73 炎剣妃と瞬間者の闘技場
さぁて…前回かっこよく銃を構えたのはいいが…どうやって戦ったらいいんだ…?
あっ…ちなみに、俺はガイウスだぜ?視点変更が行われていないとしても、デメトリオじゃないから…よろしく頼むぜ?
「……じゃあ、行くわよ?覚悟しなさい!!」
そう言うと、物凄い速度で彼女が剣を片手に突っ込んできたんだよ!!
こ、この速度的に…俺はテレポーテーションシステムで移動しないと危険だよな…
俺はそう思うとすぐに、大量にばら撒いている受信機の一つに移動したんだよ!!
そう簡単に、攻撃なんて食らってたまるものかよ!!
そして、攻撃をかわすとすぐにD・ドライブを適当に撃ってから、相手を常に目線に捕らえておくんだ!!
まぁ…相手から目を離さないってのは戦いの基本って奴だしな?
後は、相手の周りにある受信機のどれかから催眠弾を撃てば万事解決ってな?
……彼女が、その攻撃に気付かずに普通に攻撃でダメージを受けてくれたらの話だがな?
「……やっぱり、この闘技場の中では自由に瞬間移動できるみたいね…」
「瞬間移動じゃないって…テレポーテーションって言うんだ…わかるか?」
「テレポーレーション?とにかく、なんでもいいわ!!この電気で覆われた闘技場からは脱出できないんだから…時間をかけて確実にしとめればいいだけ…分かる?」
「まぁ…分からなくもないか…なっと!!」
俺はそういうと、空間の中を今現在、漂流しているであろう弾を彼女の近くにある受信機から放出したんだが…
これは…死角からの攻撃だから、多分当たるだろ…
俺はそう思っていたわけだが…
ギィンッ!!
って効果音がしたかと思うと、催眠弾は破裂することも無くどこかに弾き飛ばされて行ったんだ…
……や、やっぱり…ただものじゃないか…
いや、分かるよ?俺にはわかる…多分彼女は強者であり、俺とは鍛え方も努力した数も違うだろう…ってことぐらいはな?
でも…贅沢を言うと、少しは当たって欲しかった……
「……さっきのは一体何なの…?あなた…よく分からない能力も使う見たいね?でも…まぁいいわ…あなたはここで…私に負けるんだしね?」
「…まだ、負けるって決まった訳では無いと思うぜ?少なくとも俺は、戦いの結果が出てもいないのに負けたなんて…思いたくないな」
「…分かるわよ!!あなたは弱くて…私は強い!!それが世の中の定理なんだから!!私の今の強さは努力あってのもの…あなたの強さよりも数倍は上を行っている!!」
……ま、まぁ…それは事実だが…
俺が言いたいのは…別のことなんだよな…
いや、確かに努力は人を少しは成長させると俺は思う…
でもな?その努力で強くなったからといって、他人のことも少しは考えることが出来ないと、それは…強いとは言えないって思うぜ?
え…?何で俺がこんなことを思うかって?
昔の俺がそうだったからなぁ…好きだった彼女の気をひくために、必死に努力して賢くなって、運動も出来るようになった…
でも、結果的に彼女のことで頭がいっぱいで、俺は彼女と俺の間でしか物事を考えることが出来なかったんだ…
その結果…俺に待っていたのは彼女は彼女の女友達に盗られ…俺はただの邪魔者ってポジションだけ…
で、その後、俺はこの国に来て…さまざまな出会いを通じてある事実を知ったんだよ。
その当時の俺は…他人の気持ちや目線で行動することが出来なかったんだ…
でも、メガロス帝国に来てから、はじめて他人のことも考えたら、案外他人の気持ちが読めるんだな…って思ったんだよ!!
だから…だから俺は他人の役に立つことが一番出来る部隊の隊長になったんだからな?
って…俺の身の上話はいいんだよ…だって、今は戦闘中だしな?
でも、彼女も少しは…他人の気持ちを考えて欲しいもんだぜ…
「行くわよ…はっ!!」
彼女はそういうと、俺の目の前から姿を消したんだよ!!
さっき…俺が敵の姿を目線からとらえておくのは戦いの基本だって言ったばかりだったのに…もうとらえることが出来ないなんて…
なんてバトルスペックだよ…ちょっと卑怯じゃないか?
……でも、テレポーテーションシステムが使えるって点を考えたら、俺も卑怯か…だったら、五分五分って奴だな…
俺はそう思うと、即座にテレポーテーションシステムを起動したんだ。
まぁ…姿を確認する作業は、時空空間の中でのんびりと見させてもらってもいいと思うしな?
そうして、時空空間の中で見させてもらっていると…うおぉっ…まさか、俺のいた場所のすぐ真横に出現して横切りなんて…なんて素早い攻撃だよ…
しかし…このヒット&アウェイ戦法って結構…実用性があるんだなぁ…
よし…この戦法を軸にして頑張るとするか…勝つためにな?
さて、彼女から少しは距離を取って出現させてもらおうかな?
「……本当に、面倒な相手ね…正々堂々戦ったらどうなの…?」
「いやいや…これが俺のバトルスタイルなんでね…?何と言われても、貫き通させて貰いますって…」
俺はそういうと、合計で5発の弾を空間中に撃ったんだよ!!
数が増えれば…彼女も攻撃を弾きにくいだろうっていう単純な考えではあるんだが…な?
そして、彼女が剣を構えると同時に、5つの弾をそれぞれ別の方角から飛ばすっていうこの技法…完璧だ…これだったら、攻撃は防ぎきれない…
もしも彼女が攻撃をかわしたとしても、地面に当たって破裂した催眠弾の煙はそのポジションに停滞するんだからな?
つまり、攻撃をすればするほど…耐性のない彼女にはつらい事になるしね?
ちなみに、耐性って言うけど、俺に耐性があるってわけじゃないからな?
眠気に勝てる奴なんている訳ないし…な?
キィンッ!!
また弾いたか…でも、攻撃をかわしたことで地面に催眠弾が当たって、辺りに催眠弾の煙が停滞しはじめているし…
俺の計画通りって奴かな?
だが…次の瞬間、俺は信じられない光景を目にすることになったんだよ…
彼女が大きな剣を片手で横になぎ払うと、剣の風圧で煙が全て電気で覆われたこの場所の外に吹き飛ばされたんだよ…
煙はあの電気を通り抜けることが出来るんだな…
いやぁ…俺も煙になりたいぜ…って、そんな事よりだな…
そんなのありか!?それをしてしまったら…決着がつかなくなるじゃないかよ…
くそ…直接当てるしか…ないのか?
でも、攻撃を彼女は全て弾き飛ばすんだぞ!?
ダメだ…やっぱり、努力してきた奴には勝てる気が…しねえなぁ…
「……ふぅ…こんな物なの?空気中の音を聞き取って動いたら余裕で弾き飛ばせるし…煙なんか意味もないわね…こんな状態で戦うつもりなの…?」
「えっと…あんたが避けなかったら攻撃は当たるんだけどな?」
「避けないわけ無いじゃないの…もぅ…すぐに片付けたいんだから、変な能力を使わないでくれない?まぁ…どう頑張っても、私が勝つ事に変わりはないんだけどね?はぁっ!!」
彼女はそういうと、地面に剣を突き立てたんだが…一体何をするつもりなんだ?
なんて俺が思っていると、そのまま地面を割った彼女はその勢いで、土や下にあった岩石を飛ばしてきたんだよ!!
