幸せにしてやる!だから一生傍に居ろ!
「ったく、美知代の奴、人には『飲みすぎるな』とか言っておきながら自分が酔い潰れちまうなんて……」
「カリバルナのビールを飲み始めてから急に酔い始めてたな。あのアオオニの夫……確か、武吉だよな?あいつも巻き添え喰らって大変だったな」
「そうそう、最終的には淫ら上戸になっちまって、半ば強引に武吉を船の自室へ連れ込んじまってさ。今頃激しく交わりあってるだろうよ」
「旦那の方は大変だろうな。サフィアは酒を飲まない性格で良かったよ」
「あ、そう言えばサフィアはどうしたんだ?さっきから何処にも見当たらないんだが?」
「疲れて眠ったピュラを背負って自室に戻って行ったさ。多分サフィアも一緒に寝てるだろうな」
「あの二人って見てて微笑ましいよな。種族こそ違ってはいるが、それでも本当の姉妹に見える」
「そうだろ?たとえ血が繋がってなくても、あの二人は固い絆で結ばれてるのさ」
「……な〜にカッコ付けてんだか」
「るっせーよ」
……こんな感じで、砂浜に埋められてる岩に腰掛け、キッドと何気ない雑談を交えながら酒や摘まみ物を堪能していた。
と言っても、宴自体はもうお開きとなってるようなもので、回りの仲間たちは既に後片付けの最中だった。
その中にはキッドの仲間と一緒に宴の片づけをしてるルトの姿が見える。あいつも自ら進んで後片付けの手伝いに名乗り出てくれたのだ。
……俺としては、片付けよりも俺の傍に居て欲しかったんだけどなぁ……。
ま、それがルトの良いところなんだけどな。
「そういや奈々、アンタ等はこれからどうする予定なんだ?」
「あぁ、もう少し此処で寛いで、二日後くらいに出航しようと思うんだ」
「俺等もそんくらいに出る予定だ。ちなみに進路方向は西南だが」
「そうか……俺たちは北に向かう予定なんだ」
「此処から北って……なんかあったか?」
「あぁ、此処から北にある雪国に寄ろうと思うんだ。そこで製造されてる酒は格別だって聞いたもんでな」
「……アンタも筋金入りの酒好きだな」
「俺だけじゃねぇぞ。基本的に俺の仲間たちはみんな酒好きだ。ルトと武吉を除いて!」
「……酒乱女軍団め。男組が可哀想だ」
「うっせーよ!」
そして俺たちはこの島から北に向かい、キッドたちは西南に向かう予定だ。
それぞれ行き先が違う……つまり、キッドたちとはお別れって事になる。
まぁ、再び会う機会も自ずとやって来るだろうよ。その時にまた一緒に酒を飲めると良いな。
「あはは、二人とも楽しそうですね」
「お、ルト!手伝いはもう終わったのか?」
「はい。『後は私たちでやるから、先に部屋に戻って良いよ』と言われました」
すると、後片付けの手伝いをしてたルトが俺たちのところへ戻って来た。
「よぅ、お疲れ。オレンジジュース飲むか?」
「あ、キッドさん。ありがとうございます」
キッドはオレンジジュースが入ってるガラスの瓶を丸ごとルトに差し出した。ルトは瓶を受け取ると、何かを探すように辺りをキョロキョロと見渡し始める。
「どうした?飲まないのか?」
「いえ、あの、コップが無くて……」
どうやらジュースを注ぐコップを探してるらしい。
そんなもの無くても、直接飲んじまえば良いのに……相変わらず繊細だな。
「んなもん要らねぇだろ。そのままグイッと飲めよ」
「でも、他の人も飲むのでは……」
「それ丸ごとお前さんにやるから、気にしないで飲めよ」
「良いんですか?」
「お前さんだって男だろ?細かい事を一々気にしてちゃ埒が明かねぇぞ」
「は、はい」
と、キッドに促されるままにルトは瓶のジュースをグイッと一口飲んだ。
「どうだ?コップでチビチビ飲むより美味いんじゃないか?」
「あはは……そうかもしれませんね」
「だろ?お前さんも海賊なんだから、もっと豪快にやろうぜ」
「あ……は、はい!」
お前も海賊……そう言われたルトは一瞬だけ戸惑ったものの、すぐに大きく頷いて応えた。
……そういやルトって厳密に言ったら海賊って訳じゃないんだよな。
モーガンの野朗から逃げ出して、海で俺に拾われて、そのまま俺の船に乗って……。
結論から言うと、ルトは根からの海賊って訳じゃない。
ま、細かい事はどうでもいいか!俺の傍に居てくれれば、それで良いし♪
「さて、もう夜遅いし、俺も寝ようかな」
するとキッドは酒が入ってる瓶を片手に持って岩から立ち上がった。
「じゃ、先に失礼するぜ。また明日会おうな」
「おう、お休みー」
そしてキッドは俺たちに背を向けて、悠々とした足取りで自分の船へと進んで行った。
「……おぉ、そうだ」
と思ったら、途中で急に足を止めて徐に身体を捻って俺へと視線を向けた。
「ちょいと一言だけ言っておくが……」
「?」
キッドは不敵な笑みを浮かべながらグッと親指を立てて言った。
「何事も当たって砕けてみろよ!」
「……ふん」
自ずとキッドの言ってる意味が分かってしまった。返答代わりに鼻で笑ってやると、キッドは満足そうに頷き、捻った身体を戻してから再び船へと戻って行った。
……あいつ、俺のルトに対する気持ちを読み取ってたな。まぁ、俺も宴の最中に何かとルトを気に掛けたからな。察されてもしょうがないか。
「……あの、奈々さん。キッドさんは一体何を言ってたのですか?」
「さぁ?俺にもサッパリ分かんねぇ」
「そうですか……」
肩を竦めて誤魔化してみた。
……当たって砕けろ、か……。悪くはないかもな。
話すタイミングは今なのかもしれない。確かな根拠も無いくせに、そんな事を思ってしまった。
「ルト、この後暇か?」
「あ、はい。暇ですけど……」
「ちょいと話があるんだ。此処じゃアレだから、一緒に俺の部屋に来てくれ」
「え……は、はい」
とりあえず、ルトと一緒に俺の部屋へ向かう事にした。話が終わればちょうどそこで眠れるし、二人きりになれるから都合が良いだろう。
だが心なしか、俺の部屋に行くと決めた途端、ルトが緊張しているようにも見えた……。
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「お邪魔します……」
「おう、入んな」
早速俺たちは船に戻り、俺の自室……所謂船長室へと入っていった。タンスにベッドに、横に伸びてる長い机……生活に必要な家具が設置されてる普通の部屋だが、それでも居心地は良いものだ。
「……どした?そんなにキョロキョロして」
「あ、すいません。奈々さんの部屋に入るのって初めてで……」
「あぁ、そういやそうだったな。ま、泥棒しようと企んでも無駄だぞ。此処には金目の物なんて無いからな」
「え!?い、いや、僕はそんな事しません!絶対しません!」
「はは、冗談だっての。お前はそんな事をするような男じゃないって、分かってるさ」
言われてみて気付いたが、ルトが実際に俺の部屋に入るのは初めてだったな。
初めて出会ってから一週間以上も経ったってのに、部屋に入る機会が無かったなんて……全くおかしな話だな。
「とりあえず……そこの椅子に腰掛けてくれ」
「はい」
ルトを机の向かい側にある椅子に座らせて、俺はルトと向かい合うようにアラクネ属専用の椅子に腰掛けた。
「……さて、本題に入るが……」
俺は自ら口を開いて、話を切り出した。
「お前がこの船に乗ってから大分……いや、一週間ちょっとは経ってるが、お前は俺たちの事をどう思ってるんだ?」
「はい、えっと……『魔物は人間を無闇に殺す』なんて間違った認識を持ってた所為で、最初は怖いと思ってましたが、今はそんな事は思ってません」
「それじゃあ、今は俺たちと一緒に居るのは嫌じゃないのか?」
「はい、奈々さんも、武吉さんも、美知代さんも、みんな優しくて良い人たちです」
「そうか……良かった!」
少なくともルトは船の魔物たちが怖いとは思わなくなったようだ。最初の頃はルトが怖がってた所為で色々とぎこちなかったが……何はともあれ、心を開いてくれたようでよかった。
……ふと、初めてルトに出会った頃が頭に浮かんだ。
あの時はルトも魔物の事を誤解してた所為で、あまり口を利かなかったり、目を合わせなかったりと大変だった。俺もルトと距離を縮めようと奮闘したが、空回りで終わってしまうのがオチだった。
そういや半ば強引な手段で、一緒に風呂に入った時もあったな。あれがきっかけで少しはルトと仲良くなれたんだった。あの時のルトの真っ赤な顔ときたら……ククク♪
「……あの、奈々さん?」
「……は!あ、そうそう!それでだな……」
……ヤッべー、思わずニヤニヤしちまったよ。話の最中だってのに……。
自分を戒めるように両手で頬を軽く叩いてから話を再開した。
「もう一度訊くが、お前は魔物が怖いとは思ってないんだな?」
「はい、怖くないです」
「俺もか?」
「はい!」
「そうか……それじゃあ……」
俺は一呼吸置いて、ルトの目を力強くジッと見つめて……。
「……なんつーか、その……あー、えー……」
「?」
どうすりゃキチンと想いが伝わるのか考えてみたが……特に良い言葉が頭に浮かばなかった。
だが……言葉なんて難しいものを使う必要も無いかもしれない。想ってる事をそのまま口にすれば、それで……。
「……その、な……」
俺は……正直にルトへの想いを口に出した。
「俺さ、ルトの事が好きなんだよ。だから俺の夫になってくれねぇか?」
「……え?」
ルトは……初めはポカンと口を開けてたが、やがて俺の言ってる意味を理解したのか、次第に顔を赤く染めて激しく動揺した。
「え?そ、それってどう言う……」
「言葉通りだ!俺はルトが好きなんだよ!冗談無しで惚れてるんだよ!」
「え?え!?えぇぇ!?ちょ、え、嘘!そんな!」
「嘘じゃねぇよ!俺は本気だ!」
「ほ、ほほ本気!?ちょ、なななんで!?な、え!?」
「とりあえず落ち着け。ほら、深呼吸だ」
「はははひぃ!……スー……ハー……」
このままパニック状態でいると話が進まないので、とりあえず深呼吸を促して気持ちを落ち着かせた。
何もここまで動揺しなくても良いのによ……。そんなに意外な事だったのか?
