76 メガロス草原奇襲戦
〜〜今回は、モンスターラグーンサイドからスタートです!〜〜
私は夜が明けて…ジャンヌからの報告を受けた時、正直物凄く驚いたのよ…
まさか…私がサリィのことを考えながら寝ていたら…いざ起きてみるとジャンヌが結婚相手をGETしたとか…
正直…ここは本来、モンスターラグーンのリーダーとして祝福するのが当たり前なんだけど…
て、展開が速すぎてついていけないのよ…
くぅっ…これだったら…胸が成長するようにっていつものように牛乳を飲んで祈りつつ、眠るんじゃなかったわ…
なんて後悔しながら…私はジャンヌがいるところに行ったのよ…
さぁて…ジャンヌの夫はどんな人物かしら…?
そう思いながら、私はまたデメトリオの宿屋のロビーに出たんだけど…
「あっ…リーダー…私、その…」
「理想の相手を見つけたんでしょ?だったら…いつものあなたみたいに堂々としていなさいよ…で、その相手ってどこなの?」
「…彼が私の婚約者のガイウスで、彼はメガロス帝国の元兵士なんですけど…」
なんでジャンヌはあんなにおどおどしているのかしら…?
まさか…まさかとは思うけどジャンヌは私がメガロス帝国の兵士だからって彼女の夫であるガイウスを拷問して…あの壁の突破方を聞きだそうとしているとでも思っているのかしら…?
「あのねぇ…ジャンヌは私があなたの夫を拷問してでもあの壁の突破方を聞き出そうとしているとでも思っているの?言っておくけど、私は他人の夫に手をだすほど野暮じゃないわよ?私が厳しく当たるのは…デメトリオだけなんだから…ね?」
「えっ!?そうだったんですか!?私はてっきり男性には強く当たるのかと…それを聞いたら…ふっと肩の力が抜けました…なるほど、デメトリオだけなんですね?強く当たるのは…」
「そうよ…で、頭にバンダナを巻きつけていてボサボサ頭の彼がガイウス?」
「はい!!夜に戦闘を行っている際…互いに全力を出して戦い…私が勝利したので…彼は私の夫です!!」
「……ジャンヌ、彼の意思はどうなの?彼は…結婚することに関してはなんとも思ってないの?確かにあなたが結婚することはモンスターラグーンのリーダーとしてもうれしいことだけど、彼も結婚に賛成していないと…長続きしないわよ?それは……かなりつらいことだから…」
私はジャンヌにそう言ったんだけど…ジャンヌはちょっとだけドヤ顔を浮かべると、指を立てながらこういったのよ…
「その点も…大丈夫です!!彼は私の想いを…分かってくれましたから!」
「……そうなの…だったら、私はこれ以上は何も言うつもりはないわ…じゃあ、無茶をしない程度にこの戦いが終わるまで…協力してくれたらモンスターラグーンを卒業ね…それまでは、今までと同じくお願い…」
「はい!!」
私はジャンヌにそう言うと…すぐに宿から出て飛び上がり、メガロス帝国の壁を見たんだけど…
なっ!?あの憎き壁が…全開している!?ゾーネの発明品でさえ壊すことが出来なかった壁が…なぜ…?
私がそう思いつつ陸地にまた降り立った時…ゾーネが私に近づいてきたのよ…
「メリィ!!分かったのじゃ!!あの壁の…突破方が!!あの壁の成分をしらべ…そして研究やあらゆる可能性を考慮しつつ計算すると…あの壁は、石灰水に弱いということがわかったのじゃ!!今すぐマゼンタに頼んだり…カルファを援護するためにエメラが派遣した部隊に石灰水を持ってきてもらう必要が…」
「ゾーネ…残念だけど…あの壁…全開しているわよ…?」
「なっ…なんじゃと!?わ、わしのこの2日間の研究は…徹夜は…無駄じゃったという事なのか……」
「そのようね……」
私がそう言い放ち、それと同時にゾーネがガクリと膝をついたときに…
谷でデメトリオと話していた男が慌てて走ってきたのよ…
えっと…確か…ヤマトだったかしら?
「えっと…メリィさん!!謎の第3勢力が…こちらに奇襲を仕掛けてきました!敵には…謎の剣技を使う女剣士と…竜巻を発生させるドラゴンがいます!それに…少なからず、敵がいるようなのですが…どうしたらいいでしょうか!?」
「……えっと、ヤマト?あなたは敵がこちらに向かっているって言うのに、私のところにのんきに聞きに来たの?どうしたらいいかって…戦うしかないでしょうが!!」
「あっ…はぁ……(そんなに怒ったように言わなくてもいいと思うんだけどなぁ…)」
「まぁ…あなたの上司のロンメルに聞いて来いって言われてきたんだろうけど……いいわ…迎え撃ちなさい!!」
私はヤマトにそう指示すると、すぐに宿屋に戻っていったのよ…
さて…援護には当然行かせるとして…誰を行かせようかしら?
