Blood Precula ♪
−第7話 渚の魚少女−
アペルスピィアとの戦いの中、傷ついた心と身体を癒す為。
紅玉 潮音(こうぎょく しおね)と紅玉 汐稟(せきりん)の姉妹は南の島にバカンスに来ていた。
「最近、アペルスピィアが活発に動いてるわね。」
「そうですねお姉さま。でもアペルスピィア、七傑衆の一人。岩土のテールを倒したのですからしばらくは大人しくしてるはずですわ。」
ビーチチェアに寝転がり、日陰の中から吹き込んでくる潮風を浴び。
海を眺めてバカンス気分を味わっていると。
「お嬢様。ブラッディーリリスをお持ちしました。」
執事の恰好をした男が二人に飲み物を運んできた。
「ありがとう清助。」
「清助さん。貴方も水着に着替えてもいいですよ?」
「いえ、お仕えしている身でそのような格好にはなれません。お傍にいますので御用があればなんなりとお申し付けください。」
「固いわねぇ。」
「そこがいいのではないですかお姉さま。」
一礼して彼女達の後ろへ下がる清助。彼は紅玉姉妹に仕えている執事。
二人にもっとも信頼されている男だ。
「それにしても気持ちいいわね。」
「ですわねぇ。これで日の下に出て海で泳げたらもっと気持ちいいんでしょうね。」
視線の先にいる海水浴を楽しんでいる者や日を浴びて身を焼いている者。
それを羨む目で汐稟は見ていた。
彼女達はヴァンパイアと呼ばれる種族で日の光を浴びると力が普通の少女並に落ち。
水に触れると発情してしまう特徴がある。
「この種族に生まれてしまった宿命ね。潮風に当たれるだけマシと考えましょ。」
「そうですわね。」
冷たいブラッディリリスを手に取り口に付けながら自分達なりのバカンスを楽しんでいく二人。
流れる潮の音と優しい風が彼女達を包み。
戦いでの疲れがたまっていたのか気がつくと眠っていたようで沈みゆく西日の光が潮音を深い闇から目覚めさせる。
「んぅ・・・。眠っていた様ね。これはタオルケット・・・、清助がかけてくれたのかしら?」
「すぅ・・・。すぅ・・・。」
「あら?汐稟はまだ寝ているのね。軽くかけてあるとはいえ、そろそろ西日でも浴び続けるのはまずいわ。ほら、汐稟。起きなさい。」
「駄目ですよ清助さん。そんな所触ったら・・・ムニュムニュ。」
どの様な夢を見ているのか、ヴァンパイアとは思えない顔で寝言を漏らして口から涎を垂らしている。
「夢の中とはいえ清助を一人占めするなんて・・・。汐稟!起きなさい!」
肩を掴み激しく揺らすと同時に海の方で爆発音が鳴り響き。
そちらの方から悲鳴が耳に届く。
「なに!?」
「きゃっ!?」
浜辺の方から逃げてくる人々と魔物娘達。
何事かと思って潮音が見ていると。
「た、大変です。アペルスピィアが海に現れたようです!」
テラスへと清助が緊急事態を知らせるように飛び込んできた。
「何ですって!?」
「えっ、えっ、えっ!?どうしたのですか!?」
事態が呑み込めている潮音と寝起きで何が起きているかわからない汐稟。
そして服をはだけうなじを出す清助。
「変身するわよ!」
「なんだかわかりませんが、わかりました!」
彼の元に近づくと左右からうなじへと噛みつく美女二人。
血を啜られ、苦悶の声を一つ漏らすと清助の身体から真っ赤な血の様な色をした布と漆黒を写し取った様な色をした布が潮音と汐稟を包み込む。
纏った布はマントとなり、そこから手足に紅黒い光が差し込むと。
手にはドレスミトン、足にはロングブーツが装着され。
更にマントの止め具から潮音には紅、汐稟には黒の布が放出されて身体を覆うとタキシードとスパッツが形成されて全ての衣裳が身を包み終わる頃、腰回りからフリル付きのショートスカートが現れて変身が完了する。
「心に刻む 血の躍動・・・!キュラルージュ!」
「心に刻む 深淵の闇・・・!キュラノワール!」
『ブラッド プリキュラ!』
「行ってくるわ清助!」
「あっ、待ってお姉さま!」
テラスから勢いよく飛びあがり、マントを翼のように使い爆音があった場所を探す。
