90 過去の記憶と死の女王
〜〜〜初めは、ガデッドの目線からスタートです!〜〜〜
私の仲間が全員戦いに行ってから早9時間…もうすぐ朝になってしまうんだけど、彼女たちはいったい何をしているのかしら?
まさか…敵に寝返ったり戦いを放棄したりしていないだろうな…?
……なんだか、一度心配すると、余計に心配になってきたなぁ…
よしっ!!私も攻めてあげようじゃない…
メリィ…首を洗って待っていなさいよ…?あそこまで馬鹿にされたのに、このまま何もせずに朝を待つのは面白くないからね!!
私はそう思うと、自分の愛用しているローブを羽織って、勢いよく走っていった…わけだけど…
敵の姿も見えなければ、味方の姿も見えないわね…しかも、あちこちに戦ったんだろうなぁって跡は残っていたりしたけど、戦いに敗れて息絶えた者とか…いる気配無いし!!
ちょっと待ちなさいよ…これ、私の可愛いアンデッド軍団を増やすことが出来ないじゃないの!!
くぅっ……少々、計画が狂ってきたわね…
それに、私の可愛いアンデッド軍団がもし、メガロス帝国の連中に捕まってしまったりして酷い目に合わされている可能性が…あれっ?よく考えたらないわね…
と、とにかく…早くメリィを片付ける!!そして、恨みを存分に晴らしたら、私の可愛いアンデッド軍団の仲間入りをさせてあげるわ…
たっぷり可愛がってやるから…今からでもたのし…はっ!?
今はこんなことをしている場合ではない!!とにかく、急ごう!!
それから20分間走り続けた…というか、飛んでいったわけだけど…
私はそこで、ある人物を見かけたのよね…っていうか、シェル…
なんで草原の真ん中部分で寝てるのよ…?
「シェル…起きなさい?」
「ぐがぁーーーっ…Zzzzz…」
「………起きろーーーーーーーっ!!」
「………後少し…もう後5分だけ…」
「仕方がないわね…後5分よ?」
「……Zzzzzz…」
そして、シェルが後5分って言ったから5分待っていたわけだけど…
シェルは一向に起きる気配を見せないのよね…
むしろ、眠りが深くなった気が…するんだけど…?
「Zzzzzz…Zzzzz…」
「ちょっと、5分経ったわよ?起きなさいって…」
「Zzzzz…」
「いい加減にしないと、本気で怒るわよ…?早く、起きろっ!!」
「Zzzzz…」
「起きなさいって!!」
「Zzzzz…」
だ、ダメね…完璧に眠りの世界に行ってしまっているわ…
そういえばシェル…一度寝ると5時間は絶対寝ているし、眠たくなる周期が近いのよね…すっかり忘れてたわ…
それにしても、他のメンバーと出会わないなんて、もしかして全滅したのかしら…?
敵の姿も見えないし…メリィ、もしかして私が相手だからって油断しているのかしら?
ここまで敵を見ないって事は…そういう事よね…?
……いいわ、まさか…二回も馬鹿にされるなんて思っていなかったけど…
馬鹿にしたんだから、覚悟しなさいよ…
私はそう思うとすぐに、メリィたちがいるテントの本拠地部分に向かって移動を再開したのだった…
〜〜〜メリィの視点に変わります!!〜〜〜
「だから、今後の作戦は…敵の動きを見るって事に…」
「じゃが、そんなに悠長に構えておっては…いろいろとまずいのではないかのぉ?早めに戦いを終わらせておかんと…いつ、何が起こるのかわからんのじゃから…」
「確かに、それはそうかも知れないけど…敵の動きに合わせて動いたほうが…無駄が無いでしょ?まぁ、ゾーネの意見も尊重はするけど…」
そう…今現在の時刻はほとんど朝の5時なんだけど…
私は今、ゾーネと今後の第三勢力…ガデッドのことをどうするのか…それを話し合っていたのよ…
まぁ、二人で話していたのは別に内緒の話ってわけじゃないんだけどね?
別に、他の連中が起きていたら、話に参加してきても何も思わないし…
結果的に言えば、私とゾーネ…そして、モンスターラグーンのメンバーで夜型の彼女たちが起きていたってだけだしね?
それにしても…ガデッドたちもまさか、こんな夜中に攻撃を仕掛けてくるなんて、迷惑なこと極まりないわ…
だってそうでしょ?本来なら、私だってこの時間に起きていたくないわよ…
出来ることなら、早々にメガロス帝国に赴いて、サリィをさらった王様と、私達を裏切ったデメトリオに反省させたいというのに…
第三勢力としてガデッドが出てきてから、何かと私の計画が狂うのよねぇ…
で、驚くべき科学力を持つメガロス帝国は、科学力は持っているけど、持っている武器や兵器…全てに殺傷能力がないから、後回しにしてもOKとして…
その結果、メガロス帝国を相手にする前に、ガデッドを潰すって事にしたんだけど…
「そもそも、ガデッドが夜中に攻撃を仕掛けてきたのには、何か理由があるんじゃないかのぅ?そこを上手くつけば、もう少し楽に勝てるはずじゃが…」
「でもねゾーネ…理由が無かったらどうするのよ?一日待つと、それだけメガロス帝国に対する攻撃が遅くなるのよ?」
「メリィ…常に物事は最悪の出来事が起こると思って行動しないと、足元をすくわれるのじゃぞ?そういう考えだと、必ず後悔を…」
そうゾーネが、珍しく私に真面目な話をしている時だった…
リーネが少しだけ眠たそうにだけど、慌てて部屋に入ってきたのよ…
あの表情…多分少し寝てたわね…
で、リーネは一体、何のようかしら…?
「り、リーダー!!ガデッドが…単身で攻めてきました!!」
「……なんですって?もう少し、詳しくお願いしてもいいかしら?」
「はい……あれはですね…私が夜中にふと目が覚めて、クッキーとショートケーキを食べようかなと、食べ物を貯蔵しているテントに向かっていた時なんですが…ガデッドが、仲間を起こしているのを偶然確認してしまったのです!」
「……って事は、仲間も会わせて、ガデッドは二人でここに向かっているって事なの?」
「いえ…あいにく、その仲間の方はいくら起こしても起きなかったようで…諦めて一人でこっちに飛んで行ったので…もう少ししたら来るのではないかと…」
……そうか…一人で来るのね…
まったく、無謀な巨乳だ…胸の方にエネルギーが集中して、頭まで行ってないんじゃない?
普通、敵の本拠地に一人で行く馬鹿なんている?いるわけがないわ…
いるわけが………
私はそういいつつ、一瞬だけ…夫のことを考えてしまったのよ…
そういえば、彼は救助隊の中での地位はそこまで高くなかったけど…かれも、たとえ誰も仲間が来なくても、危険な場所の救助を一人で行う愚か者だったわね…
どんな危険な仕事でも、他人を助けるために動き…絶対に逃げなかった人…
ダメね…これ以上そのことを考えてしまったら、思い出したくないあの時のことまで…
とにかく!!今はガデッド…あの胸に栄養が行ってしまった奴を倒す!!
私はそう決意すると、短剣を数本懐にしまい…ガデッドを迎え撃つ体制を取ったのよ…
他のメンバーはまだ眠っているから…無理に起こすのも悪いし…
この戦いは、モンスターラグーンのリーダーであるこの私が終わらせる!!
