78 風竜の謎かけ
〜〜〜メリィの視点からスタートします!!〜〜〜
私は、第3勢力に向けての兵士を送り込む作戦をゾーネと考えていた時、メガロス帝国に向かったメアリーたちが負けて、メガロス帝国の外にあるブルーシートの上で寝かされているといった報告を兵士から聞き、正直驚いたのよ…
まさか、まさか…メガロス帝国に負けた…負けたというの?
あのデメトリオがいるところに負けたなんて…
私はそう思いながら急遽ゾーネとの話し合いを中断し、メアリーたちが運ばれた医療テントに急いだんだけど…
「ジュンコ、メアリーたちはどうなの?無事…?」
「あぁ…リーダー…一応、ただ眠っているだけのようなので、無事ですけど…」
「そうなの…じゃあ、彼女達が起きたら私のところにくるように…」
「起きてますよリーダー…」
私が言った台詞をさえぎりながら、メアリーが目を覚まして私の方をみたのだけど……
ふむ…起きたばかりでいきなり聞くのは、ちょっと厳しいかも知れないけど、我慢して貰うしかないわね…一体なぜ負けたのか…それを聞かないと…
「起きていきなりで悪いんだけど…なぜあなた達が負けたのか…教えてくれない?」
「……で、デメトリオの作戦に…負けました…」
「なっ!?」
メアリーがそういった瞬間、この部屋の中にいたモンスターラグーンのメンバー全員に…いや、セム以外に驚きの表情と戦慄が走ったのよ…
多分、私も他のメンバーと同じくらいは驚いていると思うわ…
で、デメトリオ…まさか、メアリーからその名前を聞くことになろうとは思ってもいなかったわ…
まさか…デメトリオの作戦に負けたって言うの!?あの馬鹿で臆病者でビビリで鈍感なデメトリオの作戦に…!?
そんな馬鹿なことが……
いいえ…落ち着きなさいメリィ…落ち着くのよ…リーダーたるもの、ここで動揺しては全体の士気に関わるわ…
「デメトリオの作戦って、どんなものだったの…?」
「はい…えっと…前方に大勢の部隊を集めていて、私達がその部隊の兵士さんたちと戦闘を始めた時に、いきなり両端の建物から少数の兵士さんたちに攻撃を仕掛けられました…で、私はその時に油断して…ねむっちゃって…きーちゃんとユカさんなら知っていると思うけど…」
「……奇襲作戦…デメトリオがそんな事を思いつくなんてね…でも、きーちゃんやユカはそんな安っぽい奇襲には引っかからない戦力を持っているはず…」
「……地面に、爆弾がセットされていたんですよリーダー…」
「あら、ユカ…起きたのね…爆弾がセットされていた…それはどういうこと?」
「私ときーちゃんはあの後、メガロス帝国の兵士長っぽい感じの人に戦闘を仕掛けたんです…で、私達は勝ちを確信していたから油断していて…地面ごと吹き飛ばされたんです…」
「正確にはー…眠らされただけだけとねー♪」
「まぁ、そうとも言いますけどね」
……的確に私達の油断をついてくる作戦を使ってきたようね…
まさか、デメトリオがそこまで……ちっ…生意気ねぇ…
いちいち敵にならなくても、こっちでその能力を発揮してくれれば、役に立ったのに…
……でもまぁ…サリィの将来の結婚相手の長所がまた一つ分かっただけでも、よしとしようかしら…?
でもまぁ…メガロス帝国を攻めるにあたって、国内に攻め入って拠点を一つでもゲットしておくことは最低条件…ここは、デメトリオの作戦を完璧にぶっ壊すことが出来るメンバー達を送り込んで、あの壁の中に入ってすぐの場所を取ることを目標としないと……
私はそう思うと、すぐにメンバーを選び始めたのよ…
ここは、他の援軍として駆けつけてくれた仲間達を使わずに、モンスターラグーンのメンバーだけで突破したいのよねぇ…
……決めたわ、これなら…絶対にさっきメアリーたちが負けた場所を手に入れることが出来る!!
「リーネ…今すぐここに、スカニ、アイネ、チェルシー、シエスタの4人を呼んでくれない?」
「へっ…?あぁ、わかりました…呼んできます」
私はリーネに4人をここにつれてくることを指示すると、4人がここに来るまでの間…ここでティータイムにいそしむことにしたのだった…
……まぁ、ティーじゃなくてミルクなんだけどね?
〜〜〜ヤマトに視点変更します!!〜〜〜
俺が花梨によって真っ黒焦げにされてからもうすぐ3時間が経過しようとしているが…ここにきて、ようやくロンメルさんや自警団の連中がやる気になって戦ってくれているんだよ!!
