97 土運搬者の誇りと心境が動く列車戦
ライザーさんも倒されたって報告をデメトリオから受けた時、僕は正直、自分の耳を疑った…
ライザーさんほど、奇襲戦が得意だった人もいなかったはずなのに…
それに、ここに来るまでにもミカルドのみんなは倒され続けてきたんだよな
テスタロスさんもメビウスさんも…残っているのは僕とクラウィスさんとディルグさんとケイさんとナッカーサーさんとデメトリオくらいのものだよ…
それに…さっきから僕の部下たちが騒いでいる報告によれば、このカキサトレインにも彼女達が乗ってきているんだ…
「グランマーグさん…やはり、報告のとおり、彼女達は一番最後の車両に数人侵入して来ているみたいですよ!!私達の大切にしていたお菓子が食べられつつあります!」
「……ちょっとしたダイエットが出来ると思って我慢してください!積荷の方はどうなんですか?」
「…フォードコーポレーションに運ぶ手はずだった王様のお手製うどんが彼女達の手によって食されたのを見たとの報告が…」
「くそぉっ!!食されたか…ほかにはありませんか?」
「他は特には…」
「そうですか…また何か動きがあったら報告してください…お願いしますね?」
今は彼女達もこのカキサトレインにつまれている積荷の中の一つ…食糧に目がくらんでいますが…もし、このカキサトレインにケイさんに頼まれた武器の弾薬がつまれていることに気づかれた場合…少々、いや…大分まずいことになります…
この戦いの命運を分けるほど、重要な物を運んでいる僕たち…
はぁ…ミカルドの中ではデメトリオの次に新人で、なおかつ運動能力のないデブだっていうのになぁ…
でも、僕は他のミカルドのみなさんがどんな思いで倒れていったのか…それを考えると、ここでそのような弱気なことを言っている場合じゃありませんよ
もしもの時は…僕も武器をとって戦わないといけなくなります…
一応、僕の武器もケイさんが作ってくれたので、悪くは無いものですが…
シールドマシンガンってタイプの銃で…凄い重いんですよ…
だからこそ、僕はこの列車内という限られた空間で輸送隊をやっているんだ
この武器の最大の魅力は何と言ってもその防御力…
防御力は機工障壁の10分の1だけど…それでも、普通の武器じゃこのシールドマシンガンの防御を崩すことなんて出来ないからね…
実は、ケイさんがこの僕のシールドマシンガンのシールドをもっと軽量で扱いやすいものに改造してやるって提案もあったんだけど…
僕はこのシールドマシンガンのごついフォルムが気に入っているからね…
この大きな盾は僕の太った体を完璧に覆ってくれるってのもいい…
だから、僕はその提案を元に作られたシールドをナッカーサーさんの武器につけたんだ…
ちょうどナッカーサーさんの誕生日も近かったしね?だから、僕たち他のミカルドのメンバーが誕生日プレゼントにと思って武器をプレゼントしたんだけど…
ナッカーサーさん、プレゼントもうあけたのかな…?
彼のことだから、まだ空けていないような気もするよ…
僕がそう思いながら、仲間のマクベインが報告しに戻ってくるのを待っていたんだ…
正直、輸送部隊といっても先月作られたばかりで、体重123kgの僕と203kgのマクベインの二人しかメンバーがいないんだけどね?
……デブばかりじゃないかって思っただろ?
でも、そう思ったあなたに僕はこの台詞をプレゼントしますよ…
人を見た目で判断すると、きっと後悔することになるってね?
僕は、人を外見で判断する人が大嫌いなんですよ…
このメガロス帝国にはそんな人物はいませんからね…気が楽ってものです
いつか、デブでもガリガリでも、老人でも子供でも…みんなが平等に扱われる時代になってほしいもんですよね
「グランマーグさん!!彼女達がついに…食糧を食べつくしてこちらの車両にむかっています!!」
「何っ!?も、もう食べつくしたのですか…!?僕たちでも生活習慣病のことを気にして、一日のカロリー制限を始めたというのに…彼女達はカロリーが怖くないのか!?仕方がありません…このカキサトレインは全部で10車両あります…8車両彼女達に抜かせてしまうと僕たちの当初の目的であるケイさんに届ける武装の弾薬が彼女達にばれてしまう…だから、そこまでは絶対に行かせない様にしないと…
とにかく、3車両に移動して彼女達を止めないといけませんね…」
この体型で2車両走り抜けるってのは結構酷なんですよ?汗も酷いですし…
そう思いつつ、マクベインにそのことを伝えると、僕たちは5車両目から三車両目まで走ったのです…
これは…きつい…きついですが…それでも走るしかありません!!
「3車両目までつきましたが…まだ彼女達は来ていないようですね…今のうちに僕はシールドマシンガン【アドヴァンス】を展開しますから、弾薬をお願いします」
「了解です!!へへっ…俺たちは動けるデブだって事を…思い知らせてやりましょう!!」
マクベインはそういうと、すぐに僕のシールドマシンガンの弾薬を大量に後ろに用意してくれたんだ…
うんっ…滴り落ちる汗に、かっこよさを感じるよ?
さてと、僕はこのボタンを押してっと…
このシールドマシンガン、戦闘以外のときはボタン一つでスーツケースにはや代わりするんですよ?便利でしょう?下についているタイヤで移動も楽ですし中には色々入れることが出来ますからね…
さぁ…これで、何時でも迎え撃つ事はできます!!
…………来ませんね…どうして来ないんでしょうか?
2車両目にはおもちゃ類しか置いていないはずですが…
僕はそう思い、滴る汗をハンカチでぬぐいながらコーヒーを飲んでいたんですが…熱いですねぇ…
一体、何をしているんだろうか?
僕は気になって、マクベインに少し静かにするように指示すると、耳を済ませて話を聴いてみたのです…
もし、僕たちがここにいるのを分かっていて、そのための攻撃準備をしているのだとしたら、注意しなければいけませんし…
「きーちゃん、ちょっと遊びすぎですよ!!メガロス帝国の兵士さんの所有物なんだから、もう少し限度って物を…」
「あははーーっ!!このおもちゃ、変な顔ーーっ!!あはははっ!!」
「もぉー…きーちゃんったらっ!!」
………あれ?遊んでいる…?それにこの声…子供か?
