連載小説
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89 努力と過程=結果
〜〜〜シェル視点でスタートします〜〜〜

俺達よりも前のメンバーが行ってからもうすぐ10分か…そろそろだな
なんて、俺は時計を見ながら一人思っていたんだ…
しかしまぁ…久しぶりの外だというのに、気持ちいい朝の日差しを浴びることが出来ないってのは…複雑な気分ではあるがねぇ…
いや…朝の間に外に出ていればよかったじゃないかって言われたら、俺もなんとも言えないんだけどよ?寝ていたわけだからさ

「しかし…長い間封印されていたとはいえ、眠り癖がついてしまうのはどうにかならないのか?俺は本来、眠りは長いほうじゃないんだが…最近はよく眠っているような、そんな気がするぜ…」

そう独り言をいいながら、もう一度時間を見たんだが……こういったときに限って、時間の流れが遅く感じるんだよな
なんかこう、楽しいことが後で待っているときの、この待ち時間ってやつがさ
でもまぁ…後1分くらいだからな…別にいいんだけど…
俺はそう思うと、自分の手に装着したハードレザーグローブのベルトを締めなおしたんだ
戦いの時に、ベルトが緩んでいたら、本来の攻撃が出せないからな…そんなの、戦う相手にも、そして俺も面白くないだろ…?
戦いは常に全力で行うのが俺の流儀だ…まぁ、さすがに封印をとかれた後はすぐには全力が出せなくてデメトリオに逃げられたんだが…
しかしあいつ…俺がいい事をしてやろうって言っていたのに、逃げるってどういうことだ?恩を受けたからには、しっかりと返すのが流儀だってのに…

そして、ベルトを締めなおすとほとんど同じくらいに、俺の出発時間になったんだ…
さて、俺を封印から解放してくれた冴えない青年と、お腹がすいていた俺に飯を分けてくれた彼女に恩を返すために…行くとするか

そして、俺が戦いに出てから30分くらいが経過したのか…俺は今、敵陣の入口付近で数人に囲まれていたわけだな…
まぁ、身構えるほど強い奴は…いないな…軽く戦ってやるか
でもまぁ…俺は常に全力で戦うのが流儀だから、軽くって言ってもこいつらが耐えられるかは…わからないけどな?

「みんな…メリィさんの所には近づけさせないよ!!力を合わせて彼女を止めよう!」
「おぉーーっ!!」
「意気込みは悪くない…さぁ、かかって来い!!面倒なことを考えるのは嫌いなんでね、初めに攻撃させてやるからさ…来いよ!」
「いくよーーーっ!!ていっ!!」

そう言いながら、俺に剣で攻撃を仕掛けてきた奴がいたんだが…
ダメだな…剣ってのは、確実に相手を切ることを目的とした武器だ…切る気がないのに振っていても、この俺の体を傷つけることは出来ないぜ?

「えっ…?なぜ攻撃が通用しないの…?」
「それは、あんたが俺を殺すつもりで攻撃をしてきていないからさ…相手を切るつもりの無い剣で、相手が切れるはずがないだろ!戦いってのは…甘くないんだよ!!」

俺はそう思うとすぐに、俺のことを攻撃してきた奴にひじうちを当てて気絶させたんだ…
結局…戦いで無意味に相手の命を奪うことが出来ない俺も甘い奴…なんだけどな?
しかし…もう少し強い敵は…

「倒すっ!!【影縫い】」
「だから……遠距離攻撃でちまちま攻撃してくるんじゃねぇ!!うっとおしいんだよっ!!おらっ!!」
「ふみゅっ!?」

いないものかねぇ…?
俺はそう思いつつ、必死に武器を手に持って俺に向かってくる連中を軽く気絶させているわけだが…
しかしまぁ、これほどの戦力差を見せ付けられても向かってくるその意志の強さには尊敬の念を見せてやらねぇとな…
こいつらの上司…いわゆるリーダーには物凄いリーダーシップが少なからずあるって事にもなるし…
まぁ、尊敬の念を込めているからこその本気ってやつだぜ…
さぁ…俺の無双…止めてみろ!!