それから約20分が経過した時だった…
ガデッドが、本当に報告にあったように、一人で私のところに来たのよ…
まさか、本当に一人だったなんてね…まぁ、こっちも一人だから、ガデッド以外のメンバーがいてもらったら困るわけだけど…
「……メリィかしら?総大将がこんなところで何をしているの?ずいぶん悠長に構えているじゃないの…」
「そういうガデッドだって、一人でこんなところに来るんだから、相当の馬鹿ですけど…?その胸に頭に行くはずだった栄養全て吸い取られているんじゃないの?」
「へぇっ…だったら、栄養が吸い取られることも無い貧相な胸のメリィは絶望的ですねぇ?元から馬鹿だったって事になるんですから…」
「「ぐぐぐっ…」」
くそっ…本当に忌々しいわね…ガデッド…
自分は胸が豊かだって、そんなに自慢したいの?生意気なのよ!!
私だって…私だって…いつかは…きっと大きく…
そう、心の中では強く願っているんだけど…今から11年前の18歳の時からそう思い続けて…色々な方法を試しても来たけど…全然大きくならない…
はっ…!?ち、違うわよ…?別に、悔しくなんか…悔しくなんか…
ふぅっ…落ち着きなさいメリィ…ここで、内心怒っていては、相手のペースに入ってしまったと、相手の思うつぼよ…?
私はいつもと同じように冷静に…冷静に物事を判断しないと…
私がそう思って、気を静めようとしたときだった…
「ふぅっ…それにしても、この服、蒸れるのよねぇ…?本当、胸が大きいって疲れるわぁ〜…」
「……ふぅっ…落ち着くのよ…私…」
「それに、結構肩こりも酷いのよねぇ…」
「………」
「まぁ、胸がないメリィには分からないだろうけどねぇ?私は生前、男だったっていうのに、それに負けているんだから、複雑じゃないの?内心…」
………もう、我慢できそうにないわ…
ここまででも、結構つらさを感じていたけど、もう我慢の限界が来たようね…
「うるさいわよ…?あなた、他人のコンプレックスを馬鹿にしてうれしいの?」
「えっ?別に馬鹿になんてしていませんけど?むしろ、長所じゃないですかぁ…貧乳が好きな男性だって、世の中にはいるんですからね?昔の私がそうだった…まぁ、今は自分のボディのすばらしさに気がついたから、断然巨乳派ですけどね?」
「……絶対に、許さない!!心のそこから反省させてやる!!」
「だったら、私はメリィ…あなたが私の城を通過した時に散々私のプライドを傷つけたことに関する謝罪をしてもらおうかしら?というか、元々そのつもりだったしね?」
こうして、私達の戦いが始まったんだけど…
彼女、武器を持たないのか…?って事は、私と同じ格闘術の使い手か…?
でも、死霊使いと名高かったガデッドが、格闘技を使うか…?
そもそも、フェルス図書館でガデッドの記事を見つけた時に、ガデッドが格闘術を使ったなんて書かれていないし…
とにかく、気をつけておいたほうがいいわね…
私はそう判断すると、ガデッドから少しだけ距離を開け、彼女の周りを歩き始めたのよ…
ガデッドが隙を見せたら…攻撃を仕掛ける!!
「……そろそろ、準備が出来たかしら…?(メリィも私の口車に乗ってくれたから…戦いやすくなったしね…)」
「準備って…何の準備よ?」
「何の準備でしょうかねぇ?バトルスーツに着替えてもいいでしょうか?いや、変に胸を強調する服装だからメリィに悪いかなぁ?」
「なっ……ガデッド…また私を馬鹿にして…許さないわよ!」
そして、私はあまりの怒りに、自分からガデッドに飛び掛っていたんだけど…
しまった…これは非常にまずい…確実にペースが相手につかまれている…
このままでは、私はガデッドの手のひらの上で戦っているようなことになってしまうわね…
でも…やっぱり、私は胸が小さいことを馬鹿にされると…我慢が出来ないのよ…自分の事ながら、凄く情けないなぁ…
それに、相手の出方を見ようと思っていたのに、自分から攻撃を仕掛けてしまうんだからなぁ…
ええい…仕方がない!初めに攻撃を仕掛けたからには、その勢いで彼女を仕留めてみせる!!
「行くぞぉっ!!首…折りっ!!」
「おっとぉ…早いわね…さすがに、モンスターラグーンのリーダーであるって事は伊達じゃない見たいね?」
「かわされた…!?まさか、この動きについて来れるなんて…」
「えっ?別に、動きについていったわけじゃないわよ?あなたと城であった後、私は本気で勉強しなおし、新たな力を手に入れたから、もうそんな事をしなくてもいいしね?」
「……そう?だったら、さっきの速度の8倍ならどうかしら?普通の人間なら、生じた速度に体がついていかないほどの早さよ?覚悟しなさい!」
「だから、動きについていくわけじゃないんですけどね…?相手の動きを感じるんですよ…って、格闘術を使う人に言っても無駄か…?」
「【ハーピー流格闘術19型 光歩弐連雅突衝】!!ちなみに、こうほ にれんがとつしょうって読んでね?」
さすがに、この攻撃は避けられないはずよ?だって、この技を避けたら光よりも早く動けるって事になるからね…?
まぁ、避けられなかったとしても、私に対するダメージだって、少ないものじゃないから…いわゆる諸刃の剣ね…
まぁ、ガデッドに初め、手加減してあげる理由も見つからないし…最初からクライマックスの力で倒してあげるわ…
まぁ、それだけ私はあの胸女の胸が嫉まし…いや、なんでもないわ…
とにかく、私は彼女に全力で攻撃を仕掛けたんだけど…
「ふんっ…軽いわねぇ?まさか、こんなものなの?メリィ…」
「避けた…ですって?そんな馬鹿な…」
「何をそんなに驚いているのかな?まさか、避けられないとでも思った?」
「くっ……【六式回転乱舞】!!」
「だから…そんなの…私には…通用し…ないってねぇっ!!」
まさか…!?あの技でさえ避けられるなんて、そんな馬鹿なことがあっていいの!?
正直、最初から大技の連発で、もう体が悲鳴を上げている…
まだ、ガデッドは何もしていないというのに…こんなことで私は、勝つことが出来るのかしら…?なんだか、本当に手のひらの上で踊らされているような…そんな気にもなるし…ね?
「ふふっ…メリィはそろそろ分かってきたかな?この私がどうしてメリィの攻撃をかわすことが出来ているのかを…ね?だから、変な反撃をさせないように、私からも攻撃を仕掛けさせてもらうわよ?」
どうやら、ガデッドもそろそろ仕掛けてくるようね…
でも、私はどうしてガデッドがあんなに私の攻撃を簡単そうにかわすことが出来るのか…そして、彼女の攻撃が一体どんな攻撃かを分かっていないから…
状況は圧倒的にこっちが不利ね…
それに…やっぱり、今の戦いの流れはガデッドにあるわね…
どうにかして流れをこちらに引き戻さないと…
「見せてあげるわ…私の力を…魔力をねぇっ!!【ウインド・クローザー】」
「………何…?ガデッドはさっき、明らかに何か行動を起こした…けど、パッと見た感じでは、何も変化はないように見える…一体…」
「展開完了ってね?さぁて…行くわよぉ?えいっ♪」
そういうと、いきなりガデッドは着ているローブとは全く似つかない行動を始めたのよね…
なんで、いきなりシャドートレーニングの真似事なんか…痛っ…
私はそう思いながらガデッドを見ていたんだけど…いきなり左腕と右足に痛みが走ったのよ…
一体、なにが起こったんだろうか?私は気がつくと、なぜか左腕と右足を少し、鋭利なもので傷つけられていたのがわかったのよ…
私は一体…いつの間に攻撃されたの…?いや、そもそも、ガデッドは全く攻撃するそぶりを見せていなかったのに……
だけど、次の瞬間、ガデッドがどうやって私を攻撃してきたか…それが分かったのよ…
ガデッドがシャドートレーニングのような行動を取ったと同時に、私の方に風で作られた刃のようなものが飛んできたのよね…
しかも…微量だけど、やっぱり魔力が含まれているから…これは魔法ね…
……そうか!?だから、私の攻撃はガデッドに通用しなかったのか…
魔力の流れは意志の流れだから…ガデッドには、私が攻撃を仕掛けたときに、私がどこを攻撃するのかがあらかじめわかっていた…
だから、私の攻撃が通用しなかったのか…
なるほどね…まぁ、理由は分かったわ…
でも、理由が分かったとしても、それをどう切り抜けるのか…それがまだ私には分かっていない…
結局、私が不利だって事に変わりないようね…
「……魔力…か…これからどうしようかしら?」
「あら?気がつきました?まさか、見切られてしまうなんてねぇ…でも、これから一体どうやって私を楽しませてくれるのかしら…?私の攻撃方法が分かったくらいで、勝ったなんて思わないことよ?」
「いや、私は負けないわよ…少なくとも、そんな戦闘の邪魔になるような物をぶらさげているあなたにはねぇ!!」
「それすらも無いあなたに、私は同情してしまいそうねぇ…本当、かわいそうな人…」
「くっ…ふん…そうやって私を挑発するのも、実は自分の実力にあまり自信がないからなんでしょ?言わなくても分かるわよ?だってあなたは私に似て…」
んっ…?ちょっと待ちなさいよ…?