か、拡散攻撃なんて卑怯だなぁ…でもまぁ、俺がテレポーテーションシステムを使って時空空間に逃げ込めば攻撃は当たらないわけだし…
俺はそう思うと、テレポーテーションシステムを作動したわけだが…
「また…変な能力を使ったわね…でも、これならどうするの?」
なっ……直後に回転斬りを使用して、風圧でこの覆われている空間に台風的な要素を与えてきただと!?
……くっ…俺の受信機は軽いからな…ここで空間から出てしまうと、明らかに空中を移動している受信機から出てこないといけなくなる…
危険だよなぁ…やっぱり…でも、5分以上この空間にいると、受信機を判断できなくなって出ることが出来なくなるらしいし…出るとするか…?
「よっと…って、なんでこんな上に出るんだよ!?結構下の方にセットした受信機に出たはずだが…」
「捕らえたわ…覚悟しなさい…はぁっ!!」
「待て待て!!危ないってそれは!!ここは結構高度あるんだぞ!?一気に剣を振り下ろしたりしたら、俺…死んでしまうじゃねぇかよ!!」
俺はそういうと、すぐにまた時空空間に逃げたんだ…
いや…ここでこの空間に逃げずに戦うってのは…無謀すぎるって…
……くっ、どうする?俺は一体どうすれば…彼女を倒すことが出来るんだ…?
こうやって…逃げ続けていれば戦いに負けることは無いと思うけど…それでも永遠に戦い続けるのは勘弁して欲しいぜ…?
……そうだ…この時空空間で弾を撃てば、俺が時空空間から出た瞬間に一緒に弾が出るってシステムだから、相手に不意打ちが出来るな…
よし…やってみるかな?
俺はそう思うと、時空空間の中で銃を何回も撃ち…そして、時空空間から出たんだ…
まぁ…ダメで元々…ためしって奴だけどな?
「さぁて…当たってくくればいいんだけどな?」
「見つけたわ…面倒だから、一気に仕留める!!【ヘルファイアヴォルケーノ】!!」
なっ!?なんだよあの剣!?物凄い勢いで発火したかと思ったら、彼女の周りに炎が現れた…だと?
……だが、甘いな…俺は大量に弾を撃ち込んでいるんだぜ?俺もどこから出るか分からないけど…確実に彼女は今…油断しているに違いない!!
そして、彼女が剣を振り下ろそうとするのとほぼ同時ぐらいに、俺の仕込んだ弾が彼女を捕らえて飛んでいったんだ…
これは…当たったな!!
って、俺はそう思ったが…弾をはじく音が聞こえたからな…当たってないんじゃないのか!?
「くっ…ま、また遠距離攻撃なの…?正直…やめて欲しいんだけどなぁ…」
そう言いながら、さっきまで振り下ろそうとしていた剣で弾を弾き始めたんだが…彼女でも、全ての攻撃を弾くことが出来なかったみたいなんだよ…
で、弾が二発当たってくれたんだよ!!
煙を媒介にせずに、直接弾が当たった時の威力は煙を媒介にした時の約3倍…
それが二発も当たったんだから…寝てくれるとうれしいんだがなー…
「うくぅ……な…んなの…?急に眠気が…でも、甘いわ!!【テンションヒート】!!」
「なっ…!?更に火力が増すと同時に…眠気が弱まっているだと…!?くそっ!!」
俺は余り効果が無かったことに気がつくと、すぐにまた、時空空間に逃げたんだよ!!
〜〜〜〜ジャンヌ視点に変更です!!〜〜〜
また…見失ったかぁ…
一体、あの能力って何なのか…めんどくさいのよね…
敵に攻撃を当てる事が出来るんだったら…もう決着はついていてもおかしくないと思うんだけど…ねぇ…
私はそう思いながら、次にどうするかを考えていたんだけど…
まぁ、私の火力は今…最高値に達しているから…どんな大技でも決めることが出来る…でも、ガイウスが出てきて…なおかつ私の攻撃に当たってくれないと意味が無いし…
せめて…せめてガイウスの出る場所が分かればいいんだけど…
私がそう思っていると、風の流れに少し変化が訪れたのが分かったのよ…
でも、風の流れが変わったのが分かってからでは遅いって事が分かったからなぁ…
「ふぅ……相変わらず、凄い風だなぁ…」
「もう…諦めなさいよ…?」
私がそう言いながら、すぐ近くから飛んできた弾を弾き飛ばすと、更に沢山の弾が飛んでくる音が聞こえてきたんだけど…
私はその弾をわずかに体をそらして全てかわすと、またガイウスに対して攻撃を仕掛けた…けど、やっぱり感触もないし当たってないとおもうしなぁ…
そうして、考えた結果…私はあることに気がついたのよ…
この風に…私の炎を走らせたらガイウスの出る範囲を狭める事が出来るんじゃない…?
で…範囲を狭めては見たけど…風の威力が強すぎて、余り火力もないし…
そこまで…この作戦も意味は無さそうね…
はぁ…早くこの戦いに決着をつけたいのに…
だって、私はガイウスに惚れたんだから…
多分、彼だったら私のこの力に対して嫌がったりしないと思うしね?
正直、今日の昼間に彼と初めて出会ったとき、彼は仲間を誰も見捨てなかったわけだし…
今回だって、普通に考えたら助けには来ないほうがいいって事ぐらい…分かるでしょ?
だって、今回は捕まっているのは一人なんだから…他の仲間を助け終わった後にわざわざ一人の為にこんなところに来る必要は無いんだから…ね?
でも、私は彼が仲間が一人だけ捕まっていたとしても、助けに来るって分かっていたしね?
で…今、彼はこの場所に来ているって事は…私の考えていることは間違いじゃないって事でしょ?
彼が女性は苦手だって言っていたのは、いずれ解決すればいいんだしね?
なんて思っていたら…いきなり、炎が走る場所に静電気が発生し、いきなり電気が何かに向かって走り始めたのよ…
な…何なの…?あの電流……なんだか、不気味なんだけど…
「よっと…」
なんと、電流が走って青白く光っている場所から、いきなりガイウスが出てきたのよ!!
それと同時に、いろいろな場所から弾が飛んでくるわけだけど…
これは…もしかしたらもしかするかも知れないわ…試してみる価値は…あるわね!!
〜〜〜ガイウスの視点に戻ります!!〜〜
今回は攻撃をはずしてしまったが…これなら、いける気がするな…
いやぁ…まさかこの空間内に風に乗せて炎を張り巡らせるなんて思ってもいなかったが…弾は彼女の近くに出現するから余り関係ないし…
それに、炎のおかげで俺の姿はとらえにくいだろうからな?
俺はそう思いながら、また時空空間の中に移動したんだ…
さっき、俺の催眠弾が二発当たっただけで、彼女は少しふらついたからな…
それを考えてみても、彼女は余り睡眠体制は高く無いように思えるんだ…
だから…ちょっと次、全力で行こうと思うんだ。
そして、時空空間の中に移動した後、俺は銃を構えて出来る限り撃ったんだよ
これだったら…俺が出た瞬間に一斉に弾が攻撃を仕掛けるわけだから…
さすがの彼女でも五発は当たるに違いないだろ?
「行くぜ…頼むから寝てくれよ…?【催眠連弾銃-夢幻-】」
そろそろ5分が経過するな…急いで出ないと、いろいろな意味で危ないから、そろそろ行くとするかな?
よし…五発でいいから、当たってくれよ?
