67 それぞれの三日間の計画
そして、しばらく時間が経過してから…俺はナッカーサーに連れられて自分の部屋…(?)に連れて行かれたんだよ!!
まさか…人生を見直そうと思ってここに来たのに、すぐに残りの人生を過ごす場所が決まろうとはなぁ…
いや、別にいいんだけどな?ここなら楽に人生を過ごせそうだし…
なんて思いながら、城の中にある部屋に連れて行かれた俺なんだが…
「……そうだ、俺と一緒の相部屋になるんだから、少しはこの国のシステムを知っておいたほうがいいな…この国は大きく分けて【クォールズ】と【マファイド】、【ミカルド】…そして【メガリア】の四つの階級があるんだ。【クォールズ】が兵士…この兵士は各地域から預かった孤児達で構成されており、将来大きくなったら結婚するために国から出てもいい連中だ…結婚する意志がなければこの国にいればいい…決める権利があるって奴だな?」
「へぇ〜…やっぱり、この国にも結婚願望がある人っているんだなぁ…」
「当然だな……まぁ、兵士諸君はまだ夢があるからな…自分の生きたいように人生を過ごせばいい…で、その兵士達を率いるのが【マファイド】…いわゆる部隊長的な感じだな?これは、兵士の中でも年齢が高い順に選ばれる…外の国から何かを輸入する部隊に派遣されるなど…兵士よりもこの国に戻ってくることが出来ない連中さ」
……この国に戻ってくることが出来ない…?それは一体なぜなんだ?
なんて当たり前のことを思ってしまったりもしたんだが、ま、まぁ…国には国のルールがあるって奴なのかな…?
そう言いながら、俺達は少し騒がしくなってきた廊下を歩いていたんだ…
「……ナッカーサー…戻ってこないってどういうことなんだ?」
「この国から出ると、世界中に可愛い魔物娘達がいるだろ?この国にいる孤児が、そんな誘惑に耐え切れる可能性はほぼゼロ…そして、魔物娘たちは愛する男を手に入れるためにあいつらが乗った飛行船が降り立ったところを狙って襲ってくるからな…生き残って資材を持って帰ってくるのはよくて3人か…しかも、全員売れ残った的な絶望感を背負って戻ってくる…ショックで8割が引きこもりになるんだぜ?」
「お…おぉぅ…壮絶だな…」
なんて答えたわけだが…売れ残った絶望感なら、俺もわかるぜ!!
なんせ…俺はフェルス興国の最後の一人…結婚しなかった男だぜ?これって、俺が完璧に売れ残ったって事だろ?
まぁ…この国に来て結婚するのを諦めた俺的にはどうでもいいんだけどな?
「で、話の続きだが…【ミカルド】ってのが俺達…外からここにすむことを決めた奴らで、主に国内警備に当たっているんだ。全員、絶望を背負ってここに来たから、結婚を諦め、自分に自信も無い連中さ…まぁ、おかげで全員仲間を裏切らない…いい奴なんだけどな?」
「ぜ、絶望を背負ってきただって…?」
「おう…俺は、昔愛していた人に裏切られてな?金の為に殺されかけたんだよ…一体俺がその愛人にいくらお金をつぎ込んでいたと思う?金貨300枚だぞ!?俺のその時の給料が銀貨1枚…俺は物凄い借金を抱えてもそいつを愛していたと思っていた…だが、そいつが愛していたのは俺ではなく金貨!!俺はもう家族からも縁を切られていたが、それでも一人で貢いでいた!!だが…そいつが優しく俺を生命保険に入れてくれたかと思った次の日…武装した大勢のいかつい男達が…そして、その中央で物凄いリッチな服装をしながら大笑いしているあいつの姿…俺は逃げたね…振り返らなかったさ!!」
「そ…それは…凄いな…」
俺は思わず絶句してしまったぜ…ま、まさかそんなつらい経験をしているなんて…お、恐ろしい男だ…
決めた…俺はどんなことが会っても、こいつとは友達でいよう…いや、【ミカルド】の連中とは絶対に仲良くしよう…
なんて思っていると、更にナッカーサーが他の皆の話を始めたんだよ!!