さっき、私はガデッドが私に似ているって言おうとしたわけよね…?
確かに、自分で言っておいてなんだけど…そういえば、私とガデッドは似ているのよね…
考え方や話し方…そして、相手を見る基準までも…
そりゃあ、全てが一緒ってわけではないと思うけど、それでも…似てるわね
似てるって事は、彼女をとにかく怒らせれば、私と同じような弱点を見つけることが出来るに違いないわ…
私は心の中でそう決断すると、ガデッドを馬鹿にする言葉を捜し始めたのよ…
一体、どの台詞がガデッドに対する地雷発言なのかしらね…?
「誰が…実力があまりないって?馬鹿にするのも、いい加減にしてくれない?本気で潰すわよ…?」
「だったら、挑発とかしないで、正々堂々と戦えばいいじゃないの…それが出来ないってことは、実力が無いのを話術でカバーしているだけか、相当の臆病者って事よね?恥ずかしくないのかしら?」
「メリィっ!!もう、絶対に許さない!!私を馬鹿にする権利なんて、この世界に生きている誰にもあってはいけないんだ!!私を…馬鹿にするなぁ!!」
よしっ…戦いの流れをこっちのペースに引き込んだ!!
これで、少しは彼女の攻撃に乱れが出てきたらいいんだけど…
「どいつもこいつも、私のことを馬鹿にして…私が生きていた時だってそうだ…私は臆病者じゃない!!いつだって…いつだって私はエリートとしての道を歩いてきたのよ!!ただ黙々と勉強をし続けて魔術の基礎を学び、常に人より上に立ってきたんだ!!……でも、私を馬鹿にしたんだから、当然覚悟しているのよねぇ?」
「覚悟もなにも…正々堂々と戦えない奴なんて、覚悟しなくても倒せるわよ?」
「言ったわね…?また私のことを正々堂々と戦えない臆病者って言ったわね?一度ならず二度も私のプライドを傷つけるなんて…絶対に殺す!!殺して、私の可愛いアンデッド軍団の一員に加えた後、他のメンバーと一緒にあなたを散々いたぶってやる!!【ヴォルトサンダー】」
ガデッドは私の口車に乗って、怒ってくれたからそこまでは計画通りだったんだけど…私は少し、ガデッドの本気を見誤っていたかも…知れないわね…
ガデッドは自分の両手に光を展開すると、物凄い速度で打ち出してきたのよ…
お、恐ろしい魔力ね…下手に攻撃を食らってしまうのは、大変危険だから、気をつけて行動しないと…
私はそう思うと、物凄い速度でランダムに飛んでくる雷をギリギリの所でかわしつつ、ガデッドの近くに飛び、攻撃を仕掛けたのよ…
おそらく、私の感が正しければ、攻撃をしている間は、守る系の魔法は使えないはず…そこをつけば…いける!!
「よしっ!!【天竜激】!!」
「なっ…!?私の【ヴォルトサンダー】をかわした…!?なんてね?甘いわよ…私をそこらへんにいる雑魚と一緒にしないでくれる?私は攻撃魔法と防御魔法を同時に扱えるんだから…」
「………くぅっ…そんな大事なことは、初めに言って欲しかったわ…でも、それでも私は攻撃するけどね?」
なんて言ってはみるけど…正直、私はまさかガデッドが、攻撃魔法と防御魔法を同時に使えるなんて思っていなかったわけだから…
これは…本当にきついわね…
私がそう思ったときだった…
なんとガデッドが物凄い量の魔力を手に込めると、一気に私の方を指差してきたのよ…
い、一体何を…?
「ふふっ…メリィももうすぐ私達の仲間入りね…あれだけ私を馬鹿にしたんだから、死んだら覚悟してくれますよね?私達と楽しくやる覚悟…ね?」
「それは嫌ね…だって、私は胸が大きい奴と、臆病者は嫌いだから…」
「……また、いったわね…?【デス・スティルゲイザー】!!」
ガデッドがそういうと、上空の方に、大きな砂時計のようなものが現れたのよ…一体、あれは…?
私がそう思っていると、いきなりゆっくりと砂時計が回転し…砂が落ち始めたんだけど、それと同時に、自分の生命が削られているような…妙な錯覚に陥ったのよね…
なんか…あの趣味の悪い砂時計をほっておいたらダメだって…そんな気がする…
「ふふっ…あははははははっ!!あの砂時計の砂が全部下に落ちるまでには10分かかるけど、10分後、あなたは死ぬ!!どう?メリィ…自分では何も出来ずに、10分後に死ぬ…そんな終わり方って…良いと思わない?まさに…あの砂時計は死へのカウントダウンって事ねぇ?止めるには、私を気絶させて魔力の供給を止める以外ないんだし…」
……死へのカウントダウンですって…?確かに、自分の命が一秒ごとに少しずつ削られているような気がする…
それに、ガデッドは死霊使いだったから…死系統の魔法を使えても、なんも不思議では無い…かぁ…
もう、悩んでいる時間もないわね…悩んでいる暇があったら、行動する!!
「くぅっ…ガデッド、私はまだ死にたくないから…あなたを気絶させる!!」
「やってみたら?出来るならだけどね?それにしても、そこまで生きることにこだわるなんて、みじめねぇ…まるで、昔の私を見ているようよ…?」
「昔のガデッドに興味なんてないけど…今、絶対に負けられないってわかるから、私は絶対に死ねない!!いや…もっと惨めに、死にたくないって言ってもいいわ…私は、生きる!!」
「無様ねぇ…諦めて死ねばいいものを…無様に足掻いて…」
「それでも、生きたいから仕方が無いのよ…」
私はそういうと、ガデッドの方に勢いよく飛んでいき、足技を何度も繰り出したのよ…
確かに、今の私は無様に見えるかもしれないけど…サリィのためにも、私はサリィより先に死ねないのよ!!
