65 デモンスタワー 最終階 (後編)
ま、まさか…こんなことになろうなんて…
そう、前回の話を見てくれれば俺が今どんな状況なのかが分かるだろうが…
今の俺は、触手に囲まれ…目の前にスモモちゃんが立っている状態でもがいているんだよ…
なんで…どうしてこんなことになったんだよ!?
なんて思いながらも、俺の今の状況が変わるわけはなく…
俺は必死に足掻くことしか出来なかったんだよ!!
「……お、お願いしますから、こんな事はやめましょうよ?な?」
「だから…ダーメ!!ふっふっふ…」
「す、凄い…あの表情…ママみたい…!!」
なんてキュラスが言ってはいるが…そんな事を言っている暇があるなら助けてくれよ!!なぁっ!?お、俺の貞操が無理やり奪われそうなんだぞ!?
なんで俺を助けてくれないんだ!?い、いつもは…助けてくれるじゃないか!
なんて思っていると、セムちゃんが凄い速度で走ってきたんだよ!!
さ、さすがはセムちゃんだぜ…前回俺はセムちゃんを見捨てたというのに、俺を助けてくれるなんて…
「デメさんは…渡しません!!」
「…むぅ〜…私の邪魔をしないでよ〜!!」
セムちゃんが俺を助けに来てくれたのはうれしいが、スモモちゃんの触手攻撃は異常な早さだぞ!?大丈夫かな…?
なんて思っていたんだが…なんと、セムちゃんまで捕まってしまったんだよ!
せ、セムちゃん…結構足速いはずなのに…そのセムちゃんでさえ捕らえることが出来るなんて…た、ただの女の子じゃないというのか…!?
シスターの格好をしているのに、攻撃に特化していると…そういう事なんですか!?
いや…今はこのようなことを思っている場合ではない…セムちゃんも捕まってしまったって事は…わが身に危険が及ぶって事なんじゃないのか!?
なんて思っている俺だが…
「つっかまえた〜!!」
「きゃっ!?は、離してよ!!」
「ダーメ!!私の邪魔をしたんだから、それ相応のバツを受けて貰わないと…ね?」
せ、セムちゃんにも物凄い危険が迫っているんじゃないのか今の状況は!?
ぐ、グロリア家四女のセムちゃんが、こんな場所で酷い目に合ったりしたら…何か、凄いことが起こりそうな気がするんだが…
で、でも…俺にも物凄い危険が迫っているわけで…
だ、だってさ…俺の貞操の危機なんだぞ!?
いや…嫌なわけではないのだが…ん?でも、世間体を考えたら、やっぱり無理だろうし…やっぱり無理だよな!!
それに、両思いってわけじゃなく、ほとんど強引って形だし…
そういうの、よくないって!!
なんて一人で思っている間、スモモちゃんはずっと考えごとをしていたんだが、何かを思いついた見たいで、ニヤリと笑うと…俺の方に近づいてきてこういってきたんだよ!!
「わかった〜…あなた、この人が好きなんでしょ〜?」
「っ!?そ、それは…その…」
……セムちゃんが俺のことを好きだって?…ありえないな…
だって、考えても見てくれ…今まで、そんなシチュエーションは一度も起こっていなかったんだぜ?
大体、俺のことをセムちゃんが好きなら、俺がそのことに気付くじゃないか!
でも、俺はそのことには気がついていないわけで…
つまり、その可能性は無いって訳だよ!!
ふっ…スモモちゃんもまだまだ…未熟だなぁ…
「知ってる?世の中で心に深く残る出来事の三つのうち一つ…私、お母さんから教えて貰ったんだ〜!!」
「……こ、心に残る出来事…?」
「そう…その人のことを好きな人の前で、その相手と体の関係をとること!しかも、許可なしで!!」
な…何を馬鹿なことを言っているんだよスモモちゃんは!?
そ、それは世に言う…NTRって奴じゃないのか!?
取られた側は物凄く心にキズを残し、さらに取った相手は一切罪悪感を感じないという…俺がされたら首を吊って自殺してもおかしくない行為だ!!
な、なんて事を教えているんだモモさんは!?
人の不幸を呼び寄せる行為を教えるって事は…俺の流儀に反する!!
なにより…相手の事を傷つける行為は絶対にしてはいけないことだ!!
だろ?いや…これだけは、世界中の人間が言ったとしても…俺は曲げないぜ?
ま、まぁ……俺が今まで生きてきた中で、一度もそんな事は無かったなんて言ったら、嘘にはなるんだけど…な?
だって、人間って生き物は、相手が気付いていない間に、相手に深い傷を与えたりするものだからさ…
俺が言いたいのは…常識的に考えて道徳的じゃない事はするなって事さ!!
なんて…無駄に熱くなったりしたわけだが…
「じゃあ…早速…」
「や、やめてーーっ!!」
そして、次の瞬間…セムちゃんの叫び声が響いて、スモモちゃんの触手が俺の服に接触した瞬間だった…
そう…この瞬間、俺は視線の端っこでメリィが動いてくれるのを確認したんだよ!!