まさか…子供まで敵にいるなんて…あまり、手荒な事はしたくないなぁ…
「さてと…これでどうかしら?」
「おっ…すっかり肩こりが治っちゃったよ…ありがとうなジュンコ!」
「無茶はしないほうがいいわよスカニ?研究に没頭するのはいいけど…」
「でもよ…この国の兵士の武器だけを見ても思うことがあるんだけど、この国の科学技術は凄いんだ!!デメトリオが作戦を立てていたとき、あいつの作戦が一時的に成功したのもこの技術のおかげだぜ?あの時はあたいが先の先の先を読んだ爆撃で勝利を収めたけど…次もこう上手くいくなんてありえない…だから、あたいはこの技術を研究して、自分の為に使わないと…さすがにゾーネにはかなわないけど、みてな?あたいだってやれば出来るって所を見せてやるから!!ミリアナ!!手伝いな!」
「ふわぁ…えぇー…まだ分析するんですかぁ〜?」
「ジュンコさん!!ハーブティーを入れ終わりました…どうぞ…」
「ありがとう…えっと…ジャックだったかしら?」
「はい!!いやぁ…ここは子供が多くて最高の空間ですよ!!ジュンコさんも年齢に似合わないロリ体型…もぉ俺…感動で口から血を吐き出しそうです!」
「ありがと…でも、あなたはエルナちゃんがいいんでしょ?」
「そーですよ!!あの究極かつ洗練された子供の体つき…性的対象に見てしまったら絶対にダメなシチュエーションと隣りあわせでありながら、相手を魅了するあの肢体…まさに魔性の少女です!!俺はもう、彼女にパパと呼んでもらえることを夢見てしまうと…くはぁーーっ…たまらねぇっ!!」
「そう…(デメトリオだけどね…パパは…ま、私には関係ないけど…)」
「ジャックは確実にジュンコに利用されてるわね…どう思う?シエスタ」
「…ユカ…口元…クリーム…てるよ?」
「えっ!?あぁ…まぁ、いいじゃん?後で舐め取っておくよ」
……これは、まだすぐに来るって事は無さそうですね…
私達も昼食をとるとしましょうか…って、しまったぁーーっ!!
昼食…1車両目にあるじゃないですか…くぅ…
仕方がない、この非常用の乾パンで空腹を抑えるとしましょうか…
「マクベイン…これ、軍事用レーションの残りがあったのですが…食べます?グレープフルーツ味はどうも苦手で…」
「あっ…いただきます…しかし、こう食べてばっかりだとますます太ってしまいますね…」
「その時は、カロリー制限をしながら今の体重をキープするようにしませんといけませんね…そういえば、来週のカロリー制限習慣日、僕たち輸送部隊はマラソンらしいですよ?デブには地獄のような運動ですが…来週が来るのが嫌で仕方がありませんよね…」
「ですが、この太ったおなかを見るたびに、自分に対する甘えがこの結果を生んだのだという現実が出てきます…仕方がありませんよ、食ったんですから」
「さて、そろそろこの食べたゴミを捨てましょうか…そこのカップお願いします」
「了解です」
こうして、僕たちが食事を戦闘中だというのにのんきに取り終わり、片づけをしようとしていると、彼女達が不意に車両の扉を開けてこっちに入ってきたんですよ!!
せめて、もう少し空気を読んで欲しかった!!
「こっちはなにがあるのかなーー?って、あれー?」
「きーちゃん!!だから、そんなに気まぐれに動くのは…って、敵ですか!?みなさん!!敵です!!」
「…やっぱり、この機関車にも敵の方は乗っていたって事ね…でも…良い体型じゃない!!完璧な太り体型…私の長い旅もこれで終わりになりそうだわ」
「ほんとだーーっ!!ふーせんみたいなおなかしてるーー!!あははははっ」
………なんですか?子供ばかりじゃないですか!?
ですが、子供といえど魔物娘…なおかつ、彼女達の中には見た目は子供でも年齢が分からない魔女とバフォメットのセットですか…
油断はしないほうが…よさそうですね…
僕はそう思うと、とっさにシールドマシンガンの銃口を彼女達のほうに向けたんですよ…
これで驚いて動きを止めてくれれば…彼女達に無駄な攻撃を仕掛けなくてもすむのですが…
「あははっ!!なにそれー?」
「あぁっ!!危ないきーちゃん!!」
近づいてきた…!?彼女は子供のように恐怖心がないのか…?
それとも、本当に子供…幼生のケサランパサランなのか!?
とにかく…この銃が本当に危険なものだということを彼女達に思わせなければダメみたいですね…
僕はそう思うと、即座に彼女に攻撃を仕掛けたんです…
お願いだから、危険だと判断してすぐに電車を降りて欲しいですよ…
一番後ろの車両だけ連結切り離しが出来るので安全にカキサトレインから降りることも出来ますし…
ダダダダダダッ…
「この銃は脅しの銃ではありませんよ?弾は催眠弾ですが、僕は手荒な事はしたくありません…ですので、一番最後の車両に戻ってください…次は当てますよ?」
「あら…?ずいぶん乱暴なお方ですね…ちょっと、私とお話をしませんか?」
ダダダダダダダッ…
「う、動かないで下さいといったはずです!!今、僕たちとあなたたちは戦闘を行っているんですよ!?つまり、このカキサトレイン内といえど、戦場なのです!!だから、話をすることなんて出来ません!!」
僕がそう答えると、魔女の彼女は少し肩を落とすと後ろに退いたんですよ…
見た目と反して、年齢は高いようですね…聞き分けもいいようで、助かります
僕がそう思っていると、いきなり彼女は振り向いてこういってきたんですよ…
「きーちゃん?あそこにいるふうせんみたいなお兄さん二人と遊んでもいいわよ?あのおなかの上でポンポン跳ねたくない?」
「跳ねたいーーっ!!あははーー!!」
くっ…ここまで忠告したのにも関わらず来るのですか…
わかりました、あなた達を眠らせます!!
幸い、1車両には簡易的布団も用意されているので、そこに寝かせて連結を切り離させて貰いましょう!!
デブだからって、攻撃速度が遅いなんて考えないで下さいよ!!
僕は…動けるデブですから!!
ダダダダダダッ…ポンッ…ポポンッ…
当たった…には当たりましたが、笑いながら飛んでくる彼女に弾が当たるたび、催眠弾がまるでポップコーンのような音を立てながら丸いふわふわしたものに包まれているんですよ…
まさか…彼女の能力なのでしょうか…?だとしたら、あの浮遊している白いふわふわしたものにも注意をしなければいけませんね…
プシューッ…
なっ…!?あのふわふわしたものからガスが出た!?
くっ…って、あれ?このガスの感じ…水蒸気ですか?どうしてあのふわふわしたものから水蒸気が…
それに、一体何の目的があって…?
僕は一瞬そのことに関して考えましたが、次の瞬間…あのふわふわしたものが水蒸気を出したのかがわかったんですよ!!
これは…僕の視界を奪っている…!?
くっ…これでは狙いを定めることなんて出来ないじゃないですか…
いきなり、ピンチですか……
僕がそう思っていると、後ろからマクベインが何かを渡してくれたんですよ…
これは……?
「グランマーグ隊長、これは赤外線ゴーグルです!!これであの煙に対する対策はバッチリです!!」
「そうか…そういえば、このカキサトレインは人を運ぶと同時に輸送電車でもあるから、色々な発明品があるのか…ありがとうございます!!」
これなら…実力不足でデブな僕でもいいところまで戦える気がする!!
さて…あのケサランパサランの少女には僕の武器は通じないようですが…
何か方法を考えないと……動きを封じる…封じる…はっ…!?
