連載小説
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03「サイクロプスと操り人形(前編)」
 「チナツのゆるふわラジオカフェテリア」っ! 今日最初のおたよりは、更紗市のラジオネーム・MS−07さんから!

「こんにちはチナツさん。番組、いつも楽しく聴いています」

 はいこんにちは〜。いつも聴いてくれてありがとう!

「先日、私の幼なじみでもある親友に、ついに彼氏ができました♪」

 おー、それはめでたい。どんどんぱふぱふ〜っ!

「本人は『アイツがあんまりしつこいから、仕方なしに付き合ってやってるんだ』とか言い張ってますが、彼氏と一緒にいる時はうねうねしながらすっごく嬉しそうにしているし、ひとりで机に座っていても、ときどきニマニマきししって思い出し笑いを浮かべてます。この前そのことを教えてあげたら、絶対違う見間違いだと全力で否定されました。……これってツンデレって言うんですね?」

 うんうん、すっごくわかりやすい友だちだね〜。あと、それはツンデレとは言わない……のかな?
 まあ単に意地はって照れてるだけだと思うから、見ないふりしてそっと見守っておこうよ。それが親友ってもんでしょ?

「ちょっとへそ曲がりな親友も、最近はクラスのみんなとも打ち解けられるようになって、これも彼氏効果かなって思っちゃいます。それに、実を言うと以前に彼女が背中を押してくれたから、私も大好きな人と付き合うことができたわけで……その時は自分だけいいのかなって後ろめたさもあったのですが、今はふたりともパートナーができて、ふたりして毎日とってもと〜ってもハッピーですっ♪」

 …………あーハイハイごちそうさま。なんだ、MS−07さんも彼氏持ちだったんだ。前にも似たような出だしのお便りがあったから、またヒトリ身の愚痴が続くのかと思っちゃったぜい。
 それにしても、まー、なんというか、お互い仲がよさそうのはいいんだけど…………ああもうこの際だ。ふたりしてこのまま彼氏と合同結婚式挙げちまえっ♪

 けどこのふたり、愛がけっこう重たそう。……男子たち、大丈夫〜?(笑)



─ megapuppet ─

 二十四時間後の近未来。
 ゲイザー娘のナギと、関西弁少年彼方が付き合い始める前の話。

「……ひうっ!?」

 玄関の階段を一段とばしで駆け下りたら、思った以上にスカートが翻ってしまい、そのくすぐったさに、あわてて裾を両手で押さえて撫で付ける。
 久しぶりに履くようになった膝丈のスカートは、ヒラヒラしていてやっぱり落ち着かない。下にスパッツを着けていても、慣れないものは慣れないし、恥ずかしいものは恥ずかしい。
 ちらっと目を動かしてうかがうと、こっちを見ていたらしい何人かが、さっと目を逸らした。

「…………」

 まわりの女の子たちも同じ格好──制服を着ているから、余計に自分の異質さが目立っているような気がしてしまう。

 青い肌でヒトツ目、額にツノが生えた魔物娘な自分の。

 放課後、いくつもの運動部がそれぞれの場所で活動を始めている。
 同じ魔物娘である幼なじみの親友も弓道部とやらに入部してしまったので、なんとなく置いてきぼりにされたような寂しさも感じていたりする。
 異形の女生徒は溜め息を吐くと、防球フェンス越しにグラウンドをぼんやりと眺めた。

 ──ナギちゃん、こないだまで「この世界でたった二人っきりの単眼種だから、お互い支え合って生きていこうな」とか言ってたのに……

 その親友も、のちに同じことを思うのだが、今の彼女には想像もつかないこと。
 うらやましくもあるが、ヒト付き合いの苦手な自分は部活動なんてとてもできそうもない……なので、放課後はひとり目的もなく、グラウンドの端をぶらぶら歩くのが日常になりつつある──

 桜の花が散って、入れ替わるように若葉の緑が目立ち始めた頃。
 高等部一年B組のサイクロプス娘ホノカはその日、彼とそれ≠ノ出会った。



 神話やおとぎ話で語られる魔物の要素を持つ少女、あるいは少女の姿をした魔物──魔物娘がこの世界に現れたのが去年の冬。彼女たちは今年の四月から、私立明緑館学園の高等部一年生としての生活をスタートさせた。
 自分たちを目の敵にする主神教団も存在せず、加えてまわりには同世代?の男子がいっぱいという、ある意味恵まれた♀ツ境下ではあったが、十七人の魔物娘たちは身元引き受け人でもある明貴学園長に「まずこの世界のことをよく知って。(オトコ探しは)それからでも遅くない」とクギを刺され……もとい優しく諭されて、表面上はおとなしくしている。
 もっともそんな魔物娘たちに対して「きっと何か良からぬことを企んでいるに違いない」と邪推する者もいれば、「なんで人を襲わないっ、貯水池に謎ウィルスを投げ込まないっ、幼稚園バスジャックをしないんだっ!」と、わけのわからないことで憤っている者たちもいたりする……