そして、止めといわんばかりに蹴りをたたきつけようとした時だった…
「甘いわよ?ずっと攻撃が通用するなんて…思わないことねぇ?そうだ、せっかく至近距離に来たんだから…面白い魔法を使おうかしら?過去を見る魔法を…ね?」
「何をする気なの…!?ちょっと…やめなさいって!!」
「【時の回廊】」
ガデッドがそういうと、私はいきなり色々な記憶を思い出したのよ…
楽しかったことから、もう二度と思い出したくないような出来事まで…
お、おかしくなってしまいそうだ…頭が…キリキリとアイアンクローされているみたいに痛む…
「…あら?ふふっ…メリィって、夫の前での行為を行うときって受けだったのね?以外だわぁ…しかも、子供が出来たみたいねぇ…うれしそうな表情になってまぁ…」
「うっ…ぐぅっ…や、やめなさいって…」
「でも…夫は今から数年前の大火事で救助活動中に発生した爆発に巻き込まれて死亡したのね…しかも、ショックから立ち直るよりも先に、精神的ショックから子供が流産し…しばらく鬱になっていた時もあったみたいだし…」
「い、いやぁっ!!思い出したく…思いだしたくない!!あぁっ…消えて!!消えて消えてぇっ!!」
「そして、その鬱状態からあなたを救ったのが、義理の妹であるサリィだったってわけか…色々、経験しているのねぇ…」
「うぅっ…私は…私は…」
「で、ここからは最近の事ね…って、メリィ…デメトリオに強く当たりすぎているんじゃない?これはいくらなんでも、デメトリオだって怒るわよ…あまりに強引すぎるじゃないの…それに、勝手に鞄を見られてあんなことを言われたら、私だったら本気でおこるわねぇ…?いくら家族がもう妹一人しかいないって状況であったとしても、デメトリオだって生きているんだから…」
「う、うるさい…ガデッドに…私の気持ちがわかるかぁっ!!記憶で読み取ったイメージだけで…私の人生を語るなぁっ!!」
私は心のそこからそういうと、自分の持てる最高の力でガデッドの手を持ち、動かし始めたのよ…
私は…私は……絶対にサリィを幸せにしてみせるんだ!!
デメトリオは絶対にサリィの夫にならないとだめなのよ!!
それが…私の今後の人生の生きがいの一つなんだから!!
そして、いずれ…二人の間に子供ができた時…名付け親になりたいんだ!
絶対…絶対にこんなところで屈するなんてできないのよ!!
「なっ…!?私の魔力を…強引に振りほどいた…!?【時の回廊】を破られたことは今まで…一度も無かったというのに…!?」
「はぁっ…はぁっ…私の見られたくないところを勝手にみたりするからよ…他人の記憶を覗き見するその魔法は…お勧めできないわね…」
「………でも、結構ふらふらじゃない…効いたんでしょう?」
「あなたは私の一番見られたくないところを知ってしまった…もう、胸の話とか以前の問題で、私はあなたを許せない!!」
「ふふっ…なら、この私に攻撃を…うぐっ!?」
「攻撃を…どうしたの?」
そう、私はガデッドが話すよりも先に、彼女の腹に蹴りを打ち込んだのよ…
離している間は魔力の流れが流れていないって気がついたから…
でも、そうなんども攻撃をさせてもくれないんでしょ?
「くっ…生意気ね…私は史上最強の死霊使いだったのよ…?本気を出せば…メリィなんて一撃なのよ!!それに…砂時計は一刻と時を刻んでいるわよ?」
「そういえば…あの砂時計の砂が全部落ちたら、私は死ぬんだったっけ…でも、ガデッドを気絶させればあの砂時計は止まるんでしょ?だったら、すぐに気絶させるわ!!」
「私を…甘く見ないでくれる?ここで…砂時計が落ちるよりも先に殺してもいいのよ?【ヴォルトサンダー】!!【クロニクルアイス】!!この二つを…うふふ…【DELヒュージョン】!!」
くぅっ…!?二つの魔法を合わせた…!?
何なの…?その戦い方…!?見たことも…聞いたことも無い…
まさか、こんな切羽詰った瞬間で、人生で見たことも無い技を使うガデッドが相手なんて…私も運がないわね…
でも…私はガデッドに絶対に勝つ!!そして…デメトリオとサリィを連れ戻す!!
多分、ガデッドが言ったとおり、デメトリオは嫌がるんだろうけど…それでも…必要ないおせっかいだとサリィに言われたとしても…私は…絶対に!!
デメトリオとサリィを連れ戻すのよ!!
ここで…負けていられない!!
「後…3分くらいかしら…?もう、止まってなんていられない!!行くわよ…ガデッド!!」
「ふふっ…私のこの技を見せたのはメリィ…あなたが始めてよ…誇っても…いいわよ!!」
「【鳥牙一殺焼鳥蹴り】!!」
「【ヴォルトクロニクルライディング】!!」
カッ…ドゴォォォォッ…!!
私の蹴りとガデッドの拳がぶつかり合い、容赦ない轟音を辺りに響かせていく…やはり、見たことがない技ってだけあって…威力は桁違いね…
今、私が放っている蹴りは、私の超必殺技といっても過言では無いって言うのに…
「うぐっ…まだ…まだ…押せる!!」
「いい加減…諦めなさいよ!!」
「嫌だ!!絶対に…絶対に諦めないわよ!!少なくとも、あなたは私の触れられたくない過去に触れた…それだけでも、十分なのよ!!」
そうは言ってみるけど…全然私の蹴りは届く気配を見せないし…
それに、【デス・スティルゲイザー】の効力が…だんだん影響されてきているのがわかってきたのよ…
もう…残り一分くらいだなって…砂時計の方を見なくてもわかるから…
……やっぱり、もう勝てないかもしれないわね…
そう思った瞬間、私は技の方でも押され始めたのよ…
「ふふっ…私の…勝ちねぇ?」
「……まだ…まだ負けてない!!」
「諦めなさい…限られた時間しかない中で、ここまで私に抵抗してきたんだから、十分あなたは凄いわよメリィ?後は私が痛くないようにアンデッドにしてあげるから…安心して逝きなさい」
そして……私は遂に、ガデッドに押し負けてしまった…
死んだかな…?私……
「……っ!?こ、このタイミングで…!?ちょっと…空気読んでよ太陽!」
「…あれ?私、まだ死んでない…?」
「くぅっ…熱いし眩しい…でも…せめてメリィを倒した後に、眠りにつかないと…がぁっ!!」
「……この光は…太陽光?これは何と言う偶然…そうか…ガデッドが私に一騎打ちを挑んできたのは確か…5時30分を過ぎたころだったわね…」
「ぐぅぅっ……ダメだ…意識が…飛ぶ…!?まだ…まだ…早いわよ…」
ガデッドはそういうと、その場に気絶して倒れこんだのよ…
しかも、それと同時に砂時計と彼女が混ぜていた魔法が消滅…
………まだ、死ぬなって事かしらね?
とにかく、運がよかったわね…もう、多分二度とこんな事はないわよ…?
そう思いつつ、ガデッドを見下ろす私…
まぁ、私も今…ガデッドの魔法で…羽のあちこちがこげているんだけど…
……ガデッド、どうしようかしら?ここに放置しておくってのも…ちょっと嫌だし…かといって、私はガデッドの勢力が沢山いるところに攻め入るつもりも無いわ…
結局、私は一時的にガデッドを私達の本陣に連れて行くことにしたのよ…
まぁ、デメトリオの宿屋の一室にでも押し込んでおけばいいでしょ…?
そうと決まれば……って、あら?足が立たない…?
私も…普通に歩くことが出来るほどの体力は残ってないのね…
だったら…少し回復していこうかしら…?
私はそう思うと、自分の焦げた羽をかばいつつ、そっと草原に寝そべったのだった…
さて…これで残るところは…メガロス帝国…待っていなさいよ…サリィ!!
