連載小説
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77 南通り防衛戦
俺がナッカーサーに言われてこのケイの研究所で各兵士に指示するために待機していると、ある事実に直面したんだ…
機工障壁が崩壊して早4時間…何の変化も起こることなく待っていることは暇で仕方がないんだよ!!
いや……既に待っているわけだから、いまさら言っても遅い…そんな気はするんだけどな?
いやぁ…自分でも、こんなにじっと画面を見続けることが出来た集中力には驚きが隠せないぜ…うん!!

……

し、静かだ…静かだぁぁぁぁぁぁっ!!
こんなことを言ってしまっては不謹慎かも知れないが…モンスターラグーンのメンバー達は来ないのかよ!?
お、俺のこの頼まれ事…もとい任務はこのまま何もせずに終わるというのか!?
思えば、この仕事をナッカーサーから頼まれた時から…何か嫌な予感はしていたんだ…
やはり、俺の予感は正しかったかぁ…
俺は宿屋を経営し始めた花の18歳の時期から、一人で地味に仕事をし続けていた訳だが、本来俺は一人で作業をするのは苦手なんだよ!!
俺は楽しくトークしながら作業をしたいのに…今までの人生での仕事ってほとんどがこんな一人作業なんだよなぁ…
まぁ…変に愚痴っても今の状況が変わるわけでもないし、別にいいんだが…

そう思いながら、俺はふとメガロス帝国の兵士連中のことを考え始めたんだ…
4時間前、アヤネやアミルたちの襲撃により大勢の兵士達が散っていったが彼らは一体どうなるんだろうか…?やっぱり、敵に捕まったって事は、やっぱり拷問とかされるんだろうか?それとも、案外待遇はよかったりするんだろうか…?
……4時間前、俺は一体あの兵士達になんて酷いことを…
あの時の俺は、その後の兵士がどのような目に会うのかってのは全然…考えていなかったんだよなぁ…
今になって思うと、俺はあの時、最低だったと思うよ…うん…
ダメだよなぁ…俺って…最低な行動はできるだけとらないように生きているってのに…最近、世間の風当たりや目線が痛く感じるんだよな…
願わくば、あの捕まった兵士達が苦しまないように祈るとするかな…

なんて思いながら、じっとモニターを見続けているといきなり、エレベーターが開いたんだよ!!
だ、だ、誰だ!?ナッカーサーか?
俺がそう思いながら慌てて振り向くと、俺は勢い余って椅子から転げ落ちたんだよ…
う、うおぉぉぉっ…せ、背骨にきただとぉ…

「だ、大丈夫かい?」
「……ぅぉぉぉっ…あ、あれ?グランマーグじゃないか…どうしたんだ?」
「いや…もうすぐ昼だから、食事を持ってきたんだ…ナッカーサーが持っていけって言ったし…」
「あぁ…すまないなぁ…で、食事って一体どんなメニューなんだ?」
「あぁ、これだけど…」
「どれど…うぐぅっ!?」

……え…エビフライだと…!?さらに…エビチリに甘エビの刺身…
ナッカーサー…俺がエビを食べれないのを知ってこれを送りつけてきたのか?
こ、米以外食べることが出来ないじゃないかよ!!
くっ…ど、どうするデメトリオ…?この窮地を…俺はどう切り抜ければいいんだ!?
俺が内心そう焦っていると、グランマーグは少し心配したような表情でこういってきたんだよ…

「…どうしたんだい?まさか…苦手な食べ物でもあったとか…?」
「…い、いやぁっ?別に?美味そうだと思うよ俺は…(い、言えない…実は米以外全て食べることが出来ないんだってこと…折角遠いお城からここまで食事を運んできてくれたグランマーグにはとてもじゃないけど言えやしない!ぽっちゃりしているグランマーグにとっては…ここに来るまでの道のりですら試練だったはずだ…それを、俺がエビを全部食べることが出来ないからとまた城に持って帰らせるのは…さすがに酷いだろ…)」
「よかった…おかわりは残念ながら無いけど、のんびりと食べてくれ…夜になったらお皿を返してもらいにここに来るから…監視係…頑張ってくださいよ!」

そうして、グランマーグが去っていった後、俺は震えながら受け取った皿を机の上に移動させたんだよ…
お、俺はこの悪魔の食べ物をどう処理していけばいい!?た、食べろというのか!?やはりそうなのか!?
なんて思いつつ、割り箸を割り…そっとエビフライに箸を近づけていく俺…
………見えたぁっ!!