5車両目の右から6番目の棚の下から二番目の引き出しの奥の隠し棚…
あの中にトリモチ発射銃があったはず…マクベインがそこに閉まったようなので僕はあまりよくは分からないんですけど…それを取ってきて貰えば、彼女の動きを封じることが出来るはずです…
マクベインに動いて貰うことにはなるんですけど…
「マクベイン…トリモチ発射弾をお願いしていいですか?あれでふわふわ飛んでいる彼女の動きを抑えます」
「了解しました!!」
………さて、赤外線ゴーグルのおかげで彼女達の姿は見えるのですが…
僕は相手の心を読めるわけじゃないですからね…次にいったいどのようにして攻撃を仕掛けてくるのか…わからないんですよ
この煙を利用して攻撃を仕掛けてくるのはわかるんですけど、問題はその攻撃が何なのか…これですよね
僕がそう思っていると、ケサランパサランの彼女が煙に乗じて盾に凄い近づいてきたんですよ…
なるほど、煙の色が白いことを利用しての攻撃ですか…小さい子にしては中々にいい考えですよ…
僕のこのシールドマシンガンの防御力が高く無ければかなりの大打撃…
やはり、子供といっても侮れないですよ…
「あはははーーっ!!煙がモクモク〜♪わーい!!」
がんっ…
「あうっ!?むー…何これぇー?痛いなぁー…」
……どうやら、偶然の行動だったみたいですね…
そういえば、彼女もこの煙で僕の盾の場所が分からないですからね…
ですが…彼女が僕の盾に頭を当ててしまいましたから…場所は把握したんじゃないでしょうか?
だったら…早めに彼女を身動き取れない状態にしなくては…
「……メアリー?窓を全て開けてくれる?煙で何も見えないから…」
「あっ…はいです!!」
……結局、この煙は逃がすんですね…
ですが、視界を確保しようがしまいが…僕にはあまり関係がありませんよ!
僕は初めから最後まで…今の視界をキープしていますからね!!
それに、僕はこの3車両目と4車両目をつなぐ扉の前に陣取っていますから前からの攻撃は全て防ぐことが出来ますし…ね?
早く飽きてくださるとうれしいんですけど、多分そう簡単にはいかないんでしょう…?
僕がそう思いながらシールドガトリングの弾を再度発射するために角度を調節すると…彼女たちの中の一人がなんだか魔法を撃つ準備をしているんですよ!
ま、魔法なんて…卑怯じゃないですか!!いくら種族が魔女だからって…
いきなりはどうかと思いますよ!?それに…魔法攻撃が僕のシールドガトリングで防ぐことが出来る…なんて、わかりませんし…
とにかく、彼女に撃たせるわけにはいきません!!
「いきなり魔法攻撃を仕掛けてくるのはやめてください!!危ないじゃないですか!」
「でも、その盾の耐久度が分からないでしょう?だから…ちょっとだけ…ね?」
「ダメです!!くっ…仕方がありませんね…眠ってください!!」
ダダダダダダッ…
僕は彼女に忠告はしましたからね?ですが…やはり、彼女達子供三人の中では一番彼女が賢いようですね…
僕だって、このシールドガトリングが魔法攻撃をも防ぐことが出来るかなんてわかりませんから…的確な判断ですよ?
ですが…今回は当てるつもりで攻撃を仕掛けていますから…眠ってください!
ジジッ……
「なっ…!?か、彼女の周りに展開されている魔方陣…僕の攻撃を捻じ曲げている…!?そんな事が…」
「遠距離攻撃は通用しません…さぁ、諦めてこの魔法を受けてください!!そして…戦いが終わった後、そのぷにぷにのおなかを撫でさせてください!!いや、もうその勢いで結婚とかしてしまいましょう!!」
「悪いけど、僕は下半身も上半身もデブだからね…そんな男と結婚したら君の人生がエンドしてしまうよ?だから…やめておくんだ!」
「グランマーグさん…持ってきたんですが…弾が3発しか入っていませんでした…」
「えっ…!?あ…補充してなかったっけ…とにかく、僕が言ったタイミングで攻撃を仕掛けてください!!そして…今です!!今…魔方陣を展開している彼女に攻撃を仕掛けて欲しいんですよ!!」
「了解です!!さぁ…200kg越えのデブが…トリモチ弾を発射しますよ?」
マクベインがそう言いながらトリモチ弾を発射すると…なんと、彼女の目の前で思った以上の拡散攻撃をしてくれたんですよ!!
これなら…彼女の魔法攻撃を防ぐことも出来そうですが…あの魔方陣は遠距離攻撃を防ぐとか…
通用していないかも知れませんね…
「【スプリットレィザー】!!」
な、なんですか…!?この光線は…!?
くっ…やっぱり、彼女に取り付いて動きを封じる事はできませんでしたか…
ちなみに、あのトリモチは無添加のおもちを特別な技術で応用しており、もしもの時には食べることが出来る非常食として使えるんですよ?
…って、そんな事を言っている場合じゃない!!
くっ…た、耐え切れるのか…?僕のシールドは…!?
キィンッ…プシュー…
あ、あれ?普通に耐え切ったんですけど…?
さすがはケイの発明品…伊達じゃないって事か…
この現状に便乗して彼女達を戦意喪失状態にしたいんですが…
まずは、あのケサランパサランの少女の行動を封じさせて貰いましょうか!
「マクベイン!!あの女の子に向かって撃ってください!!彼女は僕の攻撃が通用しませんから…!」
「了解です!てやぁっ!!」
パスッ…ポンッ…
「うわーっ!!ベタベタするー!!きゃははっ!!」
「きーちゃん!!よくもきーちゃんを…許しません!!」
なっ…!?彼女達のうち一人が…僕たちのところに走ってきた!?
しかも…目に涙を浮かべて…こちらに走ってきた…!?
くっ…来るな…来たら撃たなきゃいけなくなる!!だから来るな!
来なければ催眠弾に当たることも無いんですよ!?それなのに…どうして僕たちのところに泣きながら走ってくる!?
「来るな!!来たら撃ちますよ…これは本当ですからね!?」
「きーちゃんをあんな白いネバネバしたもので汚すなんて…そんな姑息なことをしないと勝てないんですか!?卑怯です!!」
……僕は、正々堂々と戦いたくないわけじゃ…ないんだよ…
僕には実力が伴っていないから…こんな戦い方をするしかないんだ…
僕は彼女がさっき言った台詞に対して、こう心の中で答えていたんだ…
彼女は気がついていないかも知れないけど…さっきの台詞は思った以上に僕の心に響いたんだよ…
確かに…大の大人が二人で子供相手に…こんな姑息な戦い方をしているのは卑怯だと思うし…それに、常識ある大人なら、小さな子供には手を出さないのが普通だ…それは僕も…わかっているつもりだし…
僕がそう思っていると、彼女は物凄い近くまで迫ってきていたんだ…
ここで撃たないと…撃たないとダメなのに…どうしてだ?
なぜ僕は…目に涙を浮かべている彼女を撃つことが出来ないでいる?
まさか…今僕が直面している状況が…苦悩って奴なのか!?
撃たなきゃ負ける…だが、彼女は武器も持っていない…なおかつ子供だ…
たとえるとしたら、一般市民のようなものじゃないか!!
彼女を攻撃するとしたら…僕は…一般市民を戦争中に攻撃する…最低な男になるんじゃないのか…?
どうすればいい…?どうすればいいんですかっ!?
