93 爆炎者の覚悟
さぁて…これだけお菓子を持ってくれば…メガロス帝国の皆の戦況を目を離さずに見ることが出来るぞ…
俺はそう思いつつ、下の階からお菓子を持って上がってきた訳だけど…
メガロス帝国の連中が頑張って戦っている映像がモニターに映されていて…俺は一つ、あることに気がついたんだ…
まさか…これほどまで…モンスターラグーンのみんなは男に飢えていたのかって思えるほど、モンスターラグーンのみんなはメガロス帝国の連中を捕まえているんだよ!!
しかも…既にテスタロスとメビウスが守っていた地域や、それより奥以外の場所は占領されていると来た…
お、俺がちょっと目を放した隙に…まさかここまで攻められるなんて…
そして今…一番苦戦しているように見えるのは…テスタロス!?
初めに守る予定だった場所から…かなり後方に移動しているじゃないか…
とにかく、今の俺には画面の向こうで見守るしか出来ないからな…
頑張ってくれよ…テスタロス…
〜〜〜テスタロスの視点に移ります!〜〜〜
彼女達を眠らせてからこの場所に陣取って早5分…
もうそろそろ、彼女達も来る頃か…?戦いが始まる前に、少しだけでも兵士達の気を楽にしてやるかな…?
「なぁ…いまさらなんだけどよ…お前たちはメガロス帝国にいて、結婚したいって思ったことはないのかよ?」
「…結婚すか?いや…俺は無いっすね…」
「い、いきなりどうしたんですか?テスタロスさん?」
「結婚の話をいきなり持ち出すなんて、熱でもあるんですか?まぁ…熱があるのは彼女達からテスタロスさんを含めてここにいる5人全員かも知れませんけど…」
「おっ…それ、俺も思うわ…」
「これは…ちょっとした自慢話にも聞こえるかもしれねぇが…結婚はいいもんだぜ?少なくとも、守るものが出来たって気分にはなる…だが、結婚ってのはいい物であると同時に、恐ろしい物でもある…」
「テスタロスさんが…真面目な話をしようとしている…だと…?」
「こ、これは…天変地異の前触れの予感がするっす…俺達、ここで負けるっすね…」
「……お前ら…あぁっ!!この話はやめだ!!やっぱり、柄にも無くこんな話をするべき時じゃねぇな…今は」
「でも…テスタロスさんのおかげで、少しだけでも緊張がほぐれましたよ」
「あぁ…俺も、それは思うぜ…」
………まぁ、初めはそれが目的で話かけた訳だから…いいんだけどよ…
なんか、話を中途半端なところで終わらされたところで、違和感がだな…
まぁ…いいや…
今ではすっかり緊張がほぐれているこいつらだったら…俺の背中を預けてもよさそうだぜ…
俺がそう思いながら、兵士達を見ていると…遠くから、少々人数は増えて敵さんがやってきたんだ…
さて…メビウスの為に…生きて帰る!!
まぁ…別に負けても殺されるわけじゃねぇんだが…それでも、メビウスのところに戻ってやる!!
そして…またこの戦いが始まる前の状態に戻って…またメガロス帝国のみんなと楽しく人生を過ごすんだよ!!
「よし…お前らに言っておくことは一つ…俺の背中は預けた…だから…勝とうぜ!!」
「「「「おぉぉぉぉぉぉっーーーー」」」」
さて…士気も上がったところで、現状の確認だ…
俺たちの兵力は5…敵さんの兵力は9だな…
まぁ、単純に考えたら俺たちのほうが人数的に不利だが…昔から、数さえあればいいってもんじゃねぇんだよ!!戦いってのはな!!
敵の中に…あれは、夫婦か…?とにかく、男性も一人混じっているからな…
知らない間に、大勢見たことがない連中が増えやがって…
だが、いいさ…俺は今回、最初から本気だしていくからよぉっ!!
俺はそう思うと、即座に腰の部分についていた排気ボタンを押したんだ…
そして、次の瞬間俺の着ている鎧兼武器のラインの部分に赤い光が走る…
さぁっ…戦いの始まりだぜ!!
「おやおや…熱い男だねぇ…まぁ、私は嫌いじゃないよ…」
「……っ!?あ、あの人は……」
「どうしたのよ…?シーマにしては珍しく、動揺しているじゃない…」
「間違いないです!!あの人は…私が長い間待っていたあの方の生まれ変わりに違いありません!!あの髪型…それに髭も…あぁ…ようやく会えた…」
「何ごちゃごちゃ言っているんだよぉっ!?こっちは命を張って戦うんだから…回りくどいことは無しにしようぜ!!来いよ!!」
「……あなたには、仲間を攻撃された恨みもあるから…手加減しないわよ?」
おぉっ…凄い気迫だ…
やっぱり、魔物娘にも仲間って感情があるんだな…
そうだよなぁ…仲間って大切だからな…
俺はそう思いながら、あのダークスライムの女性と向き合ったんだ…
ふぅっ…相手は9人…こっちは5人!!
さぁ…どうでる?俺たちのチームワーク…見せてやるぜ!!
「行くわよ…はぁっ!!」
そういうと、即座にダークスライムの女性が左手を上げて何かを唱えたんだよ…
一体…何をしたんだ…?何もおこらねぇじゃねぇか…
「…はっ!?リーダー!!あぶねぇっ!!」
はっ…!?
俺は慌てて真上を見るが…そこには紫色のゲル状の何かがあったんだよ!!
彼女は…魔法の提唱でこれを作っていたのか!?
そして、俺は思わずその場で立ち止まってしまい、俺はさっき注意してくれた兵士に突き飛ばされたんだ…
そして…俺の目の前でそいつが紫色のゲルに包み込まれていったんだ…
くっ…畜生…俺は結局、口だけなのかよ!?
くそっ…くそぉぉぉぉぉっ!!ダメで元々だ…
俺の取っておきの爆弾で…あのゲルを吹き飛ばす!!
催眠弾の一種だが、爆風だけなら一級品だ!!
絶対…俺はあいつを救出する!!
「レッドラインモードに移行!!そして…」
カチャッ…ガシャンッ…
そして、容赦なく肩の部分に収納されている爆弾を取り出し、ゲル状の物体に投げつけたんだ!!
この爆弾は…ケイの作ってくれた武器の一つだからな…
ケイ…俺はお前の技術力を信じるぜ!!
「インフェルノだぁぁぁぁぁっーーーー!!」
「させない!!行くぞっ!!頼りにしているからな…?」
「……妻であるお前くらいなら、負け組の俺でも守れるさ…ウェス?」
「ふっ…やっぱり、ドラグーンはいい男だよ…色々な意味で…」
なんだと…!?このタイミングで…あえて前に出てくるってのか!?