そう思いながら、俺は時空空間から出たんだが…
い、いきなり目の前に彼女が待ち構えていただと!?ば、馬鹿な!?
まさか…俺がどこに出るのか分かっていたというのか…!?
でも、俺はさっき、彼女から最も遠い受信機から出てきたんだぜ!?
偶然俺が出てくる場所の前で待っている確立って限りなく0に近いんじゃないのか!?
「捕らえたわ!!」
そう言いながら、彼女が俺を掴んできたんだよ!!
あの剣で俺を攻撃しない…だと?でも…俺を掴んでどうするんだよ!?
そう思って身構えると、いきなり彼女は俺を掴んだ状態で振り回してきたんだよ!!
「うわぁぁっ!?な、何をするんだよ!?」
「何って…あなた、絶対に謎の能力で攻撃を仕掛けているでしょ?だから…盾にしようと思って…ね?」
「なっ!?何を馬鹿なことを…俺がそんな事をしているって思うのか?」
「それは…あと少ししたらわかるわ!!」
……ま、まずい…俺は本当に攻撃を仕掛けているんだぞ…
もし…もしも【催眠連弾銃-夢幻-】が俺に全弾当たったとしたら…
俺も寝てしまう可能性があるじゃないか!!
ど…どうする…俺…これは、敗北の予感がするぜ…
そしてすぐ…俺の放った弾が俺達のいる場所に向かって飛んできて、俺は自分の体で、メガロス帝国の催眠弾の科学技術を体感することになったんだ…
ま…まさか…これほど…とは…
そして、一気に目の前が真っ暗になったかと思うと、次に気がついたときに俺は、彼女の手によって両手を後ろに縛られていたのだった…
周りを見渡すと、この場所はさっきまで俺達が戦っていた場所のようで、彼女が戦っている最中に削られた地面がその場に残っていたんだよ…
これは…俺…負けたって事か…
改めてそう思ったが、一応…俺は生きているんだな…
てっきり、眠気に負けて倒れた時に俺の人生は終わったとばかり思っていたから意外だよなぁ…
でも、それだったら…俺を盾にした彼女は一体どこに……
俺がそう思っていると、彼女が少しだけうれしそうにこっちに歩いてきたんだよ…
果たして…敗者である俺に一体どんな未来が…待っているんだろうな…?
……もしもの時の為に、胸ポケットに仕込んである薬を、気付かれないように奥歯に仕込んで置くか…
俺はそう思うと、彼女が気付かないように体を器用に動かし、メガロス帝国の兵士の中では禁止されている薬が入ったカプセルを奥歯に仕込んだんだよ…
これが何かって…?いやぁ…大したものじゃないぜ…?
ただの…自殺剤だよ
それに、俺がこのまま何もなく開放されるんだったら、口から吐き出せばいいだけだし…単純だろ?
俺は絶対に…仲間を裏切るつもりはないって事さ…
「うふふ……この勝負…私の勝ちね?」
「…そのようだな?で…俺をどうしたいんだ?拷問でもするのか?言っておくけど、俺は絶対に仲間を売らないからな?」
「そんな事はどうでもいいのよね…私は…」
……ど、どうでもいいだと?メガロス帝国の科学力を知るために俺を拘束して生かしているんじゃないのか?
そう思いながら、テレポーテーションシステムが内蔵されている俺のD・ドライブを俺がまだ持っているか腰を見てみると…た、確かにメガロス帝国の科学力を求めているわけではない…か?
だったら、彼女はいったい何を求めているんだ?金なら持っていないし、食糧品もない…俺の着ている服か?
でも…多分いらないだろ…俺の服なんて…なぁ?
「……一体、俺に何の用なんだ?何の用もないんだったら…早く殺せばいいじゃないか…俺はそう思うぜ?あんたの持っている大剣を使えばすぐだろ?」
「そんな事するわけ無いじゃないの!!あなたは…私と結婚して貰うつもりなんだから!!」
……なに!?
ちょっとまて…展開が急すぎるんだが…俺の頭は大丈夫か…?
結婚…だと?この俺と?
いや…まさかな…ありえない…
よく考えるんだガイウス…昔、お前はどんな思いをした?
彼女と同じような考えをしていて…その結果、妻を盗られたんだろ…?
あの時のような絶望感を…結婚という選択肢はまた生み出す可能性がある…
俺はもう一度あの苦しみを味わってしまったら…俺は精神的にまともでいることが出来る自信がない…
それに…言い寄られていい気になって…もしも結婚って重要な選択をOKしてしまったら、俺はメガロス帝国にいる連中を裏切ったって事になるんじゃないのか…?
しかも…その後でもし彼女が俺に飽きて、俺を捨てたらどうなる?
俺にはもうメガロス帝国以外に頼れる場所が無いんだぞ?
こうして、いろいろな面から考えた結果…俺はある結論を導き出した。
彼女の真意を聞きだそうと思うんだ…
もし、彼女が俺を伴侶に選んでくれるとして…どうして俺を伴侶にしたいと思ったのか…これが重要なんだ
もし…ただなんとなくとか、周りは結婚しているのに、私だけが結婚していないからだとか…そういう感じの理由だったら…俺は遠慮せずにこのカプセルを噛み砕くつもりなんだ。
まぁ…恐らく彼女は俺を解放してはくれないだろうしな?
「…ちょっと、聞きたいことがあるんだ…どうして、あんたは俺を伴侶にしようと思うんだ?」
「えっ……そ、それは…あなたが気に入ったからに決まっているでしょ?」
「……それは、理由にはならないと思うぜ?具体的に頼むよ…俺の将来がかかっているんだからさ…」
「…ど、どうでもいいじゃない!!あんたは私に負けた…だったら、勝った私の言うことを聞くのは当然でしょ?あなたは私の総合的能力に負けたんだから…言うことを聞くべきなのよ!!つべこべ言わずに…私と結婚すればいいの!」
「……あんた、初めはクールな人じゃないかって思ったけど、結構熱い性格なんだな…でも、それじゃあダメだと俺は思うぜ…?相手の気持ちも考えないと絶対に物事は成功しないんだからな?残念だが…諦めてくれ」
俺は結局、こう彼女に言ったんだよ…
俺の台詞を真剣に受け止めて、少しは相手の気持ちも考える女性になってくれれば、きっと彼女は性格的にいい奴になると思うから…まぁ、俺がいえることはこれだけだ…
俺は内心でこう考えていたが、彼女は信じられないという表情を浮かべて俺を見てくるんだよ…ふぅ…そんな目で俺を見ないでくれよ…
「な…なんでなの!?私が結婚してってお願いしているのよ…?一緒にこんな激闘を繰り広げたわけだし…結婚してもいいって条件は種族的には整っているはずなの…それなのに…どうして?」
「……だから、世の中はあんたを中心に回っているわけじゃないんだ!!世界中にはあんた以外にも多くの人が生きているわけだから…他人のことも思えるようにならないと、きっと後悔することになる…あんたがちゃんとその人と結婚する理由も言える相手と一緒になるほうが…あんたの為にもなるんだ…」
「だ、だったら…私の気持ちは今はあなたに…」
「諦めてくれ…もっと他人も思える女性になったら…夫なんてあんたにはすぐに見つけることが出来るんだからな?俺に執着する必要は無い…じゃあ…俺はこれで…サヨナラさせてもらおうか?」
「なっ…!?でも、もうあの変な能力は使えないはずよ…!?サヨナラなんて…出来るわけ…」
……ついに来たか…この瞬間がなぁ…
いや…結局逃げることも出来ない状態だ…このまま結婚しないって言い続けたら、多分俺は彼女のいるチームのリーダー格の人たちのところにつれて酷い目にあわされるって分かるからな?