ここに来て…彼女の子供らしい無垢な泣き顔を見て…トリガーを引く事ができなくなってしまいました…
僕は…どうすれ…
「きーちゃんの仇です!!覚悟してください!!」
ドンドン…ドンドン…
くっ…彼女は攻撃を仕掛けてきている…
当然だけど…彼女の攻撃では僕のシールドマシンガンの盾は壊れる事は無い…
けど、攻撃をしないと僕も遠くで魔法を唱えていた魔女の彼女の行動を把握することが出来ない…
だったら、誰が考えてもこの状況…彼女を僕が撃たないとダメだ…
だけど…僕には目の前で手から血を滲ませながらも仲間の為に泣きながら僕の盾を叩いているバフォメットの彼女を…攻撃することが出来ないんだ!
ここになって…無抵抗の彼女を撃つことが怖くなったんだよ!!
無理なんだ…無理なんだよ僕には!!
僕がそう思って、悩んでいた時だった…
いきなり物凄い光がバフォメットの彼女の後ろから射して来たんだ…
まさか…魔女の彼女は彼女がいるのに魔法を使うのか…!?
仲間じゃないのか…?仲間じゃないのかよ!?
「あははーーっ!!あれ、まあまあおいしかったよーー!!ところで、ふーせんのお兄さん…この赤いボタンは何ー?」
なっ…!?か、彼女…トリモチ弾を回避したのか…!?でも、さっきおいしかったって…た、食べられた!?
それに…彼女が押そうとしているのはシールドマシンガンをスーツケース形態に変化させるボタンじゃ…
だ、ダメだ!!それを押したら…
僕が止めるよりも先に、彼女はボタンを押してしまったんだよ…
しかも、その後すぐに彼女達のところにふわふわと飛んでいってしまう…
くそ…彼女に気を…取られすぎたようですね…
これは…非常にまずい状況では…!?
「きゃっ!?」
バフォメットの彼女がいきなり盾が消えたことにより前のめりに倒れると…魔女の彼女が物凄い動きの光線魔法を飛ばしてきたんだ!!
こ、このタイミングで…まずい!!
やられた…僕は本気でそう思ったんですよ…
ですが、いきなり僕の太ったおなかをマクベインが押し、僕の前に出て彼女の魔法を受けたんだ!!
とっさのことで…僕は初め、なにが起こったのかよくわからなかった…
だけど、マクベインに攻撃が当たった瞬間に悟ったんだ…
マクベイン…僕を助けた…?
「マクベインっ!!」
「ふふふ…グランマーグさん…?私はあなたがシールドマシンガンを撃っていた時に感じた思い…少しは分かりますよ?でも、油断はしないで下さい…私達は…動けるデブでしょう?うわわわわわわわっ…けふっ…」
ま、マクベイン…大丈夫なのか…?生きて…生きているのか…!?
僕は輸送部隊の隊長のはずなのに…部下に守られて生きて…
「大丈夫ですよ?麻痺効果のある魔法を使っただけなので…ね?無事に生きていますよ」
生きている…!?よ、よかった…本当によかった…
僕は彼女にそれを教えられた時、心のそこから安堵したんですよ…
…って、まだ、戦いは終わっていないじゃないですか!!
マクベインのためにも…僕は戦いを終えるわけには…
だが、僕の大切なシールドマシンガンが近くに無いんだ…
ど、どこに…?どこにいったんだ!?
「これかぁ…これもいい技術が使われてるなぁー…あたいの頭にガンガンくるぜ…楽しくなってきたなぁ?」
と、盗られてる…いつの間にか…彼女達の中で戦闘に参加していなかったゴブリンの女性に盗られてる…
そ、そんな馬鹿な!?僕は丸腰で戦わなくてはいけないのか!?
こんなデブの僕が……勝てるのか…?
『私達は…動けるデブでしょう?』
はっ…!?そうだ…僕たちは輸送部隊であり…そして動けるデブだ…
この太ったおなかが見せかけなんかじゃない…
武器が無かったとして何なんだ…?僕にはまだ…この体があるじゃないか!
無謀だと思う…確かに勝機なんてもうどこにもない…
でも…それでも僕はこの状況でも…敵に向かって攻撃を仕掛けないといけないんです!!
僕にも…少しくらいは男として、自分の発言を貫きとおすプライドがあるはずだ!!それを…見せてみせます!!
僕は…僕は…
「僕は…動けるデブなんだぁっ!!うおぉぉぉぉっ!!」
「武器も持たないで攻撃を仕掛けてくる…気に入った!!私が相手してあげるわ!!てやぁっ!!」
「ぐほぉっ!?」
僕はその後…攻撃を一発受けただけでカキサトレインの電車の床に倒れこんでしまったんですよ…
でも…なんだろう?僕は…やりきった気が…する…
ケイさん…弾薬を無事に運ぶことが出来なくて…すみません…
ははっ…でもまぁ…デブにしては…頑張ったかな…?
僕は心でそう思いながら、そっと気絶の波に身をまかせたんですよ…
ははっ…魔女の彼女はまだ僕と結婚するつもりなんですか…
僕はデブだから…やめておいたほうが…いいです…よ?
体型を気にしないなら…話は…べ…
〜〜〜デメトリオの視点に移ります!!〜〜〜
「な、な、な、な、な…ぐ、グランマーグまで…」
「……デメトリオ、カキサトレインは…あと7分でこのフォードコーポレーションに到着します…逃げても…いいですよ?」
こ、ここでようやく逃亡の許可が出た…
この状況で逃げるなって言われても、俺は逃げてたけど…それでも、ケイが逃亡の許可をしてくれたことがうれしいぜ…
で…肝心のことが一つあるんだけど…どうやって逃げるんだ?
俺がここに来たのはカキサトレインだから…逃げようにも逃げることが出来ないじゃないか!!
くそっ…そのことを考えていなかった!!
「地下3階にメガロス城に通じる非常用の通路があります…そこにある乗り物で、メガロス城に逃げてくれ!!いいかい?」
「わ、わかった!!じゃあ、ケイも早く逃げる準備をしよう!!絶対に持って行きたいものだけを持って…」
「デメトリオ…僕はこのフォードコーポレーションにある開発品を守らなくてはいけないんだ…だから、僕はここから離れる事はできないんだよ…」
「な、何を馬鹿なことを言っているんだよ!?逃げられる時に逃げないのはただの馬鹿だよ!?そんなのはどうでもいいから…」
「どうでもよくなんてない!!あの発明品には…協力してくれた人の思いや僕の費やしてきた時間…色々なものが集まって出来たものなんだ!!だから…僕はあの発明品を敵の手に渡せないんだよ!!僕は…発明者だ!!」
「そ、それでも…それでもさぁ…」
「いいから行ってくれ…これが地下三階の乗り物が置いてある場所を開くための鍵だ…行けっ!!」
くっ…こんな状況の時には逃げたほうが安全なのに…
ケイは馬鹿だ!!絶対に馬鹿だ!!
俺だったら…喜んで逃げているのに…どうしてそんなに研究品にこだわるんだ?
確かに、俺にもこだわりたいところはある…あるけどなぁ…
そのこだわりを捨ててでも逃げるべき時ってあると思うんだよ!!
俺はそう思いながら、エレベーターの方に走って行ったんだ…
………ケイ、負けないでくれよ?
俺にやっぱり逃げればよかったじゃないかって呟かれたくないなら…絶対に勝つんだぞ!!
ふぅっ…それじゃあ俺は…この危険から逃げさせて貰うとしようかな…?