今の俺はインフェルノを投げたばかりで隙だらけだからな…
どうにかしねぇと…やばい!!
だが、そんな俺の危機を救ってくれる奴がいた…
そう…俺の仲間だ!!やっぱり…仲間がいるってのはすばらしい!!
こうやって危機が訪れた時に助けてくれる仲間や友がいることは…人生をプラスにしてくれる!!
「おっとっ!!させねぇっすよーー?やるっすーーーっ!!」
「ウェスに手を…出さないでくれるかな?おらおらおらぁっ!!」
「でも…俺たちは遠くからその槍の間をぬって攻撃する手はずになってる」
「よぉしっ!!いい調子っす!!いくっすよぉーーー!!手投げ弾と催眠ガンのコンボっすーーー!!」
「ははっ…!!今のお前ら…最高にイカしてるぜ!!さて…インフェルノがそろそろ…来たっ!!みんな…ふせろっ!!」
キィンッ…
チュドォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!
そして、辺りに物凄い閃光と爆音…そして、火薬の匂いが充満したんだぜ…
このインフェルノはあくまで邪魔物を吹き飛ばすものだから、見た目以上に威力がねぇのは難点だが…風圧なら自信があるぜ?
っても、今まで二回しか使ったことねぇんだけどよ?
だが、俺の仲間を紫色のゲルから助け出すことは出来た…それだけでも、十分だろ?
さぁ…仕切り直しだ!!行くぞっ!!
「けほっ…ちっ…俺が足を引っ張るなんてな…」
「でも、テスタロスさんのおかげで助かったろ?それに、俺達ただの兵士がここまで対等に彼女たちと戦えているなんて…夢みたいだ」
「ここから、俺たちのサポートももっと力をいれるっすよ!!」
「あぁ…ガンガン行こうぜ!!」
「……あまり、調子にのらないでもらえるかしら…?私達は早くあなた達を未来の奥さんのところに連れて行くんだから……ね?」
「テスタロスって人は…私の運命の人だから、私が…お嫁さんになる!」
「おいおい…勝手に俺たちの将来を決める権利は誰にも無いと思うぜ?俺たちの未来を決めることが出来るのは俺達だ!!誰も、他人の人生を操作することなんてできねぇんだよ!!俺の昔の妻が俺を捨てて、娘と一緒に他の男に移った時、未来を勝手に決めることが出来たらどれほどいいかって俺は思った…だが、そんなに世の中は甘くないんだよ!!一度決まった人生を…変えることなんて出来ないんだからな!!」
「あいつ…いい事いうなぁ…」
「ど、ドラグーン!?今は戦闘中よ…?そういった話は戦いが終わってからでもいいでしょ?」
「それもそうだが…敵同士じゃなかったら、俺はお前とは友達になれたかもな
」
「へっ…行くぜっ!!【紅蓮弾】×2!!」
「俺達もテスタロスさんに続くぞ!!」
「「「「無駄に持ってる催眠手投げ弾!!」」」」
「おっと…あまりあんたたちを目立たせたくねぇから…全部はじくぜ?まさに、ザコの意地って奴だな…」
ちっ…あいつ、俺たちの爆弾を槍で全て貫いただとぉっ!?
あの槍…伸びるのかよ…!?っていうか…はじいてねぇじゃねぇか…
「まだだっ!!【紅蓮弾】!!」
「俺たちは催眠ガンで応戦ッスっ!!いくっすよぉーーー!!」
パパパパパパッ…ドドドドドドォンッ!!
「敵が予想以上にチームワークがいいな…ちょっと、数を減らすとするか…ウェス…ちょっとこっちに来てくれ!!【ジャンプ】だ!!」
「……わかったっ!!」
「よしっ…敵のリーダーを狙う必要はないから…そうだな、兵士連中の右から二番目の赤髪…あいつを狙え!!その後は…俺がフォローしに行ってやる!」
あいつらはそういうと、いきなりあのドラグーンって奴の妻がドラグーンの槍の持ち手を両足で踏みつけ、高く飛び上がったんだ…
あいつ…一体何を…?
「おっと…上だけ見てたら、俺に足元をすくわれるぜ?」
「ちっ…彼女がどんな攻撃を仕掛けてくるかわかんねぇが…今はドラグーンの相手をするしか無さそうだな…?行くぜぇっ!!」
俺はそう言いながら、次の爆弾はどれにするかを考えていたんだ…
まだ…【チェーンボム】を使うほど、俺はピンチに陥ってねぇし…
正直に言えば、俺の持っている爆弾はほぼ無限に近いって言ってもいいが、それでもなぁ…
ちなみに、俺の今来ている鎧には、いたるところに爆弾が収納されていてな?それを、ケイが作り出したセスルシステムによって押し出し、取りやすくしているんだが、このシステムは本来…銃に使うシステムだったらしいぜ?
ナッカーサーにプレゼントした箱…あいつはまだ怪しんで開けていねぇけど、あの箱の中には俺達ミカルド全員の武器の特徴をケイが合体させたガトリングが入っていてな?そのガトリングにはセスルシステムが使われているはずだ…
っと、戦いの最中に余計なことを考えちまったな…
さぁ、行くぜっ!!
「今だっ!!ウェスっ!!」
「了解っ!!」
「何だっ!?まさか…彼女がこのタイミングで攻撃を…仕掛けてくるだと…!?」
「うわぁぁぁっ!!」
俺は慌てて後ろを振り向いたんだが…仲間が一人、彼女に馬乗りにされているのが見えたんだ…更に、他の仲間が一人一人、孤立してしまい…彼女たちに囲まれてしまっているってのもな…
俺が…もっと全体を把握していれば、今の状況にはならなかったはずだ…
くっ…しかたがねぇっ!!仲間を助けに戻る!!
「うおぉぉぉぉぉぉっ!!仲間を…はなせぇっ!!」
「テスタロスさん!!きちゃダメだっ!!」
「俺たちは自分でどうにかするっすから、テスタロスさんは彼をどうにかしてください!!」
「大丈夫…絶対に勝つからよ…俺達を信じろ…」
「負けられないんだぁーーーっ!!行くぞっ!!」
くっ…あいつら…
わかった、あいつらの意志を尊重する!!俺の今の相手は…ドラグーンと俺のことを夫にする気満々のあのスケルトンの少女だ!!
さぁ…俺の火力を味わえ!!