いやぁ…長かった…1時間くらいは敵が花梨にビビッて攻めてこなかったけど、それからの2時間が本当に長かったぜ…
まぁ、ミッシェルさんの娘達がここに援軍として駆けつけてくれたから、個人的には楽…だったか?
それより、聞いてくれよ!!ミッシェルさんの娘さん達…ミッシェルさんの言うことをしっかりと聞くし、それを指揮するミッシェルさん…凄い強いんだよ!
えっ…?なんでそんな事を知っているかって?そりゃあ…目の前で戦っているからかな?
まぁ、俺も出来る限りは頑張るけど…彼女は本当に凄い…俺は思わずそう思ったね…
「行きますよ!!みんな、アタックフォーメーションです!」
「はい!!母様!!」
「さて…【レード】【フォムラウド】【ステルアラ】【アルドシュターゼン】」
だって、固有技を何個も連続で出すことが出来…なおかつ、娘達はその技にあわせてどう動くか…それを全部覚えているんだぜ?
……まるで、流れるような攻撃に俺は思わず…すげぇって思ってしまったね…
それに、敵のリザードマンやサラマンダー…はたまたオーガとか彼女達を倒すのに、俺は50分をついやし、更に自警団のみんなの支援が無いと無理だというのに、ミッシェルさんは彼女達を一瞬で倒すんだから…半端ないよ…
いやぁ…本当に彼女が味方でよかった…敵だったら、一応戦いはするけど勝てる気はしなかったからな…
「みんな!!少し休憩するから、戻って来なさい!!」
「はーい!母様!!」
「ふぅ…あ、ヤマトさん…椅子とテーブル…あと、ティーカップを用意できるかしら…?わたくしがここに持ってきた鞄の中にあると思いますので…」
「え…いいですけど…いいんですか?戦い中ですよ!?」
「確かに、争いを行っているときに悠長にティータイムにいそしんでいる場合ではないかもしれません…ですが、わたくしは娘達に無茶をさせたくもありませんの…争いには、適度な休息が必要不可欠なのです」
……ま、まぁ…適度な休息は必要だと思うけど…敵はすぐ近くにいるんだぜ?
悠長にティータイムにいそしんでいる場合では無い…俺はそう思うんだけどなぁ…
俺はそう思いながら、ミッシェルさんの鞄からおしゃれなティーカップとテーブル…そして椅子を取り出すと、ミッシェルさんの為にセットし始めたんだよ…
……この鞄の中に、一体どうやってこれほどの大きさのテーブルと約200はあるだろう椅子を入れたのか…それを俺に教えて欲しい…
なんて思いつつ、俺はセットが終わると、また戦いの準備を始めたんだ…
せめて、ミッシェルさんがティータイムにいそしんでいる間…俺は敵の進行を食い止めないと…
俺はそう思いながら、敵陣に走っていこうとした…のだが…
「ヤマトさんもどうです?真面目なのはいい事ですが、たまには気をお抜きになったら…?ちょうど、ここで戦っている人全員の分…ティーカップを特注で取り寄せたのだから、ヤマトさんもハニーティー…お飲みになってくださいな」
「……しかし…」
「そうだよー!母様がそう言っているんだから、遠慮しちゃダメ!!」
「無茶したら体を壊したり、怪我しちゃうよー?だから、ここで休憩しないと!」
「娘達の言うとおりですわ、それでは…こちらにどうぞ…」
「あっ…はぁ…」
なんだか、言われるがままに座ってしまったんだが…本当にコレでいいのだろうか?
でも、折角のミッシェルさんの行為をないがしろにするわけには…いけないよなぁ…やっぱり…
俺はしばらく悩んだすえ、少しだけならいいかと思い椅子に座らせて貰ったのだった…
……なんだろう?この無駄にまったりとした空間は…!?
これが…本当に戦いをしている最中の空間なのか!?
なんて思ってしまうほど、俺は目の前のミッシェルさんやミッシェルさんの娘さん達と一緒にまったりとハニーティーを飲んでいたんだ…
俺はただの門番の仕事以外、やったことはほとんど無いからなんとも言えないが…それでも、この空間には変な安らぎがあるって事には気がついたね…
そう思いつつ、俺はミッシェルさんにハニーティーのおかわりをお願いしようとしていた時だった…
いきなり物凄い砂塵が風に巻き上げられながら俺達に直撃したんだよ!!
砂がハニーティーの中に混入してしまい、ミッシェルさんの娘さんは涙目だ!
一体…なんだというんだ!?
俺がそう思った時、いきなり俺たちの真上が暗くなったかと思うとすぐ、灰色のドラゴンが俺たちの前に降り立ってきたんだよ!!