だったら…せめてこの夜の間に、女性の近くで眠るように死にたいってのが俺の心境ってね?
自分で命を立つってのは…結構勇気がいることだと俺は思う…
でも、のちに仲間を裏切るかも知れないって考えたら、ここで死んだほうが楽だしな?
いや…もうこれ以上は何も思うまい…どう思っても、無駄なんだしな?
俺はそう思うと、一気に奥歯に仕込んだ自殺剤を噛み砕いたのだった…
喉の奥に若干苦い液体が流れていくのが分かるが…はっ…ははっ…
ダメだ…いざ死ぬってなると、震えが止まらない…
「ぐっ…がはっ…う…ぐ…ぅ…」
「えっ…血っ!?なんでなのっ!?」
「へへっ…ダメだな…自分で…選んだ…選択なのに…怖くて…仕方が無い」
「な、何をしたのあなた!?」
「あんたには…関係ないだろ…?俺は…敗者だ…なら…死…」
「……嘘でしょ!?ちょっと…いきなりすぎるじゃないの…!こんな…馬鹿なことある訳が…」
なんて、彼女が言うのは聞こえたが、俺は次の瞬間…闇の世界におちていったのだった…
後悔…?そうだな…死ぬ寸前に、まだ死にたくないとは…思ったか…な?
……おかしい…俺は死んだはずだよな?だとしたら…なんで今、俺には意志があるんだ?
死んだ人に意思が残るわけ…ないだろ…?それがどうして…?
俺がそう思いながら目を開けると…俺がいた場所はさっきと待ったく同じ場所だったんだよ…
どうしてなんだ?まさか……自殺剤が聞かなかったのかよ?
そう思いつつ、そっと体を起こそうとすると…彼女が歩いてきたんだよ…
「……起きた?よかった…薬が…効いてくれたようね…ジュンコ…ありがとう」
「…薬?そ、そんな事より、どうして俺を助けたんだ?覚悟を決めて、後は死ぬだけだったって言うのに…そんなに俺を拷問して情報を聞き出したいのか?」
「違うわよ…私は…本気であなたと結婚したいと思ったの…魔物娘の結婚したいって気持ちは人間の女性よりもはるかに強いんだから…どうして、あそこで死のうと…したのよ?」
「……あんたが、自分のことを考えて結婚の話を持ち出してきた時…俺は思ったんだ…もし、このままずっと嫌だといい続けても、あんたは多分諦めないだろ?それに、俺はあんたたちのリーダー格の人がいるところに連れて行かれて拷問される可能性もゼロじゃない…俺に、仲間を売る真似は出来ない…だからな?」
「だったら、あなたが私と結婚するって言ってくれれば…」
「俺は…昔、自分のことを考えて生きてきた…他人のことを考えずにな?あんたは昔の俺を見ているようなんだよ…あんた、多分自分の強さは努力が生んだものだからって…自分の強さは信じているだろ?でも、他人は自分ほど努力して能力を見につけたわけじゃないから…どうやっても下に見てしまうと思うんだ…俺は、他人のことも思えない人と将来を共にして…捨てられるのが怖くて仕方が無いんだ…あんたはルックスがいいから…男なんてすぐに見つかるはずなんだ…もっと、他人のことも考えて行動すれば…いい女性になると思う…だからこそ、俺は簡単に結婚することに関して、OKが出せなかったんだ…」
俺は、さっきまで思っていたことを正直に彼女に話したんだよ…
結局、自殺剤も不発に終わったんだ…これから、俺の身にどのような出来事が降りかかるかを考えると怖くて仕方が無いが、だからこそ、心の中で思っていても仕方が無いからな?
それに、俺が口に出して再度訴える事で、彼女の心にそのことが響いたら…
俺の台詞も無駄じゃ…無かったってやつだろ?
「……世の中はそんなに甘くないのよ!!他人のことを考えて行動っていうけど…私のこの力を怖がる男性も多かったんだから……だから、他の人のことを考えて行動するあなただったら、私を怖がらずに接してくれるって思ったのよ…」
「…何…?」
「私だって…今のこの感情になったことも一つや二つじゃ無いのよ…?私だってもっと純粋に、他人と接して結婚を考えたこともある…けど、結局は怖がられて無理だった…自分を鍛えて努力し…今の強さを手に入れたけどそのおかげで怖がられるし…男性ってのは、自分よりも力があったりする女性って…結構苦手なようだしね…?」
ん…?まさか…彼女は俺とは逆で昔は他人のことを考えていたのか…?
って事は、なんだかんだ言って彼女は心のそこで他人のことを考えることを知っているんじゃないのか?
「それに…私は…あなたを絶対に見捨てるつもりなんてないから…」
ぐはっ…そ…そこで追撃のようにその台詞…だと!?
やばいぜ…俺は自分を捨てる可能性がある人が怖くて結婚を否定していた部分もあるからな…?
正直、さっきの台詞で俺の心が物凄く揺さぶられたんだが…
でも…駄目だ…それでも俺は、結婚するって事はすなわち、メガロス帝国の仲間にあわす顔が無くなる…それは、素朴にいやだな…
「……でもさ、俺なんかよりも…もっとあんたのことを思ってくれる男は世界を探せばいくらでも…いると思うぜ?」
「私は、あなたに今…身を焦がすほどの恋心を抱いていて…私の心はあなただけの物なの!!それに…あなたは仲間をどんな状況に立たされても絶対に見捨てなかったじゃないの……それだけ仲間を思える男性って他にはほとんどいないと思うしね?だからこそ…私はあなたがいいのよ!!」
……くっ…や、やめてくれ…俺の心を揺さぶるのは…
でも…もう一度女性を信じてみるのもいい気もする…どうしたらいいんだ…?
待てよ…俺にそんな幸せな出来事が起こっていいわけがないじゃないか!!
もう、期待はしないって昔の彼女が盗られた時に思ったじゃないか…
その場の一時的な感情で……判断なんて…
「俺は…俺は…」
「私は心のそこから…あなたを愛してあげるから…あなたも私を愛してよ!」
そして、彼女がさっき言った台詞は俺の心の中に雷を落としてきたんだ…
さっきの台詞は遠回しな言い方を一切感じない…素朴に俺のことを考えてくれた台詞だったんだよ…
ま、まさか…今日の昼にあったばかりだというのに…そこまで俺のことを…
俺はそう思うと…じんわりと涙がにじんできたんだよ…
「……そこまで、俺のことを…あんたの気持ちはよくわかった…」
「…それは、OKって事よね!?や…やったぁっ!!」
こうして、俺は戦いの末、敗れた相手に心を揺さぶられ…もう一度、女性を信じてみることになったのだった…
メガロス帝国の仲間達と会うことが出来ないのはなかなかにつらいけど…な?
まぁ、機工障壁が壊されることは無いだろうから、あいつらの安全は保障されているわけだし…もし、彼女に連れられてリーダー格の女性達のところに連れて行かれたとしても、絶対に仲間を裏切るわけではないんだしな?
……まぁ、確実にいえるって事は…俺はもう、この戦いに出演することは余りなくなったって…そういうことかな?
俺はそう思うと、ジャンヌが抱きしめてきたのを感じながら…少し、暖かさに身をゆだねつつ眠ることにしたのだった…
まぁ…俺はもう十分戦ったよな?だったら…今から休息タイムに入ってもいいと思うぜ…?