「はぁ……はぁ……」
「落ち着いたか?」
「ご、ごめんなさい。そんな事言われたの、初めてで……」
「気にすんな。で……ルトはどうなんだ?」
「あ、えっと……」
落ち着いたところで話を再開したが……どうもルトの方は顔を真っ赤にしたまま俯いて複雑な表情を浮かべている。嬉しそうな……そして迷ってるような……そんな複雑な表情だ。
だが、今言った言葉は嘘なんかじゃない。ルトにはこれからも傍に居て欲しい。
最初の頃は、魔物に対して怯えてばかりいるルトとの距離をとにかく縮めようと奮起してた。避けられてばかりいるのが嫌で、自ら積極的にルトに近付いて行って……。
その結果、ルトとの距離が少しずつ縮まって、ルトの事を色々と知るようになるうちに……ルトを一人の男として見るようになった。
ルトは背も低いし、俺と比べたらかなり若い。でもルトは素直で優しくて、その小さな身体の内に強くて固い心を秘めている。そんなルトを見ているうちに、俺は……何時の間にかルトを愛するようになった。
俺は……ルトが好きなんだ。俺は本気でルトと一緒に居たいと思っている。
「……なんで……ですか?」
「ん?」
「なんで……僕なんですか?」
徐に顔を上げて、俺の目を見ながら怖ず怖ずと話すルト。
『なんで?』と言うルトに答えようとする前に、ルトが先に口を開いた。
「僕……とても弱くて頼りないし……今日だって、奈々さんに護ってもらってばかりだった。こんな……こんな僕を、どうして好きになったのですか?奈々さんに相応しい男なんて、他にもいるのに……」
……なんだそれ?自分は相応しくないとでも言いたいのか?
だとしたら見当違いだな。相応しいとか相応しくないとか、どうでもいい事気にしやがってよ……。
「弱い?情けない?まさか、そんな理由で断る気じゃねぇだろうな?だとしたら納得出来ねぇな。どれも理由になってない。そもそも、相応しいかどうかなんて、どうでもいいだろ!」
「で、でも……」
「でもじゃねぇ!自分に自信を持てよ!だいたい、お前は弱くなんかないだろ!今日の戦いで、お前は俺を護ろうとしてくれたじゃねぇか!本当に弱かったら、俺を護ろうだなんてしなかっただろ!?」
「それは……」
「本音を言えば……あんな無茶な真似はして欲しくなかった!これからも同じ様な事はして欲しくない!だが、俺を護ろうとしてくれたのは嬉しかった!好きな男に護られるってのは、何よりも嬉しい事なんだ!」
今日のモーガンとの戦い……あの時にルトは身を挺してまで俺を護ろうとした。戦える訳でもないのに、それでも俺を護ろうとした。
あの時、俺は本当に嬉しかった。敵わないと分かっていても、勇気を振り絞って護ろうとする姿はカッコよく見えた。本気で俺を護ろうとしてる……そう思うだけで、心から喜びを感じた。
とは言っても、ルトには二度とあんな無謀な真似はして欲しくないけどな……。
「俺からも訊くけどな、ルトは俺の事どう思ってるんだ!?好きなのか!?嫌いなのか!?」
「そ、それは……」
「いいかルト、もしもお前が俺の事を嫌ってるんなら、それは仕方の無い事だ。俺も潔く諦める!だが、ちゃんとした理由の無い拒否は認めない!俺は相応しいかどうかが聞きたいんじゃない!俺は……お前の気持ちを聞きたいんだ!」
机から身を乗り出し、ルトの肩に手を置いてしっかりと両目を見つめながら問い質した。
相応しいかどうかなんて、どうでもいい!大事なのは相手を想う心だ!
俺は……ルトの本当の気持ちが知りたいんだ!
「だから、好きか嫌いか……正直に言ってくれ!」
「……僕……」
ルトの両手は小刻みに震えていた。物凄く緊張しているのが一目見ただけで分かるくらいに……震えていた。
だが、それでもルトは腹の底から絞り出したような声で……俺を見つめ返しながら言った。
「僕も……奈々さんが……好きです……!」
その返答は……俺にとって最も嬉しい一言だった。
「……本当か?」
「はい……」
「俺の夫になってもいいんだな?」
「僕も……奈々さんの夫になりたいです」
「……よし!」
椅子から立ち上がり、ゆっくりとルトの傍まで歩み寄る。そしてルトの小さな身体を優しく抱きしめた。
「ルト……好きだぞ。これからもずっと一緒に居ような……」
照れ臭さを覚えながらも、ルトの耳元で改めて愛を囁いた。
我ながら大胆で臭い行動だが……互いの心が繋がった瞬間だと感じた。
「……う……ひぐっ……」
「……ルト?」
突然ルトが俺の腕に抱かれたまま咽び泣き始めた。
急にどうしたんだ……?もしかして、腕にちょっと力を入れすぎたか?
