25 もっとも頼りがいのある航海
さて…この混沌とした濁った空気をどうにかして欲しいと思う反面、内心では自分自身に対する変な考えを持ち始めた俺…
そんな俺のほうに、前回俺を叫ばせた女性が近づいてきた。
「どうも!私がこの『人魚商会』の社長…雪月つぐみっていいます。よろしくお願いします!」
「あ…は、はい…」
す、凄いいい人だ…いい人なんだけど…
それでも俺は…彼女の見た目のほうに目が行ってしまって仕方がなかった。
だって…インパクト強すぎだろ…
俺はついに我慢できずに…白濁液のことに会話で触れてしまった!
そうだ…触れてしまったんだ…
「その白濁液って…まさかアレですか…?」
「はい♪私の大切なあの人の…です!!」
……俺はこのタイミングで二つ…言うべきかどうか迷ったことが出来た。
一つ目は当然、白濁液のことだ。アレが全身にかかっているというのに、一切気にしていない彼女の頭は大丈夫なのか…ということ…
まぁ、この事は愛があればいけるとか、いろいろな抜け道がある選択肢だから深くは言わないぜ?うん。
でもな…二つ目はそう上手くはいかないんだよ…
二つ目に疑問に思ったことが…アレほどの量をどうやって出した!?
コレに関しては、もう愛とか言っていられるLVじゃねえ!!
普通の人間の出せる量を大きく越えている!!
インキュバス化すれば、少しはタフになるのだろうか?
全ての男が…彼女にかかっている白濁液くらいの量を出せるのか…!?
もしもそんなことが起こったとしたら…
「うはぁ…驚天動地だ…」
思わずこうやって口にしないと気がすまなかったんだ…ふぅ…
「そういえば…今回は姉さまにお饅頭を下さったみたいでありがとうございます!お礼に渡すものがあって、今回はこちらに来たんです!夫が海に釣りに行ってますし都合も良くて…」
「はぁ…そうですか」
夫が釣りに行ってなかったらまだ俺を待たせておくつもりだったのかこの人は…!?中々に悪魔的な思考の持ち主だ…本音、洒落にならないからなそれって…
「澄乃姉さまはそろそろ他の支部に向かわないといけませんし、私も夫のために精力をしっかりつけてもらえる料理を作らないといけないので手短に済ませますね?」
「あ、よろしくお願いします」
まぁ、俺もここに長居する気はないしね…
俺は、さっさともらうものだけもらってこの場を去るのもありかと思い、深くは気を使わないことにした。
「これが母様が昔、ジパングにいたときに購入した土塀焼きの壷です!中々の骨董品との事なので、コレを差し上げます!」
「い、いいんですか?」
「いいんですよ〜…これってお母様以外基本見ることすらしませんし〜」
そう言って、澄乃さんは俺に壷を持たせて来た!
なるほど、この壷は中が空洞になっており、強度もいい作品なんだな…
と、少しだけ知ったかぶりをしてみた俺…本音、まったくわかりませんけど…
そしてまたリフトを使って、今回は壷のほうを見ながら上っていき、そして『人魚商会』を後にした…
いや、この壷…もって歩くと凄く歩きにくいなしかし…
中々に大きさはある壷だ…でも、この壷は折角もらったものだし…
そう思いながら、俺は唯一通過していない残りの通り一つに向かって歩いて行った。
最後の通り…サンシャイン通りは俺が行くと、物凄い数の行商人などでにぎわっていた!
なるほど…ここは市場的な場所なのか…
と感心ばかりをしているわけじゃないぞ?俺、今現在だって壷を落とさないように必死だ…
結局、商品を見たくても壷が邪魔して見れず、置いて商品を見ていて、この壷が掏られるのも嫌だったので俺は何も見ずにこの通りの奥にある港に行こうとしていたところだった。
「あの…少々宜しゅうございますか?」
俺は、いきなり横から話しかけられたのでその場で立ち止まり、横目でその人のことを見た。変な話し方をする人だな…しかし
「何ですか?」
「いや、あなたがその手に持っている壷…いくらくらいで売ってくれますやろか?」
「い、いきなりなんですか!?」
俺は動揺したぜ!!そりゃあ…いきなり壷をいくらで売ってくれるかといわれたら動揺しないほうがおかしい!
俺は微妙にだが確実に警戒心を強めた。今の俺なら…この壷を抱えたまま20m走って進める気がするぜ…
「あぁ…すいませんなぁ…名前もなのらんと…うちは、千 山茶花いうもので、ジパングのほうで白雲宮という名の店の店主をやっております…以後、お見知りおきを…」
「あ…俺はデメトリオって言います…あの、この壷を一体何に使うんですか?」
俺は、普通にこの壷の用途を聞いてみた。まぁ、俺が持っているよりは他の人が持っているほうがいいと思ったから、そんなに変な使い道じゃないならトレードしてあげてもいいかな〜とか思っている。
勘違いするなよ!?トレードだからな!?トレードだからなーー!?