彼女の周りには風が凄い勢いで吹き荒れているのが明らかに見ても分かるからあの風は恐らくあの人が起こしたんだろうな…
しかし、灰色のドラゴンとは珍しい…しかも、体に風を纏っているなんて…
いや…俺は言わないよ?まるでクシャ○ダオラみたいだなんて俺はな?
「ちょっとあなた…折角のティータイムを邪魔するなんて失礼じゃありませんこと?礼儀をわきまえていただけません?」
「これは大変失礼なことをしたとお詫びさせていただこう…どうも私は700年前に風の制御の仕方を忘れてしまったようでね…私の名前はシャイニング…シャイニング=トォルナーだ。覚えていて欲しい」
「……で、わたくし達にいったいなんの御用かしら?」
「いや…どこかに私と謎かけで戯れてくれそうな者はいないかと思っていたら、優雅にティータイムを楽しんでいたあなた達がいてな?あなた達なら私と謎かけで遊んでくれるのではないかと…ね?」
「謎かけ?悪いけど…今はわたくし、娘たちとの時間を大切にしつつのんびりと過ごす予定なの…戦いが終わったら遊んであげてもいいわ」
「それじゃあ、私が困る…そうだ、じゃあこの謎ときをバトルとして遊んでもらえないだろうか?謎ときに失敗したらあなた達の陣に私が竜巻を発生させる。成功したら、私が仲間がいるところに竜巻を発生させる…これでどうだ?」
「……それをあなたが本当にするという決定的証拠はありますの?口約束はいつでも破ることが出来るのですよ?」
「そうだな…確かにそういわれれば、決定的証拠は無い…だが、私は自分の能力でいつでも竜巻を発生させ、あなたの仲間がいる拠点にぶつけることが出来るんです…わざわざ自分の不利にもなりえるようなことを持ちかける道理は無いはずですが?」
「……それもそうですわね…いいでしょう!!謎ときに付き合って差し上げましょう!!」
こうして、奇妙な戦いがここに始まったんだよ…
まぁ、謎ときで戦いが出来るなら、あまり野蛮じゃない分…俺は良いと思うよ?
「では1問目…とある場所に、とある旅人がいました…その旅人は、あるものを探すために旅をしていたようなのですが、断念してしまったようです。では、探し物とは何でしょうか?」
「簡単ね…探し物はあるものでしょう?あるものを探すために旅をしていたのなら、探したところで見つかるのはそのあるものだけでしょう…」
「おや…?ひっかけてみても引っかかりませんか…さすがですね…」
シャイニングはそういうと、ためらいも無く右手を振り下ろし、味方を吹き飛ばしたんだよ!!
み、味方でも容赦なく吹き飛ばすなんて…普通じゃないぞ!?
俺は思わずそう思うと同時に、彼女が本当に物凄い力を持っているって事を悟ったんだよ…
……彼女はさぞ…名前のあるドラゴンに違いないな…俺は知らなかったけれど
「さて…次は2問目…世界中の人全員に聞いても、誰もが口をそろえて役に立たないという物は何でしょう…?」
「……役に立たない…?役に…」
「お母様ぁっ!!わたし、分かりました!!ごにょごにょ…」
「…なるほど…さすがはわたくしの可愛い娘です!!」
「なでなでしてーー!!」
「はいはい…よしよし…」
………えっ?これって、第3者の介入ってありだったのか…?
なんだか、雰囲気的にそれはしたらだめだろうって思っていたんだけど…
などと思いながら、俺はシャイニングの方をみたんだが…
あれ?彼女の表情…あまり快く思ってないんじゃないか!?
「わかりましたわ…答えは洋ナシですわ!!」
「……正解ですが、その答えは第3者が考えたもの…そうではありませんか?そのような不正を許すわけには……いけません!!」
なんと、シャイニングがそういうと、次の瞬間…ミッシェルさんの娘たちに風が向かって行ったんだよ!!
「な、なにをするのです!?わたくしの可愛い娘に手を上げるなどと…」
「謎ときという物は一部の例外を除いて、1対1で行うものです…よって、さきほどの行為はルール違反…攻撃されても、文句は言えないはずですが?」
「……娘に手を上げたこと…後悔させて差し上げます!!」
お、穏便に片付くと思ったのに、やっぱり結局は戦いになるんじゃないかよ!
