夢ノ中
「はあ……、今日はずいぶんと遅くなったな……」
午前0時を過ぎた深夜、人通りの少ない路地を歩いていた。
俺は世間の言うところのサラリーマンというやつである。
これまで無難に学校生活をこなし、大学へ進学して人並み程度の勉強をして、待遇の良さそうな会社を選び得た立場だ。実際に会社への不満は少ない。因みに今こうして帰りが遅くなっているのも、たまたま会社が忙しい時期というだけ。
もとより人より少しばかり賢かったおかげか全ては順調で、特別なトラブルが起こるようなこともなかった。
何も不満は無いが、それゆえに何かがもの足りない人生。
仕事を始めた頃、「その内結婚して幸せな生活を送るのだろうなワハハ」などと考えていた愚か者の俺はいつの間にか恋人ひとり見つからないまま三十路間近の年齢を迎えていた。このまま仕事ばかりの人生を過ごすのだと思うと、少しばかりモヤモヤした気持ちになる。
付け加えると、俺にこれといった趣味はない。
けして作ることをを忌避しているのではなく、これまで生きてきて単純に自分の好きなものを見つけられなかっただけだ。だから純粋に自分の好きなものについて語っている人を見ると、少しだけ羨ましくも思えた。
「どいつもこいつも結婚かあ…」
ふと考えていたことが口から漏れた。
友人のあいつも、昔好きだったあの娘も、皆生涯の伴侶を見つけたらしい。 ならば自分はどうかと振り返ってみるが、ここ最近の俺の人生に、色恋などというワードはスッポリ抜け落ちてしまったようだった。いや、恋人がいたことも無いのだから前からか。当然ながら性交の経験もない。
人を愛するとはどういうことなのだろう。
子供心に人を好きになったことはあるが、生涯愛せる人など見つけようがなかった。
自分の帰った先に誰かが待っている、という想像をしてみるがどうもしっくりこない。なんだか不自然すぎて笑えて来るほどだ。今のままではきっと結婚など夢のまた夢だろう。
……ふと自宅へ向かう足が速くなる。別に、誰も待ってはいないのに。
俺はマンションの一室に一人暮らしをしている。
狭くはないが、多少の安さを求めてしまったせいか駅から数分歩かなければいけない位置にあるのが玉に瑕だ。
寂れた公園のある角が目印で、曲がればすぐマンションが見えてくる。その角を曲がろうとして一瞬公園に目を向けた時―――。
「ん?」
切れかけの外灯に照らされて、何か妙なものが見えたがした。
もう一度公園に目を向けてみると、なにやら藪近くに肌色をした何かが転がっている。
植木の茂みに隠れて全体像は見えないが、それは棒状で2本並んでおり、先端は自分もよく見るような形をしていた。反対の先は茂みに隠れているが、どうなっているかは想像に難くない。
即ちそれは、人間の脚のように見えた。
「ッ……!」
人が倒れている。間違いない。
こんな時はどうすればいいのだろうか。
警察か、救急車か、とにかく動悸が止まらない。苦しい。
これまで順調に人生を歩んできた弊害か、想定外のトラブルには弱かった。
どうしても悪い想像をしてしまう。確かめてはいないが、目の前のそれはもう……。
「そうだ…確かめるんだ」
気力を振り絞るように口にする。
焦って早とちりをしていた。まだ、■んでいるだと決まったわけじゃない。
大体脚しか見えていないのだからマネキンかもしれないじゃないか。
震える脚で倒れている「それ」の全体が見える位置に移動する。
しかして「それ」は俺の期待をあっさりと裏切った。
「……なん……で」
それはこの現状への恐れと、微かの驚きを宿していた。
それもそのはずだ。
倒れていたのは、まだ年端もいかないような少女だった。
だが、驚いた原因はそれだけではない。
その少女はあまりにも美しかった。
顔立ちだけではない。黒と紫を基調にしたゴシック調の西洋ドレス、水銀をそのまま糸状にしたかのようにきらめく銀髪、足の先から指の先の造形まで、何もかもが美しかった。「まるで人形のようだ」という形容がピッタリと当てはまる。そして何よりも透き通ったアイスブルーの瞳が見開かれていて、静かに虚空を見つめている。
そんなものが、日本の、しかもこんな廃公園に倒れている。
それはあまりにも、非現実的な光景。
いつの間にか、その少女の顔に手を添えていた。
「…あっ、うわっ!」
すぐに我に返り、手を引っ込める。
冷たい。その上硬い。死後硬直という言葉が脳裏に浮かんだ。この少女がどういう状態にあったかを思い出す。
一瞬冷静になっていた頭が再び熱を持ち、動悸が激しくなってきた。
この場合なら警察に電話しないと……番号はいくつだっけ……。
「あれ…?」
携帯を取り出そうとしたとき俺は再びおかしなものを見た。
それは少女の手。そこに人間にはありえないはずの構造が見えた。
厳密には関節。
それは球体。
指や手首の関節が、球体によって繋がっているように見える。
球体関節。
ボールジョイント。
人形を人形たらしめる証。
この少女が、人間でないことの証左だった。
体からドッと力が抜け、思わずその場にへたり込む。
「は、はは……本当に、人形だったんじゃないか……」
ほっと胸を撫でおろし、安堵の溜め息を吐いた。
念のため袖やドレスを捲り確かめてみると、こちらも球体関節になっている。やはり人形だ。
よくよく見れば、子供にしても一回りほど小さく見える。俺はどうかしていたらしい。
大人がこんなものを持ち歩いては変質者だし、何かの業者だとしてもこんな公園の茂みに人形を捨てるとは考えにくい、きっと子供の忘れ物だろう。
俺はこの謎の人形に、ひとまずそう結論付けた。
さて、この人形をどうしたものか。このまま放っておくのも忍びない。
この人形はあまりにもリアルに過ぎる。このまま去るのはまるで、少女の遺体を置き去りにするようでためらわれた。
この人形は今にも動き出しそうで、その方がこのまま寝ているよりもよっぽど現実的だと思えるほどだ。
再び人形に顔に手を這わせてみる。本当に綺麗な顔をしている。ふっくらとした頬…瑞々しい唇…凛とした目元がアクセントになっている。