…そうだ、この機会に私とここまで来たメンバーや、他にも救援に来てくれたメンバーを、どの勢力と戦わせるかを決めておこうかしら…
私は不意にそう思うと、頭の中で二つの枠をつくり…仲間を当てはめていったのだけど…
------------------------------------------------------
対メガロス帝国メンバー
・私
・スカニ ミリアナ ソフラン ゾーネ セム キュラス
ケイト コニー ペギー ジュンコ アイネ チェルシー
ミリエラ フランチェスカ クレスタ シーマ リット
ユカ リバティー メアリー きーちゃん シエスタ
・ミーシャ率いる部隊で…ラズベリー レフィア
命 ロリエ ドラグーン ウェス
・エミナとシュユ
・七罪のシャルル クレオ リカ シャロン
リサリサ メロン シズカ
・ジャック
・そして、私の友達のナナ ダーク 刹那 エアー
・エシュタールとその部下の菊太郎率いる部隊
・最後にカルファ率いるエメラ軍
------------------------------------------------------
対第3勢力メンバー
・リーネ ヘレン マヘリア ヒュウ レベッカ ナナ
ククリ プクプク マゼンタ
・ミッシェルと彼女の娘達
・レヒテとリンケの姉妹を初めとしたミリル アセロラ
トリス パリス ピーチ モモ スモモ メリュシィ
フリューゲル ムェーバ ベアード カルメラたち
デモンスタワーメンバー
・ロンメル率いるハオファ コキノ セブレ 光一
ジュリアン プリムラ カト ズールー ヤマト
たち谷メンバー
・レノン ヴァーノ サイファー リシャナ レジャンヌ
リルビー ローレライ ミラたち砂漠メンバー
・コリンと裕実
・JAXAの次郎 朱雀 朱里 絆 天馬 天音 真 由紀
ジオット
-------------------------------------------------------
って、こんな感じでいいかしら…
あっ、どうしてこんなに大勢覚えているかを聞いたらダメよ?
決して…この手帳に書いてあった各部隊のリーダーが書いたメンバー表を見て決めたってわけじゃないんだから…ね?
…ロンメルたちの支援はリーネとミッシェルに任せることにして、メガロス帝国を攻める部隊も考えておかないと…
私はそう思うとすぐに、ロンメル軍を支援するようにリーネとミッシェルを宿屋に呼んだんだけど…
「リーネとミッシェルをここに呼んだのは他でもないわ…今、第3勢力の彼女たちが奇襲を仕掛けてきて…それにロンメルたちが応戦している形なのよ。あなた達はロンメルを援護してきてくれない…?」
「…リーダーの言う事だから別にいいですよ?」
「娘達…駄々をこねたりしないかしらねぇ…まぁいいわ…」
リーネとミッシェルは別にいいと言ってくれたし…これで安心してメガロス帝国に攻め入る作戦を立てることが出来るわ…
私はそう思いながら自分の部屋に戻って、メガロス帝国に向かって初めに出発させるメンバーを考え始めたのだった…
むぅ…第3勢力とメガロス帝国…かぁ…メガロス帝国は大したことないんだけど第3勢力が…気になるのよねぇ…
〜〜〜視点をヤマトに変更します!!〜〜〜
メリィさんに初めてあってからロンメルさんに報告をするまでの道のりの間…
俺はあることを考えていたんだ…
メガロス帝国にデメトリオが加担し…モンスターラグーンを裏切ったって話は本当だったんだな…ってね?
正直に言うと…モンスターラグーンのメンバーが谷に来た時…彼女が言った台詞を俺は信じることが出来なかったんだよ…
で…実際にここに来てデメトリオの姿をこっそり探しては見たけど…
結局見つかることはないし…正直、別れ際にデメトリオには物凄いダメージを心に受けているから…笑いながら顔を合わせるって事には抵抗があったけど…
まさか敵対するなんて……そう思うと、やるせない気分だぜ…
そう思っていると、ロンメルさんの所についたんだよ…
相変わらず…奥さんとイチャイチャしてさぁ…まったく…
ちなみに、俺の奥さんの狐火の花梨は今…テントでゆったりと睡眠中だ
……突発的にいいよられて結婚したけど、結婚して12日…今ではすっかり距離が開いてしまったんだよなぁ…
予想以上にわがままで…しかも不意にやってきては俺にお菓子を要求する…
まっ…そんな事はどうでもいい事なんだけどな?
「ロンメルさん…メリィさんに一応報告しておいたのですが…戦況はどうですか?」
「…ヤマトか?実はお前に大事な話があるんだよ…」
「……俺をメリィさんの所に使わしておいて、一体どんな話があるんですか?」
「いや…実は…ハオファとイチャつくのに夢中で…敵の戦況を確認してないんだよ!!でも、可愛い妻のためだったら…仕方無いよね?」
「………」
俺はロンメルさんの答えに思わず黙り込んでしまったぜ…
こ、この人は…今、戦いをしているってことを実感しているのか!?またかよ…またなのかよ!?
いつもいつも…大切なことを任せたら奥さんとイチャイチャするのに夢中で大切なことを一度もやった試しがないな…この人は…
そして……温水さんたちは…こんな切羽詰った時に三人で…何やってるんだよ!今は戦闘前なんだぞ!?性行為を行うなら…戦いの後に谷の自分の家でやれって!!
「はぁ…まぁ…ロンメルさんのことだからそうだろうと思ったよ…俺、少しプリムラたちとズールーたちのところに行ってくる…ロンメルさんはもっと真剣に事に取り組んでくださいよ…?」
「りょーかーい…」
……多分、真剣に取り組まないだろうなぁ…
まぁいい…俺達自警団のメンバーでこの戦い…少しでも優位に持っていくようにすればいいし…
そう思いながら俺は自警団メンバーの集まっているところに行ったんだけど…
「おねぇさまぁ〜〜!!戦いの前に…一回くらいハグさせてくだしぁーーい!」
「ちょっ…ジュリアン!!やめなさい!!」
「はぁ〜〜…そのつれない態度が…またいいです!!」
「ちょ…カト…違うって!!俺が彼女と会話していたのは、彼女が探していたものを探す手伝いをだな…」
「………ズールーの…首筋に魔力…感じる…」
「こ、こ、これは……探し物をしている途中に彼女が触れただけなんだって!本当に偶然なんだ!!」
「……ズールー…嘘…ついてないよね…?もし…嘘だったら……あの…女に…ズールー…渡せない…よ…?」
「だ、だ、だ、だ、だ、だ、だ、だ、だ、だ、だ、大丈夫さぁ…ははっ…」
「…………むぅー…」
「ふぃー…(嘘はついていないけど…あの光の無い目で見られたら…なんだか寒気が全身を駆け巡るんだよなぁ…やっぱり、カトを怒らせるのって怖いなぁ…)」
こ、こいつらもか……
くそぉ…俺だけかよぉ…真面目にこの戦いを行うために動き回っているのは…
まったく…ダメだあいつら…俺がなんとかしないと…
俺はそう思うと、あの遺跡の中で偶然見つけたハンドボウガンを操作し始めたんだよ…
ちなみに、このハンドボウガン…【バスティアン】は戦闘で役に立つ能力と役に立たない能力があってさ…
役に立つ能力ってのは、弓矢を5発同時に撃てるように装填できるんだ。
役に立たない能力ってのは…弓矢に変な魔力が宿って…このボタンで操作するんだろうけど…対象者のバストサイズを巨乳 標準 貧乳の三つに変更してしまうらしいんだよ…
まぁ、相手にダメージは与えることが出来るんだが…な?