俺はその後も、怒涛の攻めで攻撃を続け、モンスターラグーンの連中を3人裏拳で吹き飛ばし、4人を回し蹴りで一掃…その後もパンチと蹴りを繰り返しで彼女たちを倒し続けていたんだ…
彼女たちの攻撃は、俺が言うのもなんだが…一発も当たっていない
たまに遠距離攻撃を行ってくる者もいるんだが、全員、俺を殺すつもりで攻撃を仕掛けてこないからな…
弓矢の速度も速くないように見えて、拍子抜けだ…
他に…他に俺を楽しませてくれる奴はいないのか…?
まぁ、体もいい具合に温まってきたし、ここらでひょっこりとデメトリオとかが出てきてくれたらいいんだけどなぁ…
足腰立たなくなるほど愛してやるのに…性的な意味でな?
ってか、聞いてくれよ…

俺が封印されてから早30年以上は過ぎてるって計算が、今頭の中で出来ている状態なんだが…その間、他の人と接する機会がなくてさぁ…
今、こうやってこいつらと戦ってやっているのが、楽しくて仕方がないんだ…
でさぁ…デメトリオが、その30年以上待っていた接する機会ってのが訪れた初めての相手なんだ…しかも、男でさ?30年以上我慢していた俺からしたら、興奮が収まらなかったわけだよ…
でも、あの野郎、途中で臆病者みたいに逃げやがって…おかげで、俺の興奮の火種は体の奥底で燻っている状態なんだよ!
わかりやすくはっきりと言うと…誰とでもいいから、一発ヤりてぇ…
しかしまぁ…綺麗に俺の前に姿を見せるのは女ばかりで、男の姿は影も形も見えないぜ…

おっと…俺の心の中での愚痴はコレくらいにしておかないとな…
さて…パッと見た感じでは、あまり強そうじゃない奴らが8人か…
まぁ、人も魔物娘も見た目で判断すると痛い目に会うから、俺は常に全力…対して関係ないことだけどな?
よし…3分だ…3分でかたつけてやる!

「くらえぇぇっ!!」
「いい構えだが、足元がお留守だぜ?お嬢ちゃん?ふふっ…足払いってな?」
「あっ…」
「おらぁっ!!」
「うわぁぁぁぁーーんっ!!」
「ちょっと…どうしてこっちに飛んできているのよ!!来ないでー!」
「だったら…止めてよぉーーーっ!!」

第一手、一番初めに攻撃を仕掛けてきた奴に足払い、その後、足払いを成功させるとすぐに左手を地面につき、くるっとそのままの勢いで攻撃をしかける
飛んでいった彼女は慌てているし、飛ばした方向には確実に敵が一人はいるのを狙っているから、飛んできたほうも慌てる…

「くそっ…あたいがやってやる!!てやぁっ!!」
「ふむ…今までの攻撃で一番ダメージが大きいな…さすがだと褒めてやってもいいぞ?だが…槍の構え方に少々難点があるな…俺のような格闘家を相手にするときに、中央よりも刃に遠い側を持つのは、ちょっと問題だな…」
「…なんだと?」
「それはな…」

俺はそういうと同時に、彼女の槍の刃に近いほうを蹴り、少し彼女がよろめいた所で、さらに同じ場所を攻撃したんだ
そして、彼女は槍に伝わる反動に押し負けたんだ…まぁ、当然だな
ほら、力点、始点、作用点の関係って奴さ…彼女の持ち方は一番槍を支えるのに適してはいるが、もしも始点の場所が違ったらどうなるかを考えておくべきだったな…
そして、押し負けている間に彼女に俺があの槍の持ち手を掴んで、彼女をこっちに引き寄せたら…

「おらぁっ!!」
「うわっ!?」
「次からは、もう少し真ん中より槍に近いほうに左手を添えておくんだな…」
「かはっ…」

三人目を無力化したとき、俺は遠くの方から弓矢で攻撃を仕掛けてくる奴に気がついたんだ…
まぁ、簡単に戦闘不能状態には出来るけどな?