気のせいだろうが、あまりの美しさに少し頭がくらくらするほどだ。
何かに憑かれたように人形をじっと凝視していると、俺は一つとして不思議な点を見つけた。
この人形には、こんな廃れた公園に投げ出されていたというのに、肌にも服にも土汚れ一つ付いていなかった。
まるで穢れを知らないように。何よりも無垢なその姿がそこにあった。
人形も見つめているうちに、俺の中にある感情が芽生えた。
この少女を、汚してしまいたい。
そんな馬鹿なこと。相手は少女の、それも人形だぞ。と理性が叫んでいるが、俺の下腹部のソレは既に痛いほどに膨れ上がっていた。
(誰も見てないよな…見てないはずだ)
もう人形に夢中だった。周りの確認もせずにズボンと下着を下ろし、外の空気に触れるなりさらにいきり立つそれを人形に向ける。はやく汚したい。その綺麗な髪を、服を、顔を、白濁に染めてやりたい。
「はあ……ああ……」
いつの間にか手を動かしていた。外で、しかも人形を相手に自慰をする背徳感からか、いつも一人でするよりずっと気持ちいい。
自分の精液でドロドロになった人形を想像する。人形は汚されながら、なおも抗議の声を上げることもなく、俺の精液を受け止め続ける。黒色を主とした服に、精の白濁が映える。自分が何をされているのか、理解することもできない。
……いやもっとだ。外だけじゃなく、その中まで汚してやる。俺は少女の口を開け、その中に欲望を放とうとして。
そこで、驚愕した。
濡れている。人形の口のなかは、本物の少女のように、唾液のようなねっとりとした粘液で濡れそぼっていた。まるで肉棒を歓迎するかのように。
我慢などできない。俺は少女の頭を掴み、その小さな口へ強引に肉棒をねじ込んだ。
「うあああ!……は、はは……」
暴力的な快感の波が襲ってきた。
動くはずもない人形の舌が、肉棒を舐め回している。そんな感覚にさえ襲われた。
何度も何度も狂ったように人形の頭に肉棒を打ち付ける。想像の絶する快楽に、肉棒はすぐに限界を迎え、果ててしまった。
「ああああ……!出る……!!」
少女の口内に精液をぶちまける。何度も痙攣を繰り返し射精する。信じられないほど長い射精が終わり、萎えた肉棒を引き抜く。
しかし、あふれるほどの大量に出された精液が口の端から零れ落ちる様がどうしようもなく淫らで、それはすぐにその元気を取り戻してしまった。
もっと知りたい。この体のことを。
服に隠れたその下はどうなっている。
ドレスの奥、人間の女性であれば「それ」があるであろう場所は。
この少女を汚してやる。もっと、深いところまで、その全てを。
(そう。それでいいのよ……)
頭の中で声が響いた。聞こえたというよりも、その声は内側からどろりと己の思考に溶けていくようだった。
皮肉なことに、この時の俺は自分の意思で動いているように見えて、声の主の操り人形になっていたのかもしれない。
俺は人形のドレスを勢いよく捲り上げる。
すると驚くことに、人形は下着一枚身に付けていなかった。
そしてそこには、もうぐっしょりと濡れている淡い薄ピンクのそれがある。
まるで人間の男のために、そういう使われ方をするために作られたかのように。
もちろんこんな西洋人形にはありえないものだ。
でも、そんなことはもう考えられなくなっていた。
どこまでも無垢なそれが、しかして濡れている様子は、俺を誘っているようにしか見えなかった。
(はやく頂戴……ね……?)
要望通りに一物をそこにあてがう。大人のそれを受け入れるには到底不可能に思えたが、呑みこむようにずぷり、と挿入っていった。
「ぐ、ああっ……!」
自分でするのも、口に挿入れたのとも比べ物にならない程の快楽だった。意識しなければすぐに果ててしまう。人形の膣内は温かく、襞で覆われており、それがまるで精を搾り出すかのように蠕動しているようだった。
俺はもうこの人形の虜になっていた。この少女は人形だ。どれだけ出しても孕むことはないない。好き勝手に犯せる。これが終わったら人形を持ち帰って、あらぬ限りの欲望をぶつけてやる。
人形の腰を掴み、一心不乱、無我夢中で腰を振っていた。止まらない。
なおも人形の顔は無表情で、ギシギシと揺れるだけ。それがいっそう興奮を煽った。
この人形はきっと性処理のために作られたものなのだろう。だったら膣内に出して、俺のものにしてやる。それがこいつにとっても本望なはずだ。
精が昇ってくる。俺は荒い息を上げながら、欲望をその膣内に放とうとして―――。
「……おにーさん、なにしてるの…?」
突然、声がした。あどけない少女の声。
そして思い出す。
俺はこの場所が誰の邪魔も入らないような部屋ではなく、ただの公園であることさえ忘れて、人形を犯していたのだ。さっと頭が冷えてゆく。俺は今まで何をしていたんだ……人形の少女を相手に。
「ぇ……ぁ……」
少女から引き抜くことさえ忘れて声をかけてきた女の子の方へ振り向いてしまった。突然の出来事に思考が麻痺している。
それでも目の前の少女の特徴くらいは分かる。おそらく10歳くらいだろうか。頭には空色のリボンと長くウェーブのかかった金髪。同じく金色の、ぱっちりとした大きな目が可愛らしさを強調している。そして服装は青と白を基調にしたエプロンドレス。
誰もが知っているであろう『不思議の国のアリス』の主人公そのものの姿をしていた。
「それ、わたしの……」
「あ、ええと……」
慌てて人形から一物を引き抜くが、かえってそれが少女の興味を引いてしまったらしい。俺の逸物をじっと見つめてきた。だというのに……いたいけな少女が見ているのに、全く肉棒は萎えてくれない。不思議なことに、むしろかえって硬さを取り戻していく。
「わかった!おにーさん、シェリィと遊んでくれてたのね!」
「えっ?」
「ねえねえ、どんなあそびしてたの?さっきのみせて、アリスにおしえて?おねがい!」
アリスと名乗る少女は手を合わせて懇願し、まじまじと肉棒を見つめてくる。その金色の瞳はさながら好奇心の塊のようだ。無邪気な視線にさらされ、それはさらに固さを増しいく。