やったぜ…まさか、ここで動いてくれるなんてな…
「……ちょっと、スモモだったかしら?あなた、調子に乗りすぎよ?」
「へっ?はっ…い、いつの間に…早いですね…」
「…あなたとは生きている時が違うのよ?あなた…確かに魔力も高いし…生まれながらにして、少しエリートだったようだけど…慢心は身を滅ぼすわよ?」
「……お姉さんも、油断は大敵ですよ〜?胸もないし…それに…こんな目に会ったりするんですから!!」
そう言いながら、スモモちゃんがメリィの死角から触手攻撃を仕掛けたんだよ!
ふ、不意打ちなんて…なんて卑怯なんだ!?
だが、俺がメリィに不意打ちのことを伝えようとする前に、メリィが床に手をつきながら足で後ろから迫っていた触手を蹴り飛ばし、そのままの勢いでスモモちゃんの体に攻撃を加えたんだ!!
…め、メリィ…不意打ちにも華麗に対応できるなんて…す、凄いなぁ…
「胸も無いってのは余計よ…あなたはまだ子供だから、子供らしいことを言いながらお母さんに甘えていなさい…いずれは、お母さんの元を離れて一人立ちするんだから…まぁ、今は…寝てなさい!!」
「はぅっ…がくっ…」
メリィは一発、スモモちゃんの首に攻撃を入れると、スモモちゃんを気絶させたんだよ!!
……も、文句なしに…強いなぁ…うん…
そう思いながら、触手の拘束から開放された俺は、スモモちゃんの近くに鍵を見つけたんだよ!!
こ、これは…まさか、出口に通じる鍵か!?ま、まさか…これを使えばあの二人を飛ばしてこの場所を脱出できるんじゃないのか!?
俺はそのことに気がつき、そっとメリィのところに近づいて行ったんだよ!!
「なぁ…メリィ…これ、スモモちゃんが落とした鍵っぽいんだけど、これを使えば、残っているあの二人をパスできるんじゃないかな?」
「……デメトリオ、中々あくどい考えね…それ…まぁ、私はいいけど…」
よしっ!!メリィの承認も得たことだし…あとは、あの二人が何かに気を取られた瞬間に脱出だ!!
なんて思いながら、あの二人のうち、リーダーっぽい女性がメリィを指名した時だった…
なんと、第三者がこのフロアに現れたんだよ!!
「おーい…飯が出来たぞー?」
「Myハニー!!待たせたねぇーー!!って、モモ!?どうしたんだ!?」
「……あ、あなた…食事できたの?」
「あ、あぁ…」
…どうやら、あの二人はモモさんとピーチさんの夫みたいだな……
この、敵二人の視線が夫の方を向いている瞬間を見逃す手は無いよな…?
なんて思った俺は、すぐに出口の方に走って行き、出口の扉を開けて脱出したんだよ!!
あの瞬間の俺の瞬発力と速さは…多分誰にも負けなかったと思うね…うん…
そして、皆が移動して来た後、俺は律儀に鍵を中に放り込んでから…外から閂を仕掛けたわけですね…?
ま、まぁ…多分閂の意味は無いと思うけど…
それにしても…ここは…?
さっきまでの壁がピンク色のグロテスクな空間から一転して、ここはなんだか、城の中のようなつくりになっていたんだよ!!
しかも、天井には沢山の星が描かれていて…なんて言ったらいいのか…
癒し?って感じがするんだよなぁ…
「…なんだか、凄いねー…きーちゃん?」
「うん…そうだねー!!」
子供メンバー達はどうやらうれしいようだなぁ…
いや、俺も結構テンションが上がってきてさ…なんていうか、子供心を揺さぶってくる空間なんだよなぁ…
俺、大人だけど…
なんて思っていると、中央部分から階段が少しあって、その上に何か椅子のようなものがあることに気がついたんだよ!!
……まったく、この部屋…なんで灯りが天井の月明かりだけなんだ?
はっ…神秘的空間をつくるための技法って奴なのか!?な、なるほどな…
この部屋をつくった職人さんは…いい仕事をしているってことか…
そして、全員で階段を上り終わると、さらに少し階段があって、その上の方から二人…女性がこっちを見ていたんだよ!!
女性二人の裏側には、大きな扉があって…そしてその扉の上には銀色の刺繍で外出用って書いてあるんだよ!!
で、出口…!?そうか、遂にデモンスタワーも終わりか…
なーんて思っていると、二人の女性が話しかけてきたんだよ!!