「ちょっと借りるぜ…?あぁっ…金属の刃の部分は取り外させて貰うよ…本気の状態の俺が、刃がついている槍を使ったら、命があるとは思えないからな?」

俺はそういうと、地面に落ちている槍の金属部分のちょっと下の部分を殴り壊したんだ
おっ…今回は綺麗に砕けたな…これなら、相手に刺さることも無さそうだ…
そして、飛んでくる弓矢をこの槍…と呼ぶにはあまりにも攻撃力がないただの棒で防ぎ、三本だけ木に刺さった弓矢を抜きながら、矢を飛ばしてくるあいつに向かって放り投げたんだ
まぁ…十中八九は当たるだろ…

「あうっ!?なぜ…わかった…?がくぅっ…」
「弓矢ってのはあらかた、遠距離武器である以上…撃っている奴は直線状に並んでいるってのがセオリーだ…今はあまり風も吹いていないから、風で矢の軌道が変わったとしても数センチ…今、俺の周りをお前の仲間も少しは取り囲んでいるのを見ると、上に撃って曲線状に攻撃を仕掛けるってのはあまりにも無謀…結局は、こういうことさ」

まぁ…これで第二手だな…
残るところはあと4人か…いちいち一人ずつ相手にするのも面倒だが…
俺はそう思うと、残る4人にこういったんだ…

「ちっ…まだ4人残ってるのか…面倒だ…まとめてかかってこい!!」
「なっ…言ったなぁーーーっ!!後悔しても知らないんだぞー!!」
「みんな…突撃だぁーーーっ!!」
「まぁ…負けられませんわね…」
「後悔させてやる…」
「「「「【パーフェクトフォースコンビネーション】」」」」

そう言いながら、残った四人は俺に攻撃を仕掛けてきたんだが…
ちょっとばかし甘かったな…数で押すタイプのコンビネーションアタックは相手をよく選んで発動しないと、意味がないんだ…
特に、俺のような格闘家タイプの敵を相手にした時はそうだな…
まず、コンビネーションアタックは何と言っても全員のタイミングが大事だ…
でもな…今回の四人は、あまりタイミングを掴むことが出来ていないんだ…
この地点で、俺に見切られているって事は、まず…この攻撃は当たらない

「てやぁっ!!」
「よっと…」
「交わしたところを…狩る!」
「丸分かりなんだよ!!てぃっ!!」
「なっ…!?ナイフを蹴り飛ばす…!?」
「それだけじゃない…ナイフの刃はもうボロボロで、使い物にならなくなっているはずだ…そうやって蹴り飛ばしたんだから、当然だがな?」
「だったら、これは避けれるかな?鎖付きブーメラン!」
「おっと…良い武器を持っているのもいるじゃないか…まぁ、普通の敵が相手ならその武器はかなり使えるだろうが…弱点がもう分かったぜ?その武器…凄く重いんだ…だから攻撃を仕掛けるのに嫌でも大きな動作が必要になるだろう…だから、お前の手からそのブーメランが投げられる瞬間に飛べば、当たることは無い!」
「でも…その瞬間に飛ぶって事が簡単に出来るかしら…?この私を相手しながら、真後ろから来るブーメランを避けるなんて、絶対に無理でしょう?」
「どうかな…?」

俺はそういうと、すぐに目の前にいる奴に対して向き合ったんだ…
ほぉ…双剣か…しかも、俺を殺してしまうかも知れないと思いながら構えている様子を見ると…自分に自信があるやつか…少しは強そうだが…
しかし、構えを見てもまるで素人だな…俺が封印される前に出てたら、あまり強いとは思われなかっただろう…
昔は、全員が相手を殺すつもりで戦いをしていたからな…

俺は彼女の双剣を上半身を反らすことでかわし、連続で攻撃される前に彼女の体を二度蹴り…左手の剣を手首をねじる関節技を使用して落す…
まぁ…簡単なことだけどな?
ちなみに、俺って結構技巧派なんだぜ?こんな見た目に口調…そして、扉とか壁とかを普通にくぐるのが面倒だから壊しているってだけでな?
そこんとこ、勘違いする奴がたまにいるんだよなぁ…
まぁ、別にいいけど…

さて…彼女は左手を痛そうに抑えつつ、構えを全然崩さないときたか…
なかなかやるじゃねぇか…でもまぁ…そろそろだな…
俺はそう思うと、さっき下に落ちた剣を広いあげたんだ…
そして、それとほとんど同時くらいに目の前にいる彼女が二歩左に微妙に動く…来るな…ブーメランがよぉっ!!