「とっとと片をつけてやる…【紅蓮弾】【Ωボム】【インフェルノ】【バーンスマッシャー】この五つの爆弾…くらいやがれ!!【グレイヤ】」
「甘いっ!!爆弾で怖いのは、爆発の時に生じる熱と、風圧だ!!そして…信管をはずして攻撃を当てれば…爆発するのは俺達から明らかに離れた場所だ!」
「あぁ…普通の爆弾ならな?だが、生憎だったなぁっ!!【グレイヤ】はその爆弾特有の弱点をカバーした爆弾だ…なんと、相手のところまで飛んでいかねぇんだ…この爆弾は爆弾であって爆弾じゃねぇ!!むしろ…銃なんだよ!!」
ドドドドドドドッ…
「爆弾のように見せておいて…パカって開いたかと思うと催眠弾だと…?」
ドラグーンはそう言いながらも、グレイヤから放たれた弾も全てはじきやがったんだ…
あいつ…自分でザコって言っておいて、普通に強いじゃねぇか…
だが、俺だってただで、負けてやるつもりはねぇぜ?
「はぁっ!!いい槍さばきじゃねぇかよ!!だがな…甘いんだよ!!これが…俺の一番取って置きの爆弾だ…これも、はじくことが出来るかな?」
そう言いながら、俺は遂にチェーンボムのロックをはずしたんだ…
あまり時間をかけると、仲間が徐々にピンチになっていくってのはわかるからな…
あいつには悪いが、取って置きの爆弾で眠らせてやる…感謝しやがれっ!!
「いくぜぇっ!!【チェーンボム】!!」
ギギギギギギギィン…
「な、なんだよ…?この見たこともない爆弾…だが、爆弾だったら俺が弾き飛ばすことが…」
キィンッ…カチィッ…
「なっ…!?信管が…ないだとっ!?」
「はっはっはっ!!そうだ…このチェーンボムはなぁ…即発性の高い液体を中に仕込んでいるだけの危ねぇ爆弾なんだよ!!そして、焦っているお前にこんなプレゼントだ…【クレイモア】!!」
ふっ…この爆弾は、読者諸君には説明しなくても分かってくれるだろ…?
メビウスが罠を仕掛けるときに物凄く多用する…地雷だよ!
まぁ…これも殺傷能力はねぇんだけど…それでも、メビウスの武器を使ってこいつを眠らせてやる!!
まぁ、あいつが辺りに充満している催眠ガスの影響でクレイモアが見えないにも関わらず、俺の方に突っ込んできたらだけどな?
「くっ…眠い…だが、俺は妻のため…自分が負け組ではないって信じてくれる妻の為に…まけねぇよ!!ウェス…俺はお前の為に勝つ!!だから…終わったら久しぶりにヤろうぜ!!」
「……なら、しばらくは諦めておくんだな…貴様に勝ちはねぇんだからよ!!」
「言ったなぁっーーー!!」
へへっ…来た来たぁっ…ったく、爆弾が仕込まれているとも知らずに…
だが…まぁ、奥さんを大事にするお前の心意気は感心したぜ…?
そんなお前に、俺はこの言葉をささげたいね…
もし、奥さんから5日間…話を振ってももらえず、無視され始めたら、お前はそれから一ヶ月以内に捨てられるってなぁ!!
その時、自分に子供がいて、その子供もパパ嫌いとか言ってきたら…すぐに俺と同じ状況に直面する!!
お前に…その可能性がある未来があるお前にこの現実…耐えられるものかよ!
「………お前に一つ、言っといてやるよ…いい家庭を築くなら、奥さんと後に出来る子供を…大切にしろ!!」
カチッ…ピピピピピピピピ…
ドゴォォォォォォォォォン!!
へっ…相変わらず…音だけはスゲェぜ…
さて、そろそろ仲間を助けに…
そう思って俺が振り返ってみると…な、なんだとぉっ…!?
俺の…仲間が…全員倒されている…だと…?
馬鹿な…そんな事がありえてたまるかぁっ!!
「お、お前らっ!!大丈夫かよ!?」
「……無理…でした…がくっ…」
「所詮、ただの名前すら出てねぇ兵士の…末路はこんなもの…かよぉっ…」
「テスタロスさん…俺の部屋にある冷蔵庫の二段目にある焼きプリン…食べておいてもいいっすよ…?あれ、本当は俺が食べたかったんすけど…テスタロスさんには…特別っす…」
「へっ…コレから俺達、どうなんのかな…?」
「お前ら…お前らぁぁぁぁぁっーーー!!」
くそぉっ!!結局…結局守れてねぇじゃねぇかよ…
なにが早く戦いを終わらせて助けに行くだよ!!
結局…連中の中で唯一の男であるドラグーンを眠らせただけじゃねぇか!!
「そんなに心配しなくてもいいですよ…?あなた達は私が…マモテック結婚相談所にテレポートさせてあげるだけですから…ね?そこに行けば、将来を共に過ごすことができる魔物のパートナーを見つけられますし…」
ダークスライムの女性がそう言いながら魔法を唱え…次の瞬間には、俺はあいつらの姿を確認することが出来なかったのだった…
あんなに勢い勇んでここに来たのに…結局、残ったのは俺一人かよ…
「よくも…よくもドラグーンを…」
「落ち着きなって…あんたの夫は寝てるだけだからさ?」
「そう…だったら、まだいいけど…」
「それより…彼をどうにかしないといけないんじゃない?クレスタ…」
「シーマにやらせてやりな…長い間、あの子は昔、愛した男の生まれ変わりを待っていたんだからさ…」
………通せねぇ…
もう絶対、俺はメビウスのところまでこいつらを通してやることはできねぇ!
初めからそんな気は更々無かったが…今からは全ての爆弾を使って相手してやる!!
「誰からだ…?一体、誰から戦いを挑んでくるつもりなんだ!?」
「……私が…私が戦います!!」
「…言っておくが、俺は手加減なんてしねぇぜ?相手が子供でも…絶対になぁ!」
俺はそう言いながら、右手にチェーンボム、左手にインフェルノを持って戦いの構えに入ったんだ…
彼女には悪いが…本気で行く!!これ以上ないほど本気でなぁ!!
「おらおらおらぁっ!!俺の爆弾…避けれるかよ?」
俺はそういいながら、物凄い数の爆弾を彼女の方に向かって投げたんだよ…
正直、俺は今、橋の上で戦っている訳だから…俺の爆弾でこの橋が壊れてしまう可能性だって0じゃない…
だが…クレイモアが埋められるほど、土が深く積まれているんだから…多分、耐えてくれるだろ?
そう思いながら見ていた俺だったが…
そう…俺はここで変な気分に陥ったんだ…
俺の対戦相手であるスケルトンの彼女…確か、グールの女性がシーマって呼んでいた彼女だが…どうして攻撃を避けないんだ?
