お話 その3
用意された部屋は、何処にでもある民宿と言った風貌の部屋で、とても長閑な気分にさせてくれた。そこへゴブリンとホブゴブリンをご招待し、手厚く歓迎をしてみた。
「本当にありがとう、助かった」
「う、うん、まぁ、当然の事をしたまで!」「…までー」
相変わらずの調子で二人とも笑顔を作っていた。何処か違和感こそ覚えるが、眩しくて逆に見えない。
「…だけど、その前に確認したいことがあるんだ」
ビクビクッ! またしても二人の動きが固まる。…そんなにまで、差し支える事なのだろうか。いやしかし俺も気にせずにはいられない。今すぐにでも聞いてみたいくらいなのだから。まぁ、抑える事でもないし、この際しっかりと聞いておいた方がいいだろう。……ヨシ。
「袋の中を見せてくれないか? 一応購入分が正しいかチェックしておきたいんだ」
用法容量とか言う言葉が一瞬浮かんだが、いやそれは違うだろう、と俺の脳にツッコミを入れておいて。ラミア姉さんは頼んだモノの量をちゃっかりしっかり書いていたのを俺はちゃーんと覚えている。これで足りなかったりでもしたら、俺はまた別の方法で悲惨な目に遭いかねない。それだけはご勘弁な!そうこうしている間に、ゴブリンの娘から袋を貰い受けて、常設してある机の上で袋から取り出してみる。
まず1つ目、アルラウネの特濃蜜―――『ラウネ嬢の特別濃厚蜜瓶』とか言うの。
続いて2つ目、幼マンドラゴラの根―――『おにいちゃんLove根っ娘♪』とか言うの。
最後に3つ目、絶倫御神酒―――『すかい☆はい』とか言うの。
……うん、それぞれ指定された数、それ以上のモノが手に入っていた。満足とかってレベルじゃないね。
「……これもー」
横から手がにゅっと伸びてくる。ホブゴブリンの娘にもそう言えば頼みごとをしてたんだっけか。良く見ると布一枚巻かれただけの胸が机に押さえつけられて、形を崩している。……げ、ゲフンゲフン!!
「こっちもありがとな。えーっと、食糧食―――」
………明らかに変だ。
確かに大量の食糧を頼んだことに間違いはないが、袋の大きさが尋常じゃない。ビッゲストだ。しかも、なんか袋の入り口から木製の何かがお目見えしているんだが。なんじゃこりは。思わずホブゴブリンのむ…顔を見つめていると、何やらごそごそと彼女が動き出して、取りだしてきたのは……木製でできた球技用の……。
「……バット」
ゴブリン?
「…バットォ」
ふぁー↓
「……くす」
ちなみにアレ、実はDoubleImpactって言ってるんですよね。でもどう聞いたって―――。いや、なんて言うか、他にも袋の中から出てきたのは謎のアイテムばかりで正直どうなるかと思った。ちなみに言えば食糧らしい食糧が出てこなかったのも残念だ。ナンテコッタイ。
「…♪」
ただ、中から色々取りだして嬉しそうにしている彼女を見ると強くこれを間違いだとは言えなかった。それにこんな大きなものを担いで来てくれたんだから、魔物娘である彼女たちだって、疲れているに違いない。せめて何か労って上げられればいいんだけど……。そこで考え付いたのは、今更な事だった。
「あ、そういえばお金渡してなかったっけ。それじゃあお金を」
「―――身体で、返してくれるんだよねー?」
***
ガチャリ。民宿の割にセキュリティの高い鍵が、今目の前で閉じられた。何故!? 目を白黒させながらゴブリンの娘を見ると、今まで見たことも無い顔をしていた。
「おにーさん。最初に、名前を書いてくれたよね?」
「………」
「あれね、実は私たちがお手伝いをしてもしなくても、
私たちとぜーったいえっちしてくれる、って言う契約書なんだよー?」
さも当たり前のように彼女は言った。それは、子供が悪戯を成功させたような笑顔で。…いや、何処か違う。子供だったらもっと屈託なく笑っていただろう。普通なら、“普通の悪戯”だから。だけどこの二人にとってそれは違う悪戯であって、そんな彼女たちの笑みは―――淫らで蕩けた笑顔だったから。
「おにーさん」
「え、ちょ、ちょっと…」
「実はね、私おにーさんの事、好きになっちゃったんだぁ」
ゴブリンの娘は、こちらにジリジリと歩きながら、そんな事を言った。
「噂を聞いても待っててくれたし、私のおねーちゃんにも、優しくしてくれた」
…ほんの一瞬。ほんの一瞬だけ、彼女の笑みからいやらしい色が抜けて落ちた。
「大きな街の片隅で誰にも相手にしてくれなかったのに―――おにーさん、優しいね」
だがそれも、一瞬で豹変してしまって。
「ううん、違うかな? おにーさん、取っておきのカモさんだったよぉ……♪」
俺が逃げうせる前に、彼女は俺を布団へと押し倒すとそのまま馬乗りにされてしまった。突如として訪れた出来事に俺はのっ掛られるのを阻止するのも弾き飛ばすのも無理だった。そしてズボンをずるりと脱がされ、彼女も、その身体を覆う衣服を取っ払い――――俺の目の前から“消えた”。 …と同時に、ゴンッ!!