あれだな…謎解きで本当に決着がつくんじゃないかって思った俺が馬鹿だったよ…
しかしまぁ…両者とも物凄いオーラだなぁ…
俺が踏み入る隙間も無いんじゃないのか?これは…両者のやる気を尊重して俺は戦いには参加しないほうがいいな…うん
俺はそう思うと、二人の戦闘に巻き込まれない場所まで移動したわけだが…
「みんな…頑張れますか?」
「はーい!!お母様の役に立てるように、頑張りまーす!!」
「アタックフォーメーション!!【レード】」
おっ…これは、怒涛のコンボが開始される予感がするぜ…なんて、俺はミッシェルさんの攻撃で判断したんだ…
だが、ミッシェルさんの娘達が攻撃を仕掛けようとした次の瞬間、ミッシェルさんの娘達が何かに弾かれていったんだよ!
「はうぅっ!?」
「な、何なの…壁…?」
「ふみゅうぅ…」
「あぁっ!!わたくしの可愛い娘達が……みんな、大丈夫?」
そういう風に娘を心配するミッシェルさん…凄いな…あれは、親の鏡って奴だな…
しかし…シャイニングの近くには何か特殊な壁…のようなものもあるんだろうか?そうじゃないと、ミッシェルさんの娘たちが弾き飛ばされた原因の説明がつかないからな…
だが、俺のこの疑問はすぐ…シャイニングの発言によって解決されたんだよ…
「ふふっ……いくらあなたでも、私の風の守りは崩せないようですね?まぁ、当然ですよ、あなたがどれだけ生きていようと、私は1000年も昔からこの世界に君臨していたのですから…経験が違いますよ」
…か、風の守りだと…!?あれだな…よく色々な状況で利用されそうな名前だが…実用性は高いんだろうなって…俺はそう思ったね
「さらに…私は好きなところに竜巻を発生させることが出来る!!つまり…あなたの足元からも…ね?【クレイモア・ハリケーン】!」
「くっ…きゃああぁっ!!」
お、おぉっ…なんと恐ろしい不意打ちなんだ…って、驚いている場合じゃないぞ!?いや、別に驚いてもいいけど…あの能力が発揮されたって事は、彼女は右手を振り下ろすだけで、どこにでも竜巻を起こせるって事じゃないか!
か、彼女が怒っただけで…この世界には天災が起こりそうだな…
「私は心が広いからな…降参してくれれば手荒なことはしないつもりだ…降参して貰えない?」
「む、娘達を傷つけた相手に対して…負けを認めろって言いたいのですか!?そのようなこと、出来るわけ無いでしょう!」
「でも、認めないとあなたの娘さんはもっと傷つくことになる……私はこの人生の中の1000年間で常にこの状況を作ってきたけど…この圧倒的能力差を見て戦いを挑んできた者はいないから…ね?」
「くぅっ…(確かに、ここで無理に戦いを引き延ばしたら、わたくしの可愛い娘が痛い目にあってしまう…ここは、降参するしか…ないわよね…)」
……あれ?あの何か深く物事を考えているような表情…まさか、諦めようとしているのか!?
た、確かに…彼女は圧倒的な能力の持ち主だが…諦めるというのか!?
諦めたらそこで何もかも終わりになってしまうじゃないか!!それなのに…
なんて俺は思ってしまったが、これはあくまでもミッシェルさんが決めることだからな…
「……わたくしは…」
「お母様!!私達はまだ戦えますから!ここでお母様が降参してしまったら…」
「でも、あなた達を危険にさらすわけには…」
「私達は大丈夫です!!なので……降参はしないでください!!」
「…わかったわ」
ミッシェルさんとミッシェルさんの娘たちは話し合いの結果…降参することをやめたらしく、俺はこの結果に満足していたんだ…
やっぱり、何事も諦めずにやることが大事だからな…?
だから、降参なんてして欲しくなかったんだよ!!
「……ほぉ…珍しい答えですね…諦めるものとばかり思っていたのですが…でも、風の守りを破ることが出来ないと、私にダメージを与えることは出来ない!」
「って事は、あなたのその風の守りを破ることが出来たらこの戦い…勝てる可能性があるって事でしょう?いいわ…わたくしがあなたの守りを打ち砕いてみせましょう!!娘と一緒にね!!」
「…ほぉ?つまり、私のこの風の守りを破る方法を見つけると…?ははっ…これはいい…私の能力が謎になろうとはな…じゃあ、私も知らないこの能力の突破の仕方…教えてもらいましょうか!!」
シャイニングはそう言いながら、右手を上げながら、小規模の竜巻を発生させているんだ…
果たして…ミッシェルさんはシャイニングの風の守りの秘密を解明することが出来るのか…実に、気になるところだぜ…
俺はそう思いながら、吹き荒れる風の中にいる彼女たちを見ていたのだった…
……どうでもいいが、この俺の場違い感…半端じゃないよなぁ…
いや…勝てそうにないから変に手は出さないけどさぁ…
私は、第3勢力に向けての兵士を送り込む作戦をゾーネと考えていた時、メガロス帝国に向かったメアリーたちが負けて、メガロス帝国の外にあるブルーシートの上で寝かされているといった報告を兵士から聞き、正直驚いたのよ…
まさか、まさか…メガロス帝国に負けた…負けたというの?