あっ…ちなみに、俺はガイウスだぜ?視点変更が行われていないとしても、デメトリオじゃないから…よろしく頼むぜ?
「……じゃあ、行くわよ?覚悟しなさい!!」
そう言うと、物凄い速度で彼女が剣を片手に突っ込んできたんだよ!!
こ、この速度的に…俺はテレポーテーションシステムで移動しないと危険だよな…
俺はそう思うとすぐに、大量にばら撒いている受信機の一つに移動したんだよ!!
そう簡単に、攻撃なんて食らってたまるものかよ!!
そして、攻撃をかわすとすぐにD・ドライブを適当に撃ってから、相手を常に目線に捕らえておくんだ!!
まぁ…相手から目を離さないってのは戦いの基本って奴だしな?
後は、相手の周りにある受信機のどれかから催眠弾を撃てば万事解決ってな?
……彼女が、その攻撃に気付かずに普通に攻撃でダメージを受けてくれたらの話だがな?
「……やっぱり、この闘技場の中では自由に瞬間移動できるみたいね…」
「瞬間移動じゃないって…テレポーテーションって言うんだ…わかるか?」
「テレポーレーション?とにかく、なんでもいいわ!!この電気で覆われた闘技場からは脱出できないんだから…時間をかけて確実にしとめればいいだけ…分かる?」
「まぁ…分からなくもないか…なっと!!」
俺はそういうと、空間の中を今現在、漂流しているであろう弾を彼女の近くにある受信機から放出したんだが…
これは…死角からの攻撃だから、多分当たるだろ…
俺はそう思っていたわけだが…
ギィンッ!!
って効果音がしたかと思うと、催眠弾は破裂することも無くどこかに弾き飛ばされて行ったんだ…
……や、やっぱり…ただものじゃないか…
いや、分かるよ?俺にはわかる…多分彼女は強者であり、俺とは鍛え方も努力した数も違うだろう…ってことぐらいはな?
でも…贅沢を言うと、少しは当たって欲しかった……
「……さっきのは一体何なの…?あなた…よく分からない能力も使う見たいね?でも…まぁいいわ…あなたはここで…私に負けるんだしね?」
「…まだ、負けるって決まった訳では無いと思うぜ?少なくとも俺は、戦いの結果が出てもいないのに負けたなんて…思いたくないな」
「…分かるわよ!!あなたは弱くて…私は強い!!それが世の中の定理なんだから!!私の今の強さは努力あってのもの…あなたの強さよりも数倍は上を行っている!!」
……ま、まぁ…それは事実だが…
俺が言いたいのは…別のことなんだよな…
いや、確かに努力は人を少しは成長させると俺は思う…
でもな?その努力で強くなったからといって、他人のことも少しは考えることが出来ないと、それは…強いとは言えないって思うぜ?
え…?何で俺がこんなことを思うかって?
昔の俺がそうだったからなぁ…好きだった彼女の気をひくために、必死に努力して賢くなって、運動も出来るようになった…
でも、結果的に彼女のことで頭がいっぱいで、俺は彼女と俺の間でしか物事を考えることが出来なかったんだ…
その結果…俺に待っていたのは彼女は彼女の女友達に盗られ…俺はただの邪魔者ってポジションだけ…
で、その後、俺はこの国に来て…さまざまな出会いを通じてある事実を知ったんだよ。
その当時の俺は…他人の気持ちや目線で行動することが出来なかったんだ…
でも、メガロス帝国に来てから、はじめて他人のことも考えたら、案外他人の気持ちが読めるんだな…って思ったんだよ!!
だから…だから俺は他人の役に立つことが一番出来る部隊の隊長になったんだからな?
って…俺の身の上話はいいんだよ…だって、今は戦闘中だしな?
でも、彼女も少しは…他人の気持ちを考えて欲しいもんだぜ…
「行くわよ…はっ!!」
彼女はそういうと、俺の目の前から姿を消したんだよ!!
さっき…俺が敵の姿を目線からとらえておくのは戦いの基本だって言ったばかりだったのに…もうとらえることが出来ないなんて…
なんてバトルスペックだよ…ちょっと卑怯じゃないか?
……でも、テレポーテーションシステムが使えるって点を考えたら、俺も卑怯か…だったら、五分五分って奴だな…
俺はそう思うと、即座にテレポーテーションシステムを起動したんだ。
まぁ…姿を確認する作業は、時空空間の中でのんびりと見させてもらってもいいと思うしな?
そうして、時空空間の中で見させてもらっていると…うおぉっ…まさか、俺のいた場所のすぐ真横に出現して横切りなんて…なんて素早い攻撃だよ…
しかし…このヒット&アウェイ戦法って結構…実用性があるんだなぁ…
よし…この戦法を軸にして頑張るとするか…勝つためにな?
さて、彼女から少しは距離を取って出現させてもらおうかな?
「……本当に、面倒な相手ね…正々堂々戦ったらどうなの…?」
「いやいや…これが俺のバトルスタイルなんでね…?何と言われても、貫き通させて貰いますって…」
俺はそういうと、合計で5発の弾を空間中に撃ったんだよ!!
数が増えれば…彼女も攻撃を弾きにくいだろうっていう単純な考えではあるんだが…な?
そして、彼女が剣を構えると同時に、5つの弾をそれぞれ別の方角から飛ばすっていうこの技法…完璧だ…これだったら、攻撃は防ぎきれない…
もしも彼女が攻撃をかわしたとしても、地面に当たって破裂した催眠弾の煙はそのポジションに停滞するんだからな?
つまり、攻撃をすればするほど…耐性のない彼女にはつらい事になるしね?
ちなみに、耐性って言うけど、俺に耐性があるってわけじゃないからな?
眠気に勝てる奴なんている訳ないし…な?
キィンッ!!
また弾いたか…でも、攻撃をかわしたことで地面に催眠弾が当たって、辺りに催眠弾の煙が停滞しはじめているし…
俺の計画通りって奴かな?
だが…次の瞬間、俺は信じられない光景を目にすることになったんだよ…
彼女が大きな剣を片手で横になぎ払うと、剣の風圧で煙が全て電気で覆われたこの場所の外に吹き飛ばされたんだよ…
煙はあの電気を通り抜けることが出来るんだな…
いやぁ…俺も煙になりたいぜ…って、そんな事よりだな…
そんなのありか!?それをしてしまったら…決着がつかなくなるじゃないかよ…
くそ…直接当てるしか…ないのか?
でも、攻撃を彼女は全て弾き飛ばすんだぞ!?
ダメだ…やっぱり、努力してきた奴には勝てる気が…しねえなぁ…
「……ふぅ…こんな物なの?空気中の音を聞き取って動いたら余裕で弾き飛ばせるし…煙なんか意味もないわね…こんな状態で戦うつもりなの…?」
「えっと…あんたが避けなかったら攻撃は当たるんだけどな?」
「避けないわけ無いじゃないの…もぅ…すぐに片付けたいんだから、変な能力を使わないでくれない?まぁ…どう頑張っても、私が勝つ事に変わりはないんだけどね?はぁっ!!」
彼女はそういうと、地面に剣を突き立てたんだが…一体何をするつもりなんだ?
なんて俺が思っていると、そのまま地面を割った彼女はその勢いで、土や下にあった岩石を飛ばしてきたんだよ!!
