04 俺と彼女と究極兵器(?)
俺は、シーツを洗っているときに非常に後ろから強い殺気を発している気がしてならなかった。
「おかしいな?誰もいないのに…」
後ろを振り向いても誰もいない…
だが、なんか強い殺気を感じる…俺の気のせいならいいのだが…
そう思いながらシーツを干していたときだった。
ヒュンと風を切る音が聞こえ、俺は気がつくと地面に押し倒されていた。
一体何が起こったんだ!?いや…落ち着け俺…
そう思いながらも、頭の中はパニックでいっぱいだった。
「デメさん?」
ん?この声はサリィか?なんだ…てっきり知らないやつに攻撃されたのかと思ってたぜ…
正体がわかれば大して怖くもなく、俺は普通にサリィに話しかけていた。
「サリィ?一体これはどういうつもりだ?」
「そんなことより!昨日デメさん一緒にいた女誰よ!?」
昨日?昨日って…アルフォンスが結婚前提にお付き合いすることになったぐらいしか主な出来事はなかったはずだが?
「昨日?お客さんも結構来たからなぁ…サリィの勘違いじゃないか?」
「じゃあ、店が開店前に一緒に作業していたチビは!?あれはなんなのよ?」
あぁ…そのことね、そういえばステイ家の方が言ってたな…
「それは勘違いだぜ?アレは俺のお客さんで、お風呂の改築作業を手伝ってもらってただけだし…関係ないさ」
「そうなの?もし嘘だったら…今度はタックルじゃすまないわよ?」
「はぁ?何をそんなに怒って…」
俺が聞こうとする暇もなくサリィは空高く飛んでいった。
まったく…なんであんなに怒ってたんだ?
俺はサリィが怒っていた理由に疑問を感じていたがぜんぜんわからなかった。
そして俺はひとつ、大切なことを思い出した。昨日あんなに湯を沸かすのに時間がかかったんだ…ここだけはゾーネに何とかしてくれないとこれから困る。
俺は地下貯蔵庫の樽の裏に勝手に造られた扉をくぐって中に入った。
どうでもいいことだが、結構狭いぞここ…
俺は体をかがめながら先に進んでいた。
あいつ、一日の間にどれだけ人の宿の地下を改造すれば気が済むんだか…
「おーいゾーネ!ちょっと頼みたいことが…って、なんだアレ!?」
俺は声を上げてゾーネを呼び、角を曲がったところで困惑した。
いや…なんというか…てか、本当になんだアレ?
俺の目の前には無数の紫色の触手(?)が進行方向いっぱいに蠢いており、俺はそれを安全なところで確認した。
これからどうする?アレを越えないとゾーネのいるところにはいけそうにないしなぁ…焼き払うか。
俺はそう思い引き返そうとした。だが、非常に嫌な機械音が後ろから聞こえてくる…
恐る恐る振り返った俺が見たのは、壁いっぱいに刃がついておりそれが振動している明らかにこれは罠ですよー的な物だった。
って…あれはさすがに無しだろ!人の宿の地下に何勝手に物騒なものを仕掛けているんだおい!
そして俺は、心で毒づきながらも死にたくないために目の前の紫色の触手に向き合った。
そういえば噂で聞いたことがある…
触手というのは女性には効果的だと…なら、男には効かないんじゃないか?
そうだよ…女性に効果的なものが男である俺に通用するわけがないじゃないか!
俺はそのことに気がつくと、目の前の触手のほうへと這っていった。
すぐ目前というところまで来ると、やはり迫力があるなぁ触手…
だが、後ろに戻ると切り刻まれるんだし、触手は男には通用しないものだ!
俺は目の前の触手を掻き分けて中に入っていった。
触手の中に入った俺は、順調に先に進んでいた。
時々触手が顔に触れるのは、はじめのうちは嫌だったがだんだん気にもならなくなってきた。
やっぱり、対女性用トラップだったんだなこれ…
そしてしばらく触手の中を這っていると目の前に人工的に造られた光が見えた。あれは出口だろうか?
そしてその後もこれといって気になることはなく、俺は触手の洞窟(俺が命名)を潜り抜けた…と思っていた。
「はぁ?まだあるの!?ただでさえ粘ついて気分悪いのに…まぁ、いいか」
俺は洞窟を抜けてもまだ別の触手が洞窟を造っていたのを見て、一瞬嫌になったが、なぁに…一番初めの触手洞窟は無事に抜けたんだ。この洞窟も安全に抜けれるだろう…
俺は大してためらうこともなく、さっきより少し一本一本が小さくなった触手の洞窟に入っていった。
「……」
なんだろうか…さっきから変に服の中に触手が入り込んでくる。
さっきの洞窟ではこんなことなかったのに、なぜだ?
俺は洞窟を進みながらだんだんこう思い始めていた。
俺は大きな思い違いをしていたのではないかと…
本当は触手は男にも効くんじゃないか?
だとしたら、こんなところでずっと過ごすわけにはいかない!