「どうした?もしかして、痛かったか?」
「違うんです……僕……今まで、こんなに……愛された事が一度も無くて……」
「…………」
「僕も……こんなに……女の人を好きになったの……初めてで……それが叶って……もう……嬉しさが……抑えられなくて……!」
「……そうか……」
大粒の涙を流すルトの頭を、俺は無言で優しく撫でた。
そうだ……ルトが生きてた時の流れを考えてみると、とても女と縁があったとは思えない。そもそもルトは、あまりにも早く両親を亡くしてしまった。幼い頃から家族の愛も受けられず、ましてや家族以外の誰かから心から愛されるなんて……そんな日は滅多に来なかったのだろう。
そう思うと……ルトを愛する想いと、ルトを護りたいと思う気持ちがより一層強まってきた。
「ルト、俺が一生お前を幸せにしてやる!だから……だから一生傍に居てくれよ!」
「う、ひっく……」
嗚咽しながらもルトは俺にしがみ付いてきた。
……幸せにする、か。こういうのって男が女に言う台詞なんだろうけどな……。
「えぐっ、う……ひっく……」
「……ルト……」
まだ泣きじゃくるルトの両目に浮かんでる涙を指で拭い、その瞳をジッと見つめてみる。
少し泣いた所為でもあるのか、とても潤ってて宝石の様に光で反射している。今まで見てきた宝石より何十倍も綺麗に見えた。
俺は、そんな綺麗な瞳に吸い寄せられるかのように、ゆっくりと顔を近づけて……。
「ん……」
「っ!?」
そっと、ルトの唇と俺の唇を重ね合わせた。軽く触れ合うだけの、優しいキス。それだけでも心臓が激しく鼓動を打って、今までにない幸福と安らぎが身体に染み渡ってきた。
実を言うと、俺は今までこうしてキスをした経験なんて一度も無かった。つまり、これは俺にとって……初めてのキスって事になる。
今日まで人の唇が、こんなにも柔らかくて甘いものだとは思わなかった。だが、こんなにも幸せを感じるのは、相手がルトだから……そうだとしか思えなかった。
「ん……へへ、こんなの初めてやったが……想像以上に柔らかいんだな」
「…………」
そっと俺から唇を離して、愛おしさを憶えながらルトの頭を撫でると、ルトは顔を真っ赤に染めたまま呆然としていた。
この反応を見る限り……キスの意味はちゃんと分かってるようだな。こんなに初心な反応を見せられたら、辛抱堪んないぜ……♪
「……やっぱり、初めてだったか?」
「え、あ……はい……」
「そうかそうか♪折角だからさ、もっと……な?」
「ちょ、まだ心の準備が……んん……」
「ん、ちゅ……ん……」
緊張しまくってるルトに構わず、またしても唇を重ねた。ルトの後頭部を右手で抑えて唇を強く触れ合わせる。
「んぅ……ちゅ……ん……」
当然ながら二回だけで気が済む訳が無く、ルトへの愛情を注ぐかのように何度も唇を重ねた。
小鳥が餌を啄ばむように、何度も触れ合わせるだけの淡いキス。始めた時はそれだけでも良いものだと感じたが、やがて物足りないと思った時には、自ずと濃厚な味を求めるようになった。
「ん……はぁ、んちゅぅ……ん、ふぅ……」
更に舌をルトの口内に侵入させて、そのままルトの舌を絡めとって欲情のままに嘗め回した。
優しく愛でる様にルトの舌を夢中で嘗め続ける。ルトの方は、どうすれば良いのか分からなくなってきてるのか、抵抗もせずにされるがままの状態になっていた。
「ん、はぁ……お?」
一旦唇を離してルトの様子を窺うと、何やらルトの股間が盛り上がってるのが見えた。
ズボンの下から今にでも解放されたそうに盛っている……勃起しちまったようだ。見た目は可愛らしいが、ルトも正真正銘の男って事だな。
「おぉ、早速反応しちまったか。可愛い奴め」
「うぁっ!?そ、そんなところ……触らないで……!」
「ん〜?こっちの方はもっと触って欲しいと言ってるが?」
ズボンの上から興奮しているルトの股間に触れてみる。まだ十分に発達していないとはいえ、ギチギチに固くなってるのが服の上からでも感じ取れた。
しかしまぁ……こんなに愛おしい顔を見せられると、俺の方まで感じちまうぜ。もっと色々と気持ち良いこと、させてやりてぇ……!
……ここだと色々と不便だよな。ベッドに移るか。
「ほらルト、一緒にベッド行こうぜ」
「な、奈々さん!?」
戸惑うルトを軽々と抱きかかえ、すぐ傍に設置されてるベッドまで移動した。そしてルトを優しくベッドの上で仰向けに寝かせて、俺自身もルトの上に跨るようにベッドに乗った。
「さて、早いとこ脱いじまいなよ」
「ちょ、な、奈々さん!何をする気ですか!?」
「決まってるだろ……こうするんだよ」
早速ルトのズボンに手を掛けて、中で履かれてる下着ごと一気に下へずらした。
「おぉ……!」
脱がせたズボンと下着をベッドの隅へ投げ捨てながらも、正体を現したルトの男の証を目の当たりにして感嘆の声を上げてしまった。
やはり未だに身体の発達が未熟であるためか、勃起状態でも全体的にやや小振りで、亀頭にも皮が被っている。
だが、そんな発展途上の逸物でも、俺の気持ちは萎えるどころか、逆にもっと昂られていく感覚を覚えた。
魔物としての性、そしてルトへの愛情……その両方がルトと交わりたいと言う欲求を更に強めさせた。
「奈々さん……そんなに見ないで……」
「はは、やっぱ恥ずかしいか?」
「……はい……」
赤面で頷くルトを見て、俺の心臓が早鐘を打つ音が耳に響いた。
自分でもヤバいくらいに興奮してきてる……堪んねぇ……!
「そうだ。ルトだけ脱ぐのは不公平だよな。そんじゃ俺も……」
と、俺も着ている衣服をパパッと脱ぎ捨てて、裸体となった上半身を曝け出した。すると、ルトの視線は俺の胸に釘付けになり、何も言わずに見つめている。
「うわぁ……」
「……顔真っ赤にしちまって。そんなに俺の胸が気になるか?」
「え、えっと……とても大きくて綺麗なので、つい……」
「はは、そうか!そう言われると嬉しいぜ!」
「ふみゅっ!?」
褒められて嬉しくなり、胸をルトの顔に押し付けるようにルトに圧し掛かった。
鼻に掛けるつもりは無いが……これでもGカップはある胸だ。
以前から戦闘時にはこのデカい胸が邪魔で……普段からサラシを巻いて抑える必要があった。サラシを解く度に、また巻かなきゃならなかったし……正直、この胸は悩みの一つでもあった。
だが、今ここでルトが俺の胸を褒めてくれたお陰でその悩みも吹っ飛んじまった。ルトが俺に見惚れてくれると、俺も嬉しいからな!
「んん、ん〜!」
「……あ、悪い」
俺の胸に顔を埋めてる……いや、正確には埋められてるルトが俺の脇腹を叩いて危険信号を知らせた。慌てて胸を離すと、ルトは窒息寸前だったのか、肩で激しく息をしている。
俺の胸ってそんな殺傷能力があったのか……と、自嘲気味に笑いながらルトの上半身を起き上がらせて、ルトの片手を取って俺の胸に触らせた。
「ほら……どうだ?」
「あ……柔らかい……」
自らルトの手を握ったまま誘導させて、ルトに胸を揉ませた。小さくて温かい手が乳房を優しく撫で回し、俺の身体を更に熱くさせる。
「ルト……」
「え……ん!?」
「ん、ちゅ……んん……」
片手でルトの顎を持ち上げて、俺の真正面に向かれた唇を奪った。すかさず舌を口内へと侵入させてルトの舌を絡め取り、無我夢中に舐め回す。そしてご無沙汰になってる片手をルトのペニスへと伸ばして、竿の部分を指先で擦ってみた。
「……な、奈々さん!そ、そんなところ触ったら汚いですよ!」
「別に汚くはないだろ。それより、もっと……な?」
「え……ん、んぅ……」
「ん……はぅ、ん……ちゅぅ……じゅ、じゅるぅ……」
勢いに押されて後方に倒れそうになったルトの背中に片腕を回し、しっかりと身体を支えながら離れた唇を再び重ねて舌を進入させた。口内に溜まってるルトの唾液を掬い取るように舌を動かす。俺の口の中に微々と注がれるルトの唾液は、今まで口にしてきた酒とは比べ物にならないくらい美味なもので、頭も身体も酔い痴れてしまいそうになった。
「はぅむ、ん、じゅ……ちゅ、れる、ん……」
「ん、ん!ちゅっ……んぅ!」
昂る気持ちに身を任せ、舌を休ませずにルトのペニスを扱いた。あまり慣れてない所為で敏感なのか、上下に手を動かす度にルトの口から吐息が漏れてる。
亀頭の部分を撫でてみると、何やら粘り気のある液体が指に触れた。早くも先走り汁とやらが出たらしい。俺の手で感じてくれてると分かっただけで心から喜ばしく思えてきた。
「……はぁ……ルトぉ……もう我慢出来ねぇよ……」
もはや俺の内に秘める魔物の性には敵いそうにもなかった。
早くルトの逸物を俺の膣に入れたい。ルトと一つになりたい……!