「何おっしゃっていらはるんですか〜、鑑賞するに決まっております!壷の美しさは置かれたときの造形の美でございますよ?」
鑑賞用…かぁ…まぁ、そうだよな…
よし…この壷、トレードしてあげることにしよう!!
俺は、本当に一瞬だけ考えてこの壷を手放すことにした。まぁ、もうちょっと便利なものが欲しいって言うのは俺の内心な?
「そうですか…トレードって形なら構いませんが…」
「いいですよ〜!」
そしてしばらく交渉していた結果、俺は御影石とやらで作られた球体の破片と交換してあげることにした!
何に使うつもりかは俺にも良くわからない!ただ…俺の大切なもの入れの中にある俺の戦友…墓場で破片になった空き箱がそう告げている…気がしたんだ!
山茶花さんは本音、びっくりしたような顔になりはしたが…気のせいだなうん。
「では…うちはこれで…ジパングに起こしになった際はぜひ立ち寄ってください…それでは…」
そう言って、壷を大事そうに抱え走っていった山茶花の姿を見送ると、俺も港のほうに歩いて行った…
だって、ここで冬だから船が動かせない!とか言われたら、結構めんどくさそうだからな…なるべく港に行って船の確保をしておくに越したことはないだろ…?
変にかっこつけてさっき…キラッ☆見たいなことをしてしまった俺を許してほしい…
そうこうしているうちに、俺は港に着いたわけだな…
港の近くでは船の船員達が慌しく船に荷物を運んでいたりしているのを見ると…なるほど、船は動いているということなんだな!?
船はいろいろな大きさの船が三つ…隣り合わせに並んでいるようだな…
俺はそれをチラッと確認すると、近くにあった酒場で情報収集をすることにした訳だ。
「おぉ…なんだか、昔行っていた集会を思い出す熱気だな…」
俺は酒場に入った瞬間、結婚してない連中で月に一回行っていた集会のことを思い出していた。今となっては懐かしい思い出だよ…本当に…
あの時は…俺たちのリーダーがまさか…俺の住所をラグーンメンバーに売るとは思っていなかった。
まぁ、その出来事がなかったら旅でいろいろな連中に会うこともなかったわけだけどさぁ…
そう思いながら昔のことを思い出していると、一人この店のマスターのような人が話しかけてきた。
「よぉ!お前…見ない顔だな?この町に来たのは初めてか?」
「あ、はい…あの、ここは酒場ですよね?」
「おぅ!この町で一番船乗り達に愛され、そして酒場であると同時に船の乗船許可を発行する場所でもある!」
と言う事は…ここで船の乗船許可を買い取ってから船に乗っていくというわけだな…?
俺は、最近まったく役に立っていない気がする俺の華麗なる頭脳でその答えを導き出すことに成功した!!
あぁ…誰か俺を褒めてほしいぜ…
そして、虚しい空気が流れ、俺は非常に複雑な心境を胸に秘めた状態で立っていた。
そうだ…乗船人数には基本的に限りがあるし、ここで他の連中と俺の分の乗船許可書をもらっておくのもありかもしれないなぁ…
そう思った俺は、マスターのほうに向き直り他の船員と話しているマスターに話しかけた。
「なぁ、マスター…」
「んぁ?どーしたんだ青年?何か飲むか?」
「ここで乗船許可書をもらえるんですよね?もしよかったら俺と仲間達の許可書を作って欲しいんですけど…」
「……その仲間ってのは?何人くらいいるんだ?」
「えっと…10人以上です!全員魔物娘ですけど…」
「そうか…なら船を二つ使っていったほうがいいな…」
二つも船を使わせてくれるのか…!?凄い…なんていうかラッキー!!
そう思いながら俺は確かに喜んでいた…
だけど、マスターが複雑そうな表情をしているのに気がついてしまったんだ。
「マスター?どうしたんですか?乗船許可書を発行してください!」
「悪いな青年…お前の仲間達は連れて行けるんだが…お前は無理だ」
…え?さっきマスターなんていった?
お前は無理だ…そういったのか!?
「どうしてですか?」
俺は少々焦りを感じながらもできるだけ落ち着いた口調でこういった。
いや…まぁ、内心ここで旅が終わって帰ることが出来るならそれはそれでOKだと思うんだけどさ?
マスターは非常に言いにくいような表情を一瞬してから、意を決したような表情になると、一気に言い放った!
「お前は…このシーズンだと海に出るのがとても危険なんだ!!だって…男だからな!」
…危険?なぜだ…?
「どうして危険なんですか?このシーズンだと…?」
「このシーズンは海の魔物娘達が本来…発情する傾向にあるシーズンだ!だから…基本的に海には男は連れて行かないことになってる。さらに、このシーズンに天災とも言われているカリュブディスの女の子の目撃例もある!しかも…3件も!お前が海に出るのは自殺行為なんだ!判ってくれ…」
…そうだったのか…でも、ここで少しは足掻いてみないと、ラグーンメンバーたちに言い訳が立たないな…少しだけ足掻いてみようっと!