か、拡散攻撃なんて卑怯だなぁ…でもまぁ、俺がテレポーテーションシステムを使って時空空間に逃げ込めば攻撃は当たらないわけだし…
俺はそう思うと、テレポーテーションシステムを作動したわけだが…
「また…変な能力を使ったわね…でも、これならどうするの?」
なっ……直後に回転斬りを使用して、風圧でこの覆われている空間に台風的な要素を与えてきただと!?
……くっ…俺の受信機は軽いからな…ここで空間から出てしまうと、明らかに空中を移動している受信機から出てこないといけなくなる…
危険だよなぁ…やっぱり…でも、5分以上この空間にいると、受信機を判断できなくなって出ることが出来なくなるらしいし…出るとするか…?
「よっと…って、なんでこんな上に出るんだよ!?結構下の方にセットした受信機に出たはずだが…」
「捕らえたわ…覚悟しなさい…はぁっ!!」
「待て待て!!危ないってそれは!!ここは結構高度あるんだぞ!?一気に剣を振り下ろしたりしたら、俺…死んでしまうじゃねぇかよ!!」
俺はそういうと、すぐにまた時空空間に逃げたんだ…
いや…ここでこの空間に逃げずに戦うってのは…無謀すぎるって…
……くっ、どうする?俺は一体どうすれば…彼女を倒すことが出来るんだ…?
こうやって…逃げ続けていれば戦いに負けることは無いと思うけど…それでも永遠に戦い続けるのは勘弁して欲しいぜ…?
……そうだ…この時空空間で弾を撃てば、俺が時空空間から出た瞬間に一緒に弾が出るってシステムだから、相手に不意打ちが出来るな…
よし…やってみるかな?
俺はそう思うと、時空空間の中で銃を何回も撃ち…そして、時空空間から出たんだ…
まぁ…ダメで元々…ためしって奴だけどな?
「さぁて…当たってくくればいいんだけどな?」
「見つけたわ…面倒だから、一気に仕留める!!【ヘルファイアヴォルケーノ】!!」
なっ!?なんだよあの剣!?物凄い勢いで発火したかと思ったら、彼女の周りに炎が現れた…だと?
……だが、甘いな…俺は大量に弾を撃ち込んでいるんだぜ?俺もどこから出るか分からないけど…確実に彼女は今…油断しているに違いない!!
そして、彼女が剣を振り下ろそうとするのとほぼ同時ぐらいに、俺の仕込んだ弾が彼女を捕らえて飛んでいったんだ…
これは…当たったな!!
って、俺はそう思ったが…弾をはじく音が聞こえたからな…当たってないんじゃないのか!?
「くっ…ま、また遠距離攻撃なの…?正直…やめて欲しいんだけどなぁ…」
そう言いながら、さっきまで振り下ろそうとしていた剣で弾を弾き始めたんだが…彼女でも、全ての攻撃を弾くことが出来なかったみたいなんだよ…
で、弾が二発当たってくれたんだよ!!
煙を媒介にせずに、直接弾が当たった時の威力は煙を媒介にした時の約3倍…
それが二発も当たったんだから…寝てくれるとうれしいんだがなー…
「うくぅ……な…んなの…?急に眠気が…でも、甘いわ!!【テンションヒート】!!」
「なっ…!?更に火力が増すと同時に…眠気が弱まっているだと…!?くそっ!!」
俺は余り効果が無かったことに気がつくと、すぐにまた、時空空間に逃げたんだよ!!
〜〜〜〜ジャンヌ視点に変更です!!〜〜〜
また…見失ったかぁ…
一体、あの能力って何なのか…めんどくさいのよね…
敵に攻撃を当てる事が出来るんだったら…もう決着はついていてもおかしくないと思うんだけど…ねぇ…
私はそう思いながら、次にどうするかを考えていたんだけど…
まぁ、私の火力は今…最高値に達しているから…どんな大技でも決めることが出来る…でも、ガイウスが出てきて…なおかつ私の攻撃に当たってくれないと意味が無いし…
せめて…せめてガイウスの出る場所が分かればいいんだけど…
私がそう思っていると、風の流れに少し変化が訪れたのが分かったのよ…
でも、風の流れが変わったのが分かってからでは遅いって事が分かったからなぁ…
「ふぅ……相変わらず、凄い風だなぁ…」
「もう…諦めなさいよ…?」
私がそう言いながら、すぐ近くから飛んできた弾を弾き飛ばすと、更に沢山の弾が飛んでくる音が聞こえてきたんだけど…
私はその弾をわずかに体をそらして全てかわすと、またガイウスに対して攻撃を仕掛けた…けど、やっぱり感触もないし当たってないとおもうしなぁ…
そうして、考えた結果…私はあることに気がついたのよ…
この風に…私の炎を走らせたらガイウスの出る範囲を狭める事が出来るんじゃない…?
で…範囲を狭めては見たけど…風の威力が強すぎて、余り火力もないし…
そこまで…この作戦も意味は無さそうね…
はぁ…早くこの戦いに決着をつけたいのに…
だって、私はガイウスに惚れたんだから…
多分、彼だったら私のこの力に対して嫌がったりしないと思うしね?
正直、今日の昼間に彼と初めて出会ったとき、彼は仲間を誰も見捨てなかったわけだし…
今回だって、普通に考えたら助けには来ないほうがいいって事ぐらい…分かるでしょ?
だって、今回は捕まっているのは一人なんだから…他の仲間を助け終わった後にわざわざ一人の為にこんなところに来る必要は無いんだから…ね?
でも、私は彼が仲間が一人だけ捕まっていたとしても、助けに来るって分かっていたしね?
で…今、彼はこの場所に来ているって事は…私の考えていることは間違いじゃないって事でしょ?
彼が女性は苦手だって言っていたのは、いずれ解決すればいいんだしね?
なんて思っていたら…いきなり、炎が走る場所に静電気が発生し、いきなり電気が何かに向かって走り始めたのよ…
な…何なの…?あの電流……なんだか、不気味なんだけど…
「よっと…」
なんと、電流が走って青白く光っている場所から、いきなりガイウスが出てきたのよ!!
それと同時に、いろいろな場所から弾が飛んでくるわけだけど…
これは…もしかしたらもしかするかも知れないわ…試してみる価値は…あるわね!!
〜〜〜ガイウスの視点に戻ります!!〜〜
今回は攻撃をはずしてしまったが…これなら、いける気がするな…
いやぁ…まさかこの空間内に風に乗せて炎を張り巡らせるなんて思ってもいなかったが…弾は彼女の近くに出現するから余り関係ないし…
それに、炎のおかげで俺の姿はとらえにくいだろうからな?
俺はそう思いながら、また時空空間の中に移動したんだ…
さっき、俺の催眠弾が二発当たっただけで、彼女は少しふらついたからな…
それを考えてみても、彼女は余り睡眠体制は高く無いように思えるんだ…
だから…ちょっと次、全力で行こうと思うんだ。
そして、時空空間の中に移動した後、俺は銃を構えて出来る限り撃ったんだよ
これだったら…俺が出た瞬間に一斉に弾が攻撃を仕掛けるわけだから…
さすがの彼女でも五発は当たるに違いないだろ?
「行くぜ…頼むから寝てくれよ…?【催眠連弾銃-夢幻-】」
そろそろ5分が経過するな…急いで出ないと、いろいろな意味で危ないから、そろそろ行くとするかな?
よし…五発でいいから、当たってくれよ?
そう思いながら、俺は時空空間から出たんだが…
い、いきなり目の前に彼女が待ち構えていただと!?ば、馬鹿な!?