サクッ……

ふっ…これで、中のエビ部分を食べることなく外の衣を食べることが出来る…
どうだ?物凄く活気的なアイデアだろう!!
相変わらず、俺の賢さには自分でもびっくりだ!!
そして…エビフライ(衣)を片付けた俺は…次の狙いを甘エビに移す…ふっ…
ま、待てよ…食べるからな!!

「……うっ…ええい…やってやる!!」

俺はそう言いながら、甘エビを口の中に放り込んだんだが…
口の中でなんとも言えない食感が広がり…左手をプルプルさせていたわけだな?
ま、まぁ…甘エビも食べたし…次はエビチリだな…
甘エビよりは…楽に食べれそうだが……行くぞぉっ!!
俺はそう思うと、即座に物凄い速度でたまねぎだけを厳選し口の中に放り込んでいく…
お、おぉ…このチリソースがなんともいい味出してるぜ…

「そして遂に来ました白いご飯!!やっぱりこれかパンじゃないよな!」

そう言いつつ、ご飯を口に入れる俺……
こ、これはっ!?

「美味い!!」

な、なんて美味さだ…この輝くばかりの白い米…これがこれほどの癒しと光を俺に与えるとは……よ、世の中もまだ…捨てたもんじゃないなぁ…うん…
そうして…俺はしばらく、ご飯のおいしさに感動していたが…
俺がご飯を食べた後…さらには衣をのけられたエビに甘エビが数匹…そして、まるで血の池と錯覚さえさせられてしまいそうなチリソース…と、その上に浮かんだエビ共がまだ俺を仕留めるかのごとくそこにいたんだよ…
くっ…やはり、頭の中では存在を抹消しても、現実は厳しいって事なのか…
ど、どうする…?どうすればいい…?
捨てちまおうか?いや待て…それは全世界の飢えている人たちに失礼だ…
それに、人としてあまり褒められた行為じゃないなぁ…

そう思いながら、しばらく考え込んでいたんだが…俺の目に、ふとあるものが飛び込んできたんだよ…
あれは…ケイの食事じゃないのか…?幸いなことに、メニューは俺とほぼ同じ…グランマーグの奴…直接ケイに届けていなかったなんてな…
しかし、おかげで助かったぜ…俺がケイに届けてあげればいいじゃないか!
……このエビは仕込んでも…多分…ばれないよな…?

そして俺は、エビをケイの食事に大量投入すると、すぐにエレベーターを使って一番下の階のボタンを押したんだ…
確か、ケイの機械を作っている工場的な場所はこの建物の一番下って言ってた気がするしな…
そう思いつつ、エレベーターで地下まで降り続けていると…すぐに地下室についたから、俺はケイを呼んだんだ…
まさか、ここまで来てこの部屋にはケイ…いないって事は…

「ケイーー!!いるかぁーー?」
「…ん?デメトリオ?僕は今手が離せないんだけど…どうした?監視は?」
「あぁー…ちょっと、グランマーグが弁当持ってきてさ…ケイに届けてあげようと思って…このテーブルにおいておくから、食べろよ?じゃあなーー!」
「あぁ…ありがとう」

よしっ!!任務完了だ!!
後はまた…モニターをずっと見続けるってつまらない作業か…
俺はそう思いながら、エレベーターのボタンを押したんだよ…
そうだなぁ…何か暇つぶしの方法でもあれば気が楽でいいんだけどなぁ…
なんて思っていると、あっというまにエレベーターは目的地に着いたんだよなぁ…
さぁて…また暇な作業を…って、侵入者だと!?
くっ…つ、ついに来たかぁ…場所は…やっぱり南通りって場所だな…
さぁて…ナッカーサーに頼まれたんだ…皆に的確な指示を出さないといけないな…
でも、もしも負けてしまったら許して欲しいって初めに…言わせてくれ…
えっ?なんで後で言わないのかって?そりゃあ…俺はその時には逃げている計画になっているからな…言いたくても言えないからさ!!
えっと…侵入者は…ユカとリバティーとメアリーときーちゃんか…?
リバティーが出てくるなんて、珍しいこともあるよなぁ…