「……何これ?」

 部室棟の外壁にもたれかかるように立つそれ≠見たホノカの第一印象は、テレビで見た動く絵物語──アニメに出てきた「きょだいろぼっと」だった。
 巨大といってもその人型、肩までの高さはおよそ三メートル。ホノカの感覚では「トロールよりは大きいけど、旧時代の姿になったドラゴンよりは小さい」といったところか。足と肩の部分が大きく、その全身を彼女ら魔物娘たちが「鉄の馬」と呼ぶバイクのカウリングに似た灰白色の鎧、もとい外装で覆っていた。
 頭部も兜を思わせる意匠だが、顔全面が透明なバイザーに覆われていて、真ん中にはカメラレンズのようなモノアイがあった。腹部は機械部分──フレームがむき出しになっている。
 幼い頃に両親が話してくれた、魔物娘化していないゴーレムとはちょっと違うよね……と首をかしげながら、おそるおそるそれに近づき、そっと手で触れてみる。
 その材質はこちらの世界でよく目にする、プラスチックと呼ばれる合成樹脂。そしてところどころに柔らかい素材──衝撃吸収用のウレタンフォームが貼り付けてあったり、巻き付けられたりしていた。

「レンガとかじゃないんだ……」

 外装に覆われていない肘や膝の部分には円筒形の関節が設けられており、その隙間から内側を覗くと、金属製の骨格にいくつものシリンダー(アクチュエータ)が沿うように取り付けられている。ホノカは父親の知り合いのグレムリンが自慢げに見せてくれた、カラクリ仕掛けの巨大マジックアームを思い出した。
 しかし、よく見ると左右の腕の形状が明らかに違っていて、下肢や膝の外装も不揃い。なんだかつぎはぎ感のある見た目だった。

「…………」

 ホノカは手を伸ばし、その人型の腕を肘からゆっくりと曲げてみたり、手首──マニュピレーターのつくりをしげしげと観察したり、その指一本一本をつまんで手を開かせたり握らせたりしてみた。その際に伝わってくる抵抗と、ジジッと鳴るかすかな音に、関節部に回転を制御する何かが仕込まれていることに気づく。

「これ……動く、の?」

 誰言うことなく、ぽつりとつぶやいたその時──

「動くよ」
「……!?」

 いきなり声をかけられて、ホノカは肩をビクッと震わせ後ろを振り返った。
 そこにいたのは、同じクラスにいる童顔の男子生徒。確か名前は……

「あ、え──えっと、え、え、エビ……ハ、ラ──」
「甲介。海老原甲介」
「コー、スケ……」

 改めて自己紹介され、ああそんな名前だったっけと思い出す。なんとなく気になっていて、教室で時々目で追っかけて──

「…………」

 ニコニコ笑みを浮かべたその顔に見つめられ、ホノカは口元に手をやり、ひとつしかない目を落ち着かなく左右に動かした。
 そんなサイクロプス娘の様子に気づいているのかいないのか、彼は後ろの人型にちらっと目をやると、

「ホノカさん、メガパペット見るの初めて?」
「……え? えと、えっと──」

 いきなりそう問いかけられ、ホノカはおどおどしながらもうなずき返す。
 ホビーロボット「メガパペット」、正式名称は競技用人型有脚マニュピレーター。ロボットアニメさながらの格闘戦をおこなうモータースポーツ「ロボTRY(robot triathlon)」で使用する、有線遠隔操作式のヒューマン・アンプ(人間増幅器)である。
 競技自体は七年ほどの歴史しかないが、競技人口はそこそこ多く、レギュレーションも整えられており、公式大会も定期的に開かれている。

「学園長に頼んで、ここに置かせてもらえるようになったんだ」

 彼──甲介はそう説明しながら、機体の背中にある巻き取りドラムから慣れた手つきでケーブルを引き出し、その先端のプラグを右手に持っていた操縦桿タイプのプロポ(コントローラー)に接続した。
 プロポの右側面にある起動ボタンを押すと、FTディスプレイがそのまわりを囲むように投影される。機体のバッテリー残量を確認し、手首を捻ってアイコンから動作を選択。人差し指でトリガーを弾くと、ケーブルで繋がれた人型重機が身じろぎするかのように上半身を震わせ……そしてモーター音とともに、ゆっくりと歩き出した。
 かすかに漂う、機械油の匂い。ホノカにとっては、子どもの頃から嗅ぎ慣れた匂い──

「わ……」

 プロポを操作するその手元と、それに合わせて動くメガパペットを交互に見つめ、短くつぶやくホノカ。そんな彼女にちょっと自慢げな表情を見せて、甲介は機体を動かし続ける。
 地面の固さを確かめるようにゆっくり歩かせ、右足を軸にUターン。機体に引っかからないようにケーブルを捌き、さっきより早足で歩かせて急停止。投影されたアイコンをタップして基本の構えを取らせ、そこから拳法の型を思わせる動きを披露させる……が、