「……ああ分かった。やって見せるから、よく見てるんだぞ」
そんなセリフが、無意識に口をついて出た。俺はどうかしてしまったらしい。体も心も、理性の制止が全く効かなくなっていた。
人形の陰部に再びあてがい、挿入する。再び嵐のような快感が襲ってくる。
アリスはその光景を目を輝かせて見ている。
(ああ……俺は何をやっているんだ……こんなこと、しちゃいけないのに……)
人形を使った自慰を、今度は持ち主の女の子に見られながらしている。本当ならこんなことは止めなければならないと分かっていた。こんな小さな女の子に、目の前で自慰を見せるなど。それでも、先程のそれより興奮している自分がいた。溢れる欲望を抑えられない。
「こうしてね……。男の人のモノを女の子の中に入れる。そうして、二人一緒に気持よくなる遊びだ」
「気持ちよく……?」
興味津々で聴いている。その瞳は幼い少女のものに違いない。しかし俺は、どうしてかその瞳に淫らな色を見出してしまっていた。今はこの少女に教えてあげなくてはならない。
人形を相手に今までよりずっと激しく腰を打ち付ける。
「わあ……すごい……」
アリスは口を手で覆い、その光景に見とれているようだった。
精が昇ってくる感覚。そして限界に達する。
「ぐっ……!!」
人形の膣内に躊躇いなくぶちまける。人形の膣内は、尿道に残った精を残さず吸い上げるように蠢いている。引き抜くと人形の陰部からどろりと精液が漏れ出た。
「ふう……分かったか?……ん!?」
まだ硬いままのそれを今度はアリスに向ける。すると、驚くべきことに、アリスはいきなりそれを咥えてきた。花にとまる蝶のようにふらりと妖艶に、そうするのが当たり前とでもいうような自然な動きで。
少女の小さな口内は温かく、舌が一物を味わうように舐めまわしている。性知識が無いとはとても思えないほど気持ちいい。歯を立てることなく、亀頭を責め、的確に快楽だけを与えてくる。
「あむ……んちゅ、んん、ちゅ……えへへ」
アリスはそのままこちらを上目遣いにみて笑いかけてくる。その表情は悪戯のバレた子供のようでいて、また少女のそれとは思えないほど甘く蕩けていた。
それを見た瞬間口内で、肉棒が痛いほどいきり立つ。そして、出したばかりでそんなことをされた所為か、アリスの口内で今宵三度目の射精を迎えてしまった。
「ううっ」
「んん!……う、なに、これ……すごくおいしい……♥」
アリスは口内に出された精液をぐちゅぐちゅと咀嚼したあと、なんと一息に飲みこんでしまった。頬を染め、幸せそうに恍惚としている。
「それは精子っていうんだ。男の人が気持ちよくなると出るものだよ」
自分でも気持ち悪いほどスラスラとセリフが出てくる。少女の「おねがい」は他の何よりも優先されていた。それは正常な倫理でさえ、狂わせる。今はこの少女に先程の「遊び」を教えてやらなくてはならない。
「せーし……んん……んちゅ……ああっ……♥」
アリスは残る精液を舐めまわしながら左手を下腹部に持っていき、くちゅくちゅといやらしい水音を響かせていた。
アリスは一物から唾液を溢しながら口を離す。
それから下着を下ろし、スカートをたくし上げると、透明な粘液が糸を引いているのが見える。ぬらぬらと洪水のようになっているそこを、俺に見せつけてきた。
「おにーさんのせーし、アリスにも……ここにちょうだい♥」
その顔は不安などなく、ただただ「遊び」を期待する女の顔。
「はやくぅ……♥アリス、おにーさんと一緒に気持よくなりたい……♥」
その期待に応えてやろうとアリスを仰向けに寝かせ、陰部にそれをあてがい、一気に膣へ肉棒を差し込む。
「んんッ、あっ……!」
すると人形のときには無かった何かを貫くような感覚があった後、膣から鮮血が迸る。アリスは何かをこらえるような顔をしていた。一瞬だけ思考が戻る感覚。
「アリス、大丈夫か?」
「うん……さっきはちょっといたかったけど……大丈夫。今はすっごく気持ちいい♥」
その淫猥な声音、表情から、戻った思考はすぐに吹き飛んでしまった。
アリスの小さな膣内は成人男性のそれを相手にしているにも関わらず、一物を根元までくわえ込んで離さない。そして、精をねだるように淫らに蠢いている。
「んあッ、ああ、おにーさんの、すきぃ、だいすきぃ、気持ちいい♥」
小さな矮躯を小突くたびにアリスはその幼い姿とは似つかわしくない嬌声を上げ、一物をきつく締め付ける。
限界が近づいている。それはどうやら向こうも同じなようだ。
「あっ♥あぅ、はぁ♥あっ♥おにーさん、なにか、なにかくる、きちゃ、ああああ♥」
「く、それは『イく』って言うんだ、ああ、俺もそろそろ……」
「んん……あっ♥イく♥イっちゃう♥ぅぅぅうあ、ぁぁぁああああああっ♥」
「……ッ、出るッ!」
「んん……ああああああああああ!!!」
きゅう、とアリスの中が一層絞めつけられ、大量の精が彼女の中に放たれる。
アリスは背を仰け反らせ、体はびくびくと痙攣していた。同時に彼女も絶頂に達したらしい。
初めての性交に、俺も彼女も心ここに在らずといった表情で放心していた。
しばらく経って、放心から我に返ったとき、急に疲労感が襲ってきた。
今までは不思議と体力が持っていたが、これ以上は限界だ。思えば4回も、いつもならば考えられないような量の精液を出していた。通常ならこうなるのが当たり前だろう。
頭の熱が引いていき、思考能力が戻ってくる。ああ、俺はこんな小さな女の子と交わってしまったのか……。
「ごめん、アリス……ちゃん、俺、何でこんなこと」
そう謝罪して、小さな肉壺から己の一物を引き抜こうとした次の瞬間。
「だぁめ♥」
ぎゅ、と勢いよくアリスが抱き着いてきた。抜けようとしていたそれが再び膣内の奥まで押し込まれる。
そしていつの間にかアリスが上になり腕を抑えられ、押し倒されていた。
「え、ちょっ、なにするんだ!?」
必死に抵抗するが、信じられない。俺は衰えてきているとはいえ成人男性である。だというのに、推定10歳ほどの少女相手に腕一本動かせない!