こうして俺は、地下3階にエレベーターで降り始めたのだった…
ライザーさんほど、奇襲戦が得意だった人もいなかったはずなのに…
それに、ここに来るまでにもミカルドのみんなは倒され続けてきたんだよな
テスタロスさんもメビウスさんも…残っているのは僕とクラウィスさんとディルグさんとケイさんとナッカーサーさんとデメトリオくらいのものだよ…
それに…さっきから僕の部下たちが騒いでいる報告によれば、このカキサトレインにも彼女達が乗ってきているんだ…
「グランマーグさん…やはり、報告のとおり、彼女達は一番最後の車両に数人侵入して来ているみたいですよ!!私達の大切にしていたお菓子が食べられつつあります!」
「……ちょっとしたダイエットが出来ると思って我慢してください!積荷の方はどうなんですか?」
「…フォードコーポレーションに運ぶ手はずだった王様のお手製うどんが彼女達の手によって食されたのを見たとの報告が…」
「くそぉっ!!食されたか…ほかにはありませんか?」
「他は特には…」
「そうですか…また何か動きがあったら報告してください…お願いしますね?」
今は彼女達もこのカキサトレインにつまれている積荷の中の一つ…食糧に目がくらんでいますが…もし、このカキサトレインにケイさんに頼まれた武器の弾薬がつまれていることに気づかれた場合…少々、いや…大分まずいことになります…
この戦いの命運を分けるほど、重要な物を運んでいる僕たち…
はぁ…ミカルドの中ではデメトリオの次に新人で、なおかつ運動能力のないデブだっていうのになぁ…
でも、僕は他のミカルドのみなさんがどんな思いで倒れていったのか…それを考えると、ここでそのような弱気なことを言っている場合じゃありませんよ
もしもの時は…僕も武器をとって戦わないといけなくなります…
一応、僕の武器もケイさんが作ってくれたので、悪くは無いものですが…
シールドマシンガンってタイプの銃で…凄い重いんですよ…
だからこそ、僕はこの列車内という限られた空間で輸送隊をやっているんだ
この武器の最大の魅力は何と言ってもその防御力…
防御力は機工障壁の10分の1だけど…それでも、普通の武器じゃこのシールドマシンガンの防御を崩すことなんて出来ないからね…
実は、ケイさんがこの僕のシールドマシンガンのシールドをもっと軽量で扱いやすいものに改造してやるって提案もあったんだけど…
僕はこのシールドマシンガンのごついフォルムが気に入っているからね…
この大きな盾は僕の太った体を完璧に覆ってくれるってのもいい…
だから、僕はその提案を元に作られたシールドをナッカーサーさんの武器につけたんだ…
ちょうどナッカーサーさんの誕生日も近かったしね?だから、僕たち他のミカルドのメンバーが誕生日プレゼントにと思って武器をプレゼントしたんだけど…
ナッカーサーさん、プレゼントもうあけたのかな…?
彼のことだから、まだ空けていないような気もするよ…
僕がそう思いながら、仲間のマクベインが報告しに戻ってくるのを待っていたんだ…
正直、輸送部隊といっても先月作られたばかりで、体重123kgの僕と203kgのマクベインの二人しかメンバーがいないんだけどね?
……デブばかりじゃないかって思っただろ?
でも、そう思ったあなたに僕はこの台詞をプレゼントしますよ…
人を見た目で判断すると、きっと後悔することになるってね?
僕は、人を外見で判断する人が大嫌いなんですよ…
このメガロス帝国にはそんな人物はいませんからね…気が楽ってものです
いつか、デブでもガリガリでも、老人でも子供でも…みんなが平等に扱われる時代になってほしいもんですよね
「グランマーグさん!!彼女達がついに…食糧を食べつくしてこちらの車両にむかっています!!」
「何っ!?も、もう食べつくしたのですか…!?僕たちでも生活習慣病のことを気にして、一日のカロリー制限を始めたというのに…彼女達はカロリーが怖くないのか!?仕方がありません…このカキサトレインは全部で10車両あります…8車両彼女達に抜かせてしまうと僕たちの当初の目的であるケイさんに届ける武装の弾薬が彼女達にばれてしまう…だから、そこまでは絶対に行かせない様にしないと…
とにかく、3車両に移動して彼女達を止めないといけませんね…」
この体型で2車両走り抜けるってのは結構酷なんですよ?汗も酷いですし…
そう思いつつ、マクベインにそのことを伝えると、僕たちは5車両目から三車両目まで走ったのです…
これは…きつい…きついですが…それでも走るしかありません!!
「3車両目までつきましたが…まだ彼女達は来ていないようですね…今のうちに僕はシールドマシンガン【アドヴァンス】を展開しますから、弾薬をお願いします」
「了解です!!へへっ…俺たちは動けるデブだって事を…思い知らせてやりましょう!!」
マクベインはそういうと、すぐに僕のシールドマシンガンの弾薬を大量に後ろに用意してくれたんだ…
うんっ…滴り落ちる汗に、かっこよさを感じるよ?
さてと、僕はこのボタンを押してっと…
このシールドマシンガン、戦闘以外のときはボタン一つでスーツケースにはや代わりするんですよ?便利でしょう?下についているタイヤで移動も楽ですし中には色々入れることが出来ますからね…
さぁ…これで、何時でも迎え撃つ事はできます!!
…………来ませんね…どうして来ないんでしょうか?
2車両目にはおもちゃ類しか置いていないはずですが…
僕はそう思い、滴る汗をハンカチでぬぐいながらコーヒーを飲んでいたんですが…熱いですねぇ…
一体、何をしているんだろうか?
僕は気になって、マクベインに少し静かにするように指示すると、耳を済ませて話を聴いてみたのです…
もし、僕たちがここにいるのを分かっていて、そのための攻撃準備をしているのだとしたら、注意しなければいけませんし…
「きーちゃん、ちょっと遊びすぎですよ!!メガロス帝国の兵士さんの所有物なんだから、もう少し限度って物を…」
「あははーーっ!!このおもちゃ、変な顔ーーっ!!あはははっ!!」
「もぉー…きーちゃんったらっ!!」
………あれ?遊んでいる…?それにこの声…子供か?
まさか…子供まで敵にいるなんて…あまり、手荒な事はしたくないなぁ…
「さてと…これでどうかしら?」
「おっ…すっかり肩こりが治っちゃったよ…ありがとうなジュンコ!」
「無茶はしないほうがいいわよスカニ?研究に没頭するのはいいけど…」
「でもよ…この国の兵士の武器だけを見ても思うことがあるんだけど、この国の科学技術は凄いんだ!!デメトリオが作戦を立てていたとき、あいつの作戦が一時的に成功したのもこの技術のおかげだぜ?あの時はあたいが先の先の先を読んだ爆撃で勝利を収めたけど…次もこう上手くいくなんてありえない…だから、あたいはこの技術を研究して、自分の為に使わないと…さすがにゾーネにはかなわないけど、みてな?あたいだってやれば出来るって所を見せてやるから!!ミリアナ!!手伝いな!」
「ふわぁ…えぇー…まだ分析するんですかぁ〜?」
「ジュンコさん!!ハーブティーを入れ終わりました…どうぞ…」
「ありがとう…えっと…ジャックだったかしら?」
「はい!!いやぁ…ここは子供が多くて最高の空間ですよ!!ジュンコさんも年齢に似合わないロリ体型…もぉ俺…感動で口から血を吐き出しそうです!」
「ありがと…でも、あなたはエルナちゃんがいいんでしょ?」
「そーですよ!!あの究極かつ洗練された子供の体つき…性的対象に見てしまったら絶対にダメなシチュエーションと隣りあわせでありながら、相手を魅了するあの肢体…まさに魔性の少女です!!俺はもう、彼女にパパと呼んでもらえることを夢見てしまうと…くはぁーーっ…たまらねぇっ!!」
「そう…(デメトリオだけどね…パパは…ま、私には関係ないけど…)」
「ジャックは確実にジュンコに利用されてるわね…どう思う?シエスタ」
「…ユカ…口元…クリーム…てるよ?」
「えっ!?あぁ…まぁ、いいじゃん?後で舐め取っておくよ」
……これは、まだすぐに来るって事は無さそうですね…
私達も昼食をとるとしましょうか…って、しまったぁーーっ!!