「テスタロスの奴は、甲斐性なしだからって奥さんが離れて行ったし、メビウスは皮肉屋でいやみな話し方が災いして、陰口を叩かれまくって精神的に…真夜中に一人部屋で泣いてる痛い奴に…ザボルグは、奥手な性格が災いして仕事場で散々苛められて更に奥手な性格に…しかも、ストレスをめったに表に出さないから地味なキャラに…ライザーは昔は大金持ちだったんだが親の事業が失敗してから借金地獄の日々に…そしていい年して無職を貫き通していた時に親が室内で人生に疲れたと遺書を書き他界…それから精神的にダメージを受けて凄い軽い性格の奴に…ガイウスは命をかけて守ると誓った女性が、知らない間に他の女性に取られていたという事実を目撃し、二度と家には戻ることが無くこの場所に来た…クラウィスは聖職者だが、所属していた寺院のシスターが魔物娘化したことにより、そこから逃げてここに来た…ディルグは昔は他人の事をとても大事に思う奴だったらしいが、親友に妻を取られてから…そのショックで女性と付き合うことが怖くなり、自分のことしか考えない自己中心的な思想の男に…」
「ひ、ひぃい…もういいよ…聞くだけでも十分かわいそうだから…」
な、なんでだろうか…こんな話を聞いていると、俺なんかなんて小さなことで悩んでいたんだって本気で思ってしまうじゃないか!!
などと心でつぶやいている間に、俺は目的地の自分の部屋についたんだよ!!
「ここが俺とデメトリオ…お前の部屋だ!!結構いい部屋だろ?」
「ま、まぁ…生活感はあふれているぜ?」
そう…男らしいといえばそうなるんだが、余り掃除されていない部屋が俺とナッカーサーの部屋みたいなんだよ!!
でも、大きなベッドあるし、結構高級そうだし…コレはこれでありかも知れないぜ…
「じゃあ…デメトリオが来たから、朝の7時から祭りだぜ?それまでは…一緒にカードゲームでもするか?」
「お…?いいねぇ……」
なんていいつつ、ナッカーサーがカードを取り出した時だった…
なんと、部屋の扉がいきなり開いて、ちょっとメタボな感じの男が入ってきたんだ!!
「やぁ…えっと…君がデメトリオ君だね?僕はグランマーグって言うんだ…この城の中にある機械を修理するのが僕の役目…で、ナッカーサー…通信端末がおかしいんだって…?」
「あぁ!!ちょっと見てくれないか…?」
「わかった…パーティーが始まったら、一緒に食事でもしない?僕…多分今回も一人だから…」
「安心しろって!!【ミカルド】のメンバーだろ!!困った時の助け合い精神!これ…結構重要!!一緒に食事しようぜ?デメトリオもセットでさ!!」
「……わ、わかったよ!!」
そう言いながら、グランマーグは少し体をすくめると、通信端末とやらをいじり始めたんだ…
そして、ナッカーサーが飲み物を俺に渡しながら、こういってきたんだ…
「あいつはグランマーグ…デメトリオがここに来る前は、【ミカルド】の一番新しいメンバーはあいつだったんだ…だから、お前が来て結構うれしかったみたいだぜ?どうやら、ここに来る前は見た目に反せず、飲食店を経営していたようだ…だが、太っていたことを当時の店員に馬鹿にされ…それでもくじけずに頑張っていると店員達が互いに給料上げろとデモ活動…そして、極め付けには強盗に襲われてお金を全て取られた男さ…自分に自信がないから、女性と話しかけるのが怖いようでさ…仲良くしてやってくれよ?」
「当然!!お前いわく…困った時の助け合い精神…だろ?」
「おっ…いうねぇ…」
そしてグランマーグが作業を終えて、変な操作をし始めると、いきなりうす緑色のスクリーンが現れたんだよ!!
しかも…凄い数字の羅列が並んだ…見ているだけでも気持ち悪くなるタイプのがな?
「じゃあ…僕は他の部屋の修理もしないといけないし…これで…」
「おぅ!!いやぁ…助かったぜ…」
それから、ナッカーサーが冷蔵庫に冷やした飲み物を俺に渡してきてすぐ…ナッカーサーはなにやらカタカタと打ち始めると、スクリーン越しに研究者風の男が出てきたんだよ!!
……ま、まさか、彼も【ミカルド】なのか…!?
「なんだ…こんな朝早くに…?」
「ケイ!!起こしてすまないな…俺の隣にいる奴が、今日の朝4時くらいに来た新入りのデメトリオって言うんだ!!一応報告しておこうと思ってさ…」
「…それなら、朝8時にどうせ食事の約束があったんだからその時に話せばいいだろうに…まぁ、別にいいんだが」
「デメトリオ…紹介するぜ…こいつが…」
「待てナッカーサー…自己紹介ぐらい自分で出来る…僕はケイ=ラングスフォード、メガロス帝国武器開発統括者兼作業用ロボット作成統括者だ…まぁ、この国では金属が一切取れないから殺傷武器は作成不可能…だが、それをのけても余りある技術で兵士をサポートしていくのが仕事だ…よろしく」
「あ…よろしくおねがいします…」
それから、ナッカーサーがケイと若干だが話を始めた時…俺は近くにあった知恵の輪で遊び始めたんだ!!