俺の爆弾なんて避ける必要も…無いって事なのかよ?
カッ…ドゴォォォォォン!!ヒューン…ドゴォォォォォォッ!!
「なぜだ…?なぜ避けねぇ?今は戦いをしているんだぞ…!!もし、俺と戦う気があるのなら…」
「……だって、戦う気なんてないから…私からは攻撃なんて出来ないよ…」
……っ!?
戦う気なんて無い…だとぉ…?だったら、どうしてこいつらは俺達のいるメガロス帝国に来たんだよ!!
どうして、のんびりと過ごしてきた俺達を…ほっておいてくれなかったんだ!?
俺たちは外の国に介入するつもりも全然無い…ただ、仲間達と笑いながら過ごしたかったんだ!!
それを勝手に攻めてきて…戦う気なんてないなんて…それで話が通るかよ!!
…だが、俺のその主張を押し通したら、彼女が避けないのはなぜかって事になってしまうじゃねぇか…
それに…なんだぁ?あの目は…?
何か…物事を悟ったような雰囲気のあの目…優しく何かを見るような目…
どうしてそんな目で俺を見るんだよ!?
彼女は好きだった男性が生まれ変わって、その男性ともう一度出会いたいといっていたが……
もし、俺がその男性の生まれ変わりだったとしよう?それで、どうなるってんだよ?
その男性は男性…俺は俺だ…違うか?
彼女がどれだけその男性を好きだったのか…それは今の俺にはわからねぇ…
でもな…俺は彼女の好きだった男のかわりなんてできねぇんだよ!!
だから…その目で俺を見るのを…やめろってんだよぉ!!
「俺はお前の探していた男じゃない!!だから…そんな目で俺を見るな!!俺を倒す…戦う時に人がする目で戦いに来いよ!!」
「……無理だよ…だって、確かにあの人じゃないかも知れないけど…仲間思いだったところとか、そっくりなんだもん…」
「それでも…俺は…お前達の敵なんだ!!さっきも大量の爆弾を…投げつけたんだぞ!?」
「そんな事…気にしてないよ…だから、戦うなんて言わないで、私と…お付き合いしてくれないかな?」
彼女がそう言った瞬間だった…いきなり俺の左手に持っていたインフェルノが凄い強風に飛ばされ、彼女の方に飛んでいったんだよ!!
やばいぞ…まだ、話の途中だってのに…!!
俺は慌てて彼女の方に飛ばされていった爆弾を追いかけたんだが…
ドゴォォォォォォンッ!!
そう…彼女にダイレクトで当たった俺のインフェルノは、彼女の体を容赦なく橋の外側に吹き飛ばしたんだよ!!
あんな至近距離で食らっちゃあ…非殺傷武器といってもただじゃすまねぇはずだ…
全体的に言ったら…俺は彼女に勝ったって事でいいんだろう…
だが、何なんだ?この…変な気持ちは…?
あんな不意打ちみたいな勝ち方をして、本当にうれしかったのか?俺は…
彼女は…敵だったとはいえど、吹き飛ばされた時にどんな気分に…なったんだ?
………っ!!
俺はそのことを考えると、無我夢中で彼女が吹き飛ばされていった橋の外側に向かって走り始めたんだ…
正直、敵であり、俺の仲間をどこかに転送した連中の仲間だから、心配することはおかしいって思ってる…
でも、それでも俺は…ああいった勝ち方は嫌なんだよ!!
「おいっ…!?大丈夫かよ…!?」
俺がそう言いながら下を見ると…彼女はギリギリの部分で、落ちていなかったんだよ…
ふぅっ…冷や冷やさせやがって…よっと…
俺は彼女を引き上げると、橋の端っこに寝かせてやったんだ…
ふぅっ…これから先の人生のトラウマになりそうな出来事が一つ回避できて…
ひとまずはよかったといったところか?
「さぁ…次は誰だ…?」
「……じゃあ、あたしが行くよ…」
そういいながら、次に名乗りを上げてきたのはグールの女性だったんだ…
彼女…今までの相手とは…格が違う気がしていたからな…
気をつけねぇと…
「もし、あたしが勝ったら…敵とか味方とか、そういった感情なしでシーマと話してやってくれるかい?」
「……いいぜ?勝つことが…出来たらだけどなぁっ!!」
「ふぅっ…それを言ってくれて安心したよ…約束だからね?」
彼女はそういうと…俺の目の前から消えたんだよ!!
どこだ…!?どこに行きやがった…!?
ええい…めんどくせぇっ!!俺の周りに爆弾を投げていれば、燻り出す事ができるだろうが!!
そして俺は自分の周りに大量の爆弾をばら撒き、催眠ガスを発生させたんだが…次の瞬間だ…
俺は次の瞬間…何かに空中に打ち上げられたんだよ…
そして…俺の着地地点には、仕込んでおいたクレイモアが…!?
ちっ…負けかよ…
メビウス…時間は一応、稼いでやったぜ?こっから先は…頑張りな…
俺も少しだけ…眠らせてもらうぜ…
カッ…ドゴォォォォォオォォォォオォォォォォォオォォォオォォ…
そして、クレイモアが爆発したのを身をもって感じた後、俺は安らかな気分で眠りについたのだった…
へっ…負けてんのに、どうしてこんな気分になってるんだろうな?
自分でも…意味がわからねぇよ…
〜〜〜デメトリオの視点に移ります!!〜〜〜
馬鹿な…!?そんな…そんな馬鹿なっ!?て、て、テスタロスが負けちゃったよ!?
こ、これは…非常にヤバイ状況って奴じゃないのか…?
クレスタ姉さん、本気でやりやがった…
このままじゃ…このままじゃ…俺が彼女達に捕まって、メリィのところに連れて行かれるのも時間の問題じゃないか!!
そう…俺はテスタロスが負けたって事実に関して、心のそこから驚いていたんだよ!!
そして…後に俺に降りかかるかも知れない未来の一つ…俺が彼女達に捕まってメリィに酷い目に合わされているってのが見えてきてな…
ヤバイ…この俺の心境は今、非常にヤバイ事になっているぜ…
これは、逃げる時のプランを考えておかないと…
って、そうだった…テスタロスが負けたって事をみんなに伝えないとな…
俺はそう思うと、さっそくメガロス帝国のみんなに、放送でその事実を伝えたのだった…
ちなみに、今回はちゃんと通信機能の方に伝えたからな?
さて…次は…メビウスかな…?
テスタロスが負けたから…メビウスで…メビウスで止めてもらわないと…
俺の身に危険が…!!