あのデメトリオがいるところに負けたなんて…
私はそう思いながら急遽ゾーネとの話し合いを中断し、メアリーたちが運ばれた医療テントに急いだんだけど…
「ジュンコ、メアリーたちはどうなの?無事…?」
「あぁ…リーダー…一応、ただ眠っているだけのようなので、無事ですけど…」
「そうなの…じゃあ、彼女達が起きたら私のところにくるように…」
「起きてますよリーダー…」
私が言った台詞をさえぎりながら、メアリーが目を覚まして私の方をみたのだけど……
ふむ…起きたばかりでいきなり聞くのは、ちょっと厳しいかも知れないけど、我慢して貰うしかないわね…一体なぜ負けたのか…それを聞かないと…
「起きていきなりで悪いんだけど…なぜあなた達が負けたのか…教えてくれない?」
「……で、デメトリオの作戦に…負けました…」
「なっ!?」
メアリーがそういった瞬間、この部屋の中にいたモンスターラグーンのメンバー全員に…いや、セム以外に驚きの表情と戦慄が走ったのよ…
多分、私も他のメンバーと同じくらいは驚いていると思うわ…
で、デメトリオ…まさか、メアリーからその名前を聞くことになろうとは思ってもいなかったわ…
まさか…デメトリオの作戦に負けたって言うの!?あの馬鹿で臆病者でビビリで鈍感なデメトリオの作戦に…!?
そんな馬鹿なことが……
いいえ…落ち着きなさいメリィ…落ち着くのよ…リーダーたるもの、ここで動揺しては全体の士気に関わるわ…
「デメトリオの作戦って、どんなものだったの…?」
「はい…えっと…前方に大勢の部隊を集めていて、私達がその部隊の兵士さんたちと戦闘を始めた時に、いきなり両端の建物から少数の兵士さんたちに攻撃を仕掛けられました…で、私はその時に油断して…ねむっちゃって…きーちゃんとユカさんなら知っていると思うけど…」
「……奇襲作戦…デメトリオがそんな事を思いつくなんてね…でも、きーちゃんやユカはそんな安っぽい奇襲には引っかからない戦力を持っているはず…」
「……地面に、爆弾がセットされていたんですよリーダー…」
「あら、ユカ…起きたのね…爆弾がセットされていた…それはどういうこと?」
「私ときーちゃんはあの後、メガロス帝国の兵士長っぽい感じの人に戦闘を仕掛けたんです…で、私達は勝ちを確信していたから油断していて…地面ごと吹き飛ばされたんです…」
「正確にはー…眠らされただけだけとねー♪」
「まぁ、そうとも言いますけどね」
……的確に私達の油断をついてくる作戦を使ってきたようね…
まさか、デメトリオがそこまで……ちっ…生意気ねぇ…
いちいち敵にならなくても、こっちでその能力を発揮してくれれば、役に立ったのに…
……でもまぁ…サリィの将来の結婚相手の長所がまた一つ分かっただけでも、よしとしようかしら…?
でもまぁ…メガロス帝国を攻めるにあたって、国内に攻め入って拠点を一つでもゲットしておくことは最低条件…ここは、デメトリオの作戦を完璧にぶっ壊すことが出来るメンバー達を送り込んで、あの壁の中に入ってすぐの場所を取ることを目標としないと……
私はそう思うと、すぐにメンバーを選び始めたのよ…
ここは、他の援軍として駆けつけてくれた仲間達を使わずに、モンスターラグーンのメンバーだけで突破したいのよねぇ…
……決めたわ、これなら…絶対にさっきメアリーたちが負けた場所を手に入れることが出来る!!
「リーネ…今すぐここに、スカニ、アイネ、チェルシー、シエスタの4人を呼んでくれない?」
「へっ…?あぁ、わかりました…呼んできます」
私はリーネに4人をここにつれてくることを指示すると、4人がここに来るまでの間…ここでティータイムにいそしむことにしたのだった…
……まぁ、ティーじゃなくてミルクなんだけどね?
〜〜〜ヤマトに視点変更します!!〜〜〜
俺が花梨によって真っ黒焦げにされてからもうすぐ3時間が経過しようとしているが…ここにきて、ようやくロンメルさんや自警団の連中がやる気になって戦ってくれているんだよ!!