LV2くらいだったら…クリアできる気がする…
〜〜一方その頃…とある場所で〜〜
「どうか…私達と一緒にメガロス帝国を攻めるお手伝いをしていただけませんでしょうか…?」
「…ごめんなさい、私…夫とイチャイチャしたいから…」
「そ…そうですか…失礼しました…」
これで…8件目もアウトかぁ…
私は、メガロス帝国を陥落させるためにメンバーのみんなにいろんな国にいるモンスターラグーンのメンバーを集めてくるように指示した後、いろいろな場所で頭を下げてお願いしていたの…
でも…さすがにこんな朝早くに…しかも戦争の手伝いなんてしてくれる人はほとんどいない…
でも、他のメンバーは各地を飛び回ったり自分の足で仲間を集めているから、私も少しは仲間を増やさないと…
なんて思っていると、私はあることを思い出したのよ…
そう…今までいろんな町に行ってきて、もしも困ったら協力してくれるって約束した人たちがいるじゃない!!ちょっと…当たってみようかな…
そうして、私は物凄い速度で飛翔し…とある場所を目指し始めた…
まずは、昔の友達でデメトリオのことが大嫌いな皆のところに行って…協力して貰わないといけない…
そう思いながら、私はフェルス興国に来る前の私達…ウェイネス姉妹の故郷【アロス】に向かって飛んでいく…
空中浮遊都市【アロス】……魔王の交代の前は、一度入ったら二度と出ることが出来ないといわれたダンジョンだったみたいだけど、今は鳥系魔物娘たちにとって非常にすみやすい気温、湿度が保たれている場所で、結構鳥系魔物娘達の間では有名だ……
場所はジパング上空にあるから…ごく稀に下のジパングから姿が見えるんだけどね…
よく、天空にある城のラピ……こ、これ以上は言えないわね…
とにかく、それに間違えられるんだけど…
なんて、心の中で説明していると、すぐに【アロス】が見えてきた!!
まだ5時くらいにも関わらず、結構灯りがつき始めている…
ま、まぁ…鳥は早起きだから……さぁて…フェルス興国で友達になって、後にここに移住した友達は…以前に教えて貰った場所にまだいるのかしら…?
そして、私は二番通りにある少し古い感じの家の扉を叩いてみた…
前はここにいたんだけど…そう思いながら、じっと待ってみる…
すると、中から走ってくる音が聞こえ、見覚えのあるカラステングの顔がひょっこりと顔を出して来た…
どうやら…移動していないようね…
「あっ!?メリィじゃないの!!こんな時間にたずねてくるなんて…どうしたの?ん?まぁいい…中に入って!!」
「お邪魔するわね刹那?」
こうして、昔の友たちがいるであろうこの家の中に入ると、案の定…みんなしたいことをしながらのんびりとしていたのよ…
「あれ?メリィ〜〜!!元気してた?今日はいきなりの訪問だね!!3年ぶりかな?サリィちゃん元気?」
「……あのぉ…まだあのデメトリオとか言う名前のゴミ屑…存在価値0のゴミは生きているんですか…?メリィなら…知っているかと思って…」
「あぁ〜〜!!いたねぇ…そんなゴミも…燃やせるゴミにでもだして焼却でもしたの?メリィ…?」
「ちょっと…そのことで真面目な話があるのよ…」
そして、私は今までの出来事を出来るだけ簡単に4人に説明したのよ…
そして、当然ながらデメトリオが私達を裏切ったって事も…
「……あのゴミ…助けられていながらも…裏切るなんて…」
「まぁ…昔からそんなゴミだとは思っていたけどねぇ…」
「で…メリィはデメトリオを潰すために私達に手伝えって…そういいたいの?」
「まぁ…そんなところね…」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「は…はっくしょん!!」
「デメトリオ…どうした?」
「い、いやぁ…多分埃だと思うから…気にしなくてもいいぜ!」
「じゃあ、そこにある新品のマスクでもつけておいたらどうだ?」
「あ…サンキュー…」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
それから、しばらく話して…私は他の手伝ってくれる人がいそうな所に移動したのよ…
デメトリオが裏切ったことで、メガロス帝国の連中がどんな準備をしてくるか分からないから…
それに、刹那達もいろいろ当たってくれるって言ってくれたから…
この三日間のうちにどのくらい…どのくらい仲間を集められるかが本当に重要だからね…
私はそう思いながら、まだ若干薄暗い夜の空へと飛び立っていった…
〜〜〜〜〜そして、デメトリオの視点に戻りますよ?〜〜
俺はしばらくの間、知恵の輪LV2に挑んでいたんだが…
な…なんて高難易度なんだ…まさか、LV2がクリアできないなんて…
なんて思いつつ、相変わらずカチャカチャしていたんだよ!!