「あらっ……客人とは珍しいですね…?私はこのデモンスタワーの主…レヒテって言います……こんな遠い中、こんなところまで来てくれてありがとうございます…久しぶりの客人ですから、うれしいですわ!!」
「あたいはリンケって言うんだ!!そんな肩の力を入れないで…もっと気楽に行こうぜ?」
…あ、あの二人…リリムの女性っぽいけど、敵意を全然感じないな…
ま、まぁ…ここまで沢山戦闘をしてきたから、ここで少しは休んだりするのも良いと思うぜ?
いや…むしろ、大歓迎ですよ!!
そして、しばらくして…俺たちは、一体どこから出したのか分からない机に全員で座って…なぜか食事タイムにいそしんでいたんだよ!!
「皆様は…今回は一体どのような用事でここにいらっしゃったんですか?ここまでいらっしゃるのも楽ではなかったでしょう?」
「あぁ…それは…」
「…デメトリオは黙ってなさい?」
「…はい」
な、なんでだろうか…メリィは俺が発言すると、空気が変になるって思っているのか、俺に発言権を与えてくれなかったんだよ!!
いや…俺はもうこんな扱いにはなれたから、何も言わないぜ?はっはっは!!
「リンケ…お客様にローズティーをお出ししていただけます?さすがに、折角の客人に何も出さないというのは失礼でしょ?」
「えぇー!?あたいがやんのー?姉貴がやってよー!」
「……ふぅっ…すみませんね、客人に見苦しいところをお見せして…」
「…ちっ、分かったよ」
そういうと、リンケは横にある部屋の中に行こうとしたんだが…
こ、この部屋…入って来た部屋意外にもたくさんの部屋があるんだな…
た、たとえるとしたら…レンタルハウス(2LDK)くらいか…?
俺はレンタルハウスに行った事は無いからわからないんだけどな?
なんてのんきに思っていた時だった…
「…デメトリオも手伝って来なさい?いいわね?」
「えぇっ!?何で俺が…!?」
「……(将来、あなたとサリィの結婚が実現された時、サリィが楽できるようにでしょ…?」
「……行きますよ、行けばいいんでしょ…はぁっ…」
こうして、俺もリンケの後を追いかけて行ったんだが…
最近、メリィが俺に対して…ちょっと酷い気がするんだよなぁ…
いや、以前も中々に酷い扱いだとは思っていたんだが…メガロス帝国に近づくにつれて…少し発言が冷たい気がするんだよなぁ…
ま、まぁいいけど…リンケでも手伝うとするかな…
「あっ、手伝いに来ました…えっと、俺は何をすれば…?」
「……じゃあ、そこの氷をティーカップの中に入れておいてくれる?」
「あっ…はい…」
なんていいながら、リリムの女性であるリンケさんとの共同作業にいそしむ俺だが…
あれだな…態度が冷たいのと空気が重いので…会話しにくい状況だぜ…
なんて思いながら、ティーカップの中に氷を入れているんだが…
「……えっと、入れ終わりました…」
「あぁ…だったら、もう用事は無いよ…ありがと…」
「あ…はい…では、俺はこれで…」
なんていいながら、俺はそそくさとこの部屋から出ようとしたんだが…
その瞬間、俺はリンケに呼び止められたんだよ!!
一体…俺に何の用事があるっていうんだ?俺はもうやることは終わったし、もう用事は無いんだろ?なんて思ったりはしたが…俺は一応話を聞くことにしたんだ。
「…えっと、なんですか?」
「ちょっと聞きたいんだけど…あんた、今まで生きてきた人生の中で…自分が他人よりも劣っているって劣等感を感じたことってある…?」
「はい?劣等感ですか?はぁ…まぁ、感じているんじゃないでしょうかね?」
劣等感を感じているかって聞かれても、俺からはなんとも答えにくいんだよなぁ…
いや、俺は劣等感を常に感じてはいるけど…でも、人間だったら全員感じている感情なんじゃないのか?
世の中に勝者と敗者がいるっていう認めたくない現実とほぼ同じことだって!
ま、まぁ…いいんだけどさ?
だが、リンケは俺の答えに対して若干納得できていないようで、更に俺に強くこういってきたんだよ!!
「…あんたねぇ…あたいは真面目に聞いているんだ!!真面目に答えてくれない?」
「ま、真面目にって…俺は常に真面目に答えてますって!!」
「……そうか、まぁいい…少し、あたいの話も聞いてくれないか?」
…話?なるほどね…生きていれば、魔物娘でも思ったりすることがあるって事かな…?なら、少しでも気が楽になるように話を聞いてやるのもありかな…?
なんて思った俺は、おとなしく話を聞いてあげることにしたんだ…
……ま、まぁ…宿屋経営時代から、独身の男達の世の中に対する意見を聞き続けていたこの俺だったら、この話題も横流しできるし…いいんだけどな?
「あたいは、常にあの姉さんの近くで過ごしてきたから…毎回毎回比較されたんだよ…わかるかい?」
「は、はぁ…まぁ、姉妹っていうのはそういうものじゃないんですかね?俺にはなんとも言いにくいんだけど…兄弟いないしね?」
なんて正直に答えたりしたんだけど…な、なんだよ!?あの、余計なことを言わずに黙って聞けよっていいたそうな目線は…!?