お姉ちゃんが…絶対に助け出してあげるから!!
私の仲間が全員戦いに行ってから早9時間…もうすぐ朝になってしまうんだけど、彼女たちはいったい何をしているのかしら?
まさか…敵に寝返ったり戦いを放棄したりしていないだろうな…?
……なんだか、一度心配すると、余計に心配になってきたなぁ…
よしっ!!私も攻めてあげようじゃない…
メリィ…首を洗って待っていなさいよ…?あそこまで馬鹿にされたのに、このまま何もせずに朝を待つのは面白くないからね!!
私はそう思うと、自分の愛用しているローブを羽織って、勢いよく走っていった…わけだけど…
敵の姿も見えなければ、味方の姿も見えないわね…しかも、あちこちに戦ったんだろうなぁって跡は残っていたりしたけど、戦いに敗れて息絶えた者とか…いる気配無いし!!
ちょっと待ちなさいよ…これ、私の可愛いアンデッド軍団を増やすことが出来ないじゃないの!!
くぅっ……少々、計画が狂ってきたわね…
それに、私の可愛いアンデッド軍団がもし、メガロス帝国の連中に捕まってしまったりして酷い目に合わされている可能性が…あれっ?よく考えたらないわね…
と、とにかく…早くメリィを片付ける!!そして、恨みを存分に晴らしたら、私の可愛いアンデッド軍団の仲間入りをさせてあげるわ…
たっぷり可愛がってやるから…今からでもたのし…はっ!?
今はこんなことをしている場合ではない!!とにかく、急ごう!!
それから20分間走り続けた…というか、飛んでいったわけだけど…
私はそこで、ある人物を見かけたのよね…っていうか、シェル…
なんで草原の真ん中部分で寝てるのよ…?
「シェル…起きなさい?」
「ぐがぁーーーっ…Zzzzz…」
「………起きろーーーーーーーっ!!」
「………後少し…もう後5分だけ…」
「仕方がないわね…後5分よ?」
「……Zzzzzz…」
そして、シェルが後5分って言ったから5分待っていたわけだけど…
シェルは一向に起きる気配を見せないのよね…
むしろ、眠りが深くなった気が…するんだけど…?
「Zzzzzz…Zzzzz…」
「ちょっと、5分経ったわよ?起きなさいって…」
「Zzzzz…」
「いい加減にしないと、本気で怒るわよ…?早く、起きろっ!!」
「Zzzzz…」
「起きなさいって!!」
「Zzzzz…」
だ、ダメね…完璧に眠りの世界に行ってしまっているわ…
そういえばシェル…一度寝ると5時間は絶対寝ているし、眠たくなる周期が近いのよね…すっかり忘れてたわ…
それにしても、他のメンバーと出会わないなんて、もしかして全滅したのかしら…?
敵の姿も見えないし…メリィ、もしかして私が相手だからって油断しているのかしら?
ここまで敵を見ないって事は…そういう事よね…?
……いいわ、まさか…二回も馬鹿にされるなんて思っていなかったけど…
馬鹿にしたんだから、覚悟しなさいよ…
私はそう思うとすぐに、メリィたちがいるテントの本拠地部分に向かって移動を再開したのだった…
〜〜〜メリィの視点に変わります!!〜〜〜
「だから、今後の作戦は…敵の動きを見るって事に…」
「じゃが、そんなに悠長に構えておっては…いろいろとまずいのではないかのぉ?早めに戦いを終わらせておかんと…いつ、何が起こるのかわからんのじゃから…」
「確かに、それはそうかも知れないけど…敵の動きに合わせて動いたほうが…無駄が無いでしょ?まぁ、ゾーネの意見も尊重はするけど…」
そう…今現在の時刻はほとんど朝の5時なんだけど…
私は今、ゾーネと今後の第三勢力…ガデッドのことをどうするのか…それを話し合っていたのよ…
まぁ、二人で話していたのは別に内緒の話ってわけじゃないんだけどね?
別に、他の連中が起きていたら、話に参加してきても何も思わないし…
結果的に言えば、私とゾーネ…そして、モンスターラグーンのメンバーで夜型の彼女たちが起きていたってだけだしね?
それにしても…ガデッドたちもまさか、こんな夜中に攻撃を仕掛けてくるなんて、迷惑なこと極まりないわ…
だってそうでしょ?本来なら、私だってこの時間に起きていたくないわよ…
出来ることなら、早々にメガロス帝国に赴いて、サリィをさらった王様と、私達を裏切ったデメトリオに反省させたいというのに…
第三勢力としてガデッドが出てきてから、何かと私の計画が狂うのよねぇ…
で、驚くべき科学力を持つメガロス帝国は、科学力は持っているけど、持っている武器や兵器…全てに殺傷能力がないから、後回しにしてもOKとして…
その結果、メガロス帝国を相手にする前に、ガデッドを潰すって事にしたんだけど…
「そもそも、ガデッドが夜中に攻撃を仕掛けてきたのには、何か理由があるんじゃないかのぅ?そこを上手くつけば、もう少し楽に勝てるはずじゃが…」
「でもねゾーネ…理由が無かったらどうするのよ?一日待つと、それだけメガロス帝国に対する攻撃が遅くなるのよ?」
「メリィ…常に物事は最悪の出来事が起こると思って行動しないと、足元をすくわれるのじゃぞ?そういう考えだと、必ず後悔を…」
そうゾーネが、珍しく私に真面目な話をしている時だった…
リーネが少しだけ眠たそうにだけど、慌てて部屋に入ってきたのよ…
あの表情…多分少し寝てたわね…
で、リーネは一体、何のようかしら…?
「り、リーダー!!ガデッドが…単身で攻めてきました!!」
「……なんですって?もう少し、詳しくお願いしてもいいかしら?」
「はい……あれはですね…私が夜中にふと目が覚めて、クッキーとショートケーキを食べようかなと、食べ物を貯蔵しているテントに向かっていた時なんですが…ガデッドが、仲間を起こしているのを偶然確認してしまったのです!」
「……って事は、仲間も会わせて、ガデッドは二人でここに向かっているって事なの?」
「いえ…あいにく、その仲間の方はいくら起こしても起きなかったようで…諦めて一人でこっちに飛んで行ったので…もう少ししたら来るのではないかと…」
……そうか…一人で来るのね…
まったく、無謀な巨乳だ…胸の方にエネルギーが集中して、頭まで行ってないんじゃない?
普通、敵の本拠地に一人で行く馬鹿なんている?いるわけがないわ…
いるわけが………
私はそういいつつ、一瞬だけ…夫のことを考えてしまったのよ…
そういえば、彼は救助隊の中での地位はそこまで高くなかったけど…かれも、たとえ誰も仲間が来なくても、危険な場所の救助を一人で行う愚か者だったわね…
どんな危険な仕事でも、他人を助けるために動き…絶対に逃げなかった人…
ダメね…これ以上そのことを考えてしまったら、思い出したくないあの時のことまで…
とにかく!!今はガデッド…あの胸に栄養が行ってしまった奴を倒す!!
私はそう決意すると、短剣を数本懐にしまい…ガデッドを迎え撃つ体制を取ったのよ…
他のメンバーはまだ眠っているから…無理に起こすのも悪いし…
この戦いは、モンスターラグーンのリーダーであるこの私が終わらせる!!