まぁいい…とにかく兵士に報告しないといけないな…
俺はそう思うとすぐ、赤い色のボタンを押して兵士に報告したんだ…

「南通りを護衛している兵士に告ぐ!!モンスターラグーンの兵士が攻めてきたから各自戦闘体制に入ってくれ!!諸君らも知っての通り、俺たちは弱い!なので、ここは建物を生かした奇襲を仕掛けようと思う!!南通りの両端の建物に各兵士4人ずつで待機…そして、他の兵士は真正面から迎え撃つんだ!!だが、恐らく二人ほどがこの作戦を見破ってくる可能性がある…だから、実際に戦う場所に大量の催眠手投げ弾を埋めておくんだ。で、その催眠手投げ弾のピンの部分に紐をつけ…残る二人がその上に来て…なおかつ兵士諸君が負けを確信した時にその紐を持っている兵士が紐を思いっきり引くんだ!!仲間がその真上にいたとしても迷わず引けよ?仲間を吹き飛ばすわけじゃないんだ…どうせ、催眠ガスが充満するだけ…仲間の兵士が寝たら、ベッドに連れて行ってあげればいいだろ?じゃあ…みんな、計画通りに頼むぜ!!」

〜〜〜南通り兵士長のエンゼルに視点変更です!!〜〜〜

俺は、あのデメトリオって新人のいうことに従うのは賭けじゃないのかって正直思うが…彼はかつてモンスターラグーンっていう集団に属していたんだろ?
……いいだろう、一度賭けてみるのも悪くない…
そう判断すると、俺は部下に各自指示したんだが…奇襲…かぁ…
今じゃあこの国で、孤児の時からつれてこられた兵士達の中で最年長クラスの俺だが…よもや国内戦を行うことになろうとはな…
ちなみに、俺達兵士長は特殊な能力とか、【ミカルド】のみなさんみたいに特殊な武器があるわけでもない…つまり、ただの兵士と同じ立ち位置にいる訳だな?
まぁ、そんな事はどうでもいいのだが…

俺がそう思いながら、部下の奇襲用意が終わるのを待っていると、南通りの遠くの方で、白いものがふわふわ飛んでくるのが見えたんだ…
な、なんだ…?あれは…?

「あははーー♪大きな建物がたくさんあるよねー♪メアリーちゃん」
「ちょっときーちゃん…遊びに来たわけじゃないんだから…」
「早く男…出てこないかなー…」
「てか…めんどくさい…なんで私がいちいちこの侵攻作戦に参加しないといけないの!?自分の部屋で今まで買った本を読み漁るので忙しかったのに…働きたくないし、自分で動きたくないし、部屋でゴロゴロしていたいのに…」
「あーー!!目の前に帝国の兵士さんたちがいるーー!」
「……よぉしっ!!頑張ろうねきーちゃん!!」

……何っ!?相手はまだ歳若い女の子じゃないか!!
くっ…ダメだ…俺には子供を攻撃するなんて事…とてもじゃないが出来そうに無いぞ…
ど、どうしたらいいんだ…

「た、隊長!!どうするんですか!?」
「……子供に攻撃なんて…俺には…」
「そんな事言っても隊長…向こうは明らかに戦う気満々ですよぉっ!?」

「いっくよぉーーっ!!【もふもふパンチ】!!」
「ぐほぁっ!!なんだ…このもふっとした感触は…変な安らぎを…感じ…Zzz…」
「た、隊長ーー!!早く指示を…はうっ…Zzzzz…」

くっ…どうしたら…し、仕方がない…これは戦い…戦いなんだ!!
俺は散々迷っていたが、遂に彼女達を攻撃することにしたんだ…
催眠弾だから…殺すわけじゃない…眠ったらそっとメガロス帝国から少しはなれた場所で寝かせておくから、許してくれよ…