昼食…1車両目にあるじゃないですか…くぅ…
仕方がない、この非常用の乾パンで空腹を抑えるとしましょうか…
「マクベイン…これ、軍事用レーションの残りがあったのですが…食べます?グレープフルーツ味はどうも苦手で…」
「あっ…いただきます…しかし、こう食べてばっかりだとますます太ってしまいますね…」
「その時は、カロリー制限をしながら今の体重をキープするようにしませんといけませんね…そういえば、来週のカロリー制限習慣日、僕たち輸送部隊はマラソンらしいですよ?デブには地獄のような運動ですが…来週が来るのが嫌で仕方がありませんよね…」
「ですが、この太ったおなかを見るたびに、自分に対する甘えがこの結果を生んだのだという現実が出てきます…仕方がありませんよ、食ったんですから」
「さて、そろそろこの食べたゴミを捨てましょうか…そこのカップお願いします」
「了解です」
こうして、僕たちが食事を戦闘中だというのにのんきに取り終わり、片づけをしようとしていると、彼女達が不意に車両の扉を開けてこっちに入ってきたんですよ!!
せめて、もう少し空気を読んで欲しかった!!
「こっちはなにがあるのかなーー?って、あれー?」
「きーちゃん!!だから、そんなに気まぐれに動くのは…って、敵ですか!?みなさん!!敵です!!」
「…やっぱり、この機関車にも敵の方は乗っていたって事ね…でも…良い体型じゃない!!完璧な太り体型…私の長い旅もこれで終わりになりそうだわ」
「ほんとだーーっ!!ふーせんみたいなおなかしてるーー!!あははははっ」
………なんですか?子供ばかりじゃないですか!?
ですが、子供といえど魔物娘…なおかつ、彼女達の中には見た目は子供でも年齢が分からない魔女とバフォメットのセットですか…
油断はしないほうが…よさそうですね…
僕はそう思うと、とっさにシールドマシンガンの銃口を彼女達のほうに向けたんですよ…
これで驚いて動きを止めてくれれば…彼女達に無駄な攻撃を仕掛けなくてもすむのですが…
「あははっ!!なにそれー?」
「あぁっ!!危ないきーちゃん!!」
近づいてきた…!?彼女は子供のように恐怖心がないのか…?
それとも、本当に子供…幼生のケサランパサランなのか!?
とにかく…この銃が本当に危険なものだということを彼女達に思わせなければダメみたいですね…
僕はそう思うと、即座に彼女に攻撃を仕掛けたんです…
お願いだから、危険だと判断してすぐに電車を降りて欲しいですよ…
一番後ろの車両だけ連結切り離しが出来るので安全にカキサトレインから降りることも出来ますし…
ダダダダダダッ…
「この銃は脅しの銃ではありませんよ?弾は催眠弾ですが、僕は手荒な事はしたくありません…ですので、一番最後の車両に戻ってください…次は当てますよ?」
「あら…?ずいぶん乱暴なお方ですね…ちょっと、私とお話をしませんか?」
ダダダダダダダッ…
「う、動かないで下さいといったはずです!!今、僕たちとあなたたちは戦闘を行っているんですよ!?つまり、このカキサトレイン内といえど、戦場なのです!!だから、話をすることなんて出来ません!!」
僕がそう答えると、魔女の彼女は少し肩を落とすと後ろに退いたんですよ…
見た目と反して、年齢は高いようですね…聞き分けもいいようで、助かります
僕がそう思っていると、いきなり彼女は振り向いてこういってきたんですよ…
「きーちゃん?あそこにいるふうせんみたいなお兄さん二人と遊んでもいいわよ?あのおなかの上でポンポン跳ねたくない?」
「跳ねたいーーっ!!あははーー!!」
くっ…ここまで忠告したのにも関わらず来るのですか…
わかりました、あなた達を眠らせます!!
幸い、1車両には簡易的布団も用意されているので、そこに寝かせて連結を切り離させて貰いましょう!!
デブだからって、攻撃速度が遅いなんて考えないで下さいよ!!
僕は…動けるデブですから!!
ダダダダダダッ…ポンッ…ポポンッ…
当たった…には当たりましたが、笑いながら飛んでくる彼女に弾が当たるたび、催眠弾がまるでポップコーンのような音を立てながら丸いふわふわしたものに包まれているんですよ…
まさか…彼女の能力なのでしょうか…?だとしたら、あの浮遊している白いふわふわしたものにも注意をしなければいけませんね…
プシューッ…
なっ…!?あのふわふわしたものからガスが出た!?
くっ…って、あれ?このガスの感じ…水蒸気ですか?どうしてあのふわふわしたものから水蒸気が…
それに、一体何の目的があって…?
僕は一瞬そのことに関して考えましたが、次の瞬間…あのふわふわしたものが水蒸気を出したのかがわかったんですよ!!
これは…僕の視界を奪っている…!?
くっ…これでは狙いを定めることなんて出来ないじゃないですか…
いきなり、ピンチですか……
僕がそう思っていると、後ろからマクベインが何かを渡してくれたんですよ…
これは……?
「グランマーグ隊長、これは赤外線ゴーグルです!!これであの煙に対する対策はバッチリです!!」
「そうか…そういえば、このカキサトレインは人を運ぶと同時に輸送電車でもあるから、色々な発明品があるのか…ありがとうございます!!」
これなら…実力不足でデブな僕でもいいところまで戦える気がする!!
さて…あのケサランパサランの少女には僕の武器は通じないようですが…
何か方法を考えないと……動きを封じる…封じる…はっ…!?