頼むぞ…頼むから頑張ってくれよメビウス!!
俺はそう思いつつ、下の階からお菓子を持って上がってきた訳だけど…
メガロス帝国の連中が頑張って戦っている映像がモニターに映されていて…俺は一つ、あることに気がついたんだ…
まさか…これほどまで…モンスターラグーンのみんなは男に飢えていたのかって思えるほど、モンスターラグーンのみんなはメガロス帝国の連中を捕まえているんだよ!!
しかも…既にテスタロスとメビウスが守っていた地域や、それより奥以外の場所は占領されていると来た…
お、俺がちょっと目を放した隙に…まさかここまで攻められるなんて…
そして今…一番苦戦しているように見えるのは…テスタロス!?
初めに守る予定だった場所から…かなり後方に移動しているじゃないか…
とにかく、今の俺には画面の向こうで見守るしか出来ないからな…
頑張ってくれよ…テスタロス…
〜〜〜テスタロスの視点に移ります!〜〜〜
彼女達を眠らせてからこの場所に陣取って早5分…
もうそろそろ、彼女達も来る頃か…?戦いが始まる前に、少しだけでも兵士達の気を楽にしてやるかな…?
「なぁ…いまさらなんだけどよ…お前たちはメガロス帝国にいて、結婚したいって思ったことはないのかよ?」
「…結婚すか?いや…俺は無いっすね…」
「い、いきなりどうしたんですか?テスタロスさん?」
「結婚の話をいきなり持ち出すなんて、熱でもあるんですか?まぁ…熱があるのは彼女達からテスタロスさんを含めてここにいる5人全員かも知れませんけど…」
「おっ…それ、俺も思うわ…」
「これは…ちょっとした自慢話にも聞こえるかもしれねぇが…結婚はいいもんだぜ?少なくとも、守るものが出来たって気分にはなる…だが、結婚ってのはいい物であると同時に、恐ろしい物でもある…」
「テスタロスさんが…真面目な話をしようとしている…だと…?」
「こ、これは…天変地異の前触れの予感がするっす…俺達、ここで負けるっすね…」
「……お前ら…あぁっ!!この話はやめだ!!やっぱり、柄にも無くこんな話をするべき時じゃねぇな…今は」
「でも…テスタロスさんのおかげで、少しだけでも緊張がほぐれましたよ」
「あぁ…俺も、それは思うぜ…」
………まぁ、初めはそれが目的で話かけた訳だから…いいんだけどよ…
なんか、話を中途半端なところで終わらされたところで、違和感がだな…
まぁ…いいや…
今ではすっかり緊張がほぐれているこいつらだったら…俺の背中を預けてもよさそうだぜ…
俺がそう思いながら、兵士達を見ていると…遠くから、少々人数は増えて敵さんがやってきたんだ…
さて…メビウスの為に…生きて帰る!!
まぁ…別に負けても殺されるわけじゃねぇんだが…それでも、メビウスのところに戻ってやる!!
そして…またこの戦いが始まる前の状態に戻って…またメガロス帝国のみんなと楽しく人生を過ごすんだよ!!
「よし…お前らに言っておくことは一つ…俺の背中は預けた…だから…勝とうぜ!!」
「「「「おぉぉぉぉぉぉっーーーー」」」」
さて…士気も上がったところで、現状の確認だ…
俺たちの兵力は5…敵さんの兵力は9だな…
まぁ、単純に考えたら俺たちのほうが人数的に不利だが…昔から、数さえあればいいってもんじゃねぇんだよ!!戦いってのはな!!
敵の中に…あれは、夫婦か…?とにかく、男性も一人混じっているからな…
知らない間に、大勢見たことがない連中が増えやがって…
だが、いいさ…俺は今回、最初から本気だしていくからよぉっ!!
俺はそう思うと、即座に腰の部分についていた排気ボタンを押したんだ…
そして、次の瞬間俺の着ている鎧兼武器のラインの部分に赤い光が走る…
さぁっ…戦いの始まりだぜ!!
「おやおや…熱い男だねぇ…まぁ、私は嫌いじゃないよ…」
「……っ!?あ、あの人は……」
「どうしたのよ…?シーマにしては珍しく、動揺しているじゃない…」
「間違いないです!!あの人は…私が長い間待っていたあの方の生まれ変わりに違いありません!!あの髪型…それに髭も…あぁ…ようやく会えた…」
「何ごちゃごちゃ言っているんだよぉっ!?こっちは命を張って戦うんだから…回りくどいことは無しにしようぜ!!来いよ!!」
「……あなたには、仲間を攻撃された恨みもあるから…手加減しないわよ?」
おぉっ…凄い気迫だ…
やっぱり、魔物娘にも仲間って感情があるんだな…
そうだよなぁ…仲間って大切だからな…
俺はそう思いながら、あのダークスライムの女性と向き合ったんだ…
ふぅっ…相手は9人…こっちは5人!!
さぁ…どうでる?俺たちのチームワーク…見せてやるぜ!!
「行くわよ…はぁっ!!」
そういうと、即座にダークスライムの女性が左手を上げて何かを唱えたんだよ…
一体…何をしたんだ…?何もおこらねぇじゃねぇか…
「…はっ!?リーダー!!あぶねぇっ!!」
はっ…!?
俺は慌てて真上を見るが…そこには紫色のゲル状の何かがあったんだよ!!
彼女は…魔法の提唱でこれを作っていたのか!?
そして、俺は思わずその場で立ち止まってしまい、俺はさっき注意してくれた兵士に突き飛ばされたんだ…
そして…俺の目の前でそいつが紫色のゲルに包み込まれていったんだ…
くっ…畜生…俺は結局、口だけなのかよ!?
くそっ…くそぉぉぉぉぉっ!!ダメで元々だ…
俺の取っておきの爆弾で…あのゲルを吹き飛ばす!!
催眠弾の一種だが、爆風だけなら一級品だ!!
絶対…俺はあいつを救出する!!
「レッドラインモードに移行!!そして…」
カチャッ…ガシャンッ…
そして、容赦なく肩の部分に収納されている爆弾を取り出し、ゲル状の物体に投げつけたんだ!!
この爆弾は…ケイの作ってくれた武器の一つだからな…
ケイ…俺はお前の技術力を信じるぜ!!
「インフェルノだぁぁぁぁぁっーーーー!!」
「させない!!行くぞっ!!頼りにしているからな…?」
「……妻であるお前くらいなら、負け組の俺でも守れるさ…ウェス?」
「ふっ…やっぱり、ドラグーンはいい男だよ…色々な意味で…」
なんだと…!?このタイミングで…あえて前に出てくるってのか!?