俺はさらに速度を上げ、ついにまた人工的な灯りが見えた。
あと少しで出れる!
そう思ったとき、ついにズボンの中にも触手が入り込んできた!
やばい…なんかやばい気がする!
そして俺は必死になって前に進み、なんとかぎりぎりのところで触手の洞窟から脱出した。服の中でちぎれた触手が這い回り、俺はそれを慌てて取っては壁に叩き付けた。
「はぁ…はぁ…ゾーネのやつ…であったら一回殴ってやる!」
俺はそう決意して、さらに奥へと進んでいった。
何分進み続けただろうか?この洞窟の思いのほかの広さに、だんだん嫌気が差してきたんだが…
そう思っていた矢先、ついにひらけた場所に出た。
「おいゾーネ!出てこい!」
俺は声を荒げて叫んだが、相変わらず誰も答える気配はない…
そしてその場所をしばらく探索していると、ひとつ気になる扉を見つけた。
【ゾーネ博士の部屋〜天才の部屋だからノックするのじゃ!〜】
こう書かれていたんだが、読者のみんなはどう思う?
俺はここだと思う。
俺は一瞬誰かに意見を求め、その後勢い良く扉を開いた!
部屋には小さなベッドがひとつ置いてあり、その上でゾーネがすやすや寝息を立てて寝ていた。
…俺がこんなに必死になってここまで来たというのに、こいつなんでこんなにのんきに寝てるんだ?
だんだん怒りが湧き上がってくる。
「てめぇ!何寝てんだ!」
俺は怒りに任せてゾーネを揺さぶり起こす。
「んにゃっ?な…なんじゃデメトリオ!?まさか寝ているわしを襲いに…」
「そんなわけないだろ!なんでそんなことするためにあんな思いしてここまでくるんだよ!」
「あんな思い?いったい何を言っておるのか…」
……
俺は無言でゾーネの頭を殴りつけた。
「あいた!お主、天才の頭を殴るとは一体どういう神経しておるのじゃ!」
「お前こそ!人の宿の地下にこんな危険な場所造るんじゃねえよ!」
「まったく…天才といえば地下室で高度の警備体制と罠がセットだとは思わん
かったのか?馬鹿じゃのう…」
思うわけないだろうが!と強く言いたかったがこれ以上言っても無駄な気がした俺は、ゾーネの言葉を無視して自分の用件を話した。
「風呂場に自動で湯を沸かす装置を設置してくれないか?」
「えぇ〜…めんどくさいのぅ…」
ぐぅ…殴りたい…
俺は自分の気持ちをぐっと抑え、さらに頼み込んだ。
「お願いしますよゾーネ…いや、ゾーネ様!」
「……仕方がないのう…20分で仕上げてやるからそれまで上でのんびりしているがよい」
えぇ〜…またあの道を戻ることになるのかと思うと、とても嫌な気分になる。
「あぁ…上に行くときはそこの棚の裏のエレベーターを使うがよいのだ!感謝するのだぞ?」
エレベーターあったのかーーーーー!?
俺はそのことに驚きながら、帰りもあのルートを通らなくていいと思うと気が楽だった。
そして上で20分が経過するまでの間、一人靴下を編んでいた俺はサリィが持ってきていたであろう新聞が郵便受けに落ちていたので目を通してみる。
新聞なんて届くのは今となっては大変珍しいことだ…一体どんな話題が?
・フェルス興国内での未結婚率がついに20%を下回る!?
本日10時、フェルス興国結婚率想定調査の結果が発表され、未結婚の男子が20%を下回るとの結果が報告された。
中でも最近は、【ハイネの宿】という宿屋で新しくカップルが出来たという報告も独自のルートで仕入れており、カップルが出来る宿として他の国の間で話題になることは間違いないだろう。
宿の店主はデメトリオという男で、この記事にはふさわしくないがいまだに独身、この記事によりデメトリオさんのモテ期がくる可能性もある。
あと、この国内で結婚率があがったのは別の理由もあり、最近【モンスターラグーン】といった集団が独身男性を襲い、その男性をメンバーとの結婚にひきいれるという集団も現れている。
詳しいことは当局もわかっていないため、十分に気をつけてほしい。
・遠く離れた国で軍備拡張!?戦争の予感か?
遠く離れたメガロス帝国という国で急速に軍備が拡張されたという話が速報で入った。メガロス帝国では最近国王が変わったばかりで、どんな政治体制なのかはわかっていないが、各国は臨戦態勢を整えている。
資源枯渇問題等、帝国には多くの問題があり資源が豊富なフェルス興国にも来るかも知れないため注意しておきたい。
「終わったぞって…なにを見ているのじゃ?」
「うわぁ!!って、なんだお前か」
「なんだって…お前が私に頼んだのであろう?とにかく、終わったのでな?」
ゾーネは俺にそう言うとエレベーターを使って地下に降りていった。
本当に付けたんだろうな?