「みんな…戦闘開始だ!!デメトリオの言った作戦通りにやれ!!行くぞ!!」
「おぉぉぉぉーーーっ!!」

俺たちは、作戦通り攻撃を始めたんだ…果たしてデメトリオの計画通りに動いて…本当に勝つことができるのか…?
それは分からないけど、今はあいつの奇襲作戦にかけるしかない…

「…デメトリオ…?デメトリオって…あの?」
「むぅー…やっぱり、裏切ったんですかデメさん!?どうして…」
「大丈夫だよー♪所詮デメトリオの考えた作戦なら、大したこと無いって!」
「それもそうね…みんなー!!はやくこの地域を陥落させよう!」

……さ、散々言われてるなデメトリオ…
なんだか、あいつの作戦が信用できなくなってきたよ俺は…
いや…ここであいつの作戦を実行するって決めたんだ…やるしかない!
ちょっと待ってろよ…まだ早い…彼女達を釣り上げるんだ…
5…4…3…

こうやってカウントしている間も、物凄い速度で兵士達が眠らされたり気絶させられたりしているんだ…
……あのコートをきた幼女やめんどくさそうに動いている目の下に隈がある女性はそこまで強そうじゃないし、戦いに不慣れといった感じだが、あの白い毛玉のような幼女や格闘技で責めてくる幼女は物凄い強いんだよ…
だが…時間だ!!

「みんな!!時間だ!!」
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
「なっ…何なの!?」
「……奇襲!?」

よし…釣れたぁっ!!
初めはどうなるかと思ったが…やるじゃないかデメトリオ…
しかも、人数を4人ずつにすることで機動性をも兼ね備えるなんてな…

初めは、絶対に失敗するんじゃないかって兵士達もぼやいていたが…これは間違いなく…勝てる!!
そう思った俺は、更に兵士達を前線から送り込み奇襲部隊の援護をするように指示したんだ!!

「はわわわわっ…きーちゃん!!どうしよう…このままじゃ…あぅっ!?」
「メアリーたん!?ふわぁー…これは、やばいよぉー?」
「うっ…きーちゃんは…逃げ…がくっ…くかーー…すぴー…Zzzz…」
「メアリーたーーんっ!!むぅー…怒ったよぉーー!!」
「くかーーー…むにゃっ…わ、私にはマイホームを警備する任務が…むにゃ…」
「い、いつの間にかリバティーも寝てる!?くっ…これは…危機…!?」

よしっ…敵も混乱しているようだ……だが、残る二人はやはり初めに強敵だと判断したあの二人か…
デメトリオの作戦はまだ一つ残っているが、今回は戦力的にも明らかに俺達が上…使う必要は今のところ、無さそうだな…
俺はそう判断すると、残る兵士に二人を囲ませると、一斉に撃つように指示したんだよ!
まぁ、これでいくら強そうだといっても寝てくれるだろ…

パパパパパパパパッ…

ふっ…さすがに、これくらい催眠ガスが上がっていれば、弾を避けたとしても寝ただろうな…
俺がそう思いながら、兵士達に撃つのを中断する命令を出すが……ガスが晴れるかというときに、そのガスの中から白いポワポワしたものが浮いて飛んできたんだよ…
な、なんだ?あれは…?パッと見、危険そうじゃないが…

「んっ…隊長…これ、何なんですかね?何か浮いてますけど…」
「ま、待て!!まだ触るのは危険だ!!おいっ!!」
「へっ……?いやいや隊長、大したことな…うわあぁっ!?」
「おい!!おーい!!」

な、何ということだ…
俺が必死に止めたにも関わらず、謎の白いポワポワを触ってしまった俺の兵士が…その白いポワポワしたものに飲み込まれた…!?
くっ…なにがどうなって…