5車両目の右から6番目の棚の下から二番目の引き出しの奥の隠し棚…
あの中にトリモチ発射銃があったはず…マクベインがそこに閉まったようなので僕はあまりよくは分からないんですけど…それを取ってきて貰えば、彼女の動きを封じることが出来るはずです…
マクベインに動いて貰うことにはなるんですけど…
「マクベイン…トリモチ発射弾をお願いしていいですか?あれでふわふわ飛んでいる彼女の動きを抑えます」
「了解しました!!」
………さて、赤外線ゴーグルのおかげで彼女達の姿は見えるのですが…
僕は相手の心を読めるわけじゃないですからね…次にいったいどのようにして攻撃を仕掛けてくるのか…わからないんですよ
この煙を利用して攻撃を仕掛けてくるのはわかるんですけど、問題はその攻撃が何なのか…これですよね
僕がそう思っていると、ケサランパサランの彼女が煙に乗じて盾に凄い近づいてきたんですよ…
なるほど、煙の色が白いことを利用しての攻撃ですか…小さい子にしては中々にいい考えですよ…
僕のこのシールドマシンガンの防御力が高く無ければかなりの大打撃…
やはり、子供といっても侮れないですよ…
「あはははーーっ!!煙がモクモク〜♪わーい!!」
がんっ…
「あうっ!?むー…何これぇー?痛いなぁー…」
……どうやら、偶然の行動だったみたいですね…
そういえば、彼女もこの煙で僕の盾の場所が分からないですからね…
ですが…彼女が僕の盾に頭を当ててしまいましたから…場所は把握したんじゃないでしょうか?
だったら…早めに彼女を身動き取れない状態にしなくては…
「……メアリー?窓を全て開けてくれる?煙で何も見えないから…」
「あっ…はいです!!」
……結局、この煙は逃がすんですね…
ですが、視界を確保しようがしまいが…僕にはあまり関係がありませんよ!
僕は初めから最後まで…今の視界をキープしていますからね!!
それに、僕はこの3車両目と4車両目をつなぐ扉の前に陣取っていますから前からの攻撃は全て防ぐことが出来ますし…ね?
早く飽きてくださるとうれしいんですけど、多分そう簡単にはいかないんでしょう…?
僕がそう思いながらシールドガトリングの弾を再度発射するために角度を調節すると…彼女たちの中の一人がなんだか魔法を撃つ準備をしているんですよ!
ま、魔法なんて…卑怯じゃないですか!!いくら種族が魔女だからって…
いきなりはどうかと思いますよ!?それに…魔法攻撃が僕のシールドガトリングで防ぐことが出来る…なんて、わかりませんし…
とにかく、彼女に撃たせるわけにはいきません!!
「いきなり魔法攻撃を仕掛けてくるのはやめてください!!危ないじゃないですか!」
「でも、その盾の耐久度が分からないでしょう?だから…ちょっとだけ…ね?」
「ダメです!!くっ…仕方がありませんね…眠ってください!!」
ダダダダダダッ…
僕は彼女に忠告はしましたからね?ですが…やはり、彼女達子供三人の中では一番彼女が賢いようですね…
僕だって、このシールドガトリングが魔法攻撃をも防ぐことが出来るかなんてわかりませんから…的確な判断ですよ?
ですが…今回は当てるつもりで攻撃を仕掛けていますから…眠ってください!
ジジッ……
「なっ…!?か、彼女の周りに展開されている魔方陣…僕の攻撃を捻じ曲げている…!?そんな事が…」
「遠距離攻撃は通用しません…さぁ、諦めてこの魔法を受けてください!!そして…戦いが終わった後、そのぷにぷにのおなかを撫でさせてください!!いや、もうその勢いで結婚とかしてしまいましょう!!」
「悪いけど、僕は下半身も上半身もデブだからね…そんな男と結婚したら君の人生がエンドしてしまうよ?だから…やめておくんだ!」
「グランマーグさん…持ってきたんですが…弾が3発しか入っていませんでした…」
「えっ…!?あ…補充してなかったっけ…とにかく、僕が言ったタイミングで攻撃を仕掛けてください!!そして…今です!!今…魔方陣を展開している彼女に攻撃を仕掛けて欲しいんですよ!!」
「了解です!!さぁ…200kg越えのデブが…トリモチ弾を発射しますよ?」
マクベインがそう言いながらトリモチ弾を発射すると…なんと、彼女の目の前で思った以上の拡散攻撃をしてくれたんですよ!!
これなら…彼女の魔法攻撃を防ぐことも出来そうですが…あの魔方陣は遠距離攻撃を防ぐとか…
通用していないかも知れませんね…
「【スプリットレィザー】!!」
な、なんですか…!?この光線は…!?
くっ…やっぱり、彼女に取り付いて動きを封じる事はできませんでしたか…
ちなみに、あのトリモチは無添加のおもちを特別な技術で応用しており、もしもの時には食べることが出来る非常食として使えるんですよ?
…って、そんな事を言っている場合じゃない!!
くっ…た、耐え切れるのか…?僕のシールドは…!?
キィンッ…プシュー…
あ、あれ?普通に耐え切ったんですけど…?
さすがはケイの発明品…伊達じゃないって事か…
この現状に便乗して彼女達を戦意喪失状態にしたいんですが…
まずは、あのケサランパサランの少女の行動を封じさせて貰いましょうか!
「マクベイン!!あの女の子に向かって撃ってください!!彼女は僕の攻撃が通用しませんから…!」
「了解です!てやぁっ!!」
パスッ…ポンッ…
「うわーっ!!ベタベタするー!!きゃははっ!!」
「きーちゃん!!よくもきーちゃんを…許しません!!」
なっ…!?彼女達のうち一人が…僕たちのところに走ってきた!?
しかも…目に涙を浮かべて…こちらに走ってきた…!?
くっ…来るな…来たら撃たなきゃいけなくなる!!だから来るな!
来なければ催眠弾に当たることも無いんですよ!?それなのに…どうして僕たちのところに泣きながら走ってくる!?
「来るな!!来たら撃ちますよ…これは本当ですからね!?」
「きーちゃんをあんな白いネバネバしたもので汚すなんて…そんな姑息なことをしないと勝てないんですか!?卑怯です!!」
……僕は、正々堂々と戦いたくないわけじゃ…ないんだよ…
僕には実力が伴っていないから…こんな戦い方をするしかないんだ…
僕は彼女がさっき言った台詞に対して、こう心の中で答えていたんだ…
彼女は気がついていないかも知れないけど…さっきの台詞は思った以上に僕の心に響いたんだよ…
確かに…大の大人が二人で子供相手に…こんな姑息な戦い方をしているのは卑怯だと思うし…それに、常識ある大人なら、小さな子供には手を出さないのが普通だ…それは僕も…わかっているつもりだし…
僕がそう思っていると、彼女は物凄い近くまで迫ってきていたんだ…
ここで撃たないと…撃たないとダメなのに…どうしてだ?
なぜ僕は…目に涙を浮かべている彼女を撃つことが出来ないでいる?
まさか…今僕が直面している状況が…苦悩って奴なのか!?
撃たなきゃ負ける…だが、彼女は武器も持っていない…なおかつ子供だ…
たとえるとしたら、一般市民のようなものじゃないか!!
彼女を攻撃するとしたら…僕は…一般市民を戦争中に攻撃する…最低な男になるんじゃないのか…?
どうすればいい…?どうすればいいんですかっ!?
ここに来て…彼女の子供らしい無垢な泣き顔を見て…トリガーを引く事ができなくなってしまいました…
僕は…どうすれ…
「きーちゃんの仇です!!覚悟してください!!」
ドンドン…ドンドン…
くっ…彼女は攻撃を仕掛けてきている…
当然だけど…彼女の攻撃では僕のシールドマシンガンの盾は壊れる事は無い…
けど、攻撃をしないと僕も遠くで魔法を唱えていた魔女の彼女の行動を把握することが出来ない…
だったら、誰が考えてもこの状況…彼女を僕が撃たないとダメだ…
だけど…僕には目の前で手から血を滲ませながらも仲間の為に泣きながら僕の盾を叩いているバフォメットの彼女を…攻撃することが出来ないんだ!