「だめだよおにーさん♥アリスはまだ全然満足してないんだからあ」
「うあっ……え?」
その声音はもはや少女のものではなかった。色気と興奮に塗れ発情しきった雌の声。もっと気持ちよく、という快楽への好奇心を隠そうともしない、熱を帯びた色狂いの声だった。
「さっきのね、ほんとにすごかった。アリスはね、あと5回くらいはイきたいなあ。ね、おにーさんも気持ちよくなりたいでしょ♥」
「あ、ああ……いや、ダメだ、これ以上は出ない」
何度も精を放った俺の一物はすっかりアリスの膣内で萎えてしまっていた。 だからこれ以上は勃たせることすらできないと、そう思っていた。
だが。
「大丈夫♪今はだせなくても、アリスがせーしだせるようにしてあげるから」
ふと見ると、アリスの目が金色から血のような赤に染まっている。それを見た瞬間、アリスの膣内に挿入っているそれが今までにないほど大きく膨れ上がった。
それから、まるで逆流してくるように、それを通してアリスの体から流れ込んでくる「何か」を感じる。
「ああああああああああああああああ!!!!」
俺は悲鳴を上げていた。視界が赤く明滅し、脳内で危険信号が鳴り響く。ダメだ。これはダメだ。自分の体が作り替えられてゆくような感覚。このままでは人間でいられない。そういうことが、直感で理解できる。
顔から血の気が引いてゆく。しかし、一物にはこれまで以上に血が集まり膨張していた。
「あれ、おにーさん震えてるの?大丈夫だよ、一緒に気持ちよくなるだけだからぁ。アリスたちね、おにーさんが気に入ったから、一緒に気持ちよくなりたいの♥」
もう声も出せなかった。
ここから逃げたいのに、少女に抑えられた腕のせいで逃げられない。
いや、それは言い訳というものだ。
この腕が抜けたとしても、もうこの凄まじい快感から逃れる気にはならないだろう。
少女から流れ込んでくる得体のしれない「何か」のせいか、腕を抑えられている感触すら、全てが快感になっていた。
……待て。今この少女は妙なことを口走らなかったか。アリス「達」……?
「んんっ!」
全くの不意打ち、そして驚愕。人形であるはずのそれの唇が、俺の唇を塞いでいた。
人形の舌は俺の口に入り、中を舐め回すように動いている。それは甘く、口付けだというのにとんでもない快感を伴っていた。おそらく本物の人間のそれと遜色ない。それどころか本物以上かもしれない。
人形は唾液の橋を作りながら口を離すと、こちらを見つめてくる。表情こそ変わらないものの些か頬が上気しているように見えた。
動いているのか。あの人形が。
俺はここにきてようやく、彼女たちの正体を疑いだしていた。
しかし何もかも遅すぎた。
どんな衝撃も、思考もどんどん鈍っていき、快楽に上塗りされていく。
もう何も考えられない。
「ほら、シェリィもおにーさんのが欲しいって。三人でシよっかあ♥」
ぼんやりした思考の中、アリスの体に変化が起こった。背中から何かが生えるように2本の盛り上がりができ、スカートは何かに持ち上げられているように見える。
そうして俺は見てしまった。
遂にみちみちと服を破り生え出たのは大きな翼。
先端のハート型をゆらゆらと揺らしながらスカートから覗く尻尾。
頭から突き出した2本の巻き角。
それらは紛れもない、確固たる人外の証。
月に照らされるその異形は見惚れるほどに美しく。
俺は遅まきながら、ここにきてようやく、この少女たちが人間でないことを確信したのだ。
同時にプツン、と俺のなかで何かが切れるような感覚がした。
意識は朦朧とし、目の前は真っ暗で、なにも聞こえない。
もはや他の感覚など無くなり、感じるのは快楽のみだった。
快楽が激しくなる。二人の少女が好意を再開したのだろうか。
俺は今、二人の少女に犯されているのだろうか。
それとも、自我を失った俺が二人を犯しているのだろうか。
それすらも分からない。
そして何度目かの大きな快楽と共に、俺の意識は完全に途切れた。
後の記憶は、ない。
…………………………
……………
……
「……うーん」
永い、夢を見ていたような気がする。
公園で気を失ったはずが、目覚めたのは自室のベッドだった。頭痛が酷いが、けだるさはない。不思議だが体調はむしろ良好といってよい方だろう。
夜中の出来事は本当に夢だったのだろうか、と考える。
どこまでも美しい、性処理のために作りだされたと思しき少女の人形と。
全身から可愛らしさを溢れさせながらも、淫らに誘ってきた少女。
そしてその両方と体を交えてしまった俺。
夢にしては不自然なほど鮮明に覚えているが、どう考えてもあり得ない。
性処理用の人形が転がっていることはおろか、10歳にも満たないような幼女とまぐわるなど、現実的に考えてどう考えても不可能だ。まだ初潮も来ていないはずの幼女が股を濡らし、初めての快感に身をよじらせ打ち震えるなど。
だとすれば、あれは俺の欲求不満が為に見た夢に違いない。生まれてこの方女性関係など無に等しいのだ。
もちろん大人になってから彼女が欲しいと思ったことも一度や二度ではないが、作りたくて作った彼女は本当に大切な人と呼べるのだろうか?もっとお互いを知るなどの段階を踏まなくてはならないのではないか?といった変なプライドが邪魔をして自ら近づく機会などは放り捨てていた。なるほどあんな淫夢を見るのも納得だ。
しかし、それならば何故二人とも幼女だったのだろう……もしや俺はロリコンだったのか、だとしたら人生最悪の発見だ……あんまり信じたくない……。
考え事をしているうちにようやく仕事のことを思い出した。そうだ、こんなことを考えている暇などない。夢と決まったならば、さっさと支度をして出社しなくては。
そうして上体を起こそうとする、が、違和感。
重い。胸のあたりに何かが引っ付いているようだ。心あたりは無いでも無いが、いやあ、そんなまさか……さっき否定したばかりじゃないか……。
嫌な予感と共にそこを見下ろすとズバリ的中。
昨夜の金髪の幼女と銀髪の人形が、俺を挟み込むようにして抱き着いて眠っていた。その顔はなんとも気持ち良さそうで、誰が見たって起こすことを躊躇うことだろう。
「はあ……」
溜息が自然と漏れる。
あの夜に起こったことや見たもの、それが夢だったのか現実だったのか、どちらにしろ今はまだ確証が持てない。それに、この娘たちの正体はいったいなんなのだろうか。