俺は、ラグーンメンバー…特にメリィに何か言われるのが嫌だったというただそれだけの理由でもう少しだけ足掻くことにした。
だって…足掻いたって事があったら絶対に俺が痛い目にあうフラグを回避できるしな?
「そこを何とか!お願いします!」
「う〜む…仕方ねえなぁ…」
え!?ちょっと…俺の計画ではそこでも断る手はずになっているんですけど!?本気ですか?
そして俺はマスターがついて来いと促したので、しぶしぶながらついていっていた。
あぁ…俺の計画が狂うなんて…慣れてもいないのに変に計画なんて立てたからよくなかったのか…?
「ここだ…ここでお前が童貞かどうかを確認させてもらう!」
「え……な、なんでそんなことを調べないといけないんですか!?」
……俺が童貞だってばれたら…このマスターはきっと見下すような目で俺を見てくるに違いない…
まぁ…別にいいけどね?
「童貞かどうかはこの機械を通ってもらえれば判る!」
「へぇ…この変な門みたいな機械が…ですか?」
この町には…大きな町だからとはいえ、変な機械が多すぎる気がする…
などと思いながら、俺は仕方なく機械の中を通過してみた。
……何も起こらない?この機械…壊れてるんじゃな…
俺が心でその台詞を言うよりも早く、赤いランプが点滅し始め、警告音が辺りに鳴り響き始めた。
頼むから…せめて台詞を言わせてからなってくれよ…空気読めない機械だな…まったく!
「童貞…か…悪いな、童貞はどのシーズンでも海に出すことは出来ないんだ!海は童貞には危険すぎる!童貞がいる船は確実に沈められるって言われるほどだ!俺の店にまだ新米の船乗りが二人いるが、そいつらは童貞だから海には未だに出ることが出来ないでいるくらいだ…本当に海に出るのはあきらめてくれ」
……童貞って一体…いや、まぁいい!これで一番初めの目的である、船には乗らずにそれでも足掻くってのが達成されたからな!
「そうですか…では、仲間達の乗船許可書だけはいただけますか?」
「あぁ…仲間って全員魔物娘なんだよな?」
「はい。男は俺だけだったんですよ…」
「なら発行しよう…金額の話になるが、4銀で頼む…それと、上の部屋に戻ったら何か一杯ご馳走するよ…お詫びの証だ」
「本当ですか!?ラッキー!あ…さっき言ってた新米の船乗りって二人とも未婚ですか?」
俺はそう言いながら銀貨を4枚差し出した。いや、もしも未婚者だったなら俺、少しは友達になれそうな気がするからさ?
「あぁ…未婚者だが?あぁ…わかったぞ…友達になろうって思ってるんだろ?」
「な、なぜ判ったんですか!?」
この人…エスパー的能力が少し入っているというのか…!?
「俺も若いころはそうだったからさ…あいつらはこの時間帯なら俺の宿の隅っこのほうで二人、野菜サラダをつつきながら酒を飲みあっているはずだ。上に戻ったら紹介してやるよ!」
「お願いします!」
そうして、俺が上に戻ったときマスターが指差して連れて行ってくれた場所には、雰囲気は暗く、でも仲間同士で楽しく会話している男二人の姿が見えた。
「おい!お前ら…」
「ん?あっ…マスターじゃないですか!」
「俺らに何か用ですか?もう運ぶ荷物も船のマストの掃除も甲板の掃除も終わりましたよ?」
「違うって、今回はそのことで来たわけじゃないんだって…この人がお前達と一緒に飲みたいんだとよ!」
「え?マスター…この人は?」
「この人もお前達と同じ…負け組の未結婚者の童貞だ!」
3つも言わなくてもいいじゃないか!!
俺はマスターが紹介してくれたことに感謝を覚えはしたが…それと同時に別の感情も芽生えてきてしまい…非常に複雑な気分になった。
そして、目の前の二人はなんとも複雑な表情を一度してから、すぐにうれしそうな顔になった。
「どうもはじめまして…僕の名前はゼクっていいます」
「あ、どうも…俺はデメトリオって言います!」
「俺はアインって言うんだ、どうだいデメトリオ…一緒に飲むか?」
…どうするかなぁ、ここで少し飲んでもいいんだけどもうそろそろ他のメンバーが【シー・キャッスル】に来る時間じゃないか?
待たせると、モグラの達人の件もあるから非常にめんどくさそうだ…
「すいません…俺、今から少し用事があるので…住所教えてくれませんか?手紙送るので…」
そして、俺はゼクという賢そうな青年とアインという元気そうな青年に別れを告げ、住所を聞いた後すぐに【シー・キャッスル】という宿屋に走って行った。
……すいません、途中歩いてました…き、気にしないで下さい!
そして、宿屋の中に入ると、メリィや他のラグーンメンバーが勢ぞろいしていた。
…えぇー…結構早めに移動していたと思ったんだけどなぁ…
まさか、遅刻していたというのか…?俺が?