疑いながら風呂場に入ると、風呂のすぐ近くに機械が設置されていた。
どうやら本当に仕事はちゃんとやるみたいだな…
そうして日が暮れてついにお客さんが来る時間になった。
だが、そこで俺はひとつあることに気がつき、今現在ショッピングモールで塩を探している。
「まさか、塩を切らしているとは…俺としたことが、うかつだったぜ…」
それにしても、なんか周りの視線が非常に気になるんだが…
周りにいるゴブリンの商人たちがなぜか俺のほうを見ている。
俺は人気者なのか?今まではこんなことはなかったんだが…
「デメトリオさん?今ならこの生活用品全部タダであげちゃうから、少し見ていかない?」
「あ…いいです」
「なら、私の香水屋に来て見ない?いいにおいでしょ?」
「…そんなに興味ないので」
俺はいろいろな店のゴブリンたちの勧誘をかいくぐり、目的の店まで来た。
まさかこれがモテ期?俺にもついに春が来たのか?
「デメトリオか…ここまで来るの大変だったろ?」
「リーザルの義姉さん!俺にもついにモテ期が来たのかな?」
「甘ったれるんじゃないよまったく!あんたが他の店のやつらに人気があるのは今朝の新聞の影響だろうね。タダでさえ今この町の未結婚男性は減っているのに顔写真付で新聞に載ったらターゲットにされるのは当たり前だろ?」
「ええーーーー!?じゃ…じゃあ義姉さん、俺のモテ期は…」
「まだ来てないってことだよ、それよりもこれからは人通りのあるところでもないところでも気を使うんだよ?自分で将来のパートナーを決めたいんならね?」
うぅ…まさかモテ期が来たと思っていたのに…
「そんなに気を落とすんじゃないよ!しょうがないな…今回は塩をタダで譲ってやるよ!今回だけだからな?」
「うぅ…ありがとうございます義姉さん…」
こうして俺は義姉さんから塩をもらい、宿へと帰っていった。
宿でのんびりしていると、不意に集会のリーダーが宿の中に駆け込んできた。
「はぁ…はぁ…デメトリオ君は無事のようだな…」
「あれ?リーダーじゃないですか…どうしたんですか珍しい…」
本当に、基本自分の教会からほとんど出ないリーダーが俺の宿に来るなんて珍しいことだった。
結構慌てているようだが…
「君は、モンスターラグーンという集団に出くわさなかったようだな…」
モンスターラグーン?そういえば、新聞でそういった話題が出てた気がする…
「それがどうかしたんですか?」
「いや…非常に言いにくいのだが…私の教会で結婚式をあげてくれという依頼が彼女たちのおかげで急増してね…人手が足りないんだよ…海の魔物の結婚式は知り合いのシスターに頼めばなんとかなるのだが、陸の魔物は全部私のところに回ってくるのだ…」
「はぁ…それで?」
「それで、君に結婚式のサポーターをやってもらいたいのだ!」
サポーター!?冗談じゃない、なんでそんな嫉妬しそうな役目を俺が!
「なんで俺なんですか!?俺たち同士の中には俺より階級が上の人もいたでしょう!?その人に頼んでくださいよ!」
「だって…二日前のメンバーのうち7割が離れたんだもん」
「マジですかーーーーーーーーーー!?」
俺は驚きと驚愕のあまり口が開きっぱなしになっていた。
まさかそこまで事態が急展開しているなんて…
「くそぉ…俺も早く結婚したいな…今からマーケットに戻ろうかな?」
「デメトリオくん!よろしく頼んだ!」
「ちょっ!俺が少しぼやいてたんだから突っ込めよ!」
俺が慌ててリーダーを見ると、リーダーはもう角を曲がるところだった。
俺だって…好きでメンバーの中にいるわけじゃないってのに…
そして夜…
今日はお客さんが多く来るだろうと身構えていた俺に反し、お客さんは二人…
一人はめったに来ないんだけど、町の中でも1、2を争う大富豪のグロリア家のお子様のセムちゃんで、エキドナのグロリアさんの4番目の子供らしい。
何を考えているのかわからないところがあり、俺は人一番気を使っている。
あの小さいカマに攻撃された後、そのことがグロリアさんの耳に触れたら…
俺の人生終わりだからなぁ…
あと一人は…サリィとその姉のメリィだった。
って、なんで泊まりに来てるんだよ!
こう心で突っ込んだ俺に対しても相変わらずサリィは冷ややかな目で俺を見てくる…
「デメさん…お茶」
「あ…はい!少々お待ちを!」
俺はサリィに命令され、慌ててお茶を入れに台所に行く。
乱暴的で軽い感じのサリィと、おとなしく大人な感じのメリィさん…
同じ血を引いているとはいえ、なんであんなに違うんだ?
「入れてきました!」
「部屋に持ってって!早くね?」
「……はい、なぁ、もうそろそろなに怒ってるのかわかんないけど許してくれてもよくないか?」
「黙れカス」
ひ…酷え…
ま…まぁいいさ、俺の嫉妬は今日は爆発しそうにないしな!