まさか…俺がどこに出るのか分かっていたというのか…!?
でも、俺はさっき、彼女から最も遠い受信機から出てきたんだぜ!?
偶然俺が出てくる場所の前で待っている確立って限りなく0に近いんじゃないのか!?
「捕らえたわ!!」
そう言いながら、彼女が俺を掴んできたんだよ!!
あの剣で俺を攻撃しない…だと?でも…俺を掴んでどうするんだよ!?
そう思って身構えると、いきなり彼女は俺を掴んだ状態で振り回してきたんだよ!!
「うわぁぁっ!?な、何をするんだよ!?」
「何って…あなた、絶対に謎の能力で攻撃を仕掛けているでしょ?だから…盾にしようと思って…ね?」
「なっ!?何を馬鹿なことを…俺がそんな事をしているって思うのか?」
「それは…あと少ししたらわかるわ!!」
……ま、まずい…俺は本当に攻撃を仕掛けているんだぞ…
もし…もしも【催眠連弾銃-夢幻-】が俺に全弾当たったとしたら…
俺も寝てしまう可能性があるじゃないか!!
ど…どうする…俺…これは、敗北の予感がするぜ…
そしてすぐ…俺の放った弾が俺達のいる場所に向かって飛んできて、俺は自分の体で、メガロス帝国の催眠弾の科学技術を体感することになったんだ…
ま…まさか…これほど…とは…
そして、一気に目の前が真っ暗になったかと思うと、次に気がついたときに俺は、彼女の手によって両手を後ろに縛られていたのだった…
周りを見渡すと、この場所はさっきまで俺達が戦っていた場所のようで、彼女が戦っている最中に削られた地面がその場に残っていたんだよ…
これは…俺…負けたって事か…
改めてそう思ったが、一応…俺は生きているんだな…
てっきり、眠気に負けて倒れた時に俺の人生は終わったとばかり思っていたから意外だよなぁ…
でも、それだったら…俺を盾にした彼女は一体どこに……
俺がそう思っていると、彼女が少しだけうれしそうにこっちに歩いてきたんだよ…
果たして…敗者である俺に一体どんな未来が…待っているんだろうな…?
……もしもの時の為に、胸ポケットに仕込んである薬を、気付かれないように奥歯に仕込んで置くか…
俺はそう思うと、彼女が気付かないように体を器用に動かし、メガロス帝国の兵士の中では禁止されている薬が入ったカプセルを奥歯に仕込んだんだよ…
これが何かって…?いやぁ…大したものじゃないぜ…?
ただの…自殺剤だよ
それに、俺がこのまま何もなく開放されるんだったら、口から吐き出せばいいだけだし…単純だろ?
俺は絶対に…仲間を裏切るつもりはないって事さ…
「うふふ……この勝負…私の勝ちね?」
「…そのようだな?で…俺をどうしたいんだ?拷問でもするのか?言っておくけど、俺は絶対に仲間を売らないからな?」
「そんな事はどうでもいいのよね…私は…」
……ど、どうでもいいだと?メガロス帝国の科学力を知るために俺を拘束して生かしているんじゃないのか?
そう思いながら、テレポーテーションシステムが内蔵されている俺のD・ドライブを俺がまだ持っているか腰を見てみると…た、確かにメガロス帝国の科学力を求めているわけではない…か?
だったら、彼女はいったい何を求めているんだ?金なら持っていないし、食糧品もない…俺の着ている服か?
でも…多分いらないだろ…俺の服なんて…なぁ?
「……一体、俺に何の用なんだ?何の用もないんだったら…早く殺せばいいじゃないか…俺はそう思うぜ?あんたの持っている大剣を使えばすぐだろ?」
「そんな事するわけ無いじゃないの!!あなたは…私と結婚して貰うつもりなんだから!!」
……なに!?
ちょっとまて…展開が急すぎるんだが…俺の頭は大丈夫か…?
結婚…だと?この俺と?
いや…まさかな…ありえない…
よく考えるんだガイウス…昔、お前はどんな思いをした?
彼女と同じような考えをしていて…その結果、妻を盗られたんだろ…?
あの時のような絶望感を…結婚という選択肢はまた生み出す可能性がある…
俺はもう一度あの苦しみを味わってしまったら…俺は精神的にまともでいることが出来る自信がない…
それに…言い寄られていい気になって…もしも結婚って重要な選択をOKしてしまったら、俺はメガロス帝国にいる連中を裏切ったって事になるんじゃないのか…?
しかも…その後でもし彼女が俺に飽きて、俺を捨てたらどうなる?
俺にはもうメガロス帝国以外に頼れる場所が無いんだぞ?
こうして、いろいろな面から考えた結果…俺はある結論を導き出した。
彼女の真意を聞きだそうと思うんだ…
もし、彼女が俺を伴侶に選んでくれるとして…どうして俺を伴侶にしたいと思ったのか…これが重要なんだ
もし…ただなんとなくとか、周りは結婚しているのに、私だけが結婚していないからだとか…そういう感じの理由だったら…俺は遠慮せずにこのカプセルを噛み砕くつもりなんだ。
まぁ…恐らく彼女は俺を解放してはくれないだろうしな?
「…ちょっと、聞きたいことがあるんだ…どうして、あんたは俺を伴侶にしようと思うんだ?」
「えっ……そ、それは…あなたが気に入ったからに決まっているでしょ?」
「……それは、理由にはならないと思うぜ?具体的に頼むよ…俺の将来がかかっているんだからさ…」
「…ど、どうでもいいじゃない!!あんたは私に負けた…だったら、勝った私の言うことを聞くのは当然でしょ?あなたは私の総合的能力に負けたんだから…言うことを聞くべきなのよ!!つべこべ言わずに…私と結婚すればいいの!」
「……あんた、初めはクールな人じゃないかって思ったけど、結構熱い性格なんだな…でも、それじゃあダメだと俺は思うぜ…?相手の気持ちも考えないと絶対に物事は成功しないんだからな?残念だが…諦めてくれ」
俺は結局、こう彼女に言ったんだよ…
俺の台詞を真剣に受け止めて、少しは相手の気持ちも考える女性になってくれれば、きっと彼女は性格的にいい奴になると思うから…まぁ、俺がいえることはこれだけだ…
俺は内心でこう考えていたが、彼女は信じられないという表情を浮かべて俺を見てくるんだよ…ふぅ…そんな目で俺を見ないでくれよ…
「な…なんでなの!?私が結婚してってお願いしているのよ…?一緒にこんな激闘を繰り広げたわけだし…結婚してもいいって条件は種族的には整っているはずなの…それなのに…どうして?」
「……だから、世の中はあんたを中心に回っているわけじゃないんだ!!世界中にはあんた以外にも多くの人が生きているわけだから…他人のことも思えるようにならないと、きっと後悔することになる…あんたがちゃんとその人と結婚する理由も言える相手と一緒になるほうが…あんたの為にもなるんだ…」
「だ、だったら…私の気持ちは今はあなたに…」
「諦めてくれ…もっと他人も思える女性になったら…夫なんてあんたにはすぐに見つけることが出来るんだからな?俺に執着する必要は無い…じゃあ…俺はこれで…サヨナラさせてもらおうか?」
「なっ…!?でも、もうあの変な能力は使えないはずよ…!?サヨナラなんて…出来るわけ…」
……ついに来たか…この瞬間がなぁ…
いや…結局逃げることも出来ない状態だ…このまま結婚しないって言い続けたら、多分俺は彼女のいるチームのリーダー格の人たちのところにつれて酷い目にあわされるって分かるからな?