俺がそう思うと同時に、さっき白いポワポワに飲み込まれた兵士が爆睡した状態でポワポワから吐き出されたんだよ……
いや、あれは表現的に、ポワポワが消滅して兵士が落ちてきた…って言ったほうが正しいか?
ま、まぁ…そんな事はどうでもいい…本当に、なにがどうなっているんだ!?
そう思いながら身構えていると、その白いポワポワしたものをそこらへんに撒き散らせながら、あの4人の中で一番若いであろう女の子が煙から出てきたんだよ!!
ま、まさか…あの集中砲火を食らってなお…普通に動けるだとぉっ!?
そ、そんな…馬鹿なことが…

「えーいっ!!くらえぇっ!!【もふボール】!!」
「う、うわぁっ!!」
「た、助け…ぎゃあぁぁあっ!!」
「隊長ーーーっ!!」

しかも、怒った彼女が撒き散らす大量の白いポワポワに当たり、俺の兵士たちは物凄い速度で白いポワポワに引き込まれ、そして眠らされていくだと…?
まさか、こんな技があるなんて…聞いてないぞ!?
そう思いつつ、白いポワポワを避ける俺だったが…か、数が多い…
このままだと……俺たちのほうが負けてしまうかもしれな…
俺がそう思った時だった…まだその場に停滞していた俺達が彼女達を撃った時に発生した催眠ガス…その近くにいた俺の兵士がいきなり催眠ガスの中にいるなにかにつかまれたのが見えたんだよ!!
ま、まだ何かいるのか…!?

「まったく…姑息なまねをして…覚悟しなさい!!」
「……な、何者だ!?姿を見せろ!!」
「大地の息吹と風の流れに身を任せ…食らえっ!!【ダークネス魔物フィンガー】!!」

いきなり煙の向こうからそう聞こえてきたかと思うと、その直後…俺は兵士が一人、頭の部分をガッチリとロックされながら地面にたたきつけられているのが見えたんだよ!!
か、彼女は…もう一人の俺が強いんじゃないかって思った女性じゃないか!
彼女は右手に真っ黒のオーラを纏いつつ、兵士を地面に密着させた状態でこっちに飛んできたんだよ!!
あ、あの兵士に対するダメージは恐らく…少ないではすまない気がするな…
そう思いながら見ていると、さらにその兵士にも真っ黒のオーラがまるで燃え移ったようになり…その次の瞬間、凄い速度で上空に上がったかと思うと、彼女はその兵士を投げてきたんだよ!!
ま、まるで…使い方が人間ミサイルじゃないかっ!?

そして、彼女に投げられた兵士は石を砕きながら地面につきささり、兵士の体を纏っていた真っ黒のオーラが周りにいる兵士にも燃え広がったんだよ!!
……まさか、こんなにも戦力に差が…出るものなのか…!?
やはり、デメトリオが言ったとおり、普通に戦ったら勝てないって意味が…ようやく分かったような気がするよ俺は…
俺がそう思っていると、彼女達はあることに気がついたかのように俺を見ると、俺に向かってきたんだよ!!
ま、まさか…俺がこの部隊の部隊長だってわかったというのか…!?
………仕方がない…デメトリオの考えた計画の一番最後…実行するとしよう!
応戦して戦っている兵士達もいるが……すまない、後で…優しく起こしてやるからな?

「あなたがリーダーのようね…一番最年長のようだし…」
「そうか…やっぱり見た目か…君達は見た目によらず…強いようだけどな」
「えーっ?私達は弱いほうだよー?おじさんがメアリーたんに酷いことしたからぁー…覚悟してよねぇーー!!」
「大体、デメトリオの作戦を実行したりするから…こんなことに…」
「……お前達はデメトリオの知り合いか何かなのか?そんなにデメトリオが嫌いなのか…?散々言っているようだが…」
「だってぇー…見るからに弱そうだし、しかも仲間を裏切るなんて最低だよぉ?それに、デメトリオは馬鹿だし…」
「……そう決め付けているだけかも知れないだろ?」
「あんなにすぐ戦いから逃げる奴が賢いわけ無いでしょ?そんなの…モンスターラグーンの全員が知っているわ!!」
「…(あいつ、ナッカーサーさんが言っていたように、大きく物事を見るのは苦手のようだが…小さい物事を考える時は案外…さすがはナッカーサーさんだ…人を見る目が…あるなぁ…)デメトリオがここに来た理由、俺にもわかった気がするよ…」
「何をごちゃごちゃ言っているのー?おじさんも早く寝ちゃいなよぉー…」
「そうだな…だったら…君達はデメトリオの事を馬鹿にしたことを後悔することになる!!人にはそれぞれ意外に得意としているものがあるって事を…起きた時によく考えるんだな!!」