明日嫉妬がたまるんだから、今日は我慢してやろう。
俺はそう心に決め、今日はサリィの怒りに耐えてやると決意した。
何を怒っているのかはぜんぜん見当もつかないが…
俺には関係ないだろう。
そしてしばらくして、俺はセムちゃんの部屋で二人で沈黙の時間を過ごしていた。
セムちゃんいわく、星の声を聞くまでは出て行ってはいけないというのだが…
星の声ってなんだ!?
そして疑問に思いながらもその場でじっと待ってた俺はセムちゃんの視線を感じてそっちを向いた。
「…ぁ、もういいよ」
「あ…はい、ではまた用がありましたら連絡してください」
開放されたーーー!
いやぁ、長かった…まぁ、これで俺もゆっくりカウンターでくつろげるな…
そう思い、セムちゃんの泊まっている部屋を開けると、サリィが倒れこんできた。
何してるんだこいつ?
「あれ?サリィ、何してるんだ?」
「……うるさい!死ね!」
そう言ってサリィは近くにあった絵を投げてくる。
だがそんなもの当たる俺じゃ…
ククッ
はぁ!?カーブしてきただと!?
「ぐはぁっ!?」
俺は絵の勢いに負け、部屋から押し出されるとそのまま階段下に放置された。
床の石が冷たい…がくっ
「おーい、デメトリオよ最新作が出来たのじゃ、起きぬか」
誰だ?俺は寝てるんだよ…寝る邪魔なんかさせな…
「仕方がないのぅ…ドリルでもつかうか」
そういったと思うと、耳元でしっかりドリルが回る音が聞こえてきた。
「わあぁぁああ!起きてます!起きてますって!って、なんだゾーネか…」
「なんだじゃなかろう?ついに究極兵器(?)が完成したのじゃ!」
「おい、?がつかなかったか?」
「気にするな、最新作とはこれじゃ」
そう言ってゾーネが取り出したのは変な小さなリモコン状の何かだった。
「なんだこれ?」
「これか?これは魔界発生装置、その名も【ダークマターちゃん呼び寄せロリホイ、バックベア−ドさまご乱心 初号機】じゃ」
「待てよ!えっと…ダークマターちゃんマジ天使発言byバックベアード初号機だっけか?」
「違うわ!よく聞けよ?【ダークマターちゃん呼び寄せロリホイ、バックベアードさまご乱心 初号機】じゃ!しっかり覚えよ!」
「まぁいいや、とにかくその装置の特徴を詳しく教えてもらえないか?」
「うむ…この装置はな?ボタンを押すだけでその場所に魔素とやらを集めることが出来る装置で、そのときダークマターが発生する力を利用して一回だけ空間をゆがめるという装置で…」
「ゾーネ…少しそのリモコンかしてくれないか?」
「ん?ほれ…」
俺はゾーネからそのリモコンを受け取り、そして…
「この星ごと宇宙の塵になれ!!」
こう言いながら壁におもいっきり投げた。
この星が消えることはなかったが、リモコンはきれいにスクラップになった。
「あぁーーー!!な、なにをするのじゃ!」
「こんな危険なものを俺の宿の地下で造るんじゃねぇ!!」
俺は当然のことを口にした。だって…ダークマターが発生したらこの地域も混沌としてしまうじゃないか!
「うぅ…うぅう…この…」
ゾーネは目に涙をためているが、知ったことではない。
俺はこの国を地味に守ったのだ!
俺ってかっこいいなーー!!
「この…デメトリオの腐れチンカスやろぉーーー!うわぁーーんっ!」
そう言って、ゾーネはエレベーターで地下に戻っていく。
それにしても…腐れチンカスやろうって…
酷い…酷すぎる…さすがにそこまでは行ってないぞ俺…
そして、暗い気分になった俺だった。
暗い気分になりながらサリィたちが泊まっている部屋の前を通る時、とんでもない会話が聞こえてきた。
「姉さん…今日も活動に行くの?」
「ええ…サリィ…モンスターラグーンのみんなは私を待ってるのよ」
「でも…さすがに無理やり男の人を襲って結婚させる方法なんて…」
「馬鹿ねぇ…この町には自分の気持ちを伝えられない女の子たちも多くいるのよ?」
「でも!」
「それに…あなたの狙っているデメトリオだって、気になっている女の子は町に結構いるのよ?幸い今日の活動の数には入れてないけど…近いうち、ターゲットにするかも…」
「それは!!」
……大変だ…まさか、モンスターラグーンのリーダーがサリィの姉さんだったなんて…
これは…どうするべきなんだ?俺は…
しばらく考えていると、俺は気づかない間に眠たくなっていた。
昔からそうだ…難しいことを考えていると眠くなってしまう。
まぁ…いいか、今日は寝よう。立ち聞きしていたことがばれると大変なことになりそうだし…
そう思い、俺は自分の部屋に入ると鍵を閉め、眠りについた。
「おかしいな?誰もいないのに…」
後ろを振り向いても誰もいない…
だが、なんか強い殺気を感じる…俺の気のせいならいいのだが…
そう思いながらシーツを干していたときだった。
ヒュンと風を切る音が聞こえ、俺は気がつくと地面に押し倒されていた。
一体何が起こったんだ!?いや…落ち着け俺…
そう思いながらも、頭の中はパニックでいっぱいだった。
「デメさん?」
ん?この声はサリィか?なんだ…てっきり知らないやつに攻撃されたのかと思ってたぜ…
正体がわかれば大して怖くもなく、俺は普通にサリィに話しかけていた。
「サリィ?一体これはどういうつもりだ?」
「そんなことより!昨日デメさん一緒にいた女誰よ!?」
昨日?昨日って…アルフォンスが結婚前提にお付き合いすることになったぐらいしか主な出来事はなかったはずだが?
