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4話

【ジェイルバード】



 物心ついた時。それは他者の命を初めて奪った時だ。
 僕の世界は血塗れた歓喜により広がった。手にはナイフが濡れて光る。目の前に横たわる汚らしい肉の塊は、不釣り合いに綺麗な赤い花を脳天に咲かせていた。
    後ろから、檻の外から人の声が聞こえる。


「あれが今回の器か」
「ええ、凄まじい魔力を秘めています。恐らく魔王に匹敵するかと」
「ふふふ、良いモノを手に入れた。……いいか、奴に自我が芽生える事などあってはならん。歯向かわれたら厄介だ。飽くまで我らの忠実な犬とせよ」


 その時の僕には、この胸の痛みの意味が判らなかった。




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【メモ-用語】
“邪神教/魔王教”

旧時代の魔王を崇めていた集団。ゲーテとヴァーチャーが所属していたのはその一派。
優れた精神操作技術を駆使し、攫った子供を傭兵や暗殺者、性玩具に教育し売っていた大々的な人身売買組織であり、要人暗殺を請け負うアサシンギルドであったが、丁度魔王が世代交代した時期に急速にその勢力を失っていった。

そんな殺伐とした集団にも“聖女”とされる少女がおり、勢力が衰退した頃から彼女の行方は誰にも知れないままとなっている。



実は人身売買や暗殺以外にも、魔王崇拝を名目として何かを計画していたようだが……?

10/07/15 17:37 Vutur

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