「―――痛ったぁ!!」
俺はその声を聞いた途端に部屋の片隅へと逃げる。当然部屋から逃走できない以上意味はないが。とりあえず逃げ際に脱がされたズボンを引っ手繰って股間の近くに押し当てる。こ、こんなんで大きくなってるんだから、俺は童貞のままなんだよチキショー!!
「…だめっ」
「ちょ、ちょっとおねーちゃん!? せっかくいい所だったのにー!!」
股間を隠しつつ、俺はこの状況が何なのかを頭で少しずつ整理してみることにした。目の前で言い争いを始めたのは、素っ裸になったゴブリン娘と、ホブゴブリン娘だった。この二人似てると思ったら姉妹だったんだ…とかじゃなくて、ゴブリンが可愛い肢体を見せて、でもなくて!どういう事だか分からないが、唯一分かる事言えば、多分姉のホブゴブリンが妹のゴブリンを引っ張ったのだ。――― “俺に馬乗りになってエッチをしようとしていたはずの妹”を。
「…だめったら、だめ」
「どうして!? せっかくおにーさんを籠絡するいい機会だったのにっ!」
「…のー」
どういう事だろうか。恐らくこの二人はこうする事を目的で俺を誘い込み、この状況を作ったはずだ。二人が魔物娘であれば、確かに言葉の通り俺は『美味しそうなカモ』として、子作り繁栄の男なはず。だが、それを姉ホブゴブリンの方が遮ったのだ。ってことは、二人の意見は対立している……?
「どうしてなのー!? 理由があるならちゃんと言ってよー!!」
「………」
怒り心頭の妹ゴブリンの言葉を遮ることなく、ホブゴブリンは俺の方向をじっと見つめている。上半身も裸になっている俺としては、その目線がこの上なく痛々しく感じてたまらなかったのだが…、
「……優しい人」
彼女の口から飛び出した一言は、俺も、妹の立場であるゴブリンにも驚愕の一言だった。文字にして書いても、たった数文字しかないこの文字。だが声にしてみると、それはまるで、愛しい人を大切に想って言った事のようなイメージを持たせるのに、十分すぎる声色だった。
「た、確かに、何の疑いもなくここまで私たちを過信したのはこのおにーさんだけど!!」
「…過信じゃない。…信頼」
「ぅ…………」
すっかり言いくるめられてしまったようで、妹ゴブリンは俯いたまま言葉が出なくなってしまった。どうやら反撃の言葉も出ないようだ。いや、もしかしたら出しようが無いのかもしれない…。目の前で起こった出来事に俺も少しだけ落ち着いた気分を取り戻してきた所で、
「………ごめん、なさい…」
姉であるホブゴブリンの娘が、深々と頭を下げた。若干胸の重みで出来てないように見えたが、いや、それよりも俺にだって言いたいことがある。勝手に話が進んでて、口がはさめなかっただけだ。
「…俺から色々、訊きたいことがあるんだ」
「……?」
どうやら、予想外の言葉が飛んできたようでホブゴブリンの娘が首をかしげている。
「あ、その前にゴブリンも俺も一旦服の方着させてくれない?」
だって恥ずかしいですもの。キャ☆
「本当にありがとう、助かった」
「う、うん、まぁ、当然の事をしたまで!」「…までー」
相変わらずの調子で二人とも笑顔を作っていた。何処か違和感こそ覚えるが、眩しくて逆に見えない。
「…だけど、その前に確認したいことがあるんだ」
ビクビクッ! またしても二人の動きが固まる。…そんなにまで、差し支える事なのだろうか。いやしかし俺も気にせずにはいられない。今すぐにでも聞いてみたいくらいなのだから。まぁ、抑える事でもないし、この際しっかりと聞いておいた方がいいだろう。……ヨシ。
「袋の中を見せてくれないか? 一応購入分が正しいかチェックしておきたいんだ」