ここになって…無抵抗の彼女を撃つことが怖くなったんだよ!!
無理なんだ…無理なんだよ僕には!!
僕がそう思って、悩んでいた時だった…
いきなり物凄い光がバフォメットの彼女の後ろから射して来たんだ…
まさか…魔女の彼女は彼女がいるのに魔法を使うのか…!?
仲間じゃないのか…?仲間じゃないのかよ!?
「あははーーっ!!あれ、まあまあおいしかったよーー!!ところで、ふーせんのお兄さん…この赤いボタンは何ー?」
なっ…!?か、彼女…トリモチ弾を回避したのか…!?でも、さっきおいしかったって…た、食べられた!?
それに…彼女が押そうとしているのはシールドマシンガンをスーツケース形態に変化させるボタンじゃ…
だ、ダメだ!!それを押したら…
僕が止めるよりも先に、彼女はボタンを押してしまったんだよ…
しかも、その後すぐに彼女達のところにふわふわと飛んでいってしまう…
くそ…彼女に気を…取られすぎたようですね…
これは…非常にまずい状況では…!?
「きゃっ!?」
バフォメットの彼女がいきなり盾が消えたことにより前のめりに倒れると…魔女の彼女が物凄い動きの光線魔法を飛ばしてきたんだ!!
こ、このタイミングで…まずい!!
やられた…僕は本気でそう思ったんですよ…
ですが、いきなり僕の太ったおなかをマクベインが押し、僕の前に出て彼女の魔法を受けたんだ!!
とっさのことで…僕は初め、なにが起こったのかよくわからなかった…
だけど、マクベインに攻撃が当たった瞬間に悟ったんだ…
マクベイン…僕を助けた…?
「マクベインっ!!」
「ふふふ…グランマーグさん…?私はあなたがシールドマシンガンを撃っていた時に感じた思い…少しは分かりますよ?でも、油断はしないで下さい…私達は…動けるデブでしょう?うわわわわわわわっ…けふっ…」
ま、マクベイン…大丈夫なのか…?生きて…生きているのか…!?
僕は輸送部隊の隊長のはずなのに…部下に守られて生きて…
「大丈夫ですよ?麻痺効果のある魔法を使っただけなので…ね?無事に生きていますよ」
生きている…!?よ、よかった…本当によかった…
僕は彼女にそれを教えられた時、心のそこから安堵したんですよ…
…って、まだ、戦いは終わっていないじゃないですか!!
マクベインのためにも…僕は戦いを終えるわけには…
だが、僕の大切なシールドマシンガンが近くに無いんだ…
ど、どこに…?どこにいったんだ!?
「これかぁ…これもいい技術が使われてるなぁー…あたいの頭にガンガンくるぜ…楽しくなってきたなぁ?」
と、盗られてる…いつの間にか…彼女達の中で戦闘に参加していなかったゴブリンの女性に盗られてる…
そ、そんな馬鹿な!?僕は丸腰で戦わなくてはいけないのか!?
こんなデブの僕が……勝てるのか…?
『私達は…動けるデブでしょう?』
はっ…!?そうだ…僕たちは輸送部隊であり…そして動けるデブだ…
この太ったおなかが見せかけなんかじゃない…
武器が無かったとして何なんだ…?僕にはまだ…この体があるじゃないか!
無謀だと思う…確かに勝機なんてもうどこにもない…
でも…それでも僕はこの状況でも…敵に向かって攻撃を仕掛けないといけないんです!!
僕にも…少しくらいは男として、自分の発言を貫きとおすプライドがあるはずだ!!それを…見せてみせます!!
僕は…僕は…
「僕は…動けるデブなんだぁっ!!うおぉぉぉぉっ!!」
「武器も持たないで攻撃を仕掛けてくる…気に入った!!私が相手してあげるわ!!てやぁっ!!」
「ぐほぉっ!?」
僕はその後…攻撃を一発受けただけでカキサトレインの電車の床に倒れこんでしまったんですよ…
でも…なんだろう?僕は…やりきった気が…する…
ケイさん…弾薬を無事に運ぶことが出来なくて…すみません…
ははっ…でもまぁ…デブにしては…頑張ったかな…?
僕は心でそう思いながら、そっと気絶の波に身をまかせたんですよ…
ははっ…魔女の彼女はまだ僕と結婚するつもりなんですか…
僕はデブだから…やめておいたほうが…いいです…よ?
体型を気にしないなら…話は…べ…
〜〜〜デメトリオの視点に移ります!!〜〜〜
「な、な、な、な、な…ぐ、グランマーグまで…」
「……デメトリオ、カキサトレインは…あと7分でこのフォードコーポレーションに到着します…逃げても…いいですよ?」
こ、ここでようやく逃亡の許可が出た…
この状況で逃げるなって言われても、俺は逃げてたけど…それでも、ケイが逃亡の許可をしてくれたことがうれしいぜ…
で…肝心のことが一つあるんだけど…どうやって逃げるんだ?
俺がここに来たのはカキサトレインだから…逃げようにも逃げることが出来ないじゃないか!!
くそっ…そのことを考えていなかった!!
「地下3階にメガロス城に通じる非常用の通路があります…そこにある乗り物で、メガロス城に逃げてくれ!!いいかい?」
「わ、わかった!!じゃあ、ケイも早く逃げる準備をしよう!!絶対に持って行きたいものだけを持って…」
「デメトリオ…僕はこのフォードコーポレーションにある開発品を守らなくてはいけないんだ…だから、僕はここから離れる事はできないんだよ…」
「な、何を馬鹿なことを言っているんだよ!?逃げられる時に逃げないのはただの馬鹿だよ!?そんなのはどうでもいいから…」
「どうでもよくなんてない!!あの発明品には…協力してくれた人の思いや僕の費やしてきた時間…色々なものが集まって出来たものなんだ!!だから…僕はあの発明品を敵の手に渡せないんだよ!!僕は…発明者だ!!」
「そ、それでも…それでもさぁ…」
「いいから行ってくれ…これが地下三階の乗り物が置いてある場所を開くための鍵だ…行けっ!!」
くっ…こんな状況の時には逃げたほうが安全なのに…
ケイは馬鹿だ!!絶対に馬鹿だ!!
俺だったら…喜んで逃げているのに…どうしてそんなに研究品にこだわるんだ?
確かに、俺にもこだわりたいところはある…あるけどなぁ…
そのこだわりを捨ててでも逃げるべき時ってあると思うんだよ!!
俺はそう思いながら、エレベーターの方に走って行ったんだ…
………ケイ、負けないでくれよ?
俺にやっぱり逃げればよかったじゃないかって呟かれたくないなら…絶対に勝つんだぞ!!
ふぅっ…それじゃあ俺は…この危険から逃げさせて貰うとしようかな…?
こうして俺は、地下3階にエレベーターで降り始めたのだった…
12/10/24 20:44更新 / デメトリオン
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