「昨日?お客さんも結構来たからなぁ…サリィの勘違いじゃないか?」
「じゃあ、店が開店前に一緒に作業していたチビは!?あれはなんなのよ?」
あぁ…そのことね、そういえばステイ家の方が言ってたな…
「それは勘違いだぜ?アレは俺のお客さんで、お風呂の改築作業を手伝ってもらってただけだし…関係ないさ」
「そうなの?もし嘘だったら…今度はタックルじゃすまないわよ?」
「はぁ?何をそんなに怒って…」
俺が聞こうとする暇もなくサリィは空高く飛んでいった。
まったく…なんであんなに怒ってたんだ?
俺はサリィが怒っていた理由に疑問を感じていたがぜんぜんわからなかった。
そして俺はひとつ、大切なことを思い出した。昨日あんなに湯を沸かすのに時間がかかったんだ…ここだけはゾーネに何とかしてくれないとこれから困る。
俺は地下貯蔵庫の樽の裏に勝手に造られた扉をくぐって中に入った。
どうでもいいことだが、結構狭いぞここ…
俺は体をかがめながら先に進んでいた。
あいつ、一日の間にどれだけ人の宿の地下を改造すれば気が済むんだか…
「おーいゾーネ!ちょっと頼みたいことが…って、なんだアレ!?」
俺は声を上げてゾーネを呼び、角を曲がったところで困惑した。
いや…なんというか…てか、本当になんだアレ?
俺の目の前には無数の紫色の触手(?)が進行方向いっぱいに蠢いており、俺はそれを安全なところで確認した。
これからどうする?アレを越えないとゾーネのいるところにはいけそうにないしなぁ…焼き払うか。
俺はそう思い引き返そうとした。だが、非常に嫌な機械音が後ろから聞こえてくる…
恐る恐る振り返った俺が見たのは、壁いっぱいに刃がついておりそれが振動している明らかにこれは罠ですよー的な物だった。
って…あれはさすがに無しだろ!人の宿の地下に何勝手に物騒なものを仕掛けているんだおい!
そして俺は、心で毒づきながらも死にたくないために目の前の紫色の触手に向き合った。
そういえば噂で聞いたことがある…
触手というのは女性には効果的だと…なら、男には効かないんじゃないか?
そうだよ…女性に効果的なものが男である俺に通用するわけがないじゃないか!
俺はそのことに気がつくと、目の前の触手のほうへと這っていった。
すぐ目前というところまで来ると、やはり迫力があるなぁ触手…
だが、後ろに戻ると切り刻まれるんだし、触手は男には通用しないものだ!
俺は目の前の触手を掻き分けて中に入っていった。
触手の中に入った俺は、順調に先に進んでいた。
時々触手が顔に触れるのは、はじめのうちは嫌だったがだんだん気にもならなくなってきた。
やっぱり、対女性用トラップだったんだなこれ…
そしてしばらく触手の中を這っていると目の前に人工的に造られた光が見えた。あれは出口だろうか?
そしてその後もこれといって気になることはなく、俺は触手の洞窟(俺が命名)を潜り抜けた…と思っていた。
「はぁ?まだあるの!?ただでさえ粘ついて気分悪いのに…まぁ、いいか」
俺は洞窟を抜けてもまだ別の触手が洞窟を造っていたのを見て、一瞬嫌になったが、なぁに…一番初めの触手洞窟は無事に抜けたんだ。この洞窟も安全に抜けれるだろう…
俺は大してためらうこともなく、さっきより少し一本一本が小さくなった触手の洞窟に入っていった。
「……」
なんだろうか…さっきから変に服の中に触手が入り込んでくる。
さっきの洞窟ではこんなことなかったのに、なぜだ?
俺は洞窟を進みながらだんだんこう思い始めていた。
俺は大きな思い違いをしていたのではないかと…
本当は触手は男にも効くんじゃないか?
だとしたら、こんなところでずっと過ごすわけにはいかない!
俺はさらに速度を上げ、ついにまた人工的な灯りが見えた。
あと少しで出れる!