いやぁ…長かった…1時間くらいは敵が花梨にビビッて攻めてこなかったけど、それからの2時間が本当に長かったぜ…
まぁ、ミッシェルさんの娘達がここに援軍として駆けつけてくれたから、個人的には楽…だったか?
それより、聞いてくれよ!!ミッシェルさんの娘さん達…ミッシェルさんの言うことをしっかりと聞くし、それを指揮するミッシェルさん…凄い強いんだよ!
えっ…?なんでそんな事を知っているかって?そりゃあ…目の前で戦っているからかな?
まぁ、俺も出来る限りは頑張るけど…彼女は本当に凄い…俺は思わずそう思ったね…
「行きますよ!!みんな、アタックフォーメーションです!」
「はい!!母様!!」
「さて…【レード】【フォムラウド】【ステルアラ】【アルドシュターゼン】」
だって、固有技を何個も連続で出すことが出来…なおかつ、娘達はその技にあわせてどう動くか…それを全部覚えているんだぜ?
……まるで、流れるような攻撃に俺は思わず…すげぇって思ってしまったね…
それに、敵のリザードマンやサラマンダー…はたまたオーガとか彼女達を倒すのに、俺は50分をついやし、更に自警団のみんなの支援が無いと無理だというのに、ミッシェルさんは彼女達を一瞬で倒すんだから…半端ないよ…
いやぁ…本当に彼女が味方でよかった…敵だったら、一応戦いはするけど勝てる気はしなかったからな…
「みんな!!少し休憩するから、戻って来なさい!!」
「はーい!母様!!」
「ふぅ…あ、ヤマトさん…椅子とテーブル…あと、ティーカップを用意できるかしら…?わたくしがここに持ってきた鞄の中にあると思いますので…」
「え…いいですけど…いいんですか?戦い中ですよ!?」
「確かに、争いを行っているときに悠長にティータイムにいそしんでいる場合ではないかもしれません…ですが、わたくしは娘達に無茶をさせたくもありませんの…争いには、適度な休息が必要不可欠なのです」
……ま、まぁ…適度な休息は必要だと思うけど…敵はすぐ近くにいるんだぜ?
悠長にティータイムにいそしんでいる場合では無い…俺はそう思うんだけどなぁ…
俺はそう思いながら、ミッシェルさんの鞄からおしゃれなティーカップとテーブル…そして椅子を取り出すと、ミッシェルさんの為にセットし始めたんだよ…
……この鞄の中に、一体どうやってこれほどの大きさのテーブルと約200はあるだろう椅子を入れたのか…それを俺に教えて欲しい…
なんて思いつつ、俺はセットが終わると、また戦いの準備を始めたんだ…
せめて、ミッシェルさんがティータイムにいそしんでいる間…俺は敵の進行を食い止めないと…
俺はそう思いながら、敵陣に走っていこうとした…のだが…
「ヤマトさんもどうです?真面目なのはいい事ですが、たまには気をお抜きになったら…?ちょうど、ここで戦っている人全員の分…ティーカップを特注で取り寄せたのだから、ヤマトさんもハニーティー…お飲みになってくださいな」
「……しかし…」
「そうだよー!母様がそう言っているんだから、遠慮しちゃダメ!!」
「無茶したら体を壊したり、怪我しちゃうよー?だから、ここで休憩しないと!」
「娘達の言うとおりですわ、それでは…こちらにどうぞ…」
「あっ…はぁ…」
なんだか、言われるがままに座ってしまったんだが…本当にコレでいいのだろうか?
でも、折角のミッシェルさんの行為をないがしろにするわけには…いけないよなぁ…やっぱり…
俺はしばらく悩んだすえ、少しだけならいいかと思い椅子に座らせて貰ったのだった…
……なんだろう?この無駄にまったりとした空間は…!?
これが…本当に戦いをしている最中の空間なのか!?
なんて思ってしまうほど、俺は目の前のミッシェルさんやミッシェルさんの娘さん達と一緒にまったりとハニーティーを飲んでいたんだ…
俺はただの門番の仕事以外、やったことはほとんど無いからなんとも言えないが…それでも、この空間には変な安らぎがあるって事には気がついたね…
そう思いつつ、俺はミッシェルさんにハニーティーのおかわりをお願いしようとしていた時だった…
いきなり物凄い砂塵が風に巻き上げられながら俺達に直撃したんだよ!!
砂がハニーティーの中に混入してしまい、ミッシェルさんの娘さんは涙目だ!
一体…なんだというんだ!?
俺がそう思った時、いきなり俺たちの真上が暗くなったかと思うとすぐ、灰色のドラゴンが俺たちの前に降り立ってきたんだよ!!