だったら…せめてこの夜の間に、女性の近くで眠るように死にたいってのが俺の心境ってね?
自分で命を立つってのは…結構勇気がいることだと俺は思う…
でも、のちに仲間を裏切るかも知れないって考えたら、ここで死んだほうが楽だしな?
いや…もうこれ以上は何も思うまい…どう思っても、無駄なんだしな?
俺はそう思うと、一気に奥歯に仕込んだ自殺剤を噛み砕いたのだった…
喉の奥に若干苦い液体が流れていくのが分かるが…はっ…ははっ…
ダメだ…いざ死ぬってなると、震えが止まらない…
「ぐっ…がはっ…う…ぐ…ぅ…」
「えっ…血っ!?なんでなのっ!?」
「へへっ…ダメだな…自分で…選んだ…選択なのに…怖くて…仕方が無い」
「な、何をしたのあなた!?」
「あんたには…関係ないだろ…?俺は…敗者だ…なら…死…」
「……嘘でしょ!?ちょっと…いきなりすぎるじゃないの…!こんな…馬鹿なことある訳が…」
なんて、彼女が言うのは聞こえたが、俺は次の瞬間…闇の世界におちていったのだった…
後悔…?そうだな…死ぬ寸前に、まだ死にたくないとは…思ったか…な?
……おかしい…俺は死んだはずだよな?だとしたら…なんで今、俺には意志があるんだ?
死んだ人に意思が残るわけ…ないだろ…?それがどうして…?
俺がそう思いながら目を開けると…俺がいた場所はさっきと待ったく同じ場所だったんだよ…
どうしてなんだ?まさか……自殺剤が聞かなかったのかよ?
そう思いつつ、そっと体を起こそうとすると…彼女が歩いてきたんだよ…
「……起きた?よかった…薬が…効いてくれたようね…ジュンコ…ありがとう」
「…薬?そ、そんな事より、どうして俺を助けたんだ?覚悟を決めて、後は死ぬだけだったって言うのに…そんなに俺を拷問して情報を聞き出したいのか?」
「違うわよ…私は…本気であなたと結婚したいと思ったの…魔物娘の結婚したいって気持ちは人間の女性よりもはるかに強いんだから…どうして、あそこで死のうと…したのよ?」
「……あんたが、自分のことを考えて結婚の話を持ち出してきた時…俺は思ったんだ…もし、このままずっと嫌だといい続けても、あんたは多分諦めないだろ?それに、俺はあんたたちのリーダー格の人がいるところに連れて行かれて拷問される可能性もゼロじゃない…俺に、仲間を売る真似は出来ない…だからな?」
「だったら、あなたが私と結婚するって言ってくれれば…」
「俺は…昔、自分のことを考えて生きてきた…他人のことを考えずにな?あんたは昔の俺を見ているようなんだよ…あんた、多分自分の強さは努力が生んだものだからって…自分の強さは信じているだろ?でも、他人は自分ほど努力して能力を見につけたわけじゃないから…どうやっても下に見てしまうと思うんだ…俺は、他人のことも思えない人と将来を共にして…捨てられるのが怖くて仕方が無いんだ…あんたはルックスがいいから…男なんてすぐに見つかるはずなんだ…もっと、他人のことも考えて行動すれば…いい女性になると思う…だからこそ、俺は簡単に結婚することに関して、OKが出せなかったんだ…」
俺は、さっきまで思っていたことを正直に彼女に話したんだよ…
結局、自殺剤も不発に終わったんだ…これから、俺の身にどのような出来事が降りかかるかを考えると怖くて仕方が無いが、だからこそ、心の中で思っていても仕方が無いからな?
それに、俺が口に出して再度訴える事で、彼女の心にそのことが響いたら…
俺の台詞も無駄じゃ…無かったってやつだろ?
「……世の中はそんなに甘くないのよ!!他人のことを考えて行動っていうけど…私のこの力を怖がる男性も多かったんだから……だから、他の人のことを考えて行動するあなただったら、私を怖がらずに接してくれるって思ったのよ…」
「…何…?」
「私だって…今のこの感情になったことも一つや二つじゃ無いのよ…?私だってもっと純粋に、他人と接して結婚を考えたこともある…けど、結局は怖がられて無理だった…自分を鍛えて努力し…今の強さを手に入れたけどそのおかげで怖がられるし…男性ってのは、自分よりも力があったりする女性って…結構苦手なようだしね…?」
ん…?まさか…彼女は俺とは逆で昔は他人のことを考えていたのか…?
って事は、なんだかんだ言って彼女は心のそこで他人のことを考えることを知っているんじゃないのか?
「それに…私は…あなたを絶対に見捨てるつもりなんてないから…」
ぐはっ…そ…そこで追撃のようにその台詞…だと!?
やばいぜ…俺は自分を捨てる可能性がある人が怖くて結婚を否定していた部分もあるからな…?
正直、さっきの台詞で俺の心が物凄く揺さぶられたんだが…
でも…駄目だ…それでも俺は、結婚するって事はすなわち、メガロス帝国の仲間にあわす顔が無くなる…それは、素朴にいやだな…
「……でもさ、俺なんかよりも…もっとあんたのことを思ってくれる男は世界を探せばいくらでも…いると思うぜ?」
「私は、あなたに今…身を焦がすほどの恋心を抱いていて…私の心はあなただけの物なの!!それに…あなたは仲間をどんな状況に立たされても絶対に見捨てなかったじゃないの……それだけ仲間を思える男性って他にはほとんどいないと思うしね?だからこそ…私はあなたがいいのよ!!」
……くっ…や、やめてくれ…俺の心を揺さぶるのは…
でも…もう一度女性を信じてみるのもいい気もする…どうしたらいいんだ…?
待てよ…俺にそんな幸せな出来事が起こっていいわけがないじゃないか!!
もう、期待はしないって昔の彼女が盗られた時に思ったじゃないか…
その場の一時的な感情で……判断なんて…
「俺は…俺は…」
「私は心のそこから…あなたを愛してあげるから…あなたも私を愛してよ!」
そして、彼女がさっき言った台詞は俺の心の中に雷を落としてきたんだ…
さっきの台詞は遠回しな言い方を一切感じない…素朴に俺のことを考えてくれた台詞だったんだよ…
ま、まさか…今日の昼にあったばかりだというのに…そこまで俺のことを…
俺はそう思うと…じんわりと涙がにじんできたんだよ…
「……そこまで、俺のことを…あんたの気持ちはよくわかった…」
「…それは、OKって事よね!?や…やったぁっ!!」
こうして、俺は戦いの末、敗れた相手に心を揺さぶられ…もう一度、女性を信じてみることになったのだった…
メガロス帝国の仲間達と会うことが出来ないのはなかなかにつらいけど…な?
まぁ、機工障壁が壊されることは無いだろうから、あいつらの安全は保障されているわけだし…もし、彼女に連れられてリーダー格の女性達のところに連れて行かれたとしても、絶対に仲間を裏切るわけではないんだしな?
……まぁ、確実にいえるって事は…俺はもう、この戦いに出演することは余りなくなったって…そういうことかな?
俺はそう思うと、ジャンヌが抱きしめてきたのを感じながら…少し、暖かさに身をゆだねつつ眠ることにしたのだった…
まぁ…俺はもう十分戦ったよな?だったら…今から休息タイムに入ってもいいと思うぜ…?
12/08/02 20:12更新 / デメトリオン
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