「す…すみませんメリィ…お、遅れちまって…」
「デメトリオ…?結構早いじゃない…?」
へ…?結構早い…って事は、俺の勘違いだったということか!?
「あれ?俺、遅れてきたって訳じゃ…?」
「ん?違うわよ…この町にいたモンスターラグーンのメンバー2人と偶然港近くで会ったの…それで話し合ってただけよ」
なんだ…って、この町にもいたのラグーンメンバー!?
「あんたがデメトリオ…?…普通のルックスね…面白くない。私はユカ、これから旅に同行するからよろしくね?」
「は…はぁ…」
普通のルックス…褒められているのかそうでないのか非常に反応に困る…
でも、俺の心を若干攻撃する台詞なのは間違いない!
そして、もう一人…あそこでメリィと話し込んでいる女性は…スキュラか?
…陸地で見かけるなんて珍しいこともあるもんだな
彼女もラグーンメンバーなんだろうな…
などと思っていると、こっちに向かってその女性が歩いてきた…というべきなのか表現に困る動きでこっちに来た。
「あんたがデメトリオね?私はマゼンタっていうの…この町で他のメンバーたちに渡すアイテム等の管理をしているわ…もちろん、商品はタダではないんだけど…」
「そうですか…マゼンタさんは旅についてくるんですか?」
「リーダーに聞いたら、お呼びがかかるまではこの町で仕事していていいって言われたからしばらくはないかな…」
……お呼びがかかる…ねぇ…
などと賢い雰囲気の台詞を内心つぶやきながらも…そんなに深くは物事を考えていない俺だった…
そうだ…メリィに乗船許可書を買ったって言っておかないとな…
ついでに、俺が旅に同行できないって事もね…
そう思い出した俺は、サラダを食べているメリィの元に行った。
……さっき、机の角に小指を当ててしまった…い、痛いぞこれは…
「め、メリィ…俺、もう乗船許可書を買っておいたから…はいこれ…」
「あら…早いのねデメトリオ…じゃあ、今日早速出発しましょうか?」
「……マジですか?」
…確かにまだ昼を少し過ぎたくらいの天気だけども…本気で行くのか?
そう思っていると、メリィが俺の肩をたたいてきた。
「デメトリオ…この乗船許可書、あなたの名前がないんだけど?」
「あ…言い忘れるところだった…どうやら俺、このシーズン船には乗れないみたいなんで、ここで分かれましょうよ?」
「…はぁ?何を言っているのよ…ここまでつれてきたんだから絶対に来てもらうわよ?」
「でも、規則で無理なんですよ!!俺がここから先船に乗って海に行くのは!」
やばいぜ…自信を持っていえるから今の俺…負ける気がしない!
そう思っていると、メリィは手でマゼンタを呼んだ!
ふっ…誰が来ても今の俺は…誰にも止められないぜーー!!
…そしてあの後、止められた俺は今現在、港で凄い雑なつくりの船に乗っているわけだ…
なぜって…?あの後、マゼンタが言った台詞がちょっとなぁ…
『規則って言うけど、結構楽に船に乗っていけるわよ?」
などといって、この廃棄寸前の船で海に繰り出すことになったんだ…
他のメンバーは乗船許可書を使用してしっかりと頑丈な船に…
俺は不法でぼろい船に乗って紐一本であの船に引きずられていく…
この差はなんだろうな…ま、いいんだけどさぁ…
などと心でぼやいていると、見覚えのある顔が近くの桟橋に見えた。
そう、ゼクとアインだ!そうだ…あいつら確か船乗りのはずなのに船に乗ったことがなかったな…
他に人の姿も見えなかった俺は、二人を一緒に連れて行ってやることにした。
「おーい!!ゼク!アイン!」
「ん?デメトリオか!?お前…不法で航海するつもりか!?」
「だ、駄目ですよ!ちゃんとルールは守らないと…」
「お前達、海に出たいんだろ!?」
「まぁ…そうですけど…」
「一緒に一回だけ航海しようぜ!!一人は心細かったんだ!!」
二人は小さな声でひそひそと何か話し合っているが、意を決したようでこっちの船に入り込んできた!
そして出発の汽笛がなると、のんびりと俺達は海の旅に出たのだった…
「なぁ…俺たちの団結力を高めるために誓いを立てようぜ!」
いきなりアインがこういってきたんだが…いいねぇそういうの!
凄く乗り気の俺と、しぶしぶながらもやってくれるといったゼクも加わり、3人で誓いをすることにした。
「じゃあ、まずはデメトリオからな?」
「了解…絶対に釣りで大物を吊り上げて飯に困らないようにすることをここに誓うぜ!」
「おぉ…期待してるぜ?じゃあ俺は…そうだな…俺は生きて帰ったら真面目に親孝行するぜ!!」
「僕は…どんなことがあってもみんなを守ることを誓うよ!」
そうして、誓いを結んだ俺達は早速食事を取ることにした。
いやぁ…船乗りのこいつらがいたらまず安全だぜ…
俺、今回は結構運がいいかも知れないな…
俺は、だんだん小さくなっている港を見ながらそう思った。
そんな俺のほうに、前回俺を叫ばせた女性が近づいてきた。
「どうも!私がこの『人魚商会』の社長…雪月つぐみっていいます。よろしくお願いします!」
「あ…は、はい…」
す、凄いいい人だ…いい人なんだけど…
それでも俺は…彼女の見た目のほうに目が行ってしまって仕方がなかった。
だって…インパクト強すぎだろ…
俺はついに我慢できずに…白濁液のことに会話で触れてしまった!