……わ、わかったよ…相槌を打てばいいんだろ!?
「……まぁ、話を聞いてくれる?毎回毎回姉さんと比較されたあたいは、姉さんと一緒にたくさんの地域を旅してたのよ…その中で、多くの人を見ていったんだけど、世の中は勝者と敗者に満ちている…わかるよな?お前は、あたいと同じ雰囲気がするから…」
……り、リンケさんと同じ雰囲気をかもし出している…だと!?
ま、まさか…俺にも勝者として人生を謳歌する権利が!?
まさか、リンケさんが自分で自分を敗者だとか言うわけないしなぁ…
って事は、俺の人生もこれから先、きっと楽しいことがあるってことになるぜ!
やった…やったぞーーー!!
……こ、これがまさか、ぬか喜びなんて事は無いよなぁ…?
ま、まさか…なぁ…?
「あたいは、世の中を一つに統一した世界を造りたいと思うんだ……勝者も敗者も同じ価値しかない、あたいに完璧に統治された世界を作りたいんだ!!姉さんの理想としている、敗者は勝者の足元で無価値に生きる世界なんて…造らせたくないんだよ!!」
……一つ、言いたいことがあるんだが…俺はリンケさんのこの話を聞いて、何と答えればいいんだ!?いや…オーラ的には相槌を打っておけばいいかな?
なんて思っている俺は、ただひたすら頷いていたんだよ…
「で…あたいは自分の理想とした国家…そして、世界を造るために…あたいはこの世界から劣等感を感じる者を消していきたい!!…手伝ってくれるかい?」
「……」
「そうか!?手伝ってくれるのかい!?よかった…話してみるものだなぁ…じゃあ、これから先、手紙のやり取りでも一緒にしようよ!!」
……えっ!?て、手伝うって何をだ…!?
しまった…話も聞かずにただ頷いていたからなぁ…ま、まぁ…別にいいかな
えっと…手紙のやり取りがしたいって?
俺…手紙書くの得意じゃないからなぁ…ここは、断ろう…
「えっと…手紙のやり取りは…遠慮したいんですけど…俺、余り手紙書くの上手くないですし…」
「…そうか、わかったよ。えっと…じゃあ、あたいがもし、その世界を実現したら一度…会いに来てくれないかな?」
……こ、これは…勝ち組ルートに進行する可能性が…あるじゃないかよ!!
こ、こんな嫉妬の原因になりそうなこと…出来るわけが無いじゃないかよ!
でも…手紙を書くのさえ否定したからな…
だが、俺はしばらく考えているとある事実に気がついたんだよ!!
魔物娘の寿命は人間に比べると遥かに長いということを聞いたことがある…
だったら、俺が死ぬ方がその世界を実現するよりも早いんじゃないのか?
…そうだな、約束…してもいいかな〜?
「…わかった、約束するよ!じゃあ…みんなのところに戻るとするか?」
「……わかった」
なんていいながら俺たちがローズティーを持って行き、のんびりとティータイムをたのしんで30分…メリィは俺がいない間に話したいことを全て言ったみたいなんだよ!!
で…こんなに苦労してデモンスタワーに来たというのに、やけにあっけなく俺たちはデモンスタワー最上階の出口と書かれたところから、外に出たのだった…
……そして、外の空気を吸うと共に物凄い数の階段を目にする俺…
く、下り階段が一番下まで続いているだと…!?
まさか、こんなに移動もしたのに最後は階段を降りるだけ…かぁ…
いや、別にいいんだけどな?
そう思いながら、一段一段階段を降り…俺たちはデモンスタワーを降りたところで、なんだか久しぶりにも感じる俺のマイ宿屋を展開したんだよ!!
さぁて……ずっと階段を上ったり、石造りの床を歩いたりしたからな…少しは草原を歩くってのも…いいと思いますよ?
なんて思いつつ、メリィたちが宿屋に向かうのを確認し、適当にうろつく俺…
いやぁ…草って結構ふかふかだったりするんだなぁ…知らなかったぜ…
なんて思いつつ、更にうろついていると…俺は見覚えのある扉を見つけたんだよ!!
……あ、あの扉…なんでだろうか?凄くどこかで見たことがある気がするんだが…よし…くぐってみるかぁ!!
「…この扉を開けたら誰か出てくるとかないよな…?な?」
よっし…一気に開けるぞ…開けるからな!?
そう思いつつ、俺は一気に扉をあけ…扉をくぐり…ある事実と現実に直面したんだ!!
こ…ここは…デモンスタワーの入口じゃないか!?
あの看板…見覚えがあるぞ…!?まさか…まさか俺達って…
凄く無駄なことをしたんじゃないのか!?