用法容量とか言う言葉が一瞬浮かんだが、いやそれは違うだろう、と俺の脳にツッコミを入れておいて。ラミア姉さんは頼んだモノの量をちゃっかりしっかり書いていたのを俺はちゃーんと覚えている。これで足りなかったりでもしたら、俺はまた別の方法で悲惨な目に遭いかねない。それだけはご勘弁な!そうこうしている間に、ゴブリンの娘から袋を貰い受けて、常設してある机の上で袋から取り出してみる。
まず1つ目、アルラウネの特濃蜜―――『ラウネ嬢の特別濃厚蜜瓶』とか言うの。
続いて2つ目、幼マンドラゴラの根―――『おにいちゃんLove根っ娘♪』とか言うの。
最後に3つ目、絶倫御神酒―――『すかい☆はい』とか言うの。
……うん、それぞれ指定された数、それ以上のモノが手に入っていた。満足とかってレベルじゃないね。
「……これもー」
横から手がにゅっと伸びてくる。ホブゴブリンの娘にもそう言えば頼みごとをしてたんだっけか。良く見ると布一枚巻かれただけの胸が机に押さえつけられて、形を崩している。……げ、ゲフンゲフン!!
「こっちもありがとな。えーっと、食糧食―――」
………明らかに変だ。
確かに大量の食糧を頼んだことに間違いはないが、袋の大きさが尋常じゃない。ビッゲストだ。しかも、なんか袋の入り口から木製の何かがお目見えしているんだが。なんじゃこりは。思わずホブゴブリンのむ…顔を見つめていると、何やらごそごそと彼女が動き出して、取りだしてきたのは……木製でできた球技用の……。
「……バット」
ゴブリン?
「…バットォ」
ふぁー↓
「……くす」
ちなみにアレ、実はDoubleImpactって言ってるんですよね。でもどう聞いたって―――。いや、なんて言うか、他にも袋の中から出てきたのは謎のアイテムばかりで正直どうなるかと思った。ちなみに言えば食糧らしい食糧が出てこなかったのも残念だ。ナンテコッタイ。
「…♪」
ただ、中から色々取りだして嬉しそうにしている彼女を見ると強くこれを間違いだとは言えなかった。それにこんな大きなものを担いで来てくれたんだから、魔物娘である彼女たちだって、疲れているに違いない。せめて何か労って上げられればいいんだけど……。そこで考え付いたのは、今更な事だった。
「あ、そういえばお金渡してなかったっけ。それじゃあお金を」
「―――身体で、返してくれるんだよねー?」
***
ガチャリ。民宿の割にセキュリティの高い鍵が、今目の前で閉じられた。何故!? 目を白黒させながらゴブリンの娘を見ると、今まで見たことも無い顔をしていた。
「おにーさん。最初に、名前を書いてくれたよね?」
「………」
「あれね、実は私たちがお手伝いをしてもしなくても、
私たちとぜーったいえっちしてくれる、って言う契約書なんだよー?」
さも当たり前のように彼女は言った。それは、子供が悪戯を成功させたような笑顔で。…いや、何処か違う。子供だったらもっと屈託なく笑っていただろう。普通なら、“普通の悪戯”だから。だけどこの二人にとってそれは違う悪戯であって、そんな彼女たちの笑みは―――淫らで蕩けた笑顔だったから。
「おにーさん」
「え、ちょ、ちょっと…」
「実はね、私おにーさんの事、好きになっちゃったんだぁ」
ゴブリンの娘は、こちらにジリジリと歩きながら、そんな事を言った。
「噂を聞いても待っててくれたし、私のおねーちゃんにも、優しくしてくれた」
…ほんの一瞬。ほんの一瞬だけ、彼女の笑みからいやらしい色が抜けて落ちた。
「大きな街の片隅で誰にも相手にしてくれなかったのに―――おにーさん、優しいね」
だがそれも、一瞬で豹変してしまって。
「ううん、違うかな? おにーさん、取っておきのカモさんだったよぉ……♪」
俺が逃げうせる前に、彼女は俺を布団へと押し倒すとそのまま馬乗りにされてしまった。突如として訪れた出来事に俺はのっ掛られるのを阻止するのも弾き飛ばすのも無理だった。そしてズボンをずるりと脱がされ、彼女も、その身体を覆う衣服を取っ払い――――俺の目の前から“消えた”。 …と同時に、ゴンッ!!