真実はこの少女たちが知っているのだろうか。聞きたいことは山ほどある。本来ならば今すぐにでも起こして問いつめるべきなのだろうが……。
「いいや……寝よ……」
そんな思考が自然と浮んだ。
体を作り変えられたような感覚も覚えているが、心まで作り変えられてしまったのか。
これまで普通の生活を保ってきた俺が易々とそれを捨てる気になるなど。
その可能性も考えられるが、おそらくは。
一人ではないことの安心感が俺をそうさせたのだと思う。
朝起きて、隣に誰かがいること。
孤独ではないということ。
これからどんな未来が待つとしても、それは何にも代えがたいものだろう。
そんなことを考えながら、俺は二度目の眠りについた。
……これからの人生、この少女たちにいつまでも振り回されることになるなど、知る由もなく。
午前0時を過ぎた深夜、人通りの少ない路地を歩いていた。
俺は世間の言うところのサラリーマンというやつである。
これまで無難に学校生活をこなし、大学へ進学して人並み程度の勉強をして、待遇の良さそうな会社を選び得た立場だ。実際に会社への不満は少ない。因みに今こうして帰りが遅くなっているのも、たまたま会社が忙しい時期というだけ。
もとより人より少しばかり賢かったおかげか全ては順調で、特別なトラブルが起こるようなこともなかった。
何も不満は無いが、それゆえに何かがもの足りない人生。
仕事を始めた頃、「その内結婚して幸せな生活を送るのだろうなワハハ」などと考えていた愚か者の俺はいつの間にか恋人ひとり見つからないまま三十路間近の年齢を迎えていた。このまま仕事ばかりの人生を過ごすのだと思うと、少しばかりモヤモヤした気持ちになる。
付け加えると、俺にこれといった趣味はない。
けして作ることをを忌避しているのではなく、これまで生きてきて単純に自分の好きなものを見つけられなかっただけだ。だから純粋に自分の好きなものについて語っている人を見ると、少しだけ羨ましくも思えた。
「どいつもこいつも結婚かあ…」
ふと考えていたことが口から漏れた。
友人のあいつも、昔好きだったあの娘も、皆生涯の伴侶を見つけたらしい。 ならば自分はどうかと振り返ってみるが、ここ最近の俺の人生に、色恋などというワードはスッポリ抜け落ちてしまったようだった。いや、恋人がいたことも無いのだから前からか。当然ながら性交の経験もない。
人を愛するとはどういうことなのだろう。
子供心に人を好きになったことはあるが、生涯愛せる人など見つけようがなかった。
自分の帰った先に誰かが待っている、という想像をしてみるがどうもしっくりこない。なんだか不自然すぎて笑えて来るほどだ。今のままではきっと結婚など夢のまた夢だろう。
……ふと自宅へ向かう足が速くなる。別に、誰も待ってはいないのに。
俺はマンションの一室に一人暮らしをしている。
狭くはないが、多少の安さを求めてしまったせいか駅から数分歩かなければいけない位置にあるのが玉に瑕だ。
寂れた公園のある角が目印で、曲がればすぐマンションが見えてくる。その角を曲がろうとして一瞬公園に目を向けた時―――。
「ん?」
切れかけの外灯に照らされて、何か妙なものが見えたがした。
もう一度公園に目を向けてみると、なにやら藪近くに肌色をした何かが転がっている。
植木の茂みに隠れて全体像は見えないが、それは棒状で2本並んでおり、先端は自分もよく見るような形をしていた。反対の先は茂みに隠れているが、どうなっているかは想像に難くない。
即ちそれは、人間の脚のように見えた。
「ッ……!」
人が倒れている。間違いない。
こんな時はどうすればいいのだろうか。
警察か、救急車か、とにかく動悸が止まらない。苦しい。
これまで順調に人生を歩んできた弊害か、想定外のトラブルには弱かった。
どうしても悪い想像をしてしまう。確かめてはいないが、目の前のそれはもう……。
「そうだ…確かめるんだ」
気力を振り絞るように口にする。
焦って早とちりをしていた。まだ、■んでいるだと決まったわけじゃない。
大体脚しか見えていないのだからマネキンかもしれないじゃないか。
震える脚で倒れている「それ」の全体が見える位置に移動する。
しかして「それ」は俺の期待をあっさりと裏切った。
「……なん……で」
それはこの現状への恐れと、微かの驚きを宿していた。
それもそのはずだ。
倒れていたのは、まだ年端もいかないような少女だった。
だが、驚いた原因はそれだけではない。
その少女はあまりにも美しかった。
顔立ちだけではない。黒と紫を基調にしたゴシック調の西洋ドレス、水銀をそのまま糸状にしたかのようにきらめく銀髪、足の先から指の先の造形まで、何もかもが美しかった。「まるで人形のようだ」という形容がピッタリと当てはまる。そして何よりも透き通ったアイスブルーの瞳が見開かれていて、静かに虚空を見つめている。
そんなものが、日本の、しかもこんな廃公園に倒れている。
それはあまりにも、非現実的な光景。
いつの間にか、その少女の顔に手を添えていた。
「…あっ、うわっ!」
すぐに我に返り、手を引っ込める。
冷たい。その上硬い。死後硬直という言葉が脳裏に浮かんだ。この少女がどういう状態にあったかを思い出す。
一瞬冷静になっていた頭が再び熱を持ち、動悸が激しくなってきた。
この場合なら警察に電話しないと……番号はいくつだっけ……。
「あれ…?」
携帯を取り出そうとしたとき俺は再びおかしなものを見た。
それは少女の手。そこに人間にはありえないはずの構造が見えた。
厳密には関節。
それは球体。
指や手首の関節が、球体によって繋がっているように見える。
球体関節。
ボールジョイント。
人形を人形たらしめる証。
この少女が、人間でないことの証左だった。
体からドッと力が抜け、思わずその場にへたり込む。
「は、はは……本当に、人形だったんじゃないか……」
ほっと胸を撫でおろし、安堵の溜め息を吐いた。
念のため袖やドレスを捲り確かめてみると、こちらも球体関節になっている。やはり人形だ。
よくよく見れば、子供にしても一回りほど小さく見える。俺はどうかしていたらしい。
大人がこんなものを持ち歩いては変質者だし、何かの業者だとしてもこんな公園の茂みに人形を捨てるとは考えにくい、きっと子供の忘れ物だろう。