時間を見ると…あぁ、もうすぐ6時になるんだなぁ…って事は、俺は1時間も知恵の輪をやっていたということか…
我ながら、もっといい時間の過ごし方…出来なかったのかなぁ…?
「デメトリオ、一緒にゲームでもしないか?」
「…ゲーム?」
「あぁ!!右端から左端に赤と青の点が流れてくるから、それを左端の白いポイントでタイミングよく叩いていく音ゲーなんだけどさ……」
「俺…やったこと無いんだけどなぁ…」
「大丈夫だって!!何回もやっていけば慣れるからさ!それに…今日を入れて三日間は国をあげて、お前が来たことに関するお祭りをやるんだからさ!!結構…楽しいんだぜ?」
「三日間も国をあげてお祭りするの!?そ、その間…国の警備とかはどうするんだよ!?」
「ん?大丈夫だって…こんな場所に攻めて来るやつらなんかいないからさ…それに、俺達には機工障壁がついているからな…警備なんて所詮…飾りみたいなものなんだぜ?」
そ、そうなのか……それを聞いて、俺は少しだけ安心した…
まぁ、この三日間の間にメリィたちがこの町に来たら、サリィを返せばいいし…焦るようなことは何もないかぁ…
俺は心の中でそう判断し、ナッカーサーと一緒にゲームを始めることにしたんだ…
いやぁ…この国、まさに俺が思い描いたかのように楽な国だなぁ…
それから数時間、音ゲーをやった後、俺はナッカーサーに連れられて中央広場に行ったんだよ!!
俺が行ってみると、結構大勢の人が集まって屋台やらいろいろ出していたんだよ!!
完璧なお祭りムード満載のこの場所で一番盛り上がっているのは…王様なんだけどな…
いや…まさか、ステージのある場所でコック服を着用し…うどんを作っている王様がいるとはなぁ…
「デメトリオー!!こっちだ!!」
「……お、王様…何しているんですか?」
「あぁ…この格好か?いや…実は俺、うどん作るのが趣味でさぁ…祭りが始まったらうどんを作ってみんなに提供しようと思っているんだ!!そうだ…そういえば、ナッカーサーはデメトリオにこの国の地域の説明をしているのか?」
「あっ…すまない、ゲームに夢中になっててするのを忘れていたぜ…」
「だったら、今から2時間は祭りが始まるまでに時間があるから、その間に説明しておいたらどうだ?」
「……そうだな…デメトリオ、ついてきてくれないか?」
……えぇー…二時間の間、まさかこれからずっと歩くんじゃないだろうなぁ…
俺はもしそうなら、本音を言えば地域の説明はいらないんだけど…
なんて俺が思っていると、口に出してもいないのにナッカーサーが俺が思っていることを的確に指摘してきたんだよ!!
「まさか、デメトリオ……歩いて地域を回って説明を受けるのは嫌だなぁ〜…なんて思っているんじゃないか?」
「な…なんでそのことを!?ま、まさかお前は心が読めるのか!?」
「ふっふっふ…俺はかつて、人の心を支配していた魔王…って、そんなわけ無いだろ?お前も多分、この国の大半の奴が思っていることと同じ事を考えているんじゃないかって思ってさ…なんでこの国にテレポーテーションシステムがあると思う?歩いて広い地域を行ったり来たりしたくないからさ!!」
………お、おぉ〜〜…まさか俺と同じ考えを国民の大半が持っているなんて…
それにしても、さすがだよなぁ…テレポーテーションシステム…考えた奴に素直に尊敬の念を込めたいね…
なんて思って歩いていると、すぐに俺がここに来たとき、兵士が操作していた装置と似たようなものが備え付けられている場所に着いたんだよ!!