欲求に従うようにルトを仰向けに寝かせて、俺は魔力で隠れてる自分の性器を露にさせた。
「あ……」
「どうだ?これが女のマンコだが……やっぱり本物を見るのは初めてか?」
「は、はい……」
ルトに見えるように自分の手で膣口を広げて見せた。
一番恥ずかしいところを見られてると思うと興奮するな……。それに、これから本番をすると思うとゾクゾクが止まらない……!
「へへ……よく見てろよ。今からこの中に、ルトのちんこを入れるんだ……」
「入れるって……え!?」
片手でルトのペニスを支えて、俺の膣口に宛がわせた。後はそのまま腰を下ろせば、ルトの逸物が入ってくる。
「あ、あの、だ、大丈夫なんですか!?こんな事して……!」
「心配するなよ。これは互いに愛し合う者同士がやるんだ。死にはしないさ」
「あ、愛し……合う……」
「それとも……俺じゃ嫌か?」
「い、嫌なんてそんな……嬉しいです!」
「……へへ、俺もさ!」
最初こそ戸惑ってばかりだったルトだが、今ようやくその気になってきたようだ。
俺もやっとルトと一つになれるんだ……精一杯の愛情を注いでやらないとな!
「そんじゃ、入れるぞ……」
躊躇うことなく徐々に腰を下ろし始めた。亀頭の先から少しずつ進入してきて、途中でカリ首が膣壁を擦って初めての快感を覚える。
「ん……く……」
途中で圧迫されてるように感じたが……そろそろ、あの辺りまで来たのだろう。
だが、それでも途中で止めたくない。全部受け入れたいと思いながら徐々に腰を下ろす。
「……うぁ、あ……!」
そしてようやくルトのペニスが全部収まった。
そして、一生に一度味わうと言われてる、破瓜の痛みも……!
「な、奈々さん!血!血が出てる!」
「あ、あぁ……女は初めてセックスすると、必ずマンコから血が出るんだよ」
膣内から流れてきた微量の血を見た途端、ルトは酷く驚いた表情で俺の顔を見上げた。
まぁ、ほんの少しとは言え、いきなり流血なんて見せられたら驚くか。前もって言っておけばよかったかもな……。
「な……奈々さん!抜いて!抜いてください!」
「え?え?え?」
すると、ルトが突然俺の膣からペニスを抜こうと、俺の腕を掴んで必死に訴えた。
どうしたんだよ急に……。
「ど、どうしたんだよ?痛いのか?」
「僕じゃなくて……奈々さん、痛いなら早く抜いた方が良いですよ!血も出てるし、早く手当てしなきゃ!」
「ルト……」
こんな時でも心配してくれてるんだな、俺の事……。
俺……こんなに優しい男と結ばれて……本当に幸せだな……!
「……ありがとな。俺の事、心配してくれて……」
心の内で嬉しさと愛おしさが混ざり合いながらも、俺の腕を掴んでるルトの手をそっと握った。
「心配するな。大して辛くないし、痛みもすぐに消えるさ」
「で、でも……!」
「それにな、痛みよりも……ルトと結ばれた嬉しさの方がずっと……!」
これ以上興奮を抑えきれなくなり、無意識のうちに自分から腰を振り始めた。
ピストン運動が繰り返される度に、グチョグチョと膣内から卑猥な水音が響き渡る。
「ん、あぁ、うぁ……これ、スゲェ……良い……!」
「あ、うわぁ……あっ!」
腰を打ち付ける度にルトの肉棒が膣壁を擦る。
こんな経験が無かった為、無意識に膣内の締め付けを強くしてしまう。その分ルトのペニスが膣内で徐々に大きくなり、膣壁との密着も感じ取れた。
「あぁっ、あ、凄い!へ、変な感じ……う、ああ!」
「ひぁっ、はぁ!ル、ルト!どうだ!?俺のマンコ、気持ち良いか!?うぁっ、んはぁあん!」
「は、はいぃ!とても温かくて……こんなの、初めて、で、うぁ……!」
「あ、あぁ!俺も……気持ち良いぞ!ひゃ、うぁ!あぁっ!あっ!んぁあ!」
もう処女膜を破った痛みなんて既に消え失せていた。腰を振る度に駆け巡る快楽に酔い痴れて、夢中で腰を振り続ける。
ルトの方は頬を紅く染めながらも、腰を打ち付けられる度に快感で身悶えている。その表情を見ていると、もっと互いに気持ち良くなりたいと思うようになり、自然と腰を振る激しさを増していた。
「うぁっ!奈々さん、激しい……あ!あっ!」
「スマンな、ルト……あ、ひゃ!もう歯止めが……あっ!あぁ!んぁ!」
これもウシオニの特性なのか、心ではもっと優しくしてやりたいとは思ってるものの、快感を求めるあまりに激しくしてしまう。
もっとルトを感じたいという想いから、途中で止めるような真似をする気にはなれなかった。
「はぁ、あ!奈々さん……!」
「ん、ふぁ……!ルト……?」
すると、その最中にルトが潤んだ瞳で俺を見つめながら、恐る恐ると両手を俺に向けて伸ばしてきた。
「どうした?俺のおっぱい……触りたくなったのか?」
「奈々さん……僕、奈々さんと……手を繋ぎたい……!」
胸を触りたいのかと思ったら、俺の手を握ってもらいたいようだ。
望み通りに指と指を絡め合わせるようにルトの両手を握った。俺の手が大き過ぎる所為でルトの手がすっぽりと収まってるように見えるが、それでもルトの手の温かさは十分に伝わった。
「あぁ、あっ!奈々さんの手……握ってると、すごく安心できます……!」
「あぅ、んぁ!……へへ!嬉しいこと、言ってくれるじゃねぇか……!」
「奈々さん……あっ!ふぁ、ひゃん!」
「くっ!ふぁ、んぁ、あぁっ!好きだぞ、ルト!ずっと、ずっと好きだからな!ん、あぁ!ひゃぁん!」
手を握り合ったまま、腰を最大限に激しく振って快楽に溺れ行く。もはや絶頂に達するまでには時間も掛かりそうになかった。
「うぁ、あぁ!奈々さん!なんか、出そうだよ!」
「あっ!あっ!あぁっ!ルトも……イキそうなんだな!?いいぞ、我慢しないでこのまま中に出してくれ!」
「だ、大丈夫なんですか!?」
「あぁ、寧ろ欲しい!ルトの濃厚な精液、たっぷりと注がれたいんだよ!」
ルトの方も射精が近いのか、握ってる手の力を強めながらより一層身悶えている。
俺もルトの精液が欲しくて、本能のままに激しく腰を振り続けた。
「あ、あぁ!奈々さん、僕、もう……!」
「あぁっ!お、俺もヤバイ……イク!イッちまう!あ、あひゃ!あぁっん!」
力の限り腰を打ち付けて射精を促す。俺の方も絶頂がすぐ直前まで迫ってきて、そして……!
「うぁ、で、出る……!」
「んはぁっ!あ、熱い!ルトの精液、こんなに……あっ!」
ルトの逸物から精液が噴出された。想像以上に量が多く、熱くて粘り気のある精液が膣内に纏わりつく。
「うぁ、あ!ひゃ、イク!イクぅぅっ!はぅぁあああぁっ!」
そして同時に俺も絶頂に達してしまった。身体がビクビクと痙攣を起こし、今まで感じた事のない快楽と幸福が全身を駆け巡った。
……ヤベェ……これ、癖になる……!