俺はこの謎の人形に、ひとまずそう結論付けた。
さて、この人形をどうしたものか。このまま放っておくのも忍びない。
この人形はあまりにもリアルに過ぎる。このまま去るのはまるで、少女の遺体を置き去りにするようでためらわれた。
この人形は今にも動き出しそうで、その方がこのまま寝ているよりもよっぽど現実的だと思えるほどだ。
再び人形に顔に手を這わせてみる。本当に綺麗な顔をしている。ふっくらとした頬…瑞々しい唇…凛とした目元がアクセントになっている。
気のせいだろうが、あまりの美しさに少し頭がくらくらするほどだ。
何かに憑かれたように人形をじっと凝視していると、俺は一つとして不思議な点を見つけた。
この人形には、こんな廃れた公園に投げ出されていたというのに、肌にも服にも土汚れ一つ付いていなかった。
まるで穢れを知らないように。何よりも無垢なその姿がそこにあった。
人形も見つめているうちに、俺の中にある感情が芽生えた。
この少女を、汚してしまいたい。
そんな馬鹿なこと。相手は少女の、それも人形だぞ。と理性が叫んでいるが、俺の下腹部のソレは既に痛いほどに膨れ上がっていた。
(誰も見てないよな…見てないはずだ)
もう人形に夢中だった。周りの確認もせずにズボンと下着を下ろし、外の空気に触れるなりさらにいきり立つそれを人形に向ける。はやく汚したい。その綺麗な髪を、服を、顔を、白濁に染めてやりたい。
「はあ……ああ……」
いつの間にか手を動かしていた。外で、しかも人形を相手に自慰をする背徳感からか、いつも一人でするよりずっと気持ちいい。
自分の精液でドロドロになった人形を想像する。人形は汚されながら、なおも抗議の声を上げることもなく、俺の精液を受け止め続ける。黒色を主とした服に、精の白濁が映える。自分が何をされているのか、理解することもできない。
……いやもっとだ。外だけじゃなく、その中まで汚してやる。俺は少女の口を開け、その中に欲望を放とうとして。
そこで、驚愕した。
濡れている。人形の口のなかは、本物の少女のように、唾液のようなねっとりとした粘液で濡れそぼっていた。まるで肉棒を歓迎するかのように。
我慢などできない。俺は少女の頭を掴み、その小さな口へ強引に肉棒をねじ込んだ。
「うあああ!……は、はは……」
暴力的な快感の波が襲ってきた。
動くはずもない人形の舌が、肉棒を舐め回している。そんな感覚にさえ襲われた。
何度も何度も狂ったように人形の頭に肉棒を打ち付ける。想像の絶する快楽に、肉棒はすぐに限界を迎え、果ててしまった。
「ああああ……!出る……!!」
少女の口内に精液をぶちまける。何度も痙攣を繰り返し射精する。信じられないほど長い射精が終わり、萎えた肉棒を引き抜く。
しかし、あふれるほどの大量に出された精液が口の端から零れ落ちる様がどうしようもなく淫らで、それはすぐにその元気を取り戻してしまった。
もっと知りたい。この体のことを。
服に隠れたその下はどうなっている。
ドレスの奥、人間の女性であれば「それ」があるであろう場所は。
この少女を汚してやる。もっと、深いところまで、その全てを。
(そう。それでいいのよ……)
頭の中で声が響いた。聞こえたというよりも、その声は内側からどろりと己の思考に溶けていくようだった。
皮肉なことに、この時の俺は自分の意思で動いているように見えて、声の主の操り人形になっていたのかもしれない。
俺は人形のドレスを勢いよく捲り上げる。
すると驚くことに、人形は下着一枚身に付けていなかった。
そしてそこには、もうぐっしょりと濡れている淡い薄ピンクのそれがある。
まるで人間の男のために、そういう使われ方をするために作られたかのように。
もちろんこんな西洋人形にはありえないものだ。
でも、そんなことはもう考えられなくなっていた。
どこまでも無垢なそれが、しかして濡れている様子は、俺を誘っているようにしか見えなかった。
(はやく頂戴……ね……?)
要望通りに一物をそこにあてがう。大人のそれを受け入れるには到底不可能に思えたが、呑みこむようにずぷり、と挿入っていった。
「ぐ、ああっ……!」
自分でするのも、口に挿入れたのとも比べ物にならない程の快楽だった。意識しなければすぐに果ててしまう。人形の膣内は温かく、襞で覆われており、それがまるで精を搾り出すかのように蠕動しているようだった。
俺はもうこの人形の虜になっていた。この少女は人形だ。どれだけ出しても孕むことはないない。好き勝手に犯せる。これが終わったら人形を持ち帰って、あらぬ限りの欲望をぶつけてやる。
人形の腰を掴み、一心不乱、無我夢中で腰を振っていた。止まらない。
なおも人形の顔は無表情で、ギシギシと揺れるだけ。それがいっそう興奮を煽った。
この人形はきっと性処理のために作られたものなのだろう。だったら膣内に出して、俺のものにしてやる。それがこいつにとっても本望なはずだ。
精が昇ってくる。俺は荒い息を上げながら、欲望をその膣内に放とうとして―――。
「……おにーさん、なにしてるの…?」
突然、声がした。あどけない少女の声。
そして思い出す。
俺はこの場所が誰の邪魔も入らないような部屋ではなく、ただの公園であることさえ忘れて、人形を犯していたのだ。さっと頭が冷えてゆく。俺は今まで何をしていたんだ……人形の少女を相手に。
「ぇ……ぁ……」
少女から引き抜くことさえ忘れて声をかけてきた女の子の方へ振り向いてしまった。突然の出来事に思考が麻痺している。
それでも目の前の少女の特徴くらいは分かる。おそらく10歳くらいだろうか。頭には空色のリボンと長くウェーブのかかった金髪。同じく金色の、ぱっちりとした大きな目が可愛らしさを強調している。そして服装は青と白を基調にしたエプロンドレス。
誰もが知っているであろう『不思議の国のアリス』の主人公そのものの姿をしていた。
「それ、わたしの……」
「あ、ええと……」
慌てて人形から一物を引き抜くが、かえってそれが少女の興味を引いてしまったらしい。俺の逸物をじっと見つめてきた。だというのに……いたいけな少女が見ているのに、全く肉棒は萎えてくれない。不思議なことに、むしろかえって硬さを取り戻していく。
「わかった!おにーさん、シェリィと遊んでくれてたのね!」
「えっ?」