そうだ…触れてしまったんだ…
「その白濁液って…まさかアレですか…?」
「はい♪私の大切なあの人の…です!!」
……俺はこのタイミングで二つ…言うべきかどうか迷ったことが出来た。
一つ目は当然、白濁液のことだ。アレが全身にかかっているというのに、一切気にしていない彼女の頭は大丈夫なのか…ということ…
まぁ、この事は愛があればいけるとか、いろいろな抜け道がある選択肢だから深くは言わないぜ?うん。
でもな…二つ目はそう上手くはいかないんだよ…
二つ目に疑問に思ったことが…アレほどの量をどうやって出した!?
コレに関しては、もう愛とか言っていられるLVじゃねえ!!
普通の人間の出せる量を大きく越えている!!
インキュバス化すれば、少しはタフになるのだろうか?
全ての男が…彼女にかかっている白濁液くらいの量を出せるのか…!?
もしもそんなことが起こったとしたら…
「うはぁ…驚天動地だ…」
思わずこうやって口にしないと気がすまなかったんだ…ふぅ…
「そういえば…今回は姉さまにお饅頭を下さったみたいでありがとうございます!お礼に渡すものがあって、今回はこちらに来たんです!夫が海に釣りに行ってますし都合も良くて…」
「はぁ…そうですか」
夫が釣りに行ってなかったらまだ俺を待たせておくつもりだったのかこの人は…!?中々に悪魔的な思考の持ち主だ…本音、洒落にならないからなそれって…
「澄乃姉さまはそろそろ他の支部に向かわないといけませんし、私も夫のために精力をしっかりつけてもらえる料理を作らないといけないので手短に済ませますね?」
「あ、よろしくお願いします」
まぁ、俺もここに長居する気はないしね…
俺は、さっさともらうものだけもらってこの場を去るのもありかと思い、深くは気を使わないことにした。
「これが母様が昔、ジパングにいたときに購入した土塀焼きの壷です!中々の骨董品との事なので、コレを差し上げます!」
「い、いいんですか?」
「いいんですよ〜…これってお母様以外基本見ることすらしませんし〜」
そう言って、澄乃さんは俺に壷を持たせて来た!
なるほど、この壷は中が空洞になっており、強度もいい作品なんだな…
と、少しだけ知ったかぶりをしてみた俺…本音、まったくわかりませんけど…
そしてまたリフトを使って、今回は壷のほうを見ながら上っていき、そして『人魚商会』を後にした…
いや、この壷…もって歩くと凄く歩きにくいなしかし…
中々に大きさはある壷だ…でも、この壷は折角もらったものだし…
そう思いながら、俺は唯一通過していない残りの通り一つに向かって歩いて行った。
最後の通り…サンシャイン通りは俺が行くと、物凄い数の行商人などでにぎわっていた!
なるほど…ここは市場的な場所なのか…
と感心ばかりをしているわけじゃないぞ?俺、今現在だって壷を落とさないように必死だ…
結局、商品を見たくても壷が邪魔して見れず、置いて商品を見ていて、この壷が掏られるのも嫌だったので俺は何も見ずにこの通りの奥にある港に行こうとしていたところだった。
「あの…少々宜しゅうございますか?」
俺は、いきなり横から話しかけられたのでその場で立ち止まり、横目でその人のことを見た。変な話し方をする人だな…しかし
「何ですか?」
「いや、あなたがその手に持っている壷…いくらくらいで売ってくれますやろか?」
「い、いきなりなんですか!?」
俺は動揺したぜ!!そりゃあ…いきなり壷をいくらで売ってくれるかといわれたら動揺しないほうがおかしい!
俺は微妙にだが確実に警戒心を強めた。今の俺なら…この壷を抱えたまま20m走って進める気がするぜ…
「あぁ…すいませんなぁ…名前もなのらんと…うちは、千 山茶花いうもので、ジパングのほうで白雲宮という名の店の店主をやっております…以後、お見知りおきを…」
「あ…俺はデメトリオって言います…あの、この壷を一体何に使うんですか?」
俺は、普通にこの壷の用途を聞いてみた。まぁ、俺が持っているよりは他の人が持っているほうがいいと思ったから、そんなに変な使い道じゃないならトレードしてあげてもいいかな〜とか思っている。
勘違いするなよ!?トレードだからな!?トレードだからなーー!?
「何おっしゃっていらはるんですか〜、鑑賞するに決まっております!壷の美しさは置かれたときの造形の美でございますよ?」
鑑賞用…かぁ…まぁ、そうだよな…
よし…この壷、トレードしてあげることにしよう!!