「……ルト……」
一気に身体中の力が抜けて、ルトに覆い被さるように倒れこむ。激しく動いた後だから身体が熱くて汗も滲み出てるが、ルトは嫌がる事なく俺を受け止めてくれた。
「はぁ……ルト、どうだった?」
「はい、その……よ、良かったです……」
「あぁ、俺もだよ……」
絶頂の余韻に浸りながらも、俺はルトへと視線を合わせて……。
「んっ♪」
その小さくて柔らかい唇に……そっと自分の唇を重ねた。
「カリバルナのビールを飲み始めてから急に酔い始めてたな。あのアオオニの夫……確か、武吉だよな?あいつも巻き添え喰らって大変だったな」
「そうそう、最終的には淫ら上戸になっちまって、半ば強引に武吉を船の自室へ連れ込んじまってさ。今頃激しく交わりあってるだろうよ」
「旦那の方は大変だろうな。サフィアは酒を飲まない性格で良かったよ」
「あ、そう言えばサフィアはどうしたんだ?さっきから何処にも見当たらないんだが?」
「疲れて眠ったピュラを背負って自室に戻って行ったさ。多分サフィアも一緒に寝てるだろうな」
「あの二人って見てて微笑ましいよな。種族こそ違ってはいるが、それでも本当の姉妹に見える」
「そうだろ?たとえ血が繋がってなくても、あの二人は固い絆で結ばれてるのさ」
「……な〜にカッコ付けてんだか」
「るっせーよ」
……こんな感じで、砂浜に埋められてる岩に腰掛け、キッドと何気ない雑談を交えながら酒や摘まみ物を堪能していた。
と言っても、宴自体はもうお開きとなってるようなもので、回りの仲間たちは既に後片付けの最中だった。
その中にはキッドの仲間と一緒に宴の片づけをしてるルトの姿が見える。あいつも自ら進んで後片付けの手伝いに名乗り出てくれたのだ。
……俺としては、片付けよりも俺の傍に居て欲しかったんだけどなぁ……。
ま、それがルトの良いところなんだけどな。
「そういや奈々、アンタ等はこれからどうする予定なんだ?」
「あぁ、もう少し此処で寛いで、二日後くらいに出航しようと思うんだ」
「俺等もそんくらいに出る予定だ。ちなみに進路方向は西南だが」
「そうか……俺たちは北に向かう予定なんだ」
「此処から北って……なんかあったか?」
「あぁ、此処から北にある雪国に寄ろうと思うんだ。そこで製造されてる酒は格別だって聞いたもんでな」
「……アンタも筋金入りの酒好きだな」
「俺だけじゃねぇぞ。基本的に俺の仲間たちはみんな酒好きだ。ルトと武吉を除いて!」
「……酒乱女軍団め。男組が可哀想だ」
「うっせーよ!」
そして俺たちはこの島から北に向かい、キッドたちは西南に向かう予定だ。
それぞれ行き先が違う……つまり、キッドたちとはお別れって事になる。
まぁ、再び会う機会も自ずとやって来るだろうよ。その時にまた一緒に酒を飲めると良いな。
「あはは、二人とも楽しそうですね」
「お、ルト!手伝いはもう終わったのか?」
「はい。『後は私たちでやるから、先に部屋に戻って良いよ』と言われました」
すると、後片付けの手伝いをしてたルトが俺たちのところへ戻って来た。
「よぅ、お疲れ。オレンジジュース飲むか?」
「あ、キッドさん。ありがとうございます」
キッドはオレンジジュースが入ってるガラスの瓶を丸ごとルトに差し出した。ルトは瓶を受け取ると、何かを探すように辺りをキョロキョロと見渡し始める。
「どうした?飲まないのか?」
「いえ、あの、コップが無くて……」
どうやらジュースを注ぐコップを探してるらしい。
そんなもの無くても、直接飲んじまえば良いのに……相変わらず繊細だな。
「んなもん要らねぇだろ。そのままグイッと飲めよ」
「でも、他の人も飲むのでは……」
「それ丸ごとお前さんにやるから、気にしないで飲めよ」
「良いんですか?」
「お前さんだって男だろ?細かい事を一々気にしてちゃ埒が明かねぇぞ」
「は、はい」
と、キッドに促されるままにルトは瓶のジュースをグイッと一口飲んだ。
「どうだ?コップでチビチビ飲むより美味いんじゃないか?」
「あはは……そうかもしれませんね」
「だろ?お前さんも海賊なんだから、もっと豪快にやろうぜ」
「あ……は、はい!」
お前も海賊……そう言われたルトは一瞬だけ戸惑ったものの、すぐに大きく頷いて応えた。
……そういやルトって厳密に言ったら海賊って訳じゃないんだよな。
モーガンの野朗から逃げ出して、海で俺に拾われて、そのまま俺の船に乗って……。
結論から言うと、ルトは根からの海賊って訳じゃない。
ま、細かい事はどうでもいいか!俺の傍に居てくれれば、それで良いし♪
「さて、もう夜遅いし、俺も寝ようかな」
するとキッドは酒が入ってる瓶を片手に持って岩から立ち上がった。
「じゃ、先に失礼するぜ。また明日会おうな」
「おう、お休みー」
そしてキッドは俺たちに背を向けて、悠々とした足取りで自分の船へと進んで行った。
「……おぉ、そうだ」
と思ったら、途中で急に足を止めて徐に身体を捻って俺へと視線を向けた。
「ちょいと一言だけ言っておくが……」
「?」
キッドは不敵な笑みを浮かべながらグッと親指を立てて言った。
「何事も当たって砕けてみろよ!」
「……ふん」
自ずとキッドの言ってる意味が分かってしまった。返答代わりに鼻で笑ってやると、キッドは満足そうに頷き、捻った身体を戻してから再び船へと戻って行った。
……あいつ、俺のルトに対する気持ちを読み取ってたな。まぁ、俺も宴の最中に何かとルトを気に掛けたからな。察されてもしょうがないか。
「……あの、奈々さん。キッドさんは一体何を言ってたのですか?」
「さぁ?俺にもサッパリ分かんねぇ」
「そうですか……」
肩を竦めて誤魔化してみた。
……当たって砕けろ、か……。悪くはないかもな。
話すタイミングは今なのかもしれない。確かな根拠も無いくせに、そんな事を思ってしまった。
「ルト、この後暇か?」
「あ、はい。暇ですけど……」
「ちょいと話があるんだ。此処じゃアレだから、一緒に俺の部屋に来てくれ」
「え……は、はい」
とりあえず、ルトと一緒に俺の部屋へ向かう事にした。話が終わればちょうどそこで眠れるし、二人きりになれるから都合が良いだろう。
だが心なしか、俺の部屋に行くと決めた途端、ルトが緊張しているようにも見えた……。
============
「お邪魔します……」
「おう、入んな」
早速俺たちは船に戻り、俺の自室……所謂船長室へと入っていった。タンスにベッドに、横に伸びてる長い机……生活に必要な家具が設置されてる普通の部屋だが、それでも居心地は良いものだ。
「……どした?そんなにキョロキョロして」
「あ、すいません。奈々さんの部屋に入るのって初めてで……」
「あぁ、そういやそうだったな。ま、泥棒しようと企んでも無駄だぞ。此処には金目の物なんて無いからな」
「え!?い、いや、僕はそんな事しません!絶対しません!」
「はは、冗談だっての。お前はそんな事をするような男じゃないって、分かってるさ」
言われてみて気付いたが、ルトが実際に俺の部屋に入るのは初めてだったな。
初めて出会ってから一週間以上も経ったってのに、部屋に入る機会が無かったなんて……全くおかしな話だな。
「とりあえず……そこの椅子に腰掛けてくれ」
「はい」
ルトを机の向かい側にある椅子に座らせて、俺はルトと向かい合うようにアラクネ属専用の椅子に腰掛けた。
「……さて、本題に入るが……」
俺は自ら口を開いて、話を切り出した。
「お前がこの船に乗ってから大分……いや、一週間ちょっとは経ってるが、お前は俺たちの事をどう思ってるんだ?」
「はい、えっと……『魔物は人間を無闇に殺す』なんて間違った認識を持ってた所為で、最初は怖いと思ってましたが、今はそんな事は思ってません」
「それじゃあ、今は俺たちと一緒に居るのは嫌じゃないのか?」
「はい、奈々さんも、武吉さんも、美知代さんも、みんな優しくて良い人たちです」
「そうか……良かった!」
少なくともルトは船の魔物たちが怖いとは思わなくなったようだ。最初の頃はルトが怖がってた所為で色々とぎこちなかったが……何はともあれ、心を開いてくれたようでよかった。
……ふと、初めてルトに出会った頃が頭に浮かんだ。
あの時はルトも魔物の事を誤解してた所為で、あまり口を利かなかったり、目を合わせなかったりと大変だった。俺もルトと距離を縮めようと奮闘したが、空回りで終わってしまうのがオチだった。
そういや半ば強引な手段で、一緒に風呂に入った時もあったな。あれがきっかけで少しはルトと仲良くなれたんだった。あの時のルトの真っ赤な顔ときたら……ククク♪
「……あの、奈々さん?」
「……は!あ、そうそう!それでだな……」
……ヤッべー、思わずニヤニヤしちまったよ。話の最中だってのに……。
自分を戒めるように両手で頬を軽く叩いてから話を再開した。
「もう一度訊くが、お前は魔物が怖いとは思ってないんだな?」
「はい、怖くないです」
「俺もか?」
「はい!」
「そうか……それじゃあ……」
俺は一呼吸置いて、ルトの目を力強くジッと見つめて……。
「……なんつーか、その……あー、えー……」
「?」
どうすりゃキチンと想いが伝わるのか考えてみたが……特に良い言葉が頭に浮かばなかった。
だが……言葉なんて難しいものを使う必要も無いかもしれない。想ってる事をそのまま口にすれば、それで……。
「……その、な……」
俺は……正直にルトへの想いを口に出した。
「俺さ、ルトの事が好きなんだよ。だから俺の夫になってくれねぇか?」
「……え?」
ルトは……初めはポカンと口を開けてたが、やがて俺の言ってる意味を理解したのか、次第に顔を赤く染めて激しく動揺した。
「え?そ、それってどう言う……」
「言葉通りだ!俺はルトが好きなんだよ!冗談無しで惚れてるんだよ!」
「え?え!?えぇぇ!?ちょ、え、嘘!そんな!」
「嘘じゃねぇよ!俺は本気だ!」
「ほ、ほほ本気!?ちょ、なななんで!?な、え!?」
「とりあえず落ち着け。ほら、深呼吸だ」
「はははひぃ!……スー……ハー……」
このままパニック状態でいると話が進まないので、とりあえず深呼吸を促して気持ちを落ち着かせた。
何もここまで動揺しなくても良いのによ……。そんなに意外な事だったのか?