「……あ」

 ホノカの見ている前でそれはいきなり傾いて脚をもつれさせ、バランスを崩して右肩から地面に音を立てて倒れ込んだ。同時に、いつの間にか集まって見物していた他の生徒たちから「あーあ」という声が一斉に響く。

「今日はもうちょい長く動いてると思ったけどな……」
「あの機体、スクラップから使える部品かき集めて組み立てたやつだろ? もう限界じゃねーの?」
「海老原の奴もあきらめねえなぁ……そのしつこさだけは尊敬するわ」
「せめてまっすぐ走れるようにならんと──」

「…………」

 ギャラリーたちの言葉に、肩を落としてため息を吐く甲介。
 ふと顔を上げると、ホノカが倒れた灰白色の機体に近づき、その左肩に手を置いているのに気づいた。

「脚にかかる力が左右で微妙に違う。重量バランスもおかしい」
「へえ……見ただけで分かるんだ。すごいね」
「あ……」

 独り言めいたつぶやきを聞かれ、ホノカは振り返ってそのヒトツ目を瞬かせる。甲介は物怖じもせずにその蒼い瞳を見つめ返し、照れたように苦笑して頭を掻いた。
 なんか無性に恥ずかしくなって、彼女は目をつい……と逸らした。

 目の前の少年からも、ほんの少しだけ懐かしい匂いがした。



 次の日の放課後、ホノカはまた部室棟の横にやってきた。
 そこでは甲介が昨日と同じように、自分の人型重機──メガパペットをいじっていた。腕や腰のカウリングを取り外したりつけ直したり、機体に繋いだタブレットに何やら打ち込んだり……

「あ……ホノカ、さん」

 気配に気づいて顔を上げる。そこにはやはり昨日と同様、ホノカの単眼に対する恐怖心や嫌悪感は微塵も感じられない。

「あ、えっと……み、見てていい?」
「どうぞ」

 たぶん同じクラスで(親友も合わせて)見慣れているだけだろう……と思いながら、彼女は制服のスカートを撫で付け、そばにあったベンチに腰を下ろした。
 甲介は機体に向き直り、再び調整に没頭する。
 ホノカはその様子をじっと見つめ続ける。
 作業を終えた甲介は、プロポを手にして前回と同じように機体を動かし始めた。今日はグラウンドに引いた一本線の上を、何度も往復させる。……が、

「……だめだ。やっぱり姿勢が安定しない」

 動くたびに右へ右へと傾く挙動は一向に治らない。プロポからの操作でその都度傾きを打ち消し転倒を防いでいるものの、これでは複雑な機動には対応できないだろう。あえて機体のバランスを崩し、トリッキーな動きで相手の虚をつくプレイヤー(操縦者)もいるが、それも基本のセッティングがきちんとできていればの話である。

「……いつからこんな状態?」
「機体を組み上げた時から傾向はあったんだ。前の野試合で相打ちに持ち込まれてひっくり返されてから、急にコケやすくなった感じかな」
「一度、骨組みまで分解した方がいいと思う」
「そうかもだけど、全国大会の予選までに組み直せるかどうか……」

 全国大会──第八回全日本ロボTRY選手権の地区予選会は間近に迫っている。中学生の頃からそれを含めていろいろな競技会にエントリーし続けているが、型落ち中古の機体を使っているせいもあって、いいとこ二回戦止まり……最近では「出ると負け」が定着してしまっている。
 高等部へ進学したのを機に、学園長の好意でメガパペットを校内に置かせてもらえるようになり、整備や調整など多少はやりやすくなったのだが──

「……ってぉうわあぁっ!?」

 いつの間にか横にいたホノカと自然に会話していたことに気づき、甲介は声を上げてとび退った。

「あ、あの──」

 ホノカも好奇心に駆られて無意識の内に口を挟んでしまったことに気づき、顔を赤らめ回れ右して彼に背を向けてしまう。
 互いに背中を向け、首だけを動かしてちらちらと肩越しに相手をうかがう。そして、

「ほっ、ホノカさんっ、よ……よかったら──」「……よ、よかったら、て、手伝う……けど──」

 まるで息を合わせたかのように向き直り、ふたりの声が被り合った。

「……え?」
「……あ、う──」
「え、えっと、その……」
「…………」
「お──お願い、します……」
「は、い……」

 制服のブラウスを押し上げる豊かな胸元。スパッツに覆われたむっちりした太もも。
 背中まである藤色の髪をアップにして、バレッタで留めている。耳が尖っていてツノがあって、目もひとつしかないけど、女の子らしい整った顔つき。
 青い肌でも頬が赤くなるんだ──甲介は頭の片隅でちらっとそう思った。