すると、海の方から高速で接近してくるものが目に付き。
間一髪のところでそれを避けると、後方の森林で爆音が響いた。
「な、なんなのよ。あれは・・・。」
「まだきますわ!」
時間を置かずに放たれてくるもの。
それは人一人収まるぐらい大きな水球で、着弾したところで激しく弾けるので爆発したような音が鳴ったのだろう。
「み、水ぅ!?」
「当たるとワタクシ達はまずいですわ。」
「そうね。なら一気に相手のところまでいきましょ!」
「ええ!」
飛んでくる水球を避けながら、発射をしている相手の元へと近づいていく。
防風林を飛び越えて降り立った砂浜。
荷物や、ビーチパラソル。
玩具なのが置き去りになっていて誰もいない状態だ。
辺りを見渡していると、また水球が飛んできた。
「しつこいわね。」
「ふぅ、危なかったですわ。」
なんとか跳び上がって回避し、砂の上に着地すると波が不自然に引いていき。
干潟に少女が一人立っているのが視界に入る。
「あれは・・・。サハギン?」
「みたいですが、何か様子がおかしいですわ。」
佇むサハギンの表情には怒りが露わになっており、キュラの二人を睨みつけていた。
そして、引いていく波がうなりをあげて反転し。
大波となって襲ってくる。
「これは私達ごとここ一帯を壊滅させる気!?」
「なんて大きさなの・・・。」
凄まじい速さで迫りくる津波、住人に避難を呼びかけている時間はない。
ここで食い止めなければ、多くの命が失われてしまう。
「こさせはしないわ!私達がいる限り・・・。」
「そう。生きるもの全てを守るのがワタクシ達の使命・・・。」
「ノワール!」
「はい!ルージュ!」
ノワールとルージュが行動を起こそうと手を前に出し、目を閉じたその時。
水球が彼女達を襲った。
「きゃっ!?」
「なんで・・・。彼女の所に水なんて・・・。」
ずぶ濡れとなり、跪きながら干潟の方を見ると。
彼女の足元に滾々と湧きだしている水。
そしてしたり顔をしているサハギン。
「力が・・・。それに熱い・・・。」
「油断したわ・・・。あっ、擦れるだけで・・・。」
強い快楽が全身を走り、立つことさえままならない。
この津波が来たら・・・。
身体で受け止めたらどうなるのだろうか。
思考が定まらずにあらぬ方向へ考えがいきかけるが。
「駄目よノワール。」
「わかってますわ。ルージュ。」
再び目を閉じて手を前に出す。
余計な事を考えないように、津波だけに集中していく。
だが、その間にも何度も彼女達に打ちつけられる水球。
「ああぁ・・・。お願いもう少しだけ・・・。」
「ひゃっ・・・。そう、もう少しだけ・・・。」
二人が待っている時間は数秒だがそれが長く感じられる。
水をその身に浴びながらも集中し。
「Une Benediction du Sang(血の祝福)!」
「L´Evangile de I´obscurite(闇の福音)!」
言葉を唱えると、手の中からルージュはルビーを中心として宝石を噛み砕こうとする牙のレリーフがあしらわれたブローチが現れ。
ノワールの手にはラピスラズリを中心として宝石を抱擁する翼のレリーフがあしらわれたブローチが現れる。
苦々しい顔をするサハギン。
何かされる前に飲み込まなければと、津波の速度を上げていきキュラ達の目前まで大波を流していく。
「いまこそ血と!」
「闇の調べを奏でる時!」
しかし、彼女達は動じずに動いていき。
ノワールはルージュの後ろへと移動し、彼女の頭上にブローチを掲げる。
「紅い血潮を胸に秘め!」
「闇の汐が身体を巡る!」
すると、ノワールの背後に一対の黒翼が浮かび上がり。
ルージュの前方には血よりも深い紅色をした一対の牙が浮かび上がった。
「舞え!旋風!」
「唸れ!咆哮!」
黒の風と紅い風が一つに収縮され。
『Precula un Nobie de I´oubli(忘れられた貴族)!!』
掛け声と共に黒紅の刃が津波に走り、水を霧散させていき。
サハギンの元へと飛び、直撃する。