明るくなってから見てみると…へぇ〜…こんな形していたんだなぁ…
なんてあらわしたらいいだろうか…形はパッと見、リクリスタで乗った大きな会社のゴンドラのリフトみたいなんだが、青白い光が放たれていて少し目が痛いぜ…
「あの青い光は余り見るなよデメトリオ?目を悪くするからな?」
ナッカーサーはそう言いながら、装置を操作し始めたんだ…
メガロス帝国かぁ…一体どんな地域があるんだろうなぁ…
なんて思いながら、俺はナッカーサーが手招きしたので、ナッカーサーの近くに移動し…テレポーテーションシステムで他の地域に移動したのだった…
まさか…人生を見直そうと思ってここに来たのに、すぐに残りの人生を過ごす場所が決まろうとはなぁ…
いや、別にいいんだけどな?ここなら楽に人生を過ごせそうだし…
なんて思いながら、城の中にある部屋に連れて行かれた俺なんだが…
「……そうだ、俺と一緒の相部屋になるんだから、少しはこの国のシステムを知っておいたほうがいいな…この国は大きく分けて【クォールズ】と【マファイド】、【ミカルド】…そして【メガリア】の四つの階級があるんだ。【クォールズ】が兵士…この兵士は各地域から預かった孤児達で構成されており、将来大きくなったら結婚するために国から出てもいい連中だ…結婚する意志がなければこの国にいればいい…決める権利があるって奴だな?」
「へぇ〜…やっぱり、この国にも結婚願望がある人っているんだなぁ…」
「当然だな……まぁ、兵士諸君はまだ夢があるからな…自分の生きたいように人生を過ごせばいい…で、その兵士達を率いるのが【マファイド】…いわゆる部隊長的な感じだな?これは、兵士の中でも年齢が高い順に選ばれる…外の国から何かを輸入する部隊に派遣されるなど…兵士よりもこの国に戻ってくることが出来ない連中さ」
……この国に戻ってくることが出来ない…?それは一体なぜなんだ?
なんて当たり前のことを思ってしまったりもしたんだが、ま、まぁ…国には国のルールがあるって奴なのかな…?
そう言いながら、俺達は少し騒がしくなってきた廊下を歩いていたんだ…
「……ナッカーサー…戻ってこないってどういうことなんだ?」
「この国から出ると、世界中に可愛い魔物娘達がいるだろ?この国にいる孤児が、そんな誘惑に耐え切れる可能性はほぼゼロ…そして、魔物娘たちは愛する男を手に入れるためにあいつらが乗った飛行船が降り立ったところを狙って襲ってくるからな…生き残って資材を持って帰ってくるのはよくて3人か…しかも、全員売れ残った的な絶望感を背負って戻ってくる…ショックで8割が引きこもりになるんだぜ?」
「お…おぉぅ…壮絶だな…」
なんて答えたわけだが…売れ残った絶望感なら、俺もわかるぜ!!
なんせ…俺はフェルス興国の最後の一人…結婚しなかった男だぜ?これって、俺が完璧に売れ残ったって事だろ?
まぁ…この国に来て結婚するのを諦めた俺的にはどうでもいいんだけどな?
「で、話の続きだが…【ミカルド】ってのが俺達…外からここにすむことを決めた奴らで、主に国内警備に当たっているんだ。全員、絶望を背負ってここに来たから、結婚を諦め、自分に自信も無い連中さ…まぁ、おかげで全員仲間を裏切らない…いい奴なんだけどな?」
「ぜ、絶望を背負ってきただって…?」
「おう…俺は、昔愛していた人に裏切られてな?金の為に殺されかけたんだよ…一体俺がその愛人にいくらお金をつぎ込んでいたと思う?金貨300枚だぞ!?俺のその時の給料が銀貨1枚…俺は物凄い借金を抱えてもそいつを愛していたと思っていた…だが、そいつが愛していたのは俺ではなく金貨!!俺はもう家族からも縁を切られていたが、それでも一人で貢いでいた!!だが…そいつが優しく俺を生命保険に入れてくれたかと思った次の日…武装した大勢のいかつい男達が…そして、その中央で物凄いリッチな服装をしながら大笑いしているあいつの姿…俺は逃げたね…振り返らなかったさ!!」
「そ…それは…凄いな…」
俺は思わず絶句してしまったぜ…ま、まさかそんなつらい経験をしているなんて…お、恐ろしい男だ…
決めた…俺はどんなことが会っても、こいつとは友達でいよう…いや、【ミカルド】の連中とは絶対に仲良くしよう…
なんて思っていると、更にナッカーサーが他の皆の話を始めたんだよ!!