 だけど自分自身も同じように顔を赤くしていることには、おそらく気づいていない……



「……ただいま」
「おかえり〜ホノカ。今日は遅かったじゃん」
「ん、図書館寄ってたから」

 明濠ル学園女子寮──撫子寮にある自分の部屋に戻ったホノカは、先に帰っていたルームメイトで元の世界からの幼馴染、ゲイザー娘のナギにそう答えた。

「へー、何の本借りてきたのさ?」

 制服の上着を脱いだままベッドに寝っ転がってマンガを読んでたナギは、そう言って起き上がると、ホノカと同じヒトツ目で彼女の抱えた本の背表紙を覗き込んだ。「どれどれ……え〜っと『二足歩行機制御技術解説』『人型重機の構造図解』『きみにもできる大型ホビーロボット製作』? ……あんたガンプラだけじゃ飽き足らず、モノホンのモビルスーツでも作る気?」

「……そうかも」
「マジか……」

 髪の毛から伸びた触手の先の目が、一斉にホノカの顔をロックオン。
 顔の真ん中にある赤い大きな単眼を半眼にし、ナギは小首をかしげる親友に胡乱げな視線を向けた。



「なになに、二足歩行機械の起源は古代中国、戦国時代において巨大な竹馬に兵士を乗せて城塞攻めを行う『楼戊闘』だとされる。民◯書房刊『人型機械の真歴史』…………なあホノカ、これホントに役に立つのか?」
「本に書いてあるから……たぶん?」



 しゅるしゅるしゅる──擬音で表すとそんな感じで、両肩部に設けられた吊り下げフックに白糸の束がまとわりつく。そしてそれがピンと張ると、機体がゆっくりと宙吊りになった。

「すごい……これがアラクネの糸──」
「これなら整備も楽」

 横に立つホノカに促され、吊り下げられた自機をぼーっと見ていた甲介は、我に返ってプロポを持ち直した。
 関節部のロックを外され、機体は文字通りパペット(操り人形)めいた格好で四肢を脱力させる。
 500キロ近くあるメガパペットを懸下できる強度と粘着力を持つ、異世界の蜘蛛の糸。なのに火でしばらくあぶれば、簡単に切断することができるという。

「おふたりとも、こないな塩梅でどうどすえ〜?」

 そう問いかけながら、糸のもう一方の端を部室棟の屋根に固定し、大きな影がその上からひらりと地面にとび降りてきた。

「助かったよヤヨイさん。整備ハンガー借りるだけでも結構お金かかるし」
「ありがと、ヤヨイ」
「大したことあらしまへん。というかホノカはんに頼まれたときは、なんや、もひとつ意味わかりまへんでしたけど……なるほど納得ですわぁ」

 甲介に礼を言われ、糸の創り主である十七人の魔物娘のひとり、D組のヤヨイは手をパタパタと振って応えた。
 おっとりした口調、長い黒髪を大き目のリボンでハーフアップにしたお嬢さまっぽい見た目の少女だが、眉の上に目とは別に左右三つずつの受光器官、腰から下は一対の触肢と四対の歩脚を持つ、見た目通りの半人半蜘蛛アラクネ娘である。
 もっとも彼女曰く、父親がジパング(魔物娘たちがいた世界にある日本の幕末〜明治時代に酷似した文化圏)の出身なので、その血を引く自分はドS気質なアラクネではなく、ジパング固有種の清楚で奥ゆかしいジョロウグモなのだそうだ。あくまで自称だが。

「せやけどお相手はんがカラクリ人形遣いやなんて、らしいとゆうか……」

 蜘蛛娘は頬に手を当て首を傾げて小さくつぶやくと、工具の準備を始めたホノカのそばに近寄り、その耳元に顔を近づけた。

「ほなホノカはん、あんじょうお気張りやす♪」
「……!?」

 そう囁かれて一瞬きょとんとした表情を浮かべ、次いでその顔を赤らめるホノカ。そんな彼女に微笑むと、ヤヨイは「お邪魔蜘蛛はおいとましますえ〜」と、八本の脚を動かしてその場を立ち去った。

「……ホノカさん、なんか言われた?」
「別に何も」

 短く答えると、ホノカは甲介と一緒に、機体の脛のカウリングに手をかけた。



「ふ〜んなるほどそういうこと……そうかそうか〜、とうとうホノカにも春が来たか〜。色を知る年齢(とし)か」
「どこぞの地上最強生命体かあんたは」

 メガパペットの足元にしゃがみ込む甲介とホノカの後ろ姿をプレハブの影から見つめ、得心いったように腕を組んでうなずくヒトツ目触手娘ナギ。そんな彼女に「全ての魔物娘と仲良くなる女」を自称する一年B組のクラス委員、阿久津文葉は間髪入れずにツッコミを入れた。

「けど、相手がまさかのロボオタ海老原とはね……」
「アタシはいいと思うよ。モノ創りに夢中な男子って、ホノカの好みだし」
「へ〜、そうなんだ……じゃあさ、ナギの好みのタイプは?」
「うぇぇっ?」