そう思ったとき、ついにズボンの中にも触手が入り込んできた!
やばい…なんかやばい気がする!
そして俺は必死になって前に進み、なんとかぎりぎりのところで触手の洞窟から脱出した。服の中でちぎれた触手が這い回り、俺はそれを慌てて取っては壁に叩き付けた。
「はぁ…はぁ…ゾーネのやつ…であったら一回殴ってやる!」
俺はそう決意して、さらに奥へと進んでいった。
何分進み続けただろうか?この洞窟の思いのほかの広さに、だんだん嫌気が差してきたんだが…
そう思っていた矢先、ついにひらけた場所に出た。
「おいゾーネ!出てこい!」
俺は声を荒げて叫んだが、相変わらず誰も答える気配はない…
そしてその場所をしばらく探索していると、ひとつ気になる扉を見つけた。
【ゾーネ博士の部屋〜天才の部屋だからノックするのじゃ!〜】
こう書かれていたんだが、読者のみんなはどう思う?
俺はここだと思う。
俺は一瞬誰かに意見を求め、その後勢い良く扉を開いた!
部屋には小さなベッドがひとつ置いてあり、その上でゾーネがすやすや寝息を立てて寝ていた。
…俺がこんなに必死になってここまで来たというのに、こいつなんでこんなにのんきに寝てるんだ?
だんだん怒りが湧き上がってくる。
「てめぇ!何寝てんだ!」
俺は怒りに任せてゾーネを揺さぶり起こす。
「んにゃっ?な…なんじゃデメトリオ!?まさか寝ているわしを襲いに…」
「そんなわけないだろ!なんでそんなことするためにあんな思いしてここまでくるんだよ!」
「あんな思い?いったい何を言っておるのか…」
……
俺は無言でゾーネの頭を殴りつけた。
「あいた!お主、天才の頭を殴るとは一体どういう神経しておるのじゃ!」
「お前こそ!人の宿の地下にこんな危険な場所造るんじゃねえよ!」
「まったく…天才といえば地下室で高度の警備体制と罠がセットだとは思わん
かったのか?馬鹿じゃのう…」
思うわけないだろうが!と強く言いたかったがこれ以上言っても無駄な気がした俺は、ゾーネの言葉を無視して自分の用件を話した。
「風呂場に自動で湯を沸かす装置を設置してくれないか?」
「えぇ〜…めんどくさいのぅ…」
ぐぅ…殴りたい…
俺は自分の気持ちをぐっと抑え、さらに頼み込んだ。
「お願いしますよゾーネ…いや、ゾーネ様!」
「……仕方がないのう…20分で仕上げてやるからそれまで上でのんびりしているがよい」
えぇ〜…またあの道を戻ることになるのかと思うと、とても嫌な気分になる。
「あぁ…上に行くときはそこの棚の裏のエレベーターを使うがよいのだ!感謝するのだぞ?」
エレベーターあったのかーーーーー!?
俺はそのことに驚きながら、帰りもあのルートを通らなくていいと思うと気が楽だった。
そして上で20分が経過するまでの間、一人靴下を編んでいた俺はサリィが持ってきていたであろう新聞が郵便受けに落ちていたので目を通してみる。
新聞なんて届くのは今となっては大変珍しいことだ…一体どんな話題が?
・フェルス興国内での未結婚率がついに20%を下回る!?
本日10時、フェルス興国結婚率想定調査の結果が発表され、未結婚の男子が20%を下回るとの結果が報告された。
中でも最近は、【ハイネの宿】という宿屋で新しくカップルが出来たという報告も独自のルートで仕入れており、カップルが出来る宿として他の国の間で話題になることは間違いないだろう。
宿の店主はデメトリオという男で、この記事にはふさわしくないがいまだに独身、この記事によりデメトリオさんのモテ期がくる可能性もある。
あと、この国内で結婚率があがったのは別の理由もあり、最近【モンスターラグーン】といった集団が独身男性を襲い、その男性をメンバーとの結婚にひきいれるという集団も現れている。
詳しいことは当局もわかっていないため、十分に気をつけてほしい。
・遠く離れた国で軍備拡張!?戦争の予感か?
遠く離れたメガロス帝国という国で急速に軍備が拡張されたという話が速報で入った。メガロス帝国では最近国王が変わったばかりで、どんな政治体制なのかはわかっていないが、各国は臨戦態勢を整えている。
資源枯渇問題等、帝国には多くの問題があり資源が豊富なフェルス興国にも来るかも知れないため注意しておきたい。
「終わったぞって…なにを見ているのじゃ?」
「うわぁ!!って、なんだお前か」
「なんだって…お前が私に頼んだのであろう?とにかく、終わったのでな?」
ゾーネは俺にそう言うとエレベーターを使って地下に降りていった。
本当に付けたんだろうな?