それから約20分が経過した時だった…
ガデッドが、本当に報告にあったように、一人で私のところに来たのよ…
まさか、本当に一人だったなんてね…まぁ、こっちも一人だから、ガデッド以外のメンバーがいてもらったら困るわけだけど…
「……メリィかしら?総大将がこんなところで何をしているの?ずいぶん悠長に構えているじゃないの…」
「そういうガデッドだって、一人でこんなところに来るんだから、相当の馬鹿ですけど…?その胸に頭に行くはずだった栄養全て吸い取られているんじゃないの?」
「へぇっ…だったら、栄養が吸い取られることも無い貧相な胸のメリィは絶望的ですねぇ?元から馬鹿だったって事になるんですから…」
「「ぐぐぐっ…」」
くそっ…本当に忌々しいわね…ガデッド…
自分は胸が豊かだって、そんなに自慢したいの?生意気なのよ!!
私だって…私だって…いつかは…きっと大きく…
そう、心の中では強く願っているんだけど…今から11年前の18歳の時からそう思い続けて…色々な方法を試しても来たけど…全然大きくならない…
はっ…!?ち、違うわよ…?別に、悔しくなんか…悔しくなんか…
ふぅっ…落ち着きなさいメリィ…ここで、内心怒っていては、相手のペースに入ってしまったと、相手の思うつぼよ…?
私はいつもと同じように冷静に…冷静に物事を判断しないと…
私がそう思って、気を静めようとしたときだった…
「ふぅっ…それにしても、この服、蒸れるのよねぇ…?本当、胸が大きいって疲れるわぁ〜…」
「……ふぅっ…落ち着くのよ…私…」
「それに、結構肩こりも酷いのよねぇ…」
「………」
「まぁ、胸がないメリィには分からないだろうけどねぇ?私は生前、男だったっていうのに、それに負けているんだから、複雑じゃないの?内心…」
………もう、我慢できそうにないわ…
ここまででも、結構つらさを感じていたけど、もう我慢の限界が来たようね…
「うるさいわよ…?あなた、他人のコンプレックスを馬鹿にしてうれしいの?」
「えっ?別に馬鹿になんてしていませんけど?むしろ、長所じゃないですかぁ…貧乳が好きな男性だって、世の中にはいるんですからね?昔の私がそうだった…まぁ、今は自分のボディのすばらしさに気がついたから、断然巨乳派ですけどね?」
「……絶対に、許さない!!心のそこから反省させてやる!!」
「だったら、私はメリィ…あなたが私の城を通過した時に散々私のプライドを傷つけたことに関する謝罪をしてもらおうかしら?というか、元々そのつもりだったしね?」
こうして、私達の戦いが始まったんだけど…
彼女、武器を持たないのか…?って事は、私と同じ格闘術の使い手か…?
でも、死霊使いと名高かったガデッドが、格闘技を使うか…?
そもそも、フェルス図書館でガデッドの記事を見つけた時に、ガデッドが格闘術を使ったなんて書かれていないし…
とにかく、気をつけておいたほうがいいわね…
私はそう判断すると、ガデッドから少しだけ距離を開け、彼女の周りを歩き始めたのよ…
ガデッドが隙を見せたら…攻撃を仕掛ける!!
「……そろそろ、準備が出来たかしら…?(メリィも私の口車に乗ってくれたから…戦いやすくなったしね…)」
「準備って…何の準備よ?」
「何の準備でしょうかねぇ?バトルスーツに着替えてもいいでしょうか?いや、変に胸を強調する服装だからメリィに悪いかなぁ?」
「なっ……ガデッド…また私を馬鹿にして…許さないわよ!」
そして、私はあまりの怒りに、自分からガデッドに飛び掛っていたんだけど…
しまった…これは非常にまずい…確実にペースが相手につかまれている…
このままでは、私はガデッドの手のひらの上で戦っているようなことになってしまうわね…
でも…やっぱり、私は胸が小さいことを馬鹿にされると…我慢が出来ないのよ…自分の事ながら、凄く情けないなぁ…
それに、相手の出方を見ようと思っていたのに、自分から攻撃を仕掛けてしまうんだからなぁ…
ええい…仕方がない!初めに攻撃を仕掛けたからには、その勢いで彼女を仕留めてみせる!!
「行くぞぉっ!!首…折りっ!!」
「おっとぉ…早いわね…さすがに、モンスターラグーンのリーダーであるって事は伊達じゃない見たいね?」
「かわされた…!?まさか、この動きについて来れるなんて…」
「えっ?別に、動きについていったわけじゃないわよ?あなたと城であった後、私は本気で勉強しなおし、新たな力を手に入れたから、もうそんな事をしなくてもいいしね?」
「……そう?だったら、さっきの速度の8倍ならどうかしら?普通の人間なら、生じた速度に体がついていかないほどの早さよ?覚悟しなさい!」
「だから、動きについていくわけじゃないんですけどね…?相手の動きを感じるんですよ…って、格闘術を使う人に言っても無駄か…?」
「【ハーピー流格闘術19型 光歩弐連雅突衝】!!ちなみに、こうほ にれんがとつしょうって読んでね?」
さすがに、この攻撃は避けられないはずよ?だって、この技を避けたら光よりも早く動けるって事になるからね…?
まぁ、避けられなかったとしても、私に対するダメージだって、少ないものじゃないから…いわゆる諸刃の剣ね…
まぁ、ガデッドに初め、手加減してあげる理由も見つからないし…最初からクライマックスの力で倒してあげるわ…
まぁ、それだけ私はあの胸女の胸が嫉まし…いや、なんでもないわ…
とにかく、私は彼女に全力で攻撃を仕掛けたんだけど…
「ふんっ…軽いわねぇ?まさか、こんなものなの?メリィ…」
「避けた…ですって?そんな馬鹿な…」
「何をそんなに驚いているのかな?まさか、避けられないとでも思った?」
「くっ……【六式回転乱舞】!!」
「だから…そんなの…私には…通用し…ないってねぇっ!!」
まさか…!?あの技でさえ避けられるなんて、そんな馬鹿なことがあっていいの!?
正直、最初から大技の連発で、もう体が悲鳴を上げている…
まだ、ガデッドは何もしていないというのに…こんなことで私は、勝つことが出来るのかしら…?なんだか、本当に手のひらの上で踊らされているような…そんな気にもなるし…ね?
「ふふっ…メリィはそろそろ分かってきたかな?この私がどうしてメリィの攻撃をかわすことが出来ているのかを…ね?だから、変な反撃をさせないように、私からも攻撃を仕掛けさせてもらうわよ?」
どうやら、ガデッドもそろそろ仕掛けてくるようね…
でも、私はどうしてガデッドがあんなに私の攻撃を簡単そうにかわすことが出来るのか…そして、彼女の攻撃が一体どんな攻撃かを分かっていないから…
状況は圧倒的にこっちが不利ね…
それに…やっぱり、今の戦いの流れはガデッドにあるわね…
どうにかして流れをこちらに引き戻さないと…
「見せてあげるわ…私の力を…魔力をねぇっ!!【ウインド・クローザー】」
「………何…?ガデッドはさっき、明らかに何か行動を起こした…けど、パッと見た感じでは、何も変化はないように見える…一体…」
「展開完了ってね?さぁて…行くわよぉ?えいっ♪」
そういうと、いきなりガデッドは着ているローブとは全く似つかない行動を始めたのよね…
なんで、いきなりシャドートレーニングの真似事なんか…痛っ…
私はそう思いながらガデッドを見ていたんだけど…いきなり左腕と右足に痛みが走ったのよ…
一体、なにが起こったんだろうか?私は気がつくと、なぜか左腕と右足を少し、鋭利なもので傷つけられていたのがわかったのよ…
私は一体…いつの間に攻撃されたの…?いや、そもそも、ガデッドは全く攻撃するそぶりを見せていなかったのに……
だけど、次の瞬間、ガデッドがどうやって私を攻撃してきたか…それが分かったのよ…
ガデッドがシャドートレーニングのような行動を取ったと同時に、私の方に風で作られた刃のようなものが飛んできたのよね…
しかも…微量だけど、やっぱり魔力が含まれているから…これは魔法ね…
……そうか!?だから、私の攻撃はガデッドに通用しなかったのか…
魔力の流れは意志の流れだから…ガデッドには、私が攻撃を仕掛けたときに、私がどこを攻撃するのかがあらかじめわかっていた…
だから、私の攻撃が通用しなかったのか…
なるほどね…まぁ、理由は分かったわ…
でも、理由が分かったとしても、それをどう切り抜けるのか…それがまだ私には分かっていない…
結局、私が不利だって事に変わりないようね…
「……魔力…か…これからどうしようかしら?」
「あら?気がつきました?まさか、見切られてしまうなんてねぇ…でも、これから一体どうやって私を楽しませてくれるのかしら…?私の攻撃方法が分かったくらいで、勝ったなんて思わないことよ?」
「いや、私は負けないわよ…少なくとも、そんな戦闘の邪魔になるような物をぶらさげているあなたにはねぇ!!」
「それすらも無いあなたに、私は同情してしまいそうねぇ…本当、かわいそうな人…」
「くっ…ふん…そうやって私を挑発するのも、実は自分の実力にあまり自信がないからなんでしょ?言わなくても分かるわよ?だってあなたは私に似て…」
んっ…?ちょっと待ちなさいよ…?