今の俺はインフェルノを投げたばかりで隙だらけだからな…
どうにかしねぇと…やばい!!
だが、そんな俺の危機を救ってくれる奴がいた…
そう…俺の仲間だ!!やっぱり…仲間がいるってのはすばらしい!!
こうやって危機が訪れた時に助けてくれる仲間や友がいることは…人生をプラスにしてくれる!!
「おっとっ!!させねぇっすよーー?やるっすーーーっ!!」
「ウェスに手を…出さないでくれるかな?おらおらおらぁっ!!」
「でも…俺たちは遠くからその槍の間をぬって攻撃する手はずになってる」
「よぉしっ!!いい調子っす!!いくっすよぉーーー!!手投げ弾と催眠ガンのコンボっすーーー!!」
「ははっ…!!今のお前ら…最高にイカしてるぜ!!さて…インフェルノがそろそろ…来たっ!!みんな…ふせろっ!!」
キィンッ…
チュドォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!
そして、辺りに物凄い閃光と爆音…そして、火薬の匂いが充満したんだぜ…
このインフェルノはあくまで邪魔物を吹き飛ばすものだから、見た目以上に威力がねぇのは難点だが…風圧なら自信があるぜ?
っても、今まで二回しか使ったことねぇんだけどよ?
だが、俺の仲間を紫色のゲルから助け出すことは出来た…それだけでも、十分だろ?
さぁ…仕切り直しだ!!行くぞっ!!
「けほっ…ちっ…俺が足を引っ張るなんてな…」
「でも、テスタロスさんのおかげで助かったろ?それに、俺達ただの兵士がここまで対等に彼女たちと戦えているなんて…夢みたいだ」
「ここから、俺たちのサポートももっと力をいれるっすよ!!」
「あぁ…ガンガン行こうぜ!!」
「……あまり、調子にのらないでもらえるかしら…?私達は早くあなた達を未来の奥さんのところに連れて行くんだから……ね?」
「テスタロスって人は…私の運命の人だから、私が…お嫁さんになる!」
「おいおい…勝手に俺たちの将来を決める権利は誰にも無いと思うぜ?俺たちの未来を決めることが出来るのは俺達だ!!誰も、他人の人生を操作することなんてできねぇんだよ!!俺の昔の妻が俺を捨てて、娘と一緒に他の男に移った時、未来を勝手に決めることが出来たらどれほどいいかって俺は思った…だが、そんなに世の中は甘くないんだよ!!一度決まった人生を…変えることなんて出来ないんだからな!!」
「あいつ…いい事いうなぁ…」
「ど、ドラグーン!?今は戦闘中よ…?そういった話は戦いが終わってからでもいいでしょ?」
「それもそうだが…敵同士じゃなかったら、俺はお前とは友達になれたかもな
」
「へっ…行くぜっ!!【紅蓮弾】×2!!」
「俺達もテスタロスさんに続くぞ!!」
「「「「無駄に持ってる催眠手投げ弾!!」」」」
「おっと…あまりあんたたちを目立たせたくねぇから…全部はじくぜ?まさに、ザコの意地って奴だな…」
ちっ…あいつ、俺たちの爆弾を槍で全て貫いただとぉっ!?
あの槍…伸びるのかよ…!?っていうか…はじいてねぇじゃねぇか…
「まだだっ!!【紅蓮弾】!!」
「俺たちは催眠ガンで応戦ッスっ!!いくっすよぉーーー!!」
パパパパパパッ…ドドドドドドォンッ!!
「敵が予想以上にチームワークがいいな…ちょっと、数を減らすとするか…ウェス…ちょっとこっちに来てくれ!!【ジャンプ】だ!!」
「……わかったっ!!」
「よしっ…敵のリーダーを狙う必要はないから…そうだな、兵士連中の右から二番目の赤髪…あいつを狙え!!その後は…俺がフォローしに行ってやる!」
あいつらはそういうと、いきなりあのドラグーンって奴の妻がドラグーンの槍の持ち手を両足で踏みつけ、高く飛び上がったんだ…
あいつ…一体何を…?
「おっと…上だけ見てたら、俺に足元をすくわれるぜ?」
「ちっ…彼女がどんな攻撃を仕掛けてくるかわかんねぇが…今はドラグーンの相手をするしか無さそうだな…?行くぜぇっ!!」
俺はそう言いながら、次の爆弾はどれにするかを考えていたんだ…
まだ…【チェーンボム】を使うほど、俺はピンチに陥ってねぇし…
正直に言えば、俺の持っている爆弾はほぼ無限に近いって言ってもいいが、それでもなぁ…
ちなみに、俺の今来ている鎧には、いたるところに爆弾が収納されていてな?それを、ケイが作り出したセスルシステムによって押し出し、取りやすくしているんだが、このシステムは本来…銃に使うシステムだったらしいぜ?
ナッカーサーにプレゼントした箱…あいつはまだ怪しんで開けていねぇけど、あの箱の中には俺達ミカルド全員の武器の特徴をケイが合体させたガトリングが入っていてな?そのガトリングにはセスルシステムが使われているはずだ…
っと、戦いの最中に余計なことを考えちまったな…
さぁ、行くぜっ!!
「今だっ!!ウェスっ!!」
「了解っ!!」
「何だっ!?まさか…彼女がこのタイミングで攻撃を…仕掛けてくるだと…!?」
「うわぁぁぁっ!!」
俺は慌てて後ろを振り向いたんだが…仲間が一人、彼女に馬乗りにされているのが見えたんだ…更に、他の仲間が一人一人、孤立してしまい…彼女たちに囲まれてしまっているってのもな…
俺が…もっと全体を把握していれば、今の状況にはならなかったはずだ…
くっ…しかたがねぇっ!!仲間を助けに戻る!!
「うおぉぉぉぉぉぉっ!!仲間を…はなせぇっ!!」
「テスタロスさん!!きちゃダメだっ!!」
「俺たちは自分でどうにかするっすから、テスタロスさんは彼をどうにかしてください!!」
「大丈夫…絶対に勝つからよ…俺達を信じろ…」
「負けられないんだぁーーーっ!!行くぞっ!!」
くっ…あいつら…
わかった、あいつらの意志を尊重する!!俺の今の相手は…ドラグーンと俺のことを夫にする気満々のあのスケルトンの少女だ!!
さぁ…俺の火力を味わえ!!