彼女の周りには風が凄い勢いで吹き荒れているのが明らかに見ても分かるからあの風は恐らくあの人が起こしたんだろうな…
しかし、灰色のドラゴンとは珍しい…しかも、体に風を纏っているなんて…
いや…俺は言わないよ?まるでクシャ○ダオラみたいだなんて俺はな?
「ちょっとあなた…折角のティータイムを邪魔するなんて失礼じゃありませんこと?礼儀をわきまえていただけません?」
「これは大変失礼なことをしたとお詫びさせていただこう…どうも私は700年前に風の制御の仕方を忘れてしまったようでね…私の名前はシャイニング…シャイニング=トォルナーだ。覚えていて欲しい」
「……で、わたくし達にいったいなんの御用かしら?」
「いや…どこかに私と謎かけで戯れてくれそうな者はいないかと思っていたら、優雅にティータイムを楽しんでいたあなた達がいてな?あなた達なら私と謎かけで遊んでくれるのではないかと…ね?」
「謎かけ?悪いけど…今はわたくし、娘たちとの時間を大切にしつつのんびりと過ごす予定なの…戦いが終わったら遊んであげてもいいわ」
「それじゃあ、私が困る…そうだ、じゃあこの謎ときをバトルとして遊んでもらえないだろうか?謎ときに失敗したらあなた達の陣に私が竜巻を発生させる。成功したら、私が仲間がいるところに竜巻を発生させる…これでどうだ?」
「……それをあなたが本当にするという決定的証拠はありますの?口約束はいつでも破ることが出来るのですよ?」
「そうだな…確かにそういわれれば、決定的証拠は無い…だが、私は自分の能力でいつでも竜巻を発生させ、あなたの仲間がいる拠点にぶつけることが出来るんです…わざわざ自分の不利にもなりえるようなことを持ちかける道理は無いはずですが?」
「……それもそうですわね…いいでしょう!!謎ときに付き合って差し上げましょう!!」
こうして、奇妙な戦いがここに始まったんだよ…
まぁ、謎ときで戦いが出来るなら、あまり野蛮じゃない分…俺は良いと思うよ?
「では1問目…とある場所に、とある旅人がいました…その旅人は、あるものを探すために旅をしていたようなのですが、断念してしまったようです。では、探し物とは何でしょうか?」
「簡単ね…探し物はあるものでしょう?あるものを探すために旅をしていたのなら、探したところで見つかるのはそのあるものだけでしょう…」
「おや…?ひっかけてみても引っかかりませんか…さすがですね…」
シャイニングはそういうと、ためらいも無く右手を振り下ろし、味方を吹き飛ばしたんだよ!!
み、味方でも容赦なく吹き飛ばすなんて…普通じゃないぞ!?
俺は思わずそう思うと同時に、彼女が本当に物凄い力を持っているって事を悟ったんだよ…
……彼女はさぞ…名前のあるドラゴンに違いないな…俺は知らなかったけれど
「さて…次は2問目…世界中の人全員に聞いても、誰もが口をそろえて役に立たないという物は何でしょう…?」
「……役に立たない…?役に…」
「お母様ぁっ!!わたし、分かりました!!ごにょごにょ…」
「…なるほど…さすがはわたくしの可愛い娘です!!」
「なでなでしてーー!!」
「はいはい…よしよし…」
………えっ?これって、第3者の介入ってありだったのか…?
なんだか、雰囲気的にそれはしたらだめだろうって思っていたんだけど…
などと思いながら、俺はシャイニングの方をみたんだが…
あれ?彼女の表情…あまり快く思ってないんじゃないか!?
「わかりましたわ…答えは洋ナシですわ!!」
「……正解ですが、その答えは第3者が考えたもの…そうではありませんか?そのような不正を許すわけには……いけません!!」
なんと、シャイニングがそういうと、次の瞬間…ミッシェルさんの娘たちに風が向かって行ったんだよ!!
「な、なにをするのです!?わたくしの可愛い娘に手を上げるなどと…」
「謎ときという物は一部の例外を除いて、1対1で行うものです…よって、さきほどの行為はルール違反…攻撃されても、文句は言えないはずですが?」
「……娘に手を上げたこと…後悔させて差し上げます!!」
お、穏便に片付くと思ったのに、やっぱり結局は戦いになるんじゃないかよ!