………これは、メリィには黙っておこうか…
なんて思いながら、俺は愛しの宿屋に戻っていったのだった…
そう、前回の話を見てくれれば俺が今どんな状況なのかが分かるだろうが…
今の俺は、触手に囲まれ…目の前にスモモちゃんが立っている状態でもがいているんだよ…
なんで…どうしてこんなことになったんだよ!?
なんて思いながらも、俺の今の状況が変わるわけはなく…
俺は必死に足掻くことしか出来なかったんだよ!!
「……お、お願いしますから、こんな事はやめましょうよ?な?」
「だから…ダーメ!!ふっふっふ…」
「す、凄い…あの表情…ママみたい…!!」
なんてキュラスが言ってはいるが…そんな事を言っている暇があるなら助けてくれよ!!なぁっ!?お、俺の貞操が無理やり奪われそうなんだぞ!?
なんで俺を助けてくれないんだ!?い、いつもは…助けてくれるじゃないか!
なんて思っていると、セムちゃんが凄い速度で走ってきたんだよ!!
さ、さすがはセムちゃんだぜ…前回俺はセムちゃんを見捨てたというのに、俺を助けてくれるなんて…
「デメさんは…渡しません!!」
「…むぅ〜…私の邪魔をしないでよ〜!!」
セムちゃんが俺を助けに来てくれたのはうれしいが、スモモちゃんの触手攻撃は異常な早さだぞ!?大丈夫かな…?
なんて思っていたんだが…なんと、セムちゃんまで捕まってしまったんだよ!
せ、セムちゃん…結構足速いはずなのに…そのセムちゃんでさえ捕らえることが出来るなんて…た、ただの女の子じゃないというのか…!?
シスターの格好をしているのに、攻撃に特化していると…そういう事なんですか!?
いや…今はこのようなことを思っている場合ではない…セムちゃんも捕まってしまったって事は…わが身に危険が及ぶって事なんじゃないのか!?
なんて思っている俺だが…
「つっかまえた〜!!」
「きゃっ!?は、離してよ!!」
「ダーメ!!私の邪魔をしたんだから、それ相応のバツを受けて貰わないと…ね?」
せ、セムちゃんにも物凄い危険が迫っているんじゃないのか今の状況は!?
ぐ、グロリア家四女のセムちゃんが、こんな場所で酷い目に合ったりしたら…何か、凄いことが起こりそうな気がするんだが…
で、でも…俺にも物凄い危険が迫っているわけで…
だ、だってさ…俺の貞操の危機なんだぞ!?
いや…嫌なわけではないのだが…ん?でも、世間体を考えたら、やっぱり無理だろうし…やっぱり無理だよな!!
それに、両思いってわけじゃなく、ほとんど強引って形だし…
そういうの、よくないって!!
なんて一人で思っている間、スモモちゃんはずっと考えごとをしていたんだが、何かを思いついた見たいで、ニヤリと笑うと…俺の方に近づいてきてこういってきたんだよ!!
「わかった〜…あなた、この人が好きなんでしょ〜?」
「っ!?そ、それは…その…」
……セムちゃんが俺のことを好きだって?…ありえないな…
だって、考えても見てくれ…今まで、そんなシチュエーションは一度も起こっていなかったんだぜ?
大体、俺のことをセムちゃんが好きなら、俺がそのことに気付くじゃないか!
でも、俺はそのことには気がついていないわけで…
つまり、その可能性は無いって訳だよ!!
ふっ…スモモちゃんもまだまだ…未熟だなぁ…
「知ってる?世の中で心に深く残る出来事の三つのうち一つ…私、お母さんから教えて貰ったんだ〜!!」
「……こ、心に残る出来事…?」
「そう…その人のことを好きな人の前で、その相手と体の関係をとること!しかも、許可なしで!!」
な…何を馬鹿なことを言っているんだよスモモちゃんは!?
そ、それは世に言う…NTRって奴じゃないのか!?
取られた側は物凄く心にキズを残し、さらに取った相手は一切罪悪感を感じないという…俺がされたら首を吊って自殺してもおかしくない行為だ!!
な、なんて事を教えているんだモモさんは!?
人の不幸を呼び寄せる行為を教えるって事は…俺の流儀に反する!!
なにより…相手の事を傷つける行為は絶対にしてはいけないことだ!!
だろ?いや…これだけは、世界中の人間が言ったとしても…俺は曲げないぜ?
ま、まぁ……俺が今まで生きてきた中で、一度もそんな事は無かったなんて言ったら、嘘にはなるんだけど…な?
だって、人間って生き物は、相手が気付いていない間に、相手に深い傷を与えたりするものだからさ…
俺が言いたいのは…常識的に考えて道徳的じゃない事はするなって事さ!!
なんて…無駄に熱くなったりしたわけだが…
「じゃあ…早速…」
「や、やめてーーっ!!」
そして、次の瞬間…セムちゃんの叫び声が響いて、スモモちゃんの触手が俺の服に接触した瞬間だった…
そう…この瞬間、俺は視線の端っこでメリィが動いてくれるのを確認したんだよ!!