「ねえねえ、どんなあそびしてたの?さっきのみせて、アリスにおしえて?おねがい!」
アリスと名乗る少女は手を合わせて懇願し、まじまじと肉棒を見つめてくる。その金色の瞳はさながら好奇心の塊のようだ。無邪気な視線にさらされ、それはさらに固さを増しいく。
「……ああ分かった。やって見せるから、よく見てるんだぞ」
そんなセリフが、無意識に口をついて出た。俺はどうかしてしまったらしい。体も心も、理性の制止が全く効かなくなっていた。
人形の陰部に再びあてがい、挿入する。再び嵐のような快感が襲ってくる。
アリスはその光景を目を輝かせて見ている。
(ああ……俺は何をやっているんだ……こんなこと、しちゃいけないのに……)
人形を使った自慰を、今度は持ち主の女の子に見られながらしている。本当ならこんなことは止めなければならないと分かっていた。こんな小さな女の子に、目の前で自慰を見せるなど。それでも、先程のそれより興奮している自分がいた。溢れる欲望を抑えられない。
「こうしてね……。男の人のモノを女の子の中に入れる。そうして、二人一緒に気持よくなる遊びだ」
「気持ちよく……?」
興味津々で聴いている。その瞳は幼い少女のものに違いない。しかし俺は、どうしてかその瞳に淫らな色を見出してしまっていた。今はこの少女に教えてあげなくてはならない。
人形を相手に今までよりずっと激しく腰を打ち付ける。
「わあ……すごい……」
アリスは口を手で覆い、その光景に見とれているようだった。
精が昇ってくる感覚。そして限界に達する。
「ぐっ……!!」
人形の膣内に躊躇いなくぶちまける。人形の膣内は、尿道に残った精を残さず吸い上げるように蠢いている。引き抜くと人形の陰部からどろりと精液が漏れ出た。
「ふう……分かったか?……ん!?」
まだ硬いままのそれを今度はアリスに向ける。すると、驚くべきことに、アリスはいきなりそれを咥えてきた。花にとまる蝶のようにふらりと妖艶に、そうするのが当たり前とでもいうような自然な動きで。
少女の小さな口内は温かく、舌が一物を味わうように舐めまわしている。性知識が無いとはとても思えないほど気持ちいい。歯を立てることなく、亀頭を責め、的確に快楽だけを与えてくる。
「あむ……んちゅ、んん、ちゅ……えへへ」
アリスはそのままこちらを上目遣いにみて笑いかけてくる。その表情は悪戯のバレた子供のようでいて、また少女のそれとは思えないほど甘く蕩けていた。
それを見た瞬間口内で、肉棒が痛いほどいきり立つ。そして、出したばかりでそんなことをされた所為か、アリスの口内で今宵三度目の射精を迎えてしまった。
「ううっ」
「んん!……う、なに、これ……すごくおいしい……♥」
アリスは口内に出された精液をぐちゅぐちゅと咀嚼したあと、なんと一息に飲みこんでしまった。頬を染め、幸せそうに恍惚としている。
「それは精子っていうんだ。男の人が気持ちよくなると出るものだよ」
自分でも気持ち悪いほどスラスラとセリフが出てくる。少女の「おねがい」は他の何よりも優先されていた。それは正常な倫理でさえ、狂わせる。今はこの少女に先程の「遊び」を教えてやらなくてはならない。
「せーし……んん……んちゅ……ああっ……♥」
アリスは残る精液を舐めまわしながら左手を下腹部に持っていき、くちゅくちゅといやらしい水音を響かせていた。
アリスは一物から唾液を溢しながら口を離す。
それから下着を下ろし、スカートをたくし上げると、透明な粘液が糸を引いているのが見える。ぬらぬらと洪水のようになっているそこを、俺に見せつけてきた。
「おにーさんのせーし、アリスにも……ここにちょうだい♥」
その顔は不安などなく、ただただ「遊び」を期待する女の顔。
「はやくぅ……♥アリス、おにーさんと一緒に気持よくなりたい……♥」
その期待に応えてやろうとアリスを仰向けに寝かせ、陰部にそれをあてがい、一気に膣へ肉棒を差し込む。
「んんッ、あっ……!」
すると人形のときには無かった何かを貫くような感覚があった後、膣から鮮血が迸る。アリスは何かをこらえるような顔をしていた。一瞬だけ思考が戻る感覚。
「アリス、大丈夫か?」
「うん……さっきはちょっといたかったけど……大丈夫。今はすっごく気持ちいい♥」
その淫猥な声音、表情から、戻った思考はすぐに吹き飛んでしまった。
アリスの小さな膣内は成人男性のそれを相手にしているにも関わらず、一物を根元までくわえ込んで離さない。そして、精をねだるように淫らに蠢いている。
「んあッ、ああ、おにーさんの、すきぃ、だいすきぃ、気持ちいい♥」
小さな矮躯を小突くたびにアリスはその幼い姿とは似つかわしくない嬌声を上げ、一物をきつく締め付ける。
限界が近づいている。それはどうやら向こうも同じなようだ。
「あっ♥あぅ、はぁ♥あっ♥おにーさん、なにか、なにかくる、きちゃ、ああああ♥」
「く、それは『イく』って言うんだ、ああ、俺もそろそろ……」
「んん……あっ♥イく♥イっちゃう♥ぅぅぅうあ、ぁぁぁああああああっ♥」
「……ッ、出るッ!」
「んん……ああああああああああ!!!」
きゅう、とアリスの中が一層絞めつけられ、大量の精が彼女の中に放たれる。
アリスは背を仰け反らせ、体はびくびくと痙攣していた。同時に彼女も絶頂に達したらしい。
初めての性交に、俺も彼女も心ここに在らずといった表情で放心していた。
しばらく経って、放心から我に返ったとき、急に疲労感が襲ってきた。
今までは不思議と体力が持っていたが、これ以上は限界だ。思えば4回も、いつもならば考えられないような量の精液を出していた。通常ならこうなるのが当たり前だろう。
頭の熱が引いていき、思考能力が戻ってくる。ああ、俺はこんな小さな女の子と交わってしまったのか……。
「ごめん、アリス……ちゃん、俺、何でこんなこと」
そう謝罪して、小さな肉壺から己の一物を引き抜こうとした次の瞬間。
「だぁめ♥」
ぎゅ、と勢いよくアリスが抱き着いてきた。抜けようとしていたそれが再び膣内の奥まで押し込まれる。
そしていつの間にかアリスが上になり腕を抑えられ、押し倒されていた。
「え、ちょっ、なにするんだ!?」
必死に抵抗するが、信じられない。俺は衰えてきているとはいえ成人男性である。だというのに、推定10歳ほどの少女相手に腕一本動かせない!