 いきなり話が自分に向き、ナギは変な声を上げてしまう。「……あ、アタシのことは別にいいだろ? こんな単眼女と付き合おうなんてもの好きなオトコなんか、い、いるわけ──」

「こんなトコでコソコソ何しとんねん? ふたりとも」
「ひゃっ!?」

 目を逸らすナギの背後から、ひとりの男子がいきなり呼びかけてきた。驚く彼女の向こうにいるホノカと甲介の方にも気付き、そっちにも声をかけようとする。

「おーい、甲す──」
「……!!」

 次の瞬間ナギは声の主──同じクラスの男子生徒、永野彼方の口を手で塞ぎ、その首根っこと両の手首に触手を巻きつけて、全力で自分たちのいた物影に引っ張り込んだ。

「い……いきなり何すんねんナギっ!?」
「ナニスンネンじゃないっ! いい雰囲気なんだから邪魔すんなカナタっ!」
「お、おぅ? ……ん? なんやええ匂いすんなぁ、お前の触手」
「そ、そうか?(赤面) ちょっとシャンプー変えてみた──って何言わせんだバカっ!」
「ぐええ……」

 息ぴったり?に言い合うナギと彼方。そんなふたりを見て「はは〜ん」と目を光らせ、文葉は笑みを浮かべた。

 ……どうやら春が来ていたのは、ホノカだけじゃないらしい。



 両脚部のカウリングが外されたメガパペットの足元に屈み込み、ホノカは剥き出しになった右脚のフレームを指でなぞった。

「ここ、ほんの少し歪んでる」
「まさか……」

 彼女が指摘した箇所を覗き込み、甲介は首を横に振った。「もともと応力曲がりがあったのは、左脚の方だったのに──」

「んと……」

  ホノカは口元に人差し指の先を当て、しばし考え込むと、

「動作術式、いじった?」
「モーションプログラムのこと? 確かに手を入れたけど……あ!」
「たぶん、それが原因」

 甲介のメガパペットは中古の機体に使える部品を寄せ集め、つぎはぎで組み立てた代物だ。規格は統一されているものの、市販のパーツにはメーカーごとのクセもあり、特に脚部は機体の体幹と連動したバランスの制御が要求されるため、異なる機種のパーツを継いだり流用したりした場合は、動作プログラムを修正する必要がある。
 カウンターウエイトを右腰に配置して歪みのあった左脚から重心を移し、そこで生じる歩行・走行・足さばきの不具合をプログラムの数値を書き直して是正する。しかし、その左脚をかばうような<Zッティングが裏目に出て、逆側のフレームに少しずつ負担をかけてしまっている──彼女はそう指摘しているのだ。
 でも……

「このくらいの歪みだったら元に戻せる。両脚とも」
「本当?」

 こともなげにつぶやくホノカに、甲介の目が丸くなる。
 顔の真ん中にある大きな単眼を見つめると、彼女は照れたように目を逸らせながらも、大きく頷いた。

「でも、なんで──」

 早速とばかりに工具を手にするサイクロプス娘。その横顔に、甲介はおそるおそる問いかける。「……なんでここまでしてくれるんだ? ホノカ──さん」

「…………」

 ホノカは一瞬手を止めて甲介の方に向き直ると、口元にぎこちなく笑みを浮かべた。

「す──好きだから、かな?」
「……え?」

「あ──」

 顔を赤らめた甲介につられるように、ホノカもその水色の頬を赤くする。そして工具を持つ手を焦ったように振り回すと、

「あ、あのっ、そっ、そうじゃなくてっ、そのっ、こっ、こんなカラクリ仕掛けをいじるのが、すっ、好きっていう、意味で……」
「あ、そ、そう……そうなんだ。そうか……そう──」

 さっきまでの寡黙な雰囲気は何処へやら……早口で言い訳するホノカに、甲介もつっかえながら相槌を返した。

 ……ちょっとだけ、残念そうな表情で。



「──で、さっきから後ろでバタバタしてるけど……もちろん手伝って、くれるよね?」
「「「あ……」」」

 唐突に振り向いて声をかけてきた甲介に、男子生徒の首根っこを引っ張る赤目の単眼娘と彼女の触手に絡みつかれているその男子、笑いながら単眼娘をなだめるポニテ女子の三人は一斉に動きを止め、バツが悪そうに半笑いを浮かべた。