やったぜ…まさか、ここで動いてくれるなんてな…
「……ちょっと、スモモだったかしら?あなた、調子に乗りすぎよ?」
「へっ?はっ…い、いつの間に…早いですね…」
「…あなたとは生きている時が違うのよ?あなた…確かに魔力も高いし…生まれながらにして、少しエリートだったようだけど…慢心は身を滅ぼすわよ?」
「……お姉さんも、油断は大敵ですよ〜?胸もないし…それに…こんな目に会ったりするんですから!!」
そう言いながら、スモモちゃんがメリィの死角から触手攻撃を仕掛けたんだよ!
ふ、不意打ちなんて…なんて卑怯なんだ!?
だが、俺がメリィに不意打ちのことを伝えようとする前に、メリィが床に手をつきながら足で後ろから迫っていた触手を蹴り飛ばし、そのままの勢いでスモモちゃんの体に攻撃を加えたんだ!!
…め、メリィ…不意打ちにも華麗に対応できるなんて…す、凄いなぁ…
「胸も無いってのは余計よ…あなたはまだ子供だから、子供らしいことを言いながらお母さんに甘えていなさい…いずれは、お母さんの元を離れて一人立ちするんだから…まぁ、今は…寝てなさい!!」
「はぅっ…がくっ…」
メリィは一発、スモモちゃんの首に攻撃を入れると、スモモちゃんを気絶させたんだよ!!
……も、文句なしに…強いなぁ…うん…
そう思いながら、触手の拘束から開放された俺は、スモモちゃんの近くに鍵を見つけたんだよ!!
こ、これは…まさか、出口に通じる鍵か!?ま、まさか…これを使えばあの二人を飛ばしてこの場所を脱出できるんじゃないのか!?
俺はそのことに気がつき、そっとメリィのところに近づいて行ったんだよ!!
「なぁ…メリィ…これ、スモモちゃんが落とした鍵っぽいんだけど、これを使えば、残っているあの二人をパスできるんじゃないかな?」
「……デメトリオ、中々あくどい考えね…それ…まぁ、私はいいけど…」
よしっ!!メリィの承認も得たことだし…あとは、あの二人が何かに気を取られた瞬間に脱出だ!!
なんて思いながら、あの二人のうち、リーダーっぽい女性がメリィを指名した時だった…
なんと、第三者がこのフロアに現れたんだよ!!
「おーい…飯が出来たぞー?」
「Myハニー!!待たせたねぇーー!!って、モモ!?どうしたんだ!?」
「……あ、あなた…食事できたの?」
「あ、あぁ…」
…どうやら、あの二人はモモさんとピーチさんの夫みたいだな……
この、敵二人の視線が夫の方を向いている瞬間を見逃す手は無いよな…?
なんて思った俺は、すぐに出口の方に走って行き、出口の扉を開けて脱出したんだよ!!
あの瞬間の俺の瞬発力と速さは…多分誰にも負けなかったと思うね…うん…
そして、皆が移動して来た後、俺は律儀に鍵を中に放り込んでから…外から閂を仕掛けたわけですね…?
ま、まぁ…多分閂の意味は無いと思うけど…
それにしても…ここは…?
さっきまでの壁がピンク色のグロテスクな空間から一転して、ここはなんだか、城の中のようなつくりになっていたんだよ!!
しかも、天井には沢山の星が描かれていて…なんて言ったらいいのか…
癒し?って感じがするんだよなぁ…
「…なんだか、凄いねー…きーちゃん?」
「うん…そうだねー!!」
子供メンバー達はどうやらうれしいようだなぁ…
いや、俺も結構テンションが上がってきてさ…なんていうか、子供心を揺さぶってくる空間なんだよなぁ…
俺、大人だけど…
なんて思っていると、中央部分から階段が少しあって、その上に何か椅子のようなものがあることに気がついたんだよ!!
……まったく、この部屋…なんで灯りが天井の月明かりだけなんだ?
はっ…神秘的空間をつくるための技法って奴なのか!?な、なるほどな…
この部屋をつくった職人さんは…いい仕事をしているってことか…
そして、全員で階段を上り終わると、さらに少し階段があって、その上の方から二人…女性がこっちを見ていたんだよ!!
女性二人の裏側には、大きな扉があって…そしてその扉の上には銀色の刺繍で外出用って書いてあるんだよ!!
で、出口…!?そうか、遂にデモンスタワーも終わりか…
なーんて思っていると、二人の女性が話しかけてきたんだよ!!
「あらっ……客人とは珍しいですね…?私はこのデモンスタワーの主…レヒテって言います……こんな遠い中、こんなところまで来てくれてありがとうございます…久しぶりの客人ですから、うれしいですわ!!」
「あたいはリンケって言うんだ!!そんな肩の力を入れないで…もっと気楽に行こうぜ?」
…あ、あの二人…リリムの女性っぽいけど、敵意を全然感じないな…
ま、まぁ…ここまで沢山戦闘をしてきたから、ここで少しは休んだりするのも良いと思うぜ?