「とっとと片をつけてやる…【紅蓮弾】【Ωボム】【インフェルノ】【バーンスマッシャー】この五つの爆弾…くらいやがれ!!【グレイヤ】」
「甘いっ!!爆弾で怖いのは、爆発の時に生じる熱と、風圧だ!!そして…信管をはずして攻撃を当てれば…爆発するのは俺達から明らかに離れた場所だ!」
「あぁ…普通の爆弾ならな?だが、生憎だったなぁっ!!【グレイヤ】はその爆弾特有の弱点をカバーした爆弾だ…なんと、相手のところまで飛んでいかねぇんだ…この爆弾は爆弾であって爆弾じゃねぇ!!むしろ…銃なんだよ!!」
ドドドドドドドッ…
「爆弾のように見せておいて…パカって開いたかと思うと催眠弾だと…?」
ドラグーンはそう言いながらも、グレイヤから放たれた弾も全てはじきやがったんだ…
あいつ…自分でザコって言っておいて、普通に強いじゃねぇか…
だが、俺だってただで、負けてやるつもりはねぇぜ?
「はぁっ!!いい槍さばきじゃねぇかよ!!だがな…甘いんだよ!!これが…俺の一番取って置きの爆弾だ…これも、はじくことが出来るかな?」
そう言いながら、俺は遂にチェーンボムのロックをはずしたんだ…
あまり時間をかけると、仲間が徐々にピンチになっていくってのはわかるからな…
あいつには悪いが、取って置きの爆弾で眠らせてやる…感謝しやがれっ!!
「いくぜぇっ!!【チェーンボム】!!」
ギギギギギギギィン…
「な、なんだよ…?この見たこともない爆弾…だが、爆弾だったら俺が弾き飛ばすことが…」
キィンッ…カチィッ…
「なっ…!?信管が…ないだとっ!?」
「はっはっはっ!!そうだ…このチェーンボムはなぁ…即発性の高い液体を中に仕込んでいるだけの危ねぇ爆弾なんだよ!!そして、焦っているお前にこんなプレゼントだ…【クレイモア】!!」
ふっ…この爆弾は、読者諸君には説明しなくても分かってくれるだろ…?
メビウスが罠を仕掛けるときに物凄く多用する…地雷だよ!
まぁ…これも殺傷能力はねぇんだけど…それでも、メビウスの武器を使ってこいつを眠らせてやる!!
まぁ、あいつが辺りに充満している催眠ガスの影響でクレイモアが見えないにも関わらず、俺の方に突っ込んできたらだけどな?
「くっ…眠い…だが、俺は妻のため…自分が負け組ではないって信じてくれる妻の為に…まけねぇよ!!ウェス…俺はお前の為に勝つ!!だから…終わったら久しぶりにヤろうぜ!!」
「……なら、しばらくは諦めておくんだな…貴様に勝ちはねぇんだからよ!!」
「言ったなぁっーーー!!」
へへっ…来た来たぁっ…ったく、爆弾が仕込まれているとも知らずに…
だが…まぁ、奥さんを大事にするお前の心意気は感心したぜ…?
そんなお前に、俺はこの言葉をささげたいね…
もし、奥さんから5日間…話を振ってももらえず、無視され始めたら、お前はそれから一ヶ月以内に捨てられるってなぁ!!
その時、自分に子供がいて、その子供もパパ嫌いとか言ってきたら…すぐに俺と同じ状況に直面する!!
お前に…その可能性がある未来があるお前にこの現実…耐えられるものかよ!
「………お前に一つ、言っといてやるよ…いい家庭を築くなら、奥さんと後に出来る子供を…大切にしろ!!」
カチッ…ピピピピピピピピ…
ドゴォォォォォォォォォン!!
へっ…相変わらず…音だけはスゲェぜ…
さて、そろそろ仲間を助けに…
そう思って俺が振り返ってみると…な、なんだとぉっ…!?
俺の…仲間が…全員倒されている…だと…?
馬鹿な…そんな事がありえてたまるかぁっ!!
「お、お前らっ!!大丈夫かよ!?」
「……無理…でした…がくっ…」
「所詮、ただの名前すら出てねぇ兵士の…末路はこんなもの…かよぉっ…」
「テスタロスさん…俺の部屋にある冷蔵庫の二段目にある焼きプリン…食べておいてもいいっすよ…?あれ、本当は俺が食べたかったんすけど…テスタロスさんには…特別っす…」
「へっ…コレから俺達、どうなんのかな…?」
「お前ら…お前らぁぁぁぁぁっーーー!!」
くそぉっ!!結局…結局守れてねぇじゃねぇかよ…
なにが早く戦いを終わらせて助けに行くだよ!!
結局…連中の中で唯一の男であるドラグーンを眠らせただけじゃねぇか!!
「そんなに心配しなくてもいいですよ…?あなた達は私が…マモテック結婚相談所にテレポートさせてあげるだけですから…ね?そこに行けば、将来を共に過ごすことができる魔物のパートナーを見つけられますし…」
ダークスライムの女性がそう言いながら魔法を唱え…次の瞬間には、俺はあいつらの姿を確認することが出来なかったのだった…
あんなに勢い勇んでここに来たのに…結局、残ったのは俺一人かよ…
「よくも…よくもドラグーンを…」
「落ち着きなって…あんたの夫は寝てるだけだからさ?」
「そう…だったら、まだいいけど…」
「それより…彼をどうにかしないといけないんじゃない?クレスタ…」
「シーマにやらせてやりな…長い間、あの子は昔、愛した男の生まれ変わりを待っていたんだからさ…」
………通せねぇ…
もう絶対、俺はメビウスのところまでこいつらを通してやることはできねぇ!
初めからそんな気は更々無かったが…今からは全ての爆弾を使って相手してやる!!
「誰からだ…?一体、誰から戦いを挑んでくるつもりなんだ!?」
「……私が…私が戦います!!」
「…言っておくが、俺は手加減なんてしねぇぜ?相手が子供でも…絶対になぁ!」
俺はそう言いながら、右手にチェーンボム、左手にインフェルノを持って戦いの構えに入ったんだ…
彼女には悪いが…本気で行く!!これ以上ないほど本気でなぁ!!
「おらおらおらぁっ!!俺の爆弾…避けれるかよ?」
俺はそういいながら、物凄い数の爆弾を彼女の方に向かって投げたんだよ…
正直、俺は今、橋の上で戦っている訳だから…俺の爆弾でこの橋が壊れてしまう可能性だって0じゃない…
だが…クレイモアが埋められるほど、土が深く積まれているんだから…多分、耐えてくれるだろ?
そう思いながら見ていた俺だったが…
そう…俺はここで変な気分に陥ったんだ…
俺の対戦相手であるスケルトンの彼女…確か、グールの女性がシーマって呼んでいた彼女だが…どうして攻撃を避けないんだ?