「きゃっ!?」
短い悲鳴と一緒に砂の上に彼女は落ち。
その上に霧散した水がゆっくりと落ちていく。
「やったかしら!?」
「手ごたえはあったわ!」
勝利を確信する二人だったが、必殺技を受けた身でもサハギンは立ち上がり。
自身が沸かせた水の中へと消えていき。
そして・・・。
「お前達、これで勝ったと思うな・・・。岩土のテールの仇は・・・。絶対にとるからな・・・。」
その言葉を残して彼女の気配は完全に無くなった。
「あの子やっぱりアペルスピィアの・・・。」
「水を操るなんて・・・。強敵ね。」
闇が空を染める中、彼女達は新たな敵との戦いに不安を抱く。
−アペルスピィア本拠地−
「ぐっ・・・。あぁ・・・。」
「オー!大丈夫か!」
「フー。大丈夫・・・。私、テールの仇。討てなかった。」
「気にするな!今は休め!」
傍に駆け寄り、身体を支える女性。
「弱点である水を操る濁流のオーをもってしても。プリキュラを倒せなかったか。」
「クリム様!」
オーと呼ばれたサハギンの元に五人の男女が集まり。
遺憾の表情で、また一人。
男が六人の前に現れた。
「オー、テールの仇が討てず。残念ではあるが少し休んでおけ。プリキュラは他の者で倒す算段をたてよう。」
「クリム様・・・。私は・・・。」
「テールが倒されてしまいお前まで失うわけにはいかないのだ。オーよ、暫しの我慢だ。」
クリムと呼ばれた男は彼女に手をかざすとオーはゆっくりと眠りについていく。
「さて、次にプリキュラと戦う者だが・・・。」
「俺に行かせてくれ!」
「フーか・・・。」
「いえ、ここは私が!」
紅い髪のサラマンダーと緑の髪をした青年が名乗りを上げる。
「ヴァン・・・。では二人で行くといい!だが、容赦はするな!」
『ハッ!!』
ついに本腰をいれてプリキュラを倒しに動くアペルスピィアの面々。
彼女達はこの猛攻に立ち向かえるのか。
−次回−
炎風吹き荒れる闇夜
貴女の心に血の鼓動を刻みましょ!
−撮影終了後−
「御疲れさまでした。」
「第七話分お二人の撮影は終了です。」
浜辺に佇む美女二人にスタッフが近づき、濡れた身体を拭く為のタオルを手渡す。
「ありがとう。この撮影のスタッフは本当に気が効いてるわ。」
「そうねお姉さま。ふかふかで気持ちいいわ。」
衣装室も兼ねているキャンピングカーの前で衣裳のマントやタキシードスーツを脱ぎ、カッターシャツとスパッツだけの姿にとなって服の水分をタオルで吸っていく。
「そういえば、鳥丸君は?」
「浜辺で撮影の時は見てませんわね。」
「彼でしたら車の中ですよ。」
『そう・・・。』
頬を紅く染めながら二人は呟いた。
「お嬢様、御疲れさまです。これ、替えの服です。」
扉が開き、車から着替えを持って出てくる鳥丸。
「でてきたわね。」
「悪いけど、今すぐ別荘に戻りますわよ?」
「えっ?あっ、はい。」
「松本さん。別荘の方に戻ってるんで連絡あったら電話でお願いね。」
「わかりました。監督や他のスタッフには話しておきますね。」
「ありがとうございます。では・・・。」
空間転移の魔法を使い、鳥丸は両腕を抱きつかれて別荘の方へと戻っていく。
撮影で使われたテラスに着くとそのまま寝室へと向かう。
「お水を浴びられたのでしたね。拙くはありますが。お相手させていただきます。」
ベッドへと腰をおろし、自ら肌を見せようと鳥丸は執事服を脱ごうとするが。
「脱がせて差し上げますわ。」
「お、お嬢様?」
「今はその呼び方じゃないでしょ?」
「そうだったね。アムルー、エプーズ。自分で出来るよ。」
服にかけられたエプーズの手に彼は優しく自分の手を添えた。
「ワタクシがしてあげたいのですわ。」
身を乗り出し、首筋に紅い舌で舐めながら。
ベストのボタンを外していき、更にカッターシャツのボタンも外していくエプーズ。
「では、私はこっちを。」
そういうとアムルーはズボンへと手を伸ばし、腹部のホックをとり。
足の方へと布を降ろす。