「はぁ……はぁ……」
「落ち着いたか?」
「ご、ごめんなさい。そんな事言われたの、初めてで……」
「気にすんな。で……ルトはどうなんだ?」
「あ、えっと……」
落ち着いたところで話を再開したが……どうもルトの方は顔を真っ赤にしたまま俯いて複雑な表情を浮かべている。嬉しそうな……そして迷ってるような……そんな複雑な表情だ。
だが、今言った言葉は嘘なんかじゃない。ルトにはこれからも傍に居て欲しい。
最初の頃は、魔物に対して怯えてばかりいるルトとの距離をとにかく縮めようと奮起してた。避けられてばかりいるのが嫌で、自ら積極的にルトに近付いて行って……。
その結果、ルトとの距離が少しずつ縮まって、ルトの事を色々と知るようになるうちに……ルトを一人の男として見るようになった。
ルトは背も低いし、俺と比べたらかなり若い。でもルトは素直で優しくて、その小さな身体の内に強くて固い心を秘めている。そんなルトを見ているうちに、俺は……何時の間にかルトを愛するようになった。
俺は……ルトが好きなんだ。俺は本気でルトと一緒に居たいと思っている。
「……なんで……ですか?」
「ん?」
「なんで……僕なんですか?」
徐に顔を上げて、俺の目を見ながら怖ず怖ずと話すルト。
『なんで?』と言うルトに答えようとする前に、ルトが先に口を開いた。
「僕……とても弱くて頼りないし……今日だって、奈々さんに護ってもらってばかりだった。こんな……こんな僕を、どうして好きになったのですか?奈々さんに相応しい男なんて、他にもいるのに……」
……なんだそれ?自分は相応しくないとでも言いたいのか?
だとしたら見当違いだな。相応しいとか相応しくないとか、どうでもいい事気にしやがってよ……。
「弱い?情けない?まさか、そんな理由で断る気じゃねぇだろうな?だとしたら納得出来ねぇな。どれも理由になってない。そもそも、相応しいかどうかなんて、どうでもいいだろ!」
「で、でも……」
「でもじゃねぇ!自分に自信を持てよ!だいたい、お前は弱くなんかないだろ!今日の戦いで、お前は俺を護ろうとしてくれたじゃねぇか!本当に弱かったら、俺を護ろうだなんてしなかっただろ!?」
「それは……」
「本音を言えば……あんな無茶な真似はして欲しくなかった!これからも同じ様な事はして欲しくない!だが、俺を護ろうとしてくれたのは嬉しかった!好きな男に護られるってのは、何よりも嬉しい事なんだ!」
今日のモーガンとの戦い……あの時にルトは身を挺してまで俺を護ろうとした。戦える訳でもないのに、それでも俺を護ろうとした。
あの時、俺は本当に嬉しかった。敵わないと分かっていても、勇気を振り絞って護ろうとする姿はカッコよく見えた。本気で俺を護ろうとしてる……そう思うだけで、心から喜びを感じた。
とは言っても、ルトには二度とあんな無謀な真似はして欲しくないけどな……。
「俺からも訊くけどな、ルトは俺の事どう思ってるんだ!?好きなのか!?嫌いなのか!?」
「そ、それは……」
「いいかルト、もしもお前が俺の事を嫌ってるんなら、それは仕方の無い事だ。俺も潔く諦める!だが、ちゃんとした理由の無い拒否は認めない!俺は相応しいかどうかが聞きたいんじゃない!俺は……お前の気持ちを聞きたいんだ!」
机から身を乗り出し、ルトの肩に手を置いてしっかりと両目を見つめながら問い質した。
相応しいかどうかなんて、どうでもいい!大事なのは相手を想う心だ!
俺は……ルトの本当の気持ちが知りたいんだ!
「だから、好きか嫌いか……正直に言ってくれ!」
「……僕……」
ルトの両手は小刻みに震えていた。物凄く緊張しているのが一目見ただけで分かるくらいに……震えていた。
だが、それでもルトは腹の底から絞り出したような声で……俺を見つめ返しながら言った。
「僕も……奈々さんが……好きです……!」
その返答は……俺にとって最も嬉しい一言だった。
「……本当か?」
「はい……」
「俺の夫になってもいいんだな?」
「僕も……奈々さんの夫になりたいです」
「……よし!」
椅子から立ち上がり、ゆっくりとルトの傍まで歩み寄る。そしてルトの小さな身体を優しく抱きしめた。
「ルト……好きだぞ。これからもずっと一緒に居ような……」
照れ臭さを覚えながらも、ルトの耳元で改めて愛を囁いた。
我ながら大胆で臭い行動だが……互いの心が繋がった瞬間だと感じた。
「……う……ひぐっ……」
「……ルト?」
突然ルトが俺の腕に抱かれたまま咽び泣き始めた。
急にどうしたんだ……?もしかして、腕にちょっと力を入れすぎたか?