「テスタロスの奴は、甲斐性なしだからって奥さんが離れて行ったし、メビウスは皮肉屋でいやみな話し方が災いして、陰口を叩かれまくって精神的に…真夜中に一人部屋で泣いてる痛い奴に…ザボルグは、奥手な性格が災いして仕事場で散々苛められて更に奥手な性格に…しかも、ストレスをめったに表に出さないから地味なキャラに…ライザーは昔は大金持ちだったんだが親の事業が失敗してから借金地獄の日々に…そしていい年して無職を貫き通していた時に親が室内で人生に疲れたと遺書を書き他界…それから精神的にダメージを受けて凄い軽い性格の奴に…ガイウスは命をかけて守ると誓った女性が、知らない間に他の女性に取られていたという事実を目撃し、二度と家には戻ることが無くこの場所に来た…クラウィスは聖職者だが、所属していた寺院のシスターが魔物娘化したことにより、そこから逃げてここに来た…ディルグは昔は他人の事をとても大事に思う奴だったらしいが、親友に妻を取られてから…そのショックで女性と付き合うことが怖くなり、自分のことしか考えない自己中心的な思想の男に…」
「ひ、ひぃい…もういいよ…聞くだけでも十分かわいそうだから…」
な、なんでだろうか…こんな話を聞いていると、俺なんかなんて小さなことで悩んでいたんだって本気で思ってしまうじゃないか!!
などと心でつぶやいている間に、俺は目的地の自分の部屋についたんだよ!!
「ここが俺とデメトリオ…お前の部屋だ!!結構いい部屋だろ?」
「ま、まぁ…生活感はあふれているぜ?」
そう…男らしいといえばそうなるんだが、余り掃除されていない部屋が俺とナッカーサーの部屋みたいなんだよ!!
でも、大きなベッドあるし、結構高級そうだし…コレはこれでありかも知れないぜ…
「じゃあ…デメトリオが来たから、朝の7時から祭りだぜ?それまでは…一緒にカードゲームでもするか?」
「お…?いいねぇ……」
なんていいつつ、ナッカーサーがカードを取り出した時だった…
なんと、部屋の扉がいきなり開いて、ちょっとメタボな感じの男が入ってきたんだ!!
「やぁ…えっと…君がデメトリオ君だね?僕はグランマーグって言うんだ…この城の中にある機械を修理するのが僕の役目…で、ナッカーサー…通信端末がおかしいんだって…?」
「あぁ!!ちょっと見てくれないか…?」
「わかった…パーティーが始まったら、一緒に食事でもしない?僕…多分今回も一人だから…」
「安心しろって!!【ミカルド】のメンバーだろ!!困った時の助け合い精神!これ…結構重要!!一緒に食事しようぜ?デメトリオもセットでさ!!」
「……わ、わかったよ!!」
そう言いながら、グランマーグは少し体をすくめると、通信端末とやらをいじり始めたんだ…
そして、ナッカーサーが飲み物を俺に渡しながら、こういってきたんだ…
「あいつはグランマーグ…デメトリオがここに来る前は、【ミカルド】の一番新しいメンバーはあいつだったんだ…だから、お前が来て結構うれしかったみたいだぜ?どうやら、ここに来る前は見た目に反せず、飲食店を経営していたようだ…だが、太っていたことを当時の店員に馬鹿にされ…それでもくじけずに頑張っていると店員達が互いに給料上げろとデモ活動…そして、極め付けには強盗に襲われてお金を全て取られた男さ…自分に自信がないから、女性と話しかけるのが怖いようでさ…仲良くしてやってくれよ?」
「当然!!お前いわく…困った時の助け合い精神…だろ?」
「おっ…いうねぇ…」
そしてグランマーグが作業を終えて、変な操作をし始めると、いきなりうす緑色のスクリーンが現れたんだよ!!
しかも…凄い数字の羅列が並んだ…見ているだけでも気持ち悪くなるタイプのがな?
「じゃあ…僕は他の部屋の修理もしないといけないし…これで…」
「おぅ!!いやぁ…助かったぜ…」
それから、ナッカーサーが冷蔵庫に冷やした飲み物を俺に渡してきてすぐ…ナッカーサーはなにやらカタカタと打ち始めると、スクリーン越しに研究者風の男が出てきたんだよ!!
……ま、まさか、彼も【ミカルド】なのか…!?
「なんだ…こんな朝早くに…?」
「ケイ!!起こしてすまないな…俺の隣にいる奴が、今日の朝4時くらいに来た新入りのデメトリオって言うんだ!!一応報告しておこうと思ってさ…」
「…それなら、朝8時にどうせ食事の約束があったんだからその時に話せばいいだろうに…まぁ、別にいいんだが」
「デメトリオ…紹介するぜ…こいつが…」
「待てナッカーサー…自己紹介ぐらい自分で出来る…僕はケイ=ラングスフォード、メガロス帝国武器開発統括者兼作業用ロボット作成統括者だ…まぁ、この国では金属が一切取れないから殺傷武器は作成不可能…だが、それをのけても余りある技術で兵士をサポートしていくのが仕事だ…よろしく」
「あ…よろしくおねがいします…」
それから、ナッカーサーがケイと若干だが話を始めた時…俺は近くにあった知恵の輪で遊び始めたんだ!!