すると、そこには下着の上からでもはっきりとわかるほど鳥丸の肉棒が張っているのが確認できた。
「鳥丸?これはなにかしら。」
「すまない。血を吸われた高揚と二人の姿を見て我慢できずに・・・。」
「いけない子ね鳥丸さんは・・・。」
上半身の布を全て剥がれ、ガタイのいい身体が露わになると。
エプーズは舌を這わせて首筋から胸部へと肌を、汗を堪能していく。
「ふふふっ。甘いわ・・・。」
「エプーズ・・・。」
与えられる甘美な感覚に酔いそうになっていると、強い刺激が彼の下半身を襲う。
「駄目じゃない。私も見てくれないと。」
下着ごと張った肉棒を乱暴に掴み。
アムルーが上目遣いで彼を見ている。
その姿に喉が鳴り。
静かな部屋に響き渡った。
「もう我慢できないわ。しましょうか。」
「はい。鳥丸さん、今日はどちらが先ですか?」
「アムルー・・・。」
何かに魅入られたかのように姉の名を呼ぶ鳥丸。
そしてほくそ笑むアムルーは、下着姿になり彼の下腹部に跨ると布越しに秘所と肉棒を擦り合わせ始める。
「んっ!私、こんなに濡れてるのよ。もっと堅くして・・・。貫いて!」
鈍い快楽が二人の全身を駆け巡り、意地悪そうに腰を振る彼女。
必死に耐えて我慢する鳥丸の顔に桜色の肉と透き通るほど白い肌が覆い被さる。
「そちらはお姉さまが最初。なら口はワタクシを慰めてくださいね。」
いつの間にか裸になっていたエプーズが秘所を顔に近づけていく。
頭の中が痺れるような甘い匂いが鼻を、一度口にすれば他のものが喉を通らなくなるくらい甘美な蜜が唇に触れて。
自然と舌が媚肉と淫蜜を求めて動き出した。
「んっ。素敵ですわ。もっと隅を、全てを舐め尽して。」
脇目も振らず貪り、吸っていると鳥丸の肉棒は更に固く太くなっていき。
「擦ってあげてるのにエプーズで興奮して大きくするなんて・・・。」
彼女の嫉妬を買ってしまう。
その言葉が耳に入ったのか、彼も腰を動かしてアムルーの秘所に激しく擦りつけていく。
「あっ!あはぁ!いいわぁ!もっと動いて!ああん!」
熱くなっていく身体、込み上げてくる痺れ。
「んんぅ!カリの部分がクリトリスを引っ掻いて!凄いっ!」
「やぁっ!周りっ・・・、んっ。ばっかり・・・、中も!中も舐めてぇ!」
高みに昇る為だけに、肉棒で淫肉を攻め。
媚肉を貪り、腰を動かして快楽を得ていく。
「くるっ!ああぁ!きちゃうの!鳥丸!鳥丸!もっと!もっと!」
「ひゃっ!膣が!気持ちいい所に!舌が!舌が届いちゃってますぅ!」
ベッドの上で蠢く男女。
その姿は獣といってもおかしくないだろう。
蜜と先走りでグショグショとなっている下着同士が卑猥な音をたて。
それを同じくらいに啜る音が部屋中に響き渡っていき彼等の行動に拍車をかける。
「もう!あぅ!本当にぃ!駄目ぇ!駄目ぇ!」
「舐めて!吸って!啜って!突いて!」
行為に酔いしれ、快楽に溺れ。
一つの頂きに向かって三人は激しく交じり合い。
『あああぁぁ・・・。ひゅうううぅぅ・・・。』
絶頂を迎えた。
熱い迸りが下着を汚し。
琴切れたように、アムルーとエプーズは鳥丸の上で寄り添いあう。
「はぁ、はぁ、はぁ。よかったわよ、鳥丸。」
「凄い感じちゃいましたわ。」
余韻に身を震わせて悦に入る二人。
だが、これだけで彼女達は満足しない。
無論彼も満足をしていなかった。
「次は膣内で射精してね。孕むくらいたっぷりとね。」
「お姉さま、次はワタクシがそちらですわよ。」
三人の夜は始まったばかりだ。
「・・・。駄目だ、繋がらないな。」
緑髪の男が自分の液晶を見ながら呟く。
「全部撮り終わった。だから打ち上げなのに。」
隣にいるサハギンの子はまたかと呆れ顔をしている。
「今回は水を使用しましたので当分無理なんじゃないですか?」
「激しいだろうな三人とも。」
スタッフの松本が運転する車にのっている四人。
サラマンダーとサハギン。
そして男が二人。
「まあ、先に行って始めてましょう。皆さん待ってますから。」
スタッフや役者の夜もこれから始まっていく。