「だめだよおにーさん♥アリスはまだ全然満足してないんだからあ」
「うあっ……え?」
その声音はもはや少女のものではなかった。色気と興奮に塗れ発情しきった雌の声。もっと気持ちよく、という快楽への好奇心を隠そうともしない、熱を帯びた色狂いの声だった。
「さっきのね、ほんとにすごかった。アリスはね、あと5回くらいはイきたいなあ。ね、おにーさんも気持ちよくなりたいでしょ♥」
「あ、ああ……いや、ダメだ、これ以上は出ない」
何度も精を放った俺の一物はすっかりアリスの膣内で萎えてしまっていた。 だからこれ以上は勃たせることすらできないと、そう思っていた。
だが。
「大丈夫♪今はだせなくても、アリスがせーしだせるようにしてあげるから」
ふと見ると、アリスの目が金色から血のような赤に染まっている。それを見た瞬間、アリスの膣内に挿入っているそれが今までにないほど大きく膨れ上がった。
それから、まるで逆流してくるように、それを通してアリスの体から流れ込んでくる「何か」を感じる。
「ああああああああああああああああ!!!!」
俺は悲鳴を上げていた。視界が赤く明滅し、脳内で危険信号が鳴り響く。ダメだ。これはダメだ。自分の体が作り替えられてゆくような感覚。このままでは人間でいられない。そういうことが、直感で理解できる。
顔から血の気が引いてゆく。しかし、一物にはこれまで以上に血が集まり膨張していた。
「あれ、おにーさん震えてるの?大丈夫だよ、一緒に気持ちよくなるだけだからぁ。アリスたちね、おにーさんが気に入ったから、一緒に気持ちよくなりたいの♥」
もう声も出せなかった。
ここから逃げたいのに、少女に抑えられた腕のせいで逃げられない。
いや、それは言い訳というものだ。
この腕が抜けたとしても、もうこの凄まじい快感から逃れる気にはならないだろう。
少女から流れ込んでくる得体のしれない「何か」のせいか、腕を抑えられている感触すら、全てが快感になっていた。
……待て。今この少女は妙なことを口走らなかったか。アリス「達」……?
「んんっ!」
全くの不意打ち、そして驚愕。人形であるはずのそれの唇が、俺の唇を塞いでいた。
人形の舌は俺の口に入り、中を舐め回すように動いている。それは甘く、口付けだというのにとんでもない快感を伴っていた。おそらく本物の人間のそれと遜色ない。それどころか本物以上かもしれない。
人形は唾液の橋を作りながら口を離すと、こちらを見つめてくる。表情こそ変わらないものの些か頬が上気しているように見えた。
動いているのか。あの人形が。
俺はここにきてようやく、彼女たちの正体を疑いだしていた。
しかし何もかも遅すぎた。
どんな衝撃も、思考もどんどん鈍っていき、快楽に上塗りされていく。
もう何も考えられない。
「ほら、シェリィもおにーさんのが欲しいって。三人でシよっかあ♥」
ぼんやりした思考の中、アリスの体に変化が起こった。背中から何かが生えるように2本の盛り上がりができ、スカートは何かに持ち上げられているように見える。
そうして俺は見てしまった。
遂にみちみちと服を破り生え出たのは大きな翼。
先端のハート型をゆらゆらと揺らしながらスカートから覗く尻尾。
頭から突き出した2本の巻き角。
それらは紛れもない、確固たる人外の証。
月に照らされるその異形は見惚れるほどに美しく。
俺は遅まきながら、ここにきてようやく、この少女たちが人間でないことを確信したのだ。
同時にプツン、と俺のなかで何かが切れるような感覚がした。
意識は朦朧とし、目の前は真っ暗で、なにも聞こえない。
もはや他の感覚など無くなり、感じるのは快楽のみだった。
快楽が激しくなる。二人の少女が好意を再開したのだろうか。
俺は今、二人の少女に犯されているのだろうか。
それとも、自我を失った俺が二人を犯しているのだろうか。
それすらも分からない。
そして何度目かの大きな快楽と共に、俺の意識は完全に途切れた。
後の記憶は、ない。
…………………………
……………
……
「……うーん」
永い、夢を見ていたような気がする。
公園で気を失ったはずが、目覚めたのは自室のベッドだった。頭痛が酷いが、けだるさはない。不思議だが体調はむしろ良好といってよい方だろう。
夜中の出来事は本当に夢だったのだろうか、と考える。
どこまでも美しい、性処理のために作りだされたと思しき少女の人形と。
全身から可愛らしさを溢れさせながらも、淫らに誘ってきた少女。
そしてその両方と体を交えてしまった俺。
夢にしては不自然なほど鮮明に覚えているが、どう考えてもあり得ない。
性処理用の人形が転がっていることはおろか、10歳にも満たないような幼女とまぐわるなど、現実的に考えてどう考えても不可能だ。まだ初潮も来ていないはずの幼女が股を濡らし、初めての快感に身をよじらせ打ち震えるなど。
だとすれば、あれは俺の欲求不満が為に見た夢に違いない。生まれてこの方女性関係など無に等しいのだ。
もちろん大人になってから彼女が欲しいと思ったことも一度や二度ではないが、作りたくて作った彼女は本当に大切な人と呼べるのだろうか?もっとお互いを知るなどの段階を踏まなくてはならないのではないか?といった変なプライドが邪魔をして自ら近づく機会などは放り捨てていた。なるほどあんな淫夢を見るのも納得だ。
しかし、それならば何故二人とも幼女だったのだろう……もしや俺はロリコンだったのか、だとしたら人生最悪の発見だ……あんまり信じたくない……。
考え事をしているうちにようやく仕事のことを思い出した。そうだ、こんなことを考えている暇などない。夢と決まったならば、さっさと支度をして出社しなくては。
そうして上体を起こそうとする、が、違和感。
重い。胸のあたりに何かが引っ付いているようだ。心あたりは無いでも無いが、いやあ、そんなまさか……さっき否定したばかりじゃないか……。
嫌な予感と共にそこを見下ろすとズバリ的中。
昨夜の金髪の幼女と銀髪の人形が、俺を挟み込むようにして抱き着いて眠っていた。その顔はなんとも気持ち良さそうで、誰が見たって起こすことを躊躇うことだろう。
「はあ……」
溜息が自然と漏れる。
あの夜に起こったことや見たもの、それが夢だったのか現実だったのか、どちらにしろ今はまだ確証が持てない。それに、この娘たちの正体はいったいなんなのだろうか。
真実はこの少女たちが知っているのだろうか。聞きたいことは山ほどある。本来ならば今すぐにでも起こして問いつめるべきなのだろうが……。
「いいや……寝よ……」
そんな思考が自然と浮んだ。
体を作り変えられたような感覚も覚えているが、心まで作り変えられてしまったのか。
これまで普通の生活を保ってきた俺が易々とそれを捨てる気になるなど。
その可能性も考えられるが、おそらくは。
一人ではないことの安心感が俺をそうさせたのだと思う。
朝起きて、隣に誰かがいること。
孤独ではないということ。
これからどんな未来が待つとしても、それは何にも代えがたいものだろう。
そんなことを考えながら、俺は二度目の眠りについた。
……これからの人生、この少女たちにいつまでも振り回されることになるなど、知る由もなく。
17/08/30 02:18更新 / 青黄緑青