 JRAA(Japan Robotech Athlete Association)主催、第八回全日本ロボTRY選手権、地区予選会が始まった。
 更紗市中央公園の青空広場に設営された仮設闘技場。その外側に設けられた防護フェンス越しに、制服姿のナギと彼方、文葉の三人は甲介とホノカの出番を待っていた。
 一回戦にもかかわらず周囲には多くの観客が集まり、全高三メートルの人型重機の一挙一動に歓声を上げる。中には魔物娘のナギに気付いてギョッとする者たちもいたが。
 彼らが見つめる先、正六角形のバトルステージ上では今、二体のメガパペットが格闘を続けている。
 操縦者──プレイヤーたちは、自機とプロポを繋ぐケーブルが動きの妨げにならないよう、機体の周囲を駆け回りながら操縦する。当然、相手の機体に自機のケーブルを故意に絡みつかせたり、相手のそれを踏んづけてプレイヤーの動きを妨害したりするのは反則だ。

「ねえ永野、ロボTRYの勝敗ってどうやって着くの?」
「相手の機体をこかして地面に叩きつけるなり、腕とか脚を使えなくして戦闘不能にするか、胸と両肩の前面にあるマーカーを、ひとつでも多く自分側の色に変えた方が勝ちやで」
「スリーポイント先取ってヤツか? わかりやすくていいな、それ」

 レギュレーションに則って機体に装着された、一定以上の打撃ダメージが蓄積すると色を変える増加装甲──ダメージマーカーを狙っていくのが、ロボTRYの基本的な戦い方である。
 ちなみに試合時間は五分間。ステージアウト(場外)三回でペナルティが課せられ、マーカーの色をひとつ変えられてしまう。そして残ったマーカーが同数の場合は、三分間のインターバルののち、先に相手の胸のマーカーを変色させた方が勝ちというサドンデス形式で決着をつける。

「しかしあのメガパペットとやらは、すでに三つとも色が変わっているぞ。勝負がついているはずなのに、何故まだ戦っているのだ?」

 初めてロボTRYを観戦する文葉とナギに説明する彼方の横から、別の声が問いかけてきた。

「ああ、あの状態でも時間内に相手を戦闘不能に追い込んだら、逆転勝ちになるんや」
「……ていうか、なんでお前がここにいんだよ?」

 ナギが若干嫌そうな目つきで声の主──同じB組のクラスメイトでもあるヴァルキリーのルミナを睨みつける。だか彼女はフンと鼻を鳴らし、ナギの大きな単眼を睨み返した。

「知れたこと。貴様らが学園の外で暴れ出したら速攻で成敗するためだっ」

 いつものように制服の上から戦天使の胸甲と肩甲を身につけ、常在戦場の気概を示すルミナ。だが、さっき近くの屋台で買ってきたアメリカンドックとたこ焼きのパックを手に持っているので、顔だけ引き締めても全く説得力がない。
 なお、周囲にはロボットアニメのキャラクターのコスプレをして応援している観客も多いので、ルミナの格好も「何のキャラだっけ?」と首を傾げられる程度で済んでいる。

「嘘つけ。どうせ休みの日なのに誰にも遊びに誘われないからついて来ただけだろ? このぼっちヴァルキリーが」
「だっ、誰がぼっちだ! 私にだって友人、くら、い── …………」
「なんでそこで目逸らして黙り込むんだよ……」

 地雷踏んだかもしんない。

「もうっ、学校の外に出てまで喧嘩しないっ。せっかく応援に来てくれたんだから、ナギもそんな邪険にしないの。……ほら、ホノカと海老原の番だよ」

 ナギとルミナの間に割って入り、ふたりをなだめる文葉。彼方も眼鏡の奥で目を細め、安堵の溜息を吐く。
 バトルステージ上で互いの機体を待機線に戻し、プロポを手にしたプレイヤーたちが一礼する。先に三ポイント取られていた方は、奮戦むなしくそのまま相手に逃げ切られ、敗退してしまった。

「一回戦第二試合、鵯越(ひよどりごえ)高校『チーム・フォトンブレード』対、明緑館学園『チーム・モノアイガールズ』を開始します──」

 アナウンスが響き、バトルステージを挟んで向かい合って設置されたパドック(整備ブース)から、退場する機体と入れ代わるように新たなメガパペットが一体ずつ、プレイヤーとともに登場した。
 一方はトサカのような頭部の飾りが目立つ、オフホワイトをベースに胸や肩、手足をマゼンダと黒に塗り分けた機体。全身のカウリングはあちこちが肉抜きされており、機動力を重視したチューンが施されているようだ。登録機体名はチーム名と同じ〈フォトンブレード〉。ダメージマーカーの色は青。
 もう一方は青みがかったグレー一色で塗装された機体。左右の腕や膝の形状が不揃いで、全体的にバランスが悪そうな印象があるが、その歩行に不安定さは微塵も感じられない。登録機体名はベース機の型番のまま〈TX−44改〉。ダメージマーカーの色はオレンジ。