さっき、私はガデッドが私に似ているって言おうとしたわけよね…?
確かに、自分で言っておいてなんだけど…そういえば、私とガデッドは似ているのよね…
考え方や話し方…そして、相手を見る基準までも…
そりゃあ、全てが一緒ってわけではないと思うけど、それでも…似てるわね
似てるって事は、彼女をとにかく怒らせれば、私と同じような弱点を見つけることが出来るに違いないわ…
私は心の中でそう決断すると、ガデッドを馬鹿にする言葉を捜し始めたのよ…
一体、どの台詞がガデッドに対する地雷発言なのかしらね…?
「誰が…実力があまりないって?馬鹿にするのも、いい加減にしてくれない?本気で潰すわよ…?」
「だったら、挑発とかしないで、正々堂々と戦えばいいじゃないの…それが出来ないってことは、実力が無いのを話術でカバーしているだけか、相当の臆病者って事よね?恥ずかしくないのかしら?」
「メリィっ!!もう、絶対に許さない!!私を馬鹿にする権利なんて、この世界に生きている誰にもあってはいけないんだ!!私を…馬鹿にするなぁ!!」
よしっ…戦いの流れをこっちのペースに引き込んだ!!
これで、少しは彼女の攻撃に乱れが出てきたらいいんだけど…
「どいつもこいつも、私のことを馬鹿にして…私が生きていた時だってそうだ…私は臆病者じゃない!!いつだって…いつだって私はエリートとしての道を歩いてきたのよ!!ただ黙々と勉強をし続けて魔術の基礎を学び、常に人より上に立ってきたんだ!!……でも、私を馬鹿にしたんだから、当然覚悟しているのよねぇ?」
「覚悟もなにも…正々堂々と戦えない奴なんて、覚悟しなくても倒せるわよ?」
「言ったわね…?また私のことを正々堂々と戦えない臆病者って言ったわね?一度ならず二度も私のプライドを傷つけるなんて…絶対に殺す!!殺して、私の可愛いアンデッド軍団の一員に加えた後、他のメンバーと一緒にあなたを散々いたぶってやる!!【ヴォルトサンダー】」
ガデッドは私の口車に乗って、怒ってくれたからそこまでは計画通りだったんだけど…私は少し、ガデッドの本気を見誤っていたかも…知れないわね…
ガデッドは自分の両手に光を展開すると、物凄い速度で打ち出してきたのよ…
お、恐ろしい魔力ね…下手に攻撃を食らってしまうのは、大変危険だから、気をつけて行動しないと…
私はそう思うと、物凄い速度でランダムに飛んでくる雷をギリギリの所でかわしつつ、ガデッドの近くに飛び、攻撃を仕掛けたのよ…
おそらく、私の感が正しければ、攻撃をしている間は、守る系の魔法は使えないはず…そこをつけば…いける!!
「よしっ!!【天竜激】!!」
「なっ…!?私の【ヴォルトサンダー】をかわした…!?なんてね?甘いわよ…私をそこらへんにいる雑魚と一緒にしないでくれる?私は攻撃魔法と防御魔法を同時に扱えるんだから…」
「………くぅっ…そんな大事なことは、初めに言って欲しかったわ…でも、それでも私は攻撃するけどね?」
なんて言ってはみるけど…正直、私はまさかガデッドが、攻撃魔法と防御魔法を同時に使えるなんて思っていなかったわけだから…
これは…本当にきついわね…
私がそう思ったときだった…
なんとガデッドが物凄い量の魔力を手に込めると、一気に私の方を指差してきたのよ…
い、一体何を…?
「ふふっ…メリィももうすぐ私達の仲間入りね…あれだけ私を馬鹿にしたんだから、死んだら覚悟してくれますよね?私達と楽しくやる覚悟…ね?」
「それは嫌ね…だって、私は胸が大きい奴と、臆病者は嫌いだから…」
「……また、いったわね…?【デス・スティルゲイザー】!!」
ガデッドがそういうと、上空の方に、大きな砂時計のようなものが現れたのよ…一体、あれは…?
私がそう思っていると、いきなりゆっくりと砂時計が回転し…砂が落ち始めたんだけど、それと同時に、自分の生命が削られているような…妙な錯覚に陥ったのよね…
なんか…あの趣味の悪い砂時計をほっておいたらダメだって…そんな気がする…
「ふふっ…あははははははっ!!あの砂時計の砂が全部下に落ちるまでには10分かかるけど、10分後、あなたは死ぬ!!どう?メリィ…自分では何も出来ずに、10分後に死ぬ…そんな終わり方って…良いと思わない?まさに…あの砂時計は死へのカウントダウンって事ねぇ?止めるには、私を気絶させて魔力の供給を止める以外ないんだし…」
……死へのカウントダウンですって…?確かに、自分の命が一秒ごとに少しずつ削られているような気がする…
それに、ガデッドは死霊使いだったから…死系統の魔法を使えても、なんも不思議では無い…かぁ…
もう、悩んでいる時間もないわね…悩んでいる暇があったら、行動する!!
「くぅっ…ガデッド、私はまだ死にたくないから…あなたを気絶させる!!」
「やってみたら?出来るならだけどね?それにしても、そこまで生きることにこだわるなんて、みじめねぇ…まるで、昔の私を見ているようよ…?」
「昔のガデッドに興味なんてないけど…今、絶対に負けられないってわかるから、私は絶対に死ねない!!いや…もっと惨めに、死にたくないって言ってもいいわ…私は、生きる!!」
「無様ねぇ…諦めて死ねばいいものを…無様に足掻いて…」
「それでも、生きたいから仕方が無いのよ…」
私はそういうと、ガデッドの方に勢いよく飛んでいき、足技を何度も繰り出したのよ…
確かに、今の私は無様に見えるかもしれないけど…サリィのためにも、私はサリィより先に死ねないのよ!!