LV2くらいだったら…クリアできる気がする…
〜〜一方その頃…とある場所で〜〜
「どうか…私達と一緒にメガロス帝国を攻めるお手伝いをしていただけませんでしょうか…?」
「…ごめんなさい、私…夫とイチャイチャしたいから…」
「そ…そうですか…失礼しました…」
これで…8件目もアウトかぁ…
私は、メガロス帝国を陥落させるためにメンバーのみんなにいろんな国にいるモンスターラグーンのメンバーを集めてくるように指示した後、いろいろな場所で頭を下げてお願いしていたの…
でも…さすがにこんな朝早くに…しかも戦争の手伝いなんてしてくれる人はほとんどいない…
でも、他のメンバーは各地を飛び回ったり自分の足で仲間を集めているから、私も少しは仲間を増やさないと…
なんて思っていると、私はあることを思い出したのよ…
そう…今までいろんな町に行ってきて、もしも困ったら協力してくれるって約束した人たちがいるじゃない!!ちょっと…当たってみようかな…
そうして、私は物凄い速度で飛翔し…とある場所を目指し始めた…
まずは、昔の友達でデメトリオのことが大嫌いな皆のところに行って…協力して貰わないといけない…
そう思いながら、私はフェルス興国に来る前の私達…ウェイネス姉妹の故郷【アロス】に向かって飛んでいく…
空中浮遊都市【アロス】……魔王の交代の前は、一度入ったら二度と出ることが出来ないといわれたダンジョンだったみたいだけど、今は鳥系魔物娘たちにとって非常にすみやすい気温、湿度が保たれている場所で、結構鳥系魔物娘達の間では有名だ……
場所はジパング上空にあるから…ごく稀に下のジパングから姿が見えるんだけどね…
よく、天空にある城のラピ……こ、これ以上は言えないわね…
とにかく、それに間違えられるんだけど…
なんて、心の中で説明していると、すぐに【アロス】が見えてきた!!
まだ5時くらいにも関わらず、結構灯りがつき始めている…
ま、まぁ…鳥は早起きだから……さぁて…フェルス興国で友達になって、後にここに移住した友達は…以前に教えて貰った場所にまだいるのかしら…?
そして、私は二番通りにある少し古い感じの家の扉を叩いてみた…
前はここにいたんだけど…そう思いながら、じっと待ってみる…
すると、中から走ってくる音が聞こえ、見覚えのあるカラステングの顔がひょっこりと顔を出して来た…
どうやら…移動していないようね…
「あっ!?メリィじゃないの!!こんな時間にたずねてくるなんて…どうしたの?ん?まぁいい…中に入って!!」
「お邪魔するわね刹那?」
こうして、昔の友たちがいるであろうこの家の中に入ると、案の定…みんなしたいことをしながらのんびりとしていたのよ…
「あれ?メリィ〜〜!!元気してた?今日はいきなりの訪問だね!!3年ぶりかな?サリィちゃん元気?」
「……あのぉ…まだあのデメトリオとか言う名前のゴミ屑…存在価値0のゴミは生きているんですか…?メリィなら…知っているかと思って…」
「あぁ〜〜!!いたねぇ…そんなゴミも…燃やせるゴミにでもだして焼却でもしたの?メリィ…?」
「ちょっと…そのことで真面目な話があるのよ…」
そして、私は今までの出来事を出来るだけ簡単に4人に説明したのよ…
そして、当然ながらデメトリオが私達を裏切ったって事も…
「……あのゴミ…助けられていながらも…裏切るなんて…」
「まぁ…昔からそんなゴミだとは思っていたけどねぇ…」
「で…メリィはデメトリオを潰すために私達に手伝えって…そういいたいの?」
「まぁ…そんなところね…」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「は…はっくしょん!!」
「デメトリオ…どうした?」
「い、いやぁ…多分埃だと思うから…気にしなくてもいいぜ!」
「じゃあ、そこにある新品のマスクでもつけておいたらどうだ?」
「あ…サンキュー…」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
それから、しばらく話して…私は他の手伝ってくれる人がいそうな所に移動したのよ…
デメトリオが裏切ったことで、メガロス帝国の連中がどんな準備をしてくるか分からないから…
それに、刹那達もいろいろ当たってくれるって言ってくれたから…
この三日間のうちにどのくらい…どのくらい仲間を集められるかが本当に重要だからね…
私はそう思いながら、まだ若干薄暗い夜の空へと飛び立っていった…
〜〜〜〜〜そして、デメトリオの視点に戻りますよ?〜〜
俺はしばらくの間、知恵の輪LV2に挑んでいたんだが…
な…なんて高難易度なんだ…まさか、LV2がクリアできないなんて…
なんて思いつつ、相変わらずカチャカチャしていたんだよ!!