アペルスピィアとの戦いの中、傷ついた心と身体を癒す為。
紅玉 潮音(こうぎょく しおね)と紅玉 汐稟(せきりん)の姉妹は南の島にバカンスに来ていた。
「最近、アペルスピィアが活発に動いてるわね。」
「そうですねお姉さま。でもアペルスピィア、七傑衆の一人。岩土のテールを倒したのですからしばらくは大人しくしてるはずですわ。」
ビーチチェアに寝転がり、日陰の中から吹き込んでくる潮風を浴び。
海を眺めてバカンス気分を味わっていると。
「お嬢様。ブラッディーリリスをお持ちしました。」
執事の恰好をした男が二人に飲み物を運んできた。
「ありがとう清助。」
「清助さん。貴方も水着に着替えてもいいですよ?」
「いえ、お仕えしている身でそのような格好にはなれません。お傍にいますので御用があればなんなりとお申し付けください。」
「固いわねぇ。」
「そこがいいのではないですかお姉さま。」
一礼して彼女達の後ろへ下がる清助。彼は紅玉姉妹に仕えている執事。
二人にもっとも信頼されている男だ。
「それにしても気持ちいいわね。」
「ですわねぇ。これで日の下に出て海で泳げたらもっと気持ちいいんでしょうね。」
視線の先にいる海水浴を楽しんでいる者や日を浴びて身を焼いている者。
それを羨む目で汐稟は見ていた。
彼女達はヴァンパイアと呼ばれる種族で日の光を浴びると力が普通の少女並に落ち。
水に触れると発情してしまう特徴がある。
「この種族に生まれてしまった宿命ね。潮風に当たれるだけマシと考えましょ。」
「そうですわね。」
冷たいブラッディリリスを手に取り口に付けながら自分達なりのバカンスを楽しんでいく二人。
流れる潮の音と優しい風が彼女達を包み。
戦いでの疲れがたまっていたのか気がつくと眠っていたようで沈みゆく西日の光が潮音を深い闇から目覚めさせる。
「んぅ・・・。眠っていた様ね。これはタオルケット・・・、清助がかけてくれたのかしら?」
「すぅ・・・。すぅ・・・。」
「あら?汐稟はまだ寝ているのね。軽くかけてあるとはいえ、そろそろ西日でも浴び続けるのはまずいわ。ほら、汐稟。起きなさい。」
「駄目ですよ清助さん。そんな所触ったら・・・ムニュムニュ。」
どの様な夢を見ているのか、ヴァンパイアとは思えない顔で寝言を漏らして口から涎を垂らしている。
「夢の中とはいえ清助を一人占めするなんて・・・。汐稟!起きなさい!」
肩を掴み激しく揺らすと同時に海の方で爆発音が鳴り響き。
そちらの方から悲鳴が耳に届く。
「なに!?」
「きゃっ!?」
浜辺の方から逃げてくる人々と魔物娘達。
何事かと思って潮音が見ていると。
「た、大変です。アペルスピィアが海に現れたようです!」
テラスへと清助が緊急事態を知らせるように飛び込んできた。
「何ですって!?」
「えっ、えっ、えっ!?どうしたのですか!?」
事態が呑み込めている潮音と寝起きで何が起きているかわからない汐稟。
そして服をはだけうなじを出す清助。
「変身するわよ!」
「なんだかわかりませんが、わかりました!」
彼の元に近づくと左右からうなじへと噛みつく美女二人。
血を啜られ、苦悶の声を一つ漏らすと清助の身体から真っ赤な血の様な色をした布と漆黒を写し取った様な色をした布が潮音と汐稟を包み込む。
纏った布はマントとなり、そこから手足に紅黒い光が差し込むと。
手にはドレスミトン、足にはロングブーツが装着され。
更にマントの止め具から潮音には紅、汐稟には黒の布が放出されて身体を覆うとタキシードとスパッツが形成されて全ての衣裳が身を包み終わる頃、腰回りからフリル付きのショートスカートが現れて変身が完了する。
「心に刻む 血の躍動・・・!キュラルージュ!」
「心に刻む 深淵の闇・・・!キュラノワール!」
『ブラッド プリキュラ!』
「行ってくるわ清助!」
「あっ、待ってお姉さま!」
テラスから勢いよく飛びあがり、マントを翼のように使い爆音があった場所を探す。
すると、海の方から高速で接近してくるものが目に付き。