疑いながら風呂場に入ると、風呂のすぐ近くに機械が設置されていた。
どうやら本当に仕事はちゃんとやるみたいだな…
そうして日が暮れてついにお客さんが来る時間になった。
だが、そこで俺はひとつあることに気がつき、今現在ショッピングモールで塩を探している。
「まさか、塩を切らしているとは…俺としたことが、うかつだったぜ…」
それにしても、なんか周りの視線が非常に気になるんだが…
周りにいるゴブリンの商人たちがなぜか俺のほうを見ている。
俺は人気者なのか?今まではこんなことはなかったんだが…
「デメトリオさん?今ならこの生活用品全部タダであげちゃうから、少し見ていかない?」
「あ…いいです」
「なら、私の香水屋に来て見ない?いいにおいでしょ?」
「…そんなに興味ないので」
俺はいろいろな店のゴブリンたちの勧誘をかいくぐり、目的の店まで来た。
まさかこれがモテ期?俺にもついに春が来たのか?
「デメトリオか…ここまで来るの大変だったろ?」
「リーザルの義姉さん!俺にもついにモテ期が来たのかな?」
「甘ったれるんじゃないよまったく!あんたが他の店のやつらに人気があるのは今朝の新聞の影響だろうね。タダでさえ今この町の未結婚男性は減っているのに顔写真付で新聞に載ったらターゲットにされるのは当たり前だろ?」
「ええーーーー!?じゃ…じゃあ義姉さん、俺のモテ期は…」
「まだ来てないってことだよ、それよりもこれからは人通りのあるところでもないところでも気を使うんだよ?自分で将来のパートナーを決めたいんならね?」
うぅ…まさかモテ期が来たと思っていたのに…
「そんなに気を落とすんじゃないよ!しょうがないな…今回は塩をタダで譲ってやるよ!今回だけだからな?」
「うぅ…ありがとうございます義姉さん…」
こうして俺は義姉さんから塩をもらい、宿へと帰っていった。
宿でのんびりしていると、不意に集会のリーダーが宿の中に駆け込んできた。
「はぁ…はぁ…デメトリオ君は無事のようだな…」
「あれ?リーダーじゃないですか…どうしたんですか珍しい…」
本当に、基本自分の教会からほとんど出ないリーダーが俺の宿に来るなんて珍しいことだった。
結構慌てているようだが…
「君は、モンスターラグーンという集団に出くわさなかったようだな…」
モンスターラグーン?そういえば、新聞でそういった話題が出てた気がする…
「それがどうかしたんですか?」
「いや…非常に言いにくいのだが…私の教会で結婚式をあげてくれという依頼が彼女たちのおかげで急増してね…人手が足りないんだよ…海の魔物の結婚式は知り合いのシスターに頼めばなんとかなるのだが、陸の魔物は全部私のところに回ってくるのだ…」
「はぁ…それで?」
「それで、君に結婚式のサポーターをやってもらいたいのだ!」
サポーター!?冗談じゃない、なんでそんな嫉妬しそうな役目を俺が!
「なんで俺なんですか!?俺たち同士の中には俺より階級が上の人もいたでしょう!?その人に頼んでくださいよ!」
「だって…二日前のメンバーのうち7割が離れたんだもん」
「マジですかーーーーーーーーーー!?」
俺は驚きと驚愕のあまり口が開きっぱなしになっていた。
まさかそこまで事態が急展開しているなんて…
「くそぉ…俺も早く結婚したいな…今からマーケットに戻ろうかな?」
「デメトリオくん!よろしく頼んだ!」
「ちょっ!俺が少しぼやいてたんだから突っ込めよ!」
俺が慌ててリーダーを見ると、リーダーはもう角を曲がるところだった。
俺だって…好きでメンバーの中にいるわけじゃないってのに…
そして夜…
今日はお客さんが多く来るだろうと身構えていた俺に反し、お客さんは二人…
一人はめったに来ないんだけど、町の中でも1、2を争う大富豪のグロリア家のお子様のセムちゃんで、エキドナのグロリアさんの4番目の子供らしい。
何を考えているのかわからないところがあり、俺は人一番気を使っている。
あの小さいカマに攻撃された後、そのことがグロリアさんの耳に触れたら…
俺の人生終わりだからなぁ…
あと一人は…サリィとその姉のメリィだった。
って、なんで泊まりに来てるんだよ!
こう心で突っ込んだ俺に対しても相変わらずサリィは冷ややかな目で俺を見てくる…
「デメさん…お茶」
「あ…はい!少々お待ちを!」
俺はサリィに命令され、慌ててお茶を入れに台所に行く。
乱暴的で軽い感じのサリィと、おとなしく大人な感じのメリィさん…
同じ血を引いているとはいえ、なんであんなに違うんだ?
「入れてきました!」
「部屋に持ってって!早くね?」
「……はい、なぁ、もうそろそろなに怒ってるのかわかんないけど許してくれてもよくないか?」
「黙れカス」
ひ…酷え…
ま…まぁいいさ、俺の嫉妬は今日は爆発しそうにないしな!