いや…むしろ、大歓迎ですよ!!
そして、しばらくして…俺たちは、一体どこから出したのか分からない机に全員で座って…なぜか食事タイムにいそしんでいたんだよ!!
「皆様は…今回は一体どのような用事でここにいらっしゃったんですか?ここまでいらっしゃるのも楽ではなかったでしょう?」
「あぁ…それは…」
「…デメトリオは黙ってなさい?」
「…はい」
な、なんでだろうか…メリィは俺が発言すると、空気が変になるって思っているのか、俺に発言権を与えてくれなかったんだよ!!
いや…俺はもうこんな扱いにはなれたから、何も言わないぜ?はっはっは!!
「リンケ…お客様にローズティーをお出ししていただけます?さすがに、折角の客人に何も出さないというのは失礼でしょ?」
「えぇー!?あたいがやんのー?姉貴がやってよー!」
「……ふぅっ…すみませんね、客人に見苦しいところをお見せして…」
「…ちっ、分かったよ」
そういうと、リンケは横にある部屋の中に行こうとしたんだが…
こ、この部屋…入って来た部屋意外にもたくさんの部屋があるんだな…
た、たとえるとしたら…レンタルハウス(2LDK)くらいか…?
俺はレンタルハウスに行った事は無いからわからないんだけどな?
なんてのんきに思っていた時だった…
「…デメトリオも手伝って来なさい?いいわね?」
「えぇっ!?何で俺が…!?」
「……(将来、あなたとサリィの結婚が実現された時、サリィが楽できるようにでしょ…?」
「……行きますよ、行けばいいんでしょ…はぁっ…」
こうして、俺もリンケの後を追いかけて行ったんだが…
最近、メリィが俺に対して…ちょっと酷い気がするんだよなぁ…
いや、以前も中々に酷い扱いだとは思っていたんだが…メガロス帝国に近づくにつれて…少し発言が冷たい気がするんだよなぁ…
ま、まぁいいけど…リンケでも手伝うとするかな…
「あっ、手伝いに来ました…えっと、俺は何をすれば…?」
「……じゃあ、そこの氷をティーカップの中に入れておいてくれる?」
「あっ…はい…」
なんていいながら、リリムの女性であるリンケさんとの共同作業にいそしむ俺だが…
あれだな…態度が冷たいのと空気が重いので…会話しにくい状況だぜ…
なんて思いながら、ティーカップの中に氷を入れているんだが…
「……えっと、入れ終わりました…」
「あぁ…だったら、もう用事は無いよ…ありがと…」
「あ…はい…では、俺はこれで…」
なんていいながら、俺はそそくさとこの部屋から出ようとしたんだが…
その瞬間、俺はリンケに呼び止められたんだよ!!
一体…俺に何の用事があるっていうんだ?俺はもうやることは終わったし、もう用事は無いんだろ?なんて思ったりはしたが…俺は一応話を聞くことにしたんだ。
「…えっと、なんですか?」
「ちょっと聞きたいんだけど…あんた、今まで生きてきた人生の中で…自分が他人よりも劣っているって劣等感を感じたことってある…?」
「はい?劣等感ですか?はぁ…まぁ、感じているんじゃないでしょうかね?」
劣等感を感じているかって聞かれても、俺からはなんとも答えにくいんだよなぁ…
いや、俺は劣等感を常に感じてはいるけど…でも、人間だったら全員感じている感情なんじゃないのか?
世の中に勝者と敗者がいるっていう認めたくない現実とほぼ同じことだって!
ま、まぁ…いいんだけどさ?
だが、リンケは俺の答えに対して若干納得できていないようで、更に俺に強くこういってきたんだよ!!
「…あんたねぇ…あたいは真面目に聞いているんだ!!真面目に答えてくれない?」
「ま、真面目にって…俺は常に真面目に答えてますって!!」
「……そうか、まぁいい…少し、あたいの話も聞いてくれないか?」
…話?なるほどね…生きていれば、魔物娘でも思ったりすることがあるって事かな…?なら、少しでも気が楽になるように話を聞いてやるのもありかな…?
なんて思った俺は、おとなしく話を聞いてあげることにしたんだ…
……ま、まぁ…宿屋経営時代から、独身の男達の世の中に対する意見を聞き続けていたこの俺だったら、この話題も横流しできるし…いいんだけどな?
「あたいは、常にあの姉さんの近くで過ごしてきたから…毎回毎回比較されたんだよ…わかるかい?」
「は、はぁ…まぁ、姉妹っていうのはそういうものじゃないんですかね?俺にはなんとも言いにくいんだけど…兄弟いないしね?」
なんて正直に答えたりしたんだけど…な、なんだよ!?あの、余計なことを言わずに黙って聞けよっていいたそうな目線は…!?