「手伝っといて言うのもなんだけど、よく間に合ったよな」
「せやな」

 背中の触手をゆらゆら揺らしながらつぶやくナギに、彼方も同意とばかりに大きく頷く。
 ……実はあのあと、ホノカが突然スイッチが入ったように妙なコダワリを発揮し、止める間もなく甲介のメガパペット〈TX−44改〉を脚部どころか全身バラバラに分解しだしたのである。
 脚部だけでなく全てのフレームの歪みを叩き直し、補強を施し、動きの鈍いパーツをさらに分解して丁寧に磨き上げる。オーバーホールの様相を呈してきた作業に甲介も開き直ったのか腹をくくったのか、ホノカにあれこれ説明しながら自ら機体をバラし始めた。
 彼方はそんな二人に苦笑を浮かべながらその作業に手を貸し、文葉は生徒会のツテを使って居残りの許可を取ってきてくれた。ナギも弓道部の活動の合間を縫って差し入れをしたり、部品磨きを手伝ったりした。
 そんな彼らのサポートもあって、今日の予選会までに機体を組み直し、間に合わせることができたのだ。

「あの差し入れの焼きそば、マヨネーズの味しかせえへんかった……」
「悪かったなっ」



 相手チームのプレイヤーやその周囲にいる連中が、自分たち──いや、後ろに立つホノカにちらちらと向ける視線に気付き、甲介は心の中で舌打ちをした。
 ただし彼らにではなく、自分自身に……である。

 ──やっぱり、無理にでもパドックに残ってもらった方がよかったか……

 単眼にコンプレックスをもつサイクロプスは本来、あまり人前に出たがらないと言われている。他の魔物娘や人間と一緒に街中で育ってきたホノカにもそういった内向的な面は残っているのだが、彼女は今回「最後まで付き合う」と宣言し、セコンドとして甲介と一緒にバトルステージへ上がった。
 肩越しにちらっと見ると、黒のタンクトップにツナギの袖を腰で結んだ姿の彼女が、両手でタブレットを胸元に抱え込んで立っている。
 その蒼色の単眼が、不安と緊張で潤んでいるような気がして──

 On your marks! Get ready...

 試合開始のコールがステージに響き渡り、待機線の横に浮かぶホログラフィーのシグナルがホーンの音とともに、赤から青に切り替わる。

 ...Go!

 甲介はあわてて正面に向き直り、プロポを構えた。
 先手必勝とばかりに、白とマゼンダのメガパペット〈フォトンブレード〉が真っ正面から一気に突っ込んでくる。繰り出された右の拳をすんでで避けると、甲介は自機の背後を駆け抜けてケーブルをしならせ、機体を後ろに下げて間合いを取り直した。
 さらに踏み込んでくる相手の攻撃を、安定したフットワークでかわし続ける〈TX−44改〉。ついこの間まで、歩くたびにフラフラしていたのが嘘だったような仕上がりである。

『……バックステップの、挙動に、問題……なし。足首と、膝にかかる応力も、許容範囲──』

 インカムからたどたどしく聞こえてくるホノカの声。彼女は甲介の持つプロポとリンクしたタブレットからだけでなく、その大きなヒトツ目でメガパペットの動きを見つめ、そこから機体のコンディションを読み取ってくれている。
 甲介はプロポを操作しながら、インカム越しに声をかけた。

「ホノカ……さん、大丈夫?」
『大丈夫。心配、いらない──』

 いつもの口調で答えを返すホノカだが、心なしか声が硬い。
 やはり、大勢の観客たちが向ける奇異の視線に晒されて、ストレスをおぼえているのかもしれない……
 ホノカが、そしてナギたちが見守る中、灰白色の機体は巧みに位置を変え、なおも相手を翻弄する。
 だが、

「甲介のヤツ、何しとんねん……」
「ん? どうしたカナタ?」
「アイツ、さっきからずっとよけっぱなしや。いつもやったらもっと攻めとるとこやのに──」
「うむ。あのように防戦主体の消極的な戦い方だと、限られた時間で敵を倒すことはできないぞ」
「まさか海老原、ホノカに直してもらったメガパペットを無意識にかばってるんじゃ……」
「……え?」

 文葉の言葉にナギが振り向いたその時、ガンっ──と音がして〈TX−44改〉がよろめいた。
 回避パターンを読まれてクリティカルヒットを貰い、右肩のマーカーの色がオレンジから青に変わる。

「機動力こそ人型メカの真骨頂! いつまでもかわし続けられると思うなっ」
「……くっ!」

 勝利を確信したようなその口調に、奥歯を噛む甲介。
 あと二分。相手プレイヤーはさらにポイントを獲ろうと、ラッシュをかけてくる……甲介は防戦一方になり、機体と一緒にステージの端へと少しずつ後退していく。

「…………」

 その様子をヒトツ目ではらはらしながら見つめていたホノカだったが、意を決してインカムをもぎ取るようにはずすと、顔を上げ、力いっぱい叫んだ。

「コースケくんっ! 壊れたら何度でも私が修理するっ! だから……前に出てっ!!」
「……!」

 その声が、焦る甲介の耳朶を打つ。

 そうだ。彼女がいなければ、今ここに立ててなかった。
 ロボTRYやメガパペット、そんなマニアックな代物にきちんと理解を示してくれた、はじめての女の子。
 そして彼女は人外の魔物娘──単眼種の自分が気味悪がられるのを承知の上で、一緒にここまでついてきてくれた。それは単に「カラクリ仕掛けをいじるのが好き」という理由だけじゃないだろう。

 それが何かはまだわからない。だけどその思いに、応えなければ…………いや、応えたいっ!