俺はそういうとすぐ、こっそり足元に忍ばせておいた、地面に埋めてある催眠手投げ弾の紐を引っ張り、催眠手投げ弾を投げずに爆発させた…
あたりに物凄い轟音と光…そして異常なほどの煙が立ち上るとすぐに、俺の方に向かってきていた彼女達がぱたりと倒れ、眠り始める…
……勝った…勝った!!

「勝ったぞおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
「やったぁーーーーー!!初めて…初めて勝ったぁーー!」
「やっほぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
「みんな、喜ぶのはまだ早いぞ?まずは彼女達を機工障壁の外側に敷き詰めているブルーシートの上に寝かせてあげる作業と、眠った仲間を助ける作業が残っているからな……」
「……そうっすねぇ…よいしょっと…ぐっ…重…」

そうして、俺たちは攻めて来た彼女達を敵の分かる場所に返すと、すぐに一緒に戦った兵士達を起こし始めたんだ…
デメトリオ…お前の作戦、最高だったぜ!!

〜〜〜デメトリオの視点に移ります!〜〜〜

初めに俺が指示する役目を任されたときは…俺はまさか自分がここまで出来るとは思っていなかったんだ…
生まれて初めて…自分の考えた計画が成功した気がするよ…
あれだなぁ…こう…絶対に安全って分かる場所で物事を判断するのって案外…
気が楽でいいよなぁ…
もしもこれが戦い中とかだったら…俺の頭の中には逃げることしか頭に無かったと思うしね?
いや…だって、戦いってのは危険なものだから、逃げるのがセオリーってものだろ?俺は間違ったことは言っていないって!!うん!!
まさか…ナッカーサーは俺に適した環境はここだって…わかっていたのかな?
いや…まさかなぁ……それに、この勝利も単なる偶然かもしれない…
もし、これで調子に乗ってしまったら…俺は次の戦いで大敗するかもしれないしな…
…………まぁ、勝ったから自分にご褒美としてあそこにあるケイのお菓子…
もらうとしようっと!!
いや…折角の勝利だ…地味にだが祝うのも…悪くないって!!うん!
なんて…さっき調子に乗らないといっておきながら調子に乗り始めている俺がここにいたのだった……
さぁて…ケイ、結構お菓子持ってるじゃないかっと…へっへっへ…チョコレートGET!!

こうして、メガロス帝国は一回目の防衛戦に成功したのだった…ってな?
次もこの調子でいければいいけど…げほっ!?
す、すまない…サイダーが気管に入ってむせた……げほぉっ!
とにかく…次からもこの調子で…いければいいなぁ…
どうだ?俺のことを少しは見直しただろ?もっと褒めてくれてもいいんだぜ?
なっ?なっ?
よし…今回の俺は輝いていたから、きっとたくさん褒めてくれるに違いない…
俺はそう思いながら、またモニターを見る暇な作業を始めたのだった…
12/08/14 19:59更新 / デメトリオン
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■作者メッセージ
どうも!!

さて…ここで、デメトリオの意外な能力がまた一つ、明らかにされました!
そう…デメトリオは小さな物事にはよく気がつく人物なのです!!
これ、案外重要な能力なので…覚えておいてくれると作者としてはうれしかったり…

まぁ、先を見て物事を考えないので、今回の行動がメリィを怒らせたりする原因になったなど…そんなことには気がつかないんですが…ねぇ…
まぁ、悪い言い方をすれば、視野が狭いって事でしょうか…?
それに、少しは頭がいいとはいえ、そこまで賢いわけでも…ないんですけどw

次ものんびりと見ていただけるとうれしいです!!
ありがとうございましたーー!!

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