俺は、本当に一瞬だけ考えてこの壷を手放すことにした。まぁ、もうちょっと便利なものが欲しいって言うのは俺の内心な?
「そうですか…トレードって形なら構いませんが…」
「いいですよ〜!」
そしてしばらく交渉していた結果、俺は御影石とやらで作られた球体の破片と交換してあげることにした!
何に使うつもりかは俺にも良くわからない!ただ…俺の大切なもの入れの中にある俺の戦友…墓場で破片になった空き箱がそう告げている…気がしたんだ!
山茶花さんは本音、びっくりしたような顔になりはしたが…気のせいだなうん。
「では…うちはこれで…ジパングに起こしになった際はぜひ立ち寄ってください…それでは…」
そう言って、壷を大事そうに抱え走っていった山茶花の姿を見送ると、俺も港のほうに歩いて行った…
だって、ここで冬だから船が動かせない!とか言われたら、結構めんどくさそうだからな…なるべく港に行って船の確保をしておくに越したことはないだろ…?
変にかっこつけてさっき…キラッ☆見たいなことをしてしまった俺を許してほしい…
そうこうしているうちに、俺は港に着いたわけだな…
港の近くでは船の船員達が慌しく船に荷物を運んでいたりしているのを見ると…なるほど、船は動いているということなんだな!?
船はいろいろな大きさの船が三つ…隣り合わせに並んでいるようだな…
俺はそれをチラッと確認すると、近くにあった酒場で情報収集をすることにした訳だ。
「おぉ…なんだか、昔行っていた集会を思い出す熱気だな…」
俺は酒場に入った瞬間、結婚してない連中で月に一回行っていた集会のことを思い出していた。今となっては懐かしい思い出だよ…本当に…
あの時は…俺たちのリーダーがまさか…俺の住所をラグーンメンバーに売るとは思っていなかった。
まぁ、その出来事がなかったら旅でいろいろな連中に会うこともなかったわけだけどさぁ…
そう思いながら昔のことを思い出していると、一人この店のマスターのような人が話しかけてきた。
「よぉ!お前…見ない顔だな?この町に来たのは初めてか?」
「あ、はい…あの、ここは酒場ですよね?」
「おぅ!この町で一番船乗り達に愛され、そして酒場であると同時に船の乗船許可を発行する場所でもある!」
と言う事は…ここで船の乗船許可を買い取ってから船に乗っていくというわけだな…?
俺は、最近まったく役に立っていない気がする俺の華麗なる頭脳でその答えを導き出すことに成功した!!
あぁ…誰か俺を褒めてほしいぜ…
そして、虚しい空気が流れ、俺は非常に複雑な心境を胸に秘めた状態で立っていた。
そうだ…乗船人数には基本的に限りがあるし、ここで他の連中と俺の分の乗船許可書をもらっておくのもありかもしれないなぁ…
そう思った俺は、マスターのほうに向き直り他の船員と話しているマスターに話しかけた。
「なぁ、マスター…」
「んぁ?どーしたんだ青年?何か飲むか?」
「ここで乗船許可書をもらえるんですよね?もしよかったら俺と仲間達の許可書を作って欲しいんですけど…」
「……その仲間ってのは?何人くらいいるんだ?」
「えっと…10人以上です!全員魔物娘ですけど…」
「そうか…なら船を二つ使っていったほうがいいな…」
二つも船を使わせてくれるのか…!?凄い…なんていうかラッキー!!
そう思いながら俺は確かに喜んでいた…
だけど、マスターが複雑そうな表情をしているのに気がついてしまったんだ。
「マスター?どうしたんですか?乗船許可書を発行してください!」
「悪いな青年…お前の仲間達は連れて行けるんだが…お前は無理だ」
…え?さっきマスターなんていった?
お前は無理だ…そういったのか!?
「どうしてですか?」
俺は少々焦りを感じながらもできるだけ落ち着いた口調でこういった。
いや…まぁ、内心ここで旅が終わって帰ることが出来るならそれはそれでOKだと思うんだけどさ?
マスターは非常に言いにくいような表情を一瞬してから、意を決したような表情になると、一気に言い放った!
「お前は…このシーズンだと海に出るのがとても危険なんだ!!だって…男だからな!」
…危険?なぜだ…?
「どうして危険なんですか?このシーズンだと…?」
「このシーズンは海の魔物娘達が本来…発情する傾向にあるシーズンだ!だから…基本的に海には男は連れて行かないことになってる。さらに、このシーズンに天災とも言われているカリュブディスの女の子の目撃例もある!しかも…3件も!お前が海に出るのは自殺行為なんだ!判ってくれ…」
…そうだったのか…でも、ここで少しは足掻いてみないと、ラグーンメンバーたちに言い訳が立たないな…少しだけ足掻いてみようっと!