あ…ちなみに、男には効果ないぜ?ズールーに撃って確かめたから…
ちなみに、バストサイズを変更することが出来ると知ることが出来たのは…
通りすがりの魔物娘さんにお願いしました。
で、しばらく待っていると、遂に第3勢力の彼女達の攻撃が始まったんだよ…
は、始まったかぁ…援護に来てくれないと…ロンメルさんや自警団のメンバーに任せておいたら…負けてしまうぜ…
俺はそう思いながら弓矢を装填すると、ボタンを巨乳に変更して戦場に走って行ったのだった…
で、戦場で俺はやけに好戦的な魔物娘達とバトルを始めたわけだが…
……なんでだろうか?今現在、応戦しているのは俺だけっていう現実がだな…
あ、あいつら…場所も関係なくイチャつきやがってよぉ…
俺なんか…嫁が予想以上にわがままで……色々大変だってのに…
なんてこんなことを考えていると、すぐに敵の魔物娘が遠くの方から獲物を見つけたような表情で走って来るんだ…
「そこの男…戦場で一人戦う勇気は認めてあげるけど、負けても後悔しないでよ?」
「じゃあ、手加減していただけません?」
「それは無いわね…行くわよ!!」
なんて、こんな掛け合いしながら俺はリザードマンの女性と戦いを始めたんだが…思っているよりは敵の数が少ないなぁ…
これだったら、いけるか…?
「お前は武器を構えないのか…?私は武器を持たないものとはあまり戦いたくないのだが…」
「ちょっと待っててくださいよ…?」
そう言いながら、こっそり弓矢を装填していたハンドボウガンをリザードマンの彼女に向けて構える俺…さて…撃つぞ!!
ギィンッという効果音と共に俺の弓矢が彼女に向かって飛んで行ったんだ
そして、すぐに彼女が弓矢に気付いて剣で矢を切り落とす音が聞こえてきたが…
「…!?5発同時ですって…くっ…」
「よっし…後は、塵も積もれば山となる戦法で戦うしかない!!」
そして…俺は弓矢を装填し始めたんだが…結構時間がかかるのがこのハンドボウガンの弱点なんだよなぁ…
そう思っていると、彼女は急に何かに気がついたような表情になり、慌てて自分の着ていた鎧を脱ぎ捨てたんだ…
「こ、これは…私の胸が…大きく…!?」
「困惑しているようだな…?安心してもいいですよ?それ以上は大きくなりませんから…」
「鎧のサイズが変わってしまったじゃないか!!これでは…戦うことなんて…」
「なら、戦わなかったらいいじゃないですか…ね?」
「……でも、よく考えたらスピードが上がるのか…よしっ!!」
…なっ、なんだ!?いきなり…消えた!?
そう思うと同時に、背中に冷たいものが当たったんだが…まさか、鎧をはずした次の瞬間…スピードが急激に上がったというのか…!?
そして、次の瞬間俺の全身を走り抜けるこの戦慄…これは、非常にヤバイ状況だぜ…
「ふふふっ……少々邪魔だが、これはこれで悪くないものね…鎧ほど重くもないし…ね?ここであなたに攻撃を仕掛けてもいいけど…ガデッドさんは捕虜を取れって言ったし…」
「……後ろを取ったからって、勝負が決まったって思わないことだなぁ!!」
俺はそういうと、即座にハンドボウガンを構えつつ振り向き、攻撃を仕掛けたんだよ!!
台詞的にも油断しているのは明らかだしな…?
「……遅いわよ!!私たちリザードマン種は己を鍛えて戦いに赴く種族…不意打ちなんて、食らうわけがないじゃない!!」
「…えぇっ!?そこは…食らってくださいよ!!普通、食らってくれるはずでしょ!?」
「世の中はそんなに…甘くないのよ!!」
彼女はそういうと、弓矢を全て掴み地面に投げ捨てたんだよ…
ゼロ距離射撃を掴み取るなんて…そんな馬鹿げたことが…出来るわけないだろうが!!
でも…出来たんだよなぁ……これが、人間と魔物娘の違いって奴なのか…?
くそっ……まさか、まさか一匹目で負ける…だと…
「ふふっ…折角大きくなったんだから…楽しんでみましょうか…」
「ま、待て!!あんたも戦士なら、情けをかけて俺を解放してくれても…」
「……確かに、一度くらいなら情けをかけてもいいかしら…」
「おぉっ…さすがは戦士…話が分かる!!」
俺は彼女が敵だとはいえ…話が分かる女性だという事実に対し、少しほっとしていたんだよ…
すると、いきなり上空の方から剣が降って来たんだよ!!
待て待て…コレは一体何の冗談だ…!?ふ、不意打ちにも程があるじゃないか!