明日嫉妬がたまるんだから、今日は我慢してやろう。
俺はそう心に決め、今日はサリィの怒りに耐えてやると決意した。
何を怒っているのかはぜんぜん見当もつかないが…
俺には関係ないだろう。
そしてしばらくして、俺はセムちゃんの部屋で二人で沈黙の時間を過ごしていた。
セムちゃんいわく、星の声を聞くまでは出て行ってはいけないというのだが…
星の声ってなんだ!?
そして疑問に思いながらもその場でじっと待ってた俺はセムちゃんの視線を感じてそっちを向いた。
「…ぁ、もういいよ」
「あ…はい、ではまた用がありましたら連絡してください」
開放されたーーー!
いやぁ、長かった…まぁ、これで俺もゆっくりカウンターでくつろげるな…
そう思い、セムちゃんの泊まっている部屋を開けると、サリィが倒れこんできた。
何してるんだこいつ?
「あれ?サリィ、何してるんだ?」
「……うるさい!死ね!」
そう言ってサリィは近くにあった絵を投げてくる。
だがそんなもの当たる俺じゃ…
ククッ
はぁ!?カーブしてきただと!?
「ぐはぁっ!?」
俺は絵の勢いに負け、部屋から押し出されるとそのまま階段下に放置された。
床の石が冷たい…がくっ
「おーい、デメトリオよ最新作が出来たのじゃ、起きぬか」
誰だ?俺は寝てるんだよ…寝る邪魔なんかさせな…
「仕方がないのぅ…ドリルでもつかうか」
そういったと思うと、耳元でしっかりドリルが回る音が聞こえてきた。
「わあぁぁああ!起きてます!起きてますって!って、なんだゾーネか…」
「なんだじゃなかろう?ついに究極兵器(?)が完成したのじゃ!」
「おい、?がつかなかったか?」
「気にするな、最新作とはこれじゃ」
そう言ってゾーネが取り出したのは変な小さなリモコン状の何かだった。
「なんだこれ?」
「これか?これは魔界発生装置、その名も【ダークマターちゃん呼び寄せロリホイ、バックベア−ドさまご乱心 初号機】じゃ」
「待てよ!えっと…ダークマターちゃんマジ天使発言byバックベアード初号機だっけか?」
「違うわ!よく聞けよ?【ダークマターちゃん呼び寄せロリホイ、バックベアードさまご乱心 初号機】じゃ!しっかり覚えよ!」
「まぁいいや、とにかくその装置の特徴を詳しく教えてもらえないか?」
「うむ…この装置はな?ボタンを押すだけでその場所に魔素とやらを集めることが出来る装置で、そのときダークマターが発生する力を利用して一回だけ空間をゆがめるという装置で…」
「ゾーネ…少しそのリモコンかしてくれないか?」
「ん?ほれ…」
俺はゾーネからそのリモコンを受け取り、そして…
「この星ごと宇宙の塵になれ!!」
こう言いながら壁におもいっきり投げた。
この星が消えることはなかったが、リモコンはきれいにスクラップになった。
「あぁーーー!!な、なにをするのじゃ!」
「こんな危険なものを俺の宿の地下で造るんじゃねぇ!!」
俺は当然のことを口にした。だって…ダークマターが発生したらこの地域も混沌としてしまうじゃないか!
「うぅ…うぅう…この…」
ゾーネは目に涙をためているが、知ったことではない。
俺はこの国を地味に守ったのだ!
俺ってかっこいいなーー!!
「この…デメトリオの腐れチンカスやろぉーーー!うわぁーーんっ!」
そう言って、ゾーネはエレベーターで地下に戻っていく。
それにしても…腐れチンカスやろうって…
酷い…酷すぎる…さすがにそこまでは行ってないぞ俺…
そして、暗い気分になった俺だった。
暗い気分になりながらサリィたちが泊まっている部屋の前を通る時、とんでもない会話が聞こえてきた。
「姉さん…今日も活動に行くの?」
「ええ…サリィ…モンスターラグーンのみんなは私を待ってるのよ」
「でも…さすがに無理やり男の人を襲って結婚させる方法なんて…」
「馬鹿ねぇ…この町には自分の気持ちを伝えられない女の子たちも多くいるのよ?」
「でも!」
「それに…あなたの狙っているデメトリオだって、気になっている女の子は町に結構いるのよ?幸い今日の活動の数には入れてないけど…近いうち、ターゲットにするかも…」
「それは!!」
……大変だ…まさか、モンスターラグーンのリーダーがサリィの姉さんだったなんて…
これは…どうするべきなんだ?俺は…
しばらく考えていると、俺は気づかない間に眠たくなっていた。
昔からそうだ…難しいことを考えていると眠くなってしまう。
まぁ…いいか、今日は寝よう。立ち聞きしていたことがばれると大変なことになりそうだし…
そう思い、俺は自分の部屋に入ると鍵を閉め、眠りについた。
12/01/05 22:30更新 / デメトリオン
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