが・・・細胞の急速劣化」
「サイボウのキュウソクレッカ?」
ニールが片言でその単語を口にする。
「要は腐り易いってこと。骨一本も残さず消滅する。」
「確か書物にそれらしきことは書かれていたのぉ」
レシィがそう言うとイーグルがある話をする。
「ある部隊が一匹の異形者の捕獲に成功したと連絡があった。だが、数時間後、その部隊と連絡が途絶える。不審に思い、捜索すると部隊は無残な姿で発見された」
「何があったのだ?」
「獲物を入れていたであろう鋼鉄の檻が切り裂かれていた。部隊の生存者はゼロ。捕獲された異形者はすぐに見つかった。異常な硬質を纏いながら・・・」
「まさか・・・」
「奴は鋼鉄を切り裂く刃を手に入れていた。なんとか殲滅出来たが、その一匹で戦闘員が20名犠牲となった」
「・・・」
話を聞いていた領主は段々言葉を失う。
「その報告と同じような戦闘が繰り返されている。レシィ、新魔王時代は今から何年前になる?」
「え、え―とかなり昔じゃぞ・・・正確には分からんが百年前ぐらいになるかもしれん」
「そうか・・・じゃあ、根源は・・・」
レシィの答えにがっかりするドクター。そんなドクターを心配そうに見るレシィ。領主があることを尋ねる。
「その戦争はいつから始まったのだ?」
「2年前だ。新年を迎えた寒い初日。初詣に行こうと思ってたのに・・・」
「・・・そんな暇無かったろ」
ラキの呟きに突っ込むブレード。そんな彼らを呆れてみるドクター。
「僕たちはその異形者の謎を解き、戦いを終わらせるため少数で遠征。そして、今に至るという訳。異形者について解明されたのはほぼ無いに等しい」
「本当に何も無いのか?」
「・・・これは僕の推測だけど、奴らが他の生物を襲う理由は共食いできないから?と考えている。現に死んだらすぐ腐るからね。形状が違えど群れを作るし。それともう一つ・・・」
「もう一つ、なんじゃ?」
「体内に何らかのエネルギーを持っている。生物としては異常なエネルギー。だけど、それだけしか分からない」
「うむ、確かにあ奴らは魔力とは違う力を持っておるのぉ」
「らしいね。レシィ、奴らの出現場所について何か知っている?」
「うむむむ・・・」
ドクターの質問に困り果てるレシィ。それを見かねた領主が答える。
「残念ながらそれに関する記述は無い。出現場所は人間界がほとんどだが・・・」
「だろうな・・・年代的にも此処から我々の世界にやって来た、と言う感じでも無いな」
予想していたかのようにイーグルが呟いた。
そんな深刻な話に耐えきれなくなったのか、フロントガラスの外の景色を眺めるジェミニ。
「夕焼けが綺麗だね・・・」
「実に暇な一日だね・・・」
「現実逃避しやがった」
「・・・ほっといてやれ」
ブレードがラキに一言を言った直後、フロントガラスに突然、手が鳥の羽になっている女性が現れる。
「「ひええ!?」」
「どちら様!?」
腰を抜かすジェミニとラキ。すると、ニールがガラスに向かう。
「ローラ!」
「・・・知り合いか?」
「部隊伝達役のブラックハーピー!私の部下だ!」
「レックス!上のハッチから入れて!」
「了解」
レックスは司令室ドアの右端にある非常梯子を登り、スイッチを押して上部ハッチを開ける。そこから彼女を呼び入れた。司令室に入ると同時に彼女はニールに向かう。
「ニール隊長!大変なことが!」
「どうしたのだ!?」
「南の森付近でピクニックをしていた孤児院の子ども達が攫われました!」
「なんだと!?」
「なんじゃと!?」
ニールとレシィが驚愕した。領主はすかさず尋ねる。
「何者がやった!?連れ去られたのは何人だ!?」
「ギルドの報告によると教会騎士たちが6人を馬車で西に連れ去った模様です!」
「以前、偵察で出会った輩か!?おのれ!!!」
「よくも我が街の幼子を・・・」
瞳に怒りが満ちるニールと領主。それを見て突然、ラキが声を上げる。
「イーグル!助けに行こう!」
「ラキ!?」
「今から急いで行けば間に合うだろう!口より手足が動かしたい!」
「僕らも〜」
「同意見〜」
「お前たち・・・」
双子もラキに賛同し、その他の隊員は唖然とする。彼女達も同じく。
「はぁ・・・いいだろう。前回より困難な救出任務になるぞ」
「「「!?」」」
「おぬしら・・・」
「僕たちは戦うだけじゃなく、守り抜く義務を持っている。知り合ったこの街もその例外にはならない」
「感謝する」
領主がお礼の言葉を口にする。
「お礼は子ども達を助けてから・・・レックス!艦の発進準備!」
「了解」
艦内に駆動音が響き始める。ここでイーグルが領主に尋ねた。
「あなた達はどうする?」
「我は街が心配だ。ローラとともに戻る。ニールは彼らと一緒に向かえ」
「はっ!」
「ラキ、ハッチを開けろ」
「了解、隊長!」
「ワシも向かおうぞ。下賎な輩を懲らしめたいからのぉ」
「別にいいけど、ほどほどにね」
レシィも怒っているらしく、ドクターがなだめる。領主たちはハッチから出て、ローラに掴まりながら飛び去って行った。
「出航準備完了」
「目標は西だね」
「馬車を使って逃げたのならわだちが残っているはずだ」
「Dフライ1番機を射出!南西よりに飛ばし、車輪跡を見つけて!」
「了解、1番機射出」
黒き飛行体が薄暗い空へ飛び立つ。約3分後、砂漠に2つの細い溝の線を発見。ニールの言った通りだった。
「よし、見つけたね」
「凄いのじゃ」
「暗いのによく見つけたな」
「これも技術の一つだよ」
「Dフライを先行させて向かうぞ。レックス!」
「了解、航行開始」
イーグルの指示により、日が落ちる方向へ向けてドラグーン隊は出発した。
11/06/11 21:22更新 / 『エックス』
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