俺は、ラグーンメンバー…特にメリィに何か言われるのが嫌だったというただそれだけの理由でもう少しだけ足掻くことにした。
だって…足掻いたって事があったら絶対に俺が痛い目にあうフラグを回避できるしな?
「そこを何とか!お願いします!」
「う〜む…仕方ねえなぁ…」
え!?ちょっと…俺の計画ではそこでも断る手はずになっているんですけど!?本気ですか?
そして俺はマスターがついて来いと促したので、しぶしぶながらついていっていた。
あぁ…俺の計画が狂うなんて…慣れてもいないのに変に計画なんて立てたからよくなかったのか…?
「ここだ…ここでお前が童貞かどうかを確認させてもらう!」
「え……な、なんでそんなことを調べないといけないんですか!?」
……俺が童貞だってばれたら…このマスターはきっと見下すような目で俺を見てくるに違いない…
まぁ…別にいいけどね?
「童貞かどうかはこの機械を通ってもらえれば判る!」
「へぇ…この変な門みたいな機械が…ですか?」
この町には…大きな町だからとはいえ、変な機械が多すぎる気がする…
などと思いながら、俺は仕方なく機械の中を通過してみた。
……何も起こらない?この機械…壊れてるんじゃな…
俺が心でその台詞を言うよりも早く、赤いランプが点滅し始め、警告音が辺りに鳴り響き始めた。
頼むから…せめて台詞を言わせてからなってくれよ…空気読めない機械だな…まったく!
「童貞…か…悪いな、童貞はどのシーズンでも海に出すことは出来ないんだ!海は童貞には危険すぎる!童貞がいる船は確実に沈められるって言われるほどだ!俺の店にまだ新米の船乗りが二人いるが、そいつらは童貞だから海には未だに出ることが出来ないでいるくらいだ…本当に海に出るのはあきらめてくれ」
……童貞って一体…いや、まぁいい!これで一番初めの目的である、船には乗らずにそれでも足掻くってのが達成されたからな!
「そうですか…では、仲間達の乗船許可書だけはいただけますか?」
「あぁ…仲間って全員魔物娘なんだよな?」
「はい。男は俺だけだったんですよ…」
「なら発行しよう…金額の話になるが、4銀で頼む…それと、上の部屋に戻ったら何か一杯ご馳走するよ…お詫びの証だ」
「本当ですか!?ラッキー!あ…さっき言ってた新米の船乗りって二人とも未婚ですか?」
俺はそう言いながら銀貨を4枚差し出した。いや、もしも未婚者だったなら俺、少しは友達になれそうな気がするからさ?
「あぁ…未婚者だが?あぁ…わかったぞ…友達になろうって思ってるんだろ?」
「な、なぜ判ったんですか!?」
この人…エスパー的能力が少し入っているというのか…!?
「俺も若いころはそうだったからさ…あいつらはこの時間帯なら俺の宿の隅っこのほうで二人、野菜サラダをつつきながら酒を飲みあっているはずだ。上に戻ったら紹介してやるよ!」
「お願いします!」
そうして、俺が上に戻ったときマスターが指差して連れて行ってくれた場所には、雰囲気は暗く、でも仲間同士で楽しく会話している男二人の姿が見えた。
「おい!お前ら…」
「ん?あっ…マスターじゃないですか!」
「俺らに何か用ですか?もう運ぶ荷物も船のマストの掃除も甲板の掃除も終わりましたよ?」
「違うって、今回はそのことで来たわけじゃないんだって…この人がお前達と一緒に飲みたいんだとよ!」
「え?マスター…この人は?」
「この人もお前達と同じ…負け組の未結婚者の童貞だ!」
3つも言わなくてもいいじゃないか!!
俺はマスターが紹介してくれたことに感謝を覚えはしたが…それと同時に別の感情も芽生えてきてしまい…非常に複雑な気分になった。
そして、目の前の二人はなんとも複雑な表情を一度してから、すぐにうれしそうな顔になった。
「どうもはじめまして…僕の名前はゼクっていいます」
「あ、どうも…俺はデメトリオって言います!」
「俺はアインって言うんだ、どうだいデメトリオ…一緒に飲むか?」
…どうするかなぁ、ここで少し飲んでもいいんだけどもうそろそろ他のメンバーが【シー・キャッスル】に来る時間じゃないか?
待たせると、モグラの達人の件もあるから非常にめんどくさそうだ…
「すいません…俺、今から少し用事があるので…住所教えてくれませんか?手紙送るので…」
そして、俺はゼクという賢そうな青年とアインという元気そうな青年に別れを告げ、住所を聞いた後すぐに【シー・キャッスル】という宿屋に走って行った。
……すいません、途中歩いてました…き、気にしないで下さい!
そして、宿屋の中に入ると、メリィや他のラグーンメンバーが勢ぞろいしていた。
…えぇー…結構早めに移動していたと思ったんだけどなぁ…
まさか、遅刻していたというのか…?俺が?
「す…すみませんメリィ…お、遅れちまって…」
「デメトリオ…?結構早いじゃない…?」
へ…?結構早い…って事は、俺の勘違いだったということか!?