 左肩のダメージマーカーを狙って繰り出される鉄拳。しかし甲介はそれまでとは逆に、一撃を受けながらも〈TX−44改〉を前に踏み込ませる。
 FTディスプレイから動作を選択、実行キーであるトリガーを弾く。
 灰白色のメガパペットは伸びきった相手の機体の腕を左腕で抱え込むと、その関節部に振り上げた右の二の腕を叩きつけた。

 めきっ──!

 右腕のカウリングにクラック(亀裂)が生じ、ウレタンがちぎれ飛んだ。だが挙動にブレもなく、動作もまだ安定している。レスポンスにも異常はない。
 プロポで操作した通りに、自分のイメージした通りに機体が動く。いつしか甲介の顔に、不敵な笑みが浮かぶ。

「組み合ったら機動力は関係ない……重い方が勝つ!」

 残り一分。そのまま腰を捻らせ機体を半回転させ、相手メガパペットの腕を肘部から引きちぎる!

「……んなっ!?」

 片腕を失い、姿勢を崩してよろめく白とマゼンダの機体。甲介はプロポを持つ手の手首を捻りながらモーションアイコンをタップ。〈TX−44改〉はとどめとばかりに回し蹴りを放つ。
 背中にその一撃を食らった〈フォトンブレード〉は、たたらを踏んで前のめりに転倒。衝突音に被さるように、一斉に歓声が轟いた。

「……くそぉっ! 立て! 立てっ! 立ち上がれっ!」

 その中でプロポを必死に操作する相手プレイヤーだったが、機体は転倒の衝撃で四肢のアライメントがずれて動作不良を起こし、追い討ちをかけるように甲介の〈TX−44改〉が、立ち上がろうともがくその腰部を踏みつけて押さえ込む。

 そして、試合終了のホーンが鳴った。

「第二試合Winner! チーム・モノアイガールズ!!」

 時間ぎりぎりで相手を戦闘不能に追い込んだ鮮やかな逆転勝ちに、観客たちが一層の歓声を上げた。
 手を繋いでとび跳ね喜ぶナギと文葉。ルミナは何故かドヤ顔を浮かべて腕を組み、何度も重々しくうなずく。
 そんな彼女たちを苦笑を浮かべながら眺めていた彼方は、試合を終えてボロボロになった機体に駆け寄る親友と単眼少女に視線を向けた。

「コースケくんっ!」
「ははっ、勝った……勝てた…………勝てたよ、ホノカちゃんっ!」

 相手プレイヤーと一礼を交わし、振り返って喜色満面の笑みを向けサムズアップした甲介は、次の瞬間「あ……」と短くつぶやき、頭に手をやった。

「……ご、ごめんっ。ちょっとなれなれし過ぎた──」
「ううん……」

 照れ臭そうな表情を浮かべる甲介にかぶりを振ると、ホノカは頬を赤くしながら、その蒼い単眼で彼の目をじっと見つめて小首を傾げ、はにかむように微笑んだ。

「──ホノカちゃん、で、いい……よ」

 to be continued...



─ appendix ─

「なあカナタ、ロボTRYって剣とかメイスとか使って戦ったりしないのか?」
「公式試合で手持ち武器の類いは使用禁止やで。甲介から聞いたんやけど、マニュピレーターからすっぽ抜けて、後ろにおったプレイヤーに当たりそうになったことが以前にあったんやと」
「マジかよ危ねえな……」
「メガパペット用にスケールアップしてる分、結構な値段もするし、そんなもん買えるんやったら機体の方につぎ込むわな普通」
「ビームライフルとかバルカン砲は?」
「銃火器の搭載・使用もレギュレーション違反。それ以前に警察の許可が下りへんし……そもそもどこで売ってんねんそんなもん」
「んじゃさ、ロケットとかでパンチがどーんって飛んでいくヤツはどうなんだ?」
「これも甲介の受け売りやけど、腕飛ばす仕掛けだけで二の腕がむちゃくちゃ重たなって、腕自体が上がらんようになるらしいわ。それに、飛ばすことできてもアニメみたいに戻ってけえへんしな」
「う〜ん、重量軽減と引き寄せの魔法をエンチャントすれば、なんとか──」
「……絶対すんなよ、そんな真似」
19/05/06 19:16更新 / MONDO
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■作者メッセージ
 ロボットバトルの描写に気合入れると、ちっとも魔物娘らしくならない……助けてエロい人!(^^;

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