俺の爆弾なんて避ける必要も…無いって事なのかよ?
カッ…ドゴォォォォォン!!ヒューン…ドゴォォォォォォッ!!
「なぜだ…?なぜ避けねぇ?今は戦いをしているんだぞ…!!もし、俺と戦う気があるのなら…」
「……だって、戦う気なんてないから…私からは攻撃なんて出来ないよ…」
……っ!?
戦う気なんて無い…だとぉ…?だったら、どうしてこいつらは俺達のいるメガロス帝国に来たんだよ!!
どうして、のんびりと過ごしてきた俺達を…ほっておいてくれなかったんだ!?
俺たちは外の国に介入するつもりも全然無い…ただ、仲間達と笑いながら過ごしたかったんだ!!
それを勝手に攻めてきて…戦う気なんてないなんて…それで話が通るかよ!!
…だが、俺のその主張を押し通したら、彼女が避けないのはなぜかって事になってしまうじゃねぇか…
それに…なんだぁ?あの目は…?
何か…物事を悟ったような雰囲気のあの目…優しく何かを見るような目…
どうしてそんな目で俺を見るんだよ!?
彼女は好きだった男性が生まれ変わって、その男性ともう一度出会いたいといっていたが……
もし、俺がその男性の生まれ変わりだったとしよう?それで、どうなるってんだよ?
その男性は男性…俺は俺だ…違うか?
彼女がどれだけその男性を好きだったのか…それは今の俺にはわからねぇ…
でもな…俺は彼女の好きだった男のかわりなんてできねぇんだよ!!
だから…その目で俺を見るのを…やめろってんだよぉ!!
「俺はお前の探していた男じゃない!!だから…そんな目で俺を見るな!!俺を倒す…戦う時に人がする目で戦いに来いよ!!」
「……無理だよ…だって、確かにあの人じゃないかも知れないけど…仲間思いだったところとか、そっくりなんだもん…」
「それでも…俺は…お前達の敵なんだ!!さっきも大量の爆弾を…投げつけたんだぞ!?」
「そんな事…気にしてないよ…だから、戦うなんて言わないで、私と…お付き合いしてくれないかな?」
彼女がそう言った瞬間だった…いきなり俺の左手に持っていたインフェルノが凄い強風に飛ばされ、彼女の方に飛んでいったんだよ!!
やばいぞ…まだ、話の途中だってのに…!!
俺は慌てて彼女の方に飛ばされていった爆弾を追いかけたんだが…
ドゴォォォォォォンッ!!
そう…彼女にダイレクトで当たった俺のインフェルノは、彼女の体を容赦なく橋の外側に吹き飛ばしたんだよ!!
あんな至近距離で食らっちゃあ…非殺傷武器といってもただじゃすまねぇはずだ…
全体的に言ったら…俺は彼女に勝ったって事でいいんだろう…
だが、何なんだ?この…変な気持ちは…?
あんな不意打ちみたいな勝ち方をして、本当にうれしかったのか?俺は…
彼女は…敵だったとはいえど、吹き飛ばされた時にどんな気分に…なったんだ?
………っ!!
俺はそのことを考えると、無我夢中で彼女が吹き飛ばされていった橋の外側に向かって走り始めたんだ…
正直、敵であり、俺の仲間をどこかに転送した連中の仲間だから、心配することはおかしいって思ってる…
でも、それでも俺は…ああいった勝ち方は嫌なんだよ!!
「おいっ…!?大丈夫かよ…!?」
俺がそう言いながら下を見ると…彼女はギリギリの部分で、落ちていなかったんだよ…
ふぅっ…冷や冷やさせやがって…よっと…
俺は彼女を引き上げると、橋の端っこに寝かせてやったんだ…
ふぅっ…これから先の人生のトラウマになりそうな出来事が一つ回避できて…
ひとまずはよかったといったところか?
「さぁ…次は誰だ…?」
「……じゃあ、あたしが行くよ…」
そういいながら、次に名乗りを上げてきたのはグールの女性だったんだ…
彼女…今までの相手とは…格が違う気がしていたからな…
気をつけねぇと…
「もし、あたしが勝ったら…敵とか味方とか、そういった感情なしでシーマと話してやってくれるかい?」
「……いいぜ?勝つことが…出来たらだけどなぁっ!!」
「ふぅっ…それを言ってくれて安心したよ…約束だからね?」
彼女はそういうと…俺の目の前から消えたんだよ!!
どこだ…!?どこに行きやがった…!?
ええい…めんどくせぇっ!!俺の周りに爆弾を投げていれば、燻り出す事ができるだろうが!!
そして俺は自分の周りに大量の爆弾をばら撒き、催眠ガスを発生させたんだが…次の瞬間だ…
俺は次の瞬間…何かに空中に打ち上げられたんだよ…
そして…俺の着地地点には、仕込んでおいたクレイモアが…!?
ちっ…負けかよ…
メビウス…時間は一応、稼いでやったぜ?こっから先は…頑張りな…
俺も少しだけ…眠らせてもらうぜ…
カッ…ドゴォォォォォオォォォォオォォォォォォオォォォオォォ…
そして、クレイモアが爆発したのを身をもって感じた後、俺は安らかな気分で眠りについたのだった…
へっ…負けてんのに、どうしてこんな気分になってるんだろうな?
自分でも…意味がわからねぇよ…
〜〜〜デメトリオの視点に移ります!!〜〜〜
馬鹿な…!?そんな…そんな馬鹿なっ!?て、て、テスタロスが負けちゃったよ!?
こ、これは…非常にヤバイ状況って奴じゃないのか…?
クレスタ姉さん、本気でやりやがった…
このままじゃ…このままじゃ…俺が彼女達に捕まって、メリィのところに連れて行かれるのも時間の問題じゃないか!!
そう…俺はテスタロスが負けたって事実に関して、心のそこから驚いていたんだよ!!
そして…後に俺に降りかかるかも知れない未来の一つ…俺が彼女達に捕まってメリィに酷い目に合わされているってのが見えてきてな…
ヤバイ…この俺の心境は今、非常にヤバイ事になっているぜ…
これは、逃げる時のプランを考えておかないと…
って、そうだった…テスタロスが負けたって事をみんなに伝えないとな…
俺はそう思うと、さっそくメガロス帝国のみんなに、放送でその事実を伝えたのだった…
ちなみに、今回はちゃんと通信機能の方に伝えたからな?
さて…次は…メビウスかな…?
テスタロスが負けたから…メビウスで…メビウスで止めてもらわないと…
俺の身に危険が…!!
頼むぞ…頼むから頑張ってくれよメビウス!!
12/10/08 20:30更新 / デメトリオン
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