……わ、わかったよ…相槌を打てばいいんだろ!?
「……まぁ、話を聞いてくれる?毎回毎回姉さんと比較されたあたいは、姉さんと一緒にたくさんの地域を旅してたのよ…その中で、多くの人を見ていったんだけど、世の中は勝者と敗者に満ちている…わかるよな?お前は、あたいと同じ雰囲気がするから…」
……り、リンケさんと同じ雰囲気をかもし出している…だと!?
ま、まさか…俺にも勝者として人生を謳歌する権利が!?
まさか、リンケさんが自分で自分を敗者だとか言うわけないしなぁ…
って事は、俺の人生もこれから先、きっと楽しいことがあるってことになるぜ!
やった…やったぞーーー!!
……こ、これがまさか、ぬか喜びなんて事は無いよなぁ…?
ま、まさか…なぁ…?
「あたいは、世の中を一つに統一した世界を造りたいと思うんだ……勝者も敗者も同じ価値しかない、あたいに完璧に統治された世界を作りたいんだ!!姉さんの理想としている、敗者は勝者の足元で無価値に生きる世界なんて…造らせたくないんだよ!!」
……一つ、言いたいことがあるんだが…俺はリンケさんのこの話を聞いて、何と答えればいいんだ!?いや…オーラ的には相槌を打っておけばいいかな?
なんて思っている俺は、ただひたすら頷いていたんだよ…
「で…あたいは自分の理想とした国家…そして、世界を造るために…あたいはこの世界から劣等感を感じる者を消していきたい!!…手伝ってくれるかい?」
「……」
「そうか!?手伝ってくれるのかい!?よかった…話してみるものだなぁ…じゃあ、これから先、手紙のやり取りでも一緒にしようよ!!」
……えっ!?て、手伝うって何をだ…!?
しまった…話も聞かずにただ頷いていたからなぁ…ま、まぁ…別にいいかな
えっと…手紙のやり取りがしたいって?
俺…手紙書くの得意じゃないからなぁ…ここは、断ろう…
「えっと…手紙のやり取りは…遠慮したいんですけど…俺、余り手紙書くの上手くないですし…」
「…そうか、わかったよ。えっと…じゃあ、あたいがもし、その世界を実現したら一度…会いに来てくれないかな?」
……こ、これは…勝ち組ルートに進行する可能性が…あるじゃないかよ!!
こ、こんな嫉妬の原因になりそうなこと…出来るわけが無いじゃないかよ!
でも…手紙を書くのさえ否定したからな…
だが、俺はしばらく考えているとある事実に気がついたんだよ!!
魔物娘の寿命は人間に比べると遥かに長いということを聞いたことがある…
だったら、俺が死ぬ方がその世界を実現するよりも早いんじゃないのか?
…そうだな、約束…してもいいかな〜?
「…わかった、約束するよ!じゃあ…みんなのところに戻るとするか?」
「……わかった」
なんていいながら俺たちがローズティーを持って行き、のんびりとティータイムをたのしんで30分…メリィは俺がいない間に話したいことを全て言ったみたいなんだよ!!
で…こんなに苦労してデモンスタワーに来たというのに、やけにあっけなく俺たちはデモンスタワー最上階の出口と書かれたところから、外に出たのだった…
……そして、外の空気を吸うと共に物凄い数の階段を目にする俺…
く、下り階段が一番下まで続いているだと…!?
まさか、こんなに移動もしたのに最後は階段を降りるだけ…かぁ…
いや、別にいいんだけどな?
そう思いながら、一段一段階段を降り…俺たちはデモンスタワーを降りたところで、なんだか久しぶりにも感じる俺のマイ宿屋を展開したんだよ!!
さぁて……ずっと階段を上ったり、石造りの床を歩いたりしたからな…少しは草原を歩くってのも…いいと思いますよ?
なんて思いつつ、メリィたちが宿屋に向かうのを確認し、適当にうろつく俺…
いやぁ…草って結構ふかふかだったりするんだなぁ…知らなかったぜ…
なんて思いつつ、更にうろついていると…俺は見覚えのある扉を見つけたんだよ!!
……あ、あの扉…なんでだろうか?凄くどこかで見たことがある気がするんだが…よし…くぐってみるかぁ!!
「…この扉を開けたら誰か出てくるとかないよな…?な?」
よっし…一気に開けるぞ…開けるからな!?
そう思いつつ、俺は一気に扉をあけ…扉をくぐり…ある事実と現実に直面したんだ!!
こ…ここは…デモンスタワーの入口じゃないか!?
あの看板…見覚えがあるぞ…!?まさか…まさか俺達って…
凄く無駄なことをしたんじゃないのか!?
………これは、メリィには黙っておこうか…
なんて思いながら、俺は愛しの宿屋に戻っていったのだった…
12/07/09 21:13更新 / デメトリオン
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