あれだな…謎解きで本当に決着がつくんじゃないかって思った俺が馬鹿だったよ…
しかしまぁ…両者とも物凄いオーラだなぁ…
俺が踏み入る隙間も無いんじゃないのか?これは…両者のやる気を尊重して俺は戦いには参加しないほうがいいな…うん
俺はそう思うと、二人の戦闘に巻き込まれない場所まで移動したわけだが…
「みんな…頑張れますか?」
「はーい!!お母様の役に立てるように、頑張りまーす!!」
「アタックフォーメーション!!【レード】」
おっ…これは、怒涛のコンボが開始される予感がするぜ…なんて、俺はミッシェルさんの攻撃で判断したんだ…
だが、ミッシェルさんの娘達が攻撃を仕掛けようとした次の瞬間、ミッシェルさんの娘達が何かに弾かれていったんだよ!
「はうぅっ!?」
「な、何なの…壁…?」
「ふみゅうぅ…」
「あぁっ!!わたくしの可愛い娘達が……みんな、大丈夫?」
そういう風に娘を心配するミッシェルさん…凄いな…あれは、親の鏡って奴だな…
しかし…シャイニングの近くには何か特殊な壁…のようなものもあるんだろうか?そうじゃないと、ミッシェルさんの娘たちが弾き飛ばされた原因の説明がつかないからな…
だが、俺のこの疑問はすぐ…シャイニングの発言によって解決されたんだよ…
「ふふっ……いくらあなたでも、私の風の守りは崩せないようですね?まぁ、当然ですよ、あなたがどれだけ生きていようと、私は1000年も昔からこの世界に君臨していたのですから…経験が違いますよ」
…か、風の守りだと…!?あれだな…よく色々な状況で利用されそうな名前だが…実用性は高いんだろうなって…俺はそう思ったね
「さらに…私は好きなところに竜巻を発生させることが出来る!!つまり…あなたの足元からも…ね?【クレイモア・ハリケーン】!」
「くっ…きゃああぁっ!!」
お、おぉっ…なんと恐ろしい不意打ちなんだ…って、驚いている場合じゃないぞ!?いや、別に驚いてもいいけど…あの能力が発揮されたって事は、彼女は右手を振り下ろすだけで、どこにでも竜巻を起こせるって事じゃないか!
か、彼女が怒っただけで…この世界には天災が起こりそうだな…
「私は心が広いからな…降参してくれれば手荒なことはしないつもりだ…降参して貰えない?」
「む、娘達を傷つけた相手に対して…負けを認めろって言いたいのですか!?そのようなこと、出来るわけ無いでしょう!」
「でも、認めないとあなたの娘さんはもっと傷つくことになる……私はこの人生の中の1000年間で常にこの状況を作ってきたけど…この圧倒的能力差を見て戦いを挑んできた者はいないから…ね?」
「くぅっ…(確かに、ここで無理に戦いを引き延ばしたら、わたくしの可愛い娘が痛い目にあってしまう…ここは、降参するしか…ないわよね…)」
……あれ?あの何か深く物事を考えているような表情…まさか、諦めようとしているのか!?
た、確かに…彼女は圧倒的な能力の持ち主だが…諦めるというのか!?
諦めたらそこで何もかも終わりになってしまうじゃないか!!それなのに…
なんて俺は思ってしまったが、これはあくまでもミッシェルさんが決めることだからな…
「……わたくしは…」
「お母様!!私達はまだ戦えますから!ここでお母様が降参してしまったら…」
「でも、あなた達を危険にさらすわけには…」
「私達は大丈夫です!!なので……降参はしないでください!!」
「…わかったわ」
ミッシェルさんとミッシェルさんの娘たちは話し合いの結果…降参することをやめたらしく、俺はこの結果に満足していたんだ…
やっぱり、何事も諦めずにやることが大事だからな…?
だから、降参なんてして欲しくなかったんだよ!!
「……ほぉ…珍しい答えですね…諦めるものとばかり思っていたのですが…でも、風の守りを破ることが出来ないと、私にダメージを与えることは出来ない!」
「って事は、あなたのその風の守りを破ることが出来たらこの戦い…勝てる可能性があるって事でしょう?いいわ…わたくしがあなたの守りを打ち砕いてみせましょう!!娘と一緒にね!!」
「…ほぉ?つまり、私のこの風の守りを破る方法を見つけると…?ははっ…これはいい…私の能力が謎になろうとはな…じゃあ、私も知らないこの能力の突破の仕方…教えてもらいましょうか!!」
シャイニングはそう言いながら、右手を上げながら、小規模の竜巻を発生させているんだ…
果たして…ミッシェルさんはシャイニングの風の守りの秘密を解明することが出来るのか…実に、気になるところだぜ…
俺はそう思いながら、吹き荒れる風の中にいる彼女たちを見ていたのだった…
……どうでもいいが、この俺の場違い感…半端じゃないよなぁ…
いや…勝てそうにないから変に手は出さないけどさぁ…
12/08/17 22:23更新 / デメトリオン
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