そして、止めといわんばかりに蹴りをたたきつけようとした時だった…
「甘いわよ?ずっと攻撃が通用するなんて…思わないことねぇ?そうだ、せっかく至近距離に来たんだから…面白い魔法を使おうかしら?過去を見る魔法を…ね?」
「何をする気なの…!?ちょっと…やめなさいって!!」
「【時の回廊】」
ガデッドがそういうと、私はいきなり色々な記憶を思い出したのよ…
楽しかったことから、もう二度と思い出したくないような出来事まで…
お、おかしくなってしまいそうだ…頭が…キリキリとアイアンクローされているみたいに痛む…
「…あら?ふふっ…メリィって、夫の前での行為を行うときって受けだったのね?以外だわぁ…しかも、子供が出来たみたいねぇ…うれしそうな表情になってまぁ…」
「うっ…ぐぅっ…や、やめなさいって…」
「でも…夫は今から数年前の大火事で救助活動中に発生した爆発に巻き込まれて死亡したのね…しかも、ショックから立ち直るよりも先に、精神的ショックから子供が流産し…しばらく鬱になっていた時もあったみたいだし…」
「い、いやぁっ!!思い出したく…思いだしたくない!!あぁっ…消えて!!消えて消えてぇっ!!」
「そして、その鬱状態からあなたを救ったのが、義理の妹であるサリィだったってわけか…色々、経験しているのねぇ…」
「うぅっ…私は…私は…」
「で、ここからは最近の事ね…って、メリィ…デメトリオに強く当たりすぎているんじゃない?これはいくらなんでも、デメトリオだって怒るわよ…あまりに強引すぎるじゃないの…それに、勝手に鞄を見られてあんなことを言われたら、私だったら本気でおこるわねぇ…?いくら家族がもう妹一人しかいないって状況であったとしても、デメトリオだって生きているんだから…」
「う、うるさい…ガデッドに…私の気持ちがわかるかぁっ!!記憶で読み取ったイメージだけで…私の人生を語るなぁっ!!」
私は心のそこからそういうと、自分の持てる最高の力でガデッドの手を持ち、動かし始めたのよ…
私は…私は……絶対にサリィを幸せにしてみせるんだ!!
デメトリオは絶対にサリィの夫にならないとだめなのよ!!
それが…私の今後の人生の生きがいの一つなんだから!!
そして、いずれ…二人の間に子供ができた時…名付け親になりたいんだ!
絶対…絶対にこんなところで屈するなんてできないのよ!!
「なっ…!?私の魔力を…強引に振りほどいた…!?【時の回廊】を破られたことは今まで…一度も無かったというのに…!?」
「はぁっ…はぁっ…私の見られたくないところを勝手にみたりするからよ…他人の記憶を覗き見するその魔法は…お勧めできないわね…」
「………でも、結構ふらふらじゃない…効いたんでしょう?」
「あなたは私の一番見られたくないところを知ってしまった…もう、胸の話とか以前の問題で、私はあなたを許せない!!」
「ふふっ…なら、この私に攻撃を…うぐっ!?」
「攻撃を…どうしたの?」
そう、私はガデッドが話すよりも先に、彼女の腹に蹴りを打ち込んだのよ…
離している間は魔力の流れが流れていないって気がついたから…
でも、そうなんども攻撃をさせてもくれないんでしょ?
「くっ…生意気ね…私は史上最強の死霊使いだったのよ…?本気を出せば…メリィなんて一撃なのよ!!それに…砂時計は一刻と時を刻んでいるわよ?」
「そういえば…あの砂時計の砂が全部落ちたら、私は死ぬんだったっけ…でも、ガデッドを気絶させればあの砂時計は止まるんでしょ?だったら、すぐに気絶させるわ!!」
「私を…甘く見ないでくれる?ここで…砂時計が落ちるよりも先に殺してもいいのよ?【ヴォルトサンダー】!!【クロニクルアイス】!!この二つを…うふふ…【DELヒュージョン】!!」
くぅっ…!?二つの魔法を合わせた…!?
何なの…?その戦い方…!?見たことも…聞いたことも無い…
まさか、こんな切羽詰った瞬間で、人生で見たことも無い技を使うガデッドが相手なんて…私も運がないわね…
でも…私はガデッドに絶対に勝つ!!そして…デメトリオとサリィを連れ戻す!!
多分、ガデッドが言ったとおり、デメトリオは嫌がるんだろうけど…それでも…必要ないおせっかいだとサリィに言われたとしても…私は…絶対に!!
デメトリオとサリィを連れ戻すのよ!!
ここで…負けていられない!!
「後…3分くらいかしら…?もう、止まってなんていられない!!行くわよ…ガデッド!!」
「ふふっ…私のこの技を見せたのはメリィ…あなたが始めてよ…誇っても…いいわよ!!」
「【鳥牙一殺焼鳥蹴り】!!」
「【ヴォルトクロニクルライディング】!!」
カッ…ドゴォォォォッ…!!
私の蹴りとガデッドの拳がぶつかり合い、容赦ない轟音を辺りに響かせていく…やはり、見たことがない技ってだけあって…威力は桁違いね…
今、私が放っている蹴りは、私の超必殺技といっても過言では無いって言うのに…
「うぐっ…まだ…まだ…押せる!!」
「いい加減…諦めなさいよ!!」
「嫌だ!!絶対に…絶対に諦めないわよ!!少なくとも、あなたは私の触れられたくない過去に触れた…それだけでも、十分なのよ!!」
そうは言ってみるけど…全然私の蹴りは届く気配を見せないし…
それに、【デス・スティルゲイザー】の効力が…だんだん影響されてきているのがわかってきたのよ…
もう…残り一分くらいだなって…砂時計の方を見なくてもわかるから…
……やっぱり、もう勝てないかもしれないわね…
そう思った瞬間、私は技の方でも押され始めたのよ…
「ふふっ…私の…勝ちねぇ?」
「……まだ…まだ負けてない!!」
「諦めなさい…限られた時間しかない中で、ここまで私に抵抗してきたんだから、十分あなたは凄いわよメリィ?後は私が痛くないようにアンデッドにしてあげるから…安心して逝きなさい」
そして……私は遂に、ガデッドに押し負けてしまった…
死んだかな…?私……
「……っ!?こ、このタイミングで…!?ちょっと…空気読んでよ太陽!」
「…あれ?私、まだ死んでない…?」
「くぅっ…熱いし眩しい…でも…せめてメリィを倒した後に、眠りにつかないと…がぁっ!!」
「……この光は…太陽光?これは何と言う偶然…そうか…ガデッドが私に一騎打ちを挑んできたのは確か…5時30分を過ぎたころだったわね…」
「ぐぅぅっ……ダメだ…意識が…飛ぶ…!?まだ…まだ…早いわよ…」
ガデッドはそういうと、その場に気絶して倒れこんだのよ…
しかも、それと同時に砂時計と彼女が混ぜていた魔法が消滅…
………まだ、死ぬなって事かしらね?
とにかく、運がよかったわね…もう、多分二度とこんな事はないわよ…?
そう思いつつ、ガデッドを見下ろす私…
まぁ、私も今…ガデッドの魔法で…羽のあちこちがこげているんだけど…
……ガデッド、どうしようかしら?ここに放置しておくってのも…ちょっと嫌だし…かといって、私はガデッドの勢力が沢山いるところに攻め入るつもりも無いわ…
結局、私は一時的にガデッドを私達の本陣に連れて行くことにしたのよ…
まぁ、デメトリオの宿屋の一室にでも押し込んでおけばいいでしょ…?
そうと決まれば……って、あら?足が立たない…?
私も…普通に歩くことが出来るほどの体力は残ってないのね…
だったら…少し回復していこうかしら…?
私はそう思うと、自分の焦げた羽をかばいつつ、そっと草原に寝そべったのだった…
さて…これで残るところは…メガロス帝国…待っていなさいよ…サリィ!!
お姉ちゃんが…絶対に助け出してあげるから!!
12/09/26 20:33更新 / デメトリオン
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