間一髪のところでそれを避けると、後方の森林で爆音が響いた。
「な、なんなのよ。あれは・・・。」
「まだきますわ!」
時間を置かずに放たれてくるもの。
それは人一人収まるぐらい大きな水球で、着弾したところで激しく弾けるので爆発したような音が鳴ったのだろう。
「み、水ぅ!?」
「当たるとワタクシ達はまずいですわ。」
「そうね。なら一気に相手のところまでいきましょ!」
「ええ!」
飛んでくる水球を避けながら、発射をしている相手の元へと近づいていく。
防風林を飛び越えて降り立った砂浜。
荷物や、ビーチパラソル。
玩具なのが置き去りになっていて誰もいない状態だ。
辺りを見渡していると、また水球が飛んできた。
「しつこいわね。」
「ふぅ、危なかったですわ。」
なんとか跳び上がって回避し、砂の上に着地すると波が不自然に引いていき。
干潟に少女が一人立っているのが視界に入る。
「あれは・・・。サハギン?」
「みたいですが、何か様子がおかしいですわ。」
佇むサハギンの表情には怒りが露わになっており、キュラの二人を睨みつけていた。
そして、引いていく波がうなりをあげて反転し。
大波となって襲ってくる。
「これは私達ごとここ一帯を壊滅させる気!?」
「なんて大きさなの・・・。」
凄まじい速さで迫りくる津波、住人に避難を呼びかけている時間はない。
ここで食い止めなければ、多くの命が失われてしまう。
「こさせはしないわ!私達がいる限り・・・。」
「そう。生きるもの全てを守るのがワタクシ達の使命・・・。」
「ノワール!」
「はい!ルージュ!」
ノワールとルージュが行動を起こそうと手を前に出し、目を閉じたその時。
水球が彼女達を襲った。
「きゃっ!?」
「なんで・・・。彼女の所に水なんて・・・。」
ずぶ濡れとなり、跪きながら干潟の方を見ると。
彼女の足元に滾々と湧きだしている水。
そしてしたり顔をしているサハギン。
「力が・・・。それに熱い・・・。」
「油断したわ・・・。あっ、擦れるだけで・・・。」
強い快楽が全身を走り、立つことさえままならない。
この津波が来たら・・・。
身体で受け止めたらどうなるのだろうか。
思考が定まらずにあらぬ方向へ考えがいきかけるが。
「駄目よノワール。」
「わかってますわ。ルージュ。」
再び目を閉じて手を前に出す。
余計な事を考えないように、津波だけに集中していく。
だが、その間にも何度も彼女達に打ちつけられる水球。
「ああぁ・・・。お願いもう少しだけ・・・。」
「ひゃっ・・・。そう、もう少しだけ・・・。」
二人が待っている時間は数秒だがそれが長く感じられる。
水をその身に浴びながらも集中し。
「Une Benediction du Sang(血の祝福)!」
「L´Evangile de I´obscurite(闇の福音)!」
言葉を唱えると、手の中からルージュはルビーを中心として宝石を噛み砕こうとする牙のレリーフがあしらわれたブローチが現れ。
ノワールの手にはラピスラズリを中心として宝石を抱擁する翼のレリーフがあしらわれたブローチが現れる。
苦々しい顔をするサハギン。
何かされる前に飲み込まなければと、津波の速度を上げていきキュラ達の目前まで大波を流していく。
「いまこそ血と!」
「闇の調べを奏でる時!」
しかし、彼女達は動じずに動いていき。
ノワールはルージュの後ろへと移動し、彼女の頭上にブローチを掲げる。
「紅い血潮を胸に秘め!」
「闇の汐が身体を巡る!」
すると、ノワールの背後に一対の黒翼が浮かび上がり。
ルージュの前方には血よりも深い紅色をした一対の牙が浮かび上がった。
「舞え!旋風!」
「唸れ!咆哮!」
黒の風と紅い風が一つに収縮され。
『Precula un Nobie de I´oubli(忘れられた貴族)!!』
掛け声と共に黒紅の刃が津波に走り、水を霧散させていき。
サハギンの元へと飛び、直撃する。
「きゃっ!?」
短い悲鳴と一緒に砂の上に彼女は落ち。