俺はそう思うとすぐに後ろに振り返り、さっき拾った剣を使ってブーメランの刃の部分の軌道をずらす…そしてすぐに鎖の上に飛び乗り、鎖を伝いながら彼女のところに走って行ったんだ
ちなみに、この時にもし出来たらやっておくことは、中央付近で鎖を伝っている最中に破壊すること…
まぁ、このタイプなら簡単だが、稀に壊れないほどいい物があったりするからな…

「なっ…!?蛇のようにうねる鎖の上を走ってきた!?」
「一体何年間戦ってきたと思ってるんだ?格が違うんだよ!」

そして俺はそういうとすぐ、彼女を当身で気絶させ、手に持っている鎖を残った三人に向かって、時計で言ったら二時くらいの場所に手首のスナップを利かせて投げたんだ…
このスナップが大事だぜ?まぁ…無くても対して違いはないが…
後は、あの鎖がブーメランのように曲線を描いて俺の思っている場所に来るまでにこいつらを一箇所に集める…それだけだな…

そして結局、あまり苦労することもなく俺は残った三人を適度に相手してやり、捕獲したのだった…

「戦いをするなら、常にどんな事が起こってもいいように動くんだぜ?まぁ、今回の失敗を経験にして…覚えておくんだな?」

俺はそういうと、その場所から離れ…また草原を走り始めたんだ!
俺の選んだ道は、ある意味では正解だがある意味では失敗だな…
戦えないじゃないか…あまりよぉ…
強い!!って確実に思える相手もいねぇし…男もいねぇし…
まぁ、その分早くモンスターラグーンの本拠地にたどり着くことが出来るんだけどな?

そしてモンスターラグーンの本拠地がちらほら見え始めてきた時だった…
ちょうどそのタイミングで、眠気が襲い掛かってきたんだよ…
やべぇぞこれは…眠い時は俺、本来の力の3分の1くらいしかパワーが出ないからな…
どうする…?この敵のテントが普通に目の前に密集している場所で寝るのか?
さすがに、そんなに俺は馬鹿じゃないけど…でも、今のこの眠気は大きな眠気だな…
ほら、よく集会とかで長い話を聞かされたら眠くなるだろ?あれだな…分かりやすくいうと…

などと思いながら突っ立って考えていると、目の前のテントから見覚えのある奴が何人か出てきたんだよ…
えっと…確かあいつらは…カルメラの部下のフリューゲル達じゃないか…
カルメラ…デモンスタワーでデメトリオたちを逃がし、俺の猛攻をいとも簡単そうに受け流し…俺を倒した奴の手下…か…
正直、今のこの眠気が押し寄せてくる状態では、きついんだがな…
仕方がないから、少しだけ相手してやるか…

「よぉ…久しぶりに会ったな…」
「むっ…来たかシェル…あいにくだが、カルメラさんはいない…今はリーダークラスの方々が集まる会議があるんでな…だが、勝負したいならばこの私が相手しよう」
「カルメラはいないのか…いいぜ?せいぜい俺を楽しませてくれよ?」

俺はそういうと、手元のハードレザーグローブのベルトをまた、締めなおしたんだ…
まったく…すぐにベルトが緩むのが弱点だよなぁ…いいグローブなんだが…
さて…あの時は後ろで見ていただけだったが、どれほどの実力者だ…?

「他の皆は手出しをしないでくれ…これは私の戦いだからな…」
「一人で俺に挑む気なのか…?いい度胸だな…こい!!」
「行くぞ!!」

フリューゲルがそういった瞬間、俺の目の前からフリューゲルの姿が消えたんだよ…なるほど、一人で挑むって言えるほどの実力は…普通に持っているというわけか…
そして次の瞬間、肩にものすごい痛みが走ったのも分かったんだ…
この俺を切る…覚悟も決まっているようだな…これはいい相手にめぐり合えた!