「だ、誰だ!?ひ、卑怯じゃないかよ!!不意打ちなんて…そこまでやるのかよ!!」
「くっくっく…あっはっはっは!!卑怯か…争いというものは卑怯でも…勝てばよいのだぁーー!!」
「あ…梅さ…」
「否ぁーー!!我は梅ではない!!闇の使徒クロストウェスの一人娘であり、戦闘能力80億…指を鳴らせばあたり一面を地獄の火炎で焼き尽くすことも出き、さらに封印を解除すればすさまじいオーラと共に戦闘能力が4倍になるのだぁーー!!そう…我こそが伝説の邪姫三代目黒燐王フェロストラトスなのだぁーー!」
「って、設定ですよね…もぉ…梅さんたら…この戦いは私が行っているのに、横槍とか酷いじゃないですか…」
「だから…梅ではない!!まったく…そんな事より…横槍を入れたことが酷いって言ったな…上から見させてもらっていたが、争いに情けなど…必要ないのだ!!貴様も我が軍の兵ならば…そのような甘えは捨て去るのだ!!」
お、おいちょっと待て…いきなり出てきて余計な口出しをしないでくれよ…
折角話が穏便にすすもうとしていたのに…いきなり出てきた痛い女性に邪魔されて俺の計画がパァだよ…
くそぉ…こうなったら、俺がさっきまで戦っていた彼女があの痛い女性に言いくるめられないことに期待するしか…
「はっ…確かに…戦いに情けは本来無用なもの…かぁ…」
「そう!!そして…敗者の言うことを勝者が聞く道理は無い!!勝者は敗者に命令することが出来る権利があるのだ!!さぁ…そいつを倒せ!!倒すのだ!」
「………はいっ!!」
期待するだけ無駄でしたーー!!
くそっ…どうする…?いまさら何を言おうと…この戦いの決着はほぼ、俺の負けという形で進んでいることは明らかだ…
……逃げちまおうか?いっそのこと、戦っていたって事実も無かったことにして無様に逃げたほうがいいのか…?だが、逃げたところで何になる…?
仮に、今逃げることが出来たとしても戻ったところで…残っているのはロンメルさんや自警団の連中…ダメだ…
あんな頭の中までお花畑みたいな連中に…任せられるものかよぉーーー!!
…逃げるって選択肢は消えたな…
こ、これが…男には逃げることが出来ない瞬間がある!!って奴なのか…
初めて経験したが…中々に恐ろしい経験だといわせて貰おうか…
くそぉ…誰でもいいから助けに来てくれよーー!!
俺はそういうとすぐ、距離を取って戦闘を開始しようとしたが…
戦いはまさに…無情だったんだよな……少しは、俺にもかっこいいハイライトシーンをくれても…いいと思うんだがねぇ…
戦闘を開始して5分後……俺はあのリザードマンの女性に圧し掛かられ…設定を巨乳にしたことに後悔…と喜びを感じながらそう思ったんだが…
いやぁ…俺だけがこんないい思いをして…いいのだろうか?
や…柔らかい…うへへへへ…
……な、なんだ…さっきから柔らかい弾力と共に、凄い殺気を背中越しに…感じるだと…?
おいおい…負けたことに関してようやく受け入れようとしている時に一体誰が……?
そう思いながら彼女越しにその殺気をたどっていくと…はっ!?
あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あれは…俺の嫁!?
どうしてここに…!?彼女は…ぐっすり眠っていたんじゃなかったのかよ!
「……や、やみゃと…あなた…」
「ちょっと何なの…?子供は戦場に来るものじゃな…」
ドスッ…
「うぐっ…!?」
「あ、あわわわわ……そこの男と幼女…我を怒らせたことを後悔しながら震えているがいい!!今回は見逃してやる!!」
「ちょ…ここまで来て逃げるなよ!!おい!!」
「…やーみゃーとぉーー!!」
「ひぃーーー!!違います!違いますよ!?俺は決してあのリザードマンの女性の胸に顔をうずめて幸せをかみ締めていたわけでは…」
「ほぇ…?あたしは勝手に私のところから離れたことを怒っていたのにぃ…そんな事をしていたんだぁ〜…」
……ゆ、誘導尋問してきやがった…だと!?な、なんて卑怯なぁ!!
ど、どうする俺……!?いや、待て…俺は最近彼女に放置されてきていたんだ…
俺には、幸せを感じる権利があるからなぁ!!
「お、俺には、幸せを感じることが出来る権利がある!!いくらお前でも…」
「権利…?やみゃとに?ないよぉ?そんなの…」
「ひ、ひでぇ…って、ちょっと待て!!お、お前だって…俺と結婚の契りをかわした後から…俺の給料を全て使って遊びまわっていたじゃないか!!いくら8歳のような見た目だからって…」
「あたいはいいの!!だって…まだ子供だもぉん!!」
「……お、俺にだってさぁ…たまには自分にご褒美をあげたくもなるさ!いいだろうが!!」
「ダメ!だって…やみゃとにそんな権利ないんだもん!!覚悟しなさいよぉ!」
け、権利が無いって…どうしてそんな事を言えたりするんだよぉ!
大体…権利って何だよ!権利って!!
俺は心の中ではそう強く主張したが、俺の主張は通じるわけも無く…
俺は花梨の物凄く淡い紫のオーラを目で確認しながら、震えていたんだよ…
す、すさまじいオーラなんですけど…あれ、冗談…だよ…な?