「―――痛ったぁ!!」
俺はその声を聞いた途端に部屋の片隅へと逃げる。当然部屋から逃走できない以上意味はないが。とりあえず逃げ際に脱がされたズボンを引っ手繰って股間の近くに押し当てる。こ、こんなんで大きくなってるんだから、俺は童貞のままなんだよチキショー!!
「…だめっ」
「ちょ、ちょっとおねーちゃん!? せっかくいい所だったのにー!!」
股間を隠しつつ、俺はこの状況が何なのかを頭で少しずつ整理してみることにした。目の前で言い争いを始めたのは、素っ裸になったゴブリン娘と、ホブゴブリン娘だった。この二人似てると思ったら姉妹だったんだ…とかじゃなくて、ゴブリンが可愛い肢体を見せて、でもなくて!どういう事だか分からないが、唯一分かる事言えば、多分姉のホブゴブリンが妹のゴブリンを引っ張ったのだ。――― “俺に馬乗りになってエッチをしようとしていたはずの妹”を。
「…だめったら、だめ」
「どうして!? せっかくおにーさんを籠絡するいい機会だったのにっ!」
「…のー」
どういう事だろうか。恐らくこの二人はこうする事を目的で俺を誘い込み、この状況を作ったはずだ。二人が魔物娘であれば、確かに言葉の通り俺は『美味しそうなカモ』として、子作り繁栄の男なはず。だが、それを姉ホブゴブリンの方が遮ったのだ。ってことは、二人の意見は対立している……?
「どうしてなのー!? 理由があるならちゃんと言ってよー!!」
「………」
怒り心頭の妹ゴブリンの言葉を遮ることなく、ホブゴブリンは俺の方向をじっと見つめている。上半身も裸になっている俺としては、その目線がこの上なく痛々しく感じてたまらなかったのだが…、
「……優しい人」
彼女の口から飛び出した一言は、俺も、妹の立場であるゴブリンにも驚愕の一言だった。文字にして書いても、たった数文字しかないこの文字。だが声にしてみると、それはまるで、愛しい人を大切に想って言った事のようなイメージを持たせるのに、十分すぎる声色だった。
「た、確かに、何の疑いもなくここまで私たちを過信したのはこのおにーさんだけど!!」
「…過信じゃない。…信頼」
「ぅ…………」
すっかり言いくるめられてしまったようで、妹ゴブリンは俯いたまま言葉が出なくなってしまった。どうやら反撃の言葉も出ないようだ。いや、もしかしたら出しようが無いのかもしれない…。目の前で起こった出来事に俺も少しだけ落ち着いた気分を取り戻してきた所で、
「………ごめん、なさい…」
姉であるホブゴブリンの娘が、深々と頭を下げた。若干胸の重みで出来てないように見えたが、いや、それよりも俺にだって言いたいことがある。勝手に話が進んでて、口がはさめなかっただけだ。
「…俺から色々、訊きたいことがあるんだ」
「……?」
どうやら、予想外の言葉が飛んできたようでホブゴブリンの娘が首をかしげている。
「あ、その前にゴブリンも俺も一旦服の方着させてくれない?」
だって恥ずかしいですもの。キャ☆
11/03/07 19:36更新 / 緑色の何か
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