その上に霧散した水がゆっくりと落ちていく。
「やったかしら!?」
「手ごたえはあったわ!」
勝利を確信する二人だったが、必殺技を受けた身でもサハギンは立ち上がり。
自身が沸かせた水の中へと消えていき。
そして・・・。
「お前達、これで勝ったと思うな・・・。岩土のテールの仇は・・・。絶対にとるからな・・・。」
その言葉を残して彼女の気配は完全に無くなった。
「あの子やっぱりアペルスピィアの・・・。」
「水を操るなんて・・・。強敵ね。」
闇が空を染める中、彼女達は新たな敵との戦いに不安を抱く。
−アペルスピィア本拠地−
「ぐっ・・・。あぁ・・・。」
「オー!大丈夫か!」
「フー。大丈夫・・・。私、テールの仇。討てなかった。」
「気にするな!今は休め!」
傍に駆け寄り、身体を支える女性。
「弱点である水を操る濁流のオーをもってしても。プリキュラを倒せなかったか。」
「クリム様!」
オーと呼ばれたサハギンの元に五人の男女が集まり。
遺憾の表情で、また一人。
男が六人の前に現れた。
「オー、テールの仇が討てず。残念ではあるが少し休んでおけ。プリキュラは他の者で倒す算段をたてよう。」
「クリム様・・・。私は・・・。」
「テールが倒されてしまいお前まで失うわけにはいかないのだ。オーよ、暫しの我慢だ。」
クリムと呼ばれた男は彼女に手をかざすとオーはゆっくりと眠りについていく。
「さて、次にプリキュラと戦う者だが・・・。」
「俺に行かせてくれ!」
「フーか・・・。」
「いえ、ここは私が!」
紅い髪のサラマンダーと緑の髪をした青年が名乗りを上げる。
「ヴァン・・・。では二人で行くといい!だが、容赦はするな!」
『ハッ!!』
ついに本腰をいれてプリキュラを倒しに動くアペルスピィアの面々。
彼女達はこの猛攻に立ち向かえるのか。
−次回−
炎風吹き荒れる闇夜
貴女の心に血の鼓動を刻みましょ!
−撮影終了後−
「御疲れさまでした。」
「第七話分お二人の撮影は終了です。」
浜辺に佇む美女二人にスタッフが近づき、濡れた身体を拭く為のタオルを手渡す。
「ありがとう。この撮影のスタッフは本当に気が効いてるわ。」
「そうねお姉さま。ふかふかで気持ちいいわ。」
衣装室も兼ねているキャンピングカーの前で衣裳のマントやタキシードスーツを脱ぎ、カッターシャツとスパッツだけの姿にとなって服の水分をタオルで吸っていく。
「そういえば、鳥丸君は?」
「浜辺で撮影の時は見てませんわね。」
「彼でしたら車の中ですよ。」
『そう・・・。』
頬を紅く染めながら二人は呟いた。
「お嬢様、御疲れさまです。これ、替えの服です。」
扉が開き、車から着替えを持って出てくる鳥丸。
「でてきたわね。」
「悪いけど、今すぐ別荘に戻りますわよ?」
「えっ?あっ、はい。」
「松本さん。別荘の方に戻ってるんで連絡あったら電話でお願いね。」
「わかりました。監督や他のスタッフには話しておきますね。」
「ありがとうございます。では・・・。」
空間転移の魔法を使い、鳥丸は両腕を抱きつかれて別荘の方へと戻っていく。
撮影で使われたテラスに着くとそのまま寝室へと向かう。
「お水を浴びられたのでしたね。拙くはありますが。お相手させていただきます。」
ベッドへと腰をおろし、自ら肌を見せようと鳥丸は執事服を脱ごうとするが。
「脱がせて差し上げますわ。」
「お、お嬢様?」
「今はその呼び方じゃないでしょ?」
「そうだったね。アムルー、エプーズ。自分で出来るよ。」
服にかけられたエプーズの手に彼は優しく自分の手を添えた。
「ワタクシがしてあげたいのですわ。」
身を乗り出し、首筋に紅い舌で舐めながら。
ベストのボタンを外していき、更にカッターシャツのボタンも外していくエプーズ。
「では、私はこっちを。」
そういうとアムルーはズボンへと手を伸ばし、腹部のホックをとり。
足の方へと布を降ろす。
すると、そこには下着の上からでもはっきりとわかるほど鳥丸の肉棒が張っているのが確認できた。