「くらえぇーー!!【花梨パンチ】!!」
「ちょっ…炎の拳…だとぉ!?ま、ま、待ってくれ!!止まってーー!!ぎゃああぁぁぁぁぁっ!!」
「まったく…やみゃとのくせに…生意気なんだからぁ!」
「げほぉっ……り、理不尽な…世の中だぜ…がくっ…」
俺はそういうと、まるでそこらへんにある炭のようにその場に倒れこんだのだった…
あれだな……やっぱり、世間に後ろめたいことをすると…権利があるとか主張しても…こうなってしまうんだな…今度からは、どんなことがあっても…
妻にははむかわないことにしようって…俺はそう決めたのだった…
私は夜が明けて…ジャンヌからの報告を受けた時、正直物凄く驚いたのよ…
まさか…私がサリィのことを考えながら寝ていたら…いざ起きてみるとジャンヌが結婚相手をGETしたとか…
正直…ここは本来、モンスターラグーンのリーダーとして祝福するのが当たり前なんだけど…
て、展開が速すぎてついていけないのよ…
くぅっ…これだったら…胸が成長するようにっていつものように牛乳を飲んで祈りつつ、眠るんじゃなかったわ…
なんて後悔しながら…私はジャンヌがいるところに行ったのよ…
さぁて…ジャンヌの夫はどんな人物かしら…?
そう思いながら、私はまたデメトリオの宿屋のロビーに出たんだけど…
「あっ…リーダー…私、その…」
「理想の相手を見つけたんでしょ?だったら…いつものあなたみたいに堂々としていなさいよ…で、その相手ってどこなの?」
「…彼が私の婚約者のガイウスで、彼はメガロス帝国の元兵士なんですけど…」
なんでジャンヌはあんなにおどおどしているのかしら…?
まさか…まさかとは思うけどジャンヌは私がメガロス帝国の兵士だからって彼女の夫であるガイウスを拷問して…あの壁の突破方を聞きだそうとしているとでも思っているのかしら…?
「あのねぇ…ジャンヌは私があなたの夫を拷問してでもあの壁の突破方を聞き出そうとしているとでも思っているの?言っておくけど、私は他人の夫に手をだすほど野暮じゃないわよ?私が厳しく当たるのは…デメトリオだけなんだから…ね?」
「えっ!?そうだったんですか!?私はてっきり男性には強く当たるのかと…それを聞いたら…ふっと肩の力が抜けました…なるほど、デメトリオだけなんですね?強く当たるのは…」
「そうよ…で、頭にバンダナを巻きつけていてボサボサ頭の彼がガイウス?」
「はい!!夜に戦闘を行っている際…互いに全力を出して戦い…私が勝利したので…彼は私の夫です!!」
「……ジャンヌ、彼の意思はどうなの?彼は…結婚することに関してはなんとも思ってないの?確かにあなたが結婚することはモンスターラグーンのリーダーとしてもうれしいことだけど、彼も結婚に賛成していないと…長続きしないわよ?それは……かなりつらいことだから…」
私はジャンヌにそう言ったんだけど…ジャンヌはちょっとだけドヤ顔を浮かべると、指を立てながらこういったのよ…
「その点も…大丈夫です!!彼は私の想いを…分かってくれましたから!」
「……そうなの…だったら、私はこれ以上は何も言うつもりはないわ…じゃあ、無茶をしない程度にこの戦いが終わるまで…協力してくれたらモンスターラグーンを卒業ね…それまでは、今までと同じくお願い…」
「はい!!」
私はジャンヌにそう言うと…すぐに宿から出て飛び上がり、メガロス帝国の壁を見たんだけど…
なっ!?あの憎き壁が…全開している!?ゾーネの発明品でさえ壊すことが出来なかった壁が…なぜ…?
私がそう思いつつ陸地にまた降り立った時…ゾーネが私に近づいてきたのよ…
「メリィ!!分かったのじゃ!!あの壁の…突破方が!!あの壁の成分をしらべ…そして研究やあらゆる可能性を考慮しつつ計算すると…あの壁は、石灰水に弱いということがわかったのじゃ!!今すぐマゼンタに頼んだり…カルファを援護するためにエメラが派遣した部隊に石灰水を持ってきてもらう必要が…」
「ゾーネ…残念だけど…あの壁…全開しているわよ…?」
「なっ…なんじゃと!?わ、わしのこの2日間の研究は…徹夜は…無駄じゃったという事なのか……」
「そのようね……」
私がそう言い放ち、それと同時にゾーネがガクリと膝をついたときに…
谷でデメトリオと話していた男が慌てて走ってきたのよ…
えっと…確か…ヤマトだったかしら?
「えっと…メリィさん!!謎の第3勢力が…こちらに奇襲を仕掛けてきました!敵には…謎の剣技を使う女剣士と…竜巻を発生させるドラゴンがいます!それに…少なからず、敵がいるようなのですが…どうしたらいいでしょうか!?」
「……えっと、ヤマト?あなたは敵がこちらに向かっているって言うのに、私のところにのんきに聞きに来たの?どうしたらいいかって…戦うしかないでしょうが!!」
「あっ…はぁ……(そんなに怒ったように言わなくてもいいと思うんだけどなぁ…)」
「まぁ…あなたの上司のロンメルに聞いて来いって言われてきたんだろうけど……いいわ…迎え撃ちなさい!!」
私はヤマトにそう指示すると、すぐに宿屋に戻っていったのよ…
さて…援護には当然行かせるとして…誰を行かせようかしら?