「どうした?もしかして、痛かったか?」
「違うんです……僕……今まで、こんなに……愛された事が一度も無くて……」
「…………」
「僕も……こんなに……女の人を好きになったの……初めてで……それが叶って……もう……嬉しさが……抑えられなくて……!」
「……そうか……」
大粒の涙を流すルトの頭を、俺は無言で優しく撫でた。
そうだ……ルトが生きてた時の流れを考えてみると、とても女と縁があったとは思えない。そもそもルトは、あまりにも早く両親を亡くしてしまった。幼い頃から家族の愛も受けられず、ましてや家族以外の誰かから心から愛されるなんて……そんな日は滅多に来なかったのだろう。
そう思うと……ルトを愛する想いと、ルトを護りたいと思う気持ちがより一層強まってきた。
「ルト、俺が一生お前を幸せにしてやる!だから……だから一生傍に居てくれよ!」
「う、ひっく……」
嗚咽しながらもルトは俺にしがみ付いてきた。
……幸せにする、か。こういうのって男が女に言う台詞なんだろうけどな……。
「えぐっ、う……ひっく……」
「……ルト……」
まだ泣きじゃくるルトの両目に浮かんでる涙を指で拭い、その瞳をジッと見つめてみる。
少し泣いた所為でもあるのか、とても潤ってて宝石の様に光で反射している。今まで見てきた宝石より何十倍も綺麗に見えた。
俺は、そんな綺麗な瞳に吸い寄せられるかのように、ゆっくりと顔を近づけて……。
「ん……」
「っ!?」
そっと、ルトの唇と俺の唇を重ね合わせた。軽く触れ合うだけの、優しいキス。それだけでも心臓が激しく鼓動を打って、今までにない幸福と安らぎが身体に染み渡ってきた。
実を言うと、俺は今までこうしてキスをした経験なんて一度も無かった。つまり、これは俺にとって……初めてのキスって事になる。
今日まで人の唇が、こんなにも柔らかくて甘いものだとは思わなかった。だが、こんなにも幸せを感じるのは、相手がルトだから……そうだとしか思えなかった。
「ん……へへ、こんなの初めてやったが……想像以上に柔らかいんだな」
「…………」
そっと俺から唇を離して、愛おしさを憶えながらルトの頭を撫でると、ルトは顔を真っ赤に染めたまま呆然としていた。
この反応を見る限り……キスの意味はちゃんと分かってるようだな。こんなに初心な反応を見せられたら、辛抱堪んないぜ……♪
「……やっぱり、初めてだったか?」
「え、あ……はい……」
「そうかそうか♪折角だからさ、もっと……な?」
「ちょ、まだ心の準備が……んん……」
「ん、ちゅ……ん……」
緊張しまくってるルトに構わず、またしても唇を重ねた。ルトの後頭部を右手で抑えて唇を強く触れ合わせる。
「んぅ……ちゅ……ん……」
当然ながら二回だけで気が済む訳が無く、ルトへの愛情を注ぐかのように何度も唇を重ねた。
小鳥が餌を啄ばむように、何度も触れ合わせるだけの淡いキス。始めた時はそれだけでも良いものだと感じたが、やがて物足りないと思った時には、自ずと濃厚な味を求めるようになった。
「ん……はぁ、んちゅぅ……ん、ふぅ……」
更に舌をルトの口内に侵入させて、そのままルトの舌を絡めとって欲情のままに嘗め回した。
優しく愛でる様にルトの舌を夢中で嘗め続ける。ルトの方は、どうすれば良いのか分からなくなってきてるのか、抵抗もせずにされるがままの状態になっていた。
「ん、はぁ……お?」
一旦唇を離してルトの様子を窺うと、何やらルトの股間が盛り上がってるのが見えた。
ズボンの下から今にでも解放されたそうに盛っている……勃起しちまったようだ。見た目は可愛らしいが、ルトも正真正銘の男って事だな。
「おぉ、早速反応しちまったか。可愛い奴め」
「うぁっ!?そ、そんなところ……触らないで……!」
「ん〜?こっちの方はもっと触って欲しいと言ってるが?」
ズボンの上から興奮しているルトの股間に触れてみる。まだ十分に発達していないとはいえ、ギチギチに固くなってるのが服の上からでも感じ取れた。
しかしまぁ……こんなに愛おしい顔を見せられると、俺の方まで感じちまうぜ。もっと色々と気持ち良いこと、させてやりてぇ……!
……ここだと色々と不便だよな。ベッドに移るか。
「ほらルト、一緒にベッド行こうぜ」
「な、奈々さん!?」
戸惑うルトを軽々と抱きかかえ、すぐ傍に設置されてるベッドまで移動した。そしてルトを優しくベッドの上で仰向けに寝かせて、俺自身もルトの上に跨るようにベッドに乗った。
「さて、早いとこ脱いじまいなよ」
「ちょ、な、奈々さん!何をする気ですか!?」
「決まってるだろ……こうするんだよ」
早速ルトのズボンに手を掛けて、中で履かれてる下着ごと一気に下へずらした。
「おぉ……!」
脱がせたズボンと下着をベッドの隅へ投げ捨てながらも、正体を現したルトの男の証を目の当たりにして感嘆の声を上げてしまった。
やはり未だに身体の発達が未熟であるためか、勃起状態でも全体的にやや小振りで、亀頭にも皮が被っている。
だが、そんな発展途上の逸物でも、俺の気持ちは萎えるどころか、逆にもっと昂られていく感覚を覚えた。
魔物としての性、そしてルトへの愛情……その両方がルトと交わりたいと言う欲求を更に強めさせた。
「奈々さん……そんなに見ないで……」
「はは、やっぱ恥ずかしいか?」
「……はい……」
赤面で頷くルトを見て、俺の心臓が早鐘を打つ音が耳に響いた。
自分でもヤバいくらいに興奮してきてる……堪んねぇ……!
「そうだ。ルトだけ脱ぐのは不公平だよな。そんじゃ俺も……」
と、俺も着ている衣服をパパッと脱ぎ捨てて、裸体となった上半身を曝け出した。すると、ルトの視線は俺の胸に釘付けになり、何も言わずに見つめている。
「うわぁ……」
「……顔真っ赤にしちまって。そんなに俺の胸が気になるか?」
「え、えっと……とても大きくて綺麗なので、つい……」
「はは、そうか!そう言われると嬉しいぜ!」
「ふみゅっ!?」
褒められて嬉しくなり、胸をルトの顔に押し付けるようにルトに圧し掛かった。
鼻に掛けるつもりは無いが……これでもGカップはある胸だ。
以前から戦闘時にはこのデカい胸が邪魔で……普段からサラシを巻いて抑える必要があった。サラシを解く度に、また巻かなきゃならなかったし……正直、この胸は悩みの一つでもあった。
だが、今ここでルトが俺の胸を褒めてくれたお陰でその悩みも吹っ飛んじまった。ルトが俺に見惚れてくれると、俺も嬉しいからな!
「んん、ん〜!」
「……あ、悪い」
俺の胸に顔を埋めてる……いや、正確には埋められてるルトが俺の脇腹を叩いて危険信号を知らせた。慌てて胸を離すと、ルトは窒息寸前だったのか、肩で激しく息をしている。
俺の胸ってそんな殺傷能力があったのか……と、自嘲気味に笑いながらルトの上半身を起き上がらせて、ルトの片手を取って俺の胸に触らせた。
「ほら……どうだ?」
「あ……柔らかい……」
自らルトの手を握ったまま誘導させて、ルトに胸を揉ませた。小さくて温かい手が乳房を優しく撫で回し、俺の身体を更に熱くさせる。
「ルト……」
「え……ん!?」
「ん、ちゅ……んん……」
片手でルトの顎を持ち上げて、俺の真正面に向かれた唇を奪った。すかさず舌を口内へと侵入させてルトの舌を絡め取り、無我夢中に舐め回す。そしてご無沙汰になってる片手をルトのペニスへと伸ばして、竿の部分を指先で擦ってみた。
「……な、奈々さん!そ、そんなところ触ったら汚いですよ!」
「別に汚くはないだろ。それより、もっと……な?」
「え……ん、んぅ……」
「ん……はぅ、ん……ちゅぅ……じゅ、じゅるぅ……」
勢いに押されて後方に倒れそうになったルトの背中に片腕を回し、しっかりと身体を支えながら離れた唇を再び重ねて舌を進入させた。口内に溜まってるルトの唾液を掬い取るように舌を動かす。俺の口の中に微々と注がれるルトの唾液は、今まで口にしてきた酒とは比べ物にならないくらい美味なもので、頭も身体も酔い痴れてしまいそうになった。
「はぅむ、ん、じゅ……ちゅ、れる、ん……」
「ん、ん!ちゅっ……んぅ!」
昂る気持ちに身を任せ、舌を休ませずにルトのペニスを扱いた。あまり慣れてない所為で敏感なのか、上下に手を動かす度にルトの口から吐息が漏れてる。
亀頭の部分を撫でてみると、何やら粘り気のある液体が指に触れた。早くも先走り汁とやらが出たらしい。俺の手で感じてくれてると分かっただけで心から喜ばしく思えてきた。
「……はぁ……ルトぉ……もう我慢出来ねぇよ……」
もはや俺の内に秘める魔物の性には敵いそうにもなかった。
早くルトの逸物を俺の膣に入れたい。ルトと一つになりたい……!