「鳥丸?これはなにかしら。」
「すまない。血を吸われた高揚と二人の姿を見て我慢できずに・・・。」
「いけない子ね鳥丸さんは・・・。」
上半身の布を全て剥がれ、ガタイのいい身体が露わになると。
エプーズは舌を這わせて首筋から胸部へと肌を、汗を堪能していく。
「ふふふっ。甘いわ・・・。」
「エプーズ・・・。」
与えられる甘美な感覚に酔いそうになっていると、強い刺激が彼の下半身を襲う。
「駄目じゃない。私も見てくれないと。」
下着ごと張った肉棒を乱暴に掴み。
アムルーが上目遣いで彼を見ている。
その姿に喉が鳴り。
静かな部屋に響き渡った。
「もう我慢できないわ。しましょうか。」
「はい。鳥丸さん、今日はどちらが先ですか?」
「アムルー・・・。」
何かに魅入られたかのように姉の名を呼ぶ鳥丸。
そしてほくそ笑むアムルーは、下着姿になり彼の下腹部に跨ると布越しに秘所と肉棒を擦り合わせ始める。
「んっ!私、こんなに濡れてるのよ。もっと堅くして・・・。貫いて!」
鈍い快楽が二人の全身を駆け巡り、意地悪そうに腰を振る彼女。
必死に耐えて我慢する鳥丸の顔に桜色の肉と透き通るほど白い肌が覆い被さる。
「そちらはお姉さまが最初。なら口はワタクシを慰めてくださいね。」
いつの間にか裸になっていたエプーズが秘所を顔に近づけていく。
頭の中が痺れるような甘い匂いが鼻を、一度口にすれば他のものが喉を通らなくなるくらい甘美な蜜が唇に触れて。
自然と舌が媚肉と淫蜜を求めて動き出した。
「んっ。素敵ですわ。もっと隅を、全てを舐め尽して。」
脇目も振らず貪り、吸っていると鳥丸の肉棒は更に固く太くなっていき。
「擦ってあげてるのにエプーズで興奮して大きくするなんて・・・。」
彼女の嫉妬を買ってしまう。
その言葉が耳に入ったのか、彼も腰を動かしてアムルーの秘所に激しく擦りつけていく。
「あっ!あはぁ!いいわぁ!もっと動いて!ああん!」
熱くなっていく身体、込み上げてくる痺れ。
「んんぅ!カリの部分がクリトリスを引っ掻いて!凄いっ!」
「やぁっ!周りっ・・・、んっ。ばっかり・・・、中も!中も舐めてぇ!」
高みに昇る為だけに、肉棒で淫肉を攻め。
媚肉を貪り、腰を動かして快楽を得ていく。
「くるっ!ああぁ!きちゃうの!鳥丸!鳥丸!もっと!もっと!」
「ひゃっ!膣が!気持ちいい所に!舌が!舌が届いちゃってますぅ!」
ベッドの上で蠢く男女。
その姿は獣といってもおかしくないだろう。
蜜と先走りでグショグショとなっている下着同士が卑猥な音をたて。
それを同じくらいに啜る音が部屋中に響き渡っていき彼等の行動に拍車をかける。
「もう!あぅ!本当にぃ!駄目ぇ!駄目ぇ!」
「舐めて!吸って!啜って!突いて!」
行為に酔いしれ、快楽に溺れ。
一つの頂きに向かって三人は激しく交じり合い。
『あああぁぁ・・・。ひゅうううぅぅ・・・。』
絶頂を迎えた。
熱い迸りが下着を汚し。
琴切れたように、アムルーとエプーズは鳥丸の上で寄り添いあう。
「はぁ、はぁ、はぁ。よかったわよ、鳥丸。」
「凄い感じちゃいましたわ。」
余韻に身を震わせて悦に入る二人。
だが、これだけで彼女達は満足しない。
無論彼も満足をしていなかった。
「次は膣内で射精してね。孕むくらいたっぷりとね。」
「お姉さま、次はワタクシがそちらですわよ。」
三人の夜は始まったばかりだ。
「・・・。駄目だ、繋がらないな。」
緑髪の男が自分の液晶を見ながら呟く。
「全部撮り終わった。だから打ち上げなのに。」
隣にいるサハギンの子はまたかと呆れ顔をしている。
「今回は水を使用しましたので当分無理なんじゃないですか?」
「激しいだろうな三人とも。」
スタッフの松本が運転する車にのっている四人。
サラマンダーとサハギン。
そして男が二人。
「まあ、先に行って始めてましょう。皆さん待ってますから。」
スタッフや役者の夜もこれから始まっていく。
11/09/04 08:33更新 / 朱色の羽