再び出会う吸血鬼、ラスト・グラウンドフォール(if)
ラスト・グラウンドフォール。有名なヴァンパイア一族の一人娘。
「災害」を司る四大名家のうちの一家。司る災害は「地割れ」、大地の精霊ノームからの加護を一身に受けている、らしい。
これがミラ及びその他諸々の魔物娘から聞いた情報だった。
その説明を受けると最初に出会った時の神々しさは納得だ。
そんなことを思いながら今晩も俺は月を眺めている。
ついでに横にはかのラスト先輩がいた。
「どうです?月見酒でも」
「ほう?妾は兎も角、貴様は未成年だろう?」
「大丈夫ですよ。ノンアルコールです」
これはいろんな生徒からラスト先輩についての話を聞いたあと、俺が購買部によって昼飯を買っていた際
「おう、少年。浮かない顔だねぇ。悩み事かい?」
「は?」
と、そう言ってきたのは 購買部の店員、化野機(あだしのからくり)さん。
この学園でも珍しく馴染みある名前の形でもあり、弁当を作らない俺は購買部で昼飯を買うので、化野さんとは結構仲が良かったりする。
「どうしてそう思うんですか?化野さん」
「はっはっは。私の情報網を舐めてもらっちゃぁ困るよ。あのラストちゃんの事について調べてるんだろう?」
これには少なからず驚いた。
「よく知ってましたね。本当にどこから仕入れてるんですか?それ」
学生ではない化野さんだが、その人懐っこい性格などから生徒からの人気も高い。
そう考えるとそこからの情報なのかもしれない。
「はっはっは。まぁいいじゃぁないかそんな事は。で、あの娘の事について、なんか知りたいかい?」
レジに肘をつきニヤニヤとこちらに笑顔を向ける。
フリフリと狸の尻尾も動いていて、本当に楽しそうだ。
「じゃあ、ラスト先輩の「はい、お金」
………。
「ということがあってですね。月見酒をすればいいって聞いたんですよ」
そう言うとラスト先輩は
「かっかっか!あの商売娘、中々商魂逞しい奴よ!」
ラスト先輩は笑いながら「ほら、その酒を寄越せ」と催促してきた。
「んっ、なんじゃこれは。ゲロマズじゃな。飲んだ気分にもなれん」
「まあ、俺未成年なので」
すみません、と謝り俺も酒を呑む。うん、苦い。
「ふぅむ……おい、貴様」
「ん?なんですか」
「いや、これまでの人生の中で妾が酒に誘うことはあっても誘われることは稀じゃった。 しかも損得感情なしで誘うのは貴様だけだったかもしれん」
さわさわ、と柔らかい風が吹く。俺たちがいる学園の屋上に溜まっていた桜の花びらが静かに舞った。
「妾はそんな貴様に興味が湧いた。少なくとも、つまらない思いはさせるなよ?」
ついて来い。
そう言ってラスト先輩は黒のマントを翻し、屋上から飛び降りようとする。
「ちょっ……!どこに行くんですか!?」
すんでのところでラスト先輩を引き止める。
本当に自由奔放だなこの人は。
「ん?ああ、すまんな。気が急いてしまってまだ言ってなかったか」
くるり、と屋上のフェンスの上でターンする。落ちないところをみると相当身体能力が高いのだろうか。
「貴様、二荒葉を妾の茶会に招待しよう」
にやり、と笑うラスト先輩の口の端から綺麗な牙がちらりと見えた。
「災害」を司る四大名家のうちの一家。司る災害は「地割れ」、大地の精霊ノームからの加護を一身に受けている、らしい。
これがミラ及びその他諸々の魔物娘から聞いた情報だった。
その説明を受けると最初に出会った時の神々しさは納得だ。
そんなことを思いながら今晩も俺は月を眺めている。
ついでに横にはかのラスト先輩がいた。
「どうです?月見酒でも」
「ほう?妾は兎も角、貴様は未成年だろう?」
「大丈夫ですよ。ノンアルコールです」
これはいろんな生徒からラスト先輩についての話を聞いたあと、俺が購買部によって昼飯を買っていた際
「おう、少年。浮かない顔だねぇ。悩み事かい?」
「は?」
と、そう言ってきたのは 購買部の店員、化野機(あだしのからくり)さん。
この学園でも珍しく馴染みある名前の形でもあり、弁当を作らない俺は購買部で昼飯を買うので、化野さんとは結構仲が良かったりする。
「どうしてそう思うんですか?化野さん」
「はっはっは。私の情報網を舐めてもらっちゃぁ困るよ。あのラストちゃんの事について調べてるんだろう?」
これには少なからず驚いた。
「よく知ってましたね。本当にどこから仕入れてるんですか?それ」
学生ではない化野さんだが、その人懐っこい性格などから生徒からの人気も高い。
そう考えるとそこからの情報なのかもしれない。
「はっはっは。まぁいいじゃぁないかそんな事は。で、あの娘の事について、なんか知りたいかい?」
レジに肘をつきニヤニヤとこちらに笑顔を向ける。
フリフリと狸の尻尾も動いていて、本当に楽しそうだ。
「じゃあ、ラスト先輩の「はい、お金」
………。
「ということがあってですね。月見酒をすればいいって聞いたんですよ」
そう言うとラスト先輩は
「かっかっか!あの商売娘、中々商魂逞しい奴よ!」
ラスト先輩は笑いながら「ほら、その酒を寄越せ」と催促してきた。
「んっ、なんじゃこれは。ゲロマズじゃな。飲んだ気分にもなれん」
「まあ、俺未成年なので」
すみません、と謝り俺も酒を呑む。うん、苦い。
「ふぅむ……おい、貴様」
「ん?なんですか」
「いや、これまでの人生の中で妾が酒に誘うことはあっても誘われることは稀じゃった。 しかも損得感情なしで誘うのは貴様だけだったかもしれん」
さわさわ、と柔らかい風が吹く。俺たちがいる学園の屋上に溜まっていた桜の花びらが静かに舞った。
「妾はそんな貴様に興味が湧いた。少なくとも、つまらない思いはさせるなよ?」
ついて来い。
そう言ってラスト先輩は黒のマントを翻し、屋上から飛び降りようとする。
「ちょっ……!どこに行くんですか!?」
すんでのところでラスト先輩を引き止める。
本当に自由奔放だなこの人は。
「ん?ああ、すまんな。気が急いてしまってまだ言ってなかったか」
くるり、と屋上のフェンスの上でターンする。落ちないところをみると相当身体能力が高いのだろうか。
「貴様、二荒葉を妾の茶会に招待しよう」
にやり、と笑うラスト先輩の口の端から綺麗な牙がちらりと見えた。
13/04/08 00:28更新 / アルバス
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