時間を見ると…あぁ、もうすぐ6時になるんだなぁ…って事は、俺は1時間も知恵の輪をやっていたということか…
我ながら、もっといい時間の過ごし方…出来なかったのかなぁ…?
「デメトリオ、一緒にゲームでもしないか?」
「…ゲーム?」
「あぁ!!右端から左端に赤と青の点が流れてくるから、それを左端の白いポイントでタイミングよく叩いていく音ゲーなんだけどさ……」
「俺…やったこと無いんだけどなぁ…」
「大丈夫だって!!何回もやっていけば慣れるからさ!それに…今日を入れて三日間は国をあげて、お前が来たことに関するお祭りをやるんだからさ!!結構…楽しいんだぜ?」
「三日間も国をあげてお祭りするの!?そ、その間…国の警備とかはどうするんだよ!?」
「ん?大丈夫だって…こんな場所に攻めて来るやつらなんかいないからさ…それに、俺達には機工障壁がついているからな…警備なんて所詮…飾りみたいなものなんだぜ?」
そ、そうなのか……それを聞いて、俺は少しだけ安心した…
まぁ、この三日間の間にメリィたちがこの町に来たら、サリィを返せばいいし…焦るようなことは何もないかぁ…
俺は心の中でそう判断し、ナッカーサーと一緒にゲームを始めることにしたんだ…
いやぁ…この国、まさに俺が思い描いたかのように楽な国だなぁ…
それから数時間、音ゲーをやった後、俺はナッカーサーに連れられて中央広場に行ったんだよ!!
俺が行ってみると、結構大勢の人が集まって屋台やらいろいろ出していたんだよ!!
完璧なお祭りムード満載のこの場所で一番盛り上がっているのは…王様なんだけどな…
いや…まさか、ステージのある場所でコック服を着用し…うどんを作っている王様がいるとはなぁ…
「デメトリオー!!こっちだ!!」
「……お、王様…何しているんですか?」
「あぁ…この格好か?いや…実は俺、うどん作るのが趣味でさぁ…祭りが始まったらうどんを作ってみんなに提供しようと思っているんだ!!そうだ…そういえば、ナッカーサーはデメトリオにこの国の地域の説明をしているのか?」
「あっ…すまない、ゲームに夢中になっててするのを忘れていたぜ…」
「だったら、今から2時間は祭りが始まるまでに時間があるから、その間に説明しておいたらどうだ?」
「……そうだな…デメトリオ、ついてきてくれないか?」
……えぇー…二時間の間、まさかこれからずっと歩くんじゃないだろうなぁ…
俺はもしそうなら、本音を言えば地域の説明はいらないんだけど…
なんて俺が思っていると、口に出してもいないのにナッカーサーが俺が思っていることを的確に指摘してきたんだよ!!
「まさか、デメトリオ……歩いて地域を回って説明を受けるのは嫌だなぁ〜…なんて思っているんじゃないか?」
「な…なんでそのことを!?ま、まさかお前は心が読めるのか!?」
「ふっふっふ…俺はかつて、人の心を支配していた魔王…って、そんなわけ無いだろ?お前も多分、この国の大半の奴が思っていることと同じ事を考えているんじゃないかって思ってさ…なんでこの国にテレポーテーションシステムがあると思う?歩いて広い地域を行ったり来たりしたくないからさ!!」
………お、おぉ〜〜…まさか俺と同じ考えを国民の大半が持っているなんて…
それにしても、さすがだよなぁ…テレポーテーションシステム…考えた奴に素直に尊敬の念を込めたいね…
なんて思って歩いていると、すぐに俺がここに来たとき、兵士が操作していた装置と似たようなものが備え付けられている場所に着いたんだよ!!
明るくなってから見てみると…へぇ〜…こんな形していたんだなぁ…
なんてあらわしたらいいだろうか…形はパッと見、リクリスタで乗った大きな会社のゴンドラのリフトみたいなんだが、青白い光が放たれていて少し目が痛いぜ…
「あの青い光は余り見るなよデメトリオ?目を悪くするからな?」
ナッカーサーはそう言いながら、装置を操作し始めたんだ…
メガロス帝国かぁ…一体どんな地域があるんだろうなぁ…
なんて思いながら、俺はナッカーサーが手招きしたので、ナッカーサーの近くに移動し…テレポーテーションシステムで他の地域に移動したのだった…
12/07/15 21:36更新 / デメトリオン
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