「あれ?俺、遅れてきたって訳じゃ…?」
「ん?違うわよ…この町にいたモンスターラグーンのメンバー2人と偶然港近くで会ったの…それで話し合ってただけよ」
なんだ…って、この町にもいたのラグーンメンバー!?
「あんたがデメトリオ…?…普通のルックスね…面白くない。私はユカ、これから旅に同行するからよろしくね?」
「は…はぁ…」
普通のルックス…褒められているのかそうでないのか非常に反応に困る…
でも、俺の心を若干攻撃する台詞なのは間違いない!
そして、もう一人…あそこでメリィと話し込んでいる女性は…スキュラか?
…陸地で見かけるなんて珍しいこともあるもんだな
彼女もラグーンメンバーなんだろうな…
などと思っていると、こっちに向かってその女性が歩いてきた…というべきなのか表現に困る動きでこっちに来た。
「あんたがデメトリオね?私はマゼンタっていうの…この町で他のメンバーたちに渡すアイテム等の管理をしているわ…もちろん、商品はタダではないんだけど…」
「そうですか…マゼンタさんは旅についてくるんですか?」
「リーダーに聞いたら、お呼びがかかるまではこの町で仕事していていいって言われたからしばらくはないかな…」
……お呼びがかかる…ねぇ…
などと賢い雰囲気の台詞を内心つぶやきながらも…そんなに深くは物事を考えていない俺だった…
そうだ…メリィに乗船許可書を買ったって言っておかないとな…
ついでに、俺が旅に同行できないって事もね…
そう思い出した俺は、サラダを食べているメリィの元に行った。
……さっき、机の角に小指を当ててしまった…い、痛いぞこれは…
「め、メリィ…俺、もう乗船許可書を買っておいたから…はいこれ…」
「あら…早いのねデメトリオ…じゃあ、今日早速出発しましょうか?」
「……マジですか?」
…確かにまだ昼を少し過ぎたくらいの天気だけども…本気で行くのか?
そう思っていると、メリィが俺の肩をたたいてきた。
「デメトリオ…この乗船許可書、あなたの名前がないんだけど?」
「あ…言い忘れるところだった…どうやら俺、このシーズン船には乗れないみたいなんで、ここで分かれましょうよ?」
「…はぁ?何を言っているのよ…ここまでつれてきたんだから絶対に来てもらうわよ?」
「でも、規則で無理なんですよ!!俺がここから先船に乗って海に行くのは!」
やばいぜ…自信を持っていえるから今の俺…負ける気がしない!
そう思っていると、メリィは手でマゼンタを呼んだ!
ふっ…誰が来ても今の俺は…誰にも止められないぜーー!!
…そしてあの後、止められた俺は今現在、港で凄い雑なつくりの船に乗っているわけだ…
なぜって…?あの後、マゼンタが言った台詞がちょっとなぁ…
『規則って言うけど、結構楽に船に乗っていけるわよ?」
などといって、この廃棄寸前の船で海に繰り出すことになったんだ…
他のメンバーは乗船許可書を使用してしっかりと頑丈な船に…
俺は不法でぼろい船に乗って紐一本であの船に引きずられていく…
この差はなんだろうな…ま、いいんだけどさぁ…
などと心でぼやいていると、見覚えのある顔が近くの桟橋に見えた。
そう、ゼクとアインだ!そうだ…あいつら確か船乗りのはずなのに船に乗ったことがなかったな…
他に人の姿も見えなかった俺は、二人を一緒に連れて行ってやることにした。
「おーい!!ゼク!アイン!」
「ん?デメトリオか!?お前…不法で航海するつもりか!?」
「だ、駄目ですよ!ちゃんとルールは守らないと…」
「お前達、海に出たいんだろ!?」
「まぁ…そうですけど…」
「一緒に一回だけ航海しようぜ!!一人は心細かったんだ!!」
二人は小さな声でひそひそと何か話し合っているが、意を決したようでこっちの船に入り込んできた!
そして出発の汽笛がなると、のんびりと俺達は海の旅に出たのだった…
「なぁ…俺たちの団結力を高めるために誓いを立てようぜ!」
いきなりアインがこういってきたんだが…いいねぇそういうの!
凄く乗り気の俺と、しぶしぶながらもやってくれるといったゼクも加わり、3人で誓いをすることにした。
「じゃあ、まずはデメトリオからな?」
「了解…絶対に釣りで大物を吊り上げて飯に困らないようにすることをここに誓うぜ!」
「おぉ…期待してるぜ?じゃあ俺は…そうだな…俺は生きて帰ったら真面目に親孝行するぜ!!」
「僕は…どんなことがあってもみんなを守ることを誓うよ!」
そうして、誓いを結んだ俺達は早速食事を取ることにした。
いやぁ…船乗りのこいつらがいたらまず安全だぜ…
俺、今回は結構運がいいかも知れないな…
俺は、だんだん小さくなっている港を見ながらそう思った。
12/03/08 16:43更新 / デメトリオン
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