…そうだ、この機会に私とここまで来たメンバーや、他にも救援に来てくれたメンバーを、どの勢力と戦わせるかを決めておこうかしら…
私は不意にそう思うと、頭の中で二つの枠をつくり…仲間を当てはめていったのだけど…
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対メガロス帝国メンバー
・私
・スカニ ミリアナ ソフラン ゾーネ セム キュラス
ケイト コニー ペギー ジュンコ アイネ チェルシー
ミリエラ フランチェスカ クレスタ シーマ リット
ユカ リバティー メアリー きーちゃん シエスタ
・ミーシャ率いる部隊で…ラズベリー レフィア
命 ロリエ ドラグーン ウェス
・エミナとシュユ
・七罪のシャルル クレオ リカ シャロン
リサリサ メロン シズカ
・ジャック
・そして、私の友達のナナ ダーク 刹那 エアー
・エシュタールとその部下の菊太郎率いる部隊
・最後にカルファ率いるエメラ軍
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対第3勢力メンバー
・リーネ ヘレン マヘリア ヒュウ レベッカ ナナ
ククリ プクプク マゼンタ
・ミッシェルと彼女の娘達
・レヒテとリンケの姉妹を初めとしたミリル アセロラ
トリス パリス ピーチ モモ スモモ メリュシィ
フリューゲル ムェーバ ベアード カルメラたち
デモンスタワーメンバー
・ロンメル率いるハオファ コキノ セブレ 光一
ジュリアン プリムラ カト ズールー ヤマト
たち谷メンバー
・レノン ヴァーノ サイファー リシャナ レジャンヌ
リルビー ローレライ ミラたち砂漠メンバー
・コリンと裕実
・JAXAの次郎 朱雀 朱里 絆 天馬 天音 真 由紀
ジオット
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って、こんな感じでいいかしら…
あっ、どうしてこんなに大勢覚えているかを聞いたらダメよ?
決して…この手帳に書いてあった各部隊のリーダーが書いたメンバー表を見て決めたってわけじゃないんだから…ね?
…ロンメルたちの支援はリーネとミッシェルに任せることにして、メガロス帝国を攻める部隊も考えておかないと…
私はそう思うとすぐに、ロンメル軍を支援するようにリーネとミッシェルを宿屋に呼んだんだけど…
「リーネとミッシェルをここに呼んだのは他でもないわ…今、第3勢力の彼女たちが奇襲を仕掛けてきて…それにロンメルたちが応戦している形なのよ。あなた達はロンメルを援護してきてくれない…?」
「…リーダーの言う事だから別にいいですよ?」
「娘達…駄々をこねたりしないかしらねぇ…まぁいいわ…」
リーネとミッシェルは別にいいと言ってくれたし…これで安心してメガロス帝国に攻め入る作戦を立てることが出来るわ…
私はそう思いながら自分の部屋に戻って、メガロス帝国に向かって初めに出発させるメンバーを考え始めたのだった…
むぅ…第3勢力とメガロス帝国…かぁ…メガロス帝国は大したことないんだけど第3勢力が…気になるのよねぇ…
〜〜〜視点をヤマトに変更します!!〜〜〜
メリィさんに初めてあってからロンメルさんに報告をするまでの道のりの間…
俺はあることを考えていたんだ…
メガロス帝国にデメトリオが加担し…モンスターラグーンを裏切ったって話は本当だったんだな…ってね?
正直に言うと…モンスターラグーンのメンバーが谷に来た時…彼女が言った台詞を俺は信じることが出来なかったんだよ…
で…実際にここに来てデメトリオの姿をこっそり探しては見たけど…
結局見つかることはないし…正直、別れ際にデメトリオには物凄いダメージを心に受けているから…笑いながら顔を合わせるって事には抵抗があったけど…
まさか敵対するなんて……そう思うと、やるせない気分だぜ…
そう思っていると、ロンメルさんの所についたんだよ…
相変わらず…奥さんとイチャイチャしてさぁ…まったく…
ちなみに、俺の奥さんの狐火の花梨は今…テントでゆったりと睡眠中だ
……突発的にいいよられて結婚したけど、結婚して12日…今ではすっかり距離が開いてしまったんだよなぁ…
予想以上にわがままで…しかも不意にやってきては俺にお菓子を要求する…
まっ…そんな事はどうでもいい事なんだけどな?
「ロンメルさん…メリィさんに一応報告しておいたのですが…戦況はどうですか?」
「…ヤマトか?実はお前に大事な話があるんだよ…」
「……俺をメリィさんの所に使わしておいて、一体どんな話があるんですか?」
「いや…実は…ハオファとイチャつくのに夢中で…敵の戦況を確認してないんだよ!!でも、可愛い妻のためだったら…仕方無いよね?」
「………」
俺はロンメルさんの答えに思わず黙り込んでしまったぜ…
こ、この人は…今、戦いをしているってことを実感しているのか!?またかよ…またなのかよ!?
いつもいつも…大切なことを任せたら奥さんとイチャイチャするのに夢中で大切なことを一度もやった試しがないな…この人は…
そして……温水さんたちは…こんな切羽詰った時に三人で…何やってるんだよ!今は戦闘前なんだぞ!?性行為を行うなら…戦いの後に谷の自分の家でやれって!!
「はぁ…まぁ…ロンメルさんのことだからそうだろうと思ったよ…俺、少しプリムラたちとズールーたちのところに行ってくる…ロンメルさんはもっと真剣に事に取り組んでくださいよ…?」
「りょーかーい…」
……多分、真剣に取り組まないだろうなぁ…
まぁいい…俺達自警団のメンバーでこの戦い…少しでも優位に持っていくようにすればいいし…
そう思いながら俺は自警団メンバーの集まっているところに行ったんだけど…
「おねぇさまぁ〜〜!!戦いの前に…一回くらいハグさせてくだしぁーーい!」
「ちょっ…ジュリアン!!やめなさい!!」
「はぁ〜〜…そのつれない態度が…またいいです!!」
「ちょ…カト…違うって!!俺が彼女と会話していたのは、彼女が探していたものを探す手伝いをだな…」
「………ズールーの…首筋に魔力…感じる…」
「こ、こ、これは……探し物をしている途中に彼女が触れただけなんだって!本当に偶然なんだ!!」
「……ズールー…嘘…ついてないよね…?もし…嘘だったら……あの…女に…ズールー…渡せない…よ…?」
「だ、だ、だ、だ、だ、だ、だ、だ、だ、だ、だ、大丈夫さぁ…ははっ…」
「…………むぅー…」
「ふぃー…(嘘はついていないけど…あの光の無い目で見られたら…なんだか寒気が全身を駆け巡るんだよなぁ…やっぱり、カトを怒らせるのって怖いなぁ…)」
こ、こいつらもか……
くそぉ…俺だけかよぉ…真面目にこの戦いを行うために動き回っているのは…
まったく…ダメだあいつら…俺がなんとかしないと…
俺はそう思うと、あの遺跡の中で偶然見つけたハンドボウガンを操作し始めたんだよ…
ちなみに、このハンドボウガン…【バスティアン】は戦闘で役に立つ能力と役に立たない能力があってさ…
役に立つ能力ってのは、弓矢を5発同時に撃てるように装填できるんだ。
役に立たない能力ってのは…弓矢に変な魔力が宿って…このボタンで操作するんだろうけど…対象者のバストサイズを巨乳 標準 貧乳の三つに変更してしまうらしいんだよ…
まぁ、相手にダメージは与えることが出来るんだが…な?