「私は騎士だ…だから、私はかならず正面からしか攻撃をしない」
「命を賭けて戦う相手に、そんな事を教えていいのかよ?」
「それだけ、私はこの戦いに勝ちに行くということだ…」
「おっ?いうねぇ…じゃあ、実力を見せて貰おうじゃないか!」

俺はそういうと、正面で剣を構えているフリューゲルに攻撃を仕掛けたんだ…
だが、この俺の蹴りがヒットしていない感じ…これは間違いなく攻撃をかわされているな…って事は…上か…!?
だが、俺はその次の瞬間、若干の振動を地面につけているほうの足で感じ取ったんだ…これは上なんかじゃねぇっ!!下だ!!

「…………来たっ!!おらぁぁぁぁぁっ!!【アースイーター】!!」
「なにっ!?攻撃をかわした瞬間、地面に潜んで…相手が上かと思った瞬間に切る事にしていたのに…なぜわかった!?」
「ふっ…これが経験の差ってやつだ…もう終わりか?」
「まだだ!!私との打ち合いが終わってない!!さっきの攻撃が防がれた地点で既に小細工は通用しないってわかったからな…正々堂々、騎士の誇りにかけて貴様を討つ!!そして、仲間を守ってみせる!」
「せいぜい、口だけにならないようにしておくんだな…」

そして、フリューゲルが隙のない構えで俺に切りかかってきたんだ!!
まずは右上段の攻撃を体を左に倒すことで避け、次にそのままの勢いでパンチを繰り出す…
しかし、俺の反撃はフリューゲルには見切られていたようで、フリューゲルは俺のパンチを盾で防いだんだ…
なかなか…いい判断だが…その場合は足払いをされないように気をつけておくもの…って、何っ!?
フリューゲルの奴…さすがはカルメラの今の部下…隙を造らない構えってのを自然と身につかせてしまっているようだな…

俺は足払いを防がれた後、即座に彼女の追撃を体の瞬発力を利用して交わしたんだ…そして、すぐに反撃を繰り出す…
隙を造らないなら、こちらから隙を誘発するしかない!!
だとしたら、やはり狙うべきはフリューゲルの右手首だな…軽く蹴って武器をはじくか、彼女の全体のバランスを崩させることが出来れば…攻撃が当たるからな…
攻撃が当たれば、一撃って奴だな

「てぃっ!!はっ!!」

しかし、フリューゲルの攻撃は見事だ…反撃するタイミングをまず、あまり与えてこないのが見事だといわざるをえない状況だな…
だが…さっきの攻撃で、大体フリューゲルの癖は分かったぜ…
後は、あいつが俺の考えている所に攻撃を仕掛けてくれればいいんだけどな
それまでは、攻撃させてやる…

「どうした…?攻撃を仕掛けてこないのか…?」
「まだ、その時期じゃないって事だ…あまり優位に立っているからって油断していると、足元をすくわれるぞ?」
「いえいえ…無駄話をしているから、切られるんだぞ?ほら、右肩だ…」

……何っ!?ちっ…言われるまで気がつかなかったとはな…俺も鈍ったか…?
それとも、フリューゲルもある程度の強さはあるって事なのか…?
まぁ、俺より早いってのは攻撃をくらっても気がつかなかったって所からしても、確実だということは分かったんだけどな…
だが…戦いには早さも必要だが、最も重要なのは、どれだけ重い攻撃を仕掛けることが出来るのか…これだろ?
最終的には、相手の体力を0にしたら、決着はつくからな…
早さとかそういったものは…その体力を0にするための手段でしかない…
とにかく、フリューゲルがあの攻撃をしてくるまでは…耐えないとな…

それからしばらくの間、俺はフリューゲルの目に見えないほどの速さの攻撃を受け続けていたが…早くて鋭い攻撃…まだまだ、俺に致命的ダメージを与えるまではいってないな…
まぁ、俺の体力の多さは昔から噂になっていたほどだから、仕方がないとも思うがな?
俺に致命的ダメージを与えるなら、後5時間は切り続けないとな?
まぁ、それまでにフリューゲルが疲れるそぶりを見せる…もしくは、俺でも見える速度で攻撃を仕掛けてくるまで待てば…俺の勝ちだ…

なんて、俺がそう思った瞬間、フリューゲルが攻撃を仕掛けてきたんだ
しかも、俺の目でも追う事が出来るくらいの速度でな?
俺はこの時を待っていたぜ…さぁ、一撃で沈めてやる!!

