連載小説
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シスターズ
「ねぇ、にぃの好きなタイプってどんな人?」

「あー…そーいうのは無縁だったからなぁ…本気で愛せて本気で愛してくれる奴なら性格とか体型とか顔とか気にしねーなあ。」

「それは家族内でもいけるのかな?」

「うん?なんかおかしいぞ?」

ーーーー

「ということで、にぃの好きなタイプを探ろうと思います!」

ねぇねぇ、今回もかっこいいにぃの語りだと思った?ねぇねぇ、にぃの語りだと思った?

残念!!マユちゃんでした!!

今回、妹達を一つに結集し、ついににぃの好みのタイプ、あわよくば性癖を探り出そうという私達シスターズの一世一代の大勝負なわけです。

「でもお兄さんは好きなタイプとかないって言ったんでしょ?」

「そんなのあるに決まってるでしょ?口は素直じゃないんだよにぃは。」

「…ふーん?」

「愛してくれればいいなんて言っててもきっとそれは恋人条件ランキング1位の話で2位3位には性癖やタイプが入ってるはず…
ならばそこを当ててアピールするしかないじゃん!」

つまり愛してくれればの第一関門は突破してるのに何故にぃが私達に揺らいでくれないのかといえば、きっと何か魅力が足りないわけなんだよ。何か恋人に至るまでの魅力がないんだよ。

だとすればやるしかないじゃん!そう私は決意したんだよ!!

拳を天高く突き上げて!!

布団の上でだけどね。

で、その覚悟を他の妹達に強要しているわけなんだけど…

「えーっと、私は未だよく貴女達のお兄様に対するスタンスが分からないんですけど…協力してるんですか?それとも競ってるんですか?先にお兄様の一位になった人の勝ち的なことなんですかね?」

「んー、まぁ、ハーレムエンドをにぃが望まない限りはやっぱり独り占めしたいよね?」

「…じゃあこれ協力したらこれまで一人一人考えてた攻略法みたいなやつがおじゃんになるんじゃないですか?」

「はっ!?」

盲点!!
しまった!そんな欠点が!!
確かににぃの反応を全て話してしまったら他の妹もそれをやってしまうじゃん!!

「…じゃあ、協力相談じゃなくてお兄さんに何をさせたら勝ちみたいな闘争心を出させる会でいいんじゃ。」

「ほっ、ほほうっ?いいこと言うね?いやぁ私もそう思ってたんだよ??」

「…そう。」

シズクはため息を着いてから席を立ち、ホワイトボードの前まで行ってマッキーでサラサラと書き始めた。

「…今回お兄さんにさせたら勝ちは、一緒にお風呂。」

「ハードルたかっ!」

「それ私とシズクさん有利じゃありません?私透過できますし、シズクさんに至っては水の中ワープできるんでしょう?」

「…バレた」

「なにそれズルぅ!?」

な、なんだろうこの…本来上位種のサキュバスが全くこれまで魔物の特性を生かせてない現実は…
魅惑効かないんだもん!!にぃ全然振り向いてくれないんだもん!!

あと関係ないけど生足魅惑のマーメイドって上半身魚だよね。

「え、待って待って待って?じゃああんたらお兄ちゃんとお風呂入ったことあるっていうの?」

「私は生前になんどか。」

「…ことごとく失敗してる、上裸なら見たことある。」

「…うわぁ、引くわぁ」

「引くわって、口ぶり的にアヤさんも入りたそうでしたけどね?」

「うっ、いや、そんなわけないじゃん……」

これはちょっとにぃとどこまでしたことあるかの確認が必要だね?

「…う、うん、じゃあ、三人とも、今までにぃにされたこと、又はしたことで一番難易度高かった事、言ってみてよ。」

「えーっと…さっきも言った通り一緒にお風呂ですかねぇ…」

「…私何もされてないなぁ、特別に焼いてもらったクッキーくらい…」

「あ、あれ、あんだけ一緒に居るのににぃにされたことなでなでくらいしかないぞ?」

え…?私とアヤの扱い低すぎ…?
いやいや、そんなことはない、サヤは本当の妹だから別として私とアヤとシズクの扱いは一緒のはずだ。

…あれ、シズク?

「…」

「シズク、何で黙ってるの?」

「…う、うん、なんでもない。」

「ねぇ、言って?」

若干頬を染めながらうつむいているシズクを取り囲むようにジリジリと圧をかけていく。
かつあげとかできそう。

「……き、キス。」

「は!?」

「なんです!?」

「…………うはぁ。」

「…う、うるさいな、大丈夫…お兄さんがしてきたわけじゃない…。」

シズクはそう言って机に突っ伏してしまった。
サヤと私、嫉妬と憎悪の顔をしてる気がする。

アヤに至っては意気消沈だよこれ。魂抜けてるよ。

「……あ、あぁ、そう言えば言ってたわね…なんか…キスの味がどうとか…」

「…美味しかった。」

「……今回も聞き流しときゃ良かったわ。」

アヤも机に突っ伏してしまった。
まぁにぃからしてないってのが唯一の救いな訳だけれど…

「ちょ、わ、私でもキスはしたことないのに…ど、どーいうシチュエーションだったんですか!?」

「…う、うぅ、もう聞かないでよ…」

あれだけいつもにぃは私の宣言しているシズクでもどうやら根掘り葉掘り聞かれるのは恥ずかしいらしい。
まぁ、ここでキスをされた場合自慢をするようなのは私くらいだろうけれどもね。

私も力が抜けてしまったようで、弱々しくホワイトボードの文字を消すくらいしかできなかった。

と、するとそこで。

「あーもう!むしゃくしゃします!もう全員お兄様にキスして貰いに行きましょうよ!」

「「「!?」」」

シスターズの協力戦線が今、始まろうとしていた。
15/10/05 00:24更新 / みゅぅん
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