あ…ちなみに、男には効果ないぜ?ズールーに撃って確かめたから…
ちなみに、バストサイズを変更することが出来ると知ることが出来たのは…
通りすがりの魔物娘さんにお願いしました。
で、しばらく待っていると、遂に第3勢力の彼女達の攻撃が始まったんだよ…
は、始まったかぁ…援護に来てくれないと…ロンメルさんや自警団のメンバーに任せておいたら…負けてしまうぜ…
俺はそう思いながら弓矢を装填すると、ボタンを巨乳に変更して戦場に走って行ったのだった…
で、戦場で俺はやけに好戦的な魔物娘達とバトルを始めたわけだが…
……なんでだろうか?今現在、応戦しているのは俺だけっていう現実がだな…
あ、あいつら…場所も関係なくイチャつきやがってよぉ…
俺なんか…嫁が予想以上にわがままで……色々大変だってのに…
なんてこんなことを考えていると、すぐに敵の魔物娘が遠くの方から獲物を見つけたような表情で走って来るんだ…
「そこの男…戦場で一人戦う勇気は認めてあげるけど、負けても後悔しないでよ?」
「じゃあ、手加減していただけません?」
「それは無いわね…行くわよ!!」
なんて、こんな掛け合いしながら俺はリザードマンの女性と戦いを始めたんだが…思っているよりは敵の数が少ないなぁ…
これだったら、いけるか…?
「お前は武器を構えないのか…?私は武器を持たないものとはあまり戦いたくないのだが…」
「ちょっと待っててくださいよ…?」
そう言いながら、こっそり弓矢を装填していたハンドボウガンをリザードマンの彼女に向けて構える俺…さて…撃つぞ!!
ギィンッという効果音と共に俺の弓矢が彼女に向かって飛んで行ったんだ
そして、すぐに彼女が弓矢に気付いて剣で矢を切り落とす音が聞こえてきたが…
「…!?5発同時ですって…くっ…」
「よっし…後は、塵も積もれば山となる戦法で戦うしかない!!」
そして…俺は弓矢を装填し始めたんだが…結構時間がかかるのがこのハンドボウガンの弱点なんだよなぁ…
そう思っていると、彼女は急に何かに気がついたような表情になり、慌てて自分の着ていた鎧を脱ぎ捨てたんだ…
「こ、これは…私の胸が…大きく…!?」
「困惑しているようだな…?安心してもいいですよ?それ以上は大きくなりませんから…」
「鎧のサイズが変わってしまったじゃないか!!これでは…戦うことなんて…」
「なら、戦わなかったらいいじゃないですか…ね?」
「……でも、よく考えたらスピードが上がるのか…よしっ!!」
…なっ、なんだ!?いきなり…消えた!?
そう思うと同時に、背中に冷たいものが当たったんだが…まさか、鎧をはずした次の瞬間…スピードが急激に上がったというのか…!?
そして、次の瞬間俺の全身を走り抜けるこの戦慄…これは、非常にヤバイ状況だぜ…
「ふふふっ……少々邪魔だが、これはこれで悪くないものね…鎧ほど重くもないし…ね?ここであなたに攻撃を仕掛けてもいいけど…ガデッドさんは捕虜を取れって言ったし…」
「……後ろを取ったからって、勝負が決まったって思わないことだなぁ!!」
俺はそういうと、即座にハンドボウガンを構えつつ振り向き、攻撃を仕掛けたんだよ!!
台詞的にも油断しているのは明らかだしな…?
「……遅いわよ!!私たちリザードマン種は己を鍛えて戦いに赴く種族…不意打ちなんて、食らうわけがないじゃない!!」
「…えぇっ!?そこは…食らってくださいよ!!普通、食らってくれるはずでしょ!?」
「世の中はそんなに…甘くないのよ!!」
彼女はそういうと、弓矢を全て掴み地面に投げ捨てたんだよ…
ゼロ距離射撃を掴み取るなんて…そんな馬鹿げたことが…出来るわけないだろうが!!
でも…出来たんだよなぁ……これが、人間と魔物娘の違いって奴なのか…?
くそっ……まさか、まさか一匹目で負ける…だと…
「ふふっ…折角大きくなったんだから…楽しんでみましょうか…」
「ま、待て!!あんたも戦士なら、情けをかけて俺を解放してくれても…」
「……確かに、一度くらいなら情けをかけてもいいかしら…」
「おぉっ…さすがは戦士…話が分かる!!」
俺は彼女が敵だとはいえ…話が分かる女性だという事実に対し、少しほっとしていたんだよ…
すると、いきなり上空の方から剣が降って来たんだよ!!
待て待て…コレは一体何の冗談だ…!?ふ、不意打ちにも程があるじゃないか!