「そろそろ攻撃を仕掛けてきたらどうだ…?せやぁっ!!」
「……そうさせてもらおうか!!」
「何っ!?だが、甘い!!」

キィンッ!!

このタイミングの攻撃を防ぐとはな…フリューゲルも凄いじゃないか
だが、折角のチャンスだ…押し勝ってやる!!

キィンッ!!カァンッ!カカンッ…キィーンッ!!

「ほらほら…どうした?俺に攻撃を仕掛けているのか…?押し負けそうじゃないか…」
「なめるなぁっ!!」

ギィンッ…カキィンッ…

挑発されたらすぐに怒るか…まだまだ、騎士を名乗るにしてはメンタル面が心配だな…
だが、バトルセンスはいいものを持っている…
しかし、コレで最後だな…

「軽いんだよ!!攻撃がよぉっ!!」
「なっ…押し負ける!?」
「ふっ…もう少し、鍛えておけ!!」

俺はそういうと、ハードレザーグローブの刃を受け止める箇所で刃を受け止め、思いっきり体を捻って武器をへし折ったんだ…
昔…良い武器って物を見たことがあるが…フリューゲルの持っていた剣は見るからに粗末な物だったからな…
騎士を名乗るなら…それなりにいい装備をそろえてからだぜ?

「チェックメイト…だな?せめて、痛くないように眠らせてやるから、ありがたく思ってくれ?」
「かはっ…!?スライムコアを的確に…!?や、やるな…やはり、カルメラさんの足元にも及ばなかったか…」
「いや…凄く努力はしているし、その努力は認めてやってもいいぜ?後は、お前の努力に見合う武器を手に入れることだ…お前にいいものをやるから…いい武器を手に入れて来い…俺はいつでも、リベンジを待って置いてやるからさ?」
「………次は…勝つ…」

フリューゲルはそう言って倒れたんだが……本当に、強かったと思うぜ?
少なくとも、俺とほとんど実力が同じか、俺以上の実力が無いと、倒すのは難しい相手だろ…まっ、当然だけど…
そして俺は体についた土を払い落すと、フリューゲルに自分がさっきまで使っていたハードレザーグローブを脱いで投げたんだ…
あれだったら、フリューゲルも使いこなせるだろ…俺、スペアあるし…
道具を生かすも殺すも使う者しだいではあるけどな?
そして俺は、そこから去ったのだった…

………それから…約20分か?あたりに灯りがないから、道に迷ったのかも知れねぇんだが…?
そう、俺はすっかり暗くなってしまった草原を歩いていたんだ…
しかも、今の俺は物凄い眠い状態だ…
正直、俺は夜型じゃないからな…本来…
……ここで寝ちまうか?多分、30分くらいだったら寝ててもいいよな?
そう思って地面に少し横になってみるが…こ、これはっ!?
いい草だな…ふわふわしていて、肌に引っかからない…これなら、寝返りを打っても怪我しねぇし…寝心地もよさそうだ…

……そう思うと、余計に眠くなるんだよな…
あれだよ…人間も魔物も、睡眠欲には勝てないって事さ…
大丈夫…ちょっとだけ…寝るだけだからよ…?
おやすみ…

そして、俺はそれから30秒後…心地よい夢の世界に旅立ったのだった…
12/09/21 21:19更新 / デメトリオン
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■作者メッセージ
どうも!!

後…一戦ですね…
いやぁ…長かった…長かったぜ…第三勢力…
ですが、次の戦いで決着がつきます!!

その次からは、デメトリオの出番なのですよ!!
そう…主人公の出番です!!きっと皆さんも、デメトリオなら何かやってくれると思っているに違いありません…
俺は…そう信じておきますよww

では…次回ものんびりと見ていただけるとうれしいです!!
季節の変わり目になり、朝と夜の時間は少々寒いですので、体調管理には気をつけてくださいね!!
ありがとうございましたーー!!

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