欲求に従うようにルトを仰向けに寝かせて、俺は魔力で隠れてる自分の性器を露にさせた。
「あ……」
「どうだ?これが女のマンコだが……やっぱり本物を見るのは初めてか?」
「は、はい……」
ルトに見えるように自分の手で膣口を広げて見せた。
一番恥ずかしいところを見られてると思うと興奮するな……。それに、これから本番をすると思うとゾクゾクが止まらない……!
「へへ……よく見てろよ。今からこの中に、ルトのちんこを入れるんだ……」
「入れるって……え!?」
片手でルトのペニスを支えて、俺の膣口に宛がわせた。後はそのまま腰を下ろせば、ルトの逸物が入ってくる。
「あ、あの、だ、大丈夫なんですか!?こんな事して……!」
「心配するなよ。これは互いに愛し合う者同士がやるんだ。死にはしないさ」
「あ、愛し……合う……」
「それとも……俺じゃ嫌か?」
「い、嫌なんてそんな……嬉しいです!」
「……へへ、俺もさ!」
最初こそ戸惑ってばかりだったルトだが、今ようやくその気になってきたようだ。
俺もやっとルトと一つになれるんだ……精一杯の愛情を注いでやらないとな!
「そんじゃ、入れるぞ……」
躊躇うことなく徐々に腰を下ろし始めた。亀頭の先から少しずつ進入してきて、途中でカリ首が膣壁を擦って初めての快感を覚える。
「ん……く……」
途中で圧迫されてるように感じたが……そろそろ、あの辺りまで来たのだろう。
だが、それでも途中で止めたくない。全部受け入れたいと思いながら徐々に腰を下ろす。
「……うぁ、あ……!」
そしてようやくルトのペニスが全部収まった。
そして、一生に一度味わうと言われてる、破瓜の痛みも……!
「な、奈々さん!血!血が出てる!」
「あ、あぁ……女は初めてセックスすると、必ずマンコから血が出るんだよ」
膣内から流れてきた微量の血を見た途端、ルトは酷く驚いた表情で俺の顔を見上げた。
まぁ、ほんの少しとは言え、いきなり流血なんて見せられたら驚くか。前もって言っておけばよかったかもな……。
「な……奈々さん!抜いて!抜いてください!」
「え?え?え?」
すると、ルトが突然俺の膣からペニスを抜こうと、俺の腕を掴んで必死に訴えた。
どうしたんだよ急に……。
「ど、どうしたんだよ?痛いのか?」
「僕じゃなくて……奈々さん、痛いなら早く抜いた方が良いですよ!血も出てるし、早く手当てしなきゃ!」
「ルト……」
こんな時でも心配してくれてるんだな、俺の事……。
俺……こんなに優しい男と結ばれて……本当に幸せだな……!
「……ありがとな。俺の事、心配してくれて……」
心の内で嬉しさと愛おしさが混ざり合いながらも、俺の腕を掴んでるルトの手をそっと握った。
「心配するな。大して辛くないし、痛みもすぐに消えるさ」
「で、でも……!」
「それにな、痛みよりも……ルトと結ばれた嬉しさの方がずっと……!」
これ以上興奮を抑えきれなくなり、無意識のうちに自分から腰を振り始めた。
ピストン運動が繰り返される度に、グチョグチョと膣内から卑猥な水音が響き渡る。
「ん、あぁ、うぁ……これ、スゲェ……良い……!」
「あ、うわぁ……あっ!」
腰を打ち付ける度にルトの肉棒が膣壁を擦る。
こんな経験が無かった為、無意識に膣内の締め付けを強くしてしまう。その分ルトのペニスが膣内で徐々に大きくなり、膣壁との密着も感じ取れた。
「あぁっ、あ、凄い!へ、変な感じ……う、ああ!」
「ひぁっ、はぁ!ル、ルト!どうだ!?俺のマンコ、気持ち良いか!?うぁっ、んはぁあん!」
「は、はいぃ!とても温かくて……こんなの、初めて、で、うぁ……!」
「あ、あぁ!俺も……気持ち良いぞ!ひゃ、うぁ!あぁっ!あっ!んぁあ!」
もう処女膜を破った痛みなんて既に消え失せていた。腰を振る度に駆け巡る快楽に酔い痴れて、夢中で腰を振り続ける。
ルトの方は頬を紅く染めながらも、腰を打ち付けられる度に快感で身悶えている。その表情を見ていると、もっと互いに気持ち良くなりたいと思うようになり、自然と腰を振る激しさを増していた。
「うぁっ!奈々さん、激しい……あ!あっ!」
「スマンな、ルト……あ、ひゃ!もう歯止めが……あっ!あぁ!んぁ!」
これもウシオニの特性なのか、心ではもっと優しくしてやりたいとは思ってるものの、快感を求めるあまりに激しくしてしまう。
もっとルトを感じたいという想いから、途中で止めるような真似をする気にはなれなかった。
「はぁ、あ!奈々さん……!」
「ん、ふぁ……!ルト……?」
すると、その最中にルトが潤んだ瞳で俺を見つめながら、恐る恐ると両手を俺に向けて伸ばしてきた。
「どうした?俺のおっぱい……触りたくなったのか?」
「奈々さん……僕、奈々さんと……手を繋ぎたい……!」
胸を触りたいのかと思ったら、俺の手を握ってもらいたいようだ。
望み通りに指と指を絡め合わせるようにルトの両手を握った。俺の手が大き過ぎる所為でルトの手がすっぽりと収まってるように見えるが、それでもルトの手の温かさは十分に伝わった。
「あぁ、あっ!奈々さんの手……握ってると、すごく安心できます……!」
「あぅ、んぁ!……へへ!嬉しいこと、言ってくれるじゃねぇか……!」
「奈々さん……あっ!ふぁ、ひゃん!」
「くっ!ふぁ、んぁ、あぁっ!好きだぞ、ルト!ずっと、ずっと好きだからな!ん、あぁ!ひゃぁん!」
手を握り合ったまま、腰を最大限に激しく振って快楽に溺れ行く。もはや絶頂に達するまでには時間も掛かりそうになかった。
「うぁ、あぁ!奈々さん!なんか、出そうだよ!」
「あっ!あっ!あぁっ!ルトも……イキそうなんだな!?いいぞ、我慢しないでこのまま中に出してくれ!」
「だ、大丈夫なんですか!?」
「あぁ、寧ろ欲しい!ルトの濃厚な精液、たっぷりと注がれたいんだよ!」
ルトの方も射精が近いのか、握ってる手の力を強めながらより一層身悶えている。
俺もルトの精液が欲しくて、本能のままに激しく腰を振り続けた。
「あ、あぁ!奈々さん、僕、もう……!」
「あぁっ!お、俺もヤバイ……イク!イッちまう!あ、あひゃ!あぁっん!」
力の限り腰を打ち付けて射精を促す。俺の方も絶頂がすぐ直前まで迫ってきて、そして……!
「うぁ、で、出る……!」
「んはぁっ!あ、熱い!ルトの精液、こんなに……あっ!」
ルトの逸物から精液が噴出された。想像以上に量が多く、熱くて粘り気のある精液が膣内に纏わりつく。
「うぁ、あ!ひゃ、イク!イクぅぅっ!はぅぁあああぁっ!」
そして同時に俺も絶頂に達してしまった。身体がビクビクと痙攣を起こし、今まで感じた事のない快楽と幸福が全身を駆け巡った。
……ヤベェ……これ、癖になる……!
「……ルト……」
一気に身体中の力が抜けて、ルトに覆い被さるように倒れこむ。激しく動いた後だから身体が熱くて汗も滲み出てるが、ルトは嫌がる事なく俺を受け止めてくれた。
「はぁ……ルト、どうだった?」
「はい、その……よ、良かったです……」
「あぁ、俺もだよ……」
絶頂の余韻に浸りながらも、俺はルトへと視線を合わせて……。
「んっ♪」
その小さくて柔らかい唇に……そっと自分の唇を重ねた。
13/03/31 22:04更新 / シャークドン
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