「だ、誰だ!?ひ、卑怯じゃないかよ!!不意打ちなんて…そこまでやるのかよ!!」
「くっくっく…あっはっはっは!!卑怯か…争いというものは卑怯でも…勝てばよいのだぁーー!!」
「あ…梅さ…」
「否ぁーー!!我は梅ではない!!闇の使徒クロストウェスの一人娘であり、戦闘能力80億…指を鳴らせばあたり一面を地獄の火炎で焼き尽くすことも出き、さらに封印を解除すればすさまじいオーラと共に戦闘能力が4倍になるのだぁーー!!そう…我こそが伝説の邪姫三代目黒燐王フェロストラトスなのだぁーー!」
「って、設定ですよね…もぉ…梅さんたら…この戦いは私が行っているのに、横槍とか酷いじゃないですか…」
「だから…梅ではない!!まったく…そんな事より…横槍を入れたことが酷いって言ったな…上から見させてもらっていたが、争いに情けなど…必要ないのだ!!貴様も我が軍の兵ならば…そのような甘えは捨て去るのだ!!」
お、おいちょっと待て…いきなり出てきて余計な口出しをしないでくれよ…
折角話が穏便にすすもうとしていたのに…いきなり出てきた痛い女性に邪魔されて俺の計画がパァだよ…
くそぉ…こうなったら、俺がさっきまで戦っていた彼女があの痛い女性に言いくるめられないことに期待するしか…
「はっ…確かに…戦いに情けは本来無用なもの…かぁ…」
「そう!!そして…敗者の言うことを勝者が聞く道理は無い!!勝者は敗者に命令することが出来る権利があるのだ!!さぁ…そいつを倒せ!!倒すのだ!」
「………はいっ!!」
期待するだけ無駄でしたーー!!
くそっ…どうする…?いまさら何を言おうと…この戦いの決着はほぼ、俺の負けという形で進んでいることは明らかだ…
……逃げちまおうか?いっそのこと、戦っていたって事実も無かったことにして無様に逃げたほうがいいのか…?だが、逃げたところで何になる…?
仮に、今逃げることが出来たとしても戻ったところで…残っているのはロンメルさんや自警団の連中…ダメだ…
あんな頭の中までお花畑みたいな連中に…任せられるものかよぉーーー!!
…逃げるって選択肢は消えたな…
こ、これが…男には逃げることが出来ない瞬間がある!!って奴なのか…
初めて経験したが…中々に恐ろしい経験だといわせて貰おうか…
くそぉ…誰でもいいから助けに来てくれよーー!!
俺はそういうとすぐ、距離を取って戦闘を開始しようとしたが…
戦いはまさに…無情だったんだよな……少しは、俺にもかっこいいハイライトシーンをくれても…いいと思うんだがねぇ…
戦闘を開始して5分後……俺はあのリザードマンの女性に圧し掛かられ…設定を巨乳にしたことに後悔…と喜びを感じながらそう思ったんだが…
いやぁ…俺だけがこんないい思いをして…いいのだろうか?
や…柔らかい…うへへへへ…
……な、なんだ…さっきから柔らかい弾力と共に、凄い殺気を背中越しに…感じるだと…?
おいおい…負けたことに関してようやく受け入れようとしている時に一体誰が……?
そう思いながら彼女越しにその殺気をたどっていくと…はっ!?
あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あれは…俺の嫁!?
どうしてここに…!?彼女は…ぐっすり眠っていたんじゃなかったのかよ!
「……や、やみゃと…あなた…」
「ちょっと何なの…?子供は戦場に来るものじゃな…」
ドスッ…
「うぐっ…!?」
「あ、あわわわわ……そこの男と幼女…我を怒らせたことを後悔しながら震えているがいい!!今回は見逃してやる!!」
「ちょ…ここまで来て逃げるなよ!!おい!!」
「…やーみゃーとぉーー!!」
「ひぃーーー!!違います!違いますよ!?俺は決してあのリザードマンの女性の胸に顔をうずめて幸せをかみ締めていたわけでは…」
「ほぇ…?あたしは勝手に私のところから離れたことを怒っていたのにぃ…そんな事をしていたんだぁ〜…」
……ゆ、誘導尋問してきやがった…だと!?な、なんて卑怯なぁ!!
ど、どうする俺……!?いや、待て…俺は最近彼女に放置されてきていたんだ…
俺には、幸せを感じる権利があるからなぁ!!
「お、俺には、幸せを感じることが出来る権利がある!!いくらお前でも…」
「権利…?やみゃとに?ないよぉ?そんなの…」
「ひ、ひでぇ…って、ちょっと待て!!お、お前だって…俺と結婚の契りをかわした後から…俺の給料を全て使って遊びまわっていたじゃないか!!いくら8歳のような見た目だからって…」
「あたいはいいの!!だって…まだ子供だもぉん!!」
「……お、俺にだってさぁ…たまには自分にご褒美をあげたくもなるさ!いいだろうが!!」
「ダメ!だって…やみゃとにそんな権利ないんだもん!!覚悟しなさいよぉ!」
け、権利が無いって…どうしてそんな事を言えたりするんだよぉ!
大体…権利って何だよ!権利って!!
俺は心の中ではそう強く主張したが、俺の主張は通じるわけも無く…
俺は花梨の物凄く淡い紫のオーラを目で確認しながら、震えていたんだよ…
す、すさまじいオーラなんですけど…あれ、冗談…だよ…な?
「くらえぇーー!!【花梨パンチ】!!」
「ちょっ…炎の拳…だとぉ!?ま、ま、待ってくれ!!止まってーー!!ぎゃああぁぁぁぁぁっ!!」
「まったく…やみゃとのくせに…生意気なんだからぁ!」
「げほぉっ……り、理不尽な…世の中だぜ…がくっ…」
俺はそういうと、まるでそこらへんにある炭のようにその場に倒れこんだのだった…
あれだな……やっぱり、世間に後ろめたいことをすると…権利があるとか主張しても…こうなってしまうんだな…今度からは、どんなことがあっても…
妻にははむかわないことにしようって…俺はそう決めたのだった…
12/08/11 20:03更新 / デメトリオン
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